特許第6543648号(P6543648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543648
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/24 20060101AFI20190628BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20190628BHJP
   B29B 7/28 20060101ALI20190628BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B29C39/24
   B29C39/02
   B29B7/28
   F04B13/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-52873(P2017-52873)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-154024(P2018-154024A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年2月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310014148
【氏名又は名称】株式会社二幸技研
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】秀倉 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】秀倉 健太
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−254539(JP,A)
【文献】 特公平05−043491(JP,B2)
【文献】 特開2001−341141(JP,A)
【文献】 特開2002−103344(JP,A)
【文献】 特開昭57−141476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
B29B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の原料を貯留する第一原料タンクと、第二の原料を貯留する第二原料タンクと、前記第一原料タンク内の第一の原料を計量する第一計量ポンプと、前記第二原料タンク内の第二の原料を計量する第二計量ポンプと、前記第一計量ポンプから排出される第一の原料と前記第二計量ポンプから排出される第二の原料とを撹拌して混合する撹拌混合機と、当該撹拌混合機で撹拌して混合された混合済み原料を成形型内に引き込んで重合させる真空注型機を備えた樹脂成形装置において
前記第一計量ポンプは、横向きに設けられた第一シリンダと、当該第一シリンダ内を往復移動する第一ピストンと、当該第一ピストンに固定された第一駆動軸を備え、
前記第二計量ポンプは、横向きに設けられた第二シリンダと、当該第二シリンダ内を往復移動する第二ピストンと、当該第二ピストンに固定された第二駆動軸を備え、
前記第一計量ポンプと第二計量ポンプの近傍に、当該第一計量ポンプ及び第二計量ポンプを駆動する駆動モータが設けられ、
前記駆動モータの出力軸に主ギヤが設けられ、
前記主ギヤの近傍に当該主ギヤと噛み合う中継ギヤが設けられ、
前記第一駆動軸に前記中継ギヤと噛み合う第一従動ギヤが設けられ、
前記第二駆動軸に前記中継ギヤと噛み合う第二従動ギヤが設けられ、
前記駆動モータ及び主ギヤは、前記第一駆動軸と第二駆動軸の双方の往復スライド軸線よりも高い位置に配置された、
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂成形装置において、
第一ピストンと第二ピストンの外周に無機材料が混合されたシリコーン系樹脂製の成型シール材が設けられた、
ことを特徴とする樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂、モノマーキャストナイロン(以下「注型ナイロン」という。)、ウレタン、シリコーン等の液状原料(原料液)を使用して、樹脂合成と並行して、各種形状、構造の樹脂製品を成形可能な樹脂成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
