特許第6543522号(P6543522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543522
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20190628BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G09G3/20 623V
   G09G3/20 612F
   G09G3/20 621E
   G09G3/20 622K
   G09G3/20 642B
   G09G3/20 680D
   G09G3/36
【請求項の数】19
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-135273(P2015-135273)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-16059(P2017-16059A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 康彦
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−26138(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157728(WO,A1)
【文献】 特開2003−216127(JP,A)
【文献】 特開2008−292926(JP,A)
【文献】 特開2014−71133(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0187321(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 − 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
マスタ基板を含み前記データ信号を生成するための階調電圧を前記信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、
各々の前記回路基板に備えられた電源回路と、
各々の前記回路基板に備えられ前記電源回路と接続された階調電圧生成回路と、
各々の前記回路基板同士を互いに接続する少なくとも1つの接続配線と、を備え、
全ての前記階調電圧生成回路が前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路から供給される基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記回路基板は、
前記接続配線に接続された回路上に配置された第1ノードと、
前記電源回路と前記第1ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記第1ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路と、
前記出力スイッチング回路と前記接続配線とを接続する回路上に配置され前記階調電圧生成回路に接続された第2ノードと、
前記第1ノードと前記階調電圧生成回路とに接続され互いに並列に接続した少なくとも1つの入力スイッチング回路と、
前記入力スイッチング回路に直列に接続され前記接続配線の配線抵抗と同等の抵抗値を有する入力側抵抗器と、を備え、
各々の前記電源回路の出力が安定してから、前記マスタ基板に備えられた前記出力スイッチング回路がオン状態となり前記マスタ基板以外の前記回路基板に備えられた前記出力スイッチング回路がオフ状態となり、
前記マスタ基板中の前記電源回路から出力された前記基準電圧が前記マスタ基板中の前記出力スイッチング回路及び前記接続配線を通して全ての前記階調電圧生成回路へ供給され、
前記マスタ基板に備えられた前記出力スイッチング回路がオン状態となり前記マスタ基板以外の前記回路基板に備えられた前記出力スイッチング回路がオフ状態となり、
次いで、各々の前記回路基板において1つの前記入力スイッチング回路がオン状態となり、
前記基準電圧がオン状態である前記入力スイッチング回路を通して各々の前記階調電圧生成回路へ供給され、
各々の前記階調電圧生成回路へ供給される供給電圧が前記入力側抵抗器における電圧降下によって等しくなる、表示装置。
【請求項2】
各々の前記接続配線は、第1系統接続配線と第2系統接続配線とを備え、
前記電源回路の前記基準電圧は前記出力スイッチング回路を通ったのち、
出力側抵抗器を介して前記第1系統接続配線に接続された回路と、前記第2系統接続配線に接続された回路とに分岐し、
前記第1系統接続配線又は前記第2系統接続配線のどちらか一方に接続された前記入力スイッチング回路を通して前記階調電圧生成回路に供給される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
マスタ基板を含み前記データ信号を生成するための階調電圧を前記信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、
各々の前記回路基板に備えられた電源回路と、
各々の前記回路基板に備えられ前記電源回路と接続された階調電圧生成回路と、
各々の前記回路基板同士を互いに接続する少なくとも1つの接続配線と、を備え、
全ての前記階調電圧生成回路が前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路から供給される基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記回路基板は、
前記接続配線に接続された第1ノードと、
前記第1ノードと前記階調電圧生成回路とに接続された入力スイッチング回路と、
前記入力スイッチング回路に直列に接続され前記接続配線の配線抵抗と同等の抵抗値を有する入力側抵抗器と、を備え、
各々の前記階調電圧生成回路へ供給される供給電圧が前記入力側抵抗器における電圧降下によって等しくなる、表示装置。
【請求項4】
各々の前記回路基板は、前記電源回路と前記第1ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記第1ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路を備え、
各々の前記接続配線は、第1系統接続配線と第2系統接続配線とを備え、
前記電源回路の前記基準電圧は前記出力スイッチング回路を通ったのち、
出力側抵抗器を介して前記第1系統接続配線に接続された回路と、前記第2系統接続配線に接続された回路とに分岐し、
前記第1系統接続配線又は前記第2系統接続配線のどちらか一方に接続された前記入力スイッチング回路を通して前記階調電圧生成回路に供給される、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
マスタ基板を含み前記データ信号を生成するための階調電圧を前記信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、
各々の前記回路基板に備えられた電源回路と、
各々の前記回路基板に備えられ前記電源回路と接続された階調電圧生成回路と、
各々の前記回路基板同士を互いに接続する少なくとも1つの接続配線と、を備え、
全ての前記階調電圧生成回路が前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路から供給される基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記回路基板は、
前記接続配線に接続された回路上に配置された第1ノードと、
前記電源回路と前記第1ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記第1ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路と、
前記出力スイッチング回路に並列に接続され前記電源回路から前記階調電圧生成回路に向けて順方向に接続されたダイオードと、を備えている、表示装置。
【請求項6】
前記ダイオードの閾値電圧をVFとし、前記電源回路の誤差電圧を±dVとしたとき、VF>2dVとなる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
マスタ基板を含み前記データ信号を生成するための階調電圧を前記信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、
各々の前記回路基板に備えられた電源回路と、
各々の前記回路基板に備えられ前記電源回路と接続された階調電圧生成回路と、
各々の前記回路基板同士を互いに接続する少なくとも1つの接続配線と、を備え、
全ての前記階調電圧生成回路が前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路から供給される基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記回路基板は、前記接続配線に接続された回路上に配置された第1ノードと、
前記電源回路と前記第1ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記第1ノードに向けて順方向に接続されたダイオードと、
前記ダイオードと前記接続配線とを接続する回路上に配置され前記階調電圧生成回路に接続された第2ノードと、を備え、
前記基準電圧が前記マスタ基板中の前記ダイオードを通して供給される、表示装置。
【請求項8】
各々の前記接続配線及び前記回路基板は交互に接続されており、前記マスタ基板には2つの前記接続配線が接続している、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
全ての前記回路基板は、同じ回路構成を備えている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、
各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、
各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、
各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、
前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、
前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記信号線ドライバは、
前記電源回路と前記ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路と、
前記出力スイッチング回路と前記一端とに接続され互いに並列に接続された少なくとも1つの入力スイッチング回路と、
前記入力スイッチング回路に直列に接続され前記接続配線と同等の抵抗値を有する抵抗器と、を備え、
各々の前記電源回路の出力が安定してから、前記マスタドライバに備えられた前記出力スイッチング回路がオフ状態からオン状態となり、
前記マスタドライバの前記一端に前記出力スイッチング回路を通して供給される前記基準電圧が前記接続配線を通して全ての前記一端へ供給され、
前記マスタドライバに備えられた前記出力スイッチング回路がオン状態となった後、
次いで、各々の前記信号線ドライバにおいて1つの前記入力スイッチング回路がオン状態となり、
前記基準電圧はオン状態となった前記入力スイッチング回路を通して各々の前記一端に供給され、
各々の前記一端へ供給される電圧が前記抵抗器における電圧降下によって等しくなる、表示装置。
【請求項11】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、
各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、
