特許第6543606号(P6543606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543606
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】木材プレカット加工設備
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20190628BHJP
   B27B 25/00 20060101ALI20190628BHJP
   B27B 31/04 20060101ALI20190628BHJP
   B27C 1/12 20060101ALI20190628BHJP
   B27M 1/08 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   B27B25/00 B
   B27B31/04
   B27C1/12 B
   B27M1/08 Z
【請求項の数】5
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2016-227647(P2016-227647)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-84956(P2018-84956A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2017年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390017385
【氏名又は名称】宮川工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】仲村 泰政
(72)【発明者】
【氏名】小松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】星野 吉彦
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−269575(JP,A)
【文献】 特開平09−104004(JP,A)
【文献】 特開2002−054223(JP,A)
【文献】 特開2000−343458(JP,A)
【文献】 特開平11−277504(JP,A)
【文献】 特開2016−083896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B27B 25/00
B27B 31/04
B27C 1/12
B27M 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置と、前記複数台の加工装置のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置と、前記複数台の加工装置による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする木材プレカット加工設備。
(1A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(1B)前記プレカット加工制御装置は、
(1B1)前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(1B2)前記加工順決定手段は、前記各加工装置が備えている加工用の工具の配置及び動作方向、前記プレカットデータ中の加工部位及び使用する工具、及び、前記複数台の横転装置の設置状況、の対応関係から、前記各加工装置において加工対象となっている木材に対して、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えずに実行可能な第1の加工と、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えて実行する必要がある第2の加工とが共に抽出されたときは、当該第1の加工と第2の加工との間に実行するための横転動作を、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置に実行させる様に加工順を決定する手段として構成されていること。
(1C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(1D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
【請求項2】
木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置と、前記複数台の加工装置のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置と、前記複数台の加工装置による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする木材プレカット加工設備。
(2A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(2B)前記プレカット加工制御装置は、前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(2C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(2D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
2E)前記木材搬送装置に対して設置された横転装置は、当該木材搬送装置に載置された状態の木材を90度刻みで横転して当該木材搬送装置に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
2F)前記排出装置の直前に設置された木材搬送装置には、当該木材搬送装置に載置された状態の木材を材幅方向に押し出す押し出し装置と、該押し出し装置によって押し出された木材を載置する載置台と、該載置台に載置された木材を材幅方向に移動させて前記排出装置へと排出する排出機構とが設置され、前記排出装置に対して設置された横転装置は、一方のローラに巻き付けられるときに他方のローラから繰り出される様に駆動されるローラ対の間に掛け渡す様に巻き付けたベルトを下方に撓ませる様に備えた横転ユニットを複数台備え、前記横転ユニットを上昇させることによって前記ベルトで木材を下方から掬い上げ、上昇位置において前記ローラ対を構成する各ローラを同じ方向に回転させることにより前記ベルトを所定方向に繰り出しつつ巻き付けて掬い上げた木材を横転させる動作を実行する様に構成されると共に、前記ローラ対を構成するローラの回転数を検出するエンコーダを備え、前記プレカット加工制御装置は、前記プレカットデータによって特定される木材の材幅及び材成と、前記エンコーダによる検出信号との対応関係に基づいて、木材の横転中の角度を特定して、90度刻みの所望の角度で木材の横転を停止する横転角度制御を実行する手段として構成され、前記載置台に載置された状態の木材を90度刻みで横転させて当該載置台に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
【請求項3】
木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置と、前記複数台の加工装置のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置と、前記複数台の加工装置による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする木材プレカット加工設備。
(3A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(3B)前記プレカット加工制御装置は、前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(3C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(3D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
(3E)前記排出装置及び木材搬送装置の少なくとも一つに対して設置した横転装置は、一方のローラに巻き付けられるときに他方のローラから繰り出される様に駆動されるローラ対の間に掛け渡す様に巻き付けたベルトを下方に撓ませる様に備えた横転ユニットを複数台備え、前記横転ユニットを上昇させることによって前記ベルトで木材を下方から掬い上げ、上昇位置において前記ローラ対を構成する各ローラを同じ方向に回転させることにより前記ベルトを所定方向に繰り出しつつ巻き付けて掬い上げた木材を横転させる動作を実行する様に構成されると共に、前記ローラ対を構成するローラの回転数を検出するエンコーダを備え、前記プレカット加工制御装置は、前記プレカットデータによって特定される木材の材幅及び材成と、前記エンコーダによる検出信号との対応関係に基づいて、木材の横転中の角度を特定して、90度刻みの所望の角度で木材の横転を停止する横転角度制御を実行する手段として構成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木材プレカット加工設備。
(4)前記加工順決定手段は、印字加工を実行する加工装置に対する加工順を決定する際には、木材を横転をすることなく印字が可能な場合は印字動作を優先して加工順を決定する手段として構成されていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木材プレカット加工設備。
(5A)前記複数台の横転装置は、それぞれ、3台以上の横転ユニットを連動させて横転動作を実行させる装置として構成され、前記3台以上の横転ユニットを、プレカット加工の対象として設定された最小長さの木材を跨らせることのできる間隔となる様に2台が位置すると共に、当該2台の横転ユニットの外側に他の横転ユニットが位置する様に、前記横転装置が設置された木材搬送装置の長手方向に沿って配置した装置として構成されていること。
(5B)前記横転装置を設置した木材搬送装置には、木材の端部を検出する様に、センサが長手方向に間隔をあけて複数設置されていること。
(5C)前記プレカット加工制御装置は、前記横転装置による横転を実行する前に、当該横転装置が設置された木材搬送装置に長手方向への搬送動作を実行させると共に、当該搬送動作の間に前記センサから入力される検出信号に基づき、横転の対象となっている木材を、前記3台以上の横転ユニットの内の2台以上に跨り、かつ、跨った両端の横転ユニットの間に重心が位置する様に位置決めする横転位置決め制御を実行する手段として構成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材プレカット加工設備に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、出願人は、横転ユニットを設置して木材を横転させながら4面に対して側面加工を行う様にした柱材加工機や(例えば、特許文献1)、排出時に反転受け渡し装置によって横架材の下面(印字面)を上向きにする様にした横架材加工機(例えば、特許文献2)を提案してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4339084号公報
【特許文献2】特許第3320644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、金物工法の発達により、新たな金物が次々と開発され、プレカット加工設備が備えるべき工具の種類が増加する傾向にある。また、加工済み材の梱包・出荷等に当たって印字された情報を見易く排出する要望も高い。加えて、設備の大型化等を抑制するために柱材も横架材もプレカット加工することができる設備の要望も高い。そして、最も重要な点は、この様な各種の事情や要望に的確に対応しつつ、より一層のサイクルタイムの向上に資するプレカッット加工設備が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、上述の各種事情や要望に応えるべく、横転を効率的に実行することで、木材プレカット加工設備におけるサイクルタイムの短縮に資することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の木材プレカット加工設備は、複数台の加工装置により、木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工を実行するプレカット加工設備であって、前記複数台の加工装置の間で上流側の加工装置によって加工された加工材の全長を載置可能で当該加工材を長手方向に搬送するための加工材搬送用の木材搬送装置と、最も上流側の加工装置に対して素材を長手方向に搬送して投入するための素材投入用の木材搬送装置と、最も下流側の加工装置から加工済み材を長手方向に搬送して取り出すため加工済み材取り出し用の木材搬送装置とを設置し、前記加工済み材を前記加工済み材取り出し用の木材搬送装置から材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された素材に対するプレカット加工制御と、前記加工済みの印字面を上向きとして排出する排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする。
(1A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(1B)前記プレカット加工制御装置は、
(1B1)前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(1B2)前記加工順決定手段は、前記各加工装置が備えている加工用の工具の配置及び動作方向、前記プレカットデータ中の加工部位及び使用する工具、及び、前記複数台の横転装置の設置状況、の対応関係から、前記各加工装置において加工対象となっている木材に対して、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えずに実行可能な第1の加工と、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えて実行する必要がある第2の加工とが共に抽出されたときは、当該第1の加工と第2の加工との間に実行するための横転動作を、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置に実行させる様に加工順を決定する手段として構成されていること。
(1C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(1D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
同じく、上記目的を達成するためになされた本発明は、木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置と、前記複数台の加工装置のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置と、前記複数台の加工装置による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする木材プレカット加工設備とすることもできる。
(2A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(2B)前記プレカット加工制御装置は、前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(2C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(2D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
