特許第6543497号(P6543497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543497
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ペット用排泄物処理具
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   A01K23/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-75480(P2015-75480)
(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公開番号】特開2016-192945(P2016-192945A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133928
【氏名又は名称】株式会社テラモト
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】安達 雅之
(72)【発明者】
【氏名】岩井 孝夫
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−242656(JP,A)
【文献】 特開2013−129451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0173935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 11/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットのトイレに敷き詰められる処理材を篩い分けるためのペット用排泄物処理具であって、
受皿を有するスコップ本体と、上記受皿に重合し、当該受皿に対して相対移動可能である可動部材と、を備え、
上記可動部材は、外形形状が円形であるとともに、上記受皿に対して所定の軸線周りに相対回転可能であり、
上記可動部材は部分球形状であり、上記受皿のうち少なくとも上記可動部材と重合する部分は部分球形状であり、
上記受皿には第1の貫通孔が形成され、かつ上記可動部材には第2の貫通孔が形成されており、上記第1および第2の貫通孔が連通する領域によって篩い孔が構成されており、
上記受皿に対する上記可動部材の相対位置を変更することにより、上記篩い孔のサイズが変更可能である、ことを特徴とする、ペット用排泄物処理具。
【請求項2】
上記第1の貫通孔は、一定方向に長状となるように複数配列されており、
上記第2の貫通孔は、所定方向に長状となるように複数配列されている、請求項に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項3】
上記スコップ本体は、上記受皿に繋がる把持部を有し、
上記把持部から上記受皿に向かう方向は、上記第1の貫通孔の長手方向に対してほぼ直角である、請求項に記載のペット用排泄物処理具。
【請求項4】
上記可動部材が上記受皿から離脱するのを防止する離脱防止手段を備える、請求項1ないしのいずれかに記載のペット用排泄物処理具。
【請求項5】
上記受皿に対して上記可動部材が所定の相対位置をとるときに、節度感をもって上記可動部材の移動を抑制する、移動抑制手段を備える、請求項1ないしのいずれかに記載のペット用排泄物処理具。
【請求項6】
上記移動抑制手段は、上記受皿および上記可動部材のうちの一方に設けられた凹部と、上記受皿および上記可動部材のうちの他方に設けられ、上記凹部に嵌合する凸部と、を含む、請求項に記載のペット用排泄物処理具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの排泄物が付着した処理材とそれ以外の余分な処理材とを分離して廃棄するためのペット用排泄物処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
室内において飼育される猫などのペット用トイレは、上方が開放した容器からなっている。この容器の底面には、たとえば、猫砂と呼称される粒状物質の処理材が敷き詰められている。処理材として、ペットの排泄物である尿や糞の水分を吸収して凝集する(固まる)物質で作られているものや、ペットの尿を吸収せずに通過させ、ペットの糞に付着するものなどがある。
【0003】
ペット用トイレを掃除するときには、ペットの排泄物をペットの排泄物処理具(たとえば、特許文献1を参照)であるスコップで掬い取り、スコップを振り動かして、排泄物に付着した、あるいは排泄物の吸収により凝集した、以外の汚れていない余分な処理材をスコップの受皿に形成された篩い孔から篩い落とし、スコップの中に残った、排泄物に付着し、あるいは凝集した処理材だけを廃棄している。そして、廃棄によりペット用トイレから処理材が減少した分だけ、新たに補充している。特許文献1に記載されたペット用排泄物処理具においては、受皿の偏った領域にのみ篩い孔が形成されている。このため、受皿に掬い取った処理材のうち、排泄物に付着していない余分な処理材を篩い孔から篩い落とし、その後、排泄物に付着した処理材を篩い孔が形成されていない領域に速やかに移動させ、排泄物とともに使用済みの処理材を廃棄することができる。
【0004】
