特許第6543491号(P6543491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543491
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】建物の階段部構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/02 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   E04F11/02
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-57285(P2015-57285)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-176252(P2016-176252A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2018年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 直
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−010116(JP,U)
【文献】 特開2013−177734(JP,A)
【文献】 特開2004−190303(JP,A)
【文献】 特開2004−183246(JP,A)
【文献】 特開平11−241470(JP,A)
【文献】 実開昭62−182350(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00−11/18
E04B 1/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の開口を有する上階床と、
外側桁が前記開口の周縁の2辺に沿い、前記開口の周縁における前記外側桁が沿わない2辺のうちの1辺の一部に降り口が接続されたL字形状の階段と、
平面視で前記開口内における前記階段が設けられていない領域において、前記開口の周縁における前記外側桁が沿わない2辺から前記階段の内側桁に向けて片持ち状に設けられると共に、前記上階床と同一の床高さの内部片持ち床と、を備え、
前記内部片持ち床は、
前記開口の周縁における前記外側桁が沿わない2辺のうちの一方の第一辺に沿って配置された第一床梁と、
前記開口の周縁における前記外側桁が沿わない2辺のうちの他方の第二辺に沿って配置された第二床梁と、
基端部が前記第一床梁に支持されると共に先端部が前記開口内に延び、当該先端部が前記第一床梁及び前記第二床梁に接合された梁支持部によって支持された第一鼻先梁と、
基端部が前記第二床梁に支持されると共に先端部が前記開口内に延び、当該先端部が前記梁支持部によって支持された第二鼻先梁と、
によって支持され、
前記梁支持部は、
基端部が前記第一床梁及び前記第二床梁の少なくともいずれかに接合されると共に、先端部が前記第一鼻先梁の先端部及び前記第二鼻先梁の先端部に接合された片持ち部材と、
前記片持ち部材の延在方向に対して直交するように配置されると共に、一端が前記第一床梁に接合され他端が前記片持ち部材の中間部に剛接合された第一仲介部材と、
前記片持ち部材の延在方向に対して直交するように配置されると共に、一端が前記第二床梁に接合され他端が前記片持ち部材の中間部に剛接合された第二仲介部材と、
を備える、建物の階段部構造。
【請求項2】
前記片持ち部材の先端部は、前記第一鼻先梁の先端部に設けられたエンドプレートと前記第二鼻先梁の先端部に設けられたエンドプレートとによって挟み込まれ、
前記片持ち部材の先端部、前記第一鼻先梁の先端部及び前記第二鼻先梁の先端部は、2つの前記エンドプレートを貫通するように差し込まれたボルトを用いてボルト接合されている、請求項に記載の建物の階段部構造。
【請求項3】
前記第一仲介部材における前記第一床梁に接合される側の端部は水平方向に対して起立した板状であると共に、前記第一床梁の延在方向に対して直交し、
前記第二仲介部材における前記第二床梁に接合される側の端部は水平方向に対して起立した板状であると共に、前記第二床梁の延在方向に対して直交する、請求項1又は2に記載の建物の階段部構造。
【請求項4】