各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、
各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、
前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、
前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記信号線ドライバは、
前記電源回路と前記ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路と、
前記出力スイッチング回路と前記一端とに接続され互いに並列に接続された少なくとも1つの入力スイッチング回路と、
前記入力スイッチング回路に直列に接続され前記接続配線と同等の抵抗値を有する抵抗器と、を備え、
各々の前記一端へ供給される電圧が前記抵抗器における電圧降下によって等しくなる、表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルは、前記信号線ドライバに接続し前記表示領域に並んで配置された複数の信号線と、
前記表示領域に並んで配置され前記信号線と交差する複数の走査線と、を備え、
前記接続配線は前記信号線又は前記走査線と同じ層に同じ材料で形成されている、請求項10または11に記載の表示装置。
【請求項13】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、
各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、
各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、
各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、
前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、
前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記信号線ドライバは、前記電源回路と前記ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路を備え、
各々の前記電源回路の出力が安定してから、前記マスタドライバに備えられた前記出力スイッチング回路がオフ状態からオン状態となり、
前記マスタドライバの前記一端に前記出力スイッチング回路を通して供給される前記基準電圧が前記接続配線を通して全ての前記一端へ供給され
各々の前記信号線ドライバは、前記出力スイッチング回路に並列に接続され前記電源回路から前記一端に向けて順方向に接続されたダイオードを備えている、表示装置。
【請求項14】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、
各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、
各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、
各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、
前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、
前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記信号線ドライバは、
前記電源回路と前記ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記ノードへの電圧供給を制御する出力スイッチング回路と、
前記出力スイッチング回路に並列に接続され前記電源回路から前記一端に向けて順方向に接続されたダイオードと、を備えている、表示装置。
【請求項15】
複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、
各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、
各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、
各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、
各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、
前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、
前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成し、
各々の前記信号線ドライバは、前記電源回路と前記ノードとを接続する回路上に配置され前記電源回路から前記ノードに向けて順方向に接続されたダイオードを備えている、表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルは、前記信号線ドライバに接続し前記表示領域に並んで配置された複数の信号線と、
前記表示領域に並んで配置され前記信号線と交差する複数の走査線と、を備え、
前記接続配線は前記信号線又は前記走査線と同じ層に同じ材料で形成されている、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
全ての前記信号線ドライバは、同じ回路構成を備えている、請求項11乃至16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示パネルの駆動周波数は、120Hz以上である、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示パネルは、各画素に配置された画素電極と、
複数の前記画素電極に亘って対向し複数の前記分割表示領域において同電位の共通電圧が供給される共通電極と、を備えている、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、高精細化によって各画素への映像信号の書込み時間が徐々に短くなっている。上記の書込み時間を充分に確保するために、高精細な表示装置は、例えば、分割表示領域を各々に対応したドライバで個別的に同時に駆動する分割駆動方式によって画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−286525号公報
【特許文献2】特許第3110339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分割駆動方式の表示装置は、各信号線ドライバで生成される階調電圧の基準となる基準電圧に電位差が存在すると、分割表示領域間で輝度段差や表示ムラが生じる恐れがある。
そこで本実施形態の目的は、表示品位の改善が可能な高精細の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、マスタ基板を含み前記データ信号を生成するための階調電圧を前記信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、各々の前記回路基板に備えられた電源回路と、各々の前記回路基板に備えられ前記電源回路と接続された階調電圧生成回路と、各々の前記回路基板同士を互いに接続する少なくとも1つの接続配線と、を備え、全ての前記階調電圧生成回路が前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路から供給される基準電圧に応じた階調電圧を生成する表示装置が提供される。
【0006】
また他の実施形態によれば、複数の分割表示領域を有しかつ非表示領域に囲まれた表示領域に画像を表示する表示パネルと、前記非表示領域に配置されマスタドライバを含み各々の前記分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、各々の前記信号線ドライバに備えられた複数の階調電圧生成回路と、各々の前記階調電圧生成回路の一端に接続した複数の電源回路と、各々の前記電源回路と前記一端とを接続する回路上に配置されたノードと、各々の前記ノードを互いに接続する接続配線と、を備え、前記マスタドライバに備えられた1つの前記電源回路が全ての前記一端へ基準電圧を供給し、前記階調電圧生成回路が前記基準電圧に応じた階調電圧を生成する表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表示装置の駆動システムの概要を示すブロック図である。
図2図2は、階調電圧生成回路の構成例を示す図である。
図3図3は、表示装置の等価回路を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る4分割された表示領域を有する分割駆動方式の表示装置の一例を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る表示装置の動作例を説明するために示したタイミングチャートである。
図7図7は、各回路基板に備えられた電源回路間の電圧誤差の例を示す図である。
図8図8は、第1変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図9図9は、第2変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図10図10は、第3変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る2分割された表示領域を有する分割駆動方式表示装置の概略を示す図である。
図12図12は、第2実施形態に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図13図13は、第4変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図14図14は、第5変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
図15図15は、第6変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、表示装置の駆動システムの概要を示すブロック図である。
表示装置DSPは、ホストデバイスHOS、回路基板(PCB)100、走査線ドライバGD、信号線ドライバSD、及び表示パネルPNLを備えている。ホストデバイスHOSは制御モジュールCM及び直流電圧(DC)供給モジュールSMを備えており、回路基板100は表示制御回路84及び電源回路85を備えている。表示パネルPNLは、例えば、画像を表示する表示領域DAに、マトリクス状に並んだ画素PXを備えた、液晶表示パネルである。図示した例では、表示パネルPNLは、画素PXに、走査線G、信号線D、画素スイッチング素子PSW、画素電極PE、液晶層LQ、及び共通電極CE等を備えている。なお、図4で後述するように、表示装置DSPは、複数の走査線ドライバGDや、複数の信号線ドライバSDを備えていてもよい。走査線ドライバGD及び信号線ドライバSDは、例えば、表示パネルPNL上に配置されている。
【0010】
なお、表示パネルPNLは、液晶表示パネルに限定されるものではなく、例えばMicro Electro Mechanical System(MEMS)シャッターによって各画素の輝度を制御する機械式表示パネル等であってもよく、例えばOrganic Light Emitting Diode(OLED)を用いた自発光型の表示パネルであってもよい。なお、液晶表示パネルの表示モードも、特に限定されるものではなく、横電界を利用する表示モードであってもよく、縦電界を利用する表示モードであってもよい。
【0011】