ところで、ペットトイレ用の処理材は、上述のような性質の違い、あるいはメーカーが相違すること等により、粒の大きさや形状が商品ごとに異なっている。ユーザーは、販売されている様々な商品(処理材)の中から好きなものを選択して使用するが、他の処理材も試してみたいといったニーズがある。使用する処理材を変更する場合、特許文献1に記載されたペット用排泄物処理具では、変更の都度、変更後の処理材に応じたペット用排泄物処理具が別途必要となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−141293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、ペットのトイレに敷き詰められる処理材を篩い分けるためのペット用排泄物処理具において、サイズの異なる複数種の処理材について兼用可能なペット用排泄物処理具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明によって提供されるペット用排泄物処理具は、ペットのトイレに敷き詰められる処理材を篩い分けるためのペット用排泄物処理具であって、受皿を有するスコップ本体と、上記受皿に重合し、当該受皿に対して相対移動可能である可動部材と、を備え、上記受皿には第1の貫通孔が形成され、かつ上記可動部材には第2の貫通孔が形成されており、上記第1および第2の貫通孔が連通する領域によって篩い孔が構成されており、上記受皿に対する上記可動部材の相対位置を変更することにより、上記篩い孔のサイズが変更可能である、ことを特徴としている。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記可動部材は、外形形状が円形であるとともに、上記受皿に対して所定の軸線周りに相対回転可能である。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記可動部材は部分球形状であり、上記受皿のうち少なくとも上記可動部材と重合する部分は部分球形状である。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記第1の貫通孔は、一定方向に長状となるように複数配列されており、上記第2の貫通孔は、所定方向に長状となるように複数配列されている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記スコップ本体は、上記受皿に繋がる把持部を有し、上記把持部から上記受皿に向かう方向は、上記第1の貫通孔の長手方向に対してほぼ直角である。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記可動部材が上記受皿から離脱するのを防止する離脱防止手段を備える。
【0014】
好ましい実施の形態においては、上記受皿に対して上記可動部材が所定の相対位置をとるときに、節度感をもって上記可動部材の移動を抑制する、移動抑制手段を備える。
【0015】
好ましい実施の形態においては、上記移動抑制手段は、上記受皿および上記可動部材のうちの一方に設けられた凹部と、上記受皿および上記可動部材のうちの他方に設けられ、上記凹部に嵌合する凸部と、を含む。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るペット用排泄物処理具の一例を示す全体斜視図である。
図2図1に示すペット用排泄物処理具の平面図である。
図3図2のIII−III線に沿う断面図である。
図4】スコップ本体の平面図である。
図5図4のV−V線に沿う断面図である。
図6】可動部材の平面図である。
図7】可動部材の側面図である。
図8図6のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図9図1に示すペット用排泄物処理具の使用状態を説明するための要部平面図である。
図10図1に示すペット用排泄物処理具の使用状態を説明するための要部平面図である。
図11図1に示すペット用排泄物処理具の使用状態を説明するための要部平面図である。
図12図1に示すペット用排泄物処理具の使用状態を説明するための要部平面図である。
図13】本発明に係るペット用排泄物処理具の他の例を示す平面図である。
図14図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。
図15図13のXV−XV線に沿う断面図である。
図16】スコップ本体の平面図である。
図17】可動部材の平面図である。
図18図13に示すペット用排泄物処理具の使用状態を説明するための要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1図3は、本発明に係るペット用排泄物処理具の一例を示している。本実施形態のペット用排泄物処理具A1は、ペットのトイレに敷き詰められる処理材を、排泄物に付着したものからそれ以外のものを篩い分けるためのものであり、スコップ本体1および可動部材2を備えて構成される。
【0020】
スコップ本体1は、把持部11および受皿12を有する。把持部11は、ユーザーが手で握るための部分であり、長状である。把持部11は、その横断面形状は上面側が凸状となるように湾曲する板状である。把持部11の基端部111は、平板状である。当該基端部111は、把持部11が延びる方向に対してほぼ垂直な面内方向に沿っている。このような構成によれば、保管時に基端部111を底面としてスコップ本体1(ペット用排泄物処理具A1)を自立させることができ、保管場所の省スペース化を図ることができる。
【0021】
受皿12は、把持部11の先端に繋がっており、掬い取った処理材を収容する部分である。受皿12は、上方が開口しており、上方に向かうほど拡がる形状とされている。受皿12の下部には、可動部材2が重合し、当該可動部材2を支持するための部分(支持部121)が設けられている。支持部121は、部分球形状である。支持部121の周縁には段部122が形成されており、支持部121は、段部122を境界として周囲よりも凹んでいる。
