【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
本明細書に示す評価試験において、毛髪化粧料組成物に含まれる成分およびその含有量を種々変更しながら実施した各種の実験結果を以下に示す。ここで、毛髪化粧料組成物の各成分の配合量を示す単位は全て重量%であり、これを常法にて調製した。本明細書に示す評価試験における混合比は、複数の剤を混合する比率を示す。
【0041】
本明細書に示す評価試験において、複数の剤の合計が150g(グラム)の混合時の状況について目視で確認して評価した。なお、混合時には直径8mmの円柱状のプラスチック棒を用いて撹拌し、撹拌回数は、混合容器の内周を1周させた際に「1回」と数える。
【0042】
本明細書に示す評価試験において、毛髪処理操作は毛髪試験用ドール(株式会社ビューラックス社製「カットマネキンNO.775S」)の毛髪全体に得られた毛髪化粧料150gをゴム手袋をした手で直接取り、直接手で毛髪試験用ドールに塗布し20分間放置後洗い流す脱色または染毛操作を行ない、乾かした毛髪を目視で確認して評価した。
【0043】
本明細書に示す評価試験は25℃条件下において、専門のパネラー5名が混合操作および毛髪処理操作を行い、混合操作および毛髪処理操作を行っていない専門のパネラー5名が目視で観察し「発泡性」「泡の保持性」「複数の剤の混ざりやすさ」「毛髪の明度または染毛性」の4項目で評価した。ここで、「毛髪の明度または染毛性」は脱色剤、脱染剤および脱色・脱染剤に関しては「毛髪の明度」で評価し、染毛剤に関しては「毛髪の染毛性」で評価した。
【0044】
評価基準として、次の通り評価しその平均点の少数点以下を四捨五入して評価結果とした。
【0045】
「発泡性」の評価基準
5:非常に優れた発泡性を示した。
4:優れた発泡性を示した。
3:良好な発泡性を示した。
2:弱い発泡性を示した。
1:発泡性を示さない。
【0046】
「泡の保持性」の評価基準
5:容器内で150回以上撹拌しても、泡がしぼまなかった。
4:容器内で100回以上撹拌しても、泡がしぼまなかったが、150回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
3:容器内で50回以上撹拌しても、泡がしぼまなかったが、100回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
2:容器内で50回撹拌するまでに泡がしぼみはじめた。
1:泡とならない。
【0047】
「複数の剤の混ざりやすさ」の評価基準
5:60回未満の撹拌で、均一の泡となる。
4:80回未満の撹拌で、均一の泡となる。
3:100回未満の撹拌で、均一の泡となる。
2:100回以上の撹拌でも均一の泡とならない。
1:泡とならない。
【0048】
「毛髪の明度または染毛性」の保持性の評価基準
5:非常に優れた明度または染毛性を示した。
4:優れた明度または染毛性を示した。
3:良好な明度または染毛性を示した。
2:弱い明度または染毛性を示した。
1:泡状の毛髪化粧料を得られなかったため染毛操作が出来なかった。
【0049】
表1は第2剤の成分と配合量を示す。表1に示す第2剤は乳液状であるが、剤型は特に限定されない。本明細書に示す評価試験において、第2剤は全て共通の第2剤を用いた。
【0050】
【表1】
【0051】
第1評価試験:
第1評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第1評価試験で生成される毛髪化粧料は、脱色剤である。表2は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第1評価試験の結果を示す。表2に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0052】
【表2】
【0053】
(実施例1)
実施例1では、界面活性剤、炭酸塩(炭酸カリウムおよび炭酸水素アンモニウム)および2価金属塩(塩化カルシウム二水和物)を含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
【0054】
第1評価試験における実施例1の結果によれば、「発泡性」、「泡の保持性」、「複数の剤の混ざりやすさ」、「毛髪の明度」の4つの評価項目の全てにおいて非常に優れていることが分かる。
【0055】
(比較例1)
比較例1では、実施例1から2価金属塩を含有していない第1剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
【0056】
第1評価試験における比較例1の結果によれば、「発泡性」、「毛髪の明度」は問題ないものの、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
【0057】
(比較例2および3)
比較例2では、実施例1から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例3では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。
【0058】
第2評価試験:
第2評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤、前述した第2剤(表1)および第3剤を用いて評価を行なった。第2評価試験で生成される毛髪化粧料は、脱色・脱染剤である。表3は用いた第1剤および第3剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第2評価試験の結果を示す。表3に示す第1剤はクリーム状であり、第3剤は粉末状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0059】
【表3】
【0060】
(実施例2)
実施例2では、界面活性剤、炭酸塩および2価金属塩を含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤と、2価金属塩を含有した第3剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
【0061】
第2評価試験における実施例2の結果によれば、「発泡性」、「泡の保持性」、「複数の剤の混ざりやすさ」、「毛髪の明度」の4つの評価項目の全てにおいて優れていることが分かる。
【0062】
(比較例4)
比較例4では、実施例2から2価金属塩を含有していない第1剤および第3剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
【0063】
第2評価試験における比較例4の結果によれば、「毛髪の明度」は問題ないものの、「発泡性」、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
【0064】
(比較例5および6)
