特許第6543668号(P6543668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543668成長ホルモンポリペプチド並びにその作成及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543668
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】成長ホルモンポリペプチド並びにその作成及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/61 20060101AFI20190628BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20190628BHJP
   C12N 15/18 20060101ALI20190628BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   C07K14/61ZNA
   C07K19/00
   C12N15/18
   C12N15/62 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】337
(21)【出願番号】特願2017-181582(P2017-181582)
(22)【出願日】2017年9月21日
(62)【分割の表示】特願2016-151272(P2016-151272)の分割
【原出願日】2010年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-217014(P2017-217014A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年9月21日
(31)【優先権主張番号】61/280,955
(32)【優先日】2009年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/699,761
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/236,836
(32)【優先日】2009年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/185,112
(32)【優先日】2009年6月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2010/023106
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511188819
【氏名又は名称】アムニクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー シェレンバーガー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム ピー. ステマー
(72)【発明者】
【氏名】チア−ウェイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン ギーティング
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エル. クリーランド
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スピンク
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/103515(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/027854(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸張組換えポリペプチド(XTEN)に結合した配列番号1の配列を有する成長ホルモン(GH)のポリペプチドを含む組成物の液体形状を含む、予め充填されたシリンジであって、該ポリペプチドが、配列番号757の配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、予め充填されたシリンジ。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、配列番号757の配列と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、配列番号757の配列と少なくとも99%の配列同一性を有する、請求項1に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、配列番号757のアミノ酸2〜1251を含む、請求項1に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、配列番号757のアミノ酸2〜1251からなる、請求項1に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項6】
前記成長ホルモンの受容体に対する前記ポリペプチドの結合親和性が、前記XTENを持たない対応するGHの結合親和性と比較して低くなる、請求項1に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項7】
前記成長ホルモンの受容体に対する前記ポリペプチドの結合親和性が、XTENに結合していないGHと比較して少なくとも3倍低くなる、請求項6に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項8】
前記成長ホルモンの受容体に対する前記ポリペプチドの結合親和性が、前記XTENを持たない対応するGHの結合親和性と比較して少なくとも10倍低くなる、請求項6に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項9】
低下した結合親和性を有する前記ポリペプチドが、低下した受容体介在性クリアランスを示す、請求項6に記載の予め充填されたシリンジ。
【請求項10】
低下した結合親和性を有する前記ポリペプチドが、前記XTENに結合していない対応するGHと比較して少なくとも3倍の、半減期の対応する延長を有する、請求項6に記載の予め充填されたシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府後援研究に関する説明)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)からのSBIR助成2R44GM079873−02のもと、米国政府の支援を受けて行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本出願は、全てが係属中である、2009年6月8日に出願の米国仮特許出願第61/185,112号、2009年8月25日に出願の同61/236,836号、及び2009年11月10日に出願の同61/280,955号、並びにその両方が2010年2月3日に出願された米国特許出願第12/699,761号、及びPCT出願第PCT/US10/23106号の優先権を主張するものであり、これらの全文は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、ヒトの成長及び発生の制御に関わるホルモンである。ソマトトロピンとしても知られる成長ホルモン(本明細書においては以下「GH」とする)は、下垂体前葉で生産され、そこから分泌される、あるクラスのタンパク様ホルモンである。GHの分泌は視床下部からの成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)によって刺激され、そしてソマトスタチンにより抑制される。この下垂体ホルモンは、体形成、乳汁分泌、マクロファージの活性化、インスリン様及び糖尿病誘発効果などを含む、数多くの生物効果を示す(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。ヒト成長ホルモンは、胎盤ホルモン、プロラクチン、及びその他の、GHの遺伝的及び種による変異体を含む、類似したホルモンファミリーのメンバーである。GHは、まとめてソマトメジンとして知られているいくつかのペプチドホルモンのうちの、その生理活性の大部分を占めるインスリン様成長因子(IGF−1、以前はソマトメジンCとして知られていた)の分泌を制御する。
【0004】
数多くの疾患及び障害は、GHの欠損と関連している。欠損は、先天性のもの、小児期において後天的に発症するもの、又は成人してから後天的に発症するものである場合があり、及び部分的なもの又は完全なものである場合もある。いくつかの症例においては欠損は一過性であるが、より一般的には永久的なものであり、また、その他の下垂体ホルモンの欠損に関連して生じる場合がある。小児における成長ホルモンの欠損は、小人症、成長障害又は低身長を引き起こす。成人での欠損は稀であるが、症状は体重の減少及び骨密度の低下、並びに数多くの心理学的な症状を含む場合がある。その他のホルモン性又は腺性障害はしばしば、成長ホルモンの欠損と一致する。
【0005】
小児期における身長増加への刺激が、GHの最も広く知られている効果であり、GHが軟骨の軟骨細胞の分裂及び増殖を直接刺激すること、及びGHがIGF−1の生産をもまた刺激することの、少なくとも2つの機序により機能していると考えられている。IGF−1は様々な組織における成長刺激効果を有する。IGF−1は標的組織内でさらに生成され、このことによりIGF−1は外見上、エンドクリン的及びオートクリン/パラクリン的両方のホルモンとなる。IGF−1はまた、骨の成長を促進するための骨芽細胞及び軟骨細胞の活性にも刺激効果を有する。
【0006】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、タンパク質、炭水化物及び脂質の代謝におけるその効果を通して、体の成長において重要な役割を果たす。体の成長へのその効果に加えて、hGHがインビトロにおいて血液細胞を刺激すること(Derfalvi et al., 1998; Merchav et al; 1988)、赤血球及びヘモグロビン数を増加させること(Valerio et al., 1997; Vihervuori et al., 1996)、血漿細胞株においてIgの増殖及び生産の両方を高めること(Kimata and Yoshida, 1994)及びCD8細胞数を刺激すること、並びにCD4細胞数の割合を減少させること(Geffner, 1997)が示されてきた。
【0007】
注入が可能な形態のGHが、小児及び成人におけるGHの欠損であるターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群用に、及び在胎期間の発育遅延用に市販されてきた。加えて、加齢に対抗するための手段及び体重管理、並びに、末梢血での血液の再生が可能な細胞の導入においても使用されている。
【0008】
hGHの分子量が22kDAであり、腎臓におけるろ過の閾値(約70kDa)よりもかなり小さいことから(非特許文献4)、ヒトにおける天然のhGHの半減期は20分未満である。従って、臨床的有益性を達成するためには、市販のhGH調整物は毎日投与しなくてはならない。より少ない回数の注入を可能にする(毎日ではなく、2又は4週毎)持続放出形態のGH、Nutropin Depot(Genentech and Alkermes)が1999年、FDAにより認可されたが、この製品は2004年に製造中止になった。 治療用タンパク質を化学的に修飾することによってそのインビボでのクリアランス率を変化させ、そしてそれに伴う血中半減期を変化させることが可能である。一般的な修飾の一例にはポリエチレングリコール(PEG)成分の付加がある。これは典型的には、PEGのアルデヒド又はN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基をアミン基(例えばリシン側鎖又はN末端)と反応させることを介してタンパク質に結合させるものである。しかしながら、この結合過程では、分離を必要とする異種産物混合物の形成を生じる場合があり、これにより、生産量が有意に低下し、製造が複雑になるために完全に化学的に単一な産物が生成されない。また、PEG化過程においてGHの結合部位に隣接したアミノ酸側鎖が修飾された場合には、その薬理学的機能が妨げられる可能性がある。その他の方法には、治療用GHタンパク質にFcドメインを遺伝的に融合させることが挙げられる。Fcドメインの結合により治療用タンパク質のサイズが増大し、それにより、腎臓を介したクリアランス率が低下する。加えて、Fcドメインによって、FcRn受容体への結合能力、及びFcRn受容体よりリソソームから再生される能力が付与され、それにより薬物動態学的半減期が長くなる。残念ながら、Fcドメインは組換え発現においては正しく折りたたまれず、封入体として知られる不溶性沈殿物を形成する傾向にある。これらの封入体は可溶化しなければならず、機能性タンパク質を、時間のかかる、非効率的な、費用のかかる工程を通して異常に折りたたまれた凝集体から復元しなければならない。従って、半減期が長く、そのためより低頻度で投与することができるがより安全で、そして生産がより簡単で、生産にかかる費用もより安い、成長ホルモン組成物が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Chawla, R, K. (1983) Ann. Rev. Med. 34, 519
【非特許文献2】Edwards, C. K. et al. (1988) Science 239, 769
【非特許文献3】Thorner, M. O., et al. (1988) J. Clin. Invest. 81, 745
【非特許文献4】Caliceti (2003) Adv Drug Deliv Rev 55:1261−1277
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、成長ホルモンを投与することにより改善される、回復する、又は阻害される、任意の疾患、障害、又は状態の治療に有効である可能性のある組成物及び方法を指向する。具体的には、本発明は、成長ホルモン(GH)に結合した、非反復配列及び/又は非構造性コンホメーションを有する伸張(extended)組換えポリペプチド(XTEN)を1つ以上含む、融合タンパク質の組成物を提供する。部分的には本開示は、融合タンパク質を含む医薬組成物、及び成長ホルモン関連疾患、障害又は状態を治療するためのその使用を指向する。
【0011】
一実施形態において本発明は、表1から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約90%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%同一の成長ホルモンを含む、単離した融合タンパク質を提供し、ここで前記成長ホルモンは少なくとも約100、又は少なくとも約200、又は少なくとも約400、又は少なくとも約800、又は少なくとも約900、又は少なくとも約1000、又は少なくとも約2000、から約3000アミノ酸残基までの伸張組換えポリペプチド(XTEN)に結合されており、ここでXTENは(a)XTENが表3に示された配列から選択された、比較できる同等の長さのアミノ酸配列と少なくとも約90%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%の同一性を示す少なくとも約200の連続したアミノ酸を含むこと;(b)XTEN配列中のエピトープを予測するために−5、又は−6、又は−7、又は−8、又は−9以上のスコアに基づいてTEPITOPEアルゴリズムを用いて解析した場合、XTEN配列が予測されるT−細胞エピトープを含まないこと;(c)XTENが10未満、又は9未満、又は8未満、又は7未満、又は6未満、又は5未満、又はそれより低い部分列スコアを有すること;及び(d)グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)残基の総和がXTENの全アミノ酸残基の約90%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%以上を構成すること、を特徴とする。一実施形態において、単離した融合タンパク質の成長ホルモンはヒト成長ホルモンである。別の実施形態において、単離した融合タンパク質は少なくとも第二のXTENを含み、ここでこの融合タンパク質は表5に示した多重(multiple)XTEN配置又はその変異構造をとる。
【0012】
別の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質のXTEN配列は、GORアルゴリズムによって決定した場合に90%を超えるランダムコイル構造又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%のランダムコイル構造を有すること;及びChou−Fasmanアルゴリズムによって決定した場合、XTEN配列は2%未満のアルファヘリックス及び2%のベータシートを有すること、を特徴とする。
【0013】
別の実施形態において、本発明はGHXTEN融合タンパク質を提供し、ここでXTENは、アスパラギン及びグルタミン残基の総和がXTENの全アミノ酸配列の10%未満であり、メチオニン及びトリプトファン残基の総和がXTENの全アミノ酸配列の2%未満であり、XTEN配列が有する正電荷アミノ酸残基が5%未満であり、GORアルゴリズムを用いて決定した場合にXTEN配列は90%を超えるランダムコイル構造、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%のランダムコイル構造を有し;及びChou−Fasmanアルゴリズムを用いて決定した場合にXTEN配列は2%未満のアルファヘリックス及び2%のベータシートを有する、ことを特徴とする。
【0014】
別の実施形態において本発明はGHXTEN融合タンパク質を提供し、ここでXTENは、XTEN配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%がオーバーラップしていない配列モチーフから構成されることを特徴とし、ここで各配列モチーフは約9〜約14アミノ酸残基であり、配列中の任意の2つの連続したアミノ酸残基は各配列モチーフ中に2回より多くは存在せず、配列モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つのアミノ酸を含む。
【0015】
いくつかの実施形態においては、GHXTENのXTEN配列の30%より多くを1種類のアミノ酸が構成することはない。その他の実施形態においてXTENは、セリン以外には同一のアミノ酸が3つ連続したアミノ酸配列を含まず、この場合には3つの連続したアミノ酸はセリン残基でしかない。その上さらにその他の実施形態では、XTEN配列の少なくとも約80%、又は約90%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は100%がオーバーラップしていない配列モチーフから構成され、ここで各配列モチーフは12アミノ酸残基である。一実施形態において、XTEN配列はオーバーラップしていない配列モチーフから成り、ここで配列モチーフは表2の1つ以上の配列由来である。
【0016】
いくつかの実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、XTENと結合していないGHと比較して向上した薬物動態学的特性を示す。向上した特性には、より長い終末相半減期、濃度曲線下面積の増大、治療ウィンドウ中での血中濃度が維持される時間の延長、連続投与の時間間隔の増大、及び全期間中でのモル用量の減少、が含まれるがこれらには限定されない。いくつかの実施形態において、対象に投与されるGHXTEN融合タンパク質の終末相半減期は、XTENと結合していなく、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHと比較して少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約60倍、又は少なくとも約100倍、又はそれ以上にも長くなる。その他の実施形態において向上した薬物動態学的特性は、指定された期間、治療ウィンドウ中で維持されるGHXTEN融合タンパク質の血中濃度が、XTENと結合していなく、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHのと比較して少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍長く、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約60倍、又は少なくとも約100倍であることを反映する。半減期及び治療ウインドウ中で推移する時間がより長いことは、XTENに結合していない対応するGHと比較して、より低頻度で投与すること及び対象に投与する融合タンパク質の量(モル等量)を低減させることを可能にする。一実施形態において治療上効果的な投与計画は、融合タンパク質結合していなく、かつ、同等の用量において対象に投与される対応するGHと比較して、融合タンパク質の少なくとも2つの連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷の間の時間を少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも6倍、又は少なくとも8倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約60倍、又は少なくとも約100倍、長くする。
【0017】
いくつかの実施形態において、XTENは生物学的に活性なタンパク質と結合させることで、その生物学的に活性なタンパク質の熱安定性を高める。熱安定性は、生物学的に活性なタンパク質を約37℃に少なくとも約7日間曝露した後に生理活性の保持を測定し、XTENに結合した生物学的に活性なタンパク質と比較することによって確かめられる。前述したうちの一実施形態において生理活性は、XTENを含むがXTENと結合していないGHと比較して少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、又は約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、又は約500%より長く保持される。
【0018】
いくつかの実施形態においては、少なくとも第一のXTENを含む単離した融合タンパク質はGHを含み、ここでこのGHはヒト成長ホルモンである。いくつかの実施形態においては、単離した融合タンパク質は第二のXTENをさらに含み、ここで第二のXTENは第一のXTENと同一であっても又は異なるものであってもよく、そしてこの融合タンパク質は表5に示される多重XTEN配置をとる。前述したうちの一実施形態において、第一及び第二のXTENはそれぞれ表3から選択される配列であってもよく、又は表3から選択される配列と少なくとも少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%又は100%の配列同一性を示すものであってもよい。別の実施形態において第二のXTEN配列を含む単離した融合タンパク質は、表5に示した多重XTEN配置をとる。
【0019】
一実施形態において単離した融合タンパク質は、XTENと結合していないGHと比較して免疫原性が低い。免疫原性は、例えば、同等の用量において対象に投与した後に、生物学的に活性なタンパク質に選択的に結合するIgG抗体の生産を測定することにより確かめられる。
【0020】
いくつかの実施形態においては、成長ホルモンペプチドと、融合タンパク質のXTENはスペーサーを介して結合し、ここでスペーサー配列は約1個〜約50個の範囲のアミノ酸残基から成り、任意に開裂配列を含む。一実施形態において開裂配列はプロテアーゼによる開裂に感受性である。そのようなプロテアーゼの非限定的な例としては、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIa、FIXa、FXa、トロンビン、エラスターゼ−2、グランザイムB、MMP−12、MMP−13、MMP−17又はMMP−20、TEV、エンテロキナーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、及びソルターゼ(sortase)Aが挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態において単離した融合タンパク質は、融合タンパク質に結合していない対応するGHと比較して、対応するGHの標的受容体に対する結合親和性が低くなるように構成される。一実施形態においては、GHXTEN融合タンパク質がGHの標的受容体に対して示す結合親和性は、XTENをもたない対応するGHの約0.01%〜30%、又は約0.1%〜約20%、又は約1%〜約15%、又は約2%〜約10%の範囲である。別の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、GHの標的受容体に対して、XTENに結合していないGHと比較して少なくとも約3倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍、又は少なくとも約15倍、又は少なくとも約17倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約30倍、又は少なくとも約50倍、又は少なくとも約100倍低い結合親和性を示す。関連する実施形態において、低い親和性を有する融合タンパク質は、融合タンパク質に結合していない対応するGHと比較して、低い受容体介在性クリアランス及びそれに相当する、少なくとも約3倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約12倍、又は少なくとも約15倍、又は少なくとも約17倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約30倍、又は少なくとも約50倍、又は少なくとも約100倍長い半減期を有する場合がある。
【0022】
一実施形態において本発明は、表35、表36、及び表37から選択される配列と、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%、又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、単離したGHXTEN融合タンパク質を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態においては、本発明はGHXTEN融合タンパク質を提供し、ここでGHXTENは、融合タンパク質に結合していないGHと比較して、生理学的条件において少なくとも3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約15倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも60倍高い溶解度を示す。
【0024】
いくつかの実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーで決定した場合に、実際の分子量よりも大きい見かけの分子量(Apparente Molecular Weight)を示す。ここでこの見かけの分子量は、少なくとも約100kD、又は少なくとも約150kD、又は少なくとも約200kD、又は少なくとも約300kD、又は少なくとも約400kD、又は少なくとも約500kD、又は少なくとも約600kD、又は少なくとも約700kDであるが、融合タンパク質の各GH構成要素の実際の分子量は約25kD未満である。従って、GHXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質の実際の分子量よりも約4倍大きい、又は約5倍大きい、又は約6倍大きい、又は約7倍大きい、又は約8倍大きい見かけの分子量を有する場合がある。場合により、前述した実施形態の単離したGHXTEN融合タンパク質は生理学的条件下において、約4、又は約5、又は約6、又は約7、又は約8より大きい見かけの分子量因子を示す。
【0025】
本発明は、表1から選択されるGH(又は断片若しくはその配列変異体)、表3から選択されるXTEN(又はその配列変異体)を含み、表5から選択される構造をとるGHXTEN融合タンパク質組成物を検討するが、組成物の配列及び構造はこれらには限定されない。通常、生じるGHXTENは、XTENと結合していない対応するGHの生理活性を少なくとも部分的には保持するだろう。その他の例においてGH構成要素は、GHXTEN中にスペーサー配列と共に組み入れられた任意の開裂配列による開裂よってXTENから放出される際に、生物学的に活性なもの又は活性が増したもののいずれかとなる。
【0026】
GHXTEN組成物の一実施形態において本発明は、式Iの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−GH−(XTEN):I
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;xは0又は1のいずれかであり、及びyは0又は1であり、ここでx+y≧1であり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。いくつかの実施形態においては、XTENを成長ホルモンのN−又はC−末端を介して成長ホルモンに融合させる。いくつかの実施形態において単離した融合タンパク質は、ヒト成長ホルモン並びにAE912、AM923、AE144、及びAE288から選択される第一及び第二のXTENを含む。
【0027】
GHXTEN組成物の別の実施形態では、本発明は、式IIの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(GH)−(S)−(XTEN):II
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり及びyは0又は1のいずれかであり、ここでx+y≧1であり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0028】
別の実施形態では本発明は、融合タンパク質が式IIIの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
(GH)−(S)−(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN):III
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;zは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0029】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式IVの融合タンパク質である単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN)−(GH):IV
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;zは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0030】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式Vの融合タンパク質である、単離した融合成長ホルモンを提供し、
(GH)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN):V
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0031】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式VIの融合タンパク質である単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(GH):VI
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0032】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式VIIの融合タンパク質である単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(GH)−(XTEN):VII
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0033】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式VIIIの融合タンパク質である単離した融合タンパク質を提供し、
((S)−(GH)−(S)−(XTEN)−(S):VIII
式中、(1)x+y>1、(2)t=1、x>0及びy>0である場合、(3)1つより多いGH、S、又はXTENが含まれ、GH、XTEN、又はSがそれぞれ同じ又はそれぞれ独立して異なる場合;及び(4)t>1であり、各サブユニット中に含まれるm、n、o、x、又はyがそれぞれ同じ又はそれぞれ独立して異なる場合以外は、tは0より大きい整数であり(1、2、3、など);m、n、o、x、及びyはそれぞれ独立して整数であり(0、1、2、3、など)、GHは成長ホルモンであり;Sは任意に開裂部位を含むスペーサーであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0034】
いくつかの実施形態においては、治療上有効量の式I〜VIIIの実施形態の融合タンパク質をそれを必要とする対象へ投与すると、XTENと結合していない対応するGHであって、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHと比較して、融合タンパク質が治療ウインドウ中で推移する時間が少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、又は少なくとも5倍以上に延長される。その他の例においては、治療上有効量の式I〜VIIIの実施形態の融合タンパク質をそれを必要とする対象へ投与すると、XTENに結合していないGHであって、かつ、同等の用量において投与されるGHの連続投与の間隔と比較して、治療上効果的な用量計画を維持するために必要な連続投与の間隔を少なくとも48時間、又は少なくとも72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、又は少なくとも約7日間、又は少なくとも約14日間、又は少なくとも約21日間延長することができる。
【0035】
GH、XTEN、及び任意のスペーサー配列のN末端からC末端にかけての配置が異なるように、融合タンパク質を設計することができる。これら配置の例にはXTEN−GH、GH−XTEN、XTEN−S−GH、GH−S−XTEN、XTEN−GH−XTEN、GH−GH−XTEN、XTEN−GH−GH、GH−S−GH−XTEN、XTEN−GH−S−GH、及びその多量体が挙げられるが、これらには限定されない。本明細書に開示したように、配置の選択により、特定の薬物動態学的、物理/化学的、又は薬理学的特性を付与することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において単離した融合タンパク質は、(i)XTENをもたない対応する成長ホルモンと比較してより長い半減期を有する;(ii)他の点では同等の用量計画において、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも少ないモル量の融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;(iii)他の点では同等の用量計画において、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも少ないモル量の融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する;(iv)他の点では同等のモル量で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも低頻度で融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;(v)他の点では同等のモル量で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも低頻度で融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する;(vi)他の点では同等の投与期間、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも累積して少ないモル量の融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;又は(vii)他の点では同等の投与期間、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも累積して少ないモル量の融合タンパク質を対象に投与した場合に、融合タンパク質はXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する;ことを特徴とする。
【0037】