【0022】
支持部121の中央には、厚さ方向に貫通する軸孔124が形成されている。この軸孔124には、後述する可動部材2の回転軸21が嵌挿される。支持部に121には、複数の貫通孔123が形成されている。図4に表れているように、本実施形態において、これら貫通孔123は、一定方向に延びる長状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。また、貫通孔123の長手方向(図中の方向y)は、把持部11から受皿12に向かう方向(図中の方向x)に対してほぼ直角である。なお、図4において、貫通孔123の形成範囲にハッチングを施している。
【0023】
支持部121の所定部位には、上方に突出する凸部125が設けられている。凸部125の意義については後述する。
【0024】
受皿12の先端寄りには、複数の孔127が形成されている。これら孔127は、デザイン上の観点から設けられたものであり、そのサイズは比較的に小さい。
【0025】
可動部材2は、受皿12(支持部121)に重合しており、当該受皿12に対して相対移動する部材である。本実施形態において、図6図8に表れているように、可動部材2は、外形形状が円形であり、全体として部分球形状をなし、かつ略均一な厚みを有する板状である。可動部材2は、回転軸21、複数の貫通孔22、および複数の凹部23を有する。
【0026】
回転軸21は、可動部材2の中央下面から突出しており、受皿12の軸孔124に嵌挿される部分である。回転軸21の先端には径方向外方に突出する鍔状の係止片211が設けられている。係止片211の外径は軸孔124の内径より大であり、この係止片211を軸孔124に圧入することにより、係止片211は受皿12(支持部121)の下面に係止される。このようにして回転軸21が軸孔124に嵌挿された状態において、可動部材2は受皿12(支持部121)に重合しており、回転軸21の中心軸線O1周りに回転する。また、係止片211が受皿12(支持部121)の下面に係止されることにより、回転軸21の軸孔124からの抜け出しは防止され、その結果、可動部材2の受皿12からの離脱が防止される。係止片211による係止構造は、本発明でいう離脱防止手段を担う。
【0027】
複数の貫通孔22は、所定方向に延びる長状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。本実施形態において、これら貫通孔22は、図4図6を参照すると理解できるように、受皿12に設けられた複数の貫通孔123と平面視における形状、サイズがほぼ同一である。なお、図6において、貫通孔22の形成範囲にハッチングを施している。
【0028】
凹部23は、可動部材2の下面側の周縁付近に設けられている。凹部23は複数(本実施形態では8個)設けられており、可動部材2の周方向に沿って均等に配されている。そして、受皿12に対して可動部材2が所定の相対位置にあるとき、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合する。凹部23に凸部125が嵌合するとき、可動部材2の回転が抑制されており、所定の回転操作力を作用させることで可動部材2が回転する。このように、凹部23に凸部125が嵌合するとき、節度感をもって可動部材2の回転が抑制される。本実施形態では、45°回転させる毎に、凹部23に凸部125が嵌合し、可動部材2の回転が抑制される。凹部23および凸部125は、本発明でいう移動抑制手段を担う。
【0029】
図2に表れているように、本実施形態のペット用排泄物処理具A1においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、図2図9図12を参照して以下に説明するように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能となっている。なお、図2図9図12において、篩い孔3の領域にはハッチングを施している。
【0030】
図2に示した状態において、可動部材2の貫通孔22の長手方向は、受皿12の貫通孔123の長手方向(図中方向y)に一致しており、篩い孔3は、方向yに延びる長状である。その一方、可動部材2のうち貫通孔22の短手方向寸法を規定する、隣接する貫通孔22の間の枠部分24が、受皿12の貫通孔123の短手方向(図中方向x)における中央を横切って長手方向(図中方向y)に沿って延びる。これにより、篩い孔3の短手方向(図中方向x)の寸法は、貫通孔123,22それぞれの短手方向の寸法よりも小である。なお、図2に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0031】
図9は、図2に示した状態から可動部材2を時計回りに90°回転させた状態を示している。図9に示した状態において、貫通孔22の長手方向(図中方向x)は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ直角である。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を図中方向xに沿って横切っている。これにより、篩い孔3については、図中方向xにおける寸法は貫通孔123の短手方向の寸法と同等であるが、図中方向yにおける寸法は、貫通孔123の長手方向の寸法よりも小さい。そして、篩い孔3の多くは、貫通孔123の短手方向寸法を一辺とするほぼ正方形状である。なお、図9に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0032】