(2E)前記木材搬送装置に対して設置された横転装置は、当該木材搬送装置に載置された状態の木材を90度刻みで横転して当該木材搬送装置に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
(2F)前記排出装置の直前に設置された木材搬送装置には、当該木材搬送装置に載置された状態の木材を材幅方向に押し出す押し出し装置と、該押し出し装置によって押し出された木材を載置する載置台と、該載置台に載置された木材を材幅方向に移動させて前記排出装置へと排出する排出機構とが設置され、前記排出装置に対して設置された横転装置は、一方のローラに巻き付けられるときに他方のローラから繰り出される様に駆動されるローラ対の間に掛け渡す様に巻き付けたベルトを下方に撓ませる様に備えた横転ユニットを複数台備え、前記横転ユニットを上昇させることによって前記ベルトで木材を下方から掬い上げ、上昇位置において前記ローラ対を構成する各ローラを同じ方向に回転させることにより前記ベルトを所定方向に繰り出しつつ巻き付けて掬い上げた木材を横転させる動作を実行する様に構成されると共に、前記ローラ対を構成するローラの回転数を検出するエンコーダを備え、前記プレカット加工制御装置は、前記プレカットデータによって特定される木材の材幅及び材成と、前記エンコーダによる検出信号との対応関係に基づいて、木材の横転中の角度を特定して、90度刻みの所望の角度で木材の横転を停止する横転角度制御を実行する手段として構成され、前記載置台に載置された状態の木材を90度刻みで横転させて当該載置台に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
さらに、上記目的を達成するためになされた本発明は、木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置と、前記複数台の加工装置のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置と、前記複数台の加工装置による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置と、前記排出装置に対して設置された横転装置と、プレカットデータに基づいて前記加工装置,木材搬送装置及び横転装置に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備えることを特徴とする木材プレカット加工設備とすることもできる。
(3A)前記素材投入用、加工材搬送用、加工済み材取り出し用の各木材搬送装置の内のいずれかの木材搬送装置に対して横転装置を設置することにより、前記複数台の加工装置のそれぞれについて、当該加工装置に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に対し、間に他の加工装置を介在させることなく横転装置を備えさせ、設備全体として複数台の横転装置を備えさせたこと。
(3B)前記プレカット加工制御装置は、前記プレカット加工制御において、前記各加工装置ごとに、当該加工装置による加工の開始前及び加工の途中における横転の要否を判断し、横転が必要な場合は、当該加工装置の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置による横転を、加工の開始前又は途中で実行させる様に、加工位置への木材の搬送と加工位置での個々の加工とをどの様な順番で実行するかを各加工装置ごとに決定する加工順決定手段であって、下流側に位置する加工装置に対する加工順決定に当たっては、上流側に位置する加工装置に対して決定した加工順における横転動作の有無を反映させる手段を備えていること。
(3C)前記プレカット加工制御装置は、前記排出制御として、前記加工済み材に対し、前記加工順決定手段が前記複数台の加工装置に対して決定した加工順に従って実行されてきた横転動作の結果に基づいて、前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する制御を実行すること。
(3D)前記横転装置は、90度刻みで木材の横転が可能な装置として構成され、前記プレカット加工制御装置は、前記各加工装置において加工の対象となっている木材に対し、前記横転装置の90度刻みの木材横転能力を利用して、前記加工順決定手段の決定した加工順における横転動作を実行させる手段として構成されていること。
(3E)前記排出装置及び木材搬送装置の少なくとも一つに対して設置した横転装置は、一方のローラに巻き付けられるときに他方のローラから繰り出される様に駆動されるローラ対の間に掛け渡す様に巻き付けたベルトを下方に撓ませる様に備えた横転ユニットを複数台備え、前記横転ユニットを上昇させることによって前記ベルトで木材を下方から掬い上げ、上昇位置において前記ローラ対を構成する各ローラを同じ方向に回転させることにより前記ベルトを所定方向に繰り出しつつ巻き付けて掬い上げた木材を横転させる動作を実行する様に構成されると共に、前記ローラ対を構成するローラの回転数を検出するエンコーダを備え、前記プレカット加工制御装置は、前記プレカットデータによって特定される木材の材幅及び材成と、前記エンコーダによる検出信号との対応関係に基づいて、木材の横転中の角度を特定して、90度刻みの所望の角度で木材の横転を停止する横転角度制御を実行する手段として構成されていること。
なお、本発明のプレカット加工設備においては、さらに、以下の構成をも備えさせることができる。
)前記加工順決定手段は、印字加工を実行する加工装置に対する加工順を決定する際には、木材を横転をすることなく印字が可能な場合は印字動作を優先して加工順を決定する手段として構成されていること。
【0007】
本発明の木材プレカット加工設備によれば、複数台の加工装置のそれぞれについて木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された木材搬送装置に対しても横転装置を設置し、加工順決定手段が、各加工装置が備えている加工用の工具の配置及び動作方向、プレカットデータ中の加工部位及び使用する工具、及び、横転装置の設置状況、の対応関係から、各加工装置において加工対象となっている木材に対して、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えずに実行可能な第1の加工と、当該加工装置に投入する際の基準面の向きを変えて実行する必要がある第2の加工とが共に抽出されたときは、当該第1の加工と第2の加工との間に実行するための横転動作を、当該加工装置の投入側又は取り出し側に設置された横転装置に実行させる様に加工順を決定する。そして、プレカット加工制御装置は、排出制御として、加工順決定手段による横転動作の結果に基づいて排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する。
【0008】
ここで、基準面を上向きにして木材を投入し、基準面の反対側の面に対して下方から印字を行うこととした木材プレカット加工設備において、上流側から第1の加工装置、第2の加工装置の順に複数台の加工装置が設置され、第1の加工装置、第2の加工装置の双方について木材を投入する側の木材搬送装置に横転装置が設置され、印字は第2の加工装置において実行する構成となっている場合を例に説明する。
【0009】
[ケース1]
ある木材に対するプレカットデータが、第1の加工装置、第2の加工装置について、それぞれ、基準面が上向きで実行可能な加工と基準面を横向きにして実行すべき加工とがあった場合、加工順決定手段は、[投入]→[第1の加工(第1の加工装置)]→[戻し]→[横転]→[投入]→[第2の加工(第1の加工装置)]→[取り出し]→[投入]→[第2の加工(第2の加工装置)]→[戻し]→[横転]→[投入]→[第1の加工及び印字(第2の加工装置)]→[取り出し]と加工順を決定し、排出制御における横転角度=[180度]が設定される。第1の加工装置に投入する段階の木材の基準面は上向きであり、第2の加工装置に投入する段階の木材の基準面は横向きであり、第2の加工装置から取り出された木材の基準面は上向きとなっているからである。
【0010】
[ケース2]
他の木材に対するプレカットデータが、第1の加工装置について基準面を上向きのままで実行可能な加工だけが存在し、第2の加工装置については基準面を上向きのままで実行可能な加工と基準面を横向きにして実行すべき加工とがあった場合、加工順決定手段は、[投入]→[第1の加工(第1の加工装置)]→[取り出し]→[投入]→[第1の加工及び印字(第2の加工装置)]→[戻し]→[横転]→[第2の加工(第2の加工装置)]→[取り出し]と加工順を決定し、排出制御における横転角度=[90度(又は270度若しくは−90度)]が設定される。第1の加工装置及び第2の加工装置に投入する段階の木材の基準面は上向きであり、第2の加工装置から取り出された木材の基準面は横向きとなっているからである。
【0011】
[ケース3]
さらに他の木材に対するプレカットデータが、第1の加工装置について基準面を横向きにして実行可能な加工だけが存在し、第2の加工装置については基準面を上向きのままで実行可能な加工と基準面を横向きにして実行すべき加工とがあった場合、加工順決定手段は、[横転]→[投入]→[第2の加工(第1の加工装置)]→[取り出し]→[投入]→[第2の加工(第2の加工装置)]→[戻し]→[横転]→[第1の加工及び印字(第2の加工装置)]→[取り出し]と加工順を決定し、排出制御における横転角度=[180度]が設定される。第1の加工装置に投入する段階の木材の基準面は上向きであり、第2の加工装置に投入する段階の木材の基準面は横向きであり、第2の加工装置から取り出された木材の基準面は上向きとなっているからである。
【0012】
なお、横転装置が木材の取り出し側の木材搬送装置に設置されている場合は、[ケース1]〜[ケース3]において[戻し]→[横転]→[投入]となっている加工順は、[取り出し]→[横転]→[戻し]となる。
【0013】
この様に、本発明によれば、複数台の加工装置のそれぞれにおいて実行する加工は、各加工装置に対応する木材搬送装置に設置した横転装置による横転を必要に応じて実行し、第1の加工又は第2の加工を連続的に実行する。この結果、プレカット加工におけるサイクルタイムを短縮することができる。そして、加工順決定手段による横転動作の結果に基づいて排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定するから、排出装置に排出した木材の印字面を上向きとすることができ、加工済みの木材の集配・梱包等の作業に対する支障も生じない。加えて、本発明の木材プレカット加工設備によれば、各加工装置のそれぞれに対して、木材の投入側又は取り出し側の木材搬送装置に対して横転装置を設置したことにより、様々な加工が個々の構造部材に対して設計されたり、新たな金物が次々と開発される中にあってもサイクルタイムを短縮し得る加工順の決定を可能にし、木材プレカット加工設備におけるサイクルタイムの向上に資することができる。また、柱材及び横架材の両方に適用可能な設備においては、加工軸を増加させることなく柱材特有の横転を伴う加工を可能にし、もって、当該設備におけるサイクルタイムの短縮に資することができる。
【0014】
ここで、本発明の木材プレカット加工設備は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
A)前記複数台の横転装置は、それぞれ、3台以上の横転ユニットを連動させて横転動作を実行させる装置として構成され、前記3台以上の横転ユニットを、プレカット加工の対象として設定された最小長さの木材を跨らせることのできる間隔となる様に2台が位置すると共に、当該2台の横転ユニットの外側に他の横転ユニットが位置する様に、前記横転装置が設置された木材搬送装置の長手方向に沿って配置した装置として構成されていること。
B)前記横転装置を設置した木材搬送装置には、木材の端部を検出する様に、センサが長手方向に間隔をあけて複数設置されていること。
C)前記プレカット加工制御装置は、前記横転装置による横転を実行する前に、当該横転装置が設置された木材搬送装置に長手方向への搬送動作を実行させると共に、当該搬送動作の間に前記センサから入力される検出信号に基づき、横転の対象となっている木材を、前記3台以上の横転ユニットの内の2台以上に跨り、かつ、跨った両端の横転ユニットの間に重心が位置する様に位置決めする横転位置決め制御を実行する手段として構成されていること。
【0015】
かかる構成をも備えることにより、様々な長さの構造部材に対して、的確な横転を可能にし、その結果、上述のサイクルタイムの短縮をより確実なものとすることができる。
【0019】
ベルトを用いた横転ユニットは、様々な材幅・材成の木材を、掬い上げた状態で90度、180度、270度(若しくは−90度)と、任意の角度に横転させることができ、しかも、そのための横転スペースをとることもない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、横転を効率的に実行することで、木材プレカット加工設備におけるサイクルタイムの短縮に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1のプレカット加工設備の全体の概略平面図である。
図2】実施例1における素材投入コンベアを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図3】実施例1における素材投入コンベアの横転装置を示し、(A1),(A2)は背面図、(B1),(B2)は右側面図、(C1),(C2)は横転ユニット上昇時の要部の右側面図である。
図4】実施例1における素材投入コンベアの横転装置を示し、(A)は一部断面で表した横転ユニットの正面図、(B)はその要部拡大図、(C)は横転装置における方向切換弁の動作状態説明図である。
図5】実施例1における横転ユニットの横転動作の流れを示し、(A1)〜(A4)は布ベルトの動きを示す右側面図、(B1)〜(B4)は布ベルト駆動用のエアシリンダの動作を示す右側面図、(C1)〜(C4)は布ベルト駆動用のエアシリンダの動作を示す背面図である。
図6】実施例1における加工材投入コンベアを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図7】実施例1における排出コンベアを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図8】実施例1において加工済み材を排出する際の押し出し装置の動作を示す左側面図である。
図9】実施例1において加工済み材を排出する際の横転装置の動作を示す左側面図である。
図10】実施例1において加工済み材を排出する際の排出装置の動作を示す左側面図である。
図11】実施例1における制御系統の構成を示すブロック図である。
図12】実施例1で実施するプレカット加工制御における処理手順を示すフローチャートである。
図13】実施例1で実施するプレカット加工制御における処理手順を示すフローチャートである。
図14】実施例1で実施するプレカット加工制御における処理手順を示すフローチャートである。
図15】実施例1における工具の種類と配置を例示し、(A)は側面加工・全長切断装置の平面図、(B)は同じく正面図、(C)は端部加工・印字装置の平面図、(D)は同じく正面図である。
図16】住宅設計例を示す斜視図である。
図17】住宅設計例に示した小屋束001,小屋束002,柱1015,柱1016,梁1012,梁1013に対するプレカットデータのイメージを示す説明図である。
図18】実施例1における加工手順の決定例を示す説明図である。
図19】実施例1における素材投入コンベアのセンサ配置等を示す説明図である。
図20】実施例1において実行する素材投入前の横転に際しての位置決めパターンの説明図である。
図21】実施例1において実行する加工材戻し横転に際しての位置決めパターンの説明図である。
図22】実施例1における加工材投入コンベアのセンサ配置等を示す説明図である。
図23】実施例1において実行する加工材投入前の横転に際しての位置決めパターンの説明図である。