一実施形態において、上述した式I〜VIIIのGHXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質に結合していないGHの生理活性と比較して、少なくとも約0.1%、又は少なくとも約0.1%、又は少なくとも約1%、又は少なくとも約2%、又は少なくとも約3%、又は少なくとも約4%、又は少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の生理活性を示す。別の実施形態において式I〜VIIIのGHXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質に共有結合していない対応する生物学的に活性な親タンパク質と同じ受容体又はリガンドに結合する。
【0038】
本発明は、(a)融合タンパク質をコードしている組換えポリヌクレオチド分子を含む宿主細胞を準備する工程、(b)融合タンパク質の発現を可能にする条件下において宿主細胞を培養する工程;及び(c)融合タンパク質を回収する工程、を含む、成長ホルモンを1つ以上の伸張組換えポリペプチド(XTEN)に融合させた融合タンパク質の生産方法を提供する。本方法の一実施形態において、融合タンパク質の成長ホルモンは、ヒト成長ホルモン又は表1から選択された配列と少なくとも90%の配列同一性を有する。本方法の別の実施形態において、発現させた融合タンパク質中の1つ以上のXTENは、表3から選択された配列と、少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%から約100%の配列同一性を有する。本方法の別の実施形態において、XTENをコードしているポリヌクレオチドは、宿主細胞中での前記融合タンパク質の発現を高めるためにコドン最適化したものである。本方法の別の実施形態においては、宿主細胞は原核細胞である。本方法の別の実施形態において宿主細胞は、大腸菌(E.coli)である。本方法の別の実施形態において単離した融合タンパク質は、宿主細胞の細胞質から、実質的に可溶な形態で回収される。
【0039】
本発明は、(a)前述した実施形態のいずれかの融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド、又は(b)(a)のポリヌクレオチドの相補鎖、から選択されたポリヌクレオチド配列を含む、単離した核酸を提供する。一実施形態において本発明は、(a)表35、表36、及び表37から選択された、同等の長さのポリヌクレオチド配列;又は(b)(a)のポリヌクレオチドの相補鎖と、少なくとも80%の配列同一性、又は約85%、又は少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%から約100%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む、単離した核酸を提供する。本発明は、この段落で上述した実施形態のうちのいずれかの核酸を含む、発現ベクターを提供する。一実施形態において前述の発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列に操作可能に連結した組換え制御配列をさらに含む。別の実施形態において前述した発現ベクターのポリヌクレオチド配列は、分泌シグナル配列をコードしているポリヌクレオチドにインフレームで融合させたものであり、このシグナル配列は原核性のシグナル配列であってもよい。一実施形態において、分泌シグナル配列は、OmpA、DsbA、及びPhoAシグナル配列から選択される。
【0040】
本発明は宿主細胞を提供し、この宿主細胞は前述した段落で開示した発現ベクターを含んでいてもよい。一実施形態において、宿主細胞は原核細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は大腸菌である。別の実施形態において、宿主細胞は真核細胞である。
【0041】
一実施形態において本発明は、前述したいずれかの実施形態の融合タンパク質及び薬学上許容可能な担体を含む、医薬組成物を提供する。別の実施形態において本発明は、包装材及び前述した実施形態の医薬組成物を含む少なくとも第一の容器、並びに医薬組成物及び保管及び操作条件を指示するラベル、並びに再構成及び/又は対象への医薬組成物の投与についての説明を記載したシートを含むキットを提供する。
【0042】
本発明は、治療上有効量の、前述したいずれかの実施形態の融合タンパク質を対象に投与する工程を含む、対象における成長ホルモン関連疾患の治療方法を提供する。本方法の一実施形態においては、成長ホルモン関連疾患は、成長ホルモン欠損、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、特発性低身長、AIDS消耗症候群、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び筋ジストロフィーから選択される。
【0043】
いくつかの実施形態においては組成物を、皮下に、筋内に、又は静脈内に投与することができる。一実施形態においては、組成物を治療上有効量で投与する。一実施形態において治療上有効量とは、融合タンパク質のGHに対応するが融合タンパク質に結合していないGHであって、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHと比較して、融合タンパク質が治療ウインドウ中で推移する期間の延長をもたらす。治療ウインドウ中で推移する時間の延長は、融合タンパク質に結合していない対応するGHよりも少なくとも3倍長くなる場合があり、あるいは、融合タンパク質に結合していない対応するGHよりも少なくとも4倍、又は5倍、又は6倍、又は7倍、又は8倍、又は9倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも約30倍、又は少なくとも約50倍、又は少なくとも約100倍、長くなる可能性がある。本治療方法のいくつかの実施形態においては、(i)他の点では同等の用量計画において、XTENをもたない対応する成長ホルモンと比較して、より少ないモル量(例えば約1/2未満、又は約1/3倍未満、又は約1/4未満、又は約1/5未満、又は約1/6未何、又は約1/8未満、又は約1/100未満又はそれより少ない量)の融合タンパク質を投与した場合に、融合タンパク質は、XTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積及び/又は同等の治療効果を達成する;(ii)融合タンパク質を、XTENをもたない対応する成長ホルモンより低頻度で(例えば、隔日、約7日おきに、約14日おきに、約21日おきに、又は約1ヶ月おきに)、かつ、他の点では同じ用量で投与した場合、融合タンパク質は、XTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積及び/又は同等の治療効果を達成する;又は(iii)XTENをもたない対応する成長ホルモンと比較して、累積してより少ないモル量(例えば約5%、又は約10%、又は約20%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%未満)の融合タンパク質を、他の点では同じ投与計画で投与した場合、融合タンパク質は、XTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積及び/又は同等の治療効果を達成する。累積してより少ないモル量は、少なくとも約1週間、又は約14日、又は約21日、又は約1ヶ月おきに測定する。本方法のいくつかの実施形態においては、IGF−1濃度、IGFBP3濃度、身長発育速度、除脂肪体重、体脂肪総量、主要脂肪、インスリン耐性試験への反応、軟骨細胞の分裂速度、軟骨細胞数、骨密度、骨成長、及び骨端板幅の増加、から選択される指標により、治療効果を測定する。
【0044】
別の実施形態において本発明は、治療上効果的な用量計画に則って、前述した医薬組成物を対象に複数回連続して投与する工程を含む、疾患、障害又は状態の治療方法を提供する。前述した一実施形態において、治療上効果的な用量計画は、対応する融合タンパク質のGHではあるが融合タンパク質と結合していないGHであって、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHと比較して、融合タンパク質の少なくとも2つの連続した血中レベルのCmaxのピーク及び/又はCminの谷の間の時間を少なくとも3倍、あるいは少なくとも4倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも6倍、又は7倍、又は少なくとも8倍、又は9倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約30倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約50倍、又は少なくとも約60倍、又は少なくとも約100倍、長くするものである。前述した別の実施形態においては、融合タンパク質に結合していない対応する生物学的に活性なタンパク質構成要素であって、かつ、治療上効果的な投与計画に則って対象に投与されるタンパク質構成要素と比較して、融合タンパク質をより低頻度で又は医薬組成物中の融合タンパク質をモル量においてより少ない総量で投与することは、成長ホルモン関連疾患の少なくとも1つの測定指標の改善をもたらす。
【0045】
本発明は、疾患、障害又は状態の治療用薬物として調製された、前述したいずれかの実施形態の融合タンパク質を含む組成物の、それを必要とする対象における使用をさらに提供する。前述した一実施形態において、疾患、障害又は状態は、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、特発性低身長、AIDS消耗症候群、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び筋ジストロフィーから成る群より選択される。目的の適応に応じて、開示した任意の実施形態を、単独で又は併用で実施することができる。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
表1から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%同一である成長ホルモン(GH)を含む単離した融合タンパク質であって、前記成長ホルモンは少なくとも約200アミノ酸残基の伸張組換えポリペプチド(XTEN)に結合しており、そして該XTENが、
(a)該XTEN配列が、表3から選択された同等の長さのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を示す、少なくとも約200の連続したアミノ酸を含み;
(b)−9又はそれを超えるスコアに基づくTEPITOPEアルゴリズムによってXTEN配列中にあるエピトープの予測を行った場合に、該XTEN配列は予測されるT細胞エピトープを含まず;
(c)10未満の部分列スコアを有し;及び
(d)グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)残基の総和が、XTENの全アミノ酸残基の約90%より多くを構成することを特徴とする、
単離した融合タンパク質。
(項目2)
該成長ホルモンがヒト成長ホルモンである、項目1に記載の単離した融合タンパク質。
(項目3)
第二のXTEN配列をさらに含む単離した融合タンパク質であって、かつ、該融合タンパク質が表5に示した多重XTEN配置をとる、項目1又は2に記載の単離した融合タンパク質。
(項目4)
該成長ホルモンペプチド及び該XTENがスペーサーを介して結合しており、ここで該スペーサー配列が1〜約50までのアミノ酸残基を含み、そして該スペーサーが開裂配列を任意に含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の単離した融合タンパク質。
(項目5)
該融合タンパク質が、XTENをもたない対応する天然の成長ホルモンと同じ標的受容体に結合し、かつ、前記融合タンパク質が、XTENをもたない対応する成長ホルモンの結合親和性の少なくとも約0.1%〜30%を保持する、項目1〜4のいずれかに記載の単離した融合タンパク質。
(項目6)
表35、表36、及び表37から選択されたアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目1〜5のいずれかに記載の単離した融合タンパク質。
(項目7)
項目1〜6のいずれかに記載の単離した融合タンパク質及び薬学上許容可能な担体を含む医薬組成物。
(項目8)
式Iに従って配置される、項目1〜6のいずれかに記載の単離したタンパク質であって、
(XTEN)−GH−(XTEN) (I)
式中、各産物について独立して:
(a)xは0又は1のいずれかであり;及び
(b)yは0又は1のいずれかであり、
ここでx+y≧1である、
単離したタンパク質。
(項目9)
該XTENを、該成長ホルモンのN末端又はC末端を介して成長ホルモンに融合させた、項目1〜6のいずれかに記載の単離した融合タンパク質。
(項目10)
ヒト成長ホルモン、並びにAE912、AM923、AE144、及びAE288から選択された第一の及び第二のXTENを含む、項目1〜6及び8〜9のいずれかに記載の単離した融合タンパク質。
(項目11)
項目1〜6及び8〜10のいずれかに記載の単離した融合タンパク質であって、
(i)対象に投与した場合のXTENをもたない対応する成長ホルモンと比較して、同等のモル用量で対象に投与した場合に、該融合タンパク質がより長い終末相半減期を有する;
(ii)他の点では同等な投与計画で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、少ないモル量の該融合タンパク質を投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;
(iii)他の点では同等な投与計画で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、少ないモル量の該融合タンパク質を投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する;
(iv)他の点では同等なモル量で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、該融合タンパク質を低頻度で投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;
(v)他の点では同等なモル量で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、該融合タンパク質を低頻度で投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する;
(vi)他の点では同等な投与期間、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、累積してより少ないモル量の該融合タンパク質を投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の濃度曲線下面積(AUC)を達成する;又は
(vii)他の点では同等な投与期間、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも、累積してより少ないモル量の該融合タンパク質を投与した場合に、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等の治療効果を達成する
、ことを特徴とする、
単離した融合タンパク質。
(項目12)
1つ以上の伸張組換えポリペプチド(XTEN)に融合させた成長ホルモン(GH)を含む融合タンパク質の生産方法であって、
(a)項目1又は6に記載の融合タンパク質をコードしている組換えポリヌクレオチド分子を含む宿主細胞を準備する工程;
(b)該融合タンパク質が発現できる条件下において該宿主細胞を培養する工程;及び
(c)該融合タンパク質を回収する工程を含む、生産方法。
(項目13)
該融合タンパク質の該成長ホルモンが、
(a)ヒト成長ホルモン;又は
(b)表1から選択された配列
と、少なくとも90%の配列同一性を有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
発現した融合タンパク質中の1つ以上のXTENが、表3から選択された配列と少なくとも90%の配列同一性を有する、項目12又は13に記載の方法。
(項目15)
該融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド分子が、表35、表36、及び表37から選択された核酸配列と少なくとも90%の配列同一性を示す核酸配列を含む、項目12〜14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記融合タンパク質の該宿主細胞中での発現を高めるために、該ポリヌクレオチドのコドンを最適化する、項目12〜15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
該宿主細胞が原核細胞である、項目12〜16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
該宿主細胞の細胞質から、該単離した融合タンパク質を実質的に可溶性の形態で回収する、項目12〜17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
項目1〜6及び8〜11の融合タンパク質をコードしているヌクレオチド配列又はその相補鎖を含む、単離した核酸。
(項目20)
項目19に記載の核酸を含む、発現ベクター。
(項目21)
項目19に記載の核酸を含み、かつ、原核宿主細胞である、単離した宿主細胞。
(項目22)
治療上有効量の、項目1〜6及び8〜11のいずれかに記載の融合タンパク質を対象に投与する工程を含む、対象における成長ホルモンに関連した状態の治療方法。
(項目23)
該成長ホルモンに関連した状態が、成長ホルモンの欠如、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、特発性低身長、AIDS消耗症候群、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、及び筋ジストロフィーから選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
該治療上有効量が、該融合タンパク質の治療ウインドウ中での該融合タンパク質の血中濃度を、同等の量で対象に投与されるXTENをもたない対応する天然の成長ホルモンと比較して、少なくとも3倍長く維持する、項目22又は23に記載の方法。
(項目25)
治療上効果的な用量計画に則って該融合タンパク質を対象に1回以上連続して投与すると、該融合タンパク質の血中レベルの連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷の間の時間が、GHの確立された治療上の投与計画に則って投与される該融合タンパク質に結合していない対応する成長ホルモンと比較して長くなる、項目22〜24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
項目22〜25のいずれかに記載の方法であって、
(i)他の点では同等の投与計画で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも少ないモル量の該融合タンパク質を対象に投与すると、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等な治療効果を達成する;
(ii)他の点では同等のモル量で、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンよりも該融合タンパク質を低頻度で投与すると、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等な治療効果を達成する;又は
(iii)他の点では同等の投与期間、対象に投与されるXTENをもたない対応する成長ホルモンと比較して、累積してより少ないモル量の該融合タンパク質を投与すると、該融合タンパク質がXTENをもたない対応する成長ホルモンと同等な治療効果を達成する
、方法。
(項目27)
該治療効果が、IGF−1濃度、IGFBP3濃度、身長発育速度、除脂肪体重、総体脂肪、体幹脂質、インスリン耐性試験への反応、軟骨細胞の分裂速度、軟骨細胞数、骨密度、骨成長、及び骨端板幅の増加、から選択される測定指標である、項目26に記載の方法。
(項目28)
項目7に記載の医薬組成物、該医薬組成物を識別するラベル、並びに、保管、再構成及び/又は該医薬組成物の対象への投与についての取扱説明書を含むキット。
【0046】
それぞれの個々の出版物、特許、又は特許出願を、参照により組み入れられることを特に個別に示した場合と同じように、本明細書において言及した全ての出版物、特許、及び特許出願は参照することにより本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び具体的な実施形態に示した、付随する図表を参照することによりさらに説明され得る。
図1図1は、GHXTEN融合タンパク質(図1A〜H)の例を示す模式図であり、全てはN末端からC末端方向に図示されている。図1Aは、それぞれが単一の成長ホルモン(GH)及びXTENを含む、異なる配置のGHXTEN融合タンパク質(100)を示し、第一の融合タンパク質はXTEN分子を有し(102)、そのXTEN分子はGHのC末端に結合し(103)、そして第二の融合タンパク質はGHのN末端に結合するXTEN分子を有する(103)。図1Bはそれぞれが単一のGH、スペーサー配列及びXTENを含む、2つの異なる配置のGHXTEN融合タンパク質(100)を示し、第一の融合タンパク質はXTEN分子を有し(102)、そのXTEN分子はスペーサー配列のC末端に結合し(104)そしてスペーサー配列はGHのC末端に結合しており(103)、第二の融合タンパク質はスペーサー配列のN末端に結合するXTEN分子を有し(104)そしてスペーサー配列はGHのN末端に結合している(103)。図1Cは、それぞれが2つの単一のGH分子及び1つのXTEN分子を含む2つの異なる配置のGHXTEN融合タンパク質(101)を示し、第一の融合タンパク質は第一のGHのC末端に結合したXTENを有し、かつそのGHは第二のGHのC末端に結合し、そして第二の融合タンパク質は第一のGHのN末端にXTENが結合し、第一のGHが第二のGHのN末端に結合する、反対向きの配置をとる。図1Dは、それぞれが2つの単一のGH分子、スペーサー配列及び1つのXTEN分子を含む、2つの異なる配置のGHXTEN融合タンパク質(101)を示し、第一の融合タンパク質は第一はスペーサー配列のC末端に結合しているXTENを有し、そしてスペーサー配列は第一のGHのC末端に結合し、第一のGHは第二のGHのC末端に結合しており、第二の融合タンパク質は、XTENがスペーサー配列のN末端に結合し、そしてスペーサー配列が第一のGHのN末端に結合し、第一のGHが第二のGHのN末端に結合している、反対向きの配置をとる。図1Eは、それぞれが2つの単一のGH分子、スペーサー配列及び1つのXTEN分子を含む、2つの異なる配置のGHXTEN融合タンパク質(101)を示し、第一の融合タンパク質は第一のGHのC末端に結合したXTENを有し、そして第一のGHはスペーサー配列のC末端に結合し、このスペーサー配列は第二のGH分子のC末端に結合しており、第二の融合タンパク質は、XTENが第一のGHのN末端に結合し、第一のGHがスペーサー配列のN末端に結合し、同様にスペーサー配列が第二のGH分子のN末端に結合している、反対向きの配置をとる。図1Fは、それぞれが1つのGH分子及びGHのN末端及びC末端に結合した2つのXTEN分子を含むGHXTEN融合タンパク質(105)の配置を示す。図1Gは、2つのXTENが単一のGHに結合した融合タンパク質の配置(106)を示し、ここで第二のXTENとGHはスペーサー配列により離されている。図1Hは、2つのGHが2つのXTENに結合した融合タンパク質の配置(106)を示し、ここで第二のXTENは第一のGHのC末端に結合しており、第二のGHのN末端はGHXTENのC末端に相当する。
図2図2は、図1の対応するGHXTENポリペプチドをコードするGHXTEN遺伝子のポリヌクレオチド構築物(図2A−H)の例を示す模式図であり、全ては5’から3’方向に図示されている。これらGHXTEN融合タンパク質をコードする遺伝子の具体例は、1つのGH及びXTEN(200);又は1つのGH、1つのスペーサー配列及び1つのXTEN(200);2つのGH及び1つのXTEN(201);又は2つのGH、スペーサー配列及び1つのXTEN(201);1つのGH及び2つのXTEN(205);又は2つのGH及び2つのXTEN(206)を含む。これらの図においては、ポリヌクレオチドは以下の要素をコードし、全ての配列はインフレームで結合される:XTEN(202)、GH(203)、及び開裂配列を含む場合のあるスペーサーアミノ酸(204)。
図3図3は、2つの単量体GHXTENの例、及びその単量体融合タンパク質が、細胞表面にある標的受容体に結合する能力(その後細胞シグナル伝達を誘導する)を模式的に示す図である。図3Aは、GH(103)及びXTEN(102)からなるGHXTEN融合タンパク質(100)及び2つのXTEN(105)に結合しているGHからなる 第二のGHXTEN融合タンパク質(105)を示す。図3Bは、C末端にGHを有するGHXTEN(100)及びC末端にXTENを有するGHXTEN(105)と、細胞表面(107)上の標的受容体(108)との間の相互作用を示す。この例においては、GHが何も結合していない(フリーの)C末端を有する場合には受容体と高い親和性での結合を示すが、C末端にXTENを有するGHXTENは受容体としっかりと結合せず、図3Cに見られるとように解離する。図3Dは、高い親和性で結合したGHXTEN(100)は受容体(106)との結合を維持し、細胞中のエンドソーム(110)内に取り込まれることを示し、これは結合したGHの受容体介在性クリアランス及び細胞シグナル伝達の誘発(109)(細胞質を点描で色つけすることによって示した)を説明するものである。
図4図4は、XTENの組み立て、生産及び評価の、代表的な工程を示すフローチャートの模式図である。
図5図5は、融合タンパク質をコードしているGHXTENポリヌクレオチド構築物の組み立てについての、代表的な工程を示すフローチャートの模式図である。個々のオリゴヌクレオチド501を12アミノ酸(「12−mer」)のモチーフである配列モチーフ502になるようにアニーリングさせ、これを次にBbsI、及びKpnI制限酵素部位を有するオリゴ503とライゲーションする。所望の長さのXTEN遺伝子504が得られるまで、ライブラリー由来の配列モチーフを12−merにさらにアニーリングさせる。XTEN遺伝子をstufferベクター中にクローニングする。ベクターは、Flag配列506と、それに続くBsaI、BbsI、及びKpnI部位を含むストッパー配列507、及びエキセンジン(exendin)−4遺伝子508をコードし、その結果XTEN−GH融合タンパク質をコードしている遺伝子500が得られる。
図6図6は、成長ホルモン(GH)及びXTENを含む融合タンパク質をコードしている遺伝子の組み立て、その発現及び融合タンパク質としての回収、並びに候補GHXTEN産物としての評価における、代表的な工程を示すフローチャートの模式図である。
図7図7は、異なる処理方法を用いた、GHXTEN発現ベクターの設計を示す模式図である。図7Aは、GHをコードしている配列とその3’末端に融合させたXTENをコードしている発現ベクターの例を示す。ここで留意すべき点は、このベクターにはさらなるリーダー配列を必要としないことである。図7Bは、CBDリーダー配列及びTEVプロテアーゼ部位を有し、GHをコードしている配列の5’末端に融合させたXTENをコードしている発現ベクターを図示している。図7CはCBD及びTEVプロセッシング部位を最適化したN末端リーダー配列(NTS)に置き換えた以外は図7Bと同様の発現ベクターを図示する。図7Dは、NTS配列、XTEN、GHをコードしている配列、及びさらに第二のXTENをコードしている配列をコードしている発現ベクターを図示している。
図8図8は、実施例22に記載した、N末端XTENをコードしている配列、それに結合したhGHに、及びその下流、XTENのC末端に144又は288XTENのいずれかをコードしている配列を結合させたGHXTEN遺伝子の、工程毎の構築物を示す模式図である。
図9図9は、図の横軸に示した、GFP及びXTEN配列を含む構築物の発現アッセイの結果を示す。レポーターであるGFPの発現量を決定するために、発現培養を蛍光プレートリーダーを用いて(励起395nm、放射510nm)アッセイした。箱髭図でグラフ化したように、結果は、中間値の発現レベルは、「基準」であるCBDN末端ヘルパードメインの発現と比較しておよそ半分の発現レベルであるが、ライブラリー由来の最も良いクローンの発現レベルは基準に非常に近いことを示し、このことはそれらの配列周辺のさらなる最適化の根拠となる。結果はまた、MAアミノ酸から始まるライブラリーはMEから始まるものよりもよい発現レベルを有したことを示す(実施例14を参照のこと)。
図10図10は、N末端から3番目及び4番目のコドン最適化のために、クローンLCW546、LCW547及びLCW552由来のクローンについてランダム化を行った、3種類のライブラリーを示す。図に示したようにこのライブラリーは、3番目及び4番目の残基がXTENコドンの可能な限り全て組み合わせをとるように、これら残基を変更することにより設計された。各ライブラリーが可能な限り全てXTENコドンを含むように、3番目及び4番目の残基がそれぞれ異なるコドンを有する12アミノ酸をコードしている9対のオリゴヌクレオチドを設計し、アニーリングさせ、そしてNdeI/BsaI制限酵素部位で切断したstufferベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)にライゲーションし、及び大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテントセルに形質転換して、3種類のライブラリーLCW0569(それぞれ、出現する順番に配列番号845〜846)、LCW0570(それぞれ、出現する順番に配列番号847〜848)、及びLCW0571(それぞれ、出現する順番に配列番号849〜850)からのコロニーを得た。
図11図11は、実施例15に記載したように、最適化工程を行った後に再試験した上位75クローンの、基準であるCBD_AM875構築物に対するGFP蛍光シグナルについての結果を示すヒストグラムである。結果は、ここでは、いくつかのクローンが基準よりも非常に良いことを示す。
図12図12は、N末端48アミノ酸の2つの領域の好ましいコドン最適化の組み合わせを見いだすために用いた、コンビナトリアル手法の模式図である。この手法により、XTENタンパクの発現の最適化を向上させるためのN末端用の新規48merを作出し、これはXTENがGHのN末端にある場合に、XTENタンパク質を発現させ得るリーダー配列となった。
図13図13は、実施例17に記載した、XTENのN末端のコドンを最適化した実験により得られた好ましいクローンの発現を、構築物配列のN末端にCBDリーダー配列を含む基準となるXTENクローンと比較して確認したSDS−PAGEのゲルを示す。
図14図14は、GFPのN末端にXTEN_AE864を融合させた融合タンパク質の安定性試験からの、試料のSDS−PAGEゲルを示す(実施例39を参照のこと)。GFP−XTENを、カニクイザルの血漿及びラット腎臓溶解物中で、37℃で最長7日までインキュベートした。さらに、GFP−XTENをカニクイザルに投与した場合についてもまた評価した。試料を0、1及び7日目に採血し、そしてSDS PAGEにより解析し、その後ウェスタン解析及びGFPに対する抗体を用いた検出により検出した。
図15図15は、実施例25に記載したように、K288ポリペプチドに融合させたhGHと結合させていないhGHの結合活性を比較する、hGHの受容体結合アッセイの結果を示す。
図16図16は、実施例25に記載した、hGHR−Fcに対するhGH−AM864(丸)及びAM864−hGH(逆向きの三角)のインビトロ結合アッセイの結果を示す。修飾していない組換えhGH(四角)を対照として示す。
図17図17は、実施例26に記載したように、hGH及びAM864−hGHの安定性への熱処理の効果を示す。図17Aは、25℃及び80℃で15分間処理した2種類の調整物のSDS−PAGEゲルを示し、図17Bは、25℃での処理に対する80℃で処理した試料の受容体結合活性に対応するパーセンテージとの間を示す。この結果は、XTENにより、hGH及びGHXTEN融合タンパク質に、熱安定性及び活性の保持が付与されることを示している。
図18図18は、実施例25に記載したように、C末端XTENの付加が、GHXTENがGH受容体に結合する、結合親和性を低下させる能力を決定するために行った、ELISAベースのアッセイの結果を示す。
図19図19は、実施例19に記載したように、K288に融合させたhGHの、精製過程ごとの試料のSDS−PAGE解析を示す。
図20図20は、hGH−Y576及びY576−hGHの配置でY576に融合させたhGHの最終的な精製タンパク質5μgを用い、実施例24に記載したように、NuPAGE4〜12%Bis−Trisゲル(Invitrogen)を用いて製造業者の説明に従って行った、非還元及び還元SDS−PAGE両方のSDS−PAGE解析を示す。
図21図21は、実施例24に記載したように行い、重ねて示した、2種類のGHXTEN構築物、Y576−GH及びhGH−Y576(NからC末端)のサイズ排除クロマトグラフィープロファイルを示す。
図22図22は、実施例30に記載したように、カニクイザルに静脈内投与した後の、2種類のGHXTEN構築物Y576−GH及びhGH−Y576(NからC末端)の薬物動態学的プロファイルを示す。結果は、hGHのXTENに対する向き(N末端対C末端)は、融合タンパク質のクリアランスには影響を及ぼさないことを示す。
図23図23は、実施例30に記載したように、カニクイザルの皮下に5mg/kgのAM864−hGHを単回投与した後の薬物動態学的プロファイルを、同等のhGH濃度から得られたプロファイル(破線)と共に示す。33時間後の終末相半減期をWinNonLinによりシングルコンパートメントフィッティングを用いて計算した。
図24図24は、実施例27に記載したように、記載した用量のhGH又はGHXTEN AM864−hGHの投与に反応した、カニクイザルでのIGF−1分泌の結果を示す。
図25図25は、実施例28に記載したように、体重1kg当たりに、記載した用量のhGH又はAM864−hGHを投与した場合の、低酸素ラットモデルにおける効果を示す。結果は、より低頻度で投与した場合においても、GHXTEN構築物による生理活性の保持はhGHの効力と同等であることを示す。
図26図26は、実施例29に記載したように、低酸素ラットの頸骨骨端板の軟骨成長における偽薬、hGH、及びAM864−hGHの投与の比較効果を示す。図は9日間処理した頸骨の組織学的横断面を示す。
図27図27は、実施例31に記載したように皮下経路でラットに投与した、hGH GHTXEN融合タンパク質の薬物動態学的な結果を、修飾していない組換えhGHと比較して示す。
図28図28は、実施例32に記載したように、カニクイザルに皮下投与した後の、3種類のhGH XTEN構築物の濃度プロファイルを示す。
図29図29は、実施例33に記載したように、オス及びメスのカニクイザル(cynos SC)に、0.3(白丸)、1.5(四角)、及び7.5mg/kg(三角)の3種類の用量レベルで投与したGHXTEN AE912−hGH−AE144の、薬物動態学的試験の結果を示す。
図30図30は、実施例33に記載したように、AE912−hGH−AE144の投与に反応したIGF−1レベルの結果を示す(符号は図29と同様である)。
図31図31は、実施例34に記載したように、3種類の異なる経路を介して投与されたGHXTEN AE912−hGH−AE144のバイオアベイラビリティを比較した実験の結果を示す。AE912−hGH−AE144をオス及びメスのカニクイザル(cynos SC)に、1.5mg/kgの濃度で、静脈(三角)、皮下(白丸)、及び筋内(四角)経路を介して投与した。GH XTENの血漿濃度は図中に示した。
図32図32は、実施例35に記載したように、様々な用量及び投与頻度(黒三角=0.5nmol/kg/日;白三角=1.5nmol/日;四角=3nmol/kg/Q2D)で投与した媒体(白丸)、組換えhGH、5nmol/kg/日(黒丸)、GHXTEN AE912−hGH−AE144の、低酸素ラットの体重に及ぼす効果を示す。
図33図33は、図32に図示したデータから導き出した結果に基づく、hGH又はGHXTENが治療ウインドウ中での血中レベルを維持する能力の、低酸素ラットモデルでのモデルとなった投与の結果を示す。符号は図32と同様である。
図34図34は、実施例37に記載したように、既知の分子量を有するタンパク質を用いて測定した、グルカゴン−XTEN構築物試料のサイズ排除クロマトグラフィー解析の結果を示す。グラフは吸収対保持容量として表した。グルカゴン−XTEN構築物は、1)グルカゴン−Y288;2)グルカゴンY−144;3)グルカゴン−Y72;及び4)グルカゴン−Y36である。結果は、XTEN部分の長さが長くなるほど、見かけの分子量も増えることを示す。
図35図35は、実施例38に記載したように、様々な長さの非構造性(unstructured)ポリペプチドに結合した数種類のGFP組成物を、カニクイザルに皮下又は静脈内のいずれかを介して単回投与した後の薬物動態学的プロファイル(血漿濃度)を示す。組成物は、GFP−L288、GFP−L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−Y576及びXTEN_AD836−GFPであった。血液試料を注入後の様々な時点で解析し、血漿中のGFP濃度を、補足抗体として抗GFPポリクローナル抗体を、及び検出抗体として同じポリクローナル抗体のビオチン化調製物を用いたELISAにより測定した。結果を投与後の血漿濃度対時間(h)として表し、この結果は具体的には、最も長い配列のXTENを有する組成物であるXTEN_AD836−GFPの半減期がかなり長くなったことを示す。最も短い長さの配列を有する構築物であるGFP−L288の半減期が最も短かった。