制御モジュールCMは、表示制御回路84へ入力信号SINを供給する。入力信号SINは、画像の表示データ、クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号、又はディスプレイタイミング信号等を含んでいる。表示制御回路84は、表示データの交流化やタイミング調整等を行い、表示パネルPNLへの供給に適したデータ形式へ表示データを変換する。表示制御回路84は、この変換された表示データを、同期信号と共に走査線ドライバGD及び信号線ドライバSDへ供給する。DC供給モジュールSMは、入力電圧VINを電源回路85へ供給する。電源回路85は、入力電圧VINを各種の電圧に変換し、走査線ドライバGD、信号線ドライバSD、表示制御回路84等へ供給する。走査線ドライバGDは、供給された表示データや電圧を基に走査信号を生成し、走査線Gを介して各画素PXへ走査信号を供給する。信号線ドライバSDも同様に、信号線Dを介して各画素PXへデータ信号を供給する。
【0012】
図2は、階調電圧生成回路の構成例を示す図である。ここでは、n個の階調電圧を生成する階調電圧生成回路23を図示している。
階調電圧生成回路23は、例えば、電源回路85に備えられており、データ信号を生成するための階調電圧を信号線ドライバSDへ供給する。階調電圧生成回路23は、信号線ドライバSD内に備えられていてもよい。なお、図2(a)に図示した階調電圧生成回路23は、I2C(Inter-Integrated Circuit)やSPI(Serial Peripheral Interface)等のシリアルバスを介して表示制御回路84から供給されるディジタル信号によって、各階調電圧の電位を全体的に制御するディジタル型である。対して、図2(b)に図示した階調電圧生成回路23は、表示制御回路84による電位の全体的な制御は行われず、電源回路85で生成された基準電圧VREFと、ラダー抵抗93の抵抗比と、で階調電圧の電位を自動的に決定するアナログ型である。
【0013】
図2の(a)に図示した階調電圧生成回路23は、バッファ回路90、ディジタル/アナログ(D/A)変換回路91、及びバッファアンプ92を備えている。バッファアンプ92は、出力電圧の階調数に対応する数の、電圧フォロアとして機能する演算増幅器(オペアンプ)を備えている。バッファ回路90は、表示制御回路84から入力されたディジタルデータを一時的に蓄積する。バッファ回路90から出力されたディジタルデータは、D/A変換回路91に入力され、アナログの階調電圧に変換される。D/A変換回路91から出力された階調電圧は、バッファアンプ92に供給され、互いに異なるオペアンプによってバッファされる。バッファアンプ92は、n個の互いに異なる出力電圧V1〜Vnとして階調電圧を出力する。図示を省略しているが、D/A変換回路91は、電源回路85から基準電圧VREFを供給される。例えば、D/A変換回路91の分解能が10bit(1024)である場合、出力電圧Vnは、Vn=(Dn×VREF)/1024という式で表すことができる。なお、Dnは、出力電圧Vnに対応するD/A変換回路91のディジタル設定データである。
【0014】
図2の(b)に図示した階調電圧生成回路23は、ラダー抵抗93、及びバッファアンプ92を備えている。ラダー抵抗93の一端93aは、電源回路85に接続しており、ラダー抵抗93の他端93bは、グランドに接続している。ラダー抵抗93は、直列に接続された複数の抵抗器と、一端93a及び各抵抗器の間に配置された複数のノードを備えている。バッファアンプ92に備えられた各々のオペアンプの入力は、各々異なるノードに接続し、ラダー抵抗93から階調電圧を供給される。各オペアンプでバッファされた階調電圧は、n個の互いに異なる出力電圧V1〜Vnとして出力される。
【0015】
図3は、表示装置の等価回路を示す図である。図示した例において、表示装置DSPは、液晶表示装置である。なお、図中の第1方向Xは、第2方向Yと交差する方向である。
信号線ドライバSDは、第1方向Xに延在し第2方向Yに並んで配置されたi本の信号線D(D1〜Di)に接続している。走査線ドライバGDは、第2方向Yに延在し第1方向Xに並んで配置されたj本の走査線G(G1〜Gj)に接続している。信号線D及び走査線Gは、互いに交差する位置で画素スイッチング素子PSWに接続している。画素電極PEは、画素スイッチング素子PSWに接続し、共通電極CEとの間に液晶容量CLQを形成している。また、画素電極PEと共通電極CEとの間には、保持容量CSTも形成されている。全ての共通電極CEは、互いに電気的に接続し、共通電源VCOMに接続している。
【0016】
走査線ドライバGDは、第1走査線G1から第j走査線Gjまで順次選択し、1水平走査時間の間、各々の走査線Gへ走査電圧を供給する。正又は負のバイアス電圧である走査電圧は、第1走査線G1に接続された画素スイッチング素子PSWの制御電極へ供給され、画素スイッチング素子PSWを介した信号線Dと画素電極PEとの電気的接続(オン状態−オフ状態)を制御する。信号線ドライバSDは、第1走査線G1の水平走査時間中、第1走査線G1に接続した画素スイッチング素子PSWへ信号線Dを介してデータ信号を供給する。この画素スイッチング素子PSWがオン状態の場合、階調信号であるデータ信号が、対応する画素スイッチング素子PSWを介して画素電極PEへ書き込まれ、液晶容量CLQ及び保持容量CSTによって保持される。同様に、信号線ドライバSDは、第2走査線G2〜第j走査線Gjの各水平走査時間中に、対応する画素電極PEへデータ信号を書き込む。このように形成された共通電極CEと画素電極PEとの電位差が、液晶層LQ中の液晶分子の配向を制御する。
【0017】
ところで、表示装置DSPが複数の信号線ドライバSDを備えている場合、各信号線ドライバSDに階調電圧を供給する電源回路85の性能誤差によって、各々の信号線ドライバSDで生成されるデータ信号の電位レベルに誤差が生じる恐れがある。このような場合、データ信号の電位誤差に応じた容量誤差が各液晶容量CLQに生じ、表示装置DSPの表示ムラとなる恐れがある。そこで、本発明者らは、表示ムラを抑制することができる表示装置DSPとして、以下の第1実施形態及び第2実施形態を見出した。この第1実施形態について、図4乃至図10を用いて説明する。また、この第2実施形態について、図11乃至図15を用いて説明する。
【0018】
図4は、第1実施形態に係る4分割された表示領域を有する分割駆動方式の表示装置DSPの一例を示すブロック図である。
表示パネルPNLは、表示領域DAに、第1分割表示領域DA1、第2分割表示領域DA2、第3分割表示領域DA3、及び第4分割表示領域DA4を有している。図示した例では、表示領域DAは矩形形状であり、各分割表示領域も矩形形状である。第1分割表示領域DA1は、第3分割表示領域DA3の対角に位置し、第2分割表示領域DA2は、第4分割表示領域DA4の対角に位置している。第1分割表示領域DA1及び第3分割表示領域DA3は、共に第2分割表示領域DA2及び第4分割表示領域DA4に隣接している。第1分割表示領域DA1、第2分割表示領域DA2、第3分割表示領域DA3、及び第4分割表示領域DA4は、例えば、協働して1つの画像を表示する。
【0019】
表示パネルPNLは、非表示領域NDAに、第1信号線ドライバSD1、第2信号線ドライバSD2、第3信号線ドライバSD3、第4信号線ドライバSD4、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2、第3走査線ドライバGD3、及び第4走査線ドライバGD4を備えている。表示装置DSPは、第1回路基板1、第2回路基板2、第3回路基板3、及び第4回路基板4を備えている。第1信号線ドライバSD1及び第1走査線ドライバGD1は、第1分割表示領域DA1の近傍に位置しており、第1回路基板1に接続している。同様に、第2信号線ドライバSD2乃至第4信号線ドライバSD4及び第2走査線ドライバGD2乃至第4走査線ドライバGD4は、それぞれ第2分割表示領域DA2乃至第4分割表示領域DA4の近傍に位置し、それぞれ第2回路基板2乃至第4回路基板4に接続している。
【0020】
第1分割表示領域DA1は、第1信号線ドライバSD1からデータ信号を供給され、第1走査線ドライバGD1から走査信号を供給される。同様に、各分割表示領域に対応するデータ信号及び走査信号が、第2信号線ドライバSD2及び第2走査線ドライバGD2から第2分割表示領域DA2に供給され、第3信号線ドライバSD3及び第3走査線ドライバGD3から第3分割表示領域DA3に供給され、第4信号線ドライバSD4及び第4走査線ドライバGD4から第4分割表示領域DA4へ供給される。
【0021】
第1信号線ドライバSD1及び第1走査線ドライバGD1は、第1回路基板1から、表示データや階調電圧等を供給される。同様に、各ドライバに対応する表示データや階調電圧が、第2回路基板2から第2信号線ドライバSD2及び第2走査線ドライバGD2に供給され、第3回路基板3から第3信号線ドライバSD3及び第3走査線ドライバGD3に供給され、第4回路基板4から第4信号線ドライバSD4及び第4走査線ドライバGD4に供給される。
【0022】
以上の様に、表示装置DSPは、複数の分割表示領域を有する表示領域DAに画像を表示する表示パネルPNLと、各々の分割表示領域へ対応するデータ信号を供給する複数の信号線ドライバと、データ信号を生成するための階調電圧を各々の信号線ドライバへ供給する複数の回路基板と、を備えている。
【0023】
図5は、第1実施形態に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。なお、図5は、第1回路基板1乃至第4回路基板4において階調電圧が生成されている状態を図示している。
表示装置DSPは、第1接続部51、第2接続部52、及び第3接続部53を備えている。第1接続部51は、第1回路基板1と第2回路基板2とを接続している。第2接続部52は、第2回路基板2と第3回路基板3とを接続している。第3接続部53は、第3回路基板3と第4回路基板4とを接続している。各接続部は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)ケーブルやFPC(Flexible Printed Circuit)ケーブルであり、接続部品は限定されない。第1接続部51は第1接続配線511を備えており、第2接続部52は第2接続配線521を備えており、第3接続部53は第3接続配線531を備えている。即ち、各々の接続配線及び回路基板は、交互に接続されている。この例では、第2回路基板2をマスタ基板2として扱うことにする。
【0024】
第1回路基板1は、電源回路(DC/DC)121、階調電圧生成回路(GVG)123、出力スイッチング回路(SW1)140、入力スイッチング回路(SW2)141、ダイオード122、第1ノードN11、第2ノードN12、第3ノードN13、及び第4ノードN14を備えている。また、図示を省略した表示制御回路184を備えている。
【0025】
第1ノードN11は、第1接続配線511に接続された回路上に配置されている。出力スイッチング回路140は、電源回路121と第1ノードN11とを接続する回路上に配置され、電源回路121から第1ノードN11への電圧供給を制御している。第2ノードN12は、出力スイッチング回路140と第1接続配線511とを接続する回路上に配置され、入力スイッチング回路141を介して階調電圧生成回路123に接続されている。入力スイッチング回路141は、第2ノードN12から階調電圧生成回路123への電圧供給を制御している。第3ノードN13は、電源回路121と出力スイッチング回路140とを接続する回路上に配置されている。第4ノードN14は、入力スイッチング回路141と階調電圧生成回路123とを接続する回路上に配置されている。ダイオード122は、第3ノードN13と第4ノードN14とを接続する回路上に配置され、出力スイッチング回路140及び入力スイッチング回路141に対して並列に接続されている。また、ダイオード122は、電源回路121から階調電圧生成回路123に向けて順方向に接続されている。表示制御回路184は、制御信号VDS1を供給することで出力スイッチング回路140のオフ状態とオン状態を制御し、制御信号VRS1を供給することで入力スイッチング回路141のオフ状態とオン状態を制御している。各スイッチング回路は、オフ状態において電流を遮断し、オン状態において電流を通過させる。