比較例5では、実施例2から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例6では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤および第3剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。
【0065】
第3評価試験:
第3評価試験では、発明者は、含有する2価金属塩の配合量と種類を様々に変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第3評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表4および表5は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第3評価試験の結果を示す。表4および表5に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
(実施例3〜13)
実施例3〜13では、界面活性剤および炭酸塩を含有し、さらに、2価金属塩の配合量および種類を様々に代えて含有した第1剤と、第1剤に含有されている炭酸塩の一部を分解可能な酸と界面活性剤を含有した第2剤とを混合し、得られた毛髪化粧料について評価した。
【0069】
第3評価試験における実施例3〜13の結果によれば、含有する2価金属塩の種類や配合量を変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は良好な品質を確保できることがわかる。
【0070】
第4評価試験:
第4評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤に炭酸塩として含まれる「炭酸カリウム」および「炭酸水素アンモニウム」に代えて、種類が異なる炭酸塩を含有した実施例14〜17について評価を行った。第4評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表6は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第4評価試験の結果を示す。表6に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0071】
【表6】
【0072】
(実施例14〜17)
第4評価試験における実施例14〜17の結果によれば、含有する炭酸塩の種類を変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は非常に優れた品質を確保できることがわかる。
【0073】
第5評価試験:
第5評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤に含まれる「炭酸カリウム」を配合せず、さらに「炭酸水素アンモニウム」の配合量をかえた実施例18について、および第3評価試験の実施例3における第1剤に含まれるアンモニア水の配合量を変えた実施例19をそれぞれ調製し、第3評価試験の実施例3における物性値(pH)を様々に変えて評価を行った。第5評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表7は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第5評価試験の結果を示す。表7に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0074】
【表7】
【0075】
(実施例18および19)
第5評価試験における実施例18および実施例19の結果によれば、物性値(pH)を様々に変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は良好な品質を確保できることがわかる。
【0076】
第6評価試験:
第6評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤の界面活性剤の種類および配合量を様々に変えた実施例20〜30について評価を行った。第6評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表8および表9は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第6評価試験の結果を示す。表8および表9に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0077】
【表8】
【0078】
【表9】
【0079】
(実施例20〜30)
第6評価試験における実施例20〜30の結果によれば、含有する界面活性剤の種類および配合量を様々に変えたとしても、得られる泡状の毛髪化粧料は優れた品質を確保できることがわかる。
【0080】
第7評価試験:
第7評価試験では、発明者は、各成分の配合量を変えた第1剤、前述した第2剤(表1)および2価金属塩を含有した第3剤を用いて評価を行なった。第7評価試験で生成される毛髪化粧料は、染毛剤である。表10は用いた第1剤および第3剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第7評価試験の結果を示す。表10に示す第1剤はクリーム状であり、実施例31で用いる第3剤は液状であり、実施例32で用いる第3剤は粉末状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0081】
【表10】
【0082】
(実施例31および32)
第7評価試験における実施例31および32の結果によれば、各剤を混合して得られる毛髪化粧料について、毛髪化粧料の元となる複数の剤のいずれかに2価金属塩を含有した場合でも、得られる泡状の毛髪化粧料は優れた品質を確保できることがわかる。
【0083】
第8評価試験:
第8評価試験では、発明者は、第3評価試験の実施例3における第1剤から各成分の配合量を変えた第1剤および前述した第2剤(表1)を用いて評価を行なった。第8評価試験で生成される毛髪化粧料は染毛剤である。表11は用いた第1剤の配合量、毛髪化粧料組成物の混合比、得られた毛髪化粧料の物性値(pH)および第8評価試験の結果を示す。表11に示す第1剤はクリーム状であるが、各剤の剤型は特に限定されない。
【0084】
【表11】
【0085】
(比較例7)
比較例7では、実施例3から2価金属塩を含有していない第1剤を用いて得られた毛髪化粧料について評価した。
【0086】
第8評価試験における比較例7の結果によれば、「発泡性」、「毛髪の明度」は問題ないものの、「泡の保持性」および「複数の剤の混ざりやすさ」については良好な結果は得られなかった。
【0087】
(比較例8および9)
比較例8では、実施例3から炭酸塩を含有していない第1剤を、比較例9では、さらにアンモニア水を増量してpH調整した第1剤を用いた。この結果、発泡剤である炭酸塩が含有されていないため、酸を含有する第2剤と混合したとしても泡立つことはなく、泡状の毛髪化粧料は得られなかった。