図36図36は、Ex4−XTEN_AE864へのヒトの反応を、4種類の動物、すなわちマウス、ラット、カニクイザル、及びイヌにおける測定結果に基づいて予測した、異種間物差し法(allometric scaling)の結果を示す。図36Aは、測定した終末相半減期対体重を示し、ヒトでのT1/2は139時間と予測された。図36Bは、測定した薬剤クリアランス対体重を示し、ヒトでのクリアランス率は30ml/時間と予測された。図36Cは、測定した体積分布対体重を示し、ヒトでの値は5970mlと予測された。
図37図37は、実施例42に記載したように行った、Ex4−XTEN_AE864の近UV円二色性スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の実施形態を記載する前に、それらの実施形態は例示のためだけに提供されたものであり、本発明の実施においては、本明細書に記載した本発明の実施形態に様々な変更を加えたものを用いることができることを理解されたい。本発明から逸脱することなく、当業者はここで数多くの変異、変更及び置換を生じるだろう。
【0049】
別段の指定のない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施又は試験においては、本明細書に記載したものと同様又は等価な方法及び材料を使用することができるが、以下に好適な方法及び材料を記載する。矛盾が生じる場合には、定義を含め、本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、及び実施例は例示のためだけのものであり、本発明を限定することを意図しない。本発明から逸脱することなく、当業者はここで数多くの変異、変更及び置換を生じるだろう
【0050】
定義
本明細書で使用する場合、以下の用語は、特段の指定のない限り、それらに割り当てられた意味を有する。
【0051】
本明細書及び請求項で使用する場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうでないことが明か出ない限り、複数の形態を含む。例えば、用語「a cell」は、その混合物を含む、複数のcellを含む。
【0052】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は本明細書においては同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは直鎖であっても分岐していてもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、そして非アミノ酸により中断されていてもよい。この用語は、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化により、又は任意のその他の操作(標識要素の結合のような)により、修飾を受けたアミノ酸ポリマーをもまた包含する。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「アミノ酸」は、グリシン及び、D又はL両方の光学異性体、及びアミノ酸アナログ及びペプチド模倣薬を含むがこれらには限定されない、天然の及び/又は非天然の又は合成のアミノ酸を指す。アミノ酸を表すためには、標準的な1文字又は3文字コードが使用される。
【0054】
用語「天然のL−アミノ酸」は、グリシン(G)、プロリン(P)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、システイン(C)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)、及びトレオニン(T)のL型の光学異性体を意味する。
【0055】
配列に関し、かつ、本明細書で使用する場合、用語「天然に生じない」は、哺乳類で見られる野生型又は天然に生じる配列に対応するものをもたない、相補的でない、又は高い相同性をもたない、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を意味する。例えば、天然に生じないポリペプチド又は断片は、適切にアライメントした場合に、天然の配列と比較して、99%、98%、95%、90%、80%、70%、60%、50%又はそれ未満のアミノ酸配列同一性しか有さない可能性がある。
【0056】
用語「親水性」及び「疎水性」は、ある物質が水に対して有する、親和性の度合いを指す。親水性の物質は水に高い親和性を有し、水に溶解しやすく、混合されやすく、又は湿水しやすいが、疎水性の物質は水への親和性を実質的に欠き、水をはじきやすく、及び水を吸収しにくく、及び水に溶解、混合又は湿水しない傾向にある。アミノ酸を、その疎水性にもとづいて特徴付けることができる。数多くの尺度が開発されてきた。尺度の一例には、Levitt, M, et al., J Mol Biol (1976) 104:59により開発されたものがあり、これは、Hopp, TP, et al., Proc Natl Acad Sci U S A (1981) 78:3824に挙げられている。「親水性アミノ酸」の例には、アルギニン、リジン、トレオニン、アラニン、アスパラギン、及びグルタミンが挙げられる。特に目的となる親水性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びセリン、及びグリシンである。「疎水性アミノ酸」の例としては、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、及びバリンが挙げられる。
【0057】
「断片」は、治療用及び/又は生理活性を少なくとも部分的に保持する天然の生物学的に活性なタンパク質の切断型形態である。「変異型」は、生物学的に活性なタンパク質の、治療用及び/又は生理活性を少なくとも部分的に保持する、天然の生物学的に活性なタンパク質との配列相同性を有するタンパク質である。例えば、変異型タンパク質は、基準となる生物学的に活性なタンパク質と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のアミノ酸配列同一性を有する可能性がある。本明細書で使用する場合、用語「生物学的に活性なタンパク質部分」は、例えば部位特異的突然変異生成、若しくは挿入により故意に、又は突然変異生成を介して偶然に修飾されたタンパク質を含む。
【0058】
「宿主細胞」は、目的のベクターの提供源となり得る、又は提供源である個々の細胞又は細胞培養を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含む。後代は、天然の、偶然の、又は故意の突然変異生成により、元の親細胞とは(形態学的に又は相補的なトータルDNAのゲノムに関して)完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本発明のベクターを用いてインビボでトランスフェクションした細胞が含まれる。
【0059】
本明細書において開示した様々なポリペプチドを記載するために使用される「単離した」は、その天然の環境の構成要素から、同定され、及び分離され、及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その天然の環境から混入する物質(contaminant component)は通常、そのポリペプチドの診断的又は治療用の使用を干渉し得る物質であり、酵素、ホルモン、及びその他のタンパク様及び非タンパク様溶質を含む場合がある。当業者には明らかなように、天然に生じないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、又はその断片は、その天然に生じる対応物から区別するための「単離」を必要としない。加えて、「濃縮した」、「分離した」又は「希釈した」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、又はその断片は、その体積当たりの濃度又は分子数が通常、天然に生じる対応物のものよりも高いことから、その天然に生じる対応物からの区別が可能である。一般的には、組換え技術によって作出され、宿主細胞中で発現させたポリペプチドを「単離した」と見なす。
【0060】
「単離した」ポリヌクレオチド又はポリペプチドをコードしている核酸又はその他のポリペプチドをコードしている核酸は、同定し、そしてそのポリペプチドをコードしている核酸の天然の環境で通常不随している少なくとも1つの混入核酸分子から分離した、核酸分子である。単離したポリペプチドをコードしている核酸分子は、天然において見られる形態又は状態ではないものである。単離したポリペプチドをコードしている核酸分子はそのため、天然の細胞中に存在している特定のポリペプチドをコードしている核酸分子から区別することができる。しかしながら、単離したポリペプチドをコードしている核酸分子は、例えば天然の細胞のものとは異なり、核酸分子が染色体又は染色体外に局在する場合、通常はポリペプチドを発現している細胞中に含まれるポリペプチドをコードしている核酸分子、を含む。
【0061】
「キメラ」タンパク質は、その配列中に、天然に生じる場合とは異なる位置に領域を含む、少なくとも1つの融合ポリペプチドを含む。この領域は、通常は別のタンパク質中に存在し得るものであり、融合ポリペプチド中で1つにまとめられたものであるか、又はそれらは通常同じタンパク質中に存在し得るものであるが、融合ポリペプチド中で新しい位置に配置されたものである。キメラタンパク質は、例えば、化学的な合成、又は、所望される関係においてペプチド領域をコードしたポリヌクレオチドの作出及び翻訳、により作出される可能性がある。
【0062】
本明細書においては、「連結した(conjugated)」、「結合した(linked)」、「融合した」、及び「融合」は、同じ意味で用いられる。これらの用語は、2つ以上の化学的要素又は構成要素を、化学的結合又は組換え技術を含む何らかの手段によって、接続することを指す。例えば、その配列の転写に影響を及ぼす場合、プロモーター又はエンハンサーはコード配列に操作可能に結合される。通常「操作可能に結合した」は、結合したDNA配列が連続していること、及び転写段階にあること、又はインフレームで結合していることを意味する。「インフレーム融合」は、元のORFの正しい読み枠を維持する方法で、2つ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)を連続したより長いORFになるように接続することを指す。従って、得られる組換え融合タンパク質は、元のORFによりコードされるポリペプチドに相当する、2つ以上のセグメント(このセグメントは通常天然では接続されない)を含む、1つのタンパク質である。
【0063】
ポリペプチドに関連した「直線(linear)配列」又は「配列」は、配列中の互いに隣接した残基が連続しているポリペプチドの一次構造における、ポリペプチド中のアミノ酸の、アミノ末端からカルボキシ末端方向への順番である。「部分配列」は、1又は両方向にさらに残基を含んでいることが分かっているポリペプチドの、部分的な直線配列である。
【0064】
「異種」は、比較される他の実体に由来し、その実体とは遺伝子型で区別できるものを意味する。例えば、グリシンリッチ配列をその天然のコード配列から除去し、そして天然の配列以外のコード配列に操作可能に結合したものが、異種グリシンリッチ配列である。ポリヌクレオチド又はポリペプチドに用いられる用語「異種」は、比較される他の実体に由来し、遺伝子型で区別できる、実体からのポリヌクレオチド又はポリペプチドを意味する。
【0065】
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「ヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は同じ意味で用いられる。それらは、任意の長さの多量体型ヌクレオチド、またはデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、又はそのアナログを指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造をとっていてもよく、既知又は未知のいずれの機能を有していても良い。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子又は遺伝子断片のコード又は非コード領域、連鎖解析から定義された遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離したDNA、任意の配列の単離したRNA、核酸プローブ、及びプライマーが挙げられる。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチドアナログのような、修飾を受けたヌクレオチドを含んでいてもよい。修飾がある場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの構成の前又は後に付与され得る。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチドの構成要素により、分断されていてもよい。ポリヌクレオチドは、標識用構成要素の結合のように、重合の後にさらに修飾を受ける場合もある。
【0066】
用語「ポリヌクレオチドの相補鎖」は、対照となる配列に相補的な塩基配列を逆向きに有するポリヌクレオチド分子を示し、これらは対照配列と完全に適合してハイブリダイズすることができる。
【0067】
ポリヌクレオチドに用いられる「組換え」は、そのポリヌクレオチドが、宿主細胞中で発現することが可能な構築物を生じる、インビトロクローニング、制限酵素消化及び/又はライゲーション工程、及びその他の過程の、様々な組み合わせによる産物であることを意味する。
【0068】
本明細書においては、用語「遺伝子」又は「遺伝子断片」は同じ意味で用いられる。それらは、転写され翻訳された後に特定のタンパク質をコードすることができる、少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを指す。遺伝子又は遺伝子断片はそのポリヌクレオチドが少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含む限り、ゲノムであっても又はcDNAであってもよく、コード領域全体を含むものであっても又はそのセグメントを含むものであってもよい。「融合遺伝子」は、1つにまとめられた少なくとも2つの異種ポリヌクレオチドを含む遺伝子である。
【0069】
「相同性」又は「相同」は、配列の類似性又は2つ以上のポリヌクレオチド配列又は2つ以上のポリペプチド配列間での互換可能性を指す。2つの異なるアミノ酸配列間の配列同一性、類似性又は相同性を決定するために、BestFitのようなプログラムを用いた場合には、予め決められた設定を用いることができ、又は同一性、類似性又は相同性スコアを最適化するために、blosum45又はblosum80のような適切な採点マトリックス(scoring matrix)を選択することができる。好ましくは、本明細書において相同なポリヌクレオチドとは、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドと定義され、それらの配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは95%、さらに好ましくは97%、さらに好ましくは98%、及びより一層好ましくは99%の配列同一性を有する。
【0070】
「ライゲーション」は、2つの核酸断片又は遺伝子間で、それらを結合するホスホジエステル結合を形成させる工程を指す。DNA断片又は遺伝子を1つにライゲーションさせるためには、DNAの末端は互いに一致(compatible)していなくてはならない。場合によっては、エンドヌクレアーゼによる消化の後、末端はそのままでも一致するだろう。しかしながら、通常エンドヌクレアーゼによる消化の後には突出末端が形成されるため、まず最初に、ライゲーションに適合する平滑末端にするための変換が必要となる場合がある。
【0071】
用語「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、ポリヌクレオチドが、検出可能な程度にその他の配列よりも強く(例えば、バックグラウンドよりも少なくとも2倍より強く)その標的配列にハイブリダイズするであろう条件への言及を含む。通常、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、部分的には、洗浄工程が行われる温度及び塩濃度で表される。典型的には、ストリンジェント条件は、塩濃度が約1.5M Naイオン未満、一般的にはpH7.0〜8.3で約0.01〜1.0M Naイオン(又はその他の塩)濃度であり、かつ、短いポリヌクレオチド(例えば、10〜50ヌクレオチド)については温度が少なくとも約30℃、長いポリヌクレオチド(例えば、50ヌクレオチドより長い)については温度が少なくとも約60℃の条件であり、例えば、「ストリンジェント条件」は50%ホルムアミド、1M NaCl、1% SDS、37℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/1% SDS、60℃〜65℃での3回の洗浄、各回につき15分、を含む場合がある。あるいは、約65℃、60℃、55℃、又は42℃の温度を用いることもできる。SDSの濃度が約0.1%である場合、SSCの濃度は約0.1〜2×SSCまでと多様である。そのような洗浄温度は通常、決められたイオン強度及びpHでの特定の配列の熱融点(thermal melting point)よりも約5℃〜20℃低い温度に設定される。Tmは、標的配列の50%が完全に一致したプローブとハイブリダイズする温度(決められたイオン強度及びpH条件下で)である。Tm及び核酸ハイブリダイゼーション条件を計算するための式は周知であり、またSambrook, J. et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual , 2nd ed., vol. 1−3, Cold Spring Harbor Press, Plainview N.Y.;に見ることができる(特にvolume 2 の chapter 9を参照のこと)。通常、ブロッキング試薬は非特異的なハイブリダイゼーションを阻害するために用いられる。そのようなブロッキング試薬は例えば、約100〜200μg/mlの、断片化し、変性させたサケ精子DNAを含む。RNA:DNAハイブリダイゼーションのような特定の状況では、約35〜50% v/v濃度のホルムアミドのような有機溶媒もまた使用される場合がある。当業者は、これら洗浄条件の有用な変異型を容易に理解できるであろう。
【0072】
ポリヌクレオチド配列に用いられる、用語「パーセント同一性」及び「%同一性」は標準的なアルゴリズムを用いて少なくとも2つのポリヌクレオチド配列をアライメントした場合に一致する、残基のパーセンテージを指す。そのようなアルゴリズムは、2つの配列間のアライメントを最適化するために、標準的な及び再現できる方法により、比較する配列中にギャップを挿入する場合があり、その結果2つの配列間でのより有意義な比較が達成される。パーセント同一性は、定義したポリヌクレオチド配列の全長について測定することができ、又は、より短い長さ(例えばより長い、定義されたポリヌクレオチド配列から得られた断片について、例えば少なくとも45、少なくとも60、少なくとも90、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも210又は少なくとも450個の連続した残基の断片)について測定することができる。これらの長さは例示のためだけのものであり、本明細書、表、図、又は配列表により支持されるいずれの長さの断片も、そのパーセント同一性を測定する場合の長さを記載するために用いられ得ると見なされる。
【0073】
本明細書において同定したポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列をアライメントした後に(最大のパーセント配列同一性を達成するために、必要な場合にはギャップを挿入し、かつ、いずれの保守的置換は配列同一性の一部としては考慮しない)、第二の、基準となるポリペプチド配列又はその一部のアミノ酸残基と同一な、クエリー配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定することを目的としたアライメントは、当該分野における様々な技術、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような、公的に使用可能なコンピューターソフトウェアを用いて達成することができる。当業者は、比較する完全長配列について最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アライメント測定のための適切な指標を決定することができる。パーセント同一性を定義したポリペプチド配列全長について測定してもよく、又は、より短い長さ(例えばより長い、定義されたポリヌクレオチド配列から得られた断片の長さについて、例えば少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも70又は少なくとも150個の連続した残基の断片)について測定することができる。これらの長さは例示のためだけのものであり、本明細書、表、図、又は配列表により支持されるいずれの長さの断片も、そのパーセント同一性を測定する場合の長さを記載するために用いられ得ると見なされる。
【0074】
本明細書で使用する場合、ポリペプチドに関する用語「非反復性」は、ペプチド又はポリペプチド配列内の相同性が無いこと又は限られていることを指す。用語「実質的に非反復性」は、例えば、その配列中に、同一のアミノ酸型が4つ連続したアミノ酸の例がほとんど若しくは全くない、又はポリペプチドが10以下の部分列スコア(以下で定義する)を有すること、又はNからC末端の向きで、ポリペプチド配列を構成する配列モチーフのパターンがないこと、を意味する場合がある。本明細書で使用する場合、ポリペプチドに関する用語「反復性」は、ペプチド又はポリペプチド配列内部の相同性の度合いを指す。対照的に、「反復性」配列は、複数の同一コピーの短いアミノ酸配列を含み得る。例えば、目的のポリペプチド配列はn−merの配列に分断してもよく、それにより同一配列の数を測定することができる。高度に反復性の配列は、配列が同一な部分が大きいが、非反復配列はほとんど同一の配列を含まない。ポリペプチドに関して配列は、決められた若しくは様々な長さのより短い配列のコピー、又は、モチーフそれ自体が非反復性配列を有し、完全長ポリペプチドを実質的に非反復性にする、モチーフを含む場合がある。非反復性が測定されるポリペプチドの長さは、3アミノ酸〜約200アミノ酸、約6〜約50アミノ酸、又は約9〜約14アミノ酸と多様になり得る。ポリヌクレオチド配列に関して用いられる「反復性」は、配列内部の相同性の度合い、例えば指定された長さの同一のヌクレオチド配列の頻度、を指す。反復性は、例えば、同一配列の頻度を解析することにより測定することができる。
【0075】
「ベクター」は核酸分子であり、挿入された核酸分子を宿主細胞中に及び/又は宿主細胞間で移送する適切な宿主中において、好ましくは自己複製するものである。この用語は、主にDNA又はRNAを細胞中に挿入することにおいて機能するベクター、DNA又はRNAの複製に主に機能するベクターの複製、及びDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳に機能する発現ベクターを含む。1つ以上の上述した機能を提供するベクターもまた含まれる。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞に導入した場合に、ポリペプチド内で転写及び翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」は一般に、目的の発現産物を得るために機能させることができる、発現ベクターを含む好適な宿主細胞を意味する。
【0076】
ポリペプチドに関する「血清分解抵抗性」は、通常血清又は血漿中にプロテアーゼを含む、血液及びその成分による分解に、ポリペプチドが耐える能力を指す。血清分解抵抗性は、そのタンパク質をヒト(又は必要に応じてマウス、ラット、サル)の血清又は血漿と、通常ある範囲の期間(例えば0.25、0.5、1、2、4、8、16日間)、通常約37℃で混合することにより、測定することができる。これらの時点での試料をウェスタンブロット解析により解析することができ、抗体を用いてタンパク質を検出する。抗体はタンパク質中にタグを含むものであってもよい。ウェスタンブロット解析において、タンパク質が注入したタンパク質と同じサイズの単一のバンドを示す場合、タンパク質の分解は起きなかったこととなる。このような方法で、ウェスタンブロット解析又は等価の技術によって判断される、タンパク質の50%が分解した時点が血清分解半減期又はそのタンパク質の「血清半減期」である。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「t1/2」は、ln(2)/Kelとして計算される、終末相半減期を意味する。Kelは、ログ濃度対時間曲線の終末相の線形部分の線形回帰により計算される、終末相の消失速度定数である。半減期は通常、生物中に蓄積された、投与された物質の半分量が代謝される、又は正常な生物学的プロセスによって排出されるために必要な時間を指す。本明細書において、用語「t1/2」、「終末相半減期」、「排出半減期」及び「血中半減期」は、同じ意味で用いられる。
【0078】
「見かけの分子量因子」又は「見かけの分子量」は、特定のアミノ酸配列が示す見かけの分子量の相対的な増加又は減少の測定に関する、関連した用語である。見かけの分子量は、基準となる球状タンパク質との比較を行うサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び類似の方法により決定され、「見かけのkD」単位で表される。見かけの分子量因子は、見かけの分子量と実際の分子量との間の率の因子であり、実際の分子量はアミノ酸組成物に基づいて、組成物中の各アミノ酸型について算出した分子量を総和することにより予測される。
【0079】
「流体力学半径」又は「ストークス半径」は、物質が液体中を移動していると仮定される、測定を行っている溶液中で有効な、溶液の粘性に影響されない分子の半径(R、nm単位)である。本発明の実施形態において、XTEN融合タンパク質の流体力学半径の測定は、より直観的測定である「見かけの分子量因子」と相関がある。タンパク質の「流体力学半径」は、その水溶液中での拡散率、並びに高分子でできたゲル中を移動するその能力に影響を及ぼす。タンパク質の流体力学半径は、その分子量並びに形状及び稠密度を含む、その構造により決定される。米国特許第6,406,632号及び同第7,294,513号に記載されるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の使用のような、流体力学半径の決定方法は当該分野において周知である。大部分のタンパク質は、最もコンパクトなタンパク質の三次元構造であり、最も小さい流体力学半径をとることができる、球状構造を有する。いくつかのタンパク質は、一般的な同様の分子量をもつ球状タンパク質に比べて大きな流体力学半径を有する結果、ランダムでかつ開かれた、非構造性の、又は線形構造をとる。
【0080】
「生理学的な条件」は、温度、塩濃度、pHを含む、生物対象の条件に類似した生物宿主中の一連の条件、並びに、インビトロでの条件を指す。生理学的に関連する条件をもつ、インビトロアッセイで使用するための宿主が確立されてきた。通常、生理学的な緩衝液は、生理学的な濃度の塩を含み、約6.5〜約7.8の範囲の中性のpH、好ましくは約7.0〜約7.5、に調製される。様々な生理学的な緩衝液がSambrook et al.(1989)中に挙げられている。生理的な温度の範囲は約25℃〜約38℃、好ましくは約35℃〜約37℃である。
【0081】
「反応基」は、第二の反応基に結合することができる化学構造である。反応基の例としては、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、アジド基が挙げられる。いくつかの反応基は、第二の反応基との結合が促進するように活性化させることができる。活性化の非限定的な例としては、カルボキシル基とカルボジイミドとの反応、カルボキシル基の活性化エステルへの変換、又はカルボキシル基のアジド官能基への変換が挙げられる。
【0082】
「制御放出型製剤」、「遅延放出型製剤」、「デポ製剤」又は「徐放放出型製剤」は同じ意味で用いられ、その薬剤なしにポリペプチドを投与した場合の放出期間と比較して、本発明のポリペプチドの放出期間を延長することができる薬剤を指す。本発明の様々な実施形態は、様々な放出率を有してもよく、その結果、様々な治療量がもたらされる。
【0083】
本明細書において、用語「抗原」、「標的抗原」又は「免疫原」は同じ意味で用いられ、抗体断片又は抗体断片ベースの治療が結合する又はそれに対して特異性を有する、構造又は結合決定因子を指す。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「ペイロード」は、低分子薬理作用団の対応物(counterpart)である、生物学的な又は治療用活性を有するタンパク質又はペプチド配列を指す。ペイロードの例には、サイトカイン、酵素、ホルモン及び血液及び成長因子が含まれるがこれらには限定されない。ペイロードは、化学治療薬、抗ウイルス性化合物、毒素、又は造影剤のような、遺伝子的に融合させた又は化学的に結合させた部分をさらに含んでもよい。これらの結合部分は、開裂可能又は開裂不可能な可能性のあるリンカーを介してポリペプチドの他の部分に結合する場合もある。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「アンタゴニスト」は、本明細書において開示した天然のポリペプチドの生理活性を、部分的に又は完全に、遮断する、阻害する、又は中和する任意の分子を含む。ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法は、天然のポリペプチドと候補アンタゴニスト分子とを接触させる工程、及び、通常天然のポリペプチドに関連する、1つ以上の生理活性の検出可能な変化を測定する工程を含む場合がある。本発明に関する説明において、アンタゴニストは、タンパク質、核酸、炭水化物、抗体又は生物学的に活性なタンパク質の効果を低減させる任意のその他分子を含む可能性がある。
【0086】
用語「アゴニスト」は、その最も広い意味で用いられ、そして本明細書において開示した天然のポリペプチドの生理活性を模倣する、任意の分子を含む。好適なアゴニスト分子は特に、アゴニスト抗体又は抗体断片、天然のポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、有機小分子などを含む。天然のポリペプチドのアゴニストを同定する方法は、天然のポリペプチドと候補アゴニスト分子とを接触させる工程、及び、通常天然のポリペプチドに関連する、1つ以上の生理活性の検出可能な変化を検出する工程を含む場合がある。
【0087】
本明細書において目的とする「活性」は、生物学的に活性な対応する天然のタンパク質の作用又は効果と一致する、融合タンパク質の構成要素の作用又は効果を指し、ここで「生理活性」とは、受容体結合、アンタゴニスト活性、アゴニスト活性、又は細胞での若しくは生理学的な反応を含むがこれらには限定されない、インビトロ又はインビボでの生物学的な機能又は効果を指す。
【0088】
本明細書で使用する場合、「治療」又は「治療する」又は「軽減する」又は「改善する」は、本明細書においては同じ意味で用いられる。これらの用語は、治療上の利益及び/又は予防上の利益を含むがこれらには限定されない、有益な又は所望される結果を得るための方法を指す。治療上の利益は、治療される障害の基礎症状の根絶又は改善を意味する。治療上の利益はまた、対象が基礎障害にいまだ罹患しているにもかかわらず、対象において改善が観察されるような、基礎障害に関連する1つ以上の生理学的な症状の根絶又は改善により達成される。予防上の利益のために、特定の疾患を発症するリスクを有する対象に、又はこの疾患に対する診断がまだなされてはいないが、この疾患の1つ以上の生理学的な症状を訴えている対象に、組成物を投与してもよい。
【0089】
本明細書で使用する場合、「治療効果」は、本発明融合ポリペプチドの能力(生物学的に活性なタンパク質が保有する抗原性エピトープに対する抗体生産を誘導する能力以外の)によって引き起こされる、ヒト若しくはその他の動物における疾患の治癒、軽減、改善、又は予防、そうでなければヒト又は動物の身体的又は精神的な満足度を向上させる生理的な効果を含むがこれらには限定されない効果を指す。治療上有効量の決定、特に本明細書において提供される詳細な開示を考慮しての決定について、当業者は十分な能力を有する。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「治療上有効量」及び「治療上効果的な用量」は、単回又は複数回投与で対象に投与した場合に、単独で又は融合タンパク質組成物の一部分としてのいずれかにおいて、疾患の段階又は状態の任意の症状、態様、測定指標又は特徴に、任意の検出可能な、有益な効果をもたらすことができる、生物学的に活性なタンパク質の量を指す。そのような効果は、絶対的に有益である必要はない。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「治療上効果的な用量計画」は、単独で又は融合タンパク質組成物の一部分としてのいずれかにおいて投与される、生物学的に活性なタンパク質の連続的な投与用量のスケジュールを指し、ここで用量とは、疾患の段階又は状態の任意の症状、態様、測定指標又は特徴に持続的に有益な効果をもたらす治療上有効量である。
【0092】
I)一般的な技術
本発明の実施においては、別段の指定のない限り、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、遺伝学及び組換えDNAの、当該分野において標準的な技術が用いられる。その内容の全体が参照することにより本明細書に組み入れられる、Sambrook, J. et al.,「Molecular Cloning: A Laboratory Manual,」3rd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001;「Current protocols in molecular biology」, F. M. Ausubel, et al. eds.,1987; the series「Methods in Enzymology」Academic Press, San Diego, CA.;「PCR 2: a practical approach」, M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds., Oxford University Press, 1995; 「Antibodies, a laboratory manual」Harlow, E. 及び Lane, D. eds., Cold Spring Harbor Laboratory,1988;「Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,」11th Edition, McGraw−Hill, 2005; 及び Freshney, R.I.,「Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique」4th edition, John Wiley & Sons, Somerset, NJ, 2000、を参照のこと。
【0093】
II)成長ホルモン
本発明は部分的には、ヒト成長ホルモン(hGH)を含む、成長ホルモン(GH)の融合タンパク質組成物に関する。
【0094】
(a)成長ホルモンタンパク質
「成長ホルモン」又は「GH」は、成長ホルモンタンパク質、並びにその種及び配列変異体を意味し、ヒトGHの191一本鎖アミノ酸配列を含むが、これには限定されない。GHは、天然の、完全長タンパク質であってもよく、又は、天然のタンパク質の生理活性を少なくとも部分的に保持する切断型断片又は配列変異体であってもよい。下垂体由来のヒトGH(以下「hGH」)については2つの型が知られている。1つは約22,000ダルトンの分子量を有し(22kD hGH)、もう一方は約20,000ダルトンの分子量を有する(20kD hGH)。20kD HGHは、191のアミノ酸からなる22kD hGHから、32番目から46番目の15アミノ酸残基を欠いたものと一致するアミノ酸配列を有する。いくつかの報告は、20kD hGHが22kD hGHよりも低いリスク及び高い活性を示すことが確認されたことを示した。本発明は、GHXTEN組成物用の、本明細書において開示したXTENの融合パートナーとしての使用に適切な、22 kD、20kD hGH、並びにその種及び配列変異体、及びその切断型断片の使用について検討する。クローニングしたhGH遺伝子の分泌型での大腸菌(Eschericha coli)内における発現(米国特許第4,898,830号;Chang, C. N., et al., Gene 55:189 [1987])、及びそのDNA及びアミノ酸配列が報告されている(Goeddel, et al. Nature ,281:544 [1979);Gray, et al., Gene 39: 247[1985])。
【0095】