【0026】
第2回路基板2は、第1回路基板1と同様に、電源回路221、階調電圧生成回路223、出力スイッチング回路240、入力スイッチング回路241、ダイオード222、第1ノードN21、第2ノードN22、第3ノードN23、及び第4ノードN24を備えている。なお、第2回路基板2において、第1ノードN21は、第1接続配線511及び第2接続配線521に接続された回路上に配置されている。第2ノードN22は、出力スイッチング回路240、第1接続配線511、及び第2接続配線521に接続された回路上に配置され、入力スイッチング回路241を介して階調電圧生成回路223に接続されている。また、図示を省略した表示制御回路284は、出力スイッチング回路240に制御信号VDS2を供給し、入力スイッチング回路241に制御信号VRS2を供給する。
【0027】
第3回路基板3も同様に、電源回路321、階調電圧生成回路323、出力スイッチング回路340、入力スイッチング回路341、ダイオード322、第1ノードN31、第2ノードN32、第3ノードN33、及び第4ノードN34を備えている。なお、第3回路基板3において、第1ノードN31は、第2接続配線521及び第3接続配線531に接続された回路上に配置されている。第2ノードN32は、出力スイッチング回路340、第2接続配線521、及び第3接続配線531に接続された回路上に配置され、入力スイッチング回路341を介して階調電圧生成回路323に接続されている。また、図示を省略した表示制御回路384は、出力スイッチング回路340に制御信号VDS3を供給し、入力スイッチング回路341に制御信号VRS3を供給する。
【0028】
第4回路基板4も同様に、電源回路421、階調電圧生成回路423、出力スイッチング回路440、入力スイッチング回路441、ダイオード422、第1ノードN41、第2ノードN42、第3ノードN43、及び第4ノードN44を備えている。なお、第4回路基板4において、第1ノードN41は、第3接続配線531に接続された回路上に配置されている。第2ノードN42は、出力スイッチング回路440と第3接続配線531とに接続された回路上に配置され、入力スイッチング回路441を介して階調電圧生成回路423に接続されている。また、図示を省略した表示制御回路484は、出力スイッチング回路440に制御信号VDS4を供給し、入力スイッチング回路441に制御信号VRS4を供給する。
各々の回路基板1乃至4は、接続された接続配線及び生成した階調電圧の供給先が異なるが、同じ回路構成を備えている。なお、マスタ基板2の制御信号VDS2は、後述する基準電圧VREF同様に、全ての回路基板1乃至4へ伝送される。各々の回路基板1乃至4において、各々の制御信号VRS1乃至VRS4は、制御信号VDS2を基準として、制御信号VDS2から一定時間を遅延した同タイミングで供給される。
【0029】
第1回路基板1乃至第4回路基板4は、配置に応じて予め基板アドレス(PCB_ADD=0,1,2,3)が割り振られており、それぞれの表示制御回路184、284、384、及び484によって、マスタ基板とスレーブ基板が決定されている。表示制御回路184乃至484は、各々対応する第1回路基板1乃至第4回路基板4の動作状態を制御することができる。マスタ基板は、自身の電源回路から全ての回路基板に基準電圧VREFを供給する回路基板である。スレーブ基板は、マスタ基板に備えられた電源回路から供給される基準電圧VREFに応じて階調電圧を生成する回路基板である。図示した例においては、第1回路基板1がPCB_ADD=0で、第2回路基板2がPCB_ADD=1で、第3回路基板3がPCB_ADD=2で、第4回路基板4がPCB_ADD=3で指定されている。また、図示した例では、PCB_ADD=1で指定される第2回路基板2がマスタ基板であり、PCB_ADD=0,2,3で指定される第1回路基板1、第3回路基板3、及び第4回路基板4がスレーブ基板である。なお、マスタ基板は、基準電圧VREFが各接続配線によって受ける配線抵抗を低減するため、両末端の回路基板までの電源経路が短い回路基板が指定されることが望ましい。即ち、マスタ基板は、末端の回路基板が指定されないことが望ましく、2つの接続配線が接続していることが望ましい。図示した例では、第2回路基板2又は第3回路基板3が、マスタ基板に指定されることが望ましい。マスタ基板の電源回路からすべての回路基板の基準電圧を供給する系統を基準電圧供給系統と称してもよい。
【0030】
全ての回路基板で階調電圧が生成されている際、電源回路121、221、321、及び421にはDC供給モジュールSMから入力電圧VINが入力されている。マスタ基板2において、出力スイッチング回路240及び入力スイッチング回路241はオン状態となっている。スレーブ基板1において、出力スイッチング回路140はオフ状態となっており、入力スイッチング回路141はオン状態となっている。スレーブ基板3及びスレーブ基板4も、スレーブ基板1と同様の状態である。
【0031】
マスタ基板2に備えられた電源回路221から出力された電源電圧VDD2は、出力スイッチング回路240を通過して、基準電圧VREFとして、第1ノードN21へ供給される。基準電圧VREFは、第2ノードN22及び入力スイッチング回路241を通過して、供給電圧VS2として、階調電圧生成回路223へ供給される。階調電圧生成回路223は、供給電圧VS2に応じて階調電圧GV2を生成する。なお、第4ノードN24の電位は、第3ノードN23の電位と等しいため、ダイオード222を通した第3ノードN23から第4ノードN24への電圧の供給は行われない。
【0032】
スレーブ基板1において、マスタ基板2で生成された基準電圧VREFが、第1接続配線511を通して第1ノードN11へ供給される。この基準電圧VREFは、第2ノードN12及びオン状態の入力スイッチング回路141を通過して、供給電圧VS1として、階調電圧生成回路123へ供給される。階調電圧生成回路123は、供給電圧VS1に応じて階調電圧GV1を生成する。なお、電源回路121から出力スイッチング回路140へ供給される電源電圧VDD1は、オフ状態の出力スイッチング回路140で遮断される。また、この例では第4ノードN14と第3ノードN13との電位差VDD1−VS1がダイオード122の閾値電圧(電圧降下)VFよりも小さいため、ダイオード122を通した第3ノードN13から第4ノードN24への電圧の供給は行われない。
【0033】
スレーブ基板3においても、スレーブ基板1同様に、基準電圧VREFが、マスタ基板2から第2接続配線521を通して第1ノードN31に供給される。そして、スレーブ基板1同様に、供給電圧VS3を供給された階調電圧生成回路323が、階調電圧GV3を生成する。スレーブ基板4においても、スレーブ基板1同様に、基準電圧VREFが、マスタ基板2から第2接続配線521、スレーブ基板3の内部回路、及び第3接続配線531を通して第1ノードN41に供給される。そして、スレーブ基板1同様に、供給電圧VS4を供給された階調電圧生成回路423が、階調電圧GV4を生成する。
【0034】
次に各回路基板における電源オンのシーケンスを、タイミングチャートを用いて説明する。
図6は、第1実施形態に係る表示装置の動作例を説明するために示したタイミングチャートである。
まず、時点t1でDC供給モジュールSMからの入力電圧VINが入力される。このとき、各制御信号はLowであり、全ての出力スイッチング回路及び入力スイッチング回路がオフ状態である。
【0035】
次に、入力電圧VINを供給されたマスタ基板2において、電源回路221が、例えば時点t3で電源電圧VDD2の上昇を開始する。各スレーブ基板においても、電源回路121が電源電圧VDD1の上昇を開始し、電源回路321が電源電圧VDD3の上昇を開始し、電源回路421が電源電圧VDD4の上昇を開始する。この際、各電源電圧の上昇の開始タイミングには、誤差が生じる場合がある。図示した例では、マスタ基板2の電源電圧VDD2は、入力電圧VINの入力時点t1からTD01経過後(時点t3)で立ち上がりを開始する。各スレーブ基板の電源電圧VDD1、VDD3、及びVDD4のうち、一部は時点t1からTD01経過する前に立ち上がりを開始し(時点t2)、一部は時点t1からTD01経過した後に立ち上がりを開始する(時点t4)。
【0036】
なお、図6において、マスタ基板2における各部の電圧及び制御信号は、電圧VDD2、制御信号VDS2、VRS2として示している。しかしスレーブ基板1、3及び4に関しては、各部の電圧をVDDx、VDDy、VSx、VSy、制御信号をVDSx、VDSy、VRSx、VRSyとして一般化している。
【0037】
このとき、マスタ基板2において、階調電圧生成回路223へ供給される供給電圧VS2は、電源回路221からダイオード222を通過して第4ノードN24へ供給される補助電圧である。この補助電圧の電位は、電源回路221の電源電圧VDD2からダイオード222の電圧降下VFを減じたVDD2−VFとなるものとする。同様に、スレーブ基板1においては補助電圧(VDD1−VF)が供給電圧VS1として供給され、スレーブ基板3においては補助電圧(VDD3−VF)が供給電圧VS3として供給され、スレーブ基板4においては補助電圧(VDD4−VF)が供給電圧VS4として供給されるものとする。
【0038】
電源電圧VDD2の立ち上がり時点t3からTD1経過した時点t5で、全ての回路基板において電源電圧がHighとなり各電源回路の出力が安定する。この時、マスタ基板2の制御信号VDS2がLowからHighに切り替わり、出力スイッチング回路240がオン状態となる。スレーブ基板1の制御信号VDS1はLowのまま変化せず、出力スイッチング回路140がオフ状態を維持する。スレーブ基板3及びスレーブ基板4においても、出力スイッチング回路340及び出力スイッチング回路440はオフ状態を維持する。
【0039】
電源電圧VDD2の立ち上がり開始時点t3からTD2経過した時点t6で、全ての階調電圧生成回路において各々の補助電圧が安定する。なお、TD2は、TD1よりも長い。この時点t6で、全ての回路基板において制御信号VRS1、VRS2、VRS3、及びVRS4が同時にLowからHighに切り替わり、入力スイッチング回路141、241、341、及び441が同時にオン状態となる。これによって、マスタ基板2の電源回路221で生成された基準電圧VREFが、各々の回路基板の入力スイッチング回路を通して、全ての回路基板の階調電圧生成回路へ同時に供給される。即ち、時点t6で、各々の供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4の電位は、各補助電圧からVF上昇する。
【0040】
図7は、各回路基板に備えられた電源回路間の電圧誤差の例を示す図である。
各々の電源回路は、性能のバラつきによって、電源電圧の出力を開始するタイミングに誤差が生じるのと同様に、出力する電源電圧の電位にも誤差が生じる恐れがある。例えば、電源電圧VDD1、VDD2、VDD3、及びVDD4の誤差電圧は、±dVである。従って、マスタ基板の電源電圧VDD2と各スレーブ基板の電源電圧VDD1、VDD3、又はVDD4との最大電位差は、2dVである。全ての回路基板が基準電圧VREFに応じた階調電圧を生成するには、階調電圧生成時にダイオードを通した階調電圧生成回路への電圧の供給が停止する必要がある。即ち、各スレーブ基板において、第4ノードと第3ノードとの電位差がダイオードの閾値電圧VFよりも小さい必要がある。マスタ基板の出力スイッチング回路(SW1)がオンし、スレーブ基板の出力スイッチング回路(SW1)がオフし、全ての入力スイッチング回路(SW2)がオンした状態では、マスタ基板とスレーブ基板との電源電圧の誤差によって生じるスレーブ基板における第4ノードと第3ノードとの最大電位差は2dVとなるので、本実施形態において、各々のダイオード及び電源回路は、VF>2dVとなることが望ましい。
【0041】