注型ナイロン、ウレタン、シリコーン等の液状原料(原料液)を使用して、樹脂製造と同時に各種形状の樹脂製品を成形する樹脂成形装置は従来から各種ある(例えば、特許文献1や本願の図8に示すようなもの)。図8の樹脂成形装置は、原料タンクAと計量ポンプBと撹拌混合機Cと真空注型機Dと成形型Eを備えている。原料タンクAは二つあり、夫々の原料タンクAにピストンタイプの計量ポンプBが接続されている。夫々の計量ポンプBは、接続された原料タンクAから所定量の原料を吸入し、吸入した原料を撹拌混合機Cに吐出する。計量ポンプBのピストンヘッドB1の外周にはリング状のシール材Fが装着されている(図9)。ピストンヘッドB1の外周に装着されるシール材にはフッ素ゴム系樹脂からなるものが広く利用されている(特許文献1参照)。シール材Fは円盤状のピストンヘッドB1の外周に巻くと、シリンダGの内周面に密着するサイズのリング状である。従来のシール材Fは図9のように一つのピストンヘッドB1に二本が並べて周回されている。図9のJは当て材、Kは駆動軸である。
【0003】
前記樹脂成形装置を使用して、注型法(キャスティング)により樹脂成型品を成形するには、注型ナイロンの原料液を、原料タンクA(90〜120℃の温度)内で液状に保持し、その原料液を計量ポンプBにより撹拌混合機Cに送り出して混合撹拌し、混合撹拌済みの原料液を成形型Eに注入し、成形型E内で重合固化させて成型品を得る。ここで使用する原料液の粘度は110℃で3〜10mPa・sと非常に低い。また、原料液の一成分はpH12以上の強アルカリ性の化合物である。注型ナイロンの重合反応(活性反応)は水分によって阻害されるため、低湿度下で成型作業を行う必要がある。
【0004】
注型ナイロンの主原料であるε−カプロラクタムは常温では固体であり、キャスト成型時に、融点以上(通常、80〜140℃)の温度に加温、液状化後、触媒及び重合開始剤等が加えられる。触媒としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属やこれらの誘導体及びアルカリ金属、アルカリ土類金属やこれらの誘導体とε−カプロラクタムとの反応物等があり、重合開始剤としては、アシルラクタム、酸クロライド、イソシアネート、カーボネート、エステルやこれらとε−カプロラクタムとの反応物等がある。
【0005】
注型ナイロンの原料液の粘度は融点以上では水と同程度で低く、触媒は空気中の水分や酸素と反応して重合活性(反応活性)が失活する。失活防止のためには原料タンク内では不活性ガス雰囲気下に保持されることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−103344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のとおり、原料液は粘度が低いため、計量ポンプのシールが僅かに損傷しているだけでも原料液が漏れ出し、計量が不安定になり、良好な樹脂製品を成形することが難しくなる。しかし、既存の樹脂成形装置は原料液の漏出防止が必ずしも十分ではなかった。また、計量ポンプから漏出した原料液が計量ポンプの駆動装置に付着して駆動装置が作動しにくくなったり、駆動できなくなったりする(作動障害を起こす)ことがあった。
【0008】
本件発明者は既存の樹脂成形装置の原料液漏出について研究を重ねた結果、漏出原因の一つが、計量ポンプのピストンに使用されているシール材にあることを見出した。また、その原料液漏出が計量ポンプの駆動装置の作動障害発生の一因であることも判明した。
【0009】
本件発明の解決課題は計量ポンプの作動障害が生じにくい樹脂成形装置を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の樹脂成形装置は、少なくとも原料タンクと、ピストンタイプの計量ポンプと、撹拌混合機と成形型を備えた樹脂成形装置であり、前記計量ポンプのピストンの駆動装置が、少なくとも、駆動モータで回転されるギヤ、ピストンに連結された駆動軸を備え、前記駆動装置が、ピストンの駆動軸の往復スライド軸線の外側に配置されたものである。ここで、往復スライド軸線の外側とは、往復スライド軸線の軸廻り方向(外周)のいずれかの箇所、例えば、上下、左右の箇所である。
【0011】
前記樹脂成形装置の計量ポンプは、ピストンがシリンダ内を往復移動して原料タンク内の原料液を吸入又は吐出するものであり、当該ピストンのシール装着箇所に成型シール材が装着されたものであり、成型シール材が無機材料が混合されたシリコーン系樹脂を原料として所望形状に成形されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂成形装置は、計量ポンプのピストン駆動装置がピストンの往復スライド軸線の外側に配置されているため、仮に、計量ポンプから原料液が漏出しても、原料液が駆動装置に付着しにくくなり、原料液の付着による駆動装置の動作不良が生じにくい。また、駆動装置のメンテナンスも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】樹脂成形装置の概要説明図。
図2】樹脂成形装置の原料タンクと計量ポンプの概要説明図。
図3】計量ポンプの駆動装置の説明図。
図4】(a)は成型シール材の一例を示す断面図、(b)は成型シール材を装着したピストンの一例を示す一部縦断斜視図、(c)は成型シール材を装着したピストンヘッドの断面図。