図24】実施例1において実行する加工材戻し横転に際しての位置決めパターンの説明図である。
図25】実施例1における排出コンベアのセンサ配置等と、排出時の位置決めパターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を適用した木材プレカット加工設備1の実施例を説明する。
【実施例1】
【0023】
[1 設備全体の概要]
実施例の木材プレカット加工設備1は、図1に示す様に、上流側から、素材投入横移送コンベア10、素材投入コンベア20、側面加工・全長切断装置30、取り出しコンベア40、加工材横移送コンベア50、加工材投入コンベア60、端部加工・印字装置70、排出コンベア80、排出ホイールコンベア90、及び傾斜式排出レール95を備えている。
【0024】
素材投入横移送コンベア10は、4条のチェーンスラッシャ11〜14で構成されている。素材を投入する際には、図2(A)に示す様に、中央の2条のチェーン12,13を跨ぐ様に素材W01,W02を載置する。このとき、素材が柱材加工用であるときは、伏図作成時の始点を前端側として南面を下に向けた状態でチェーンスラッシャに載置する。また、素材が横架材加工用であるときは、伏図作成時の始点を前端側として上面を下に向けた状態でチェーンスラッシャに載置する。なお、伏図作成時における始点は、柱材にあっては建築時の下端とするが、横架材にあっては両端の内の一方を伏図作成者が任意に指定することとしている。また、本実施例においては、柱材には南面の後端付近に、横架材には上面の全長にかけて、施主名や通り番地等の当該部材を特定する情報を印字することとしている。また、取り付ける金物に関する情報などは、柱材にあっては南面の当該金物の取付位置の近傍に、横架材にあっては上面の当該金物の取付位置の近傍に、印字する。上述の様に、伏図作成時における柱材加工用の木材は南面を下向きとし、横架材加工用の木材は上面を下向きとする様に素材を投入するから、素材投入時に下を向いている面、即ち、ローラに接地している面が印字面となっている。これは、木材の材成は一定でなく、多種に亘るため印字面をローラ面にすることで印字装置の移動機構を設けることなく固定型にすることで機械の複雑化を防ぐことができるからである。
【0025】
素材投入横移送コンベア10から材幅方向に横移送して投入した素材は、素材投入コンベア20で長手方向に搬送して側面加工・全長切断装置30へと投入され、全長切断と側面加工とが施される。全長切断は、投入方向に搬送し各ユニット位置に加工位置が到達した順に加工を施し、各ユニット位置より先に全長切断位置に到達した場合、全長切断を行ったあとさらに投入方向に搬送し各ユニットによる加工を施すことで木材を戻すことなく全ての加工、切断を行うことでサイクルタイムを短くしている。横転が必要な場合は、横転が必要ない面をまず投入方向に搬送、加工し、横転が必要な面と全長切断を残した状態で素材投入コンベア20へ戻し、横転、投入し各ユニット位置に到達した順に加工、切断を行い排出する。こうした側面加工、全長切断等に際しての木材の位置決めは、取り出しコンベア40に沿って設置されたガイドレール45によりガイドされた移送位置決め装置35によって実行する。
【0026】
素材投入コンベア20には、ローラ上に載置された木材を、その軸心周りに、90度,180度,270度(若しくは−90度,−180度,−270度)と、90度刻みで横転させるための横転ユニット210A〜210Cを備えた横転装置200が設置されている。この横転装置200は、側面加工・全長切断装置30へと投入する前に木材を所定角度だけ横転させることにより、側面加工の対象となる面を加工用の工具が加工動作を実行可能な方向に向かせるためのものである。
【0027】
本実施例においては、側面加工・全長切断装置30による加工は、木材の基準面(伏図における柱材の南面、横架材の上面)の向きを変えることなく実行可能な側面加工を木材の全長に渡って連続して実行することとしている。そして、木材の基準面の向きを変えなければ実行できない側面加工があるときに、横転装置200によって木材の基準面の向きを変えることとしている。
【0028】
このため、ある木材について、素材投入時の基準面の向きを変える必要がない加工(第1の加工)と、素材投入時の基準面の向きを変える必要がある加工(第2の加工)とが混在している場合は、素材投入コンベア20に載置された木材は、横転させることなくそのまま側面加工・全長切断装置30へと投入し、移送位置決め装置35で位置決めを実行しつつ長手方向へ連続的に搬送しつつ側面加工を実行した後、側面加工・全長切断装置30から素材投入コンベア20へと木材を戻した上で横転装置200を作動させて基準面の向きを変えてから再び側面加工・全長切断装置30へと投入して側面加工及び全長切断を実行する。
【0029】
また、ある木材について、素材投入時の基準面の向きを変える必要がある加工(第2の加工)のみである場合は、素材投入横移送コンベア10から材幅方向に横移送されてきた木材は、横転装置200によって横転を実行し、第2の加工を実行可能な向きとなる様に基準面の向きを変えてから側面加工・全長切断装置30へと投入し、移送位置決め装置35で位置決めを実行しつつ長手方向へ連続的に搬送しつつ側面加工及び全長切断を実行する。
【0030】
なお、ある木材について、素材投入時の基準面の向きを変える必要のない加工(第1の加工)のみである場合は、素材投入横移送コンベア10から材幅方向に横移送されてきた木材は、横転をすることなく側面加工・全長切断装置30へと投入し、移送位置決め装置35で位置決めを実行しつつ長手方向へ連続的に搬送しつつ側面加工及び全長切断を実行する。
【0031】
側面加工・全長切断装置30による加工が完了した加工材は、取り出しコンベア40から材幅方向に横移送し、加工材横移送コンベア50へと送り出す。このとき、加工材の長さに応じて、図6(A)に示す様に、加工材横移送コンベア50を構成する4列の横送りコンベア51〜54の内の中央2列のコンベア52,53の中心と加工材W11,W12の中心とがほぼ一致する様に、取り出しコンベア40上での加工材取り出し位置の位置決めを行っている。なお、取り出しコンベア40のローラに載置された木材の基準面の向きは、横転が行われている場合には、素材投入時の基準面の向きとは異なる向きとなっている。
【0032】
加工材横移送コンベア50によって材幅方向に横移送された加工材は、加工材投入コンベア60による長手方向への搬送によって端部加工・印字装置70へと投入される。加工材投入コンベア60にも、端部加工によるスリット溝等の方向を溝切り用丸鋸等の工具の加工方向に合わせたり、印字面を印字装置に対面させる様に、加工材に対して90度(若しくは−270度),180度(若しくは−180素),270度(若しくは−90度)の横転を行うための横転ユニット610A〜610Cを備えた横転装置600が設置されている。
【0033】
端部加工・印字装置70による端部加工や印字も、側面加工・全長切断装置30における加工と同じく、木材の基準面(伏図における柱材の南面、横架材の上面)の向きを変えることなく実行可能な端部加工及び印字を加工材の全長に渡って連続して実行することとしている。そして、木材の基準面の向きを変えなければ実行できない端部加工及び印字があるときに、横転装置600によって木材の基準面の向きを変えることとしている。
【0034】
ここで、側面加工・全長切断においては、素材投入時の基準面の向きを変える必要がない加工が「第1の加工」、素材投入時の基準面の向きを変える必要がある加工を「第2の加工」であった。しかし、端部加工・印字においては、側面加工・全長切断装置30による加工を終えて取り出しコンベア40へと取り出されたときの基準面の向きを基準とし、基準面の向きを変える必要がない加工を「第1の加工」、基準面の向きを変える必要がある加工を「第2の加工」とする。
【0035】
上述の様に、側面加工・全長切断において「第2の加工」が存在した場合は、基準面の向きは素材投入時の基準面の向きとは異なる方向を向いた状態となる。従って、端部加工・印字装置70における加工に際しての「第1の加工」であるか「第2の加工」であるかは、側面加工・全長切断装置30による「第2の加工」の有無によって変わってくることとなる。従って、端部加工・印字装置70による加工に「第1の加工」があるか否か、「第2の加工」があるか否かは、素材投入時の基準面の向きを変える必要があるかないかではなく、加工材投入コンベア60に載置された加工材における基準面の向きを変える必要があるか否かという判断を行うこととなる。ただし、印字は素材投入時の基準面に行うため、素材投入時の基準面と加工材投入時の基準面が一致しているか否かという判断を行うこととなる。
【0036】
そして、素材投入時の基準面と加工材投入時の基準面が同一の場合で、端部加工・印字装置70による加工に「第1の加工」,「第2の加工」が共に存在する場合は、まず、加工材投入コンベア60に載置された状態のままで加工材を長手方向に搬送しつつ端部加工・印字装置70による加工及び印字を実行し、その後に加工材投入コンベア60へと戻して横転装置600による横転を実行した後、再び端部加工・印字装置70へと長手方向に搬送して加工を行うこととなり、「第2の加工」のみであるときは、まず、加工材投入コンベア60に載置された状態のままで加工材を長手方向に搬送しつつ端部加工・印字装置70による印字を実行し、その後に加工材投入コンベア60へと戻して横転装置600による横転を実行した後、再び端部加工・印字装置70へと長手方向に搬送して加工を行い、「第1の加工のみ」である場合は横転装置600を作動させることなく端部加工・印字装置70へと送り込み加工及び印字を行い、加工無しの場合は加工材投入コンベア60に載置されたままの状態のままで加工材を長手方向に搬送しつつ端部加工・印字装置70による印字を行うこととなる。また、素材投入時の基準面と加工材投入時の基準面が異なる場合で、端部加工・印字装置70による加工に「第1の加工」,「第2の加工」が共に存在する場合は、まず、加工材投入コンベア60に載置された状態のままで加工材を長手方向に搬送しつつ端部加工・印字装置70による加工を実行し、その後に加工材投入コンベア60へと戻して横転装置600による横転を実行した後、再び端部加工・印字装置70へと長手方向に搬送して加工及び印字を行うこととなり、「第2の加工」のみであるときは、端部加工・印字装置70へと送り込む前に横転装置600で横転を行い、端部加工・印字装置70へと送り込み加工及び印字を行い、「第1の加工」のみである場合は、まず、加工材投入コンベア60に載置された状態のままで加工材を長手方向に搬送しつつ端部加工・印字装置70による加工を実行し、その後に加工材投入コンベア60へと戻して横転装置600による横転を実行した後、再び端部加工・印字装置70へと長手方向に搬送して印字を行い、加工無しの場合は端部加工・印字装置70へと送り込む前に横転装置600で横転を行い、端部加工・印字装置70へと送り込み印字を行うこととなる。
【0037】
端部加工・印字装置70による端部加工及び印字が完了した加工済み材は、排出コンベア80に対して、加工済み材の長さに応じて位置決めされつつ送り出される。所定長さ以下の加工済み材は、傾斜式排出レール95による排出が可能な位置で停止され、傾斜式排出レール95を動作させて排出される。所定長さ以上の加工済み材は、排出ホイールコンベア90による排出が可能な位置まで長手方向に搬送され、押し出し装置85により材幅方向へと押し出される。本実施例においては、1500mm未満の場合に傾斜式排出レール95による排出とし、1500mm以上の場合に排出ホイールコンベア90による排出としている。
【0038】
1500mm以上の加工済み材は、排出コンベア80から材幅方向に押し出された位置で横転ユニット810A〜810Eによって印字面を上に向かせる様に横転させてから排出ホイールコンベア90へと排出する。
【0039】
[2 素材投入コンベアの詳細]
素材投入コンベア20は、図2に示す様に、多数のローラ21,21,…を備えるローラコンベアによって構成されている。また、素材投入コンベア20には、3台の横転ユニット210A,210B,210Cを一体動作させる様に構成された横転装置200が備えられると共に、5ヶ所に反射型光電センサS21〜S25が設置されている。
【0040】
3台の横転ユニットの内、中央の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cは、中央のチェーン12,13と中心を一致させ、これらチェーン12,13の外側に振り分けられる様に設置されている。そして、前端側の横転ユニット210Aは、中央の横転ユニット210Bと共に最小長さの木材(本実施例では720mmの木材)を跨がせることができる様に、前端側のチェーン11と前端から2番目のチェーン12との間に設置されている。
【0041】
5つのセンサの内、4番目のセンサS24が中央のチェーン12,13のほぼ中央となる様に設置され、3番目のセンサS23が前端側の横転ユニット210Aと中央の横転ユニット210Bとの間に位置する様に設置されている。その他のセンサは、1番目のセンサS21がコンベア前端位置、2番目のセンサS22がコンベア前端と前端側の横転ユニット210Aの間、5番目のセンサS25が後端側の横転ユニット210Cとコンベア後端との間に設置されている。
【0042】
[3 横転装置の詳細]
横転装置200は、図3に示す様に、素材投入コンベア20のフレーム211,212の垂直部に沿って上下方向に伸びる様に背面側に設置されたガイドレール213,213と、各ガイドレール213に対して嵌合するリニアベアリング214,214を備えた昇降体215と、昇降体215を昇降動作させるエアシリンダ216とを備えている。
【0043】
3台の横転ユニット210A〜210Cは、図3(A1),(A2)に示す様に、昇降体215に対して取り付けられていて一体に昇降する様に構成されている。また、横転ユニット210A〜210Cは、昇降体215に対してピロー型ベアリングユニット218を介して水平に支持された回転シャフト219により一体に横転動作を実行する様にも構成されている。
【0044】
回転シャフト219は、昇降体215の背面に取り付けられたシリンダブラケット220に支持されたエアシリンダ221によって回転される。より具体的には、エアシリンダ221のロッドに接続されたラック222と噛み合うピニオンギヤ223が、回転シャフト219に取り付けられており、図5に示す様に、エアシリンダ221がストローク動作をすることでラック222を昇降させると、ピニオンギヤ223が回転し、回転シャフト219が回転し、後述の様に横転動作が実行される。
【0045】
この横転動作に先立って、図3(A2)〜(C2)に示す様に、エアシリンダ216のロッド216bを伸長させ、昇降体215を上昇させる。これにより、横転ユニット210A〜210Cが上昇し、ローラ21上に載置された木材Wを、ベルト235で掬い上げる。
【0046】
図3(C1),(C2)に示す様に、昇降体215には、中央部が上方から下方に向かってU字溝断面の様に窪んだU字型窪み224aを備えたU字型窪み付きプレート224が取り付けられている。このU字型窪み付きプレート224には、歯車225が1ヵ所、自由歯車のアイドラプーリ226が4ヵ所、スプロケット227が2ヵ所取り付けられている。U字型窪み224aの開口は、素材投入コンベア20のローラ21を跨ぐことができる寸法とされている。このU字型窪み付きプレート224に対し、歯車225はU字型窪み224aの後方下部に位置し、2個のスプロケット227,227はU字型窪み224aの前後の上端部に位置する様に取り付けられている。また、4個のアイドラプーリ226は、U字型窪み224aの前後下部に1個ずつと、前側のスプロケット227の真下辺りの前端下部に1個、後方のスプロケット227と歯車225との間に1個が、それぞれ取り付けられている。そして、これらの歯車225、アイドラプーリ226、及びスプロケット227に巻き付ける様にしてチェーン228が取り付けられている。歯車225は、回転シャフト219に固定されていて、回転シャフト219が回転することにより回転し、アイドラプーリ226を介してスプロケット227を回転させる機構となっている。