なお、本実施形態においては、表示装置DSPは、入力スイッチング回路141、241、341、及び441を備えているが、これらの入力スイッチング回路を備えていなくてもよい。つまり、マスタ基板2から出力する基準電圧VREFを階調電圧生成回路123、223、323、及び423へ直接供給してもよい。このような表示装置DSPにおいては、例えば、各々の回路基板に備えられた出力スイッチング回路によって、基準電圧VREFの供給タイミングを制御することができる。即ち、表示装置DSPは、マスタ基板2に備えられた出力スイッチング回路240だけをオン状態とするタイミングで、全ての供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4に基準電圧VREFが同時に供給されてもよい。このとき、スレーブ基板1、3、及び4に備えられた出力スイッチング回路140、340、及び440は、オフ状態を維持している。
【0042】
以上の様に、第1実施形態において、マスタ基板1に備えられた1つの電源回路221から出力された基準電圧VREFが、供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4として、全ての階調電圧生成回路123、223、323、及び423へ供給され、各階調電圧GV1、GV2、GV3、及びGV4が生成される。従って、本実施形態によれば、各電源回路から出力される電源電圧の電位誤差に起因した階調電圧のズレを抑制することができ、各分割表示領域間での輝度段差や表示ムラの発生を抑制することができる。また、表示装置DSPは、入力スイッチング回路141、241、341、及び441によって、基準電圧VREFの各階調電圧生成回路123、223、323、及び423への供給タイミングを制御することができる。従って、本実施形態によれば、各々の階調電圧GV1、GV2、GV3、及びGV4の出力タイミングを一致させることができ、各分割表示領域間での表示画像の乱れを抑制することができる。即ち、本実施形態によれば、表示品位の改善が可能な高精細の表示装置DSPを提供することができる。
【0043】
ところで、信号線ドライバSDは、仕様上、駆動条件として階調電圧と駆動用電圧とが同時に入力される必要がある。第1実施形態においては、基準電圧VREFの供給が開始される前に、各々の階調電圧生成回路123、223、323、及び423に対して、ダイオード122、222、322、及び422を介して電源電圧VDD1乃至VDD4が補助電圧(VDD1−VF、VDD2−VF、VDD3−VF、VDD4−VF)として供給される。このように、電源投入直後の非同期タイミングでは、補助電圧が利用される。この補助電圧により非同期タイミングにおいては、信号線ドライバSDは既に駆動条件を満たしている。次に、各回路基板1乃至4が同期して階調電圧GV1乃至GV4を出力する同期タイミングにおいては、駆動用電源として、図6図7で説明した様にVDDxは安定化している。このように、階調電圧生成回路の出力が安定する前の、過電流が流れる恐れのある過渡期が上記の非同期タイミングと重なる。そして、同期タイミングにおいては、階調電圧生成回路の出力が安定するため、ラッチアップの発生を抑制することができる。
【0044】
次に第1実施形態の変形例について、図8乃至図10を用いて順に説明する。なお、以下の変形例においては、表示装置DSPは、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
図8は、第1変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
本変形例は、各々の回路基板において、第1ノードと階調電圧生成回路との間に接続され、互いに並列に接続した複数の入力スイッチング回路を備えている点で、第1実施形態と相違している。また、本変形例は、各々の回路基板において、入力スイッチング回路に直列に接続され、接続配線の配線抵抗と同等の抵抗値を有する入力側抵抗器を備えている点でも、第1実施形態と相違している。
【0045】
第1回路基板1において、第1ノードN11と第4ノードN14とを接続する回路が4つの経路に分岐している。第1の経路の回路上に第1入力スイッチング回路(SW3)142及び第1入力側抵抗器151が備えられている。第2の経路の回路上に第2入力スイッチング回路(SW4)143及び第2入力側抵抗器152が備えられている。第3の経路の回路上に第3入力スイッチング回路(SW5)144及び第3入力側抵抗器153が備えられている。第4の経路の回路上に第4入力スイッチング回路(SW6)145が備えられている。第1入力スイッチング回路142は制御信号VRS1A1によって制御され、第2入力スイッチング回路143は制御信号VRS1A2によって制御され、第3入力スイッチング回路144は制御信号VRS1B1によって制御され、第4入力スイッチング回路145は制御信号VRS1B2によって制御される。
【0046】
第1接続配線511の抵抗値は、R51である。第2接続配線521の抵抗値は、R52である。第3接続配線531の抵抗値は、R53であり、R51と等しいものとする。第1入力側抵抗器151の抵抗値R1は、R51+2×R52と等しいものとする。第2入力側抵抗器152の抵抗値R2は、2×R52と等しい。第3入力側抵抗器153の抵抗値R3は、R51と等しいものとする。
【0047】
第2回路基板2は、第1回路基板1と同じ回路構成を備えている。即ち、第1入力スイッチング回路242、抵抗値R1の第1入力側抵抗器251、第2入力スイッチング回路243、抵抗値R2の第2入力側抵抗器252、第3入力スイッチング回路244、抵抗値R3の第3入力側抵抗器253、及び第4入力スイッチング回路245が備えられている。第3回路基板3も同様に、第1入力スイッチング回路342、抵抗値R1の第1入力側抵抗器351、第2入力スイッチング回路343、抵抗値R2の第2入力側抵抗器352、第3入力スイッチング回路344、抵抗値R3の第3入力側抵抗器353、及び第4入力スイッチング回路345が備えられている。第4回路基板4も同様に、第1入力スイッチング回路442、抵抗値R1の第1入力側抵抗器451、第2入力スイッチング回路443、抵抗値R2の第2入力側抵抗器452、第3入力スイッチング回路444、抵抗値R3の第4入力側抵抗器453、及び第4入力スイッチング回路445が備えられている。
第1実施形態と同様に、本変形例においても、第2回路基板2がマスタ基板として機能するものとし、第1回路基板1、第3回路基板3、及び第4回路基板4がスレーブ基板として機能するものとする。
【0048】
階調電圧の生成時には、スレーブ基板1において、第2入力スイッチング回路143はオン状態であり、第1出力スイッチング回路140、第1入力スイッチング回路142、第3入力スイッチング回路144、及び第4入力スイッチング回路145はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第1接続配線511を通して供給された基準電圧VREFが、第2の経路の第2入力スイッチング回路143及び第2入力側抵抗器152を通過して供給電圧VS1となる。マスタ基板2において、第1出力スイッチング回路240、第1入力スイッチング回路242はオン状態であり、第2入力スイッチング回路243、第3入力スイッチング回路244、及び第4入力スイッチング回路245はオフ状態となる。このとき、基準電圧VREFは、第1の経路の第1入力スイッチング回路242及び第1入力側抵抗器251を通過して供給電圧VS2となる。スレーブ基板3において、第3入力スイッチング回路344はオン状態であり、第1出力スイッチング回路340、第1入力スイッチング回路342、第2入力スイッチング回路343、及び第4入力スイッチング回路345はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第2接続配線521を通して供給された基準電圧VREFが、第3の経路の第3入力スイッチング回路344及び第3入力側抵抗器353を通過して供給電圧VS3となる。スレーブ基板4において、第4入力スイッチング回路445はオン状態であり、第1出力スイッチング回路440、第1入力スイッチング回路442、第2入力スイッチング回路443、及び第3入力スイッチング回路444はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第2接続配線521及び第3接続配線531を通して供給された基準電圧VREFが、第4の経路の第4入力スイッチング回路445を通過して供給電圧VS4となる。マスタ基板2における基準電圧VREFは電源電圧VDD2と等しいため、各接続配線及び入力側抵抗器における電圧降下によって、各供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4は以下の様に等しくなる。なお、各々の階調電圧生成回路における消費電流をIとする。各抵抗器及び接続配線を流れる電流は、第1入力側抵抗器251においてI、第1接続配線511においてI、第2入力側抵抗器152においてI、第2接続配線521において2I、第3入力側抵抗器353においてI、第3接続配線531においてIとなるものとする。
VS1=VDD2−I×R51−I×R2=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS2=VDD2−I×R1=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS3=VDD2−2I×R52−I×R3=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS4=VDD2−2I×R52−I×R53=VDD2−I×R51−2×I×R52
このように、各抵抗器の抵抗値は、各接続配線のインピーダンスに応じて、各階調電圧生成回路への供給電圧が略等しくなるように選択される。
【0049】
以上の様な変形例によれば、表示装置DSPは、第1接続配線511、第2接続配線521、及び第3接続配線531における基準電圧VREFの電圧降下による各供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4の電圧誤差を抑制することができるため、各階調電圧GV1、GV2、GV3、及びGV4のズレを抑制することができる。従って、本変形によれば、表示装置DSPは、更に表示品位を向上させることができる。
【0050】
図9は、第2変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
本変形例は、第1接続部51に更に第4接続配線512を備え、第2接続部52に更に第5接続配線522を備え、第3接続部53に更に第6接続配線532を備えている点で、第1変形例と相違している。なお、第1接続配線511、第2接続配線521、及び第3接続配線531が第1系統接続配線に相当し、第4接続配線512、第5接続配線522、及び第6接続配線532が第2系統接続配線に相当する。また、第1系統接続配線と出力スイッチング回路とは出力側抵抗器を介して接続されている。即ち、出力側抵抗器の電圧降下によって、第1系統接続配線に供給される第1基準電圧VREFAの電位は、第2系統接続配線に供給される第2基準電圧VREFBの電位と異なっている。
【0051】
第1回路基板1は、出力スイッチング回路140と第1系統接続配線とを接続する回路上に出力側抵抗器154を備えている。第1の経路及び第2の経路は第1接続配線511に接続している。第3の経路及び第4の経路は第4接続配線512に接続している。また、第1の経路の回路上には第1入力スイッチング回路142に直列に第4入力側抵抗器155が備えられている。第3の経路の回路上には第3入力スイッチング回路144に直列に第5入力側抵抗器156が備えられている。
【0052】
第1接続配線511及び第4接続配線512の抵抗値は、R51である。第2接続配線521及び第5接続配線522の抵抗値は、R52である。第3接続配線531及び第6接続配線532の抵抗値は、R53であり、R51と等しいものとする。出力側抵抗器154の抵抗値R4は、R52と等しいものとする。第4入力側抵抗器155の抵抗値R5は、R51と等しいものとする。第5入力側抵抗器156の抵抗値R6は、R51と等しいものとする。
