特許第6543477号(P6543477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543477
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】破砕機用刃物の研磨治具
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/36 20060101AFI20190628BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20190628BHJP
   B02C 18/18 20060101ALI20190628BHJP
   B02C 18/14 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B24B3/36 Z
   B24B41/06 L
   B02C18/18 A
   B02C18/14 A
   B02C18/18 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-18235(P2015-18235)
(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公開番号】特開2016-140819(P2016-140819A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】512135849
【氏名又は名称】西田 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 勝彦
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−074540(JP,U)
【文献】 実開昭58−086253(JP,U)
【文献】 特開2008−194803(JP,A)
【文献】 特開昭63−022218(JP,A)
【文献】 特開平11−104944(JP,A)
【文献】 特開平07−024346(JP,A)
【文献】 特開昭59−087052(JP,A)
【文献】 実開平03−001747(JP,U)
【文献】 実開昭61−169553(JP,U)
【文献】 韓国公開特許第2003−0018543(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 3/00−3/60
B24B 41/06
B02C 13/00−13/31
B02C 18/00−18/38
B23Q 3/00− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕すべき対象物が投入される投入口を有するハウジングと、
ハウジング内で上記投入口の下方に配置されて、軸方向の周りで一方向に回転するローターと、
ローターの周面に対向する位置でハウジングに固定された固定刃を備えた破砕機に使用される可動刃であり、
この可動刃はローターの外周面に形成した台座に装着されて上記ローターと共に回転することで上記固定刃との間で対象物を剪断するように構成され、
上記台座は、上記ローターの軸方向に沿った平面をなす保持面を有し、
上記可動刃は、前面、後面、上面、下面および両側面を有する金属体であり、
上記金属体の前面が上記固定刃に対向する逃げ面を規定し、
上記金属体の上面が上記ローターの回転方向前方に位置するすくい面を規定し、
上記金属体の底面が上記保持面に面接合する取付面を規定し、
上記可動刃は上記取付面を上記保持面に面接させる形で上記台座に保持され、
上記すくい面と上記逃げ面との間に40〜50度の刃先角が形成され、
上記すくい面が上記取付面と非平行となり、
上記すくい面の前端と上記逃げ面の前端との間に形成される切刃縁が、取付面の前端縁に対して傾斜した
ことを特徴とする破砕機用刃物を研磨するための研磨装置にセットするための治具で有り、
上記研磨装置は上記治具が載置される平坦な研磨台と、この研磨台と平行な面内で移動する研磨ヘッドとを備え、
上記治具は、上面、下面、正面、後面、両側面を有するブロックであり、
上記ブロックの底面が上記研磨台に面接触する基底面を規定し、
上記ブロックの上面に上記の可動刃を載置する載置面が形成され、
上記ブロックの後面側に上記の載置面より上方に突出するガイドが形成され、
上記ガイドが上記可動刃の後面に面接触して上記の可動刃をその前後方向で位置決めする第1位置決め面を形成し、