【0047】
スプロケット227は、図4(B)に示す様に、U字型窪み付きプレート224の上端部に取り付けたブラケット229に軸支されたシャフト230の一端に嵌合されている。シャフト230は、2つのベアリング231,231を介してブラケット229に対して回転自在となる様に取り付けられている。シャフト230の他端にはローラ232が嵌合されている。スプロケット227及びローラ232は、それぞれボルト233,234でシャフト230を前後から挟み込む様にして固定されている。
【0048】
この様にしてスプロケット227に対して共転するように取り付けられたローラ232には、帯状のベルト235が、一方のローラに巻き取られつつ他方のローラから繰り出される様に巻きつけられている。帯状のベルト235は、U字型窪み224aを跨ぐ様に各プレート224の前後2ヵ所のローラ232,232によって巻き取り可能な状態で内側に垂れ下がる様に取り付けられ、木材Wを掬い上げていない状態においては、たるんだ状態になっている。
【0049】
横転ユニット210A〜210Cは、図3(C2)に示す様に、エアシリンダ216によって昇降体215が上昇されることで、ローラ21の上に載置された木材Wをベルト235で下方から持ち上げ、ローラ面から浮いた状態とする。上昇する際に、木材Wは、下面側の2ヶ所の頂点の部分がベルト235に当接した状態で持ち上げられるので、材幅の大小を問わず真上に向かって浮き上がる。こうして木材Wがローラ面より浮いた状態になったら、図5に示す様に、エアシリンダ221でラック222を昇降動作させることにより、ピニオンギヤ223が回転し、これにより回転シャフト219を回転させ、歯車225を回転させ、チェーン228を介してスプロケット227,227を同一方向に回転させる。これにより、ベルト235は、一方のローラ232から繰り出されつつ他方のローラ232に巻きつけられる。このとき、下面両角がベルト235に当接された状態で持ち上げられた木材Wは、ベルト235の動きに伴って横転される。
【0050】
エアシリンダ221の昇降動作によるベルト235の巻き付け量により、図5(A3)〜(C3)に示す90度横転や、図5(A4)〜(C4)に示す180度横転を、木材Wを持ち上げた位置で実行することができる。ベルト235の巻き付け量は、回転シャフト219に取り付けたエンコーダSE200(図3(A1)参照)で計測されるカウント信号により判明する。このカウント信号は、木材Wの寸法と、ローラ232,232の直径と、横転角度(90度(若しくは−270度),180度(若しくは−180度),270度(若しくは−90度))とから定まるベルト235の巻き付け量に対応するカウント信号の計測値を算出しておくことにより、精度よく横転を実行することができる。また、横転ユニット210A〜210Cが下降位置にある状態でエアシリンダ221のロッドを伸長させておき、横転ユニット210A〜210Cを上昇させて木材Wを掬い上げた後にエアシリンダ221のロッドを収縮させる動作とすることにより、−90度横転,−180度横転,−270度横転の様に反対方向への横転を実行することもできる。
【0051】
ここで、エアシリンダ221を動作させるための方向切換弁として、図4(C)に示す様に、ロッド側シリンダ室へ供給しヘッド側シリンダ室から排出する下降モードと、ヘッド側シリンダ室へ供給しロッド側シリンダ室から排出する上昇モードと、両シリンダ室へ供給する中立モードとを備え、中立モードでロックすることができる5ポート3位置方向切換弁を用いている。これにより、エンコーダSE200で計測したカウント値に基づいて、90度(若しくは−270度),180度(若しくは−180度),270度(若しくは−90度)等の所定角度で止まった状態とすることができる。
【0052】
[4 加工材取り出しコンベア〜加工材投入コンベアの詳細]
加工材投入コンベア60には、図6に示す様に、加工材取り出しコンベア40から加工材横移送コンベア50へと送り出された加工材が投入される。加工材横移送コンベア50は、4列の横移送コンベア51〜54を備えている。側面加工・全長切断装置30から加工材取り出しコンベア40へと加工材を長手方向に搬送する際には、加工材の全長が分かっている。従って、加工材はその全長に応じて加工材取り出しコンベア40上での停止位置が制御される。
【0053】
加工材投入コンベア60は、図6に示す様に、多数のローラ61,61,…を備えるローラコンベアによって構成されている。また、加工材投入コンベア60にも、3台の横転ユニット610A,610B,610Cを一体動作させる様に構成された横転装置600が備えられると共に、4ヶ所に透過型光電センサS61〜S64が設置されている。
【0054】
3台の横転ユニットの内、中央の横転ユニット610Bと後端側の横転ユニット610Cは、中央のコンベア52,53と中心を一致させ、これらコンベア52,53の外側に振り分けられる様に設置されている。そして、前端側の横転ユニット610Aは、中央の横転ユニット610Bと共に最小長さの木材を跨がせることができる様に、前端側のコンベア51の付近に設置されている。
【0055】
4つのセンサの内、4番目のセンサS64が中央のコンベア52,53のほぼ中央となる様に設置され、3番目のセンサS63が前端側の横転ユニット610Aと中央の横転ユニット610Bとの間に位置する様に設置されている。その他のセンサは、1番目のセンサS61がコンベア前端位置、2番目のセンサS62がコンベア前端と前端側の横転ユニット610Aとの間に設置されている。
【0056】
3台の横転ユニット610A〜610Cは、それぞれベルト635を備えている。また、これら3台の横転ユニット610A〜610Cは、エアシリンダ616によって一体に昇降され、エアシリンダ621によって上昇位置における横転動作を実行する構成であって、素材投入コンベア20に備えられた横転ユニット210A〜210Cと同様の構成となっている。横転装置600は、横転ユニット同士の間隔以外は横転装置200と同様に構成されており、詳しい説明は省略する。
【0057】
[5 排出コンベア以降の詳細]
排出コンベア80は、図7に示す様に、多数のローラ81,81,…を備えるローラコンベアによって構成されている。端部加工・印字装置70によって端部加工及び印字が完了した加工済み材は、排出コンベア80へと長手方向への搬送によって送り出され、全長に応じて排出コンベア80上での停止位置を制御する様に長手方向に搬送される。この位置制御のための透過型光電センサS81,S82が排出コンベア80の後端近傍と、傾斜式排出レール95を過ぎた位置とに設置されている。
【0058】
所定長さ以下の加工済み材は、排出コンベア80の上流側に設置された傾斜式排出レール95の設置位置に停止される。この傾斜式排出レール95は、4本の傾斜レール96A〜96Dを軸97で連結すると共に、軸97を昇降させるエアシリンダ98を備えている。エアシリンダ98のロッドを伸長させることによって、傾斜レール96A〜96Dの後端側を斜めに持ち上げて排出コンベア80上の加工済み材を掬い上げ、レールの傾斜に沿って下降させる様にして、所定長さ以下の加工済み材を排出する。
【0059】
所定長さ以上の加工済み材は、排出コンベア80の下流側に設置された排出ホイールコンベア90の設置位置に停止される。排出コンベア80には、所定長さ以上の加工済み材が停止される範囲に渡る押し出し装置85が設置されると共に、押し出し装置85によって排出ホイールコンベア90に向かって押し出された加工済み材を載置する載置テーブル89A〜89Dが水平方向に張り出す様に設置されている。
【0060】
押し出し装置85は、図7(A)に示す様に、押し出しバー86を移動させるエアシリンダ87,87を備え、図8に示す様に、排出コンベア80上の加工済み材W21を押し出しバー86で押して水平方向に移動させ、載置テーブル89A〜89Dへと押し出す。
【0061】
図7(A),(B)に示す様に、載置テーブル89A〜89Dの設置位置には、排出コンベア80の長手方向に沿って5台の横転ユニット810A〜810Eが設置されている。これら横転ユニット810A〜810Eは、図9(A),(B)に示す様に、エアシリンダ816,816によって昇降されると共に、上昇位置において、図9(C),(D)に示す様に、エアシリンダ821によって横転動作を行う。
【0062】
横転ユニット810A〜810Eも、横転ユニット210A〜210Cと同様にベルト835を備えたものであり、横転の原理は同一である。異なるところは、ガイドレール813が排出コンベア80の前面側フレームの前面に設置され、排出コンベア80の前方位置で動作するという点である。図9においては、横転装置200において説明したのと同様の構成に対し、200番台の符号に代えて800番台の符号を付している。
【0063】
横転装置800は、横転用のエアシリンダ821を動作させるための方向切換弁として、横転装置200と同じく、下降モード、上昇モード、及び中立モードを備え、中立モードでロックすることができる5ポート3位置方向切換弁を用いている。そして、エンコーダSE800で計測したカウント値に基づいて、90度横転,180度,270度横転で止まった状態とすることができる様に構成されている。
【0064】
横転装置800は、図9(A)→(B)→(C)→(D)の順に動作して加工済み材W21を90度,180度,270度横転させた後、図9(D)→(B)→(A)の順に動作して加工済み材W21を載置台89A〜89Dへと戻す。
【0065】
載置台89A〜89Dに戻された加工済み材W21は、図10に示す様に、排出装置91により、ホイールコンベア90へと押し出され、排出される。
【0066】
排出装置91は、図7図10に示す様に、各載置テーブル89A〜89Dの外側及び間に位置する様に設置された5個の押圧ローラ92A〜92Eと、これら押圧ローラ92A〜92Eに排出動作を実行させるためのエアシリンダ93と、このエアシリンダ93のストローク動作を押圧ローラ92A〜92Eに伝達するリンク機構94とを備え、図10(B)に示す様に動作して加工済み材W21を排出ホイールコンベア90へと水平移動させて押し出す。
【0067】
[6 制御系統の概要]
木材プレカット加工設備1の全体を制御するプレカット加工制御装置100は、図11に示す様に、プレカットデータ生成装置110からプレカットデータPCDを入力し、素材投入横移送コンベア10、素材投入コンベア20、横転装置200、側面加工・全長切断装置30、取り出しコンベア40、加工材横移送コンベア50、加工材投入コンベア60、横転装置600、端部加工・印字装置70、排出コンベア80、押し出し装置85、横転装置800、排出装置91、及び傾斜式排出レール95を制御している。
【0068】
より具体的には、プレカット加工制御装置100の出力系統は、素材投入横移送コンベア10のモータMT10、素材投入コンベア20のモータMT20、横転装置200のエアシリンダ216,221、側面加工・全長切断装置30の制御装置300、取り出しコンベア40のモータMT40、加工材横移送コンベア50のモータMT50、加工材投入コンベア60のモータMT60、横転装置600のエアシリンダ616,621、端部加工・印字装置70の制御装置700、排出コンベア80のモータMT80、押し出し装置85のエアシリンダ87,87、横転装置800のエアシリンダ816,816,821、排出装置91のエアシリンダ93、及び傾斜式排出レール95のエアシリンダ98へと信号を出力する様に構成されている。
【0069】
また、プレカット加工制御装置100の入力系統は、プレカットデータ生成装置110、素材投入コンベア20の反射型光電センサS21〜S25、横転装置200のエンコーダSE200、側面加工・全長切断装置30の制御装置300、加工材投入コンベア60の透過型光電センサS61〜S64、横転装置600のエンコーダSE600、端部加工・印字装置70の制御装置700、排出コンベア80の透過型光電センサS81,S82、横転装置800のエンコーダSE800から信号を入力する様に構成されている。
【0070】
[7 プレカット加工制御]
プレカット加工制御装置100は、図12図14に示す様に、プレカットデータPCDを入力すると共に(S110:PCD入力)、側面加工・全長切断装置30及び端部加工・印字装置70における加工用の工具の配置と動作方向に関するデータを読み出す(S120)。
【0071】
次に、素材番号nを1にし(S130)、n番目に投入される素材に対するプレカットデータPCDを読み込む(S140)。そして、n番目に投入される素材に対するプレカットデータPCDから、側面加工・全長切断装置用データPCD1を抽出する(S150)。
【0072】
そして、側面加工・全長切断装置用データPCD1によって特定される側面加工に、初期投入状態の素材を横転させる必要がない側面加工(第1の加工)が存在するか否かを判定する(S160)。「YES」と判定された場合は、引き続き、側面加工・全長切断装置用データPCD1によって特定される側面加工に、初期投入状態の素材を横転させる必要がある側面加工(第2の加工)が存在するか否かを判定する(S170)。
【0073】
S170も「YES」となった場合は、側面加工・全長切断に関する第1の加工と第2の加工と切断データを抽出し(S180)、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び全長切断」と、側面加工・全長切断装置30における加工順を決定する(S190)。
【0074】
一方、S170が「NO」となった場合、即ち、側面加工・全長切断に関しては第1の加工のみであった場合は、第1の加工と切断データを抽出し(S200)、「投入」→「第1の加工及び全長切断」と、側面加工・全長切断装置30における加工順を決定する(S210)。
【0075】
これに対し、S160が「NO」となった場合は、側面加工・全長切断装置用データPCD1によって特定される側面加工に、初期投入状態の素材を横転させる必要がある側面加工(第2の加工)が存在するか否かを判定する(S220)。
【0076】
S220が「YES」となった場合は、側面加工・全長切断に関する第2の加工と切断データを抽出し(S230)、「位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び全長切断」と、側面加工・全長切断装置30における加工順を決定する(S240)。
【0077】
一方、S220が「NO」となった場合、即ち、全長切断のみであった場合は、切断データを抽出し(S250)、「投入」→「全長切断」と側面加工・全長切断装置30における加工順を決定する(S260)。
【0078】
こうして側面加工・全長切断装置30による加工に関する加工順を決定したら、先に投入された素材に対する側面加工・全長切断の実行を待つべき状態か否かを判定する(S270)。n=1の場合は、先に投入された素材が存在しないから、S270は「YES」と判定される。n=2,3,4,…の場合は、S270が「NO」となる場合が存在する。例えば、先に投入された素材の戻し横転がある場合には、素材投入コンベア20に対して投入直前の状態で待機する。この場合、先に投入された素材の戻し横転がない場合はS270=YESとなり、次の素材を素材投入コンベア20へと投入することができる。そして、素材投入コンベア20へと投入した当該素材に対する加工順に投入前の横転が決定されている場合は、投入後直ちに横転をしておき、先に投入された素材に対する側面加工・全長切断装置30による加工が完了したら直ちに投入を開始する。このS270の判定は、素材同士の干渉を避けるだけでなく、サイクルタイムの短縮にも大きく寄与する。
【0079】
S270の判定が「YES」の場合に、上述の処理で決定した加工順に従って、側面加工・全長切断を指令する(S280)。
【0080】