【0053】
第2回路基板2は、第1回路基板1と同じ回路構成を備えている。即ち、抵抗値R4の出力側抵抗器254、第1入力スイッチング回路242に直列に接続された抵抗値R5の第4入力側抵抗器255、及び第3入力スイッチング回路244に直列に接続された抵抗値R6の第5入力側抵抗器256が備えられている。第3回路基板3も同様に、抵抗値R4の出力側抵抗器354、第1入力スイッチング回路342に直列に接続された抵抗値R5の第4入力側抵抗器355、及び第3入力スイッチング回路344に直列に接続された抵抗値R6の第5入力側抵抗器356が備えられている。第4回路基板4も同様に、抵抗値R4の出力側抵抗器454、第1入力スイッチング回路442に直列に接続された抵抗値R5の第4入力側抵抗器455、及び第3入力スイッチング回路444に直列に接続された抵抗値R6の第5入力側抵抗器456が備えられている。
本変形例においても、第2回路基板2がマスタ基板として機能するものとし、第1回路基板1、第3回路基板3、及び第4回路基板4がスレーブ基板として機能するものとする。
【0054】
階調電圧の生成時には、スレーブ基板1において、第2入力スイッチング回路143はオン状態であり、第1出力スイッチング回路140、第1入力スイッチング回路142、第3入力スイッチング回路144、及び第4入力スイッチング回路145はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第1接続配線511を通して供給された第1基準電圧VREFAが、第2の経路の第2入力スイッチング回路143を通過して供給電圧VS1となる。マスタ基板2において、第1出力スイッチング回路240、第1入力スイッチング回路242はオン状態であり、第2入力スイッチング回路243、第3入力スイッチング回路244、及び第4(245はオフ状態となる。このとき、第1基準電圧VREFAは、第1の経路の第1入力スイッチング回路242及び第4入力側抵抗器255を通過して供給電圧VS2となる。スレーブ基板3において、第3入力スイッチング回路344はオン状態であり、第1出力スイッチング回路340、第1入力スイッチング回路342、第2入力スイッチング回路343、第4入力スイッチング回路345はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第5接続配線522を通して供給された基準電圧VREFBが、第3の経路の第3入力スイッチング回路344及び第5入力側抵抗器356を通過して供給電圧VS3となる。スレーブ基板4において、第4入力スイッチング回路445はオン状態であり、第1出力スイッチング回路440、第1入力スイッチング回路442、第2入力スイッチング回路443、及び第3入力スイッチング回路444はオフ状態となる。このとき、マスタ基板2から第5接続配線522及び第6接続配線532を通して供給された基準電圧VREFBが、第4の経路の第4入力スイッチング回路445を通過して供給電圧VS4となる。各接続配線、出力側抵抗器、及び入力側抵抗器における電圧降下によって、各供給電圧VS1、VS2、VS3、及びVS4は以下の様に等しくなる。なお、各々の階調電圧生成回路における消費電流をIとする。各抵抗器及び接続配線を流れる電流は、出力側抵抗器254において2I、第4入力側抵抗器255においてI、第1接続配線511においてI、第5接続配線522において2I、第5入力側抵抗器356においてI、第6接続配線532においてIとなるものとする。
VS1=VDD2−2I×R4−I×R51=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS2=VDD2−2I×R4−I×R5=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS3=VDD2−2I×R52−I×R6=VDD2−I×R51−2×I×R52
VS4=VDD2−2I×R52−I×R53=VDD2−I×R51−2×I×R52
例えば、VDD2=12[V]であり、R4=R52=1[Ω]であり、R5=R6=R51=R53=0.3[Ω]であり、I=0.02[A]であるとした場合、各々の供給電圧は以下の様になる。
VS1=VS2=VS3=VS4=12−0.02×0.3−2×0.02×1=11.954[V]
【0055】
以上の様な変形例によれば、表示装置DSPは、各々の出力側抵抗器及び入力側抵抗器の抵抗値を小さくすることができる。
【0056】
図10は、第3変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
本変形例は、第1回路基板1において、電源回路121と第1ノードN11とを接続する回路上に、出力スイッチング回路ではなく、電源回路121から第1ノードN11に向けて順方向に接続されたダイオード124を備えている点で、第1実施形態と相違している。また、本変形例においては、第2ノードN12と階調電圧生成回路123とは入力スイッチング回路を介さずに接続している。第2回路基板2、第3回路基板3、及び第4回路基板4は、第1回路基板1と同じ回路構成を備えている。従って、第2回路基板2も、電源回路221から第1ノードN21に向けて順方向に接続されたダイオード224を備えている。第3回路基板3も、電源回路321から第1ノードN31に向けて順方向に接続されたダイオード224を備えている。第4回路基板4も、電源回路421から第1ノードN41に向けて順方向に接続されたダイオード224を備えている。
【0057】
各々の電源回路121、221、321、及び421は、図7に図示した様に、性能バラつきによって、出力する電源電圧に電位誤差が生じる。電源電圧VDD1、VDD2、VDD3、及びVDD4のうち、最も電位が高い電源電圧を出力する電源回路を備えた回路基板がマスタ基板として機能し、その他の回路基板がスレーブ基板として振る舞う。即ち、第1実施形態、第1変形例、及び第2変形例の様に、各回路基板に割り振られたアドレス(PCB_ADD=0,1,2,3)に応じてマスタ基板が選択されるのではなく、電源電圧の大小によって、自動的にマスタ基板が決定される。
【0058】
図示した例において、マスタ基板は、第3回路基板3である。マスタ基板3において、電源回路321から出力された電源電圧VDD3はダイオード324を通過して、第1ノードN31に基準電圧VREFとして供給される。なお、基準電圧VREFの電位は、電源電圧VDD3からダイオード324の電圧降下VFAを減じたVDD3−VFAとなる。基準電圧VREFは、第3ノードN32を通過して、階調電圧生成回路323に供給される。基準電圧VREFは、各スレーブ基板に備えられた階調電圧生成回路123、223、及び423にも供給される。
【0059】
なおこの時、例えば、スレーブ基板4において階調電圧GV4を作成する際、ダイオード424を通した電源電圧VDD4の供給は遮断されている。即ち、ダイオード424は、逆バイアス、又は、順バイアスかつ電圧降下VFAより小さな電圧差が印加されている。
【0060】
以上の様な変形例においては、表示装置DSPは、各回路基板の部品を削減し、製造コストを低減することができる。
【0061】
次に、図11乃至図12を用いて、第2実施形態について説明する。
図11は、第2実施形態に係る2分割された表示領域を有する分割駆動方式表示装置DSPの概略を示す図である。
表示パネルPNLは、ホストデバイスHOSと対向し、ホストデバイスHOSは、バッテリBATと対向している。ホストデバイスHOSは、表示パネルPNLの裏面に位置し、表示パネルPNLとバッテリBATとの間に位置している。なお、表示パネルPNLにおいて、表示領域DAの位置する側を表面とし、表面の反対側を裏面とする。図示を省略しているが、バッテリBATは、ホストデバイスHOSに接続し、駆動電圧を供給している。
【0062】
表示パネルPNLは、例えば長方形状をしている。表示パネルは、非表示領域NDAに、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2、第1信号線ドライバSD1、及び第2信号線ドライバSD2を備えている。図示した例では、第1走査線ドライバGD1及び第2走査線ドライバGD2は、表示パネルPNLの長辺に沿って配置され、表示領域DAを挟んで対向している。また、第1信号線ドライバSD1及び第2信号線ドライバSD2は、表示パネルPNLの短辺に沿って配置され、表示領域DAを挟んで対向している。表示パネルPNLは、例えば、第1信号線ドライバSD1が配置された短辺において、第1フレキシブルプリント基板FPC1を介してホストデバイスHOSに接続されている。また、表示パネルPNLは、第2信号線ドライバSD2が配置された短辺において、第2フレキシブルプリント基板FPC2を介してホストデバイスHOSに接続されている。
【0063】
長方形状の表示領域DAは、第1分割表示領域DA1及び第2分割表示領域DA2を有している。第1分割表示領域DA1と第2分割表示領域DA2との境界は、表示領域DAを長辺方向で二等分している。第1分割表示領域DA1は、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2、及び第1信号線ドライバSD1に隣接している。第2分割表示領域DA2は、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2、及び第2信号線ドライバSD2に隣接している。第1分割表示領域DA1は、第1信号線ドライバSD1からデータ信号を供給される。第2分割表示領域DA2は、第2信号線ドライバSD2からデータ信号を供給される。
【0064】
図12は、第2実施形態に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
第1信号線ドライバSD1は、例えば、第1実施形態に図示した回路基板の機能の少なくとも一部を兼ね備えている。図示した例では、第1信号線ドライバSD1は、電源回路(DC/DC)160と、階調電圧生成回路170とを備えている。電源回路160は、階調電圧生成回路170の一端170aに第1出力スイッチング回路(SW1)163を介して接続されている。また、電源回路160は、階調電圧生成回路170の他端170bに第2出力スイッチング回路(SW2)164を介して接続されている。第1出力スイッチング回路163と一端170aとを接続する回路上に第1ノード161が配置され、第2出力スイッチング回路164と他端170bとを接続する回路上に第2ノード162が配置されている。第1ノード161から第1接続配線55が延出し、第2ノード162から第2接続配線56が延出している。階調電圧生成回路170は、例えば、ラダー抵抗であり、一端170aから9つの抵抗器171乃至179を備えている。
【0065】
第1出力スイッチング回路163は、第1信号線ドライバSD1の外部から供給される制御信号SEL11に応じて、電源回路160から一端170aへの電圧の供給を制御している。第2出力スイッチング回路164は、第1信号線ドライバSD1の外部から供給される制御信号SEL12に応じて、電源回路160から他端170bへの電圧の供給を制御している。制御信号SEL11及び制御信号SEL12は、例えば図11に図示したホストデバイスHOSから第1フレキシブルプリント基板FPC1を介して供給される。
【0066】
なお電源回路(DC/DC)160、階調電圧生成回路170、及び各出力スイッチング回路(SW1)163、(SW2)164は、信号線ドライバSD1と一体構成されているものとして説明したが、これらは別の回路基板に設けられても良いことは勿論である。
【0067】