図5】(a)(b)は計量ポンプのピストンの動作説明図。
図6】撹拌混合機の概要説明図。
図7】原料液の粘度の変化を示すグラフ。
図8】従来の樹脂成形装置の説明図。
図9】従来の樹脂成形装置における計量ポンプのシール部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
本発明の樹脂成形装置の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。図1において1は原料タンク、2は計量ポンプ、3は撹拌混合機、4は真空注型機、5は成形型である。原料タンク1は二つあり、計量ポンプ2はそれぞれの原料タンク1に一つずつ設けられている。
【0015】
[原料タンク]
図1の原料タンク1は、ε−カプロラクタムや助剤(触媒)等の原料を貯留するタンクである。具体的には、図示しない水分調整手段で水分調整したε−カプロラクタムや、助剤(触媒)等を入れるタンクである。原料タンク1の外周には帯状のヒーター(リボンヒーター)Hを装着してあり、そのヒーターHで原料タンク1内の原料を加温ないし保温できるようにしてある。
【0016】
原料タンク1にはその内部の原料を撹拌する撹拌手段6が設けられている。この撹拌手段6は駆動モータM1によって回転する。ε−カプロラクタムは吸湿しやすく、吸湿すると触媒の重合活性が低下あるいは消失し、重合活性の低下では成形品の表面状態や形状が悪くなり易く、正常な成形品が得られ無くなることがあり、消失した場合は、重合反応が起こらず、成形品自体を得ることができなくなるので、水分は徹底的に排除することが望まれる。水分を排除するため、原料タンク1に入れる原料は水分調整装置で予め水分量を調整しておくのが好ましい。具体的には、真空脱泡装置と加熱装置(ヒーター)を組み合わせた乾燥設備(図示しない)で加熱して、含水率を0.2%以下、好ましくは、0.1%以下までに脱水するのがよい。
【0017】
[計量ポンプ]
図1の計量ポンプ2は、原料タンク1に貯留された液状の原料(原料液)を吸入し、撹拌混合機3に吐出(供給)するものである。この計量ポンプ2はいわゆるピストン式のものであり、一例として図4(b)、図5(a)(b)に示すように、シリンダ7と、シリンダ7内を往復移動するピストン8と、当該ピストン8を移動させる駆動装置9(図2及び図3)及び駆動モータM2を備えている。
【0018】
[ピストン]
ピストン8は図4(b)のように、ピストンヘッド8aと駆動軸8bを備えている。駆動軸8bは螺子軸であり、ピストンヘッド8aに固定されている。ピストンヘッド8aの外周には成型シール材10が装着されている。ピストン8は駆動モータM2の正回転により図5(b)の矢印方向に前進移動し、逆回転により後退移動(戻り移動)する。成型シール材10の外周面は前進移動及び後退移動(往復移動)時にシリンダ7の内周面に密接している。ピストン8の移動量は駆動モータM2の回転量を変えることにより変えることができる。移動量の変化により原料の供給量を変えることができる。図4(c)の8cは成型シール材1をピストンヘッド8aに押し当てる当て材であり、ピストンヘッド8aに螺子で固定されている。図4(a)〜(c)ではリング状の成型シール材1が一本であるが、二本以上を平行に並べて配置することもできる。
【0019】
[成型シール材]
ピストン8に装着される成型シール材10は、シリコーン系樹脂を原料として所望形状に成形された成型品である。ここでいう所望形状とはシールを装着する部品や製品の箇所の形状、例えば、樹脂成形装置の計量ポンプのピストンヘッドに装着可能な形状である。例えば、図9のシール材Fのような形状でもよく、その他の形状、リング状、棒状、パイプ状、板状であってもよい。いずれの形状、構造の場合も、寸法は所望値とすることができる。
【0020】
前記シリコーン樹脂には、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社のシリコーンRTVゴム(例えば、TSE3477(RTV:Room Temperature Vulcanizing:常温(室温)硬化タイプ))や、信越化学工業株式会社のシリコーンRTVゴム(例えば、KE−1417、KE−1314)などを用いることができる。シリコーン樹脂はゴム状のもの(シリコーンゴム)であってもよい。
【0021】
前記成型シール材10は、シリコーン樹脂に無機材料が混合された混合シリコーン樹脂を原料として所望形状に成形されたものであってもよい。好ましい無機材料としては例えば、チタン酸カリウム繊維(ファインセラミックス)がある。ガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカ等であってもよい。チタン酸カリウム繊維には八チタン酸カリウム繊維や六チタン酸カリウム繊維があるが、いずれも使用可能である。チタン酸カリウム繊維としては、例えば、大塚化学株式会社のティスモを使用することができる。具体的には、ティスモD(八チタン酸カリウム繊維)、ティスモN(六チタン酸カリウム繊維)が適する。特に、表面がシランカップリング剤で包まれた(アミノシラン処理された)八チタン酸カリウム繊維、六チタン酸チタン酸カリウム繊維が適する。チタン酸カリウム繊維(ティスモ)の添加量(混練量)は適宜調整することができる。一例としては5〜65重量%、好ましくは20〜25重量%程度が適する。