本発明は、ヒト、非ヒト霊長類、哺乳類(家畜を含む)由来のような、天然のGH配列、配列断片との相同性を有するGHXTEN組成物配列と、GHの生理活性又は生物学的機能を少なくとも部分的に保持する非天然の配列変異体及び/又はGH関連疾患、欠如、障害又は状態の予防、治療、緩和、又は回復に有用な非天然の配列変異体とを含めることについても検討する。非哺乳類のGH配列については文献に詳述されている。例えば、サカナGH配列のアライメントはGenetics and Molecular Biology 2003 26 p.295−300に見ることができる。鳥類GH配列の進化解析はJournal of Evolutionary Biology 2006 19 p.844−854に示されている。加えて、ヒトGHに相同の天然の配列は、NCBI BLASTのような標準的な相同性検索技術によって見いだすことができる。
【0096】
体組織におけるGHの効果は、通常、タンパク質同化として記述することができる。大部分のその他タンパク質ホルモンと同様に、天然のGHは、成長ホルモン受容体と呼ばれる、特定の原形質膜受容体との相互作用を介して作用する。GHは、GHの成長促進効果に関与し、生産された量を反映するIGF−1の生産を刺激するように肝臓及びその他組織に作用する。IGF−1は次に、骨成長を促進するように、骨芽細胞及び軟骨細胞への刺激効果を有する。一実施形態において、本発明は、本明細書に上述した天然のGHの特性を、少なくとも1つ示すGHXTENを提供する。
【0097】
一実施形態において、対象組成物に組み入れられたGHは、天然に見られるタンパク質に対応する配列を有する、組換えポリペプチドである。別の実施形態においてGHは、配列変異体、断片、ホモログ、又は、対応する天然のGHの生理活性を少なくとも部分的に保持する天然の配列を模倣した配列である。表1は、本発明のGHXTEN融合タンパク質に包含される、様々な哺乳類の種由来のGH配列の非限定的な例を提供する。これらGH配列又は相同誘導体はいずれも、本発明の融合タンパク質に有用な可能性のある、天然のGHの生理活性を少なくとも部分的に保持する、個々の突然変異体を種又は属間でシャッフリングすることによって構築される。GHXTEN融合タンパク質に組み入れることができるGHは、表1から選択される配列と、少なくとも約80%の配列同一性、又はあるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示すタンパク質を含む可能性がある。
【0098】
表1:動物種からの成長ホルモンのアミノ酸配列
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]

【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]

【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]


【0099】
III)成長ホルモン融合タンパク質組成物
本発明は部分的には、成長ホルモン(GH)の融合タンパク質組成物に関する。一態様において本発明は、伸張組換え組換えポリペプチド(「XTEN」)に共有結合した、GHの完全長配列又は配列変異体を含む、GHの単離した単量体融合タンパク質を提供する。以下により詳細に記載するように、融合タンパク質は、プロテアーゼを作用させた場合にXTEN配列からGHを分離し、融合タンパク質からGHを放出するための開裂配列をさらに含むスペーサー配列を任意に含む。
【0100】
一態様において本発明は、1つ以上の伸張組換えポリペプチド(「XTEN」)に共有結合した少なくとも第一の生物学的に活性な成長ホルモンタンパク質を含み、成長ホルモン−XTEN融合タンパク質組成物(以下「GHXTEN」)を生じる、単離した融合タンパク質を提供する。一実施形態においてこの成長ホルモンは、ヒト成長ホルモン又はhGHの配列変異体である。以下により詳細に記載するように、融合タンパク質は、プロテアーゼを作用させた場合に融合タンパク質からGHを放出するための開裂配列をさらに含むスペーサー配列を任意に含む。
【0101】
本明細書で使用する場合、用語「GHXTEN」は、各ペイロード領域が成長ホルモンが関連する1つ以上の生物学的又は治療用活性を仲介する生物学的に活性なGHを含む、1つ以上のペイロード領域、及び、その他の領域の少なくとも1つが、担体となる少なくとも第一のXTENポリペプチドを含む、融合ポリペプチドを包含することを意味する。
【0102】
対象組成物のGH、特に表1で開示したGH、とそれらに対応する核酸及びアミノ酸配列は、当該分野において周知であり、また、その説明及び配列は、Chemical Abstracts Services Databases(例えば、CAS Registry)、GenBank、The Universal Protein Resource(UniProt)のような公共のデータベース、及びGenSeq(例えば、Derwent)のような遺伝子特許データベースから入手可能である。ポリヌクレオチド配列は特定のGH(例えば、完全長又は成熟したもののいずれか)をコードしている野生型ポリヌクレオチド配列であってもよく、又は例えば配列は、ポリヌクレオチドのDNA配列が、例えば特定の種での発現のために最適化された;又は部位特異的突然変異体又は対立遺伝子変異体のような野生型タンパク質の変異体をコードしているポリヌクレオチドなどの、野生型ポリヌクレオチド(例えば、生物学的に活性な野生型タンパク質をコードしているポリヌクレオチド)配列の変異体であってもよい。当該分野において既知の方法、及び/又は本明細書で提供される指針及び方法に関連した方法を用い、本発明で検討されるGHXTEN構築物を作出するための、GHの野生型又は保存されたcDNA配列又はコドン最適化された変異体の使用について当業者は十分な能力を有し、また、実施例においてより詳細に記述する。
【0103】
本発明のGHXTENに組み入れられるGHは、生物学的、治療上、予防上、若しくは診断上興味深い又はここにおいて機能する任意の成長ホルモン若しくは配列変異体、又は対象に投与した場合に、成長ホルモンの欠如、成長ホルモンの欠損又は欠乏に関連する疾患、障害若しくは状態の緩和又は予防又は改善に有用な、任意の成長ホルモン若しくは配列変異体を含む。特に興味がもたれるGHXTEN融合タンパク質組成物は、相当する天然のGHと比較して、高い薬物動態学的指標、高い溶解度、高い安定性、又は複数のその他の強められた医薬特性を有するGHXTEN融合タンパク質組成物であり、又は終末相半減期が長くなったGHXTEN融合タンパク質組成物は、効力、安全性を改善し、又は低頻度での投薬をもたらし、及び/又は患者のコンプライアンスを改善する可能性がある。従ってGHXTEN融合タンパク質組成物は、例えば、インビボにおける曝露を増加させること、又は、対象に投与した場合に、XTENに結合していないGHよりも治療ウインドウ中に保持される期間を長くすることによって、生物学的に活性なGHの治療効力を改善させることを含む、様々な目的において調製される。
【0104】
一実施形態において、対象組成物に組み込まれるGHは、天然に見られる対応するタンパク質の配列を有する組換えポリペプチドであってもよい。別の実施形態においてGHは、天然のGHの生理活性を少なくとも部分的に保持する、配列変異体、断片、ホモログ、又は天然の配列を模倣した配列である。非限定的な例においてGHは、表1から選択されるタンパク質配列と、少なくとも約80%の配列同一性、又はあるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%、又は100%の配列同一性を示す配列である。一実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、XTENに結合した単一のGH分子を含む(以下により詳細に記載するように)。別の実施形態においてGHXTENは、同じGHの第一のGH及び第二の分子を含み、1つ以上のXTEN(例えば、又はhGHの2つの分子)に結合した2つのGHを含む融合タンパク質を生じる。前述した実施形態のいくつかの例においてGH及びXTEN構成要素は、表5から選択されるN末端側からC末端への配置をとる。別の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、N末端側からC末端への配置がXTEN−GH−XTENである、第一の及び第二のXTENに結合した単一のGH分子を含み、ここでGHは、表1から選択されるタンパク質配列と少なくとも約80%の配列同一性、又はあるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%、又は100%の配列同一性を示す配列であり、そして第一の及び/又は第二のXTENは、表3から選択される配列と少なくとも約80%の配列同一性、又はあるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は少なくとも約99%、又は100%の配列同一性を示す配列である。
【0105】
通常、GHXTENのGH融合パートナー構成要素は、インビボにおいて使用した場合、又はインビトロアッセイに用いた場合に、特定の標的に対する結合特異性又は別の所望される生物学的特徴を示す。例えば、GHXTENは、成長ホルモンの膜貫通型受容体に結合する能力を有するアゴニストである。一実施形態においてGHXTENの成長受容体への結合は受容体の二量体化を誘導し、そして、天然の成長ホルモンと比較して、細胞内シグナル伝達経路の少なくとも部分的な活性化を引き起こす。一実施形態において、成長ホルモンの膜貫通型受容体に結合したGHXTENは、XTENに結合していない天然の成長ホルモンと比較して、細胞内シグナル伝達経路を少なくとも約1%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は少なくとも約95%活性化するだろう。
【0106】
本発明の対象GHXTENは、1つ以上の薬物動態学的指標の向上を示し、これらは任意にスペーサー配列の開裂によって融合タンパク質がGHから放出されることにより、向上される。向上した薬物動態学的指標を有するGHXTENは、より低頻度での投薬を可能にし、又は最小有効量若しくは血中濃度(Cmin)と最大耐量若しくは血中濃度(Cmax)との間となる、治療ウインドウ中での生物学的に活性なGHXTENの維持のような(しかしこれには限定されない)、高められた薬理学的効果を可能にする。このような例においては、選択されたXTEN配列を含む融合タンパク質へのGHの結合は、これらの特性の改善をもたらす可能性があり、XTENに結合していないGHと比較して、それらをより有用な治療用又は予防用薬剤にする。
【0107】
IV)伸張(XTENDED)組換えポリペプチド
一態様において本発明は、GHXTEN融合タンパク質を生じる、GHが結合するのに有用な融合タンパク質パートナーとしてのXTENポリペプチド組成物を提供する。XTENは通常、主に小さい親水性アミノ酸からなる、天然に生じない、実質的に非反復的な配列の、伸張した長さのポリペプチドであり、生理的な条件下において二次構造又は三次構造の程度が低い、又はそれら構造をとらないものである。
【0108】
XTENは、融合タンパク質を作出するためにGHタンパク質に結合させた場合に、特定の所望される薬物動態学的、物理化学的及び医薬特性を付与する「担体」となるパートナーである、融合タンパク質パートナーとしての有用性を有する。そのような所望される特性には、向上した薬物動態学的指標及び組成物の溶解特性、などの本明細書において記載したその他の特性が含まれるがこれらには限定されない。そのような融合タンパク質組成物は、本明細書において記載した、特定の成長ホルモン関連疾患、障害又は状態の治療への有用性を有する。本明細書で使用する場合、「XTEN」は特に、一本鎖抗体又は軽鎖若しくは重鎖のFc断片のような、抗体若しくは抗体断片を除外する。
【0109】
いくつかの実施形態においては、単一の融合タンパク質中に、担体として又は累積的に、1つ以上のXTEN単位を用いる場合のXTENは、約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さの、好ましくは400より長く約3000残基までの長さの、長いポリペプチドである。その他の実施形態において、融合タンパク質の構成要素間のリンカーとして用いる場合又は融合タンパク質の半減期の延長は必要とされないが、GH融合パートナー構成要素の溶解度の向上若しくはその他の物理/化学的特性が望まれる場合のXTEN配列は100アミノ酸残基より短く、例えば約96、又は約84、又は約72、又は約60、又は約48、又は約36アミノ酸残基であり、これらをその特性に効果を及ぼすように、GHを含む融合タンパク質組成物中に組み込む。
【0110】
本発明の融合タンパク質組成物を作出するために用いられる、生物学的に活性なタンパク質に結合させるXTENの選択基準は通常、その後、融合タンパク質組成物に向上した医薬及び薬物動態学的特性を付与するために用いられる、XTENの物理的/化学的特性及び立体構造の特徴に関する。本発明のXTENは、それら融合タンパク質のパートナーとして特に有用なものである、以下の有利な特性の内の1つ以上を示す:配座柔軟性、向上した水溶性、プロテアーゼへの高い抵抗性、低い免疫原性、弱い哺乳類の受容体への結合、及び長い流体力学的(又はストローク)半径。XTENにより向上する、GHを含む融合タンパク質の特性の非限定的な例としては、全体的な溶解度及び/又は代謝安定性の向上、タンパク質分解に対する感受性の低下、免疫原性の低下、皮下又は筋内に投与した場合の吸収速度の低下、及び、より長い終末相半減期のような向上した薬物動態学的特性、濃度曲線下面積(AUC)の増加、Cmaxがより低くなるような皮下又は筋内注入後の吸収の遅延(類似した経路により投与されるXTENに結合していないGHと比較して)、が挙げられ、これにより、GHの有害事象(治療用活性を保持するGHXTEN組成物の融合タンパク質を、長期間にわたって対象に投与したことによって累積的に生じる)の低減をもたらす。
【0111】
本発明のXTENを含む組成物のような、タンパク質の物理的/化学的特性を決定するための様々な方法及びアッセイが当該分野において既知であり、特性としては、二次又は三次構造、溶解度、タンパク質凝集、融解特性、異物の混入及び水分含量が挙げられる。そのような方法には、分析用遠心法、EPR、イオン交換HPLC、サイズ排除HPLC、逆相HPLC、光散乱解析、キャピラリー電気泳動、円二色性分析、示差走査熱量測定、蛍光、イオン交換HPLC、サイズ排除HPLC、IR、NMR、ラマン分光法、屈折率測定、及びUV/可視分光法が含まれる。さらに別の方法が、Arnau et al, Prot Expr and Purif (2006) 48, 1−13において開示されている。本発明へのこれら方法の適用は、当業者の理解の範囲内であろう。
【0112】
XTENが伸張した長さのポリマーであるにもかかわらず、通常XTENは、生理学的条件下において変性したペプチド配列のような挙動を示すように設計される。変性した、とはペプチド主鎖の大部分が構造的な制限をもたないことによって特徴付けられる、ペプチドの溶液中での状態を指す。多くのペプチド及びタンパク質は、高濃度の変性剤存在下において、又は高温下において変性構造をとる。変性構造のペプチドは、例えば、特徴的な円二色性(CD)スペクトルを有し、そしてNMRで決定される長距離相互作用を欠くことによって特徴付けられる。本明細書においては、「変性構造」及び「非構造性構造(unstructured conformation)」は同じ意味で用いられる。いくつかの実施形態において本発明は、生理的な条件下において、大部分が二次構造をもたない、変性した配列に類似したXTEN配列を提供する。その他の例においてXTEN配列は、生理的な条件下で、実質的に二次構造をもたない。本明細書中において使用される場合、「大部分がもたない(largely devoided)」とは、本明細書において記載した手段によって測定又は決定した場合に、XTEN配列中の50%未満のXTENアミノ酸残基が二次構造に寄与することを意味する。本明細書中において使用される場合、「実質的にもたない」とは、本明細書において記載した手段によって測定又は決定した場合に、XTEN配列中の少なくとも約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は約95%、又は少なくとも約99%のXTENアミノ酸残基が二次構造に寄与しないことを意味する。
【0113】
特定のポリペプチド中での二次及び三次構造の有無を識別するための様々な方法が当該分野において確立されてきた。具体的には、二次構造は、例えば、「遠UV」スペクトル領域(190〜250nm)での円二色性分光法を用いた分光光度法により測定することができる。アルファ−ヘリックス及びベータシートのような二次構造要素はそれぞれ、特徴的な形状及び強さのCDスペクトルを生じる。二次構造はまた、米国特許出願第20030228309A1号に記載され、よく知られているChou−Fasmanアルゴリズム(Chou, P. Y., et al. (1974) Biochemistry, 13: 222−45)及びGarnier−Osguthorpe−Robson(「GOR」)アルゴリズム(Garnier J, Gibrat JF, Robson B. (1996), GOR method for predicting protein secondary structure from amino acid sequence. Methods Enzymol 266:540−553)のような、特定のコンピュータープログラム又はアルゴリズムを介してポリペプチド配列から予測することができる。指定された配列について、アルゴリズムは、例えばアルファ−ヘリックス若しくはベータシートを形成する配列の、全残基及び/又は残基のパーセンテージとして、又はランダムコイル形成(二次構造を欠如している)を生じると予測される配列の残基のパーセンテージとして表される二次構造が、いくらかでも存在するか又は完全に二次構造がないかどうかを予測することができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質組成物中に用いられるXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムを用いて決定した場合に0%〜約5%未満となる範囲のパーセンテージのアルファーヘリックスを有する場合がある。その他の例において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムを用いて決定した場合に0%〜約5%未満となる範囲のパーセンテージのベータシートを有する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、Chou−Fasmanアルゴリズムを用いて決定した場合に、0%〜約5%未満となる範囲のパーセンテージのアルファーヘリックス及び0%〜約5%未満となる範囲のパーセンテージのベータシートを有する。いくつかの実施形態において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、約2%未満のパーセンテージのアルファーヘリックス及び約2%未満のパーセンテージのベータシートを有する。その他の例において、融合タンパク質組成物のXTEN配列は、GORアルゴリズムで決定した場合に、高いパーセンテージとなるランダムコイルを有する。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、GORアルゴリズムで決定した場合に、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約91%、より好ましくは少なくとも約92%、より好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約94%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約96%、より好ましくは少なくとも約97%、より好ましくは少なくとも約98%、及び最も好ましくは少なくとも約99%となる、ランダムコイルを有する。
【0115】
1.非反復性配列
いくつかの実施形態において、組成物のXTEN配列は実質的に非反復性である。通常、反復性アミノ酸配列は、コラーゲン及びロイシンジッパーのような天然の反復性配列に代表されるように、凝集する又は高次構造を形成する傾向に、又は結晶若しくは疑似結晶構造を生じるように接触する傾向にある。一方、非反復性配列が凝集しにくい傾向にあることは、もしも配列が反復性ならば凝集しやすくなるであろう、相対的に少ない数の荷電したアミノ酸頻度を有する、長い配列のXTENを設計することを可能にする。通常GHXTEN融合タンパク質は、実質的に非反復配列であり、約100よりも長く約3000アミノ酸残基までの長さの、好ましくは累積して400より長く約3000残基までの長さの、XTEN配列を含む。一実施形態においてXTEN配列は、セリン以外の同一のアミノ酸型が配列中で3つ連続することがなく、同一のアミノ酸型が3つ連続する場合にはそのアミノ酸はセリンでしかない、約100より長く約3000までの長さのアミノ酸残基、好ましくは400より長く約3000までの長さのアミノ酸残基を有する。前述した実施形態において、XTEN配列は、実質的に非反復性となるであろう。
【0116】
ポリペプチド又は遺伝子の反復性の度合いは、当該分野において知られている、コンピュータープログラム又はアルゴリズム又はその他の方法によって測定される。ポリペプチド配列中の反復性は、指定された長さのより短い配列が、そのポリペプチド中にある回数を決定することにより評価することができる。例えば、200アミノ酸残基のポリペプチドは、192個のオーバーラップした9−アミノ酸配列(又は9−mer「フレーム」)及び198個の3−merフレームを含むが、9−mer又は3−mer配列に特有な個数は、その配列中の反復性の量に依存するだろう。生成されるスコア(以下「部分列スコア」)は、ポリペプチド配列全体における部分列の反復性の度合いを反映するものである。本発明に関して、「部分列スコア」は、ポリペプチドの200連続したアミノ酸配列中に存在する、各ユニーク3−merフレームの頻度の総和を、200アミノ酸配列中におけるユニーク3−mer配列の絶対数で除算したものを意味する。反復性の第一の200アミノ酸及び及び非反復ポリペプチドから算出される各部分配列の例を表44に示す。いくつかの実施形態において本発明は、各GHXTENが、12未満、より好ましくは10未満、より好ましくは9未満、より好ましくは8未満、より好ましくは7未満、より好ましくは6未満、及び最も好ましくは5未満の部分列スコアを有する1つ以上のXTENを含む、GHXTENを提供する。この段落で上述した実施形態において、約10未満(すなわち9、8、7など)の部分列スコアを有するXTENは、「実質的に非反復性」である。
【0117】
XTENの非反復性特徴は、反復性配列を有するポリペプチドと比較して、GHを含む融合タンパク質に、より高度の溶解性及び凝集する傾向の低下を付与する。これらの特性は、非常に高い濃度の薬剤を含む、いくつかの例においては100mg/mlを超える薬剤を含む、XTEN医薬調製物を含む製剤の処方を容易にする。
【0118】
さらに、実施形態のXTENポリペプチド配列は、哺乳類に投与した場合の免疫原性を低減させるために又は免疫原性を実質的に除去するために、配列内部の反復性の度合いが低くなるように設計される。大部分が、グリシン、セリン及びグルタミン酸のような3種類のアミノ酸に限定される、短い、繰り返しモチーフに含まれるポリペプチド配列は、これらの配列中に予測されるT細胞エピトープがないにいも関わらず、哺乳類に投与した場合に、相対的に高い抗体力価を生じ得る。これは、タンパク質凝集、交差免疫原性及び反復性炭水化物を含む反復性エピトープが高度免疫原性であり、そして例えば、B細胞活性化を誘導するB細胞受容体の架橋を生じることから示されてきたように、ポリペプチドの反復性の性質によって引き起こされる可能性がある。(Johansson, J., et al. (2007) Vaccine, 25:1676−82; Yankai, Z., et al. (2006) Biochem Biophys Res Commun, 345:1365−71; Hsu, C. T., et al. (2000) Cancer Res, 60:3701−5); Bachmann MF, et al. Eur J Immunol. (1995) 25(12):3445−3451)。
【0119】
2.配列モチーフの例
本発明は、アミノ酸配列が非反復性であるより短い配列又はモチーフの単位を複数含む、XTENを包含する。XTEN配列の設計においては、XTEN配列を作出するために多量体化した配列モチーフのライブラリーを用いた「ビルディングブロック(building block)」法の使用にもかかわらず、非反復性の基準を満たしうることを発見した。従って、XTEN配列がわずか4つの異なる型の配列モチーフを、複数単位含む場合でも、モチーフ自体が通常非反復性アミノ酸配列からなることから、XTEN配列全体は実質的に非反復性となる。
【0120】
一実施形態においてXTENは、各モチーフが約9〜36アミノ酸残基であり、XTEN配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は約100%がオーバーラップしていない配列モチーフからなる、約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さの、好ましくは400より長く約3000残基までの長さの、非反復配列を有する。その他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は約100%は、各モチーフが9〜14アミノ酸残基の、オーバーラップしていない配列モチーフからなる。その上さらにその他の実施形態において、XTEN配列構成要素の少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は約100%は、各モチーフが12アミノ酸残基の、オーバーラップしていない配列モチーフからなる。これらの実施形態においては、配列全体が非構造性、及び柔軟性特徴を有するように、配列が主に小さい親水性アミノ酸からなることが好ましい。XTENに含まれるアミノ酸の例には、例えば、アルギニン、リジン、トレオニン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、及びグリシンがある。コドン最適化、配列モチーフをコードしているポリヌクレオチドの組み立て(assembly)、タンパク質の発現、発現タンパク質の荷電分布及び溶解度、並びに二次及び三次構造、のような変数を試験した結果、その配列が実質的に非反復性になるように設計した場合、向上した特徴をもつXTEN組成物は主に、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)残基を含むことを見いだした。一実施形態において、XTEN配列は、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)又はプロリン(P)から選択される4つ〜6つの型のアミノ酸を主に含み、この配列は実質的に非反復配列として配置され、約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さ、好ましくは400より長く約3000残基までの長さのものである。いくつかの実施形態において、XTENは、配列の少なくとも約80%がオーバーラップしていない配列モチーフからなる、約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さの、好ましくは400より長く約3000残基までの長さ配列を有し、ここで各モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸からなる9〜36アミノ酸残基のモチーフであり、そして完全長XTEN配列中のいずれか1種類のアミノ酸型の含量が30%を超えない配列を有する。その他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%はオーバーラップしていない配列モチーフからなり、ここで各モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸からなる9〜36アミノ酸残基のモチーフであり、そして完全長XTEN中のいずれか1種類のアミノ酸型の含量は30%を超えない。その他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%はオーバーラップしていない配列モチーフからなり、ここで各モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸を含む12アミノ酸残基のモチーフであり、そして完全長XTEN中のいずれか1種類のアミノ酸型の含量は30%を超えない。一層さらにその他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、から約100%は、オーバーラップしていない配列モチーフを含みここで各モチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸を含む12アミノ酸残基のモチーフであり、そして完全長XTEN中のいずれか1種類のアミノ酸型の含量は30%を超えないものである。
【0121】
その上さらにその他の実施形態においてXTENは、配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%がオーバーラップしていない配列モチーフを含む、約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さの、好ましくは400より長く約3000アミノ酸残基までの長さのを非反復性配列含み、ここでモチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸を含む9〜14アミノ酸残基のモチーフであり、そしていずれのモチーフ中の任意の2つの連続したアミノ酸残基の配列は、その配列モチーフ中に3回以上反復されないものである。その他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%は、オーバーラップしていない配列モチーフを含み、ここでモチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択される4〜6つの型のアミノ酸を含む12アミノ酸残基のモチーフであり、そしていずれのモチーフ中の任意の2つの連続したアミノ酸残基の配列は、その配列モチーフ中に3回以上反復されないものである。その他の実施形態において、XTEN配列の少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%はオーバーラップしていない配列モチーフを含み、ここでモチーフはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)を含む12アミノ酸残基のモチーフであり、そしていずれのモチーフ中の任意の2つの連続したアミノ酸残基の配列は、その配列モチーフ中に3回以上反復されないものである。一層さらにその他の実施形態において、XTENは12アミノ酸の配列モチーフを含み、ここでアミノ酸はグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択され、そして、いずれのモチーフ中の任意の2つの連続したアミノ酸残基の配列は、その配列モチーフ中に3回以上反復されず、及び完全長XTEN配列中のいずれか1種類のアミノ酸型の含量は30%を超えないものである。この段落の前述した実施形態においてXTEN配列は、実質的に非反復性となるであろう。
【0122】
いくつかの実施形態において本発明は、配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%〜約100%が、表2のアミノ酸配列から選択される2つ以上のオーバーラップしていない配列モチーフを、複数単位含む、約100より長く約3000アミノ酸残基までの、累積して400より長く約3000残基までの長さの非反復性XTEN配列を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態においてXTENは、配列の約80%、又は少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%〜約100%が、表2の単一のモチーフファミリーから選択される2つ以上のオーバーラップしていない配列モチーフを含む、オーバーラップしていない配列モチーフを含み、その結果、配列全体が実質的な非反復性を保持する「ファミリー」配列となる。従って、これらの実施形態においてXTEN配列は、表2のADモチーフファミリー、又はAEモチーフファミリー、又はAFモチーフファミリー、又はAGモチーフファミリー、又はAMモチーフファミリー、又はAQモチーフファミリー、又はBCファミリー、又はBDファミリーの配列の、オーバーラップしていない配列モチーフを複数単位含む。その他の実施形態においてXTENは、表2の2つ以上のモチーフファミリーからのモチーフ配列を含む。
【0123】
表2:12アミノ酸のXTEN配列モチーフ及びモチーフファミリー
【表2】
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*は、様々な置換を入れて用いた場合にも、個々のモチーフ配列が「ファミリー配列」を生じることを示す。

【0124】
その他の実施形態においてGHXTEN組成物は、配列の少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%〜約100%が、表8〜11の1つ以上のポリペプチド配列から選択されたオーバーラップしていない36アミノ酸配列のモチーフを含む、約100より長く約3000アミノ酸残基までの、好ましくは400より長く約3000残基までの長さの非反復性XTEN配列を含む。
【0125】
GHXTEN融合タンパクのXTEN構成要素の100%未満のアミノ酸がグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)から選択された4〜6種のアミノ酸を含む、又は配列の100%未満が表2の配列モチーフを含む、又は表3のXTENと100%未満の配列同一性を有するそれら実施形態において、その他のアミノ酸残基は、任意のその他14種の天然のアミノ酸から選択されるが、XTEN配列が少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%親水性アミノ酸を含むように、親水性アミノ酸から優先的に選択される。グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)ではないXTENアミノ酸は、XTEN配列全体にわたって散在し、配列モチーフ中若しくは配列モチーフ間に局在し、又はXTEN配列中の1つ以上の短い配列中に集中して存在する。GHXTENのXTEN構成要素がグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)ではないアミノ酸を含む例においては、アミノ酸が疎水性残基ではないことが好ましく、かつ、XTEN構成要素の二次構造を実質的に与えないものであるべきである。XTENの構築において好ましくない疎水性残基には、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、及びメチオニンが含まれる。加えて、XTEN配列が、システイン(ジスルフィド形成及び酸化を避けるため)、メチオニン(酸化を避けるため)、アスパラギン及びグルタミン(脱アミド化を避けるため)をほとんど含まない(例えば5%未満)又は全く含まないようにXTEN配列を設計することができる。従っていくつかの実施形態において、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)に加えてその他のアミノ酸を含む、GHXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素においては、アルファ−ヘリックス及びベータシートを構成する配列が、Chou−Fasmanアルゴリズムで測定した場合に、5%未満となり得、ランダムコイルの形成が、GORアルゴリズムで測定した場合に、少なくとも90%、又は少なくとも約95%又はそれ以上となるだろう。
【0126】
3.配列の長さ
本発明の別の態様においては、本発明は、伸張した長さの配列を有するXTENポリペプチドの担体を含むGHXTEN組成物を包含する。本発明は、非反復性の、非構造性ポリペプチドの長さの増大がXTENの非構造性の特性を向上させ、その結果、XTEN担体を含む融合タンパク質の生物学的及び薬物動態学的特性を向上させるという発見を活用する。実施例においてより詳細に記載するように、XTENの長さを比例的に増大させると、それが単一ファミリーの配列モチーフ(例えば、表2の4種類のAEモチーフ)を固定した順番で繰り返すことによって作出したものであっても、GORアルゴリズムにより決定されるランダムコイル形成のパーセンテージが、より短い長さのXTENと比較した場合よりも高くなる。実施例において記載するように、通常、非構造性ポリペプチド融合パートナーの長さを増大させると、より短い長さの配列の非構造性ポリペプチドパートナーを有する融合タンパク質に比べて、融合タンパク質の終末相半減期は不釣り合いなまでに増大する。
【0127】