第2信号線ドライバSD2は、第1信号線ドライバSD1と同じ回路構成を備えている。即ち、電源回路260が階調電圧生成回路270の一端270aに第1出力スイッチング回路(SW1)263を介して接続され、電源回路260が階調電圧生成回路270の他端270bに第2出力スイッチング回路(SW2)264を介して接続され、第1ノード261が第1出力スイッチング回路263と一端270aとを接続する回路上に配置され、第2ノード262が第2出力スイッチング回路264と他端270bとを接続する回路上に配置され、第1接続配線55が第1ノード261から延出し、第2接続配線56が第2ノード262から延出している。階調電圧生成回路270は、例えば、ラダー抵抗であり、一端270aから9つの抵抗器271乃至279を備えている。図11に図示した例えばホストデバイスHOSから第2フレキシブルプリント基板FPC2を介して、第1出力スイッチング回路263に制御信号SEL21が供給され、第2出力スイッチング回路264に制御信号SEL22が供給される。
【0068】
第1接続配線55は、表示パネルPNLに備えられており、第1ノード161と第1ノード261とを接続している。第1接続配線55は、第1走査線ドライバGD1よりも外側の非表示領域NDAに配置されて延在している。第2接続配線56は、表示パネルPNLに備えられており、第2ノード162と第2ノード262とを接続している。第2接続配線56は、第2走査線ドライバGD2よりも外側の非表示領域NDAに配置されて延在している。第1接続配線55及び第2接続配線56は、例えば、走査線G又は信号線Dと同層に、同じ材料で形成されている。
【0069】
次に、階調電圧生成時における第1信号線ドライバSD1及び第2信号線ドライバSD2の動作について説明する。第1信号線ドライバSD1がマスタドライバとして機能し、第2信号線ドライバSD2がスレーブドライバとして機能するものとする。なお、第1信号線ドライバSD1及び第2信号線ドライバSD2は、例えば、図示しないモード端子を備えており、モード端子から入力される選定信号によってマスタドライバを選択される。モード端子はホストデバイスHOSに接続しており、ホストデバイスHOSから出力される選定信号によって適宜マスタドライバが選択される。または、予めマスタドライバが決定されていてもよい。
マスタドライバSD1に備えられた第1出力スイッチング回路163及び第2出力スイッチング回路164はオン状態となり、スレーブドライバSD2に備えられた第1出力スイッチング回路263及び第2出力スイッチング回路264はオフ状態となる。マスタドライバSD1に備えられた電源回路160は、第1基準電圧VHIN1及び第2基準電圧VLIN1を出力する。第1基準電圧VHIN1は、第1出力スイッチング回路163を通って、一端170aに供給される。また、第1出力スイッチング回路163を通った第1基準電圧VHIN1は、第1接続配線55を通って、スレーブドライバSD2に備えられた階調電圧生成回路270の一端270aにも供給される。第2基準電圧VLIN1は、第2出力スイッチング回路164を通って、他端170bに供給される。また、第2出力スイッチング回路164を通った第2基準電圧VLIN1は、第2接続配線56を通って、スレーブドライバSD2に備えられた階調電圧生成回路270の他端270bにも供給される。スレーブドライバSD2に備えられた電源回路260から出力された第1基準電圧VHIN2及び第2基準電圧VLIN2は、第1出力スイッチング回路263及び第2出力スイッチング回路264で遮断される。
【0070】
階調電圧生成回路170において、一端170aと抵抗器171との間から電位VHの出力電圧が出力される。各抵抗器172乃至179の間から電位V1乃至V8の出力電圧が出力される。抵抗器179と他端170bとの間から電位VHの出力電圧が出力される。階調電圧生成回路270において、一端270aに供給される電圧は階調電圧生成回路170の一端170aに供給される電圧と等しく、他端270bに供給される電圧は階調電圧生成回路170の他端170bに供給される電圧と等しい。また、階調電圧生成回路270に備えられた各抵抗器271乃至279の抵抗値は、階調電圧生成回路170に備えられた各抵抗器171乃至179の抵抗値と等しい。従って、階調電圧生成回路270からも、電位VH、VL、及びV1乃至V8の出力電圧が出力される。ここで、出力電圧の電位は、VH>V1>V8>VLなので、画素電極PEの駆動電圧の振幅は、VH−VLの範囲で切り替え可能である。
【0071】
本実施形態によれば、マスタドライバSD1に備えられた1つの電源回路160から、全ての一端170a、270aへ第1基準電圧VHIN1が供給され、全ての他端170b、270bへ第2基準電圧VLIN1が供給される。これによって、第1分割表示領域DA1及び第2分割表示領域DA2における駆動振幅の電位が同レベルになるため、表示装置DSPは、輝度段差や表示ムラを抑制することができる。即ち、本実施形態によれば、表示品位の改善が可能な高精細の表示装置DSPを提供することができる。
【0072】
次に、図13乃至図15を用いて、第2実施形態の変形例について説明する。なお、以下の第4変形例乃至第6変形例は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
図13は、第4変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
本変形例は、第1信号線ドライバSD1において、第1入力スイッチング回路(SW3)191、第2入力スイッチング回路(SW4)194、第1ダイオード165、及び第2ダイオード166を備えている点で、第2実施形態と相違している。この第4変形例は、階調電圧の生成開始時に、階調電圧生成回路170と階調電圧生成回路270からそれぞれ出力される階調電圧の出力タイミングのズレをなくす点に着目している。
【0073】
第1入力スイッチング回路191は、第1ノード161と一端170aとを接続する回路上に配置されている。第2入力スイッチング回路194は、第2ノード162と他端170bとを接続する回路上に配置されている。第1ダイオード165は、第1出力スイッチング回路163及び第1入力スイッチング回路191に並列に接続され、電源回路160から一端170aに順方向に接続されている。第2ダイオード166は、第2出力スイッチング回路164及び第2入力スイッチング回路194に並列に接続され、電源回路160から他端170bに順方向に接続されている。
【0074】
第2信号線ドライバSD2も、第1信号線ドライバSD1と同様の回路構成を備えている。即ち、第2信号線ドライバSD2は、第1入力スイッチング回路(SW3)291、第2入力スイッチング回路(SW4)294、第1ダイオード265、及び第2ダイオード266を備えている。
【0075】
階調電圧の生成前には、第1信号線ドライバ(マスタドライバとする)SD1において、電源回路160から第1ダイオード165を通して一端170aへ補助電圧が供給されている。また、電源回路160から第2ダイオード166を通して他端170bへ補助電圧が供給されている。第1ダイオード165及び第2ダイオード166での電圧降下の影響により、各々の補助電圧の電位は、第1基準電圧VHIN1及び第2基準電圧VLIN1よりも低い。第2信号線ドライバ(スレーブドライバとする)SD2においても、電源回路260から第1ダイオード265を通して一端270aへ補助電圧が供給され、電源回路260から第2ダイオード266を通して他端270bへ補助電圧が供給されている。スレーブドライバSD2においても、各々の補助電圧の電位は、第1基準電圧VHIN2及び第2基準電圧VLIN2よりも低い。なお、全ての信号線ドライバに備えられた出力スイッチング回路及び入力スイッチング回路はオフ状態となっている。
【0076】
電源回路160及び260の出力が安定して階調電圧の出力が安定した後、マスタドライバSD1の第1出力スイッチング回路163及び第2出力スイッチング回路164がオン状態となる。次いで、第1入力スイッチング回路191、291、及び第2入力スイッチング回路194、294が、同時にオン状態となる。例えば、第1入力スイッチング回路及び第2入力スイッチング回路の切り替えは、マスタドライバの制御信号SEL11又は制御信号SEL12を基準として、制御信号SEL11又は制御信号SEL12から一定時間を遅延したタイミングで実施される。これによって、第1基準電圧VHIN1及び第2基準電圧VLIN2が、階調電圧生成回路170と階調電圧生成回路270とへ同時に供給される。即ち、階調電圧の生成が開始される。
【0077】
なお、マスタドライバSD1において、第1入力スイッチング回路191及び第2入力スイッチング回路194を通して、第1基準電圧VHIN1及び第2基準電圧VLIN1の階調電圧生成回路170への供給が開始されると、第1ダイオード165及び第2ダイオード166の出力端と入力端との電位差が、第1ダイオード165及び第2ダイオード166の閾値電圧を下回る。従って、第1ダイオード165及び第2ダイオード166を通した補助電圧の階調電圧生成回路170への供給は、遮断される。スレーブドライバSD2においても、第1基準電圧VHIN1及び第2基準電圧VLIN1の階調電圧生成回路270への供給が開始されると、第1ダイオード265及び第2ダイオード266を通した補助電圧の階調電圧生成回路270への供給は、遮断される。
【0078】
以上の様に、本変形例は、第1入力スイッチング回路191及び291によって、第1基準電圧VHIN1の階調電圧生成回路170及び270への供給タイミングを制御することができる。第2基準電圧VLIN1の供給タイミングについても同様である。従って、本変形例によれば、各々の階調電圧生成回路170及び270からの階調電圧の出力タイミングを一致させることができ、第1分割表示領域DA1と第2分割表示領域DA2との間での表示画像の乱れを抑制することができる。また、階調電圧の生成開始前に補助電圧が供給されることで、階調電圧生成回路の出力が安定するため、ラッチアップの発生を抑制することができる。
【0079】
図14は、第5変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成を示す図である。
本変形例は、第1信号線ドライバSD1において、第1入力スイッチング回路(SW5)192、第1抵抗器193、第2入力スイッチング回路(SW6)195、及び第2抵抗器196を備えている点で、第4変形例と相違している。この変形例は、第1接続配線55及び第2接続配線56の配線抵抗の影響を低減することを考慮している。
【0080】
第1入力スイッチング回路192は、第1出力スイッチング回路163と一端170aとに接続され、第1入力スイッチング回路191に並列に接続されている。第1抵抗器193は、第1入力スイッチング回路192に直列に接続され、第1接続配線55と同等の抵抗値を有するものとする。第2入力スイッチング回路195は、第2出力スイッチング回路164と他端170bとに接続され、第2入力スイッチング回路194に並列に接続されている。第2抵抗器196は、第2入力スイッチング回路195に直列に接続され、第2接続配線56と同等の抵抗値を有するものとする。
【0081】
第2信号線ドライバSD2も、第1信号線ドライバSD1と同様の回路構成を備えている。即ち、第1入力スイッチング回路291に並列に接続された第1入力スイッチング(SW5)回路292、第1入力スイッチング回路292に直列に接続された第1抵抗器293、第2入力スイッチング回路294に並列に接続された第2入力スイッチング回路(SW6)295、及び第2入力スイッチング回路295に直列に接続された第2抵抗器296を備えている。
【0082】