前記階段は、自立式であり、前記開口の周縁に沿って配置された床梁とは縁が切られている、請求項1〜のいずれか一項に記載の建物の階段部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の階段部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降の途中で昇降方向が90度屈曲する平面視でL字状の階段がある(例えば特許文献1参照)。このような階段を建物に設置する場合、屈曲する外側桁の2辺の長さに対応する辺長を有する矩形状の開口を上階床に形成し、屈曲する外側桁の2辺が平面視において開口の2辺に沿うように階段を設置することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−183246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上階床に矩形状の開口を設けて階段を設置する構成であるため、階段のL字状の内側部分には階段が存在しないにも関わらず上階床が開口しており、上階の室内空間を有効に利用しにくかった。
【0005】
そこで、本発明は、空間の有効利用が可能な建物の階段部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建物の階段部構造は、矩形状の開口を有する上階床と、外側桁が開口の周縁の2辺に沿い、開口の周縁における外側桁が沿わない2辺のうちの1辺の一部に降り口が接続されたL字形状の階段と、平面視で開口内における階段が設けられていない領域において、開口の周縁における外側桁が沿わない2辺から階段の内側桁に向けて片持ち状に設けられると共に、上階床と同一の床高さの内部片持ち床と、を備える。
【0007】
この建物の階段部構造のように、開口内の階段が設けられていない領域に内部片持ち床を設けることで、上階の空間の有効利用が可能となる。また、内部片持ち床を片持ち状に設けることで、内部片持ち床を支持する梁が階段の昇降を妨げることが無い。内部片持ち床を支持する柱が不要であるため、上階の下方に設けられた下階の空間も有効利用が可能となる。
【0008】
内部片持ち床は、開口の周縁における外側桁が沿わない2辺のうちの一方の第一辺に沿って配置された第一床梁と、開口の周縁における外側桁が沿わない2辺のうちの他方の第二辺に沿って配置された第二床梁と、基端部が第一床梁に支持されると共に先端部が開口内に延び、当該先端部が第一床梁及び第二床梁に接合された梁支持部によって支持された第一鼻先梁と、基端部が第二床梁に支持されると共に先端部が開口内に延び、当該先端部が梁支持部によって支持された第二鼻先梁と、によって支持され、梁支持部は、基端部が第一床梁及び第二床梁の少なくともいずれかに接合されると共に、先端部が第一鼻先梁の先端部及び第二鼻先梁の先端部に接合された片持ち部材と、片持ち部材の延在方向に対して直交するように配置されると共に、一端が第一床梁に接合され他端が片持ち梁の中間部に剛接合された第一仲介部材と、片持ち部材の延在方向に対して直交するように配置されると共に、一端が第二床梁に接合され他端が片持ち梁の中間部に剛接合された第二仲介部材と、を備えていてもよい。
【0009】
このように、第一鼻先梁及び第二鼻先梁が梁支持部によって支持されることにより、内部片持ち床の強度を向上させることができる。また、片持ち部材と、第一仲介部材及び第二仲介部材とは剛接合されている。すなわち、片持ち部材の中間部から基端部の部位は、第一鼻先梁及び第二鼻先梁を支持する先端部側に対して控え梁として機能する。言い換えると、片持ち部材の中間部から基端部の部位は、片持ち部材の先端部が下方に下がることを抑制している。このように、内部片持ち床を強固に支持する架構を、内部片持ち床が設けられている領域内に梁支持部を設けることで実現できる。従って、内部片持ち床以外の領域に、内部片持ち床を強固に支持するための控え梁等を設ける必要が無く、シンプルな架構を実現できる。
【0010】
片持ち部材の先端部は、第一鼻先梁の先端部に設けられたエンドプレートと第二鼻先梁の先端部に設けられたエンドプレートとによって挟み込まれ、片持ち梁の先端部、第一鼻先梁の先端部及び第二鼻先梁の先端部は、2つのエンドプレートを貫通するように差し込まれたボルトを用いてボルト接合されていてもよい。この場合、梁支持部、第一鼻先梁及び第二鼻先梁を、第一床梁及び第二床梁にそれぞれ個別に順次取り付けた後、梁支持部、第一鼻先梁及び第二鼻先梁をボルト接合することができる。このように、第一床梁及び第二床梁に各部材を順次取り付けることができるため、例えば第一鼻先梁と第二鼻先梁とが予め組み付けられた状態で、梁支持部、第一床梁及び第二床梁に、第一鼻先梁及び第二鼻先梁を取り付けるよりも、取り付けの作業性が良い。
【0011】
第一仲介部材における第一床梁に接合される側の端部は水平方向に対して起立した板状であると共に、第一床梁の延在方向に対して直交し、第二仲介部材における第二床梁に接合される側の端部は水平方向に対して起立した板状であると共に、第二床梁の延在方向に対して直交していてもよい。この場合には、下階において、上階床と内部片持ち床との境界に沿って(開口の周縁の床梁の直下に)間仕切壁等を設けるときに、間仕切壁を構成する面材と、第一仲介部材における第一床梁に接合される側の端部及び第二仲介部材における第二床梁に接合される側の端部との干渉を抑制できる。特に、この構成は、アパートや二世帯住宅の戸界に用いる界壁として、開口の周縁の床梁の両面を石膏ボード等で覆う必要がある場合に有効である。
