(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記移動抑制手段は、上記受皿および上記可動部材のうちの一方に設けられた凹部と、上記受皿および上記可動部材のうちの他方に設けられ、上記凹部に嵌合する凸部と、を含む、請求項5に記載のペット用排泄物処理具。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1〜
図3は、本発明に係るペット用排泄物処理具の一例を示している。本実施形態のペット用排泄物処理具A1は、ペットのトイレに敷き詰められる処理材を、排泄物に付着したものからそれ以外のものを篩い分けるためのものであり、スコップ本体1および可動部材2を備えて構成される。
【0020】
スコップ本体1は、把持部11および受皿12を有する。把持部11は、ユーザーが手で握るための部分であり、長状である。把持部11は、その横断面形状は上面側が凸状となるように湾曲する板状である。把持部11の基端部111は、平板状である。当該基端部111は、把持部11が延びる方向に対してほぼ垂直な面内方向に沿っている。このような構成によれば、保管時に基端部111を底面としてスコップ本体1(ペット用排泄物処理具A1)を自立させることができ、保管場所の省スペース化を図ることができる。
【0021】
受皿12は、把持部11の先端に繋がっており、掬い取った処理材を収容する部分である。受皿12は、上方が開口しており、上方に向かうほど拡がる形状とされている。受皿12の下部には、可動部材2が重合し、当該可動部材2を支持するための部分(支持部121)が設けられている。支持部121は、部分球形状である。支持部121の周縁には段部122が形成されており、支持部121は、段部122を境界として周囲よりも凹んでいる。
【0022】
支持部121の中央には、厚さ方向に貫通する軸孔124が形成されている。この軸孔124には、後述する可動部材2の回転軸21が嵌挿される。支持部に121には、複数の貫通孔123が形成されている。
図4に表れているように、本実施形態において、これら貫通孔123は、一定方向に延びる長状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。また、貫通孔123の長手方向(図中の方向y)は、把持部11から受皿12に向かう方向(図中の方向x)に対してほぼ直角である。なお、
図4において、貫通孔123の形成範囲にハッチングを施している。
【0023】
支持部121の所定部位には、上方に突出する凸部125が設けられている。凸部125の意義については後述する。
【0024】
受皿12の先端寄りには、複数の孔127が形成されている。これら孔127は、デザイン上の観点から設けられたものであり、そのサイズは比較的に小さい。
【0025】
可動部材2は、受皿12(支持部121)に重合しており、当該受皿12に対して相対移動する部材である。本実施形態において、
図6〜
図8に表れているように、可動部材2は、外形形状が円形であり、全体として部分球形状をなし、かつ略均一な厚みを有する板状である。可動部材2は、回転軸21、複数の貫通孔22、および複数の凹部23を有する。
【0026】
回転軸21は、可動部材2の中央下面から突出しており、受皿12の軸孔124に嵌挿される部分である。回転軸21の先端には径方向外方に突出する鍔状の係止片211が設けられている。係止片211の外径は軸孔124の内径より大であり、この係止片211を軸孔124に圧入することにより、係止片211は受皿12(支持部121)の下面に係止される。このようにして回転軸21が軸孔124に嵌挿された状態において、可動部材2は受皿12(支持部121)に重合しており、回転軸21の中心軸線O1周りに回転する。また、係止片211が受皿12(支持部121)の下面に係止されることにより、回転軸21の軸孔124からの抜け出しは防止され、その結果、可動部材2の受皿12からの離脱が防止される。係止片211による係止構造は、本発明でいう離脱防止手段を担う。
【0027】
複数の貫通孔22は、所定方向に延びる長状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。本実施形態において、これら貫通孔22は、
図4、
図6を参照すると理解できるように、受皿12に設けられた複数の貫通孔123と平面視における形状、サイズがほぼ同一である。なお、
図6において、貫通孔22の形成範囲にハッチングを施している。
【0028】
凹部23は、可動部材2の下面側の周縁付近に設けられている。凹部23は複数(本実施形態では8個)設けられており、可動部材2の周方向に沿って均等に配されている。そして、受皿12に対して可動部材2が所定の相対位置にあるとき、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合する。凹部23に凸部125が嵌合するとき、可動部材2の回転が抑制されており、所定の回転操作力を作用させることで可動部材2が回転する。このように、凹部23に凸部125が嵌合するとき、節度感をもって可動部材2の回転が抑制される。本実施形態では、45°回転させる毎に、凹部23に凸部125が嵌合し、可動部材2の回転が抑制される。凹部23および凸部125は、本発明でいう移動抑制手段を担う。
【0029】
図2に表れているように、本実施形態のペット用排泄物処理具A1においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、
図2、
図9〜
図12を参照して以下に説明するように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能となっている。なお、
図2、
図9〜
図12において、篩い孔3の領域にはハッチングを施している。
【0030】
図2に示した状態において、可動部材2の貫通孔22の長手方向は、受皿12の貫通孔123の長手方向(図中方向y)に一致しており、篩い孔3は、方向yに延びる長状である。その一方、可動部材2のうち貫通孔22の短手方向寸法を規定する、隣接する貫通孔22の間の枠部分24が、受皿12の貫通孔123の短手方向(図中方向x)における中央を横切って長手方向(図中方向y)に沿って延びる。これにより、篩い孔3の短手方向(図中方向x)の寸法は、貫通孔123,22それぞれの短手方向の寸法よりも小である。なお、