これにより、第1の加工と第2の加工が存在する場合は、素材投入コンベア20、側面加工・全長切断装置30、及び横転装置200により、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び全長切断」という順番で側面加工・全長切断が実行される。側面加工・全長切断装置30の制御装置300は、「第2の加工及び全長切断」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0081】
また、第1の加工のみであった場合は、素材投入コンベア20、及び側面加工・全長切断装置30により、「投入」→「第1の加工及び全長切断」という順番で側面加工・全長切断が実行される。この場合は、側面加工・全長切断装置30の制御装置300は、「第1の加工及び全長切断」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0082】
さらに、第2の加工のみであった場合は、素材投入コンベア20、側面加工・全長切断装置30、及び横転装置200により、「位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び全長切断」という順番で側面加工・全長切断が実行される。側面加工・全長切断装置30の制御装置300は、「第2の加工及び全長切断」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0083】
また、切断のみであった場合は、素材投入コンベア20、及び側面加工・全長切断装置30により、「投入」→「全長切断」という順番で全長切断が実行される。この場合は、側面加工・全長切断装置30の制御装置300は、「全長切断」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0084】
プレカット加工制御装置100は、側面加工・全長切断装置30の制御装置300からの完了信号を受信したら(S300:YES)、取り出しを指令する(S310)。これにより、側面加工・全長切断装置30、取り出しコンベア40、及び加工材横移送コンベア50による加工材の取り出し、材幅方向に横移送が実行され、加工材は、加工材投入コンベア60への投入を待機する位置へと移送される。プレカット加工制御装置100は、この状態における基準面の向きを算出する(S320)。
【0085】
次に、S140で読み込んだプレカットデータPCDから、端部加工・印字装置用データPCD2を抽出する(S330)。
【0086】
そして、端部加工・印字装置用データPCD2によって特定される端部加工・印字に関して、素材投入コンベア20へ投入した面(素材投入時の基準面)とS320で算出した基準面(加工材投入時の基準面)が一致しているか否かを判定する(S340)。
【0087】
S340が「YES」と判定された場合は、S320で算出した基準面の向きを変える必要がない加工(第1の加工)が存在するか否かを判定する(S350)。S350も「YES」と判定された場合は、引き続き、端部加工・印字装置用データPCD2によって特定される端部加工・印字に関して、S320で算出した基準面の向きを変える必要がある加工(第2の加工)が存在するか否かを判定する(S360)。
【0088】
S360も「YES」となった場合は、端部加工・印字に関する第1の加工と第2の加工と印字データを抽出し(S370)、「投入」→「第1の加工及び印字」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S380)。
【0089】
一方、S340が「YES」、S350も「YES」、S360が「NO」となった場合、即ち、第1の加工のみであった場合は、第1の加工と印字データを抽出し(S390)、「投入」→「第1の加工及び印字」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S400)。
【0090】
これに対し、S340が「YES」、S350が「NO」となった場合は、第2の加工と印字データを抽出し(S410)、「投入」→「印字」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S420)。なお、本実施例では、各部材には印字が行われることとしており、端部加工・印字に関して第1の加工,第2の加工が全く存在しないことはないから、S350が「NO」の場合は、直ちに横転が必要な加工のみであるとすることができる。
【0091】
また、S340が「NO」となった場合は、S320で算出した基準面の向きを変える必要がない加工(第1の加工)が存在するか否かを判定する(S430)。S430が「YES」と判定された場合は、引き続き、端部加工・印字装置用データPCD2によって特定される端部加工・印字に関して、S320で算出した基準面の向きを変える必要がある加工(第2の加工)が存在するか否かを判定する(S440)。
【0092】
S440も「YES」となった場合は、端部加工・印字に関する第1の加工と第2の加工と印字データを抽出し(S450)、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び印字」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S460)。
【0093】
一方、S340が「NO」、S430が「YES」、S440が「NO」となった場合、即ち、第1の加工のみであった場合は、第1の加工と印字データを抽出し(S470)、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「印字」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S480)。
【0094】
これに対し、S340が「NO」、S430が「NO」となった場合は、第2の加工と印字データを抽出し(S490)、「位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び印字」と、端部加工・印字装置70における加工順を決定する(S500)。なお、本実施例では、各部材には印字が行われることとしており、端部加工・印字に関して第1の加工,第2の加工が全く存在しないことはないから、S430が「NO」の場合は、直ちに横転が必要な加工のみであるとすることができる。
【0095】
こうして端部加工・印字装置70による加工に関する加工順を決定したら、先に投入された加工材に対する端部加工・印字の実行を待つべきか否かを判定する(S510)。n=1の場合は、先に投入された加工材が存在しないから、S510は「YES」と判定される。n=2,3,4,…の場合は、S270の判定と同様に、先に投入された加工材の戻し横転がある場合にはS510=NOとなり、加工材投入コンベア60に対して投入直前の状態で待機する。一方、n=2,3,4,…の場合であっても、先に投入された加工材の戻し横転がない場合はS510=YESとなり、次の加工材を加工材投入コンベア60へと投入することができる。そして、加工材投入コンベア60へと投入した当該加工材に対して決定した加工順において投入前の横転がある場合は、投入後直ちに横転をしておき、先に投入された加工材に対する端部加工・印字装置70による加工が完了したら直ちに投入を開始する。このS510の判定も、加工材同士の干渉を避けるだけでなく、サイクルタイムの短縮にも大きく寄与する。
【0096】
S510の判定が「YES」の場合に、上述の処理で決定した加工順に従って、端部加工・印字を指令する(S520)。
【0097】
これにより、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が同一の場合で、第1の加工と第2の加工が存在する場合は、加工材投入コンベア60、端部加工・印字装置70、及び横転装置600により、「投入」→「第1の加工及び印字」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工」という順番で端部加工・印字が実行される。端部加工・印字装置70の制御装置700は、「第2の加工」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0098】
また、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が同一の場合で、第1の加工のみであった場合は、加工投入コンベア60、及び端部加工・印字装置70により、「投入」→「第1の加工及び印字」という順番で端部加工・印字が実行される。この場合は、端部加工・印字装置70の制御装置700は、「第1の加工及び印字」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0099】
さらに、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が同一の場合で、第2の加工のみであった場合は、加工材投入コンベア60、端部加工・印字装置70、及び横転装置600により、「投入」→「印字」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工」という順番で端部加工・印字が実行される。端部加工・印字装置70の制御装置700は、「第2の加工」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0100】
そして、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が異なる場合で、第1の加工と第2の加工が存在する場合は、加工材投入コンベア60、端部加工・印字装置70、及び横転装置600により、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び印字」という順番で端部加工・印字が実行される。端部加工・印字装置70の制御装置700は、「第2の加工及び印字」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0101】
また、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が異なる場合で、第1の加工のみであった場合は、加工投入コンベア60、及び端部加工・印字装置70により、「投入」→「第1の加工」→「戻し位置決め」→「横転」→「投入」→「印字」という順番で端部加工・印字が実行される。この場合は、端部加工・印字装置70の制御装置700は、「印字」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0102】
さらに、素材投入コンベア20に投入されたときの基準面と加工材投入コンベア60に投入されたときの基準面が異なる場合で、第2の加工のみであった場合は、加工材投入コンベア60、端部加工・印字装置70、及び横転装置600により、「位置決め」→「横転」→「投入」→「第2の加工及び印字」という順番で端部加工・印字が実行される。端部加工・印字装置70の制御装置700は、「第2の加工及び印字」が完了したときに、完了信号をプレカット加工制御装置100に対して送信する。
【0103】
プレカット加工制御装置100は、端部加工・印字装置70の制御装置700からの完了信号を受信したら(S530:YES)、プレカットデータPCDに基づいて、加工済み材の全長が1500mm以上か否かを判定する(S610)。「YES」と判定された場合は、端部加工・印字装置70による加工が完了して排出コンベア80へと取り出された状態における基準面の向きを算出する(S620)。プレカット加工制御装置100は、側面加工・全長切断装置30における加工順に「横転」が含まれているか否か、及び端部加工・印字装置70における加工順に「横転」が含まれているか否かにより、基準面すなわち印字面の向きを算出することができる。
【0104】
こうして排出時の基準面の向きを算出したら、次に、印字面を上向きとする横転角度を設定する(S630)。そして、「位置決め」→「押し出し」→「横転」→「排出」という排出動作を、排出コンベア80、押し出し装置85、横転装置800、及び排出装置91へと指令する(S640)。排出コンベア80上での「位置決め」は、プレカットデータPCDによって特定される加工済み材の全長に応じて条件が定まる。また、「横転」は、S630で設定した横転角度に対応する横転動作を横転装置800に実行させる。
【0105】
一方、S610が「NO」の場合、即ち、加工済み材の全長が1500mm未満の場合は、「位置決め」→「傾斜排出」という排出動作を、排出コンベア80、及び傾斜式排出レール95へと指令する(S650)。排出コンベア80上での「位置決め」は、プレカットデータPCDによって特定される加工済み材の全長に応じて条件が定まる。なお、傾斜排出された加工済み材は、必ずしも印字面が上向きとはならないが、短くて軽い部材であるから、作業者が持ち上げて印字面の確認をするのに支障はない。
【0106】
こうしてある部材についてプレカット加工が完了したら、S140で読み出したプレカットデータPCDに、さらに次の素材に関するものがあるか否かを判定する(S660)。次の素材が残っている場合は(S660:YES)、素材投入順nをn+1にインクリメントしてS140へと移行する(S670)。そして、全部の素材についてプレカット加工を終えたら(S660:NO)、本処理を終了する。
【0107】
[8 プレカット加工順決定例]
[8.1 工具の種類と配置]
まず、実施例における側面加工・全長切断装置30と端部加工・印字装置70における工具の種類及び配置について説明する。
【0108】
図15(A),(B)に示す様に、側面加工・全長切断装置30には、素材投入側から順に、クロスカットソーTL31、ルーターTL32、カッターTL33、キリTL34及び座ぐりキリTL35の順に工具が設置されている。側面加工・全長切断装置30の制御装置は、これらの工具TL31〜TL35に対して加工部位が位置する様に、内部コンベア31A〜31Dで木材Wの下面を水平に支持すると共に、求芯クランプする。クロスカットソーTL31は、円弧を描く様に上方から下方へと回動しつつ木材Wの端切り及び全長切断を実行する。ルーターTL32は、XYZ方向に移動可能で、木材Wの上面に対して所定形状の凹部を形成する。カッターTL33は、装置の前後に対となる様に設置され、XYZ方向に移動して木材Wの各面に対する欠き溝加工を実行する。キリTL34,座ぐりキリ35は、装置の前後に対となる様に設置され、XYZ方向に移動して木材Wの表面及び裏面に孔明け加工を実行する。
【0109】
図15(C),(D)に示す様に、端部加工・印字装置70には、加工材投入側から順に、印字装置TL71、キリTL72,TL73、丸鋸TL74及びカッタ付き丸鋸TL75、キリTL76,TL77の順に工具が設置されている。端部加工・印字装置70の制御装置は、これらの工具TL71〜TL77に対して加工部位が位置する様に、内部コンベア71A〜71Dで木材Wの下面を水平に支持すると共に、必要に応じて求芯クランプする。印字装置TL71は、木材Wの下面(ローラ接地面)に対して、インクジェットにより下方から印字を実行する。この際、端部加工・印字装置70の制御装置は、木材Wを印字装置TL71の印字動作と呼応するように長手方向に搬送することにより、所定の文字を印字する制御を行っている。キリTL72は、木材Wの前端側の木口面に対して後端に向かって孔明け加工を実行し、キリTL73は、木材Wの後端側の木口面に対して前端に向かって孔明け加工を実行する。丸鋸TL74及びカッタ付き丸鋸TL75は、下降動作により木材Wの前端面に対してスリット溝及び窪み付きスリットを形成し、上昇動作により木材Wの後端面に対してスリット溝及び窪み付きスリットを形成する。キリTL76は、木材Wの前端側の木口面に対して後端に向かって孔明け加工を実行し、キリTL77は、木材Wの後端側の木口面に対して前端に向かって孔明け加工を実行する。キリTL72,73は、ホゾパイプ挿入用孔を形成し、キリTL76,77は、ボルト挿入用の孔を形成するもので、直径の異なるキリが装着されている。
【0110】
[8.2 住宅設計例]