【0012】
階段は、自立式であり、開口の周縁に沿って配置された床梁とは縁が切られていてもよい。この場合には、階段の降り口(昇りきった位置)の直下に間仕切壁を設けるときに、間仕切壁を構成する面材が階段に干渉することを抑制できる。特に、この構成は、アパートや二世帯住宅の戸界に用いる界壁として、開口の周縁の床梁の両面を石膏ボード等で覆う必要がある場合に有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空間の有効利用が可能な建物の階段部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る建物の2階における階段周りの平面図である。
図2】建物の2階における階段周りの架構を示す平面図である。
図3】階段の構造を示す斜視図である。
図4】鼻先梁と梁支持部との取り付け構造を示す分解図である。
図5】東側梁の両側面に石膏ボードを取り付けた様子を示す平面図である。
図6図5におけるVI‐VI線に沿った断面図である。
図7】梁支持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る建物の階段部構造の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1に示す建物Xは、基礎から立ち上がる複数本の柱と、隣り合う柱間に架設される複数本の梁とによって構成された、例えば鉄骨造の建物である。建物Xは、少なくとも上階と、上階の一つ下層の下階とを有している。本実施形態において建物Xは、2階建ての建物とする。本実施形態では、各部の配置説明を容易にするため、図1の方位記号が示す通り、上方向を北側として説明する。他の図においても、方位記号を用いて配置構成を説明する。
【0017】
図1図3に示すように、建物Xは、1階と2階との間を昇降するための階段1を備えている。階段1は、平面視で、昇降方向が直角に屈曲したL字形状の階段である。階段1は、外側桁11、内側桁12、複数の踏板13、複数の支柱14を備えている。外側桁11及び内側桁12は、建物Xの1階床から2階床(上階床)F1に架け渡されている。外側桁11及び内側桁12は、平面視でL字形状に屈曲している。踏板13の両端部は、外側桁11及び内側桁12によってそれぞれ支持されている。支柱14は、鉛直方向に沿って延在している。支柱14は、外側桁11及び内側桁12を支持している。階段1は、支柱14によって外側桁11、内側桁12及び踏板13が支持された自立式の階段である。
【0018】
建物Xの2階床F1には、矩形状の開口Rが設けられている。ここで、開口Rの周縁を構成する4つの辺を、北側辺L1、西側辺L2、南側辺(第一辺)L3及び東側辺(第二辺)L4という。北側辺L1は開口Rの北側の辺であり、西側辺L2は開口Rの西側の辺である。南側辺L3は開口Rの南側の辺であり、東側辺L4は開口Rの東側の辺である。
【0019】
開口Rの周縁には、北側辺L1に沿って北側梁H1が配置され、西側辺L2に沿って西側梁H2が配置されている。また、開口Rの周縁には、南側辺L3に沿って南側梁(第一床梁)H3が配置され、東側辺L4に沿って東側梁(第二床梁)H4が配置されている。すなわち、開口Rは、北側梁H1、西側梁H2、南側梁H3及び東側梁H4によって囲まれている。本実施形態では、北側梁H1、西側梁H2、南側梁H3及び東側梁H4として、一例としてH形鋼を用いている。
【0020】
階段1は、平面視において外側桁11が北側辺L1及び西側辺L2に沿うように配置されている。階段1の降り口1aは、東側辺L4の一部分、具体的には東側辺L4の北側部分に接続されている。すなわち、南側辺L3及び東側辺L4は、階段1の外側桁11が沿わない辺となる。また、平面視において、開口Rの南東の角部の領域は、階段1が設けられていない領域となる。
【0021】
開口R内における階段1が設けられていない南東の領域には、内部片持ち床F2が設けられている。内部片持ち床F2は、2階床F1と同一の床高さとなっている。内部片持ち床F2は、平面視において、南側辺L3及び東側辺L4から階段1の内側桁12に向けて延び、南側梁H3及び東側梁H4によって片持ち状に支持されている。内部片持ち床F2は、平面視において矩形状となっている。平面視において開口R内は、階段1と内部片持ち床F2とによって埋められている。
【0022】