図2に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0031】
図9は、
図2に示した状態から可動部材2を時計回りに90°回転させた状態を示している。
図9に示した状態において、貫通孔22の長手方向(図中方向x)は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ直角である。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を図中方向xに沿って横切っている。これにより、篩い孔3については、図中方向xにおける寸法は貫通孔123の短手方向の寸法と同等であるが、図中方向yにおける寸法は、貫通孔123の長手方向の寸法よりも小さい。そして、篩い孔3の多くは、貫通孔123の短手方向寸法を一辺とするほぼ正方形状である。なお、
図9に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0032】
図10は、
図9に示した状態から可動部材2をさらに時計回りに45°回転させた状態を示している。
図10に示した状態において、貫通孔22の長手方向は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ45°の角度をなす。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を斜めに横切っている。これにより、複数の篩い孔3は様々なサイズのものが混在する。これら篩い孔3のうちサイズの大きいものについては、ほぼ菱形状となっている。当該菱形状の篩い孔3において長い方の対角線の寸法は、
図9に示した正方形状の篩い孔3の一辺の寸法よりも大きい。なお、
図10に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0033】
図11は、
図10に示した状態から可動部材2を時計回りにさらに45°回転(
図9に示した状態からは時計回りに90°回転)させた状態を示している。
図11に示した状態において、貫通孔22の長手方向は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に一致しており、篩い孔3は、方向yに延びる長状である。そして、貫通孔22は貫通孔123とほぼ完全に重なる状態にあり、篩い孔3は、貫通孔123,22それぞれと同等のサイズを有する。なお、
図11に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0034】
図12は、
図11に示した状態から可動部材2を時計回りにさらに90°回転させた状態を示している。
図12に示した状態において、貫通孔22の長手方向(図中方向x)は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ直角である。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を図中方向xに沿って横切っている。これにより、篩い孔3については、図中方向xにおける寸法は貫通孔123の短手方向の寸法と同等であるが、図中方向yにおける寸法は、貫通孔123の長手方向の寸法よりも小さい。そして、篩い孔3の多くは、貫通孔123の短手方向寸法を一辺とするほぼ正方形状である。なお、
図12に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0035】
次に、ペット用排泄物処理具A1の作用について説明する。
【0036】
本実施形態のペット用排泄物処理具A1は、たとえば猫用のトイレに敷き詰められ猫砂について、排泄物が付着したものとそれ以外のものとに篩い分けるのに使用される。たとえば、猫砂として水分を吸収すると凝集する物質からなるものを使用している場合、ペットの尿等の水分が付着すると猫砂が凝集して、猫砂の粒よりも大きな塊(以下、「塊状体」という。)となる。ペットがトイレで排泄した後に、ペット用排泄物処理具A1を用いて塊状体を含む猫砂を掬い取り、スコップ本体1を振り動かすことにより、塊状体以外の猫砂を篩い孔3から篩い落とし、再利用することができる。
【0037】
ペット用排泄物処理具A1においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、
図2、
図9〜
図12を参照して上述したように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能である。このような構成によれば、異なる猫砂、たとえば使用する猫砂の種類を変更する場合において、変更後の猫砂のサイズに応じた篩い孔3のサイズとなるように可動部材2の相対位置を変更すれば、変更後の猫砂についても篩い分けることができる。したがって、ペット用排泄物処理具A1によれば、サイズの異なる複数種の猫砂(処理材)について兼用することができる。
【0038】
可動部材2は受皿12に対して相対回転可能である。また、受皿12に設けられた貫通孔123は一定方向に長状となるように複数配列されており、可動部材2に設けられた貫通孔22は所定方向に長状となるように複数配列されている。このような構成によれば、上記の
図2、
図9〜
図12を参照した説明からも理解されるように、篩い孔3の形状および大きさを種々変更することが可能である。
【0039】
猫砂としては、たとえば円柱棒状のものや球状のものがあり、その大きさも様々である。球状の猫砂の場合、たとえば、直径が比較的に大きいものについては、
図9、
図12に示したように篩い孔3が正方形状となる状態で使用し、直径が比較的に小さいものについては、
図2に示したように篩い孔3が相対的に幅狭の長孔となる状態で使用することができる。また、円柱棒状の猫砂の場合、直径が比較的に大きいものについては、
図11に示したように篩い孔3が相対的に幅広の長孔となる状態や