本発明のGHXTEN中に含めることが検討されるXTENの非限定的な例を表3に示す。一実施形態において本発明は、融合タンパク質のXTEN配列の長さが、約100より長く約3000アミノ酸残基までであり、いくつかの例においては400より長く約3000アミノ酸残基までの長さであり、ここでXTENが、XTENに結合していないGHと比較して向上した薬物動態学的特性をGHXTENに付与する、GHXTEN組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のGHXTEN組成物のXTEN配列は、約100、又は約144、又は約288、又は約401、又は約500、又は約600、又は約700、又は約800、又は約900、又は約1000、又は約1500、又は約2000、又は約2500又は約3000までの長さのアミノ酸残基である可能性がある。その他の例においてXTEN配列は、約100〜150、約150〜250、約250〜400、401〜約500、約500〜900、約900〜1500、約1500〜2000、又は約2000〜約3000の長さのアミノ酸残基である可能性がある。一実施形態においてGHXTENは、表3から選択されたXTENと、少なくとも約80%の配列同一性、あるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示すXTEN配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においてXTEN配列は、最適化したN末端リーダー配列(NTS)をコードしているヌクレオチドを、融合タンパク質をコードしている遺伝子のXTEN部分に挿入することにより、XTEN配列の発現がGHXTENのN末端構成要素として最適になるように設計される。一実施形態において発現したGHXTENのN末端XTEN配列は、AE48又はAM48、AE624、又はAE912又はAM923の配列と、少なくとも90%の配列同一性を有する。別の実施形態においてXTENは、実施例14〜17に記載したN末端残基を有する。
【0128】
その他の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、XTEN配列中の残基の累計が約400から約3000アミノ酸残基である、第一の及び第二のXTEN配列を含む。前述した実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、各配列が、表3から選択された少なくとも第一のXTENと又は加えて第二のXTENと、少なくとも約80%の配列同一性、あるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示す、第一の及び第二のXTEN配列を含む。GHXTEN組成物中に用いられる1つ以上のXTENの例としては、少なくとも1つのGHのN−及びC末端にXTENが結合した構築物が挙げられるがこれには限定されない。
【0129】
以下により詳細に記載するように、本発明は対象に投与する融合タンパク質に標的半減期を付与する長さのXTENを選択することによってGHXTENを設計する方法を提供する。通常、累積した長さが約400残基の、より長いXTENをGHXTEN組成物中に組み込むと、累積した長さがより短い(例えば約280残基より短い)XTENと比較して、半減期がより長くなる。しかしながら別の実施形態においてはさらに、対象に皮下又は筋内投与した後の体内吸収率をよりゆるやかにするために、より長い配列長のXTENを含むように、GHXTEN融合タンパク質を設計する。そのような実施形態においては、同等な用量のXTENに結合していないGHと比較して、Cmaxが低下し、このことは、治療ウインドウにおいて組成物がGHXTENを維持する能力に寄与する。従ってXTENは、本明細書において記載したその他の物理的/化学的特性を付加することで、投与されるGHXTENに持続性の特性を付与する。
【0130】
表3:XTENポリペプチド
【表3-1】
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【表3-2】
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【表3-3】
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【表3-4】
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【表3-5】
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【0131】
4.XTENセグメント
一実施形態において本発明は、XTEN構成要素の累積した長さが約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さであり、XTEN構成要素が表3、8、9、10、11、及び12から選択された少なくとも1種類のポリペプチド配列セグメントを含み、XTEN配列のその他の部分が全体にわたって少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%又はそれ以上の親水性アミノ酸を含み、そしてXTEN配列のその他の部分が約2%未満の疎水性又は芳香族アミノ酸、又はシステインからなる、単離したGHXTEN融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態においてXTENは、同一の又は異なる複数のセグメントを含む。別の実施形態において本発明は、XTEN構成要素の累積した長さが約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さであり、XTEN構成要素が少なくとも約100〜約923、又は少なくとも約100〜約875、又は少なくとも約100〜約576、又は少なくとも約100〜約288、又は少なくとも約100〜約144までのアミノ酸残基の少なくとも1種類の配列セグメントを含み、ここで配列セグメントは少なくとも3種類の異なる型のアミノ酸を含み、かつ、配列セグメント中のグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)残基の総和が配列セグメントの全アミノ酸配列の少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を構成し、そしてXTEN配列のその他の部分の及び少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%が親水性アミノ酸を含み、XTEN配列のその他の部分の未満約2%が疎水性芳香族アミノ酸、又はシステインを含む、単離したGHXTEN融合タンパク質を提供する。別の実施形態において本発明は、XTEN構成要素の累積した長さが約100より長く約3000アミノ酸残基までの長さであり、かつ、XTEN構成要素が少なくとも約200〜約923、又は少なくとも約200〜約875、又は少なくとも約200〜約576、又は少なくとも約200〜約288アミノ酸残基の少なくとも1種類の配列セグメントを含み、ここで配列セグメント中のグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)残基の総和は配列セグメントの全アミノ酸配列の少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%を構成し、そしてセグメントの部分列スコアが12未満、より好ましくは10未満、より好ましくは9未満、より好ましくは8未満、より好ましくは7未満、より好ましくは6未満、及び最も好ましくは5未満であり、XTEN配列のその他の部分の少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%が親水性アミノ酸を含み、かつ、XTEN配列のその他の部分の未満約2%が疎水性、芳香族又はシステインアミノ酸を含む、単離したGHXTEN融合タンパク質を提供する。
【0132】
5.N末端XTENの発現を高める配列
いくつかの実施形態において本発明は、GHXTEN融合タンパク質のN末端に組み込まれる短い長さのXTEN配列を提供する。結合融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドに組み込まれた、最適化されたN末端リーダーポリヌクレオチド配列(N末端XTENをコードする)を含む好適な発現ベクターで形質転換した宿主細胞における、融合タンパク質の発現が高められる。実施例14〜17に記載したように、結合融合タンパク質中に最適化されたN末端リーダー配列(NTS)を含む、そのような発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞における融合タンパク質の発現が、NTSを含まないポリヌクレオチドの対応する融合タンパク質の発現と比較して、非常に高くなること、及び発現を高めるために用いられる、非XTENリーダー配列を組み込む必要がなくなることが見いだされてきた。一実施形態において本発明は、NTSを含むGHXTEN融合タンパク質であって、結合融合タンパク質をコードしている遺伝子の宿主細胞中での発現が、N末端XTEN配列を含まないGHXTEN融合タンパク質(NTSを欠損した遺伝子をコードしている)の発現と比較して、約50%、又は約75%、又は約100%、又は約150%、又は約200%、又は約400%高められたGHXTEN融合タンパク質を提供する。
【0133】
一実施形態において、GHXTENのN末端XTENポリペプチドは、AE48又はAM48のアミノ酸配列と、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約91%、より好ましくは少なくとも約92%、より好ましくは少なくとも約93%、より好ましくは少なくとも約94%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約96%、より好ましくは少なくとも約97%、より好ましくは少なくとも約98%、より好ましくは少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す配列を含む。AE48又はAM48のアミノ酸配列は以下に示す通りである。
AE48:MAEPAGSPTSTEEGTPGSGTASSSPGSSTPSGATGSPGASPGTSSTGS(配列番号80)
AM48:MAEPAGSPTSTEEGASPGTSSTGSPGSSTPSGATGSPGSSTPSGATGS(配列番号81)。

【0134】
別の実施形態においては、短い長さのN末端XTENを、GHXTEN融合タンパク質のN末端領域を形成するより長い長さのXTENに結合させる。この場合、短い長さのN末端XTENをコードしているポリヌクレオチド配列は、宿主細胞中での発現を高める特性に寄与し、上述したように、長い長さの発現したXTENは、融合タンパク質中でのXTEN担体としての特性の向上に寄与する。前述した融合タンパク質において短い長さのXTENは、本明細書において開示した任意のXTEN(例えば、表3のXTEN)と結合し、XTENを生じ、これはその後本明細書において開示した任意のGH(例えば、表1のGH)のN末端に融合タンパク質の構成要素として結合する。あるいは、短い長さのXTENをコードしているポリヌクレオチド(又はその相補鎖)は、本明細書において開示した任意のXTEN(又はその相補鎖)をコードしているポリヌクレオチドに結合して、N末端XTENをコードしている遺伝子を生じ、これはその後本明細書において開示した任意のGHをコードしているポリヌクレオチドの5’末端に(又はその相補鎖の3’末端に)結合する。いくつかの実施形態において、長い長さを有するN末端XTENポリペプチドは、配列AE624、AE912、及びAM923からなる群より選択されるアミノ酸配列と、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも99%、又は100%の配列同一性を示す。
【0135】
上述した、前述のN末端XTEN実施形態のいずれかにおいて、N末端XTENは、N末端XTENをコードしているヌクレオチドを融合タンパク質の標的部分をコードしている遺伝子に連結するために、制限エンドヌクレアーゼの制限酵素部位を用いることができるように、好ましくはGESTPAから選択された、約1つ〜約6つのアミノ酸残基をさらに有していてもよい。N末端配列の生成方法及び本発明の融合タンパク質への組み込みについては、実施例においてより詳細に記載されている。
【0136】
6.実効電荷
その他の実施形態において、XTENポリペプチドは、実効電荷を有するアミノ酸を組み込んだこと、及び/又はXTEN配列中の疎水性アミノ酸の割合を低下させたことにより付与された、非構造性の特徴を有する。全実効電荷及び実効電荷密度は、XTEN配列における荷電したアミノ酸の含量を変えることにより制御される。いくつかの実施形態において、組成物のXTENの実効電荷密度は、1残基当たり、+0.1より高い又は−0.1未満の電荷である場合がある。その他の実施形態において、XTENの実効電荷は、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、又は約20%又はそれ以上になる可能性がある。
【0137】
ヒト又は動物の大部分の組織及び表面が実効負電荷を有することから、いくつかの実施形態において、XTEN配列は、XTENを含む組成物と、血管、健康な組織のような様々な表面、若しくは様々な受容体との間の非特異的相互作用を最小にするために、実効負電荷を有するように設計される。特定の理論に拘束されないが、XTENは、それぞれが実効負電荷を有し、XTENポリペプチドの配列全体に分布しているXTENポリペプチド中の個々のアミノ酸の間の静電反発力により、オープン構造をとることができる。XTENの伸張した長さの配列における実効負電荷のそのような分布は非構造性構造を引き起こすことができ、このことはその後、流体力学半径の有意な増大を生じる可能性がある。好ましい実施形態において負電荷は、グルタミン酸残基を組み込むことによって付加される。従って、一実施形態において本発明は、約8、10、15、20、25、又は約30%ものグルタミン酸を含むXTEN配列を有する、XTENを提供する。通常、グルタミン酸残基は、XTEN配列中で一定の間隔で配置されるだろう。いくつかの例において、XTENには、XTEN 20kD当たり、約10〜80、又は約15〜60、又は約20〜50個のグルタミン酸残基を含めることができ、これにより、非常に似たpKaを有する荷電した残基を含むXTENを生じさせることができる。これらグルタミン酸残基の添加により、産物の電荷均一性を向上させ、等電点をはっきりさせ、得られるGHXTEN融合タンパク質の物理化学的特性、例えば精製工程の単純化、を向上させることができる。
【0138】
本発明の組成物のXTENは通常、正電荷をもつアミノ酸を全く又はほとんど含まない。いくつかの実施形態においてXTENは、正電荷のアミノ酸残基を約10%未満有する場合が、又は正電荷のアミノ酸残基を約7%未満、又は約5%未満、又は約2%未満、又は約1%未満有する場合がある。しかしながら本発明は、リジンのイプシロンアミンと、ペプチド上の反応基、リンカーブリッジ(linker bridge)若しくは薬剤上の反応基、又はXTEN主鎖に結合する小分子、との結合を可能にするために、限られた数の、リジンのような正電荷アミノ酸をXTENに組み込んだ構築物についても検討する。前述の一実施形態においてXTENは、約1〜約100のリジン残基、又は約1〜約70のリジン残基、又は約1〜約50のリジン残基、又は約1〜約30のリジン残基、又は約1〜約20のリジン残基、又は約1〜約10のリジン残基、又は約1〜約5の範囲のリジン残基、又は1つのみのリジン残基を有する。前述のリジンを含むXTENを用いることにより、XTEN、成長ホルモン、及び成長に関連する疾患又は障害の治療に有用な化学療法薬、を含む融合タンパク質を構築する。この場合、XTEN構成要素に組み込まれる薬剤の最大分子数は、XTENに組み込まれるリジン又は反応性側鎖を有するその他のアミノ酸(例えば、システイン)の数よって決定される。
【0139】
いくつかの実施形態において、XTEN配列は、よりよい発現又は精製挙動を生じるように、セリン又はグリシンのようなその他の残基によって離された、荷電した残基を含む。実効電荷に基づき、いくつかのXTENは、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、又は6.5もの等電点(pI)を有する。好ましい実施形態においてXTENは、1.5から4.5までの等電点を有するだろう。これらの実施形態において、本発明のGHXTEN融合タンパク質組成物中に組み込まれたXTENは、非構造性構造並びに哺乳類のタンパク質及び組織へのXTEN構成要素の結合を低下させることに寄与する実効負電荷を、生理的な条件下で有する。
【0140】
疎水性アミノ酸がポリペプチドの構造に関わることから、本発明は、XTEN中の疎水性アミノ酸含量が通常、5%未満、又は2%未満、又は1%未満であるXTENを提供する。一実施形態において、GHXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素中におけるメチオニン及びトリプトファンのアミノ酸含量は通常、5%未満、又は2%未満、及び最も好ましくは1%未満である。別の実施形態においてXTENは、10%未満の正電荷アミノ酸残基を含み、又は約7%未満、又は約5%未満、又は約2%未満の正電荷アミノ酸残基を含み、メチオニン及びトリプトファン残基の総和が2%未満となる場合があり、及びアスパラギン及びグルタミン残基の総和が全XTEN配列の10%未満となる場合がある、配列を有するだろう。
【0141】
7.低い免疫原性
別の態様において、本発明は、XTEN配列が低度の免疫原性しかもたない、又は実質的に非免疫原性である組成物を提供する。XTENの免疫原性には、例えば、非反復配列、非構造性構造、高度の溶解性、低度な自己凝集性又は自己凝集性の欠如、配列中のタンパク質分解部位が低頻度であるか又は無い、及びXTEN配列中のエピトープが低頻度であるか又は無い、などの複数の因子が関与している可能性がある。
【0142】
立体構造エピトープは、タンパク質抗原における複数の不連続なアミノ酸配列を含む、タンパク質表面の領域から形成される。このタンパク質の正確な折り畳みが、宿主の体液性免疫系によって「異物」として認識されることができるようになる、明確な、安定した空間配置、又はエピトープをこれらの配列にもたらし、その結果このタンパク質に対する抗体の生産又は細胞介在性免疫反応の活性化が生じる。後者の例において、タンパク質に対する個々の免疫反応は、個々のHLA−DRアロタイプのペプチド結合特異性に関与する、T細胞エピトープの認識により大きく影響される。T細胞表面上の同種T細胞受容体によるMHCクラスIIペプチド複合体の認識は、CD4分子のような特定のその他のコレセプターの交差結合と共に、T細胞の活性化状態を誘導することができる。活性化により、サイトカインの放出が引き起こされ、さらに抗体を生産するB細胞のようなその他リンパ球が活性化され、又は完全な細胞免疫反応としてTキラー細胞が活性化される。
【0143】
APC(抗原提示細胞)の表面上で抗原を提示するための、ペプチドが特定のMHCクラスII分子に結合する能力は、数多くの因子、とりわけその一次配列に依存する。一実施形態において、低度の免疫原性は、抗原提示細胞中での抗原プロセシングに抵抗性をもつXTEN配列を設計すること及び/又はMHC受容体に強く結合しない配列を選択することにより達成される。本発明は、MHC II受容体への結合が低下するように、並びにT細胞受容体又は抗体結合に対するエピトープの形成を回避するように設計され、その結果低度の免疫現性を生じる、実質的に非反復性のXTENポリペプチドを含むGHXTEN融合タンパク質を提供する。免疫原性の回避は、部分的に、XTEN配列の配座柔軟性の、すなわちアミノ酸残基の選択及び順番が原因である二次構造の欠損の、直接的な結果である。例えば、特に興味深い配列は、水溶液中で密に折りたたまれた構造をとる傾向が低い、又は生理的条件下で立体構造エピトープを生じる可能性のある配列である。標準的な治療行為及び用量でのXTENを含む融合タンパク質の投与は、通常、XTEN配列に対する中和抗体の形成を引き起こさず、そしてGHXTEN組成物中のGH融合パートナーの免疫原性を低下させる。
【0144】
一実施形態において対象融合タンパク質に用いられるXTEN配列は、ヒトT細胞によって認識されるエピトープを実質的に含まない場合がある。タンパク質の免疫原性を低下させることを目的とした、そのようなエピトープの除去についてはこれまでに開示されてきた。例えば、参照することにより本明細書に組み入れられる、国際公開第98/52976号、同第02/079232号、及び同第00/3317号を参照のこと。ヒト細胞エピトープのアッセイについても記載されてきた(Stickler, M., et al. (2003) J Immunol Methods, 281: 95−108)。特に興味がもたれるのは、T細胞エピトープを生成することなくオリゴマー化することができる、又は非ヒト配列のペプチド配列である。このペプチド配列は、T細胞エピトープの存在について、及び6〜15−mer配列の頻度について、具体的には、非ヒト9−mer配列の頻度について、これら配列のダイレクトリピート(direct repeat)を試験し、その後エピトープ配列を除去又は壊すようにXTEN配列の設計を変更することにより達成される。いくつかの実施形態において、XTEN配列は、MHC受容体に結合すると予測されるXTENのエピトープの数を制限することにより、実質的に非免疫原性となる。MHC受容体に結合可能なエピトープの数を減少させることにより、同時に、T細胞活性化能並びにT細胞ヘルパー機能の低下、B細胞活性化又はアップレギュレーションの低下、及び抗体生産の減少が生じる。予測されるT細胞エピトープの低度は、実施例45に示したエピトープ予測アルゴリズム、例えばTEPITOPE(Sturniolo, T., et al. (1999) Nat Biotechnol, 17: 555−61)など、により決定することができる。タンパク質中の特定のペプチドフレームのTEPITOPEスコアは、Sturniolo, T. et al. (1999) Nature Biotechnology 17:555、に開示されたように、そのペプチドフレームが複数の最も共通したヒトMHCアレルに結合する場合のK(解離定数、親和性、オフレート(off−rate))の対数である。スコアの範囲は、少なくとも20log、約10から約−10(10e10〜10e−10の結合定数に相当する)にわたり、そしてMHC上でのペプチド提示に際してアンカー残基として役立つ疎水性アミノ酸、M、I、L、V、Fなど、を回避することにより、スコアを低下させることができる。いくつかの実施形態において、GHXTENに組み込まれるXTEN構成要素は、約−5以上、又は−6以上、又は−7以上、又は−8以上のTEPITOPEスコア、又は−9以上のTEPITOPEスコアにおいて、予測されるT細胞エピトープを含まない。本明細書で使用する場合、「−9以上」のスコアは、10から−9のスコアをまとめて包含し得るが、−10のスコアは、−10は−9未満であるとして包含しない。
【0145】
別の実施形態において、対象融合タンパク質に組み込まれたものを含む本発明のXTEN配列は、XTEN配列における既知のタンパク質分解部位を制限し、XTENのMHCII受容体に結合することができる低分子へのプロセシングを低減させることにより、実質的に非免疫原性とされる。別の実施形態においてXTEN配列は、実質的に二次構造をとらず、多くのプロテアーゼへの抵抗性に寄与する高いエントロピーの構造を有する配列を使用することにより、実質的に非免疫原性とされる。従って、TEPITOPEスコアの低下及びXTENからの既知のタンパク質分解部位の除去は、GHXTEN融合タンパク質組成物のXTENを含むXTEN組成物を、免疫系の受容体を含む哺乳類の受容体に実質的に結合できないようにする。一実施形態において、GHXTEN融合タンパク質のXTENは、哺乳類の受容体に対して>100nMの結合定数(K)、又は哺乳類の細胞表面若しくは血中ポリペプチド受容体に対して500nMより大きいKを有する場合がある。
【0146】
加えて、XTENが非反復性配列であり、そのためにエピトープをもたないことは、B細胞がXTENに結合する能力、又はXTENがB細胞を活性化する能力を制限する。認識された反復性配列は、たとえB細胞わずかしか存在しなかったとしても多価接触を形成することができ、そして複数のT細胞非依存性受容体の交差結合の結果、B細胞の増殖及び抗体生産を刺激することができる。一方、XTENはその伸張配列全体にわたって多くの異なるB細胞との接触を形成するが、XTEN配列に反復性がないことにより、各個々のB細胞は、個々のXTENとは1つ若しくは少数の接触を形成することしかできない。いずれの理論にも拘束されず、XTENが、B細胞増殖とそれによる免疫反応を刺激する能力は、通常非常に低い。一実施形態において、GHXTENは、融合していない対応するGHと比較して、低い免疫原性を有する。一実施形態において、GHXTENを3種類までの非経口用量において哺乳類に投与すると、1:100に希釈した血清において検出可能な抗GHXTEN IgGを生じるが、1:1000希釈においては検出できない。別の実施形態において、GHXTENを3種類までの非経口用量において哺乳類に投与すると、1:100に希釈した血清において検出可能な抗GH IgGを生じるが、1:1000希釈においては検出できない。別の実施形態において、GHXTENを3種類までの非経口用量において哺乳類に投与すると、1:100に希釈した血清において検出可能な抗XTEN IgGを生じるが、1:1000希釈においては検出できない。前述の実施形態において哺乳類は、マウス、ラット、ウサギ、又はカニクイザルである場合がある。
【0147】
高度な反復性を有する配列と比較した場合の、非反復性XTEN配列のさらなる特徴は、非反復性XTENが形成する抗体との接触はより弱いということである。抗体は多価分子である。例えば、IgGは、2つの同一の結合部位を有し、IgMは10の同一の結合部位を含む。従って、反復性配列に対する抗体は、高い結合力を有するそれら反復性配列との多価接触を形成することができ、これらの接触がそれら反復性配列の能力及び/又は除去に影響を与える可能性がある。一方、非反復性XTENに対する抗体は多価相互作用を生じる可能性があり、これはGHXTEN組成物が血中で維持される期間を長くすることができるような、免疫クリアランスの低下を生じる可能性がある。
【0148】
8.流体力学半径の増大
別の態様において本発明は、XTENポリペプチドが長い流体力学半径を有し、XTENを組み込んだGHXTEN融合タンパク質に見かけの分子量の相当する増加を付与する、XTENを提供する。実施例37に詳述したように、XTENとGH配列の結合は、XTENに結合していないGHと比較して、流体力学半径が長い、見かけの分子量が大きい、及び見かけの分子量因子が大きい可能性がある、GHXTEN組成物を生じる。例えば、延長された半減期が望まれる治療上の適用においては、長い流体力学半径のXTENを1つ以上のGHを含む融合タンパク質に組み込むことにより、組成物の流体力学半径を効果的に、およそ3〜5nmである糸球体細孔径を超えるものに増大させることができ(約70kDAの見かけの分子量に相当する)(Caliceti. 2003. Pharmacokinetic and biodistribution properties of poly(ethylene glycol)−protein conjugates. Adv Drug Deliv Rev 55:1261−1277)、その結果、血中タンパク質の腎クリアランスが低下する。タンパク質の流体力学半径は、その分子量と形状、又は緊密さを含むその構造によって決定される。特定の理論に拘束されず、XTENはペプチドの個々の電荷間の静電反発、又は二次構造を与える能力を欠いた、配列中の特定のアミノ酸による固有の柔軟性によって、オープン構造をとることができる。オープンな、伸張した、かつ、非構造性の構造をもつXTENポリペプチドは、一般的な球状タンパク質のような二次及び/又は三次構造をもつ同等の配列長及び/又は分子量を有するポリペプチドと比較して、比例的により長い流体力学半径をもつことができる。米国特許第6,406,632号及び同第7,294,513号に記載されているように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の使用などの流体力学半径の決定方法は当該分野において周知である。実施例37に示す結果のように、長い長さのXTENの付加は、流体力学半径、見かけの分子量、及び見かけの分子量因子などの指標の増大をもたらし、所望される特徴的な見かけの分子量又は流体力学半径のカットオフを有するようにGHXTENを設計することを可能にする。従って、特定の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、融合タンパク質が少なくとも約5nm、又は少なくとも約8nm、又は少なくとも約10nm、又は12nm、又は少なくとも約15nmの流体力学半径を有することができるように、XTENを含めて構成することができる。前述の実施形態において、GHXTEN融合タンパク質中のXTENによって与えられる長い流体力学半径は、生じる融合タンパク質の腎クリアランスの低下を引き起こすことができ、その結果、相当する終末相半減期の増大、平均滞留時間の増加、及び/又は腎クリアランス率の低下を引き起こす。
【0149】
別の実施形態においては、生理的な条件下において少なくとも約150kDa、又は少なくとも約300kDa、又は少なくとも約400kDa、又は少なくとも約500kDA、又は少なくとも約600kDa、又は少なくとも約700kDA、又は少なくとも約800kDa、又は少なくとも約900kDa、又は少なくとも約1000kDa、又は少なくとも約1200kDa、又は少なくとも約1500kDa、又は少なくとも約1800kDa、又は少なくとも約2000kDa、又は少なくとも約2300kDa又はそれ以上の見かけの分子量をもつ融合タンパク質を作出するために、選択した長さ及び配列のXTENを選択的にGHXTEN中に組み込むことができる。別の実施形態においては、生理的な条件下において少なくとも3の、あるいは少なくとも4の、あるいは少なくとも5の、あるいは少なくとも6の、あるいは少なくとも8の、あるいは少なくとも10の、あるいは少なくとも15の見かけの分子量因子を、又は少なくとも20若しくはそれ以上の見かけの分子量因子を有するGHXTEN融合タンパク質を生じるように、選択した長さ及び配列のXTENを選択的にGHに結合させることができる。別の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は生理的な条件下で、融合タンパク質の実際の分子量に対して、約4〜約20の、又は約6〜約15の、又は約8〜約12の、又は約9〜約10の見かけの分子量因子を有する。
【0150】
V).GHXTENの構造配置及び特性
対象組成物のGHは、天然の、完全長ポリペプチドには限定されず、組み換えたもの、並びに生物学的及び/又は薬理学的に活性な変異体又はその断片をも含む。当然のことながら、GHの生理活性又は薬理学的特性に関するGH変異体を、本発明の精神から逸脱することなく作出するために、例えば、様々なアミノ酸の欠失、挿入及び置換を行うことができる。ポリペプチド配列中の保守的アミノ酸置換の例を表4に示した。しかしながら、GHの配列同一性が、本明細書において開示した特定の配列と比較して100%未満であるGHXTENを用いた実施形態においては、本発明は、指定されたGHの指定されたアミノ酸残基を、任意のその他19種類の天然のL−アミノ酸で置換することを検討する。ここで置換されるアミノ酸の位置は、隣接した残基を含む、GH配列中の任意の位置であってよい。任意の1置換が生理活性の望ましくない変化を生じる場合には、次に別のアミノ酸のうちの1つを使用して置換することができ、そして本明細書において記載した方法又は、例えば、その全文が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,364,934号に示された保守的及び非保守的突然変異についての指針を用いて、又は当該分野において一般的に知られている方法を用いて、構築物を評価することができる。加えて、変異体は例えば、GHの完全長天然アミノ酸配列のN又はC末端に1つ以上のアミノ酸残基を付加したポリペプチド、又はGHの完全長天然アミノ酸配列のN又はC末端から1つ以上のアミノ酸残基を欠失したポリペプチドを含む得場合があり、このポリペプチドは天然のペプチドの生理活性を全てではなくても、いくらか保持する。
【0151】
表4:保守的アミノ酸置換の例
【表4】
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【0152】
(a)GHXTEN融合タンパク質の配置
本発明は、GH及びXTEN構成要素をN末端側からC末端側への特定の配置で含む、GHXTEN融合タンパク質組成物を提供する。いくつかの実施形態においては、ブロック共重合体を形成するように、1つ以上のGHが1つ以上のXTENのN末端又はC末端のいずれかに、スペーサーと共に又はスペーサーを伴わずに結合し、その結果、生じるGHXTEN融合タンパク質中でのGH及びXTENの配置はブロック共重合体化学において既知の配置と同様になる。1つ以上のGH、XTEN、又はスペーサーを含む場合、各GH、XTEN、又はスペーサーは同じ又は異なる配列を有し、GH及び/又はXTENは連続して又は交互に(規則的に又は変則的に)結合する。従って、本明細書で提供する全ての式において、1つ以上のGH、XTEN、又はスペーサーが含まれる場合、各GH、XTEN、及びスペーサーは同じか又は異なるものである。いくつかの実施形態においてGHXTENは、1つのXTENポリペプチドに結合したGHを含む、単量体融合タンパク質である。その他の実施形態においてGHXTENは、2つ以上のXTENポリペプチドに結合したGHを含む単量体融合タンパク質である。その上さらにその他の実施形態においてGHXTENは、1つのXTENポリペプチドに結合した2つ以上のGHを含む単量体融合タンパク質である。その上さらにその他の実施形態においてGHXTENは、2つ以上のXTENポリペプチドに結合した2つ以上のGHを含む単量体融合タンパク質である。表5に本発明のGHXTEN融合タンパク質に包含される配置の非限定的な例を示すが、本明細書において開示した又は当該分野において既知のスペーサー及び開裂配列の組み込みを含むその他の数多くの変異型が当業者には明かであろう。
【0153】
表5:GHXTENの配置
【表5】
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*単一とは1つの構成要素であり、複数が2つ以上の構成要素であることを特徴とする
**成長因子及びXTEN構成要素のN末端側からC末端側への配置を反映する
【0154】
本発明は、表1から選択された単一の又は複数のGH(又は断片若しくはその配列変異体)、及び表3から選択された単一又は複数のXTEN(又はその配列変異体)を含み、表5に示した配置をとる、GHXTEN融合タンパク質組成物を検討するが、GHXTEN融合タンパク質組成物はこれらには限定されない。通常、生じるGHXTENは、対応するXTENと結合していないGHの生理活性を少なくとも部分的には保持する。その他の実施形態において、GHXTEN中のスペーサー配列に組み込まれた任意の開裂配列の開裂により、GHXTEN融合タンパク質組成物がXTENから分離される際に生物学的に活性になる又は生理活性が増加するGH構成要素のいずれについても以下でより詳細に記載する。
【0155】
GHXTEN組成物の一実施形態において、本発明は式Iの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−GH−(XTEN):I
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;xは0又は1のいずれかであり及びyは0又は1のいずれかであり、ここでx+y≧1であり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0156】
GHXTEN組成物の別の実施形態において、本発明は式IIの融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(GH)−(S)−(XTEN):II
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又はz1のいずれかであり及びyは0又は1のいずれかであり、ここでx+y≧1であり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0157】
別の実施形態において、本発明は、融合タンパク質が式IIIの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
(GH)−(S)−(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN):III
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;zは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0158】
別の実施形態において、本発明は、融合タンパク質が式IVの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN)−(GH):IV
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;zは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0159】
別の実施形態において、本発明は、融合タンパク質が式Vの融合タンパク質である、単離した融合成長ホルモンを提供し、
(GH)−(S)−(GH)−(S)−(XTEN):V
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0160】
別の実施形態において、本発明は、融合タンパク質が式VIの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(GH):VI
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0161】