図2図4に示すように、内部片持ち床F2は、南側梁H3、東側梁H4、第一鼻先梁HB1、第二鼻先梁HB2によって支持されている。第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2は、梁支持部2によって支持されている。第一鼻先梁HB1、第二鼻先梁HB2、及び梁支持部2は、平面視において、開口R内における階段1が設けられていない領域に配置されている。
【0023】
第一鼻先梁HB1は、南北方向に沿って延びている。第一鼻先梁HB1の基端部は、南側梁H3に支持されている。第一鼻先梁HB1の先端部は、開口R内に延びると共に梁支持部2に支持されている。第二鼻先梁HB2は、東西方向に沿って延びている。第二鼻先梁HB2の基端部は、東側梁H4に支持されている。第二鼻先梁HB2の先端部は、開口R内に延びると共に梁支持部2に支持されている。
【0024】
梁支持部2の基端部は、南側梁H3及び東側梁H4によって支持されている。梁支持部2の先端部は、開口R内に延びて第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2の先端部を支持している。梁支持部2は、片持ち部材20、第一仲介部材30、第二仲介部材40、及び基端支持プレート50を備えている。
【0025】
片持ち部材20は、平面視において、開口Rの南東の角部(南側梁H3と東側梁H4との接続部分)から階段1の内側桁12の屈曲部分に向けて延びている。片持ち部材20の基端部(後述する基端部プレート23)は、南側梁H3及び東側梁H4の少なくともいずれかに接合されている。本実施形態において片持ち部材20の基端部は、基端支持プレート50を介して南側梁H3及び東側梁H4に接合されている。片持ち部材20の先端部は、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2の先端部に接合されている。
【0026】
第一仲介部材30は、平面視において、片持ち部材20に直交するように配置されている。第一仲介部材30の一端は、基端支持プレート50を介して南側梁H3に接合されている。第一仲介部材30の他端は、片持ち部材20の中間部に剛接合されている。第一仲介部材30として、例えば角形鋼管を用いてもよい。
【0027】
第二仲介部材40は、平面視において、片持ち部材20に直交するように配置されている。第一仲介部材30及び第二仲介部材40は、互いに同じ直線上に配置されている。第二仲介部材40の一端は、基端支持プレート50を介して東側梁H4に接合されている。第二仲介部材40の他端は、片持ち部材20の中間部に剛接合されている。第二仲介部材40として、例えば角形鋼管を用いてもよい。
【0028】
なお、第一仲介部材30及び第二仲介部材40が接続される片持ち部材20の中間部とは、片持ち部材20の長手方向の中央位置に限定されず、中央位置から所定長さずれた位置を含む。
【0029】
基端支持プレート50は、南側梁H3と東側梁H4とに沿うように、略L字状に折り曲げられている。基端支持プレート50は、南側梁H3と東側梁H4とに接合されている。具体的には、図2に示すように基端支持プレート50は、南側梁H3のウェブH3a及び東側梁H4のウェブH4aに接合されている。基端支持プレート50の中間部(屈曲部分)は、片持ち部材20の基端部に接合されている。基端支持プレート50の両端部は、それぞれ、第一仲介部材30の一端及び第二仲介部材40の一端に接合されている。
【0030】
次に、片持ち部材20と、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2との接合構造について説明する。図4に示すように、第一鼻先梁HB1の先端部には、エンドプレートE1が設けられている。第一鼻先梁HB1のエンドプレートE1は、平面視において、第一鼻先梁HB1の延在方向に対して傾斜(一例として45°)している。言い換えると、エンドプレートE1の面(先端部プレート22に当接される面)に垂直な直線と第一鼻先梁HB1の延在方向とが傾斜している。
【0031】
第二鼻先梁HB2の先端部には、エンドプレートE2が設けられている。第二鼻先梁HB2のエンドプレートE2は、平面視において、第二鼻先梁HB2の延在方向に対して傾斜(一例として45°)している。言い換えると、エンドプレートE2の面(先端部プレート22に当接される面)に垂直な線と第二鼻先梁HB2の延在方向とが傾斜している。
【0032】
片持ち部材20は、本体部21、先端部プレート22、及び基端部プレート23を備えている。本体部21には、第一仲介部材30の他端及び第二仲介部材40の他端がそれぞれ剛接合されている。本体部21の先端部には、先端部プレート22が接合されている。本体部21の基端部には、基端部プレート23が接合されている。本体部21として、例えば角形鋼管を用いてもよい。