図10に示したように篩い孔3が比較的に大きな菱形状を含む状態で使用し、直径が比較的に小さいものについては、
図2に示したように篩い孔3が相対的に幅狭の長孔となる状態で使用することができる。さらに、直径が比較的に大きい円柱棒状の猫砂であっても、たとえばその長さの長短に応じて、
図11に示したように篩い孔3が相対的に幅広の長孔となる状態と、
図10に示したように篩い孔3が比較的に大きな菱形状を含む状態と、を使い分けることができる。このように篩い孔3の形状および大きさを種々変更可能な本実施形態の構成によれば、粒の大きさや形状が異なる種々の猫砂を篩い分けることが可能である。
【0040】
貫通孔123の長手方向(
図2の方向y)は、把持部11から受皿12に向かう方向(同図の方向x)に対してほぼ直角である。スコップ本体1を振り動かす際、把持部11から受皿12に向かう方向(図中方向x)に対して横方向(図中方向y)に振り易い。上記構成によれば、スコップ本体1を振り動かす方向と貫通孔123の長手方向とがほぼ一致するので、貫通孔123により構成される長状の篩い孔3から猫砂が篩い落とされ易くなり、使い勝手がよい。
【0041】
受皿12に対して可動部材2が所定の相対位置をとるとき、凹部23への凸部125の嵌合により、可動部材2の回転が抑制される。このような構成によれば、可動部材2が所定の相対位置をとるときに設定された篩い孔3のサイズが維持される。したがって、ペット用排泄物処理具A1の使用時において、受皿12に対する可動部材2の意図しない相対移動により篩い孔3のサイズが変わるといった不都合を回避することができる。
【0042】
図13〜
図15は、本発明に係るペット用排泄物処理具の他の例を示している。なお、
図13以降の図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0043】
本実施形態のペット用排泄物処理具A2は、可動部材2が受皿12に対してスライド移動可能に構成されており、かかる点において上記のペット用排泄物処理具A1と大きく異なっている。
【0044】
本実施形態においては、受皿12のうち可動部材2が重合し、当該可動部材2を支持するための部分(支持部121)は、平面状とされている。支持部121の周縁には段部122が形成されており、支持部121は、段部122を境界として周囲よりも凹んでいる。支持部121には、複数の貫通孔123が形成されている。
図16に表れているように、これら貫通孔123は、それぞれが略矩形状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。受皿12の適所には、複数の係止片126が設けられている。係止片126は、平面視においての支持部121の周縁付近と重なっている。
【0045】
可動部材2は、受皿12(支持部121)に重合しており、当該受皿12に対して相対移動する部材である。本実施形態において、
図15、
図17に表れているように、可動部材2は、外形形状が略矩形状であり、かつ略均一な厚みを有する平板状である。可動部材2は、複数の貫通孔22を有する。
【0046】
複数の貫通孔22は、それぞれが略矩形状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。本実施形態において、
図16、
図17を参照すると理解できるように、各貫通孔22のサイズおよび貫通孔22の配列ピッチは、受皿12の支持部121に設けられた各貫通孔123のサイズおよび貫通孔123の配列ピッチと同一である。
【0047】
図13に示すように、可動部材2が受皿12(支持部121)に重合した状態において、可動部材2は、段部122にガイドされつつ矢印Nの方向に沿ってスライド移動可能である。また、
図13、
図15から理解できるように、可動部材2の幅方向の両端は部分的に係止片126に覆われており、可動部材2の受皿12からの離脱が防止される。係止片126による係止構造は、本発明でいう離脱防止手段を担う。なお、可動部材2の受皿12への装着は、可動部材2を、その幅方向寸法が小さくなるように撓ませることにより行う。
【0048】
図13に表れているように、本実施形態のペット用排泄物処理具A2においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、
図13、
図18を参照して以下に説明するように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能となっている。
【0049】
図13に示した状態において、可動部材2の貫通孔22は、受皿12の貫通孔123に対して半ピッチずれた位置にある。これにより、隣接する貫通孔22の間の枠部分24が、受皿12の貫通孔123の中央を横切っている。これにより、篩い孔3の寸法(図中矢印Nの方向の寸法)は、貫通孔123,22それぞれの矢印Nの方向の寸法よりも小である。
【0050】
図18は、
図13に示した状態から可動部材2を矢印N1の方向にスライド移動させた状態を示している。
図18に示した状態において、貫通孔22は貫通孔123とほぼ完全に重なる状態にあり、篩い孔3は、貫通123,22それぞれと同等のサイズを有する。
【0051】
ペット用排泄物処理具A2においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、
図13、
図18を参照して上述したように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能である。このような構成によれば、異なる猫砂、たとえば使用する猫砂の種類を変更する場合において、変更後の猫砂のサイズに応じた篩い孔3のサイズとなるように可動部材2の相対位置を変更すれば、変更後の猫砂についても篩い分けることができる。したがって、ペット用排泄物処理具A2によれば、サイズの異なる複数種の猫砂(処理材)について兼用することができる。
【0052】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るペット用排泄物処理具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。