【0022】
ティスモは平均繊維径0.3〜0.6μmのフィラーがシリコーン樹脂全般に均一に分散されている。ティスモは1200℃の高温に耐え、赤外線反射率が高く、かつ熱伝導率が極めて低く、平均繊維径0.3〜0.6μmが均一に分散されたものである。無機材料シリコーン系樹脂全般に均一分散された無機材料混合シリコーン系樹脂を使用することにより、成型シール材もその全般に、無機材料が混合されたものとなる。無機材料はシリコーン樹脂の全般に均一に分散して混合しにくいため、無機材料はシリコーン樹脂に練り込むとか押し込むなどすると混合し易くなる。可能であれば撹拌機で撹拌混合することもできる。無機材料はシリコーン樹脂全般にほぼ均一に配合分散された(混合された)ものが望ましい。無機材料がシリコーン樹脂全般にほぼ均一に混合された無機材混合シリコーン樹脂で成形された成型シリコーン材は、無機材料がその全域にほぼ均等に混合されたものとなる。
【0023】
[駆動装置]
図1の駆動装置9は図2及び図3のように、駆動モータM2に取り付けられた主ギヤ11と、主ギヤ11と噛合う中継ギヤ12と、中継ギヤ12と噛合う二つの従動ギヤ13を備えている。夫々の従動ギヤ13は中央に孔14が形成されており、その孔14にピストン8の駆動軸8bが差し込まれて固定されている。駆動モータM2はピストン8の往復移動軸(図1に二点鎖で示す往復スライド軸線L)の外側(往復スライド軸線Lから外れた)位置、図1では往復スライド軸線Lよりも上(高い位置)に設けられている。図示した駆動軸8はネジ軸であるが、螺子のない軸であってもよい。
【0024】
駆動装置9は駆動モータM2が正回転すると、その正回転力が主ギヤ11−中継ギヤ12−従動ギヤ13と伝達され、ピストン8が図5(a)の位置から図5(b)の矢印方向に前進移動して、原料タンク1内の原料を撹拌混合機3へ吐出する。原料タンク1と計量ポンプ2を繋ぐ吸入パイプ15(図1)及び計量ポンプ2と繋ぐ送り出しパイプ16(図1)にはバルブ15a、16aが設けられており、前記ピストン8の移動と連動して開閉するようにしてある。駆動モータM2が逆回転すると、その逆回転力が主ギヤ11−中継ギヤ12−従動ギヤ13と伝達され、ピストン8が図5(b)の矢印と逆方向に後退移動して図5(a)の位置(元の位置)まで戻る。
【0025】
[撹拌混合機]
図1の撹拌混合機3は、二つの計量ポンプ2から吐出(供給)される原料液を撹拌して混合する装置であり、撹拌混合タンク17内に撹拌混合羽根18を備えている。撹拌混合タンク17の外周には、原料タンク1の外周に装着されたリボンヒーターHと同様のリボンヒーターHが装着されており、そのリボンヒーターHで撹拌混合タンク17内の原料液を加温ないし保温できるようにしてある。撹拌混合羽根18は駆動モータM3で回転する。
【0026】
[粘度計測装置]
前記撹拌混合機3には、撹拌混合機3内の原料液の粘度、具体的には、撹拌トルクを計測するための粘度計測装置19(図1)を設けることもできる。粘度計測装置19には、例えば、市販のトルクメータを用いることができる。トルクメータは図1の撹拌混合羽根18の軸18aに取り付けることも、図1の撹拌混合羽根18とは別に、図6のように、駆動モータM4で回転する補助撹拌羽根20を設け、その補助撹拌羽根20の軸20aにトルクメータ19を取り付けることもできる。トルクメータは一例であり、粘度計測装置19には、粘度計測可能であれば、トルクメータ以外のものを用いることもできる。
【0027】
[原料の粘度]
成形型5(図1)は二つ合わせる合わせ型である。混合直後の原料液は粘度が低い。粘度が低い状態で原料液を成形型5に流し込むと、成形型5の合わせ面から液漏れが発生しやすい。特に、型締めを行わない樹脂型の場合は漏れ量が多くなりやすい。本件発明者は、原料液の粘度は、図7に示すように、徐々に上昇した後、ある時点に達したところで急激に上昇することを見出した。粘度計測装置19(図1図6)によって原料液の粘度を検知できるようにし、液漏れの生じにくい粘度に達したところで、成形型5に原料液が供給される(真空引きされる)ようにすることで、成形型5の合わせ面からの原料液の漏れ出しを防ぐことができる。成形型5への原料液の供給は自動的に行われるようにすることも、手動で随時行うこともできる。
【0028】
[成形型]