上記載置面が上記可動刃の取付面に合致する形状となり、上記基底面と所定の角度で傾斜してこの載置面に載置する可動刃のすくい面が上記基底面と平行な状態で上記ブロック上面に露出し、
上記ブロックに、上記載置面の一端で上記可動刃の一方の側面を受け止めて上記可動刃の左右方向の位置決めを行う第2位置決め面が形成され、
上記ブロックは長尺体で有り、その長手方向に沿って複数の上記載置面が並んで形成され、隣り合う載置面同士が上記の第2位置決め面で区画されて第2位置決め面が隣り合う載置面間の段差を形成し、
各載置面に載置された各可動刃はすくい面が一平面内で一列に並ぶようにセットされるようにした
ことを特徴とする破砕機用刃物の研磨治具
【請求項2】
前記金属体の後面が上記取付面と直交する面であり、
上記の切刃縁は、金属体の一方の側面から他方の側面に行くに従って、上記後面の上端縁からの奥行き(D)及び上記取付面の前端縁からの高さ(H)が次第に短くなるように傾斜した
ことを特徴とする請求項1に記載の破砕機用刃物の研磨治具
【請求項3】
上記載置面の左右方向の一端で上記第2位置決め面に近い箇所に、上記ガイドから上記ブロックの正面に至る凹溝が形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の破砕機用刃物の研磨治具。
【請求項4】
上記の凹溝が上記ブロックの正面に開口した
ことを特徴とする請求項に記載の破砕機用刃物の研磨治具。
【請求項5】
刃物をブロックに固定するボルトの先端が螺合するねじ穴が載置面に形成されたことを特徴とする請求項〜請求項に何れかの記載の破砕機用刃物の研磨治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を破砕するための破砕機におけるローターに装着される可動刃を研磨する研磨装置にこの可動刃を保持するための研磨治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に示されるように、破砕機に使用される可動刃は、一方向に回転するローターの周面に装着され、このローターを収容するハウジングに固定された固定刃と協働して対象物を破砕する刃物である。この可動刃の刃先縁は、各種の形状があるものの、ローターの軸方向を含む平面に収められており、ローターの回転に伴って可動刃の刃先縁はその全長に亘って固定刃の刃先縁へ同時に到達することになる。この結果、可動刃の刃先縁が同時に剪断力を担う機会が多くなり、対象物を破砕する際に大きな負荷が一度に可動刃に作用し、剪断能力の低下を招くだけでなく、可動刃の寿命を低下させることが問題となっている。同時に破砕の際の騒音も大きくなり、作業環境を悪化させる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−337733号公報
【特許文献2】特開2013−248618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、対象物の破砕能力を高め、可動刃の寿命を向上し、騒音の低下が期待できる特殊な形状の破砕機用刃物を研磨するための有用な研磨治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において用いる破砕機用刃物は、破砕すべき対象物が投入される投入口12を有するハウジング10と、ハウジング10内で投入口12の下方に配置されて、軸方向の周りで一方向に回転するローター20と、ローター20の周面に対向する位置でハウジング10に固定された固定刃30を備えた破砕機に使用される可動刃40である。
【0006】
この可動刃40はローター20の外周面に形成した台座22に装着されてローター20と共に回転することで固定刃30との間で対象物を剪断するように構成される。台座22は、ローター20の軸方向に沿った平面をなす保持面23を有する。可動刃40は、前面、後面、上面、下面および両側面を有する金属体であり、金属体の前面が固定刃30に対向する逃げ面41を規定し、金属体の上面がローター20の回転方向前方に位置するすくい面42を規定し、金属体の底面が保持面23に面接合する取付面43を規定する。
【0007】
可動刃40は取付面43を保持面23に面接させる形で上記台座22に保持される。すくい面42と逃げ面41との間に40〜50度の刃先角が形成され、すくい面42が取付面43と非平行となる。すくい面42の前端と逃げ面の前端との間に形成される切刃縁47が、取付面43の前端縁に対して傾斜している。
【0008】