階調電圧の生成時、第1信号線ドライバ(マスタドライバとする)SD1において第1出力スイッチング回路163及び第2出力スイッチング回路164はオン状態となり、第2信号線ドライバ(スレーブドライバとする)SD2において第1出力スイッチング回路263及び第2出力スイッチング回路264はオフ状態を維持する。第1入力スイッチング回路191、292はオフ状態となり、第1入力スイッチング回路192、291はオン状態となる。第2入力スイッチング回路194、295はオフ状態となり、第2入力スイッチング回路195、294はオン状態となる。即ち、マスタドライバSD1に備えられた電源回路160から出力された第1基準電圧VHIN1は、第1出力スイッチング回路163、第1入力スイッチング回路192、及び第1抵抗器193を順に通過して、マスタドライバSD1に備えられた階調電圧生成回路170の一端170aへ供給される。電源回路160から出力された第1基準電圧VHIN1は、第1出力スイッチング回路163、第1接続配線55、及び第1入力スイッチング回路291を順に通過して、スレーブドライバSD2に備えられた階調電圧生成回路270の一端270aへも供給される。第1抵抗器193、293の有する抵抗値R1は、第1接続配線55の配線抵抗と等しいため、第1基準電圧VHIN1は、一端170aへ供給される経路と一端270aへ供給される経路とで同等の電圧降下を受ける。このように、各抵抗器の抵抗値は、各接続配線のインピーダンスに応じて、各階調電圧生成回路への供給電圧が略等しくなるように選択される。
【0083】
同様に、マスタドライバSD1に備えられた電源回路160から出力された第2基準電圧VLIN1は、第2出力スイッチング回路164、第2入力スイッチング回路195、及び第2抵抗器196を順に通過して、マスタドライバSD1に備えられた階調電圧生成回路170の他端170bへ供給される。電源回路160から出力された第2基準電圧VLIN1は、第2出力スイッチング回路164、第2接続配線56、及び第2入力スイッチング回路294を順に通過して、スレーブドライバSD2に備えられた階調電圧生成回路270の他端270bへも供給される。第2抵抗器196、296の有する抵抗値R2は、第2接続配線56の配線抵抗と等しいため、第2基準電圧VLIN1は、他端170bへ供給される経路と他端270bへ供給される経路とで同等の電圧降下を受ける。
【0084】
以上の様な変形例によれば、表示装置DSPは、第1接続配線55及び第2接続配線56の配線抵抗に起因した、マスタドライバSD1とスレーブドライバSD2との間での階調電圧の電位レベルのズレを抑制することができる。即ち、本変形例によれば、表示装置DSPは、更に表示品位を向上させることができる。
【0085】
図15は、第6変形例に係る表示装置の回路基板とその回路構成例を示す図である。
本変形例によれば、第1信号線ドライバSD1において、第1出力スイッチング回路163の代わりに第3ダイオード167を備えており、第2出力スイッチング回路164の代わりに第4ダイオード168を備えている点で、第2実施形態と相違している。なお、第3ダイオード167は、電源回路160から第1ノード161に向けて順方向に接続されている。第4ダイオード168は、電源回路160から第2ノード162に向けて順方向に接続されている。第2信号線ドライバSD2も、第1信号線ドライバSD1と同様の回路構成を備えている。即ち、第2信号線ドライバSD2は、電源回路260から第1ノード261に向けて順方向に接続された第3ダイオード267と、電源回路260から第2ノード262に向けて順方向に接続された第4ダイオード268とを備えている。
【0086】
第1基準電圧VHIN1及び第1基準電圧VHIN2は、図7に図示したように、電源回路の性能バラつきによって、電位誤差を有する。同様に、第2基準電圧VLIN1及び第2基準電圧VLIN2も、電位誤差を有する。第1基準電圧VHIN1及び第1基準電圧VHIN2のうち、電位の高い方が、一端170a及び一端270aの両方に供給される。第2基準電圧VLIN1及び第2基準電圧VLIN2のうち、電位の高い方が、他端170b、及び他端270bの両方に供給される。即ち、マスタドライバは事前に選択されるのではなく、自動的に決定される。
【0087】
以上の様な変形例において、表示装置DSPは、各信号線ドライバの部品を削減し、製造コストを低減することができる。
【0088】
なお、全ての実施形態及びその変形例において、各々の階調電圧のズレを抑制することができるため、各々の分割表示領域に備えられた共通電極に異なる共通電圧を供給しなくても、表示装置DSPの輝度段差や表示ムラを抑制することができる。即ち、表示装置DSPは、複数の分割表示領域に亘って形成された共通電極CEを備えていてもよい。このような共通電極CEは、複数の画素電極に亘って対向し、複数の分割表示領域において同電位の共通電圧が供給されるものである。この様な表示装置DSPは、表示品位を維持したまま、構造を簡略化し、製造コストを抑制することができる。
【0089】
表示装置DSPは、高精細化が進むほど、表示領域を分割して駆動する分割駆動の必要性が高くなり、本願発明が好適に適用される。更に、表示装置DSPは、駆動速度が速くなるほど、分割駆動の必要性が高くなり、本願発明が好適に適用される。例えば、画面解像度がFHD(1920×1080)を超える場合や、フレーム周波数として倍速駆動を行う場合、第1実施形態又は第2実施形態の表示装置DSPが好適に用いられる。
【0090】
なお、本願発明において、分割表示領域の数は、特に限定されるものではない。従って、表示領域が2つ以上の領域に分割されて駆動される場合、第1実施形態又は第2実施形態の表示装置DSPが、好適に用いられる。また、図13図14では、図面上で表示装置が横長に示されているが、使用時は、90度回転した状態で使用されてもよい。さらに、この表示装置は、表示領域が縦長になるように構成されてもよい。
【0091】
実施形態によると、種々の要点を備えるものであり、以下のように記述することもできる。
【0092】
(1)複数の分割表示領域DA1、DA2、DA3、DA4を有しかつ非表示領域NDAで囲まれた表示領域DAに画像を表示する表示パネルPNLと、前記複数の分割表示領域へ対応するデータ信号をそれぞれ供給する複数の信号線ドライバSD1、SD2、SD3、SD4と、前記複数の信号線ドライバへ前記データ信号を生成するための階調電圧GV1、GV2、GV3、GV4をそれぞれ供給する複数の回路基板1、2、3、4と、前記複数の回路基板にそれぞれ備えられた複数の電源回路121、221、321、421と、前記複数の前記回路基板にそれぞれ備えられ、対応する前記電源回路に接続された複数の階調電圧生成回路123、223、323、423と、前記複数の回路基板の中から選択された1つのマスタ基板2と、前記マスタ基板に備えられた1つの前記電源回路221から、すべての前記回路基板内の前記階調電圧生成回路に基準電圧VREFを供給するための基準電圧供給系統511、521、531と、を備える、表示装置。
【0093】
(2)前記複数の階調電圧生成回路123、223、323、423の基準電圧入力部にそれぞれ接続された複数のスイッチング回路SW2と、をさらに備え、前記複数の電源回路121、221、321、421の出力が立ち上がった後に同時に前記複数のスイッチング回路SW2がオンされる、(1)に記載の表示装置。
【0094】
(3)各々の前記回路基板1、2、3、4において、前記階調電圧生成回路123、223、323、423の基準電圧入力部と前記マスタ基板2内の前記電源回路221との間に複数のパスが構成され、各々の前記パスは抵抗値が異なり、各々の前記パスはスイッチング回路SW3、SW4、SW5、SW6を備え、前記階調電圧生成回路と前記マスタ基板の前記電源回路との間の前記基準電圧供給系統511、521、531のインピーダンスに応じて選択された1つのパスのスイッチング回路SW2のみがオン制御される、(1)に記載の表示装置。
【0095】
(4)前記基準電圧供給系統は、第1と第2の基準電圧VREFA、VREFBの供給系統を備え、前記マスタ基板2内で前記電源回路221からの基準電圧は、抵抗値の異なる前記第1の基準電圧供給系統511、521、531と前記第2の基準電圧供給系統512、522、532に分岐し、前記マスタ基板から遠い回路基板内では抵抗値の低い方の基準電圧供給系統512、522、532からの基準電圧VREFBが使用される、(1)に記載の表示装置。
【0096】
(5)前記複数の回路基板にそれぞれ備えられた複数の電源回路121、221、321、421は、それぞれ順方向にダイオード124、224、324、424を介して前記基準電圧供給系統に接続されている、(1)に記載の表示装置。
【0097】
(6)前記複数の回路基板にそれぞれ備えられた複数の電源回路121、221、321、421は、それぞれスイッチング回路SW1を介して前記基準電圧供給系統に接続されている、(1)に記載の表示装置。
【0098】
(7)第1と第2の分割表示領域DA1、DA2を有しかつ非表示領域NDAで囲まれた表示領域DAに画像を表示する表示パネルPNLと、階調電圧生成回路170、270と電源回路160、260をそれぞれが備え、前記階調電圧生成回路から出力される階調電圧に基づいて、前記第1と第2の分割表示領域へそれぞれ供給するためのデータ信号を生成し、前記電源回路と前記階調電圧生成回路との間にはスイッチング回路(SW1)163、263を備える、第1と第2の回路SD1、SD2と、前記第1の回路の前記階調電圧生成回路170の電圧供給端子170aと、前記第2の回路の前記階調電圧生成回路の電圧供給端子270aが基準電圧供給系統55を介して接続され、前記第1の回路がマスタ回路となり、第2の回路がスレーブ回路となり、前記マスタ回路の前記スイッチング回路163がオンし、前記スレーブ回路の前記スイッチング回路263がオフし、前記第1の回路の前記電源回路160の出力する電源電圧VHIN1が前記第1の回路及び前記第2の回路の前記階調電圧生成回路の階調電圧生成用に用いられる、表示装置。
【0099】
(8)前記第1及び第2の階調電圧生成回路の前記基準電圧供給端子170a、270aにそれぞれ接続されたスイッチング回路SW3をさらに備え、前記第1及び第2の電源回路の出力が立ち上がった後に同時に前記スイッチング回路SW3がオンされる、(7)に記載の表示装置。
【0100】
(9)前記第1及び第2の階調電圧生成回路の前記基準電圧供給端子170a、270aにそれぞれ接続された第1のスイッチング回路SW3と第2のスイッチング回路SW5とをさらに備え、前記第1及び第2回路において、前記第1のスイッチング回路SW3に対して第1のパスが構成され、前記第2のスイッチング回路SW5に対して前記第1のパスとは抵抗値が異なる第2のパスが構成され、前記第2のパスの前記抵抗値は、前記第1の回路の前記電源回路160と前記第2の回路との間の前記接続配線55のインピーダンスに応じて選択されている、(7)に記載の表示装置。
【0101】
(10)前記基準電圧供給系統55は、第1と第2の配線系統を備え、前記第1の回路SD1内で前記電源回路160から出力された基準電圧VHIN1は、抵抗値の異なる前記第1の基準電圧供給系統と前記第2の基準電圧供給系統に分岐し、前記第2の回路SD2内では抵抗値の低い方の基準電圧供給系統からの基準電圧が使用される、(7)に記載の表示装置。
【0102】
(11)前記第1及び第2の回路のそれぞれに備えられた前記スイッチング回路SW3に対してそれぞれ並列に接続された第1のダイオード165及び第2のダイオード166を備える、(8)に記載の表示装置。
【0103】
(12)前記第1及び第2の回路にそれぞれ備えられた第1及び第2の電源回路160、260は、それぞれスイッチング回路SW1を介して前記基準電圧供給系統55に接続されている、(7)に記載の表示装置。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の改善が可能な高精細の表示装置を提供することができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1…第1回路基板 2…第2回路基板 3…第3回路基板 4…第4回路基板
121、221、321、421…電源回路
123、223、323、423…階調電圧生成回路
140、240、340、440…出力スイッチング回路
141、241、341、441…入力スイッチング回路
122、222、322、422…ダイオード
N11、N21、N31、N41…第1ノード
N12、N22、N32、N42…第2ノード
511…第1接続配線 521…第2接続配線 531…第3接続配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15