【0033】
先端部プレート22は、板状の部材であり、水平方向に対して起立している。なお、板状の部材が起立した状態とは、板状の部材の表面及び裏面が水平方向を向くように配置されている状態をいう。先端部プレート22は、平面視において、本体部21の延在方向に沿って延びている。基端部プレート23は、板状の部材であり、水平方向に対して起立している。基端部プレート23は、平面視において本体部21の延在方向に沿って延びている。基端部プレート23は、本体部21及び基端支持プレート50に接合されている。先端部プレート22及び基端部プレート23として、例えば板状の鋼材を用いてもよい。
【0034】
片持ち部材20の先端部プレート22は、第一鼻先梁HB1のエンドプレートE1と第二鼻先梁HB2のエンドプレートE2とによって挟み込まれている。先端部プレート22、エンドプレートE1及びエンドプレートE2は、エンドプレートE1とエンドプレートE2との間を貫通するように差し込まれたボルト61と、ボルト61に取り付けられるナット62とによってボルト接合されている。
【0035】
図2及び図4に示すように、第一仲介部材30の一端(南側梁H3に接合される側の端部)には、接合プレート31が取り付けられている。接合プレート31は、板状の部材であり、水平方向に対して起立している。接合プレート31は、南側梁H3の延在方向に対して直交している。言い換えると、接合プレート31は、平面視において、南側梁H3から北側に向かって、南側梁H3の延在方向に対して垂直に延びている。すなわち、第一仲介部材30における南側梁H3に接合される側の端部は、水平方向に対して起立した板状であると共に、南側梁H3の延在方向に対して直交している。
【0036】
本実施形態において、接合プレート31は、基端支持プレート50における南側梁H3に沿って配置される第一部分50aに接合されている。接合プレート31と第一部分50aとの接合部分には、接合部分を補強する補強プレート32が取り付けられている。
【0037】
第二仲介部材40の一端(東側梁H4に接合される側の端部)には、接合プレート41が取り付けられている。接合プレート41は、板状の部材であり、水平方向に対して起立している。接合プレート41は、東側梁H4の延在方向に対して直交している。言い換えると、接合プレート41は、平面視において、東側梁H4から西側に向かって、東側梁H4の延在方向に対して垂直に延びている。すなわち、第二仲介部材40における東側梁H4に接合される側の端部は、水平方向に対して起立した板状であると共に、東側梁H4の延在方向に対して直交している。
【0038】
本実施形態において、接合プレート41は、基端支持プレート50における東側梁H4に沿って配置される第二部分50bに接合されている。接合プレート41と第二部分50bとの接合部分には、接合部分を補強する補強プレート42が取り付けられている。
【0039】
図2及び図3等に示すように、階段1は自立式であり、開口Rの周縁に配置された北側梁H1、西側梁H2、南側梁H3及び東側梁H4とは縁が切れている。具体的には階段1の降り口1a部分において、東側梁H4の西側(階段1側)の側面と階段1との間には水平方向において隙間S(図3参照)が設けられている。なお、階段1の降り口1a部分は、階段1と東側梁H4との隙間Sを埋めるために、東側梁H4の上面まで延びている。
【0040】
本実施形態は以上のように構成され、この建物Xの階段部構造は、平面視において、開口R内における階段1が設けられていない領域に内部片持ち床F2を備えているので、2階の空間の有効利用が可能となる。また、内部片持ち床F2を片持ち状に設けることで、内部片持ち床F2を支持する梁が階段1の昇降を妨げることが無い。また、内部片持ち床F2を支持する柱が不要であるため、1階の空間も有効利用が可能となる。
【0041】
内部片持ち床F2は、第一鼻先梁HB1、及び第二鼻先梁HB2によって支持されている。第一鼻先梁HB1の先端部及び第二鼻先梁HB2の先端部は、梁支持部2によって支持されている。このように、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2が梁支持部2によって支持されているので、内部片持ち床F2の強度を向上させることができる。
【0042】