図10は、図9に示した状態から可動部材2をさらに時計回りに45°回転させた状態を示している。図10に示した状態において、貫通孔22の長手方向は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ45°の角度をなす。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を斜めに横切っている。これにより、複数の篩い孔3は様々なサイズのものが混在する。これら篩い孔3のうちサイズの大きいものについては、ほぼ菱形状となっている。当該菱形状の篩い孔3において長い方の対角線の寸法は、図9に示した正方形状の篩い孔3の一辺の寸法よりも大きい。なお、図10に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0033】
図11は、図10に示した状態から可動部材2を時計回りにさらに45°回転(図9に示した状態からは時計回りに90°回転)させた状態を示している。図11に示した状態において、貫通孔22の長手方向は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に一致しており、篩い孔3は、方向yに延びる長状である。そして、貫通孔22は貫通孔123とほぼ完全に重なる状態にあり、篩い孔3は、貫通孔123,22それぞれと同等のサイズを有する。なお、図11に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0034】
図12は、図11に示した状態から可動部材2を時計回りにさらに90°回転させた状態を示している。図12に示した状態において、貫通孔22の長手方向(図中方向x)は貫通孔123の長手方向(図中方向y)に対してほぼ直角である。そして、隣接する貫通孔22間の枠部分24が、貫通孔123を図中方向xに沿って横切っている。これにより、篩い孔3については、図中方向xにおける寸法は貫通孔123の短手方向の寸法と同等であるが、図中方向yにおける寸法は、貫通孔123の長手方向の寸法よりも小さい。そして、篩い孔3の多くは、貫通孔123の短手方向寸法を一辺とするほぼ正方形状である。なお、図12に示した状態において、受皿12の凸部125が可動部材2の凹部23に嵌合しており、可動部材2の回転が抑制される。
【0035】
次に、ペット用排泄物処理具A1の作用について説明する。
【0036】
本実施形態のペット用排泄物処理具A1は、たとえば猫用のトイレに敷き詰められ猫砂について、排泄物が付着したものとそれ以外のものとに篩い分けるのに使用される。たとえば、猫砂として水分を吸収すると凝集する物質からなるものを使用している場合、ペットの尿等の水分が付着すると猫砂が凝集して、猫砂の粒よりも大きな塊(以下、「塊状体」という。)となる。ペットがトイレで排泄した後に、ペット用排泄物処理具A1を用いて塊状体を含む猫砂を掬い取り、スコップ本体1を振り動かすことにより、塊状体以外の猫砂を篩い孔3から篩い落とし、再利用することができる。
【0037】
ペット用排泄物処理具A1においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、図2図9図12を参照して上述したように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能である。このような構成によれば、異なる猫砂、たとえば使用する猫砂の種類を変更する場合において、変更後の猫砂のサイズに応じた篩い孔3のサイズとなるように可動部材2の相対位置を変更すれば、変更後の猫砂についても篩い分けることができる。したがって、ペット用排泄物処理具A1によれば、サイズの異なる複数種の猫砂(処理材)について兼用することができる。
【0038】
可動部材2は受皿12に対して相対回転可能である。また、受皿12に設けられた貫通孔123は一定方向に長状となるように複数配列されており、可動部材2に設けられた貫通孔22は所定方向に長状となるように複数配列されている。このような構成によれば、上記の図2図9図12を参照した説明からも理解されるように、篩い孔3の形状および大きさを種々変更することが可能である。
【0039】
猫砂としては、たとえば円柱棒状のものや球状のものがあり、その大きさも様々である。球状の猫砂の場合、たとえば、直径が比較的に大きいものについては、図9図12に示したように篩い孔3が正方形状となる状態で使用し、直径が比較的に小さいものについては、図2に示したように篩い孔3が相対的に幅狭の長孔となる状態で使用することができる。また、円柱棒状の猫砂の場合、直径が比較的に大きいものについては、図11に示したように篩い孔3が相対的に幅広の長孔となる状態や図10に示したように篩い孔3が比較的に大きな菱形状を含む状態で使用し、直径が比較的に小さいものについては、図2に示したように篩い孔3が相対的に幅狭の長孔となる状態で使用することができる。さらに、直径が比較的に大きい円柱棒状の猫砂であっても、たとえばその長さの長短に応じて、図11に示したように篩い孔3が相対的に幅広の長孔となる状態と、図10に示したように篩い孔3が比較的に大きな菱形状を含む状態と、を使い分けることができる。このように篩い孔3の形状および大きさを種々変更可能な本実施形態の構成によれば、粒の大きさや形状が異なる種々の猫砂を篩い分けることが可能である。
【0040】
貫通孔123の長手方向(図2の方向y)は、把持部11から受皿12に向かう方向(同図の方向x)に対してほぼ直角である。スコップ本体1を振り動かす際、把持部11から受皿12に向かう方向(図中方向x)に対して横方向(図中方向y)に振り易い。上記構成によれば、スコップ本体1を振り動かす方向と貫通孔123の長手方向とがほぼ一致するので、貫通孔123により構成される長状の篩い孔3から猫砂が篩い落とされ易くなり、使い勝手がよい。