次に、金物工法を適用した住宅の設計例について説明する。図16は、当該住宅の梁1012、梁1013、小屋束、柱1015、柱1016に対する金物取付状況を示す。ここで、梁1012と梁1013は、互いに連結されて一本の長い梁を構成することになる。この例において、梁1012に対しては、梁受け金物TH−18=3個、覆いほぞHDP−10=1個、六角ボルトMZ−125=2個、六角ボルトMB−135=2個、ドリフトピンDP−103=11個を取り付ける設計となっている。同様に、梁1013に対しては、梁受け金物TH−18=2個、六角ボルトMZ−125=2個、ドリフトピンDP−103=6個を取り付ける設計となっている。また、各小屋束には、覆いほぞHDP−10=2個、ドリフトピンDP−103=3個を取り付ける設計となっている。さらに、柱1015に対しては、梁受け金物TH−18=2個、覆いほぞHDP−10=1個、六角ボルトMZ−125=4個、ドリフトピンDP−103=7個を取り付ける設計となっており、柱1016に対しては、覆いほぞHDP−10=2個、ドリフトピンDP−103=3個を取り付ける設計となっている。
【0111】
[8.3 プレカットデータ生成例]
設計例に見られる様な住宅の柱,梁,小屋束等の金物取り付け用の孔やスリット等は、本実施例の木材プレカット加工設備1によるプレカット加工によって形成される。このプレカット加工のためのプレカットデータPCDのイメージを図17に例示する。
【0112】
小屋束001は、建築時の南面を下面とし、下端を前端とする様に素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対するプレカット加工によって製造される。プレカット加工に当たっては、側面加工・全長切断装置30により、端切り、側面孔明け、全長切断が実行される。この例では、側面加工として、北面及び南面の後端部、及び東面及び西面の後端部に対してキリTL33による各1個のドリフトピン打ち込み孔が明けられる。また、端部加工・印字装置70により、印字及び端部加工が実行される。この例では、南面の前端部に対して印字装置TL71による印字が実行されると共に、前端面に対してはキリTL72により、後端面に対してはキリTL73により、それぞれ各1個のホゾパイプ挿入孔が形成される。
【0113】
小屋束002も、建築時の南面を下面とし、下端を前端とする様に素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対する小屋束001と同様のプレカット加工によって製造される。
【0114】
柱1015も、建築時の南面を下面とし、下端を前端とする様に素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対するプレカット加工によって製造される。側面加工・全長切断装置30により、端切り、側面孔明け、全長切断が実行される。この例では、側面加工として、北面には前端部に対するキリTL34による1個のドリフトピン打ち込み孔と後端部に対する座ぐりキリTL35による2個の座ぐり孔が、東面には後端部に対するキリTL34による2個のボルト挿通孔が、南面には前端部に対するキリTL34による1個のドリフトピン打ち込み孔と後端部に対するキリTL34による2個のボルト挿通孔が、西面には後端部に対する座ぐりキリTL35による2個の座ぐり孔が、それぞれ明けられる。また、端部加工・印字装置70により、印字及び端部加工が実行される。この例では、南面の後端部に対して印字装置TL71による印字が実行されると共に、前端面に対してはキリTL72により1個のホゾパイプ挿入孔が形成される。なお、後端面には孔明け等は実行されない。
【0115】
柱1016も、建築時の南面を下面とし、下端を前端とする様に素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対するプレカット加工によって製造される。側面加工・全長切断装置30により、端切り、側面孔明け、全長切断が実行される。この例では、側面加工として、北面には中程後端寄りの所定位置に対してカッタTL33による2ヶ所の欠き溝が形成され、東面及び西面には前端部及び後端部に対するキリTL34による各1個のドリフトピン打ち込み孔が明けられる。なお、南面に対する側面加工はない。また、端部加工・印字装置70により、印字及び端部加工が実行される。この例では、南面の後端部に対して印字装置TL71による印字が実行されると共に、前端面に対してはキリTL72により、後端面に対してはキリTL73により、それぞれ各1個のホゾパイプ挿入孔が形成される。
【0116】
梁1012は、建築時の上面を下面とし、伏図作成時の始点を前端として素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対するプレカット加工によって製造される。側面加工・全長切断装置30により、端切り、側面孔明け、全長切断が実行される。この例では、側面加工として、表面には、いずれもキリTL34により、前端部に対する3個のドリフトピン打ち込み孔と、中程に対する2個のボルト挿通孔及び1個のドリフトピン打ち込み孔と、後端部に対する3個のドリフトピン打ち込み孔とが形成される。また、下面には、カッタTL33により中程の3ヶ所に対する欠き溝が形成される。さらに、裏面には、キリTL34により、前端部に対する3個のドリフトピン打ち込み孔と後端部に対する3個のドリフトピン打ち込み孔が形成されると共に、カッタTL33により中程の3ヶ所に対する欠き溝が形成され、中央の欠き溝と重なる位置にはさらに、座ぐりキリTL35による2個の座ぐり孔とキリTL34による1個のドリフトピン打ち込み孔が形成される。なお、上面には側面加工は行われない。そして、端部加工・印字装置70により、印字及び端部加工が実行される。この例では、南面の全体を通じて印字装置TL71による印字が実行されると共に、前端面に対してはカッタ付き丸鋸TL75とキリTL76により、後端面に対してはカッタ付き丸鋸TL75にとキリTL77により、それぞれ1個の窪み付きスリットと2個のボルト挿通孔が形成される。
【0117】
梁1013も、建築時の下面を下面とし、建物の外に向く面を表面とする様に向かって左端を前端として素材投入横移送コンベア10に投入された木材に対するプレカット加工によって製造される。側面加工・全長切断装置30により、端切り、側面孔明け、全長切断が実行される。この例では、側面加工として、表面には、いずれもキリTL34により、前端部及び後端部に対する各3個のドリフトピン打ち込み孔が形成される。また、下面には、カッタTL33により中程の3ヶ所に対する欠き溝が形成される。さらに、裏面には、キリTL34による前端部及び後端部に対する各3個のドリフトピン打ち込み孔と、カッタTL33による中程の3ヶ所に対する欠き溝とが形成される。なお、上面には側面加工は行われない。そして、端部加工・印字装置70により、印字及び端部加工が実行される。この例では、南面の全体を通じて印字装置TL71による印字が実行されると共に、前端面に対してはカッタ付き丸鋸TL75とキリTL76により、後端面に対してはカッタ付き丸鋸TL75にとキリTL77により、それぞれ1個の窪み付きスリットと2個のボルト挿通孔が形成される。
【0118】
これらのプレカットデータPCDは、[加工位置][使用工具][加工動作]の組み合わせ情報として生成される。
【0119】
[9 プレカット加工順の決定例とプレカット加工の進行例]
本実施例によってプレカット加工順を決定し、プレカット加工を実行する例について、図18で説明する。
【0120】
図18(A)に示す様にホゾパイプに対するドリフトピン打ち込み孔が前後端ともに南北面と設計された小屋束003の場合、S160=NO,S220=YESとなり、側面加工・全長切断装置30による加工順が、[1.素材横移送][2.素材横転位置決め][3.90度横転(東面下)][4.素材投入][5.端切り][6.南北面の孔明け][7.南北面の孔明け][8.全長切断][9.加工材取り出し]と素材横転を実行する様に決定され、その後、S340=NO,S430=NOとなり、端部加工・印字装置70による加工順は、[10.加工材横移送][11.加工材横転位置決め][12.−90or270度横転(南面下)][13.加工材投入][14.印字][15.前端面孔明け][16.後端面孔明け][17.傾斜排出位置決め][18.傾斜排出]という加工順が決定される。
【0121】
図18(B)に示す様に、前端面に東西方向からドリフトピンを打ち込んでホゾパイプを取り付けると共に後端面に十字スリットを加工する様に設計された柱003の場合は、S160=YES,S170=NOとなって、側面加工・全長切断装置30による加工順は、[1.素材横移送][2.素材投入][3.端切り][4.東面の孔明け][5.全長切断][6.加工材取り出し]と決定され、その後、S340=YES,S350=YES,S360=YESとなり、端部加工・印字装置70による加工順は、[7.加工材横移送][8.加工材投入][9.印字][10.前端面孔明け][11.後端面スリット加工][12.加工材戻し横転位置決め][13.90度横転(西面下)][14.加工材投入][15.後端面スリット加工][16.排出位置決め][17.押し出し][18.90度横転][19.排出]と決定される。
【0122】
設計例に示した梁1013について上述の加工順決定処理を実行すると、S160=YES,S170=NOとなって、図18(C)に示す様に、側面加工・全長切断装置30による加工順は、[1.素材横移送][2.素材投入][3.端切り][4.表裏面の孔明け×3][5.裏面・下面の欠き溝×3][6.表裏面の孔明け×3][7.全長切断][8.加工材取り出し]と決定され、その後、S340=YES,S350=YES,S360=NOとなり、端部加工・印字装置70による加工順は、[9.加工材横移送][10.加工材投入][11.印字][12.前端面窪み付きスリット][13.前端面孔明け×2][14.後端面窪み付きスリット][15.前端面孔明け×2][16.排出位置決め][17.押し出し][18.180度横転][19.排出]という加工順が決定される。
【0123】
[10 素材横転位置決め]
[10.1 素材投入コンベアのセンサ配置]
素材投入コンベア20には、図19に示す様に、中間の横転ユニット210Bが、素材投入コンベア20の全長の中程に設置されている。そして、中間の横転ユニット210Bに対して、第1の設置間隔L21を開けて前端側の横転ユニット210Aが設置されると共に、第2の設置間隔L22を開けて後端側の横転ユニット210Cが設置されている。なお、ここでいう「設置間隔」は、横転装置の中心間の距離である。
【0124】
本実施例においては、最小素材長=720mm〜最大素材長=6500mmの素材を投入可能となっていて、3台の横転ユニット210A〜210Cの設置間隔を、L21=500mm、L22=1100mm、L21+L22=1600mmに設定している。言い換えれば、L21は最小素材長より短く、L22はL21の2倍強、L21+L22はL21の3倍強となる様に、設置間隔L21,L22を設定している。なお、素材投入コンベア20の先端位置[21]を基準とする3台の横転ユニット210A,210B,210Cの設置位置までの距離LP27,LP28,LP29は、LP27=2000mm、LP28=2500mm、LP29=3600mmとなる様に設定されている。
【0125】
また、素材投入コンベア20の前端位置[21]、前端位置[21]と前端側の横転ユニット210Aとの中間位置[22]、前端側の横転ユニット210Aと中間の横転ユニット210Bとの中間位置[23]、中間の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cとの中間位置[24]、及び後端側の横転ユニット210Cと素材投入コンベア20の後端位置[26]との中間位置[25]、の5箇所に、第1〜第5の光電センサS21〜S25を設置している。
【0126】
ここで、本実施例では、第1の光電センサS21と第2の光電センサS22の設置間隔LS21、第2の光電センサS22と第3の光電センサS23の設置間隔LS22、第3の光電センサS23と第4の光電センサS24の設置間隔LS23、第4の光電センサS24と第5の光電センサS25の設置間隔LS24を、それぞれ、LS21=900mm、LS22=1300mm、LS23=800mm、LS24=1000mmとしている。
【0127】
素材投入コンベア20に対しては、素材投入横移送コンベア10から素材を材幅方向に横移送して投入する際、素材は、チェーンスラッシャの4条のチェーン11〜14の内の中央の2条のチェーン12,13に跨る様に、作業者が目視による中心揃えで素材投入横移送コンベア10へと搭載する。なお、中央のチェーン12−13間の間隔L11=700mm、左右のチェーン11−14間の間隔L12=2900mmである。また、中央のチェーン12−13の中心は、第4の光電センサS24と一致しており、第4の光電センサS24は、中央の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cの中心に位置している。
【0128】
ここで、投入時の素材長が最小となる素材Wmin(素材長LW=720mm)は、設置間隔L21=500mmとなっている前端側の横転ユニット210Aと中間の横転ユニット210Bの両方に跨る様にすることで重心が両横転ユニット210A−210Bの間に位置し、バランスを崩すことなく横転を実行することができる。また、投入時の素材長が最大となる素材Wmax(素材長LW=6500mm)は、中間の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cとの間に重心が位置する様に3台の横転ユニット210A〜210Cに跨らせることでバランスを崩すことなく横転を実行することができる。
【0129】
第1〜第5の光電センサS21〜S25は、その正面に素材があるときにONとなる反射型のものである。素材の投入に当たっては、図19に示す様に、素材投入横移送コンベア10の中央2条のチェーン12,13の中央に長さ中心を合わせる様に載せる。正しく載っていれば、素材長が1300mm以上の素材については、材幅方向の横移送で素材投入コンベア20に投入されたときに少なくとも中間の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cに跨ると共に、これらの横転ユニット210B,210Cの間に重心が位置することとなる。従って、材幅方向の横移送によって素材投入コンベア20へと投入したままで長手方向の位置決め搬送をすることなく横転が可能である。
【0130】
一方、素材長が1100mm以下の素材は、材幅方向の横移送で素材投入コンベア20に投入されたとき、中間の横転ユニット210Bと後端側の横転ユニット210Cに跨らず、そのままでは横転ができない。素材長が1200mmの素材は、素材投入横移送コンベア10に対して、正確に載置されていればそのまま横転することもできるが、多少のずれがあれば2台の横転ユニットに跨らない。従って、この場合もそのままでは横転することができない。
【0131】
ここで、素材投入横移送コンベア10に対して中央2条のチェーン12,13の中央に長さ中心が来る様に載置した素材は、材幅方向の横移送によって素材投入コンベア20へと投入したとき、素材長LW=6500mmの素材であれば、第1〜第5の光電センサS21〜S25が全てONとなり、素材長LW=3000mmの素材であれば、第1,第2の光電センサS21,S22はOFFで第3〜第5の光電センサS23〜S25がONとなる。また、素材長LW=1600〜2000mmの素材であれば、第1,第2,第5の光電センサS21,S22,S25はOFFで第3,第4の光電センサS23,S24がONとなり、素材長LW=720〜1500mmの素材であれば、第4の光電センサS24のみがONとなる。
【0132】
本実施例では、素材としては市販の定寸素材以外に、加工によって余った残材の内で最小素材長を超えるものについては素材として投入することとしている。この場合、必ずしも1600mm材等にはならないが、図19に示した様に、素材投入横移送コンベア10の中央2条のチェーン12,13の中央付近に素材の長さ中心を一致させる様に投入することとしているから、センサのON/OFF状態は以下の5つのセンサパターンとなり、素材長LWを、表1の範囲内に絞り込むことができる。