可動刃40がこのような形状を有することにより、ローター20の回転に伴って、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に対して斜めに交わる形で近づくことができ、剪断能力が向上でき、剪断に伴う騒音をも低下させることができる。
【0009】
金属体の後面46は取付面43と直交する面とされており、切刃縁47は金属体の一方の側面40から他方の側面40に行くに従って、後面46の上端縁からの奥行き(D)及び取付面43の前端縁からの高さ(H)が次第に短くなるように傾斜していることが望ましい。この形態においては、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に近づく際に、可動刃40の逃げ面41に相対する方向から見た場合に、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に対して斜めとなるだけで無く、すくい面42に相対する方向から見た場合でも、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に対して斜めの関係で近づくことができ、より一層剪断能力が高められ、破砕時の騒音もより一層低下させることができる。
【0010】
本発明に係る研磨治具は、上述の破砕機用刃物を研磨するための研磨装置にセットするための治具であり、この研磨装置は、治具を載置する平坦な研磨台100と、この研磨台100と平行な面内で移動する研磨ヘッド110とを備える。研磨治具は、上面、下面、正面、後面、両側面を有するブロック60であり、ブロック60の底面が研磨台100に面接触する基底面61を規定し、ブロック60の上面に破砕機用刃物である可動刃40を載置する載置面62が形成される。ブロック60の後面側には載置面62より上方に突出するガイド63が形成され、ガイド63は可動刃40の後面46に面接触して可動刃40をその前後方向で位置決めする第1位置決め面64を備える。載置面62は可動刃40の取付面43に合致する形状となり、基底面61と所定の角度で傾斜してこの載置面62に載置する可動刃40のすくい面42が上記基底面61と平行な状態でブロック60上面に露出する。ブロック60には、載置面62の一端で可動刃40の一方の側面44を受け止めて可動刃40の左右方向の位置決めを行う第2位置決め面65が形成される。
【0011】
治具はその第1位置決め面64と第2位置決め面65で可動刃40の2面を受け止めることで、可動刃40のすくい面42を研磨台100と平行とした状態で、載置面62上に可動刃40を保持できる。このため、研磨台100の平面と平行な面内で移動する研磨ヘッド110によって可動刃40のすくい面42を正しく研磨することができる。
【0012】
治具は複数の可動刃40を一列に並べて保持することが望ましい。この場合、ブロック60は長尺体となり、その長手方向に沿って複数の載置面62が並んで形成され、隣り合う載置面62同士が第2位置決め面65で区画され、第2位置決め面65が隣り合う載置面62間の段差を形成する。このため、複数の可動刃40が互いのすくい面42を連続させる形で治具に保持することができ、複数の可動刃40を同時に研磨することができる。
【0013】
可動刃40は、その制作過程において、一方の側面44から取付面43に若干のバリが突出することがあるが、多少のバリがあっても、可動刃40を正しい位置にセットできるようにすることが好ましい。この場合、載置面42の左右方向の一端で第2位置決め面65に近い箇所に、ガイド63からブロック60の正面に至る凹溝67が形成され、この凹溝67内にバリを収めることで、すくい面42を研磨台と平行となるように正しくセットすることができる。
【0014】
凹溝67はブロック60の正面に開口することが望ましい。これにより、バリのある可動刃40であっても、可動刃40を載置面62の前方からスライドさせて載置面62にセットすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明において用いる破砕機用刃物は、ローターの周面に取り付けられて先端の切刃縁が回転軌跡を描く際に、対応する固定刃の刃先縁に対して常に斜めに交差して、対象物の破砕能力を高めることができ、寿命が向上することに加えて騒音の低下をもたらすことができる。
そして本発明に係る研磨治具は、上述したよう特殊形状の刃先縁を実現した刃物を、通常の研磨装置を利用して、容易に研磨することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明において用いる破砕機用刃物を取り付けた破砕機を示す概略図。