図1の真空注型機4では、真空槽内に成形型5が配置されている。真空注型機4は撹拌混合機3内で撹拌混合された原料を真空引きして成形型5内に流し込み(引き込み)、成形型5内で原料を重合させる。成形型5にはシリコーン製その他の樹脂製の型を用いるのが適する。シリコーン型としては、例えば、本件出願人が先に開発したシリコーン樹脂製成形型(特許第5747138号)を用いることができる。具体的には、シリコーン樹脂に八チタン酸カリウム繊維又は六チタン酸カリウム繊維が混練された混練樹脂製の成形型を用いることができる。この場合も、チタン酸カリウム繊維としては、例えば、大塚化学株式会社のティスモを使用することができる。具体的には、ティスモD(八チタン酸カリウム繊維)、ティスモN(六チタン酸カリウム繊維)が適し、特に、チタン酸カリウム繊維の表面がシランカップリング剤で包まれた(アミノシラン処理された)チタン酸カリウム繊維が好ましい。チタン酸カリウム繊維(ティスモ)の添加量(混練量)も適宜調整することができる。一例としては、シリコーン樹脂に対して15〜45重量%、好ましくは20〜25重量%程度が適する。多過ぎると混練し難くなり、少ないと混練する技術的意義が低下する。成形型5はシール用成型品の成形に適した形状、構造に予め成型してある。本発明の樹脂成形装置で樹脂製品を成形する場合は、真空型以外の成形型を使用することができる。
【0029】
(樹脂成形装置の使用例)
図1に示す樹脂成形装置は、各種形状、構造の樹脂製品を成形することができる。注型ナイロン成形品は次のようにして成形することができる。
(1)水分調整工程で水分調整した120℃液状ε−カプロラクタム500gにナトリウムメチラート粉末6.3gを添加し、減圧により、副生するメチルアルコールを除去し、ナトリウム触媒を含むεカプロラクラム溶液(カプロラクラム液A)をつくり、原料タンク1(原料タンク1a)に入れる。
(2)水分調整工程で水分調整した120℃液状ε−カプロラクラム500gにトルエンジイソシアネート20.9gを添加、εカプロラクラムとトルエンジイソシアネートを反応させて、イソシアネート系副触媒(開始剤)を含むε−カプロラクラム溶液(カプロラクラム液B)をつくり、原料タンク1(原料タンク1b)に入れる。
(3)計量工程で、前記カプロラクタム液A、カプロラクタム液Bを計量ポンプ2で等量に計量して撹拌混合機3に入れる。原料タンク1a内のカプロラクタム液Aは計量ポンプ2aで、原料タンク1b内のカプロラクタム液Bは計量ポンプ2bで計量を行う。各藩混合機3に入れられたカプロラクタム液A及びカプロラクタム液Bは、撹拌混合工程において撹拌混合機3内で撹拌混合して混合液にし、撹拌混合機3内を80〜130℃の温度に加温して前記混合液を撹拌し、粘度測定器で液の粘度を測定し、所定粘度に到達すると、直ちに型内に流し込む。
(4)型内注入工程では、前記混合液は真空注型機4で真空引きされた成形型5内に流し込まれる。成形工程で成形型5内は重合反応温度(130〜180℃)に加熱して、成形型5内の混合液を重合させて成型品を得る。
【0030】
[水分除去]
ε−カプロラクタムは吸湿しやすく、吸湿すると触媒の重合活性が低下あるいは消失し、正常な成形品を得ることが難しくなる。これを防止するためには、原料タンク1、計量ポンプ2、撹拌混合機3のそれぞれに乾燥設備を設けて、原料タンク1での原料調整工程、計量ポンプ2による計量工程、撹拌混合機3による撹拌混合工程、真空注型機4による型内注入工程の全行程において水分除去できるようにするのが好ましい。原料タンク1、計量ポンプ2、撹拌混合機3内の一又は二以上に不活性ガス(N)を注入するのもよい。
【0031】
(他の成型品の成形例)
図1に示す樹脂成形装置により、他の形状、用途の注型ナイロン製品を成形する場合も前記成型と同様にして成形することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の樹脂成形装置は他の樹脂成型品の成形に使用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 原料タンク
1a 一方の原料タンク
1b 他方の原料タンク
2 計量ポンプ
2a 一方の計量ポンプ
2b 他方の計量ポンプ
3 撹拌混合機
4 真空注型機
5 成形型
6 撹拌手段
7 シリンダ
8 ピストン
8a ピストンヘッド
8b 駆動軸
8c 当て材
9 駆動装置
10 成型シール材
11 主ギヤ
12 中継ギヤ
13 従動ギヤ
14 孔
15 吸入パイプ
15a (吸入パイプの)バルブ
16 送り出しパイプ
16a (送り出しパイプの)バルブ
17 撹拌混合タンク
18 撹拌混合羽根
18a (撹拌混合羽根の)軸
19 粘度計測装置(トルクメータ)
20 補助撹拌羽根
20a (補助撹拌羽根の)軸
A 原料タンク
B 計量ポンプ
B1 ピストンヘッド
C 撹拌混合機
D 真空注型機
E 成形型
F シール材
G シリンダ
H リボンヒーター
J 当て材
K 駆動軸
L 往復駆動軸
M1〜M4 駆動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9