別の実施形態において、本発明は、融合タンパク質が式VIIの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
(XTEN)−(S)−(GH)−(S)−(GH)−(XTEN):VII
式中、独立した各産物について、GHは成長ホルモンであり;Sは1〜約50個の範囲のアミノ酸残基を有し任意に開裂配列を含む場合があるスペーサー配列であり;xは0又は1のいずれかであり;yは0又は1のいずれかであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0162】
別の実施形態において本発明は、融合タンパク質が式VIIIの融合タンパク質である、単離した融合タンパク質を提供し、
((S)−(GH)−(S)−(XTEN)−(S):VIII
式中、(1)x+y>1、(2)t=1、x>0及びy>0である場合、(3)1つより多いGH、S、又はXTENが含まれ、GH、XTEN、又はSがそれぞれ同じ又はそれぞれ独立して異なる場合;及び(4)t>1であり、各サブユニット中に含まれるm、n、o、x、又はyがそれぞれ同じ又はそれぞれ独立して異なる場合以外は、tは0より大きい整数であり(1、2、3など);m、n、o、x、及びyはそれぞれ独立して整数であり(0、1、2、3など)、GHは成長ホルモンであり;Sは任意に開裂部位を含むスペーサーであり;及びXTENは伸張組換えポリペプチドである。
【0163】
いくつかの実施形態において、治療上有効量の式I〜VIIIの実施形態の融合タンパク質をそれを必要とする対象へ投与すると、XTENと結合していない対応するGHであって、かつ、同等の用量において対象に投与されるGHと比較して、融合タンパク質が治療ウインドウ中で推移する時間は少なくとも2倍、又は少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも40倍、又は少なくとも100倍以上に延長される。その他の実施形態においては、治療上有効量の式I〜VIIIの実施形態の融合タンパク質をそれを必要とする対象へ投与すると、XTENに結合していないGHであって、かつ、同等の用量において投与されるGHの連続投与の間隔と比較して、治療上効果的な用量計画を維持するために必要な連続投与の間隔を少なくとも48時間、又は少なくとも72時間、又は少なくとも約96時間、又は少なくとも約120時間、又は少なくとも約7日間、又は少なくとも約14日間、又は少なくとも約21日間延長することができる。
【0164】
本発明に包含される融合タンパク質のスペーサー配列群はいずれも任意である。スペーサーは、宿主細胞からの融合タンパク質の発現を高めるために、又はGH構成要素が望ましい三次構造をとることができるように及び/又は標的受容体と適切に相互作用できるように、立体障害を低減させるために提供される。スペーサーについて及び望ましいスペーサーの同定方法については、例えば、参照することにより特に本明細書に組み入れられる、George, et al. (2003) Protein Engineering 15:871−879、を参照のこと。一実施形態においてスペーサーは、1〜50までのアミノ酸残基の長さの又は約1〜25残基、又は約1〜10残基までの長さのペプチド配列を1つ以上含む。開裂部位を除いたスペーサー配列は、任意の20種類の天然のLアミノ酸を含むことができ、好ましくは立体障害のない親水性アミノ酸を含むことができ、これらアミノ酸にはグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)が含まれるがこれらには限定されない。いくつかの例においてスペーサーは、ポリグリシン又はポリアラニンであってよく、又は主にグリシン及びアラニン残基の混合物である。開裂配列を除外したスペーサーポリペプチドはほとんど又は実質的に二次構造をとらない(例えば、Chou−Fasman及び/又はGORアルゴリズムで決定した場合、約10%未満、又は約5%未満)。一実施形態において、GHXTEN融合タンパク質組成物に含まれる1つ又は両方のスペーサー配列は、同一又は異なる開裂配列をさらに含み、この開裂配列は、融合タンパク質からGHを開裂させるためのプロテアーゼによる作用を受ける。
【0165】
いくつかの実施形態においては、XTENから分離されることによって活性化する又はより活性化するGHを分離することができるように、GHXTENへの開裂配列の組み込みを設計する。開裂後にGHに結合している残りの残基のいずれもがGHの活性(例えば、受容体への結合のような)を認識できるほど干渉せず、さらに開裂配列の開裂にプロテアーゼが効果的に作用できるようにするために、開裂配列はGH配列に有意に隣接した位置に、通常GH配列末端から18以内、又は12以内、又は6以内、又は2アミノ酸以内に配置される。いくつかの実施形態において、開裂部位は、対象への投与後にGHXTENが開裂され得るように、哺乳類対象の内生プロテアーゼにより開裂され得る配列である。そのような例においては、プロドラッグ又はGHに対する血中貯留物としてGHXTENは役立つだろう。本発明で検討される開裂部位の例には、FXIa、FXIIa、カリクレイン、FVIIa、FIXa、FXa、FIIa(トロンビン)、エラスターゼ−2、グランザイムB、MMP−12、MMP−13、MMP−17又はMMP−20から選択される、哺乳類の内生プロテアーゼによって開裂され得るポリペプチド配列、又はTEV、エンテロキナーゼ、PreScission(商標)プロテアーゼ(ライノウイルス3Cプロテアーゼ)、及びソルターゼAのような哺乳類のものではないプロテアーゼによって開裂され得るポリペプチド配列が挙げられるが、これらの配列には限定されない。前述したプロテアーゼ及びその他により開裂される配列は当該分野において既知である。配列並びにその配列変異体中の開裂配列及び切断部位を表6に示す。例えば、LTPRSLLVの配列(配列番号82)に作用するトロンビン(活性化凝固第II因子)(Rawlings N.D., et al. (2008) Nucleic Acids Res., 36: D320)は、配列中の4番目の位置のアルギニンの後ろを切断するだろう。活性なFIIaは、凝固経路における第IX因子の下流にあり、リン脂質及びカルシウム存在下でのFXaによるFIIの開裂によって生産される。その凝固における天然の役割はフィブリノゲンの開裂であり、これが一旦活性化されると、次に凝固の形成が始まる。FIIa活性はしっかりと制御されており、特定の止血に凝固が必要な場合にのみ生じる。しかしながら、凝固は哺乳類においては途切れない過程であるため、GHXTENのGHとXTENの間にLTPRSLLV配列(配列番号83)を組み込むと、凝固が生理的に必要な場合には外因性又は内因性いずれかの凝固経路の活性化に伴ってXTENドメインが隣接したGHとの接点から分離され、それによりGHがその間放出されるだろう。同様に、内生プロテアーゼが作用するその他の配列をGHXTEN中に組み込むことにより、特定の実施形態においては、「プロドラッグ」形態のGHXTENから高度に活性化されたGHを提供する、GHの持続放出を提供することができるだろう。

【0166】
いくつかの実施形態において、切断部位の両側に隣接した2つ又は3つのアミノ酸のみ(全部で4〜6アミノ酸)が開裂配列に組み込まれる。その他の実施形態において、既知の開裂配列は、1つ以上の欠失若しくは挿入を有し、又はその既知配列の1つ若しくは2つ若しくは3ついずれかのアミノ酸の1つ若しくは2つ若しくは3つのアミノ酸が置換されたものである。ここで欠失、挿入又は置換は、プロテアーゼへの感受性の低減又は増強を生じるがプロテアーゼへの感受性の喪失を生じず、XTENからのGHの放出速度を設計できる能力をもたらすものである。置換の例を表6に示す。
【0167】
表6:プロテアーゼ開裂配列
【表6】
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↓は開裂部位を示す
NA:適用なし
*スラッシュの前、間、又は後に記載されている複数のアミノ酸は、その位置で置換できる別のアミノ酸を示す
「−」は、いずれのアミノ酸も、中列に記載した、対応するアミノ酸で置換できることを示す。

【0168】
一実施形態において、GHXTEN融合タンパク質中に組み込まれたGHは、表1の配列と少なくとも約80%の配列同一性を、あるいは表1の配列と比較して少なくとも約81%、又は約82%、又は約83%、又は約84%、又は約85%、又は約86%、又は約87%、又は約88%、又は約89%、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は約100%の配列同一性を示す配列を有する。前述した実施形態のGHの活性を、アッセイを用いて、又は本明細書において記載した指標の測定若しくは決定によって評価することができ、そしてそれらの配列は、対象GHXTENに含めることが好適であろうと考えられる対応する天然のGH配列の活性と比較して、少なくとも約40%、又は約50%、又は約55%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は約95%又はそれ以上の活性を保持する。好適なレベルの活性を保持することが認められたGHを、上に記載した1つ以上のXTENポリペプチドに結合させることができる。一実施形態において、好適なレベルの活性を保持することが認められたGHを、表3の配列と少なくとも約80%の配列同一性を有する、あるいは表3の配列と比較して少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%の配列同一性を有する1つ以上のXTENポリペプチドに結合させることができ、その結果キメラ融合タンパク質が生じる。
【0169】
単一のXTENに結合させた単一のGHを含む融合タンパク質の非限定的な例を表35に示す。一実施形態において、GHXTEN組成物は、表35のGHXTENと少なくとも約80%の配列同一性を有する、あるいは表35のGHXTENと比較して少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は約100%の配列同一性を有する融合タンパク質を含むだろう。1つ以上のGHに結合した2つのXTEN分子を含む融合タンパク質の配列の非限定的な例を表36に示すが、本発明はまた、1つ以上のXTEN(表3から選択される配列と少なくとも約90%の配列同一性を示し、同じ若しくは異なる)に結合した、その他のGH(表1から選択される配列と少なくとも約90%の配列同一性を示す配列を有する)を用いた置換についても検討する。この段落の上記に記載した、前述の融合タンパク質において、GHXTEN融合タンパク質に、GHとXTENの間の位置又はGHに隣接した位置に、表6の開裂配列をさらに含めることができる(2つ以上のGHがそのGHXTENに含まれている場合)。いくつかの例においては、開裂配列を含むGHXTENは、プロテアーゼの接触を促進するために、GHと開裂配列の間又はXTEN又は開裂配列の間に1つ以上のスペーサー配列アミノ酸をもまた有するだろう。スペーサーアミノ酸は任意の天然のアミノ酸を含むが、好ましいアミノ酸はグリシン及びアラニンである。GH、XTEN、開裂配列及びスペーサーアミノ酸を含むGHXTENの非限定的な例を表37に示す。しかしながら、本発明はまた、表37のGH配列を任意の表1のGH配列で置換すること、表37のXTEN配列を任意の表3のXTEN配列で置換すること、及び表37の開裂配列を任意の表6の開裂配列で置換することについても検討する。
【0170】
(b)GHXTENの薬物動態学的特性
本発明は、XTENに結合していないGHと比較して向上した薬物動態を有するGHXTEN融合タンパク質であって、本明細書に記載した方法を用いてこの組成物について決定した用量で使用した場合に、薬理学的効果をもたらす血中濃度ではあるが、同等の用量のXTENに結合していないGHと比較して、組成物の生物学的な有効成分の安全域に長期間滞留することを達成することができる、GHXTEN融合タンパク質を提供する。このような例において、GHXTENは、融合タンパク質組成物の治療ウインドウ中に長期間維持される。本明細書で使用する場合、「同等な用量」とは、等価なモル/kgの、比較可能な方法で対象に投与される活性なGH薬理作用団を含む用量を意味する。当該分野においては容易に理解されるように、「同等な用量の」GHXTEN融合タンパク質を含む薬剤の重量はより重くなるだろうが、融合タンパク質用量中のGHのモル等価物は本質的には同じであり、及び/又はGHと比較してほぼ同じモル濃度を有するだろう。
【0171】
GHに特性のXTENを結合させることにより向上させることができるGHの薬物動態学的特性には、終末相半減期、濃度曲線下面積(AUC)、Cmax容量の分布、及び成長ホルモン関連障害、疾患及び関連した症状の治療において向上した有用性をもたらすバイオアベイラビリティが含まれる。GHXTEN組成物のGHは、表1から選択されるタンパク質配列と少なくとも約80%の配列同一性、あるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示す配列であって、表3から選択されるタンパク質配列と少なくとも約80%の配列同一性、又はあるいは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示す1つ以上のXTENに結合した配列である可能性がある。
【0172】
XTENを含む融合タンパク質の薬物動態学的特徴に関する実施例でより詳細に記載したように、驚くことに、XTEN配列の長さを伸張することにより、XTENを含む融合タンパク質の終末相半減期が不釣り合いなまでに増大することが発見された。従って、本発明は、対象に投与するGHXTEN組成物に標的半減期をもたらすように選択したXTENを含む、XTENを含むGHXTEN融合タンパク質を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象に投与されるGHXTENの終末相半減期が、XTENと結合していなく、かつ、比較できる用量において対象に投与される、対応する融合タンパク質に結合していないGHと比較して少なくとも約2倍長く、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約7倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約9倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約15倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約80倍、又は少なくとも約100倍、又はそれ以上にも長くなるように選択したXTENを含む、XTENを含む単量体融合タンパク質を提供する。実施例に記載したように、様々な動物種に実験的に投与した本明細書で開示した様々なGHXTEN組成物の終末相半減期の値が数時間にもなったのに反して、外生の投与されたヒト成長ホルモンの終末相半減期がヒトにおいては15分未満であることが報告されてきた(Hindmarch, P.C., et al., Clinical Endocrinology (2008) 30(4): 443−450)。同様に、GHXTEN融合タンパク質のAUCは、対応する融合タンパク質に結合していないGHであって、かつ、同等の用量で対象に投与されるGHのAUCと比較して、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約150%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%、又は少なくとも約500%、又は少なくとも約1000%、又は少なくとも約2000%増加する可能性がある。GHXTENの薬物動態学的指標は、投与する工程、時間間隔をおいて血液試料を採取する工程、及びELISA、HPLC、放射標識測定法、又はその他の当該分野において既知の方法若しくは本明細書に記載した方法を用いてタンパク質をアッセイする工程、並びに、その後、データを標準的な方法によって計算し、半減期及びその他のPK指標を導く工程を含む標準的な方法によって決定することができる。
【0173】
本発明はさらに、開裂配列をさらに含んでもよいスペーサー配列によって任意に離されている、又は第二のXTEN配列によって離されている、第一の及び第二のGH分子を含むGHXTENを提供する。一実施形態において、GHは、対応する融合タンパク質に結合していないGHと比較して、融合タンパク質に結合させた場合により低い活性を有する。そのような例において、図38に示したように、GHXTENは、対象へ投与する際に、GH構成要素が開裂配列の開裂によって徐々に分離され、その結果GHが活性又はその標的受容体若しくはリガンドに結合する能力を取り戻すように設計される。従って、前述したGHXTENはプロドラッグ又は血中貯留物として役立ち、その結果融合タンパク質に結合していないGHと比較して長い終末相半減期をもたらす。
【0174】
(c)GHXTENの薬理及び医薬特性
本発明は、XTENに共有結合したGHを含み、XTENに結合していないGHと比較して向上した特性を有し得るGHXTEN組成物、並びに組成物中の2つのGH構成要素それぞれの治療用及び/又は生理活性を向上させるための方法を提供する。加えて本発明は、免疫グロブリンポリペプチドパートナー、より短いポリペプチド及び/又は反復性配列を有するポリペプチドパートナーを含む、当該分野において既知の融合タンパク質と比較して、向上した特性を有するGHXTEN組成物を提供する。加えてGHXTEN融合タンパク質は、ペグ構築物のような化学結合体よりも、特に、研究及び開発の両方、並びに製品の製造の時点で時間及び費用を削減することができ、そして、GHXTENの製品及び代謝物の両面においてペグ結合体よりも低い毒性を有する、より均一で明確な製品を生じる細菌細胞発現系において組換えGHXTEN融合タンパク質を作出できることから、大きな利益をもたらす。
【0175】
治療用薬剤としてのGHXTENは、XTENを含まない治療薬よりも、1つ以上の向上した特性を含む数多くの利点を有し、これらの向上した特性の非限定的な例には、溶解度の向上、熱安定性の向上、免疫原性の低下、見かけの分子量の増加、腎クリアランスの低下、タンパク質分解の低下、代謝の低下、治療用効果の増大、より低い有効な治療用用量、バイオアベイラビリティの向上、治療ウインドウ中でのGHの血中レベルを維持することができる投薬間隔の延長、「設計された」吸収速度、凍結乾燥に対する安定性の向上、血清/血漿安定性の向上、終末相半減期の延長、血流における溶解度の向上、中和抗体による結合の減少、受容体介在性クリアランスの低下、副作用の減少、受容体/リガンド親和性又は受容体/リガンド活性化の保持、分解に対する安定性、凍結融解に対する安定性、プロテアーゼに対する安定性、ユビキチン化に対する安定性、投与の簡便性、その他の薬剤的賦形剤又は担体との適合性、対象中での持続性、保存における安定性の向上(例えば、保持期限の増大)、生体中又は環境中での毒性の低下などが含まれる。向上した特性の実際の効果は、成長ホルモン関連疾患又は障害を有する対象に投与した場合に、GHXTENが治療用及び/又は生物学的効果の向上、又は患者のコンプライアンスの改善を生じるということである。
【0176】
発現タンパク質に物理的及び構造的な特性を測定するための特定のアッセイ及び方法は当該分野において既知であり、これらには、タンパク質凝集、溶解度、二次及び三次構造、融解特性、異物の混入及び水分含量などのような特性を決定する方法が含まれる。そのような方法には、分析用遠心法、EPR、イオン交換HPLC、サイズ排除HPLC、逆相HPLC、光散乱解析、キャピラリー電気泳動、円二色性分析、示差走査熱量測定、蛍光、イオン交換HPLC、サイズ排除HPLC、IR、NMR、ラマン分光法、屈折率測定、及びUV/可視分光法が含まれる。さらに別の方法が、Arnau et al, Prot Expr and Purif (2006) 48, 1−13において開示されている。本発明へのこれら方法の適用は、当業者の理解の範囲内であろう。
【0177】
本発明の特定の機能において、融合パートナーとしてのXTENは、GHペイロードの溶解度、特に通常は大腸菌のような形質転換した宿主細胞では不溶性の封入体として発現するGHの発現におけるGHペイロードの溶解度、を向上させる(例えば、Singh, S. M., et al. (2005) J Biosci Bioeng, 99: 303; Patra, A. K., et al. (2000) Protein Expr Purif, 18: 182を参照のこと)。従って、水溶性又は安定性の度合いような、GHの医薬的又は物理化学的特性の向上が望まれる場合、GHXTEN組成物の全体的な医薬特性を向上するように、第一の及び第二の融合タンパク質における、第一の及び第二のXTEN配列の長さ及び/又はモチーフファミリー組成物はそれぞれ、それぞれの融合タンパク質に異なる度合いの溶解性及び/又は安定性を付与するように選択され得る。GHXTEN融合タンパク質を、本明細書において記載した方法を用いて構築し、物理化学的特性を確認するためにアッセイし、必要な場合には、望ましい特性を生じるようにXTENを調製することができる。一実施形態においてGHXTENのXTEN配列は、融合タンパク質が、融合タンパク質に結合していないGHと比較して少なくとも約25%高い水溶性、又は対応する融合タンパク質に結合していないGHよりも少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%、又は少なくとも約400%、又は少なくとも約500%、又は少なくとも約1000%高い水溶性を有するように選択される。
【0178】
本発明は、XTENに結合していないGHと比較して、向上した溶解度及び回収の簡便性を有するGHXTENを生産し、そして発現させたGHXTENを宿主細胞から回収する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は、1つ以上のXTEN構成要素を含み、累積した配列長が約800より長い、又は約900より長い、又は約1000より長い、又は約1100より長いアミノ酸残基の、GHXTENをコードしているポリヌクレオチドで原核性宿主細胞(例えば大腸菌)を形質転換する工程、宿主細胞中でGHXTEN融合タンパク質を発現させる工程、細胞質含有物を回収するために宿主細胞を溶解する工程、及び細胞質含有物を酸性化する(酸性化条件ではGHの溶解度を維持することができるが、大部分の宿主細胞タンパク質は不溶性になって沈殿する)工程を含む。前述の一実施形態においては、発現後の宿主細胞の粗溶解物を、pH約5.0未満に、又はpH約4.7未満に、又はpH約4.5未満に、又はpH約4.2未満に酸性化することができ、そして、約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%又はそれ以上の発現GHを可溶性の形態で回収することができる。前述した実施形態の特徴としては、酸性化した溶解物を遠心分離することにより、濃縮したGHXTENを、宿主細胞のタンパク質汚染物質から分離することができることがあり、これはXTEN担体に融合させることによりGHに付与された溶解度の向上を反映するものである。この段落で上述した実施形態において、GHXTEN融合タンパク質のXTENは表3から選択される1つ以上のXTENと少なくとも約80%の配列同一性、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%〜約100%の配列同一性を有する可能性があり、そしてGHXTEN融合タンパク質のGHは表1から選択されるGHと少なくとも約80%の配列同一性、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%、又は約96%、又は約97%、又は約98%、又は約99%、又は100%の配列同一性を有する可能性があり、そしてGHXTEN構成要素は表5から選択されるN末端側からC末端側にかけての配置を有する可能性がある。
【0179】
一実施形態において本発明は、GHXTEN組成物、並びに、同等の用量における対応するXTENに結合していないGHと比較して、治療ウインドウ中でGH構成要素を維持できる期間が非常に長い組成物の作出方法を提供する。当該分野においては容易に理解されるように、「同等な用量の」GHXTEN融合タンパク質を含む薬剤の重量はより重くなるだろうが、融合タンパク質用量中のGHのモル等価物は同じであり、及び/又はGHと比較してほぼ同じモル濃度を有するだろう。治療ウインドウ中でGH構成要素を維持できる組成物の作出方法は、与えられる用量及び用量計画を考慮して、望まれる薬物動態学的特性をGHに付与するための結合に適切なXTENを選択する工程、そしてその後、薬物動態学的特性、GHXTEN融合タンパク質の活性、及び投与される組成物の安全性を確認するためのアッセイを行う工程を含む。この方法により、より長い期間、治療ウインドウ中のGHの血中濃度を維持することにより、投与される組成物の効力を向上させることが可能なGHXTENを作出することができる。本明細書で使用する場合、「治療ウインドウ」とは、血中又は血漿濃度範囲として表される、許容できない毒性をもたず、疾患又は症状に効力又は所望の薬理学的効果を時間経過と共にもたらす薬剤又は生物学的製剤の量、すなわち、任意の正の治療効果を達成する最小量と(それ以上の用量又は濃度では)対象に対して毒性となる直前の反応を生じる最大量との間の、循環血液濃度である。加えて、治療ウインドウは通常、時間の観点も包含する;所望の薬理学的を時間経過と共にもたらし、許容できない毒性又は有害事象を生じない最大及び最小濃度。対象の治療ウインドウ中にある、投与された組成物は、「安全域」にあると言うこともできる。
【0180】
機能的な特徴又は生物学的及び及び薬理学的活性ならびにそれがもたらす指標を含む、本発明のGHXTEN組成物の特徴は、望まれる特徴を測定するための、当該分野において既知の任意の好適なスクリーニングアッセイによって決定される。本発明は、所望される度合いの生物学的及び/又は治療用活性、並びに安全性プロファイルを有するGHXTENを提供するために、異なる組成物又は配置のGHXTEN融合タンパク質をアッセイする方法を提供する。それぞれの配置のGHXTEN及び/又はGHXTENに組み込まれるGH構成要素の活性を評価するために、特定のインビボ及びエクスビボな生物学的アッセイを用いる。これらのアッセイには、実施例のアッセイ、表34のアッセイ、並びにGHの特性及び効果をアッセイするための以下の又はその他当該分野において既知のアッセイが含まれるがこれらには限定されない。結合定数(K)、EC50値、並びにそれらリガンド−受容体複合体の解離半減期(T1/2)を含む、GHXTENのGH受容体又はリガンドへの結合特性の決定を可能にするように、アッセイを実施することができる。結合親和性は、例えば、受容体又はリガンドに特異的に結合する能力の変化を検出する、競合型の結合アッセイ(例えば、実施例を参照のこと)により測定することができる。加えて、フローサイトメトリー又は表面プラズモン共鳴のような技術もまた、結合イベントを検出するために用いることができる。アッセイは可溶性の受容体分子を含む場合があり、又は細胞で発現した受容体への結合を決定する場合もある。そのようなアッセイには、増殖、細胞死、アポトーシス及び細胞移動についてのアッセイを含む、細胞を用いたアッセイが含まれる場合もある。使用可能なその他の、可溶性の受容体分子を含む場合のあるアッセイを用いては、発現したポリペプチドの受容体への結合を決定することができ、又は細胞に発現した受容体への結合を決定することができるだろう。対応するGHの標的受容体又はリガンドへの、GHXTENの結合親和性は、チップに結合した受容体若しくは結合タンパク質を用いたBiacoreアッセイ又は米国特許第5,534,617号に記載されたようなELISAアッセイ、本明細書の実施例に記載したアッセイ、放射性−受容体アッセイ、又はその他の当該分野において既知のアッセイのような、結合型又は競合型の結合アッセイによってアッセイすることができる。加えて、GH配列変異体(単一の構成要素として又はGHXTEN融合タンパク質としてアッセイされる)を、それらGHが天然のGH、又はそのいくつかの画分と同様の結合特異性及び親和性及び親和性を有するかどうか、それらがGHXTENへ組み込むのに好適かどうか、を決定するための競合ELISA結合アッセイを用いて天然のGHと比較することができる。機能性アッセイには、GHXTENへの曝露の結果である、標的細胞中でのIGF−1の分泌及び/又は生成の増加、及び/又は、結果として生じる、骨成長を促進するための骨芽細胞及び軟骨細胞活性へのIGF−1の効果を刺激する効果が含まれ、これら全てはGHXTEN融合タンパク質に組み込むためのGHの活性又は得られたGHXTENを評価するための好適な指標である。加えて、ヒト成長ホルモン(hGH)が、そのタンパク質、炭水化物、及び脂質の代謝への作用、並びにインビトロでの血液細胞生産の刺激効果を介して体成長において機能していること(Derfalvi et al., 1998; Merchav et al; 1988)、血液中での赤血球数及びヘモグロビン含量(Valerio et al., 1997; Vihervuori et al., 1996)、並びに増殖の向上、及び血漿細胞株におけるIg生産(Kimata and Yoshida, 1994)、CD8細胞数の刺激を増加させること、及びCD4細胞数の割合を低下させる(Geffner, 1997)ことが知られている。長期的に測定することができる指標には、成長速度、身体の成熟度、及び成長における比較骨率が含まれる。前述の全ては、GHXTENに組み込まれるGH構成要素の活性及び生じたGHXTENを評価するために用いることができる。
【0181】
用量の最適化は全ての薬剤、特に治療ウインドウが狭い薬剤にとって重要である。例えば、異なる症状又は異常な臨床指標を呈している全患者のために標準化された、単一用量のGHが常に有効というわけではない場合もある。許容できない毒性を生じる可能性がある、及び用量が安全域外になる場合がある、又は臨床的な改善を達成しない不十分な能力を生じる場合のある量に対して、治療上又は薬理学的有効量のGHXTENの決定を目的とするこれら因子についての考慮は当業医師の権限の範囲内である。
【0182】
多くの例において、異なる年齢又は疾患の度合いが異なる対象における、GHの治療ウインドウが確立されてきており、これは文献から入手可能であり、又はGHを含む認可された製品の薬剤ラベルに記載されている。その他の例において、本開示のこれらGHXTENを含む、新しい組成物の治療ウインドウを確立することができる。特定の組成物の治療ウインドウの確立方法は当業者に既知である(例えば、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th Edition, McGraw−Hill (2005)を参照のこと)。例えば、標的疾患又は障害を有する対象において効力又は所望される薬理学的効果、有害事象の出現、及び循環血液レベルを決定するための用量漸増試験を行うことにより、特定の対象又は対対象集団に対する特定の薬剤若しくは生物製剤又は生物製剤と薬剤との併用についての治療ウインドウを決定することができる。用量漸増試験は、当該分野において知られているように若しくは本明細書において記載したように、代謝性疾患又は障害に関連する1つ以上の指標である生理的若しくは生化学的な指標、又は特定の適応についての有益なアウトカムに関連した臨床指標を対象又は対照群においてモニターする代謝試験と、無影響量、有害事象、最大耐量などを決定するための観察及び/又は測定指標と、決定若しくは導き出した循環血液レベルを確立する薬物動態学的指標の測定を介して、GHXTENの活性を評価することができる。この結果を次に、先に決定した指標又は効果レベルと一致する治療薬の、投与した用量と血中濃度に関連づけることができる。これらの方法により、用量範囲及び血中濃度を、所望の効果がもたらされる最小有効用量及び最大用量を血中濃度と関連づけることができ、これより高い用量で毒性が生じるた場合、投与した治療薬の治療ウインドウを確立することができる。最大用量より高い血中濃度の融合タンパク質(又はGH構成要素で測定される)は、治療ウインドウ又は安全域の外にあると考えられるだろう。従って、前述した方法により、それより低量ではGHXTEN融合タンパク質が所望される薬理学的効果を示さないであろう血中レベルであるCmin、及び許容できない毒性又は有害事象を引き出すであろう濃度に達する前の最大の血中濃度を示すであろう血中レベルであるCmaxを確立し、それらの量をGHXTENの安全域の外にあるとするだろう。そのような確立された濃度を用い、融合タンパク質を治療ウインドウ中に維持するための適切な用量及び投与頻度を提供するCmax及びCminを測定することにより、投与頻度及び用量をさらに改良することができる。本明細書において開示した手段又はその他当該分野において既知の方法により、当業者はGHXTENが治療ウインドウに望ましい期間維持されているか、又は用量若しくはXTENの配列長の調整が必要とされるかについて確認することができる。さらに、GHXTENを治療ウインドウに維持するための適切な用量及び投与頻度の決定は、治療ウインドウ範囲内にある連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷を生じ、そして標的疾患、障害又は症状に関連する少なくとも1つの測定指標の改善をもたらすような、治療上効果的な用量の融合タンパク質をそれを必要とする対象に複数回の連続して投与するための投与スケジュールである、治療上効果的な用量計画を確立する。いくつかの例において、適切な用量で対象に投与されたGHXTENは、対応するXTENに結合していないGHであって、かつ、同等の濃度で投与されたGHと比較して、GHXTEN融合タンパク質が治療ウインドウ中に少なくとも約2倍長い期間維持される、あるいは少なくとも約3倍長い;あるいは少なくとも約4倍長い;あるいは少なくとも約5倍長い;あるいは少なくとも約6倍長い;あるいは少なくとも約7倍長い;あるいは少なくとも約8倍長い;あるいは少なくとも約9倍長い又は少なくとも約10倍長い又はそれより長く治療ウインドウ中に維持される、血中濃度を生じる。本明細書で使用する場合、「適切な用量」とは、対象に投与した場合に、所望される治療用又は薬理学的効果及び治療ウインドウ範囲内の血中濃度を生じるであろう、薬剤又は生物製剤の用量を意味する。
【0183】
一実施形態において、治療上効果的な用量計画で投与されたGHXTENは、融合タンパク質に結合していない融合タンパク質に対応する生物学的に活性なタンパク質であって、かつ、同等な投与計画において対象に投与された融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の血中レベルにおける少なくとも2つの連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷との間隔の時間を、少なくとも約3倍長く;あるいは少なくとも約4倍長く;あるいは少なくとも約5倍長く;あるいは少なくとも約6倍長く;あるいは少なくとも約7倍長く;あるいは少なくとも約8倍長く;あるいは少なくとも約9倍長く又は少なくとも約10倍長くする。別の実施形態においては、より低頻度で、又はモル換算してより少ない総用量の医薬組成物の融合タンパク質を治療上効果的な用量計画で投与した場合、GHXTENは、融合タンパク質に結合していない対応する生物学的に活性なタンパク質構成要素であって、かつ、GHの治療上効果的な用量計画により対象に投与されたタンパク質構成要素と比較して、1つ、又は2つ、又は3つ又はそれ以上の測定指標の同等な改善を生じる。測定指標には、本明細書において開示した任意の臨床的、生化学的又は生理学的な指標、又は成長ホルモン関連障害を有する対象を評価するための当該分野において既知のその他指標が含まれる。
【0184】
本発明は、GHXTENがGH標的受容体若しくはリガンドに対して示す親和性が、XTENに結合していない天然のGHが標的受容体若しくはリガンドに対して示す親和性の、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約99%、又は少なくとも約100%又はそれ以上である可能性のある、単離したGHXTENを提供する。いくつかの例において、対象GHXTENとGHXTEN天然の受容体若しくはリガンドとの間の結合親和性であるKは、少なくとも約10−4M、あるいは少なくとも約10−5M、あるいは少なくとも約10−6M、又は少なくとも約10−7M、又は少なくとも約10−8M、又はGHXTENと天然の受容体若しくはリガンドとの間の親和性は少なくとも約10−9Mである。
【0185】
その他の実施形態において本発明は、GH受容体に対する結合親和性が低くなるように特に設計された、単離したGHXTEN融合タンパク質を提供する。一実施形態において、GH1のC末端に融合させたXTENを含む融合タンパク質のような融合タンパク質は、AE912−hGH−AE144、AE912−hGH−AF144、AE912−hGH−AE288、AM923−hGH−AE144、AM923−hGH−AF144、AM923−hGH−AE288、及び表36−37の配列から選択されたGH融合タンパク質と、約97%の配列同一性、又は少なくとも約99%の配列同一性を示す。
【0186】