図2】同上の破砕機に用いられるローターを示す斜視図。
図3】同上のローターの周面の一部を示す部分斜視図。
図4】同上の破砕機に用いられるスクリーンを示す斜視図。
図5】同上の刃物を示す斜視図。
図6】同上の刃物の平面図。
図7】同上の刃物の正面図。
図8】同上の刃物の右側面図。
図9】同上の刃物の左側面図。
図10】同上の刃物の底面図。
図11】(A)(B)(C)は同上の刃物と固定刃との切断関係を一方向から見て説明する概略説明図。
図12】(A)(B)(C)は同上の刃物と固定刃との切断関係を別の方向から見て説明する概略説明図。
図13】本発明の破砕機用刃物の研磨治具を示す斜視図。
図14】同上の治具の正面図。
図15】同上の治具の上面図。
図16】同上の治具に刃物が載置された状態を示す正面図。
図17】同上の治具に刃物が載置された状態を示す上面図。
図18】同上の治具にセットされた刃物を研磨する研磨装置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係る破砕機用刃物について、添付図面に基づいて、説明する。破砕機は、例えば、金属製品やプリント基板等の産業廃棄物である対象物Tを、所定の粒度の破砕片Fに破砕し、破砕片Fを取り出すように構成される。
【0019】
図1に示すように、破砕機は、内部にローター20を収容するハウジング10と、ベルトコンベア2から搬送される対象物Tをハウジング10内に落とし込む投入口12と、ローター20をその軸の回りで回転させるモーター18を備える。ローター20はその中心軸21でハウジング10へ支持され、この軸の回りに回転駆動され、周面に配置される複数の可動刃40と、ハウジング10側に配置された固定刃30とで投入口12から投入された対象物Tを切断する。ローター20の下面側には、スクリーン36が可動刃40の回転軌跡Pに沿って配置される。このスクリーン36は、図3に示すように、多数の排出孔38を有し、湾曲したスクリーン36に沿って移動する可動刃40と排出孔38の開口縁とで、対象物Tが破砕されるとともに、所定の粒度に破砕された破砕片Fを排出孔38で篩い分けられる。篩い分けられた破砕片Fは、ハウジング10下端のコレクタ14に集められ、ダクト16から外部へ送り出される。
【0020】
図2に示すように、ローター20は複数の可動刃40をその軸方向及び周方向に沿って並ぶ形で保持するように構成され、図3に示すように、外周面に配置した複数の台座22にボルト28を用いて固定する。台座22はローター20の軸方向に沿った平面である保持面23と保持面23に直角をなす背面24を有し、保持面23に設けたねじ穴25にネジ止めされるボルト28によって可動刃40を台座22に固定する。ローター20は一方向に回転駆動され、ローター20に装着された可動刃40の先端が300mm〜500mmの範囲内の直径の円軌跡Pを描く。
【0021】
可動刃40は刃物鋼でできた六面体であり、図5図10に示すように、底面が台座22の保持面23に一致する取付面43となり、後面46が台座22の背面24に合致するように、取付面43と直交する面に仕上げられ、両側面44も取付面43を直交する面となる。この六面体の前面は固定刃30に対向する逃げ面41となり、上面がローター20の回転方向前方に位置するすくい面42を規定する。すくい面42と逃げ面41との間の刃先角は40〜50度であり、すくい面42の前端縁と逃げ面41の上端縁との間に切刃縁47を形成する。図6及び図7に示すように、すくい面42は後面46及び取付面43と非平行な面とされ、切刃縁47は、一方の側面44から他方の側面44に行くに従って、後面46の上端縁からの奥行き(D)及び取付面43の前端縁からの高さ(H)が次第に短くなるように傾斜し、図6に示すように、切刃縁47は後面46に対して4度から7度の角度で傾斜し、図7に示すように、底面の取付面43に対して5度から7度の角度で傾斜する。これらの角度は、可動刃40が描く回転軌跡Pの直径に依存する。可動刃40の後端部には上面から底面の取付面43に貫通する取付孔45が形成され、この取付孔45を通すボルト28が台座22のねじ穴25に螺着されて、可動刃40がローター20に保持される。
【0022】