【表1】
【0133】
ここで、前端側横転ユニット210Aは第2の光電センサS22と第3の光電センサS23の間に、中間横転ユニット210Bは第3の光電センサS3と第4の光電センサS4の間に、後端側横転ユニット210Cは第4の光電センサS24と第5の光電センサS25の間に、それぞれ存在している。
【0134】
[10.2 素材投入横転位置決め]
従って、第4の光電センサS24辺りに素材の重心が来る様に素材を投入することとしている結果、センサパターン1,2については、素材が3台の横転ユニット210A〜210Cに跨っていて、素材の重心は、跨った両端の横転ユニット210A,210Cの間にあるから、素材長を正確に把握できていなくても、バランスを崩すことのな横転をそのまま実行することができる。
【0135】
また、センサパターン3の場合は、素材は2台の横転ユニット210B,210Cに跨り、素材の重心は、跨った両端の横転ユニット210B,210Cの間にあるから、これも、素材長を正確に把握できていなくても、バランスを崩すことのない横転をそのまま実行することができる。
【0136】
一方、センサパターン4,5においては、素材投入の時点で素材が複数台の横転ユニットに跨っていないため、そのままではバランスを崩すことのない横転が困難である。そこで、本実施例においては、センサパターン4,5の場合には、図20に示した以下の様な位置決め動作を行ってから素材の横転を行うこととしている。
【0137】
[移送パターン21]
まず、素材を前進方向へと長手方向に搬送する。そして、第3の光電センサS23がOFFからONに切り替わったら、さらに400mm前進させる。この追加の400mm前進は、タイマーで制御する。即ち、素材を前進方向へと長手方向に搬送し、第3の光電センサS23がOFFからONに切り替わってから所定時間だけさらに前進させることにより、追加の400mmの前進を実行することができる。図示の様に、LW=720mm〜1200mmの素材は、前端側横転ユニット210Aと中間横転ユニット210Bとに跨り、かつ、これら2台の横転ユニット210A,210Bの内側に重心が位置させた状態とすることができる。この後、横転装置200を駆動すれば、素材をバランスを崩すことなくスムーズに横転させることができる。
【0138】
この移送パターン21を実行して第3の光電センサがONしてから追加の400mm前進をしても第4の光電センサS24がONのままとなる場合がある。これは、LW=1200mm〜1600mmの素材によって、センサパターン4又はセンサパターン5が検出されていた場合である。
【0139】
[移送パターン22]
移送パターン21により第3の光電センサがONしてから追加の400mm前進をしても第4の光電センサS24がONのままである場合は、追加の400mm前進で停止させることなく、さらに、素材を前進方向へと長手方向に搬送し、第4の光電センサS24がONからOFFに切り替わったときに停止する。これにより、LW=1200mm〜2000mmの素材を、前端側の横転ユニット210Aと中間の横転ユニット210Bとに跨り、かつ、これら横転ユニット210A,210Bの内側に重心が位置する状態とすることができる。この後、横転装置200を駆動すれば、素材をバランスを崩すことなくスムーズに横転させることができる。なお、LW=1200mmの素材は、移送パターン21,22のどちらでも位置決めすることができる。
【0140】
[11 加工材横転位置決め(側面加工)]
加工材は、全長切断が完了することにより、プレカット加工制御装置100は、その全長を把握できている。従って、素材投入コンベア20に加工材戻しを実行した後に加工材横転を実行する場合は、判明している全長に基づいて、図21に示す様に、加工材の移送パターンを決定することができる。
【0141】
[移送パターン23]
側面加工・全長切断装置30から素材投入コンベア20へと戻される加工材の全長が4000mmを超える場合の位置決めパターンであって、第1の光電センサS21がON→OFFに切り替わったときに後退動作を停止させる。全長4000mm超の加工材は、3台の横転ユニットに跨り、3台の横転ユニットの内側に重心が位置する状態となる。
【0142】
[移送パターン24]
側面加工・全長切断装置30から素材投入コンベア20へと戻される加工材の全長が2000mm超4000mm以下の場合の位置決めパターンであって、第2の光電センサS22がON→OFFに切り替わったときに後退動作を停止させる。全長4000mmの加工材は3台の横転ユニットに跨り、全長2500mmの加工材は前端側横転ユニット210Aと中間横転ユニット210Bに跨る。そして、それぞれ、跨った横転ユニットの内側に重心が位置する状態となる。
【0143】
[移送パターン25]
側面加工・全長切断装置30から素材投入コンベア20へと戻される加工材の全長が1300mm超2000mm以下の場合の位置決めパターンであって、第4の光電センサS24がOFF→ONに切り替わったときに後退動作を停止させる。全長1300mm超2000mm以下の加工材は前端側横転ユニット210Aと中間横転ユニット210Bに跨る。そして、それぞれ、跨った横転ユニットの内側に重心が位置する状態となる。
【0144】
[移送パターン26]
側面加工・全長切断装置30から素材投入コンベア20へと戻される加工材の全長が720mm以上1300mm以下の場合の位置決めパターンであって、第3の光電センサS23がOFF→ONに切り替わったときにタイマーをスタートさせ、450mm後退を実行して停止させる。全長720mm以上1300mm以下の加工材は前端側横転ユニット210Aと中間横転ユニット210Bに跨る。そして、それぞれ、跨った横転ユニットの内側に重心が位置する状態となる。
【0145】
[12 加工材横転位置決め(端部加工)]
[12.1 加工材投入コンベアのセンサ配置]
加工材投入コンベア60には、図22に示す様に、中間の横転ユニット610Bが、加工材投入コンベア60の全長の中程に設置されている。そして、中間の横転ユニット610Bに対して、第1の設置間隔L61を開けて前端側の横転ユニット610Aが設置されると共に、第2の設置間隔L62を開けて後端側の横転ユニット610Cが設置されている。なお、ここでいう「設置間隔」は、横転装置の中心間の距離である。
【0146】
本実施例においては、3台の横転ユニット610A〜610Cの設置間隔を、L61=500mm、L62=1500mm、L61+L62=2000mmに設定している。言い換えれば、L61は最小素材長より短く、L62はL61の3倍、L61+L62はL61の4倍となる様に、設置間隔L61,L62を設定している。
【0147】
また、加工投入コンベア60の前端近傍位置[61]、前端近傍位置[61]と前端側の横転ユニット610Aとの中間位置[62]、前端側の横転ユニット610Aと中間の横転ユニット610Bとの中間位置[63]、及び中間の横転ユニット610Bと後端側の横転ユニット610Cとの中間位置[64]、の4箇所に、第1〜第4の光電センサS61〜S64を設置している。
【0148】
ここで、本実施例では、第1の光電センサS61と第2の光電センサS62の設置間隔LS61、第2の光電センサS62と第3の光電センサS63の設置間隔LS62、第3の光電センサS63と第4の光電センサS64の設置間隔LS63を、それぞれ、LS61=850mm、LS62=1450mm、LS63=700mmとしている。これら加工材投入コンベア60に設置された第1〜第4の光電センサS61〜S64も、その正面に加工材があるときにONとなる反射型のものである。
【0149】
加工材投入コンベア60に対しては、加工材横移送コンベア50から加工材を材幅方向に横移送して受け渡す際に、加工材が4列のコンベア51〜54の内の中央の2列のコンベア52,53に跨る様に、取り出しコンベア40上で位置決めされる。この位置決めは、プレカットデータPCDによって定まる加工材の全長に基づいて実行される。なお、本実施例では、中央2列のコンベア52,53の中心線間距離L51=450mm、両端のコンベア51,54間の中心線間距離L52=2600mmとしている。
【0150】
これら4列のコンベア51〜54に対し、前端側横転ユニット610Aがコンベア51の近傍やや内側に、中間横転ユニット610Bがコンベア51とコンベア52の中間位置に、後端側横転ユニット610Cがコンベア53とコンベア54の中間位置に、それぞれ設置されている。
【0151】
[12.2 加工材投入前横転位置決め]
プレカット加工制御装置100は、端部加工・印字装置70へ投入する前の加工材を横転する場合は、図23に示す様に、加工材の全長に対応して移送パターンを決定して位置決めを実行する。
【0152】
[移送パターン61]
前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、全長720mm〜900mmの加工材に対し、前進中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに405mm前進させて停止するパターンとなっている。
【0153】
[移送パターン62]
前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、全長900mm〜1200mmの加工材に対し、前進中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに485mm前進させて停止するパターンとなっている。
【0154】
[移送パターン63]
前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、全長1200mm〜1500mmの加工材に対し、前進中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに725mm前進させて停止するパターンとなっている。
【0155】
[移送パターン64]
前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、全長1500mm〜2000mmの加工材に対し、前進中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに925mm前進させて停止するパターンとなっている。
【0156】
なお、全長2000mmの加工材は、中間横転ユニット610Bと後端側横転ユニット610Cとに跨らせて横転させることもできる。加工材取り出し時の取り出しコンベア40上での位置決めが行われていることから、中間横転ユニット610Bと後端側横転ユニット610Cの間隔=1600mmを十分に超えている加工材については、移送なしで横転を実行することができる。
【0157】
[12.3 加工材戻し横転位置決め]
プレカット加工制御装置100は、端部加工・印字装置70へ投入した加工材に横転が必要である場合は、図24に示す様に、加工材の全長に対応して加工材投入コンベア60へ戻す移送パターンを決定して位置決めを実行する。
【0158】
[移送パターン71]
全長が720mm〜900mmの加工材を、前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに315mm後退させて停止するパターンとなっている。
【0159】
[移送パターン72]
全長が900mm〜1200mmの加工材を、前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに485mm後退させて停止するパターンとなっている。
【0160】
[移送パターン73]
全長が1200mm〜1500mmの加工材を、前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第3の光電センサS63がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに635mm後退させて停止するパターンとなっている。
【0161】
[移送パターン74]
全長が1500mm〜2000mmの加工材を、前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第4の光電センサS64がOFF→ONに変化した後、タイマーによってさらに85mm後退させて停止するパターンとなっている。
【0162】
[移送パターン75]
全長が2000mm〜3000mmの加工材を、中間横転ユニット610Bと後端側横転ユニット610Cの2台に跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第3の光電センサS63がON→OFFに変化したときに停止するパターンとなっている。
【0163】
[移送パターン76]
全長が3000mm〜4000mmの横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第2の光電センサS62がON→OFFに変化したときに停止するパターンとなっている。全長3000mmの加工材は前端側横転ユニット610Aと中間横転ユニット610Bの2台に跨り、全長4000mmの加工材は3台の横転ユニット610A〜610Cに跨る。
【0164】
[移送パターン77]
全長が4000mm〜5000mmの加工材を、3台の横転ユニット610A〜610Cに跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第1の光電センサS61がON→OFFに変化した後、タイマーによってさらに300mm後退させて停止するパターンとなっている。
【0165】
[移送パターン78]
全長が5000mm〜6300mmの加工材を、3台の横転ユニット610A〜610Cに跨らせて横転を実行するための移送パターンであって、後退中に第1の光電センサS61がON→OFFに変化したときに停止するパターンとなっている。
【0166】
[13 加工済み材排出位置決め]
[13.1 排出コンベアのセンサ配置]
排出コンベア80には、図25に示す様に、搬送方向上流側の端部位置[80]から480mm前進側の位置から傾斜式排出レール95が設置さている。この傾斜式排出レール95は、4本の傾斜レール96A〜96Dを回動させて傾斜面を形成しつつ短めの加工済み材を排出コンベア80から掬い上げて滑り落とす様にして排出する。4本の傾斜レールの最大間隔は800mmとなっており、上流側3本の傾斜レールの間隔は420mmとなっている。この420mmの間隔の中間に傾斜レール96Bが備えられている。
【0167】
排出コンベア80には、この傾斜式排出レール95を挟むように、第1の光電センサS81と第2の光電センサS82が設置されている。これらの光電センサS81,S82は、透過式であって、加工済み材に光路を遮られるとONとなり、光路が開放されるとOFFとなる。第2の光電センサS82は、第1の光電センサS81の設置位置[81]から搬送方向に1290mm離れて傾斜式排出レール95を通り過ぎた位置に設置されている。
【0168】
5台の横転ユニット810A〜810Eは、この第2の光電センサS82よりも搬送方向側に設置された排出ホイールコンベア90の設置範囲に配置されている。搬送方向上流側から順に、第1横転ユニット810A、第2横転ユニット810B、第3横転ユニット810C、第4横転ユニット810D、第5横転ユニット810Eと呼ぶ。
【0169】
本実施例においては、第1横転ユニット810Aは、第2の光電センサS82の設置位置[82]から480mm離して設置され、第2横転ユニット810Bは、第1の横転ユニット810Aの設置位置[83]から930mm離して設置され、第3横転ユニット810Cは第1の横転ユニット810Aの設置位置[83]から1410mm離して設置され、第4横転ユニット810Dは第1の横転ユニット810Aの設置位置[83]から1560mm離して設置され、第5横転ユニット810Eは第1の横転ユニット810Aの設置位置[83]から2950mm離して設置されている。