いくつかの実施形態において、本発明のGHXTEN融合タンパク質は、成長ホルモン関連疾患、障害及び状態の治療及び予防における天然のGHの使用が知られている又はその使用と関連がある、インビトロでの生理活性又は薬理学的効果に関する生理活性を、少なくとも約0.05%、又は約0.1%、又は約1%、又は約10%、又は約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は約95%、又は約98%、又は又は約99%保持する。保持されたGHXTEN融合タンパク質の活性を評価するためにアッセイすることができる活性又は薬理学的効果の非限定的な例としては、GH受容体を有する細胞におけるシグナル伝達マーカー、誘導されたIGF−1濃度、誘導されたIGFBP3濃度、身長発育速度の変化、除脂肪体重、体脂肪総量、体幹脂肪、インスリン抵抗性症候群に関連した指標、軟骨細胞の分裂及び増殖速度の測定、骨密度の変化、及び骨成長(例えば骨端板幅の増大)が挙げられる。いくつかの実施形態においてGH構成要素の活性は、完全なGHXTEN融合タンパク質により明かであるが、その他の例においてGH構成要素の活性は、GHXTEN融合タンパク質に組み込まれた開裂配列にプロテアーゼが作用することによる、GHの融合タンパク質からの開裂及び放出に際して、始めて明かになるであろう。前述した例においては、GH構成要素の受容体又はリガンドへの結合親和性がXTENに結合した状態では低くなるように、上により詳細に記載したように、GHXTEN配列に組み込まれた開裂配列の開裂を介してXTENから放出された場合にはGH構成要素の受容体又はリガンドへの結合親和性が回復又は増大するように、GHXTENを設計する。
【0187】
その他の例においては、受容体介在性クリアランスを低下させることによって対象に投与したGHXTENの終末相半減期を増大させるため、GH構成要素のGH受容体への結合親和性が低くなるように、GHXTENを設計することができる。例えば、XTENを融合タンパク質のGH構成要素のC末端に結合させる。その他の例においては、投与した組成物が原因である毒性又は副作用を低減させるため、GH構成要素のGH受容体に対する結合親和性が低くなるようにGHXTENを設計する。
【0188】
従って本発明は、少なくとも第一のGH、並びに第一の及び第二のXTENを含み、N末端側からC末端側への構成要素の特定の配置を有する一本鎖融合タンパク質構築物を作出することによる、GHXTENの終末相半減期を延長する方法を提供し、ここで融合タンパク質中の第一のN末端からC末端への配置をとるGH及びXTEN構成要素は、第二のN末端からC末端への配置をとるGHXTENと比較して、低い受容体介在性クリアランス(RMC)とそれに対応する増大した終末相半減期を有する。前述の一実施形態において、GHXTENのN末端側からC末端側への配置はXTEN−GH−XTENであり、これはN末端側からC末端側への配置がXTEN−GHであるGHXTENと比較して、低い受容体結合性を有する。前述の別の実施形態において、GHXTENの配置はGH−XTENである。前述した実施形態において、2つのXTEN分子は、その配列組成物又は長さが、同一であっても異なっていてもよい。単一のGHに結合した2つのXTENを含む、前述した実施形態の非限定的な例としては、構築物AE912−hGH−AE144、AE912−hGH−AE288、AE864−hGH−AE144、AM923−hGH−AE144、及びAM923−hGH−AE288が挙げられる。本発明は、前述した例の相当する構成要素を表1のGH及び表3のXTENで置換し、構築物が、相当する構成要素を別の位置に配置した場合と比較して低い受容体介在性クリアランスを有するように、例えば表5の配置で作出したようなその他の構築物についても検討する。いくつかの実施形態において、終末相半減期を増大させる前述の方法は、受容体への結合が低下していない第二の配置をとるGHXTENの半減期と比較して、終末相半減期を少なくとも約30%、又は約50%、又は約75%、又は約100%、又は約150%、又は約200%、又は約300%、又は約400%又はそれ以上増大させる配置のGHXTENを提供する。本発明は、オンレート(on−rate)の低下又はオフレート(off−rate)の増大のいずれかの結果、受容体への結合親和性が低下した特定のリガンドはN−又はC末端いずれかの障害による影響を受ける場合があること(図3に示すように)、及び末端を組成物の別のポリペプチド(GHの別の分子、XTEN、若しくはスペーサー配列のいずれか)への結合に用いることにより結合親和性の低下が生じるという事実を利用する。GHXTEN融合タンパク質について特定の配置を選択することにより、受容体介在性クリアランス率の低下が達成されるような、受容体への結合親和性の度合いの低下がもたらされる。ポリペプチドのその受容体への結合が活性化を起こさない場合、その結合はRMCを誘導しないが、受容体の活性化はRMCを誘導するように、通常、受容体の活性化はRMCと関連する。しかしながら、いくつかの例、特にリガンドが高いオフレートを有する例において、リガンドはそれでもなお受容体介在性クリアランスを引き起こすことなく細胞シグナル伝達を開始するのに十分なほど結合することができ、この最終的な結果は、GHXTENのバイオアベイラビリティが維持されるということである。そのような例において、配置されたGHXTENは、より高度にRMCを誘導する配置をとるGHXTENと比較して、長い半減期を有する。
【0189】
受容体介在性クリアランスを低下させるための成長ホルモン受容体への結合親和性の低下が求められるが、少なくとも部分的な生理活性の保持もまた望まれる場合、望ましい受容体活性化を得るために十分な結合親和性を、例えばシグナル伝達の開始によって、やはり維持しなければならない。従って、一実施形態において本発明は、GHXTENの標的受容体への結合親和性が、結合親和性が低下しない配置をとる対応するGHXTENの親和性の、約0.01%〜40%、又は約0.01%〜30%、又は約0.01%〜20%の範囲になるように配置したGHXTENを提供する。従って、配置されたBXTENの結合親和性は、GH構成要素の標的受容体への結合親和性が低下しない配置をとる対応するGHXTEN又は融合タンパク質に結合していないGHの結合親和性と比較して、同等の条件で決定した場合に、好ましくは少なくとも約60%低下、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約99%、又は少なくとも約99.99%低下する。異なる表現を用いて表すと、配置されたGHXTENのGH構成要素は、GH構成要素の結合親和性が低下しない配置をとるGHXTENの対応するGH構成要素の結合親和性の、約0.01%、又は少なくとも約0.1%、又は少なくとも約1%、又は少なくとも約2%、又は少なくとも約3%、又は少なくとも約4%、又は少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも40%と同程度の結合親和性を有する。前述した実施形態において、配置されたGHXTENの標的受容体への結合親和性は、対応する天然のGH又は対応するGH構成要素の結合親和性が低下しない配置をとるGHXTENと比較して「実質的に低下」するものである。従って、本発明は、上記において例を挙げたように、GHXTENが十分な数の受容体に結合してそれらを活性化させ、所望されるインビボでの生物学的反応を得ることができるが、そのような反応を得るのに必要とされる以上の数の受容体を活性化させないように配置することによってRMCを低下させた組成物及びこの組成物の作出方法を提供する。増大した半減期は、XTENに結合していないGHと比較して又はGH構成要素が、低頻度での投与にもかかわらず臨床的効力を有する組成物を生じる、十分な生物学的又は薬理学的活性を維持するように配置されたGHXTENと比較して、より多い用量及び少ない投与頻度での投与を可能にする。
【0190】
VI).本発明の組成物の使用
別の態様において本発明は、GHが介在する疾患、障害又は状態に有益な効果をもたらす方法を提供する。本発明においては、相対的に短い終末相半減期及び/又は狭い治療ウインドウを有するGHの欠点及び/又は限界を取り扱う。
【0191】
体の成長に関わる多くの過程は複数のペプチド及びホルモンによって制御され、そしてそのようなペプチド及びホルモン、並びにそのアナログが成長ホルモン関連疾患、障害及び状態の治療において有効であることが見いだされた。しかしながら、市販されている成長ホルモンの使用は、そのような疾患、障害及び状態に罹患した対象の管理において最適な効果をもたらさない。具体的には、成長ホルモン関連疾患及び障害の治療に用いられるペプチド及びホルモン生物製剤にとって重要なことは、用量の最適化及び投薬頻度である。成長ホルモンの半減期は短いため、臨床的有益性を達成するためには必然的に頻回投与となり、このことはそのような患者の管理を困難にする。
【0192】
一実施形態において本発明は、治療上又は予防上有効量のGHXTENを対象に投与する工程を含む、成長ホルモン関連疾患、障害又は状態を有する対象において有益な効果を達成するための方法を提供すし、ここで前記投与は、成長ホルモン関連疾患、障害又は状態に関連する1つ以上の生化学的又は生理学的な指標又は臨床エンドポイントの改善を生じる。有効量とは、成長ホルモン関連疾患、障害又は症状の治療の補助(例えば、治癒又は重篤度の低減)又は予防(例えば、発症の「見込み」又は重篤度の低下)において有益な効果を生じるものである。いくつかの例においては、有益な効果を達成するための方法には、小児及び成人における先天性又は後天性のGH欠如である、ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、慢性腎不全、在胎期間の発育遅延、特発性低身長、AIDS消耗症候群、肥満、多発性硬化症、加齢、線維筋痛症、クローン病、潰瘍性大腸炎、筋ジストロフィー、低筋肉量(例えばボディビルディング)、低骨密度、又はGHを用いることができることの任意のその他徴候(対象における内生成長ホルモンレベルが欠損している必要はない)を含むがこれらには限定されない、成長ホルモン関連疾患、障害又は症状を有する対象を治療するために、治療上有効量のGHXTEN融合タンパク質組成物を投与する工程を含む。
【0193】
別の実施形態において本発明は、GHの欠損を呈する対象における、IGF−1生産の刺激方法を提供する。この方法は、XTENに結合していないGHであって、かつ、同等の用量で投与されたGHを受けている対象と比較して、IGF−1の血中レベルの上昇及び/又はIGF−1の血中レベルが上昇している期間の増大をもたらす、治療上有効量のGHXTENを対象に投与する工程を含む。いくつかの例において、IGF−1の増加は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%である。別の実施形態において本発明は、軟骨細胞の分裂及び数を刺激する方法を提供する。この方法は、XTENに結合していないGHであって、かつ、同等の用量で投与されたGHを受けている対象と比較して、軟骨細胞の生産を少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%増加させる、治療上有効量のGHXTENを投与する工程を含む。別の実施形態において本発明は、XTENに結合していないGHであって、かつ、同等の用量で投与されるGHを受けている対象と比較して、骨端板幅の増加することにより算出される骨成長が、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約100%、又は少なくとも約200%、又は少なくとも約300%増加する、治療上有効量のGHXTENを投与する工程を含む方法を提供する。
【0194】
本明細書に記載したようにGHXTENのPK指標が向上した結果、成長ホルモン関連疾患、障害若しくは状態の症状、又は臨床的な異常を予防、治療、軽減、反転若しくは回復させるために、又は治療を受ける対象の生存を長くするために、GHは、対応するXTENに結合していないよりも長い投与間隔で投与される。
【0195】
本発明の方法は、望まれる指標又は臨床効果を達成するために十分な期間、治療上有効量のGHXTENを連続して投与すること、及び/又は望まれる指標又は臨床効果を維持するために治療上有効量のGHXTENを連続して投与することを含み、そしてそのような治療上有効量の連続投与をGHXTENの治療上効果的な用量計画として、すなわち、本明細書に記載したがこれらには限定されない代謝性疾患の病期又は状態におけるいずれかの臨床徴候又は症状、態様、測定指標若しくは特徴に持続した有益な効果をもたらす、治療上有効量として示される用量の融合タンパク質組成物を連続して投与するための計画として、確立する。一実施形態においてこの方法は、XTEN配列に結合したGHと及び少なくとも1種の薬学上許容可能な担体とを含むGHXTEN融合タンパク質組成物を含む、治療上有効量の医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含み、この投与により、XTENに結合していないGHを含む医薬組成物であって、かつ、同等の用量で投与される医薬組成物の投与による介入の効果と比較して、少なくとも1つの指標、生理的な状態、又はGH構成要素が介在する臨床転帰(この非限定的な例は上に記載した)の大きな改善がもたらされる。一実施形態において、医薬組成物は、治療上有効量の用量で投与される。別の実施形態において医薬組成物は、本明細書において定義したような治療上効果的な用量計画により、投与期間にわたり複数回連続して投与される。
【0196】
治療上有効量のGHXTENは、疾患病期、年齢、性別、及び対象の体重、並びに個々の対象における所望される反応を誘導する抗体又は抗体部分の能力、のような因子により多様になる。治療上有効量はまた、GHXTENの治療における有益な効果が、GHXTENのいずれかの毒性又は有害効果を上回る量である。予防上有効量とは、所望される予防的な結果を達成するために必要な期間にわたって要求されるGHXTENの量を指す。
【0197】
本発明の方法には、患者における回復を簡便にするように、投与間隔を長くするために、及び持続的な効果を達成するために必要な薬剤の量を減少させるために、長時間作用型のGHXTEN組成物が好ましい。一実施形態において治療方法は、治療上有効量のGHXTENをそれを必要とする対象に投与する工程を含み、この投与により、融合タンパク質に結合していない対応するGH構成要素であって、かつ、同等の用量において対象に投与されるGH構成要素と比較して、組成物中の融合タンパク質が確立された治療ウインドウ中で推移できる期間が長くなる。いくつかの例において、治療ウインドウ中に維持される期間は、融合タンパク質に結合していない対応するGH構成要素であって、かつ、比較できる用量において対象に投与されるGH構成要素の少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍、又は少なくとも約80倍、又は少なくとも約100倍長くなる。この方法はさらに、治療上効果的な用量計画を用いてそれを必要とする対象にGHXTENを複数回連続投与した場合、融合タンパク質に結合していない対応するGHであって、かつ、GHについて確立された投与計画で投与されるGHと比較して、融合タンパク質の血中レベルにおける連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷との間の時間間隔の増大を生じる。前述した実施形態において、連続したCmaxのピーク及び/又はCminの谷との間の時間間隔は、融合タンパク質に結合していない対応するGH構成要素であって、かつ、GHについて確立された投与計画で投与されるGH構成要素の時間間隔の、少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍、又は少なくとも約8倍、又は少なくとも約10倍、又は少なくとも約20倍、又は少なくとも約40倍又は少なくとも約80倍、又は少なくとも約100倍に長くなる。この段落の上記で記載した実施形態において、融合タンパク質の投与は、融合タンパク質に結合していない対応するGH構成要素であって、かつ、同等の単位用量又は投与計画において対象に投与されるGH構成要素と比較して、モル換算してより低容量の単位用量の融合タンパク質を用いた場合にも、対象疾患、状態、または状態の評価に有用だとして本明細書に開示した指標のうちの少なくとも1つの改善をもたらす。
【0198】
この治療方法は、成長ホルモン疾患、障害又は状態に関連する1つ以上の指標の改善に効果を及ぼす、治療上効果的な用量計画を用いてGHXTENを投与する工程を含む。いくつかの実施形態において、対象へのGHXTENの投与は、1つ以上の生化学的な、生理的な、又は臨床指標の改善を生じ、この改善の度合いは、同じアッセイ又は測定される臨床指標に基づいて決定したXTENに結合していない対応するGH構成要素を投与した場合の度合いよりも大きいものである。その他の実施形態において、対象へのGHXTENの治療上効果的な用量計画を用いた投与は、1つ以上の生化学的な、生理的な、又は臨床指標の活性化を生じ、この活性化の度合いは、同じアッセイ又は測定される臨床指標に基づいて決定したXTENに結合していない対応するGH構成要素を投与した場合の活性化よりも長期間にわたる。前述の一実施形態において、対象へのGHXTENの治療上効果的な用量計画を用いた投与は、対象に投与されるXTENに結合していないGHと比較して少なくとも約10%、又は約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%、又は約60%、又は約70%、又は約80%、又は約90%、又は約100%又はそれ以上の、対象における血中IGF−1レベルのピーク濃度及び曲線下面積の改善を生じる。前述の別の実施形態において、対象へのGHXTENの治療上効果的な用量計画を用いた投与は、同等の投与計画で対象に投与されるXTENに結合していないGHと比較して、対象の体重を少なくとも約10%、又は約20%、又は約30%、又は約40%、又は約50%又はそれ以上増加させる。
【0199】
本発明はさらに、本明細書に示した方法に従って使用するGHXTENを、成長ホルモン関連疾患、障害、及び症状の治療に有用なその他の治療方法及び医薬組成物と併せて投与する、又は成長ホルモンが補助療法となる条件(例えば、インスリン抵抗性及び血糖コントロール不良)に投与することについて検討する。そのような組成物には、例えば、DPP−IV阻害薬、インスリン、インスリンアナログ、PPARガンマアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、GLP−1アゴニスト又はアナログ、PTP1B阻害薬、SGLT阻害薬、インスリン分泌促進薬、RXRアゴニスト、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3阻害薬、インスリン感作物質、免疫調節薬、ベータ−3アドレナリン受容体アゴニスト、Pan−PPARアゴニスト、11ベータ−HSD1阻害薬、ビグアニド、アルファ−グルコシダーゼ阻害薬、メグリチニド、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素及びその他当該分野において既知の糖尿病治療薬、又は降圧剤、カルシウムチャネル遮断剤、及び関連製品が含まれる。いくつかの実施形態においては、GHXTENを投与することにより、対象における同等な臨床効果又は疾患、障害若しくは状態の測定指標を達成するために合わせて投与される医薬組成物の量を、より低用量にすることができる。
【0200】
別の態様において本発明は、所望される薬理学的又は医薬特性を有するGHXTEN組成物の設計方法を提供する。成長ホルモン関連疾患、障害、及び状態の治療における治療用効力の改善、GHと比較した場合の融合タンパク質の薬物動態学的特徴の向上、薬理学的効果を達成するために必要な用量又は投与頻度の低減、医薬特性の向上、及びGH構成要素が長期間治療ウインドウ中に維持される能力の向上、を含む様々な目的(融合タンパク質に結合していないGHと比較した)を考慮して、GHXTEN融合タンパク質を設計及び準備する。
【0201】
通常、融合タンパク質及び図4〜6に示したような本発明の組成物の設計及び生産工程には、(1)特定の疾患、障害又は症状の治療に対するGH(例えば、天然のタンパク質、アナログ又は活性をもつ誘導体)の選択;(2)生じるGHXTENに所望のPK及び物理化学的特徴(例えば、その組成物を対象に投与すると、XTENに結合していないGHに比較して、非常に長い期間融合タンパク質が治療ウインドウ中に維持されるようになる)を付与し得るXTENを選択する工程;(3)所望される効力又はPK指標を達成するための、GHXTENのN末端側からC末端側への配置を確立する工程;(4)配置されるGHXTENをコードしている発現ベクターの設計を確立する工程;(5)その発現ベクターで好適な宿主を形質転換する工程;及び(6)得られた融合タンパク質の発現及び回収、が含まれる。半減期が増大した(24時間を上回る)又は治療ウインドウ中で維持される期間の延長が望まれるそれらのGHXTENにおいて、組み込むために選択されるXTENは通常、少なくとも約500、又は約576、又は約864、又は約875、又は約912、又は約923のアミノ酸残基を有し、この場合には単一のXTENがGHXTENに組み込まれる。別の実施形態においてGHXTENは、前述した長さの第一のXTEN、及び約144、又は約288、又は約576、又は約864、又は約875、又は約912、又は約923アミノ酸残基の第二のXTENを含む。
【0202】
半減期の増大は必要とされないが、医薬特性(例えば、溶解度)の向上が求められるその他の実施形態においては、より短い長さのXTENを含むGHXTENを設計する。前述のいくつかの実施形態においてGHXTENは、少なくとも約24、又は約36、又は約48、又は約60、又は約72、又は約84、又は約96アミノ酸残基を有するXTENに結合したGHを含み、この場合、生理的な条件下における融合タンパク質の溶解度は、対応するXTENに結合していないGHよりも、少なくとも3倍高く、あるいは、XTENに結合していないGHよりも少なくとも4倍、又は5倍、又は6倍、又は7倍、又は8倍、又は9倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも20倍、又は少なくとも30倍、又は少なくとも50倍、又は少なくとも60倍またはそれより高い。前述の一実施形態においてGHは、ヒト成長ホルモンである。
【0203】
別の態様において、本発明は、製造の簡便性を改善するためのGHXTEN組成物の作出方法を提供し、その結果、天然のGHと比較して、安定性の向上、水溶性の向上、及び/又は処方の簡便性がもたらされる。一実施形態において本発明は、GHの水溶性を向上させる方法を含み、この方法は融合していない状態のGHと比較して、生理的な条件下で、生じるGHXTENが高濃度でも可溶性形態になることを達成できるように、1つ以上のXTENにGHを結合させる工程を含む。融合タンパク質に組み込んだ場合にGHに水溶性の向上を付与するXTENの特性に関わる因子には、XTEN融合パートナーの高い溶解度及び溶液中におけるXTEN分子間の自己凝集の度合いが低いこと、が含まれる。いくつかの実施形態においてこの方法は、融合していないGHと比較して、その溶解度が、生理的な条件下において、少なくとも約20%、又は少なくとも約30%高い、又は少なくとも約50%高い、又は少なくとも約75%高い、又は少なくとも約90%高い、又は少なくとも約100%高い、又は少なくとも約150%高い、又は少なくとも約200%高い、又は少なくとも約400%高い、又は少なくとも約600%高い、又は少なくとも約800%高い、又は少なくとも約1000%高い、又は少なくとも約2000%高い、又は少なくとも約4000%高い、又は少なくとも約6000%高い、GHXTEN融合タンパク質を生じる。
【0204】
別の実施形態において、本発明は、GHの品質保持期限を延長させる方法を含み、この方法は、得られるGHXTENの品質保持期限が融合していない状態のGHよりも長くなるように選択した1つ以上のXTENに、GHを結合させる工程を含む。本明細書で使用する場合、品質保持期限とは、溶液中又はいくつかのその他の保存製剤中のGH又はGHXTENの機能活性が、過度な活性低下なしに、好適に維持される期間を指す。本明細書で使用する場合、「機能活性」とは、受容体又はリガンドへの結合能力、又は酵素活性、又は当該分野において知られているように、GHと関連する既知の機能活性を1つ以上提示すること、のような薬理学的効果又は生理活性を指す。分解した又は凝集したGHは、溶液中に維持されるGHと比較して、通常、低い機能活性又は低いバイオアベイラビリティを有する。融合タンパク質に組み込んだ場合に、GHの品質保持期限を延長させるためのこの方法の能力に関わる因子には、XTEN融合パートナーの、水溶性の向上、溶液中での自己凝集の低減、及び熱安定性の向上、が含まれる。具体的には、XTENが凝集する度合いが低いことは、GHを高濃度で含む医薬調整物の調整方法を容易にし、そしてXTENの熱安定性は、GHXTEN融合タンパク質がより長い期間、可溶性及び機能的な活性を維持する特性に関係する。一実施形態においてこの方法は、同じ保管条件及び取扱い条件においた基準よりも高い活性を示し、「延長した」又は「長くなった」品質保持期限を有するGHXTEN融合タンパク質を生じる。この基準は融合してないな完全長GHであってもよい。一実施形態において方法は、単離したGHXTENを、XTENがその非構造性構造を維持する能力を向上させ、GHXTENの製剤中での溶解度を、対応する融合していないGHよりも長期間維持する1種類以上の薬学上許容可能な賦形剤と共に処方する工程を含む。一実施形態において方法は、指定された時点で基準と比較した場合、並びに基準と同じ保管条件及び取扱い条件においた場合に、溶液中での機能活性を約100%より高く、又は機能活性を約105%、110%、120%、130%、150%又は200%より高く維持し、その結果、品質保持期限の増大を生じるGHXTEN融合タンパク質を作出するために、GHを1つ以上のXTENに結合させる工程を含む。
【0205】
品質保持期限は、保管を開始した時点での機能活性を用いて正規化した、保管後に維持される機能活性に関してもまた、評価することができる。機能活性の延長又は伸張によって表される、延長した又は伸張した品質保持期限を有する本発明のGHXTEN融合タンパク質は、同じ条件に同じ期間おかれたXTENに結合していないGHの機能活性の、約50%より高い、又は約60%、70%、80%、又は90%より高い活性と同等の活性を保持する。例えば、1つ以上のXTEN配列に融合させたヒト成長ホルモンを含む本発明のGHXTEN融合タンパク質は、様々な温度条件下で、最大2週間、又は4週間、又は6週間又はそれ以上の期間、そのもともとの活性の約80%又はそれ以上を保持する。いくつかの実施形態においてGHXTENは、80℃で10分間加熱した場合に、溶液中におけるそのもともとの活性の少なくとも約50%、又は約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、及びもっとも好ましくは少なくとも約90%又はそれ以上を保持する。その他の実施形態においてGHXTENは、37℃で7日間加熱又は維持した場合に、液中におけるそのもともとの活性の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又はあるいは少なくとも約90%又はそれ以上を保持する。別の実施形態においてGHXTEN融合タンパク質は、約30℃から約70℃までの温度に、約1時間〜約18時間の時間にわたって曝露した後に、その機能活性を少なくとも約80%又はそれ以上を保持する。この段落で前述した実施形態において、特定の時点におけるGHXTENの保持された活性は、対応する融合タンパク質に結合していないGHの少なくとも約2倍、又は少なくとも約3倍、又は少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍、又は少なくとも約6倍高いものである。
【0206】
VII).本発明の核酸配列
本発明は、GHXTENキメラ融合タンパク質をコードしている単離したポリ核酸及びGHXTENキメラ融合タンパク質をコードしているポリ核酸分子に相補的な配列(その相同変異体を含む)を提供する。別の態様において本発明は、GHXTENキメラ融合タンパク質をコードしている単離したポリ核酸及び、GHXTENキメラ融合タンパク質をコードしているポリ核酸分子に相補的な配列(その相同変異体を含む)、の生産方法を包含する。通常、そして図4〜6に示したように、GHXTEN融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド配列の生産方法及び得られた遺伝子産物の発現方法には、GH及びXTENをコードしているヌクレオチドを組み合わせる工程、構成要素をインフレームで結合させる(ライゲーションする)工程、コード遺伝子を宿主細胞にとって適切な発現ベクター中に組み込む工程、発現ベクターを適切な宿主細胞に形質転換する工程、及び形質転換した宿主細胞中で融合タンパク質の発現を誘導する又はその発現を可能にする条件下で、宿主細胞を培養する工程、及びその結果、当該分野において既知の標準的なタンパク質の精製方法により、単離した融合タンパク質として回収される、生物学的に活性なGHXTENポリペプチドを生産する工程、が含まれる。本発明のポリヌクレオチド及び発現を作出するために、分子生物学における標準的な組換え技術が用いられる。
【0207】
本発明では、適切な宿主細胞中でGHXTEN融合タンパク質を直接発現させるための組換えDNA分子を生成するために、GHXTENをコードする核酸配列(又はその相補鎖)を用いる。本発明の実施に好ましい複数のクローニング方法があり、それら方法の多くが、本発明のGHXTEN組成物融合タンパク質をコードしている遺伝子又はその相補鎖を含む構築物を生成するために用いられる。いくつかの実施形態においては、少なくとも第一のGH及び少なくとも第一のXTENポリペプチドを含む単量体GHXTENをコードする遺伝子又はその相補鎖を作出するために、クローニング方法が用いられる。前述の一実施形態において遺伝子は、hGH又は配列変異体をコードしている配列を含む。その他の実施形態においては、GHXTEN組成物の融合タンパク質を宿主細胞中で発現させるための形質転換に用いられる、少なくとも第一のGH分子又はそのその補鎖並びに第一の及び少なくとも第二のXTEN又はそれらの相補鎖をコードしているヌクレオチドを含む、単量体GHXTENをコードする遺伝子を作出するために、クローニング方法が用いられる。この段落の前述した実施形態において遺伝子は、スペーサー配列をコードしているヌクレオチドをさらに含む場合があり、このヌクレオチドは開裂配列をコードしている場合もまたある。
【0208】
所望されるXTEN配列の設計において、XTENをコードしている配列の作出に分子生物学的な「ビルディングブロック」法を使用するにもかかわらず、本発明の組成物のXTENの非反復性の性質が達成されることが発見された。このことは、上述したように、ペプチド配列モチーフをコードしているポリヌクレオチドのライブラリーの使用によって達成された。このモチーフライブラリーは次にXTEN配列をコードしている遺伝子を作出するためにライゲーション及び/又は多量体化される(図4及び5並びに実施例を参照のこと)。従って、発現した融合タンパク質のXTENが、複数単位の4つの異なる配列モチーフしか含まなかったとしても、モチーフそれ自体が非反復性アミノ酸配列であるため、XTEN配列は全体として非反復性となる。従って、一実施形態において、XTENをコードしているポリヌクレオチドは、インフレームで操作可能に連結した非反復配列、又はモチーフをコードする複数のポリヌクレオチドを含み、この場合、得られる発現XTENアミノ酸配列は非反復性である。
【0209】
一方法においては、GHXTEN融合タンパク質に対応するDNA配列を含む構築物をまず最初に準備する。標準的な方法により、GH mRNAを保有し、そして検出可能なレベルでそれを発現していると考えられる組織又は単離した細胞を用いて調製したcAライブラリーから、組成物のGHをコードしているDNAを得る。例えば約20〜100塩基の、目的のGH遺伝子を同定するために設計されたプローブを用いて、標準的な分子生物学的技術を用い、ハイブリダイゼーションによって、ライブラリーをスクリーニングする。プローブに対する最も良い候補は、ヒト成長ホルモンへの高い相同性を有する配列を示し、十分な長さがあり、擬陽性を最小限にするために十分に明確なものであるが、1以上の位置においては配列が異なる可能性がある。必要に応じて、cDNAに逆転写されない可能性がある前駆体及びプロセシング中間体のmRNAを検出するために、Sambrook, et al.,前記,に記載されているような、標準的なプライマーエクステンション法を用いてコード配列を得ることができる。GH遺伝子を含むGHXTEN構築物を準備するために十分な材料を得るために、その後、標的DNA又はRNAコード配列を増幅するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いることができる。ハイブリダイズする完全長遺伝子が所望のGH遺伝子であることを確認するためのアッセイをその後行うことができる。これらの標準的な方法により,そのような提供源を用いて調製したcAライブラリーから、DNAを容易に得ることができる。GHをコードしている遺伝子はまた、ゲノムライブラリーから得ることもでき、又は公的に使用可能なデータベース、特許若しくは参考文献から得られたDNA配列を用いて、当該分野において既知の合成方法(例えば自動核酸合成、例えばEngels et al.(Agnew. Chem. Int. Ed. Engl.,28:716−734,1989))に記載されている方法の内の1つ)により、作出することができる。そのような方法は当該分野において周知であり、また、科学的及び特許文献に詳しく記載されている。例えば, Chemical Abstracts Services(CAS)登録番号(American Chemical Societyにより発行されている)及び/又は GenBankアクセッション番号(例えば,Locus ID,NP_XXXXX,及びXP_XXXXX)から、配列を得ることができる。CAS Registry又はGenBankデータベース中の登録番号に対応し、目的のタンパク質のアミノ酸配列又はタンパク質の断片若しくは変異体を含む、モデルタンパク質識別名はワールドワードウェブ上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブページ(ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能である。本明細書に示したそのような配列識別名、これらCAS及びGenBank及びGenSeqアクセッション番号に関する要約のページ、並びに引用した雑誌出版物(例えばPubMedID番号(PMID))はそれぞれ、その全体、特にそれらに記載されたアミノ酸配列に関して、参照することにより本明細書に組み入れられる。一実施形態において,GHをコードしている遺伝子は、表1の任意のタンパク質のいずれか1つ、又はその断片若しくは変異体をコードする
【0210】
発現融合タンパク質が単一のGHを含む場合、次に、対象GHXTENタンパク質のGH部分をコードしている遺伝子又はポリヌクレオチドを、生物系において高レベルのタンパク質を発現するために適切な転写及び翻訳配列の制御下にあるプラスミド又はその他のベクター構築物中にクローニングする。その後の工程では、XTENをコードしている二番目の遺伝子又はポリヌクレオチドを、構築物中のGHをコードしている遺伝子に隣接して及びインフレームでクローニングすることにより、GH遺伝子のN及び/又はC末端をコードしているヌクレオチドに遺伝的に融合させる。この第二の工程は、ライゲーション又は多量体化工程を通して行う。この段落の前述した実施形態においては、当然のことながら、作出された遺伝子構築物は、あるいは、それぞれの融合タンパク質をコードするそれぞれの遺伝子の相補鎖であってもよい。
【0211】
XTENをコードしている遺伝子を1つ以上の工程において、実施例において詳細に記述した方法を含む完全に合成的な方法又は制限酵素を介したクローニングのような酵素処理、PCR、オーバーラップエクステンションを組み合わせた合成方法のいずれかにより作出することができる。本明細書において開示した方法を、例えばXTENをコードしている短い配列のポリヌクレオチドを、所望される長さ及び配列のより長いXTEN遺伝子にするためのライゲーションに、用いることができる。一実施形態においてこの方法は、XTENモチーフをコードしているコドン最適化オリゴヌクレオチド又は約9〜14アミノ酸、若しくは約12〜20アミノ酸、若しくは約18〜36アミノ酸、若しくは約48〜約144アミノ酸、若しくは約144〜約288若しくはそれより長い長さの配列セグメント、又は前述した範囲の長さのモチーフ若しくはセグメントの組み合わせの2つ以上を結合させる。
【0212】
あるいは、開示した方法を、XTENをコードしている配列を、所望の長さのより長い配列にするための多量体化に用いる。例えば、XTENの36アミノ酸をコードしている遺伝子を72アミノ酸をコードしている遺伝子になるように二量体化、そして144アミノ酸、さらに288アミノ酸などになるように二量体化することができる。多量体化しても、使用した最も短い単位のモチーフにおいて選択されたコドンの設計を介して、XTENをコードしている遺伝子の有する反復性が低い又は実質的に反復性を有さないようにXTENポリペプチドを構築することができ、このことは形質転換した宿主中でのコード遺伝子の組換えを低減させ及び安定性を向上させることができる。非反復性配列の、XTENをコードしている遺伝子は、遺伝子合成の標準的な技術を用いてオリゴヌクレオチドから組み合わせられる。遺伝子の設計は、コドン使用頻度及びアミノ酸組成物を最適化するアルゴリズムを用いて行うことができる。本発明の一方法においては、図4及び5に示したように、相対的に短いXTENをコードしているポリヌクレオチド構築物のライブラリーを作出し、次にこれを組み合わせる。このライブラリーは、ライブラリー中の各メンバーが同じアミノ酸配列を有するが、多くの異なるコード配列が可能になるような、一様なコドンのライブラリーとなる可能性がある。そのようなライブラリーを、部分的に無作為化したオリゴヌクレオチドから組み合わせることができ、そして配列モチーフを含むXTENセグメントのライブラリーの構築のために用いることができる。各位置におけるアミノ酸の選択並びにコドン使用頻度を制御するために、無作為化法を最適にすることができる。前述の目的を達成するための方法の例を、実施例において開示する。
【0213】
ポリヌクレオチドライブラリー