可動刃40がローター20の台座22にセットされて、ローター20と共に軸の回りで一方向に回転すると、図1に示すように、可動刃40の切刃縁47が円軌跡を描き、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に近づく際、図11(A)(B)(C)に示すように、可動刃40の逃げ面41に相対する方向から見た場合に、すなわち、回転軌跡Pに接する面内では、可動刃40の切刃縁47が固定刃30の刃先縁に対して斜めの状態で進む間に、切刃縁47がその全長に亘って固定刃30の刃先縁と協働することで、切断性能を向上させる。また、図12(A)(B)(C)に示すように、すくい面42に相対する方向から見た場合でも、すなわち、回転軌跡Pの中心を含む面内で見たときに、固定刃30の刃先縁に対して、可動刃20の切刃縁47が斜めになった状態で進む間に、切刃縁47がその全長に亘って固定刃30の刃先縁に接することができ、より一層剪断能力が高められ、破砕時の騒音もより一層低下させる。
【0023】
可動刃40は長時間使用により摩耗するため、公知の研磨装置を利用して定期的にすくい面41を研磨することが求められる。この研磨装置は、図18に示すように、研磨対象体を載置する研磨台100と、研磨台100に対して上下前後に移動する移動する研磨ヘッド110を備えており、研磨ヘッド110は水平軸の周りで回転駆動される回転砥石であり、研磨台100が往復移動することで、研磨台100上に固定する可動刃40のすくい面41を研磨する。
【0024】
本発明において用いる可動刃40は、すくい面41が取付面43である底面と非平行であることから、すくい面41を上にして研磨台100に乗せると、すくい面41が傾斜面となるため、すくい面41全体を研磨ヘッド110に対して亘って移動させて正確な研磨を行うことが困難となる。本発明に係る研磨用治具は、この不都合を解消するために準備された金属製のブロック60である。このブロック60は、複数の可動刃40を一列に並べた状態で保持する構成をなし、図18に示すように、研磨台100に配備された電磁石102による磁気力で研磨台100に固定される。
【0025】
このブロック60は、図13図15に示すように、上面、下面、正面、後面、両側面を有し、ブロック60の底面が研磨台100に面接触する基底面61を規定し、上面に可動刃40を載置する複数の載置面62が形成される。ブロック60の後面側には載置面62より上方に突出するガイド63が形成され、このガイド63が可動刃40の後面に面接触して可動刃40をその前後方向で位置決めする第1位置決め面64を形成している。載置面42は可動刃40の取付面43に合致する形状となり、基底面61と所定の角度で傾斜してこの載置面62に載置する可動刃40のすくい面42が基底面61と平行な状態でブロック60の上面に露出する。ブロック60には、更に、載置面42の一端で可動刃40の一方の側面44を受け止めて可動刃40の左右方向の位置決めを行う第2位置決め面65が形成され、この第2位置決め面65は、隣り合う載置面62を区画する段差を形成する。
【0026】
各載置面62の左右方向の一端で第2位置決め面65に近い箇所には、ガイド63からブロック60の正面に至る凹溝67が形成され、凹溝67がブロック60の正面に開口している。
【0027】
図16及び図17に示すように、可動刃40をその取付面43を載置面62に向けて治具にセットし、この状態で、各可動刃40の取付孔45から載置面62のねじ穴66へボルト28を通して、可動刃40を治具に固定する。これにより、可動刃40のすくい面42がブロック60の基底面61、すなわち、研磨台100の表面と平行とされ、各可動刃40のすくい面42が一平面内で一列に並ぶ。図16に示すように、研磨ヘッド110をすくい面42まで下降させ、この状態で、研磨台100を左右に移動させることで、各可動刃40のすくい面42を一様に研磨することができる。
【0028】
可動刃40は、その制作過程において、一方の側面44から取付面43に若干のバリが突出する場合があるが、そのようなバリは第2位置決め面65の一端に形成した凹溝67に収めることができ、すくい面42を研磨台100の表面と平行に保つことができる。この場合、凹溝67はブロック60の正面に開口していることから、バリのある可動刃40であっても、可動刃40を載置面62の前方からスライドさせて載置面62にセットすることができる。
【符号の説明】
【0029】
20 ローター
22 台座
23 保持面
30 固定刃
40 可動刃
41 逃げ面
42 すくい面
43 取付面
44 側面
46 後面
47 切刃縁
60 ブロック
61 基底面
62 載置面
63 ガイド
64 第1位置決め面
65 第2位置決め面
67 凹溝
100 研磨台
110 研磨ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18