【0041】
受皿12に対して可動部材2が所定の相対位置をとるとき、凹部23への凸部125の嵌合により、可動部材2の回転が抑制される。このような構成によれば、可動部材2が所定の相対位置をとるときに設定された篩い孔3のサイズが維持される。したがって、ペット用排泄物処理具A1の使用時において、受皿12に対する可動部材2の意図しない相対移動により篩い孔3のサイズが変わるといった不都合を回避することができる。
【0042】
図13図15は、本発明に係るペット用排泄物処理具の他の例を示している。なお、図13以降の図においては、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0043】
本実施形態のペット用排泄物処理具A2は、可動部材2が受皿12に対してスライド移動可能に構成されており、かかる点において上記のペット用排泄物処理具A1と大きく異なっている。
【0044】
本実施形態においては、受皿12のうち可動部材2が重合し、当該可動部材2を支持するための部分(支持部121)は、平面状とされている。支持部121の周縁には段部122が形成されており、支持部121は、段部122を境界として周囲よりも凹んでいる。支持部121には、複数の貫通孔123が形成されている。図16に表れているように、これら貫通孔123は、それぞれが略矩形状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。受皿12の適所には、複数の係止片126が設けられている。係止片126は、平面視においての支持部121の周縁付近と重なっている。
【0045】
可動部材2は、受皿12(支持部121)に重合しており、当該受皿12に対して相対移動する部材である。本実施形態において、図15図17に表れているように、可動部材2は、外形形状が略矩形状であり、かつ略均一な厚みを有する平板状である。可動部材2は、複数の貫通孔22を有する。
【0046】
複数の貫通孔22は、それぞれが略矩形状とされており、所定間隔を隔てて配列されている。本実施形態において、図16図17を参照すると理解できるように、各貫通孔22のサイズおよび貫通孔22の配列ピッチは、受皿12の支持部121に設けられた各貫通孔123のサイズおよび貫通孔123の配列ピッチと同一である。
【0047】
図13に示すように、可動部材2が受皿12(支持部121)に重合した状態において、可動部材2は、段部122にガイドされつつ矢印Nの方向に沿ってスライド移動可能である。また、図13図15から理解できるように、可動部材2の幅方向の両端は部分的に係止片126に覆われており、可動部材2の受皿12からの離脱が防止される。係止片126による係止構造は、本発明でいう離脱防止手段を担う。なお、可動部材2の受皿12への装着は、可動部材2を、その幅方向寸法が小さくなるように撓ませることにより行う。
【0048】
図13に表れているように、本実施形態のペット用排泄物処理具A2においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、図13図18を参照して以下に説明するように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能となっている。
【0049】
図13に示した状態において、可動部材2の貫通孔22は、受皿12の貫通孔123に対して半ピッチずれた位置にある。これにより、隣接する貫通孔22の間の枠部分24が、受皿12の貫通孔123の中央を横切っている。これにより、篩い孔3の寸法(図中矢印Nの方向の寸法)は、貫通孔123,22それぞれの矢印Nの方向の寸法よりも小である。
【0050】
図18は、図13に示した状態から可動部材2を矢印N1の方向にスライド移動させた状態を示している。図18に示した状態において、貫通孔22は貫通孔123とほぼ完全に重なる状態にあり、篩い孔3は、貫通123,22それぞれと同等のサイズを有する。
【0051】
ペット用排泄物処理具A2においては、受皿12における複数の貫通孔123、および可動部材2における複数の貫通孔22が連通する領域によって、複数の篩い孔3が構成されている。そして、図13図18を参照して上述したように、受皿12に対する可動部材2の相対位置を変更することにより、篩い孔3のサイズが変更可能である。このような構成によれば、異なる猫砂、たとえば使用する猫砂の種類を変更する場合において、変更後の猫砂のサイズに応じた篩い孔3のサイズとなるように可動部材2の相対位置を変更すれば、変更後の猫砂についても篩い分けることができる。したがって、ペット用排泄物処理具A2によれば、サイズの異なる複数種の猫砂(処理材)について兼用することができる。
【0052】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るペット用排泄物処理具の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0053】
A1,A2 ペット用排泄物処理具
1 スコップ本体
11 把持部
111 基端部
12 受皿
121 支持部
122 段部
123 貫通孔(第1の貫通孔)
124 軸孔
125 凸部(移動抑制手段)
126 係止片(離脱防止手段)
127 孔
2 可動部材
21 回転軸
211 係止片(離脱防止手段)
22 貫通孔(第2の貫通孔)
23 凹部(移動抑制手段)
24 枠部分
3 篩い孔
図1
図2
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