【0170】
[13.2加工済み材排出時の位置決め]
本実施例では、全長720mm以上1500mm未満の加工済み材は、傾斜式排出レール95によって排出し、全長1500mm以上6300以下の加工済み材は、排出ホイールコンベア90から排出することとしている。
【0171】
1500mm未満の加工済み材に対しては、第1の光電センサS81がON→OFFに変化してからタイマーで100mm前進させて停止することにより、排出コンベア80における位置決めを行っている。
【0172】
1500mm以上の加工済み材は、排出ホイールコンベア90に排出する際に、必要に応じて横転を行うこととしている。横転は、横転装置800が備える5台の横転ユニット810A〜810Eの内の2台以上に跨る様に加工済み材を位置決めして実行する様にしている。
【0173】
具体的な位置決めは、全長1500mm以上4000mm未満の加工済み材については、第2の光電センサS82がON→OFFに変化してからタイマーで100mm前進させて停止する位置決めを行っている。
【0174】
また、全長4000mm以上5000mm未満の加工済み材については、第1の光電センサS81がON→OFFに変化してからタイマーで1100mm前進させて停止する位置決めを行っている。
【0175】
さらに、全長5000mm以上6000mm未満の加工済み材については、第1の光電センサS81がON→OFFに変化してからタイマーで500mm前進させて停止する位置決めを行っている。
【0176】
そして、全長6000mm〜6300mmの加工済み材については、第1の光電センサS81がON→OFFに変化してからタイマーで100mm前進させて停止する位置決めを行っている。
【0177】
[14 実施例から抽出される課題解決手段としての構成・作用・効果]
本実施例の木材プレカット加工設備(1)は、木材に対する切断加工・側面加工・印字加工及び端部加工の内の一つ以上の加工を実行する複数台の加工装置(30,70)と、前記複数台の加工装置(30,70)のそれぞれの上流側及び下流側に設置されて木材を長手方向に搬送する複数台の木材搬送装置(20,40,60,80)と、前記複数台の加工装置(30,70)による加工を終えた木材を材幅方向に排出する排出装置(90)と、前記排出装置(90)に対して設置された横転装置(800)と、プレカットデータに基づいて前記加工装置(30,70),木材搬送装置(20,40,50,60,80)及び横転装置(800)に対して信号を出力することにより、基準面を所定方向に向かせる様に投入された木材に対するプレカット加工制御と、前記排出装置(90)に排出した木材の印字面を上向きとする排出制御と、を実行するプレカット加工制御装置(100)と、を備えると共に、さらに、以下の構成をも備える。
(1A)前記複数台の加工装置(30,70)のそれぞれについて、当該加工装置(30,70)に対して木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された木材搬送装置(20,60)に対しても横転装置(200,600)を設置すること。
(1B)前記各加工装置(30,70)が備えている加工用の工具の配置及び動作方向、前記プレカットデータ(PCD)中の加工部位及び使用する工具、及び、前記横転装置(200,600)の設置状況、の対応関係から、前記各加工装置(30,70)において加工対象となっている木材に対して、当該加工装置(30,70)に投入する際の基準面の向きを変えずに実行可能な第1の加工と、当該加工装置(30,70)に投入する際の基準面の向きを変えて実行する必要がある第2の加工とが共に抽出されたときは、当該第1の加工と第2の加工との間に実行するための横転動作を、当該加工装置(30,70)の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置(200,600)に実行させる様に加工順を決定する加工順決定手段(S140〜S520)を備えていること。
(1C)前記プレカット加工制御装置(100)は、前記排出制御として、前記加工順決定手段による横転動作の結果に基づいて前記排出装置に対して設置された横転装置による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する手段(S620〜S640)として構成されていること。
【0178】
本実施例の木材プレカット加工設備(1)によれば、複数台の加工装置(30,70)のそれぞれについて木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された木材搬送装置(20,60)に対しても横転装置(200,600)を設置し、加工順決定手段(S140〜S520)が、各加工装置(30,70)が備えている加工用の工具の配置及び動作方向、プレカットデータ中の加工部位及び使用する工具、及び、横転装置(200,600)の設置状況、の対応関係から、各加工装置(30,70)において加工対象となっている木材に対して、当該加工装置(30,70)に投入する際の基準面の向きを変えずに実行可能な第1の加工と、当該加工装置(30,70)に投入する際の基準面の向きを変えて実行する必要がある第2の加工とが共に抽出されたときは、当該第1の加工と第2の加工との間に実行するための横転動作を、当該加工装置(30,70)の木材を投入する側又は木材を取り出す側に設置された横転装置(200,600)に実行させる様に加工順を決定する(S140〜S520)。そして、プレカット加工制御装置(100)は、排出制御として、加工順決定手段(S140〜S520)による横転動作の結果に基づいて排出装置(90)に対して設置された横転装置(800)による横転動作が必要な場合の横転角度を設定する(S620〜S640)。
【0179】
この様に、本実施例によれば、複数台の加工装置(30,70)のそれぞれにおいて実行する加工は、各加工装置(30,70)に対応する木材搬送装置(20,60)に設置した横転装置(200,600)による横転を必要に応じて実行し、第1の加工又は第2の加工を連続的に実行する。この結果、プレカット加工におけるサイクルタイムを短縮することができる。そして、加工順決定手段(S140〜S520)による横転動作の結果に基づいて排出装置(90)に対して設置された横転装置(800)による横転動作が必要な場合の横転角度を設定するから(S620〜S640)、排出装置(90)に排出した木材の印字面を上向きとすることができ、加工済みの木材の集配・梱包等の作業に対する支障も生じない。加えて、本実施例の木材プレカット加工設備(1)によれば、各加工装置(30,70)のそれぞれに対して、木材を投入する側又は木材を取り出す側の木材搬送装置(20,60)に対して横転装置(200,600)を設置したことにより、様々な加工が個々の構造部材に対して設計されたり、新たな金物が次々と開発される中にあってもサイクルタイムを短縮し得る加工順の決定を可能にし、木材プレカット加工設備(1)におけるサイクルタイムの向上に資することができる。また、柱材及び横架材の両方に適用可能な設備においては、加工軸を増加させることなく柱材特有の横転を伴う加工を可能にし、もって、当該設備におけるサイクルタイムの短縮に資することができる。
【0180】
本実施例の木材プレカット加工設備(1)は、さらに、以下の構成をも備えている。
(2A)前記横転装置(200,600,800)は、3台以上の横転ユニット(210A〜210C,610A〜610C,810A〜810E)を連動させて横転動作を実行させる装置として構成され、前記3台以上の横転ユニットを、プレカット加工の対象として設定された最小長さの木材を跨らせることのできる間隔となる様に2台が位置すると共に、当該2台の横転ユニットの外側に他の横転ユニットが位置する様に、前記横転装置が設置された木材搬送装置の長手方向に沿って配置した装置として構成されていること。
(2B)前記横転装置(200,600,800)を設置した木材搬送装置(20,60,80)には、木材の端部を検出する様に、センサ(S21〜S25,S61〜S64,S81,S82)が長手方向に間隔をあけて複数設置されていること。
(2C)前記プレカット加工制御装置(100)は、前記横転装置(200,600,800)による横転を実行する前に、当該横転装置(200,600,800)が設置された木材搬送装置(20,60,80)に長手方向への搬送動作を実行させると共に、当該搬送動作の間に前記センサ(S21〜S25,S61〜S64,S81,S82)から入力される検出信号に基づき、横転の対象となっている木材を、前記3台以上の横転ユニットの内の2台以上に跨り、かつ、跨った両端の横転ユニットの間に重心が位置する様に位置決めする横転位置決め制御を実行する手段として構成されていること。
【0181】
かかる構成をも備えることにより、様々な長さの構造部材に対して、的確な横転を可能にし、その結果、上述のサイクルタイムの短縮をより確実なものとすることができている。
【0182】
本実施例の木材プレカット加工設備(1)は、さらに、以下の構成をも備えている。
(3A)前記木材搬送装置(20,60)に対して設置された横転装置(200,600)は、当該木材搬送装置(20,60)に載置された状態の木材を横転して当該木材搬送装置(20,60)に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
(3B)前記排出装置(90)の直前に設置された木材搬送装置(80)には、当該木材搬送装置(80)に載置された状態の木材を材幅方向に押し出す押し出し装置(85)と、該押し出し装置(85)によって押し出された木材を載置する載置台(91A〜91D)と、該載置台(89A〜89D)に載置された木材を材幅方向に移動させて前記排出装置へと排出する排出機構(91)とが設置され、前記排出装置(90)に対して設置された横転装置(800)は、当該載置台(89A〜89D)に載置された状態の木材を横転させて当該載置台(89A〜89D)に載置し直す動作として前記横転動作を実行し得る様に設置されていること。
【0183】
かかる構成をも備えることにより、加工装置(30,70)への投入の際の横転は長手方向の搬送動作の中で連続的に実行することができ、加工を終えた木材は載置台(89A〜89D)に押し出して長手方向の搬送動作とは切り離して実行するから、最終工程の加工装置(70)に対して直ちに新たな木材を投入することができ、サイクルタイムの短縮効果を高めることができる。そして、(3A),(3B)に加えて、「(3C)前記横転装置(200,600)は、当該横転装置が対応する加工装置(30,70)に対して木材を投入する側の木材搬出装置(20,60)に対して設置され、前記プレカット加工制御装置(100)は、前記各加工装置に対して加工対象の木材を投入する際に、先に投入した木材に対する前記各加工装置における加工を待つべきか否かを判定し、先に投入した木材に対する加工を待つ必要がないと判定された場合は、次の木材の投入を開始する制御(S270,S510)を実行する様に構成されていること。」としているから、次の木材について加工装置への投入前の横転が必要な場合は、先に投入した木材に対する加工が完了する前に横転までを実施しておくことができ、サイクルタイムの短縮により一層寄与することができる。
【0184】
本実施例の木材プレカット加工設備(1)は、さらに、以下の構成をも備えている。
(4A)前記排出装置(90)及び木材搬送装置(20,60)の少なくとも一つに対して設置した横転装置(200,600,800)は、一方のローラに巻き付けられるときに他方のローラから繰り出される様に駆動されるローラ対の間に掛け渡す様に巻き付けたベルト(235,635,835)を下方に撓ませる様に備えた横転ユニットを複数台備え、前記横転ユニット(210A〜210C,610A〜610C,810A〜810E)を上昇させることによって前記ベルト(235,635,835)で木材を下方から掬い上げ、上昇位置において前記ローラ対を構成する各ローラを同じ方向に回転させることにより前記ベルト(235,635,835)を所定方向に繰り出しつつ巻き付けて掬い上げた木材を横転させる動作を実行する様に構成されていること。
(4B)前記ローラ対を構成するローラの回転数を検出するエンコーダ(SE200,SE600,SE800)を備え、前記プレカット加工制御装置(100)は、前記プレカットデータ(PCD)によって特定される木材の材幅及び材成と、前記エンコーダ(SE200,SE600,SE800)による検出信号との対応関係に基づいて、木材の横転中の角度を特定して所望の角度で木材の横転を停止する横転角度制御を実行する手段として構成されていること。
【0185】
ベルト235,635,835)を用いた横転ユニット(210A〜210C,610A〜610C,810A〜810E)は、様々な材幅・材成の木材を、掬い上げた状態で90度、180度、270度(若しくは−90度)と、任意の角度に横転させることができ、しかも、そのための横転スペースをとることもない。
【0186】
本実施例によれば、横転を効率的に実行することで、木材プレカット加工設備(1)におけるサイクルタイムの短縮に資することができる。
【0187】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
【0188】
柱材プレカット専用設備や横架材プレカット専用設備に対して適用してもよい。また、横転装置のエアシリンダに代えて油圧シリンダを用いても構わないし、サーボモータ等を用いても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0189】
木造住宅用の木材プレカット工場において利用することができる。
【符号の説明】
【0190】
1・・・木材プレカット加工設備、10・・・素材投入横移送コンベア、20・・・素材投入コンベア、21・・・ローラ、30・・・側面加工・全長切断装置、31A〜31D・・・内部コンベア、40・・・取り出しコンベア、50・・・加工材横移送コンベア、60・・・加工材投入コンベア、61・・・ローラ、70・・・端部加工・印字装置、71A〜71D・・・内部コンベア、80・・・排出コンベア、81・・・ローラ、85・・・押し出し装置、89A〜89D・・・載置テーブル、90・・・排出ホイールコンベア、91・・・排出装置、92A〜92E・・・押圧ローラ、95・・・傾斜式排出レール95、200・・・横転装置、210A〜210C・・・横転ユニット、215・・・昇降体、216・・・エアシリンダ、219・・・回転シャフト、221・・・エアシリンダ、222・・・ラック、223・・・ピニオンギヤ、232・・・ローラ、235・・・ベルト、600・・・横転装置、610A〜610C・・・横転ユニット、616・・・エアシリンダ、621・・・エアシリンダ、635・・・ベルト、800・・・横転装置、810A〜810E・・・横転ユニット、816・・・エアシリンダ、821・・・エアシリンダ、835・・・ベルト、100・・・プレカット加工制御装置、110・・・プレカットデータ生成装置、300・・・側面加工・全長切断装置の制御装置、700・・・端部加工・印字装置の制御装置、PCD・・・プレカットデータ、S21〜S25・・・反射型光電センサ、S61〜S64・・・反射型光電センサ、S81,S82・・・透過型光電センサ、SE200・・・エンコーダ、SE600・・・エンコーダ、SE800・・・エンコーダ、TL31・・・クロスカットソー、TL32・・・ルーター、TL33・・・カッター、TL34・・・キリ、TL35・・・座ぐりキリ、TL71・・・印字装置、TL72,TL73・・・キリ、TL74・・・丸鋸、TL75・・・カッタ付き丸鋸、TL76,TL77・・・キリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図19
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図21
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図25