また、梁支持部2において、片持ち部材20と、第一仲介部材30及び第二仲介部材40とは剛接合されている。すなわち、片持ち部材20の中間部から基端部の部位(第一仲介部材30及び第二仲介部材40が接続された部分から基端部プレート23と基端支持プレート50との接続部分までの部位)は、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2を支持する先端部側に対して控え梁として機能する。言い換えると、片持ち部材20の中間部から基端部の部位は、片持ち部材20の先端部が下方に下がることを抑制している。このように、内部片持ち床F2を強固に支持する架構を、内部片持ち床F2が設けられている領域内に梁支持部2を設けることで実現できる。従って、内部片持ち床F2以外の領域に、内部片持ち床F2を強固に支持するための控え梁等を設ける必要が無く、シンプルな架構を実現できる。
【0043】
片持ち部材20の先端部プレート22は、第一鼻先梁HB1のエンドプレートE1と第二鼻先梁HB2のエンドプレートE2とによって挟み込まれて、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2にボルト接合される。この場合、梁支持部2、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2を、南側梁H3及び東側梁H4にそれぞれ個別に順次取り付けた後、梁支持部2、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2をボルト接合することができる。このように、南側梁H3及び東側梁H4に各部材を順次取り付けることができるため、例えば第一鼻先梁HB1と第二鼻先梁HB2とが予め組み付けられた状態で、梁支持部2、南側梁H3及び東側梁H4に、第一鼻先梁HB1及び第二鼻先梁HB2を取り付けるよりも、取り付けの作業性が良い。
【0044】
第一仲介部材30の接合プレート31は、水平方向に対して起立し、南側梁H3に対して直交している。第二仲介部材40の接合プレート41は、水平方向に対して起立し、東側梁H4に対して直交している。例えば、建物Xの1階において、2階床F1と内部片持ち床F2との境界に沿って(南側梁H3及び/又は東側梁H4の直下に)間仕切壁を設けることがある。東側梁H4の直下に間仕切壁を設ける場合、具体的には、図5及び図6に示すように、例えば東側梁H4の両側面(東西の面)を石膏ボード71等の面材によって挟み込む。このように石膏ボード71等の面材を設ける場合であっても、石膏ボード71等の面材に縦方向の切り込み等を設けるだけで、石膏ボード71等の面材と接合プレート31及び接合プレート41との干渉を容易に抑制できる。特に、この構成は、アパートや二世帯住宅の戸界に用いる界壁として、開口Rの周縁の床梁の両面を石膏ボード71等で覆う必要がある場合に有効である。
【0045】
また、片持ち部材20の基端部プレート23についても、水平方向に対して起立しているため、石膏ボード71等の面材に縦方向の切り込み等を設けるだけで、面材と基端部プレート23との干渉を容易に抑制できる。
【0046】
階段1は、自立式であり、開口Rの周縁に沿って配置された東側梁H4とは縁が切られている。この場合には、階段1の降り口1aの直下に間仕切壁を設けるときに、間仕切壁を構成する石膏ボード71等の面材が階段1に干渉することを抑制できる。具体的には、図3に示すように、東側梁H4の階段1側の側面と階段1との隙間Sに、石膏ボード71等の面材を配置することができる。特に、この構成は、アパートや二世帯住宅の戸界に用いる界壁として、開口Rの周縁の床梁の両面を石膏ボード71等で覆う必要がある場合に有効である。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、梁支持部2の接合プレート31及び接合プレート41は、基端支持プレート50を介さずに、直接、それぞれ南側梁H3及び東側梁H4に接合されていてもよい。また、梁支持部2の基端部プレート23は、基端支持プレート50を介さずに、直接、南側梁H3及び東側梁H4の少なくともいずれかに接合されていてもよい。
【0048】
梁支持部2の構成は、上述した構成以外の構成であってもよい。例えば、図7に示す梁支持部2Aのように、基端支持プレート50Aの長さが短く、基端支持プレート50Aが補強プレート32A及び補強プレート42Aを介してそれぞれ接合プレート31及び接合プレート41に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…階段、2…梁支持部、11…外側桁、12…内側桁、20…片持ち部材、30…第一仲介部材、40…第二仲介部材、61…ボルト、E1,E2…エンドプレート、F1…2階床、F2…内部片持ち床、H3…南側梁(第一床梁)、H4…東側梁(第二床梁)、HB1…第一鼻先梁、HB2…第二鼻先梁、L1…北側辺(外側桁が沿う辺)、L2…西側辺(外側桁が沿う辺)、L3…南側辺(外側桁が沿わない辺)、L4…東側辺(外側桁が沿わない辺)、R…開口、X…建物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7