別の態様において本発明は、所望される長さ及び配列のXTENをコードする遺伝子を組み合わせるために用いられる、XTEN配列をコードするポリヌクレオチドのライブラリーを提供する。
【0214】
特定の実施形態においてXTENをコードしているライブラリー構築物は、固定された長さのポリペプチドセグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。最初の工程として、9〜14アミノ酸残基のモチーフをコードするオリゴヌクレオチドのライブラリーを組み合わせることができる。好ましい実施形態においては、12アミノ酸のモチーフをコードするオリゴヌクレオチドらリブラリーを組み合わせる。
【0215】
XTENをコードしている配列セグメントをより長い配列をコードするように、二量体化又は多量体化することができる。二量体化又は多量体化は、ライゲーション、オーバーラップエクステンション、PCRアセンブリー又は類似した、当該分野において既知のクローニング技術によって行うことができる。この工程は、生じるXTENをコードしている配列が、XTENをコードしている遺伝子を提供する配列の構成及び所望される長さに達するまで、複数回繰り返すことができる。理解できるように、例えば、12アミノ酸のモチーフをコードするポリヌクレオチドのライブラリーを、36アミノ酸をコードするポリヌクレオチドのライブラリーになるように二量体化及び/又はライゲーションすることができる。本発明においては、異なる長さ、例えば、9〜14アミノ酸の長さのモチーフをコードしているモチーフのライブラリーからは、27〜42アミノ酸をコードしているライブラリーが生じると考えられる。次に、27〜42アミノ酸、好ましくは36アミノ酸(実施例に示すように)をコードするポリヌクレオチドのライブラリーを、本明細書で開示したようなGHXTEN融合タンパク質をコードしている遺伝子中に組み込むための、所望の長さのXTEN配列をコードする、連続したより長い長さのポリヌクレオチドを含むライブラリーになるように、順に二量体化することができる。いくつかの実施形態においてライブラリーは、特定の配列のXTENファミリーに限定される、例えば表2のAD、AE、AF、AG、AM、又はAQ配列に限定されるアミノ酸をコードする、ポリヌクレオチドの組み合わせである。その他の実施形態においてライブラリーは、2つ以上の表2のモチーフファミリー配列をコードする配列を含む。36merをコードするライブラリー中のポリヌクレオチド配列の、代表的で非限定的な名前及び配列を表8〜11に示し、それらの作出に用いられた方法を実施例においてより詳細に記載する。その他の実施形態においてXTENをコードするライブラリーは、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約91%、又は少なくとも約92%、又は少なくとも約93%、又は少なくとも約94%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のコドンがグリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、グルタミン酸(E)及びプロリン(P)アミノ酸からなる群より選択される、アミノ酸をコードする無作為化した配列と結合しているポリヌクレオチドコドンのセグメントから構築される。その後このライブラリーを、例えば、48、72、144、288、576、864、875、912、923、1318のアミノ酸、又は全長が最大約3000アミノ酸、並びにその中間の長さで、GHXTEN融合タンパク質の構成要素として発現させた場合に、コードされたXTENが本明細書において開示した1つ以上の特性を有することができるXTEN配列をコードするポリヌクレオチド配列ライブラリーになるように、連続した二量体化又はライゲーションに用いることができる。いくつかの例においては、ポリヌクレオチドライブラリー配列は以下により詳細に記述した、「シークエンスアイランド」をもまた含む場合もある。
【0216】
図5は、XTENポリヌクレオチド構築物及び本発明の実施形態におけるGHXTENポリヌクレオチド構築物の組み合わせに含まれる、代表的で非限定的な工程のフローチャートの模式図である。個々のオリゴヌクレオチド501を12アミノ酸(「12−mer」)のモチーフである配列モチーフ502になるようにアニーリングさせ、これを次にBbsI及びKpnI制限酵素部位を有するオリゴ503とライゲーションする。所望の長さのXTEN遺伝子504が得られるまで、ライブラリー由来の配列モチーフを12−merにさらにアニーリングさせる。XTEN遺伝子をstufferベクター中にクローニングする。ベクターは、Flag配列506と、それに続くBsaI、BbsI、及びKpnI部位に隣接したstuffer配列を任意にコードし、この例では単一のGH遺伝子(本実施例のhGHをコードしている)508、単一のGHを含むGHXTENをコードしている遺伝子500が得られる。XTENをコードしているポリヌクレオチド及び前駆配列の、非網羅的なリストを表7に示した。
【0217】
表7:XTEN及び前駆配列のDNA配列
【表7-1】
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【表7-2】
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【表7-3】
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【表7-4】
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【表7-5】
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【表7-6】
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【表7-7】
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【表7-8】
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【表7-9】
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【表7-10】
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【表7-11】
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【0218】
XTENをコードしている遺伝子のライブラリーを、当該分野において既知の1つ以上の発現ベクターにクローニングすることができる。ライブラリー中での発現量が高いメンバーの同定を促進するために、レポータータンパク質に融合したものとしてライブラリーを構築することができる。公的なレポーター遺伝子の非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、及びベータ−ガラクトシダーゼがある。スクリーニングすることにより、選択した宿主生物において高濃度で発現し得る、短いXTEN配列を同定することができる。続いて、ランダムなXTEN二量体のライブラリーを生成し、高レベルの発現を指標としてスクリーニングを繰り返すことができる。その後、発現レベル、プロテアーゼ安定性、又は抗血清への結合のような数多くの特性について、得られた構築物をスクリーニングすることができる。
【0219】
本発明の一態様は、配列の作出においてコドンの最適化を行った、融合タンパク質の構成要素をコードしているポリヌクレオチド配列を提供するものである。特に興味がもたれるものは、ポリペプチド組成物の発現の増加及び生産宿主におけるコード遺伝子の安定性が向上、という結果を有するコドン最適化である。例えば、コドン最適化は、グリシンに富んだ、又は非常に反復性のアミノ酸配列を有するXTEN配列にとって、特に重要である。コドン最適化は、コンピュータープログラム(Gustafsson、C.、et al.(2004)Trends Biotechnol、22:346−53)を用いて行われ、それらのうちのいくつかは、リボソーム休止を最小限にする(Coda Genomics Inc.)。一実施形態においては、ライブラリー中の全メンバーが同じアミノ酸配列をコードするが、そのコドン使用頻度は多様であるコドンライブラリーを構築することにより、コドン最適化を行うことができる。そのようなライブラリーを、発現量が高く、かつ、XTENを含む製品の大規模生産に特に好適な遺伝的に安定なメンバーについてスクリーニングすることができる。XTEN配列を設計する場合には数多くの特性を考慮することができる。コードDNA配列中の反復性を最小限にすることができる。加えて、生産宿主中での使用頻度がきわめて低いコドンの使用を避ける又は最低限にすることができる(例えば大腸菌におけるAGG及びAGAアルギニンコドン、並びに1つのロイシンコドン)。大腸菌の例では、発現量の多いタンパク質においては、2つのグリシンコドン、GGA及びGGG、はまれにしか使用されない。従って、XTEN配列をコードしている遺伝子のコドン最適化が強く求められる場合がある。高レベルのグリシンを含むDNA配列は、不安定性又は低い発現レベルを引き起こす場合のある、高いGC含量になる傾向にある。従って、可能な場合には、XTENをコードしている配列のGC含量が、XTENの生産に用いられるだろう生産生物に好適になるように、コドンを選択することが好ましい。
【0220】
任意に、完全長XTENをコードしている遺伝子は、1つ以上のシークエンスアイランドを含む。本明細書中においては、シークエンスアイランドとは、XTENライブラリー構築物配列からは区別され、完全長のXTENをコードしている遺伝子中には存在しない又は存在するとは考えられない制限酵素部位を含む、短い長さの配列である。一実施形態において、シークエンスアイランドの配列は、5’−AGGTGCAAGCGCAAGCGGCGCGCCAAGCACGGGAGGT−3’(配列番号124)である。別の実施形態において、シークエンスアイランドの配列は、5’−AGGTCCAGAACCAACGGGGCCGGCCCCAAGCGGAGGT−3’(配列番号125)である。

【0221】
別の方法として、ライブラリー中の全メンバーが同じアミノ酸配列をコードするが、配列におけるそれぞれのアミノ酸のコドン使用頻度が多様であるコドンライブラリーを構築することができる。そのようなライブラリーを、発現量が高く、かつ、XTENを含む製品の大規模生産に特に好適な遺伝的に安定なメンバーについてスクリーニングすることができる。
【0222】
任意に、望ましくない配列を含む単離物を除去するために、ライブラリー中のクローンについて配列決定を行うことができる。短いXTEN配列から構築した、最初のライブラリーのアミノ酸配列にはいくつかの変異型が含まれる可能性がある。例えば、特定に位置に数多くの親水性アミノ酸が生じることが可能になるように、いくつかのコドンを無作為化することができる。多量体化を繰り替える工程の間に、得られたライブラリーメンバーを、溶解度又はプロテアーゼ抵抗性のようなその他の特徴についてスクリーニングすることができ、加えて発現量の高さについてスクリーニングすることができる。
【0223】
所望の長さ及び特性のXTENをコードする遺伝子を選択したら、構築物中のGHをコードしている遺伝子に隣接して及びインフレームで、又は任意にスペーサー配列に隣接してクローニングすることにより、GH遺伝子のN及び/又はC末端をコードしているヌクレオチドに遺伝的に融合させる。本発明は、コードされるGHXTENに依存して、様々な前述した置換を提供する。例えば、上に図示した、式VIの態様のような、1つのGHと2つのXTENを含むGHXTEN融合タンパク質を遺伝子がコードしている場合、この遺伝子はGHをコードしているポリヌクレオチドと、その組成及び配列長が同じであっても異なっていてもよい、2つのXTENをコードしているポリヌクレオチドを含むであろう。前述の非限定的な一実施形態においては、GHポリヌクレオチドはヒト成長ホルモンをコードし、N末端XTENをコードしているポリヌクレオチドはAE912をコード氏、そしてC末端XTENをコードしているポリヌクレオチドはAE144をコードするだろう。GH遺伝子をXTEN構築物中にクローニングする工程は、ライゲーション又は多量体化工程を介して行うことができる。図2に示したように、GHXTEN融合タンパク質をコードしている構築物を、構成要素XTEN 202、GH 203、及びスペーサー配列 204を異なる配置で設計することができる。図2Aに示したように、一実施形態において構築物は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、構成要素GH 203及びXTEN 202を含む単量体ポリペプチドをコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む。図2Bに示したように、別の実施形態において構築物は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、GH 203、スペーサー配列 204、及びXTEN 202を含む単量体ポリペプチドをコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む。図2Cに示したように、別の実施形態において構築物 201は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、2分子のGH 203及びXTEN 202の構成要素をコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む単量体ポリペプチドをコードする。図2Dに示したように、別の実施形態において構築物は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、2分子のGH 203、スペーサー配列 204、及びXTEN 202の構成要素を含む単量体ポリペプチドをコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む。図2Eに示したように、別の実施形態において構築物は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、GH 203、スペーサー配列 204、第二のGH分子 203、及びXTEN 202の構成要素を含む単量体ポリペプチドをコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む。図2Fに示したように、別の実施形態において構築物は、以下の方向(5’から3’)又は逆向きに、GH 203、XTEN 202、GH 203、及び第二のXTEN 202の構成要素を含む単量体ポリペプチドをコードする、又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を含む。スペーサーポリヌクレオチドは、任意に開裂配列をコードする配列を含む場合がある。当業者には明らかであるように、前述したその他の置換も可能である。
【0224】
本発明はまた、(a)表7のポリヌクレオチド配列、又は、(b)(a)のポリヌクレオチドに相補的な配列、と高いパーセンテージの配列同一性を有するXTENをコードしているポリヌクレオチド変異体を含むポリヌクレオチドをも包含する。高いパーセンテージの配列同一性を有するポリヌクレオチドは、前述の(a)又は(b)と少なくとも約80%の核酸配列同一性、あるいは少なくとも約81%、あるいは少なくとも約82%、あるいは少なくとも約83%、あるいは少なくとも約84%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約86%、あるいは少なくとも約87%、あるいは少なくとも約88%、あるいは少なくとも約89%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約91%、あるいは少なくとも約92%、あるいは少なくとも約93%、あるいは少なくとも約94%、あるいは少なくとも約95%、あるいは少なくとも約96%、あるいは少なくとも約97%、あるいは少なくとも約98%、及びあるいは少なくとも約99%の核酸配列同一性を有するポリヌクレオチドか、又はストリンジェント条件下で標的ポリヌクレオチド又はその相補鎖にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドである。
【0225】
ヌクレオチド又はアミノ酸配列の相同性、配列類似性又は配列同一性は、BestFit又はGapペアワイズ比較プログラム(GCG Wisconsin Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wis. 53711)のような既知のソフトウェア又はコンピュータープログラムにより、簡便に決定することもできる。BestFitは、2つの配列間で最も一致する又は類似するセグメントを見つけるために、Smith及びWatermanの部分的な相同性アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics. 1981.2:482−489)を利用する。Gapは全体的なアライメント、つまり1つの配列全体と別の類似した配列の全体のアライメントを、Needleman及びWunschの方法を(Journal of Molecular Biology. 1970.48:443−453)用いて行う。配列相同性、類似性又は同一性の度合いを決定するために、BestFitのような配列アライメントプログラムを用いる場合、デフォルトの設定を用いることができ、又は同一性、類似性若しくは相同性スコアを最適化するために適切な採点マトリックスを選択することができる。
【0226】
「相補的な」核酸配列とは、標準的なWatson−Crickの相補性の規定に従って、塩基対を形成することができる核酸配列である。本明細書で使用する場合、用語「相補的な配列」とは、上に示したものと同じヌクレオチド比較によって評価し得る場合に、又は本明細書において記載したようなストリンジェント条件下でGHXTEN配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができることを指標として決定した場合に、実質的に相補的な核酸配列を意味する。
【0227】
得られるGHXTENキメラ融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドを次に、個別に発現ベクター中にクローニングすることができる。核酸配列は様々な方法によってベクター中に挿入される。通常、当該分野において既知の技術を用い、DNAを適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入する。ベクター構成要素は通常、これらには限定されないが、1つ以上のシグナル配列、複製開始点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終止配列を含む。1つ以上のこれらの構成要素を含む好適なベクターの構築には、当業者に知られている、標準的なライゲーション技術が用いられる。そのような技術は当該分野において周知であり、そして科学的及び特許文献に詳細に記述されている。
【0228】
様々なベクターが公的に入手可能である。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス粒子、又はファージの形態であってもよい。本発明は、宿主細胞に適合し、及び宿主細胞から認識され、並びにGHXTEN融合タンパク質の発現を制御するようにGHXTEN遺伝子に操作可能に連結した、複製及び制御配列を含むプラスミドベクターの使用を提供する。ベクターは通常、複製開始点、並びに形質転換細胞中において、表現型での選択を提供することができるタンパク質をコードする配列を含む。様々な細菌、酵母、及びウイルスについてのそのようなベクター配列が周知である。用いることができる、有用な発現ベクターには、例えば、染色体、非染色体及び合成DNA配列のセグメントが含まれる。「発現ベクター」とは、好適な宿主中において、融合タンパク質をコードしているDNAの発現に影響を及ぼすことができる好適な制御配列に操作可能に連結したDNA配列を含む、DNA構築物を指す。そのような制御配列には、転写に効果を及ぼすためのプロモーター、そのような転写を制御するための任意のオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードしている配列、及び転写及び翻訳の終止を制御する配列が含まれる。その他の好適なベクターには、これらには限定されないが、SV40及びpcDNAの誘導体、並びにSmith, et al.、Gene 57:31−40(1988)に記載されたような、col EI、pCRl、pBR322、pMal−C2、pET、pGEXなどの既知の細菌性プラスミド、pMB9及びその誘導体、RP4などのプラスミド、NM98 9などの数多くのphageI誘導体のようなファージDNAと、M13などのその他のファージDNA、及び繊維状一本鎖ファージDNA;2ミクロンプラスミド又は2mプラスミドの誘導体などの酵母プラスミドと、セントロメアベクター及び種間を繋ぐ酵母シャトルベクター;昆虫又は哺乳類細胞において有用なベクターなどの、真核生物において有用なベクター;ファージDNA又は発現制御配列を用いるために改変されたプラスミドなどの、プラスミドとファージDNAとの組み合わせから誘導したベクター;などが含まれる。そのベクターが複製可能であり、かつ、選択した宿主細胞中で生存可能なことが必要とされる。必要に応じて、低又は高コピー数のベクターを用いることができる。
【0229】
原核生物宿主を用いた発現ベクターへの使用に好適なプロモーターには、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Chang et al., Nature, 275:615 (1978);Goeddel et al., Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系[Goeddel, Nucleic Acids Res., 8:4057 (1980); 欧州特許明細書第36,776号]、並びにtacプロモーターのような雑種プロモーター[deBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21−25 (1983)]が含まれ、これらの全てがGHXTENポリペプチドをコードしているDNAに操作可能に連結されるだろう。細菌系に使用するプロモーターにはまた、GHXTENポリペプチドをコードしているDNAに操作可能に連結した、Shine−Dalgarno(S.D.)配列も加えることができる。
【0230】
本発明は、例えば、非融合移入ベクター及び融合移入ベクターの両方を用いるバキュロウイルス発現系を含む、その他の発現系の使用についても検討する。非融合移入ベクターとしては、これらには限定されないが、pVL941(Summers, et al., Virology 84:390−402 (1978))、pVL1393(Invitrogen)、pVL1392(Summers, et al., Virology 84:390−402 (1978)及びInvitrogen)及びpBlueBacIII(Invitrogen)など、及び融合移入ベクターとしては、これらには限定されないが、pAc7 00(Summers, et al., Virology 84:390−402 (1978))、pAc701及びpAc70−2(pAc700と同じだが、リーディングフレームが異なる)、pAc360(Invitrogen)及びpBlueBacHisA、B、C(Invitrogen)などを用いることができる。
【0231】
哺乳類の発現ベクターは、複製開始点、好適なプロモーター及びエンハンサー、並びに任意の必要とされるリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、転写終止配列、及び5’隣接非翻訳配列、を含み得る。非翻訳遺伝子エレメントを提供するために、SV40のスプライシングから生じたDNA配列、及びポリアデニル化部位を用いてもよい。本発明においてその使用が検討される哺乳類の発現ベクターには、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターのような誘導プロモーターを含むベクター、DHFR発現カセットを含む任意の発現ベクター又はpED(Randal J. Kaufman, 1991, Randal J. Kaufman, Current Protocols in Molecular Biology, 16,12 (1991))のようなDHFR/メトトレキサート共増幅(co−amplification)ベクターが含まれる。あるいは、pEE14(Celltech)のような、グルタミンシンテターゼ/メチオニンスルホキシミン共増幅ベクターがある。pREP4(Invitrogen)、pCEP4(Invitrogen)、pMEP4(Invitrogen)、pREP8(Invitrogen)、pREP9(Invitrogen)、及びpEBVHis(Invitrogen)などの、エプスタインーバーウイルス(EBV)又は核抗原(EBNA)の制御下においてエピソームでの発現を誘導するベクターを使用することができる。
【0232】
本発明で使用するために選択できる哺乳類の発現ベクターには、これらには限定されないが、pRc/CMV(Invitrogen)、pRc/RSV(Invitrogen)などが含まれる。本発明において使用することができるワクシニアウイルス哺乳類発現ベクター(例えば、Randall J. Kaufman, Current Protocols in Molecular Biology 16.12 (Frederick M. Ausubel, et al., eds. Wiley 1991を参照のこと)には、これらには限定されないが、pSC11、pMJ601pTKgptFlSなどが含まれる。
【0233】
本発明はにおいて使用することができる酵母発現系にはまた、これらには限定されないが、非融合pYES2ベクター(Invitrogen)、融合pYESHisA、B、C(Invitrogen)、pRSベクターなどが含まれる。
【0234】
加えて、キメラGHXTEN融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド分子を含む発現ベクターは、薬剤選択マーカーを含んでいてもよい。そのようなマーカーは、キメラDNA分子を含むベクターのクローニング及び選抜及び同定において補助的な役割を果たす。例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害剤、グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT)、ゼオシン、及びヒスチジノールに対する抵抗性を付与する遺伝子が有用な選択マーカーである。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)のような酵素を使用してもよい。免疫学的なマーカーもまた使用することができる。遺伝子産物をコードしている核酸と同時に発現させることが可能な限り、任意の既知の選択マーカーを使用してもよい。選択マーカーのさらなる例は当業者において周知であり、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などのレポーターも含まれる。
【0235】
一実施形態においては、GHXTEN融合タンパク質組成物をコードしているポリヌクレオチドを、発現宿主系に適切なN末端シグナル配列のC末端に融合させる。一般的にシグナル配列は、転座及び分泌過程に際してタンパク質からタンパク分解によって除去され、定義したN末端を生じる。細菌、酵母、昆虫、及び哺乳類の系を含む大部分の発現系について、多様なシグナル配列が記載されてきた。各発現系における、非限定的な、好ましい例のリストを本明細書の以下に記載する。大腸菌での発現において好ましいシグナル配列は、OmpA、PhoA、及びDsbAである。酵母での発現において好ましいシグナルペプチドは、ppL−alpha、DEX4、インベルターゼシグナルペプチド、酸性ホスファターゼシグナルペプチド、CPY、又はINU1である。昆虫細胞での発現において好ましいシグナル配列は、スズメガ脂肪動態(sexta adipokinetic)ホルモン前駆体、CP1、CP2、CP3、CP4、TPA、PAP、又はgp67である。哺乳類での発現において好ましいシグナル配列は、IL2L、SV40、IgGカッパ及びIgGラムダである。
【0236】
別の実施形態においては、発現量が高い独立したタンパク質ドメインを潜在的に含むリーダー配列を、GHXTEN配列のN末端に、プロテアーゼ開裂部位によって離して融合させることができる。設計したタンパク質分解部位での開裂を阻害しない、任意のリーダーペプチド配列を使用することができるが、好ましい実施形態における配列は、組成物全体の発現及び折り畳みが有意に悪影響を受けないように、及び好ましくは発現、溶解度、及び/又は折り畳み効率が有意に改善されるように、安定で、発現量の高い配列を含むだろう。多様な、好適なリーダー配列が文献において記載されてきた。好適な配列の非限定的なリストには、マルトース結合タンパク質、セルロース結合ドメイン、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、6xHisタグ(配列番号126)、FLAGタグ、ヘマグルチニンタグ、及び緑色蛍光タンパク質が挙げられる。リーダー配列を、文献及び上記に詳細に記載した方法によるコドン最適化、特にATG開始コドンの次の2番目のコドンを最適化することにより、さらに改善することができる。

【0237】
インビトロにおいてタンパク質を特定の部位で開裂させる、様々な酵素を用いた方法が知られている。そのような方法には、エンテロキナーゼ(DDDK(配列番号127))、Xa因子(IDGR(配列番号128))、トロンビン(LVPRGS(配列番号129))、PreScission(商標)(LEVLFQGP(配列番号130))、TEVプロテアーゼ(EQLYFQG(配列番号131))、3Cプロテアーゼ(ETLFQGP(配列番号132))、ソルターゼA(LPETG(配列番号133))、グランザイムB(D/X、N/X、M/N又はS/X)、インテイン、SUMO、DAPase(TAGZym(商標))、エロモナスアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼM、及びカルボシキペプチダーゼA及びBの使用が含まれる。さらに別の方法が、Arnau, et al., Protein Expression and Purification 48: 1−13 (2006)に開示されている。

【0238】
その他の例において本発明は、構築物及び、ヘルパードメインなしにタンパク質のN末端にあるXTEN融合タンパク質の発現を可能にするための翻訳の開始を促進するために、発現について最適化されたポリヌクレオチド配列であって、XTENの特徴を有する少なくとも約20〜約60アミノ酸をコードし、XTEN担体コードしている配列のN末端に組み込まれたポリヌクレオチド配列を含む構築物(言い換えると、最適化された20〜60のアミノ酸をコードしているポリヌクレオチドを、GHのN末端側にあるXTEN構成要素をコードしているポリヌクレオチドに、インフレームで結合させた構築物)の作出方法を提供する。前述した構築物の利点は、配列がその後の開裂を必要とせず、それによりXTENを含む組成物の製造工程の数が少なくなることである。実施例により詳細に記載したように、最適化されたN末端配列は非構造性タンパク質としての特徴をもつが、その翻訳の開始を促進する能力及び発現の向上のために選択したアミノ酸をコードしているヌクレオチド塩基を含み得る。前述の一実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドは、AE912と少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。前述の別の実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドは、AM923と少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。前述の別の実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドは、AE48と少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。前述の別の実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドは、AM48と少なくとも約90%の配列同一性を有するXTEN配列をコードする。一実施形態において、最適化されたポリヌクレオチドNTSは、
【化1】
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から選択された配列又はその相補鎖と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を示す配列を含む。

【0239】
別の実施形態においては、インビボのプロテアーゼによって認識されるように、リーダー配列構築物中のプロテアーゼ部位を選択する。この実施形態においては、適切なプロテアーゼの接触を回避しながら、リーダーを保持した状態で、タンパク質を発現系から精製する。次に、完全長構築物を患者に注入する。注入に際しては、構築物は開裂部位に特異的なプロテアーゼと接触するようになり、そしてプロテアーゼにより開裂される。開裂されていないタンパク質の活性が開裂した形態のタンパク質の活性よりも実質的に低い例においては、この方法は、活性形態のタンパク質がインビボで徐々に生成されるため、毒性を回避しながらもより高い初期投与量にすることができるので、有益な効果を有する。この適用に有用なインビボのプロテアーゼの、いくつかの非限定的な例には、組織カリクレイン、血漿カリクレイン、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、トロンビン及びマトリックスメタプロテアーゼ、又は表6のプロテアーゼが挙げられる。
【0240】
この方法では、単量体GHXTEN融合タンパク質をコードしているキメラDNA分子が構築物中で生成される。任意に、このキメラDNA分子をより適切な発現ベクターである、別の構築物中に転移又はクローニングしてもよい。このとき、キメラDNA分子を発現することができる宿主細胞を、キメラDNA分子を用いて形質転換することができる。目的のDNAセグメントを含むベクターを、細胞宿主の型による、周知の方法によって宿主細胞中に転移させることもできる。例えば、原核細胞の場合には塩化カルシウムトランスフェクションが一般的に用いられるが、その他の細胞宿主に対しては、リン酸カルシウム処理、リポフェクション、又はエレクトロポレーションを用いてもよい。哺乳類細胞の形質転換に用いられるその他の方法には、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、及びマイクロインジェクションが挙げられる。通常、Sambrook、et al.、前記を参照のこと。
【0241】
形質転換は、発現ベクターのような担体を使用して又は使用せずに行うこともできる。その後、形質転換した宿主細胞を、GHXTENをコードしているキメラDNA分子の発現に好適な条件下で培養する。
【0242】
本発明はまた、本明細書において開示した単量体融合タンパク質組成物を発現させるための宿主細胞をも提供する。好適な真核宿主細胞の例には、これらには限定されないが、VERO細胞などの哺乳類細胞、ATCC No.CCL2などのHELA細胞、CHO細胞株、COS細胞、WI38細胞、BHK細胞、HepG2細胞、3T3細胞、A549細胞、PC12細胞、K562細胞、293細胞、Sf9細胞及びCvI細胞が挙げられる。好適な非哺乳類真核細胞の例としては、コードしているベクターのクローニング又は発現宿主に好適な、糸状菌又は酵母のような真核微生物が挙げられる。サッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、一般的に用いられる、より原始的な真核宿主微生物である。その他には、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)(Beach and Nurse, Nature, 290: 140 [1981];欧州特許第139,383号、1985年5月2日公開);例えば、K.ラクチス(K.lactis)(MW98−8C,CBS683,CBS4574;Louvencourt et al., J. Bacteriol., 737 [1983])、K.フラジリス(K. fragilis)(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(K.bulgaricus)(ATCC 16,045)、K.ウケラミ(K.wickeramii)(ATCC 24,178)、K.ワルチ(K.waltii)(ATCC 56,500)、K.ドロソフィラルム(K.drosophilarum)(ATCC 36,906;Van den Berg et al., Bio/Technology, 8:135 (1990))、K.テルモトレランス(K.thermotolerans)、及びK.マルシキアヌスヤロウィア(K.marxianus;yarrowia)(欧州特許第402,226号)などのクルイベロミセス(Kluyveromyces)宿主(米国特許第4,943,529号;Fleer et al., Bio/Technology, 9:968−975 (1991));ピチア・パストリス(Pichia pastoris)(欧州特許第183,070号;Sreekrishna et al., J. Basic Microbiol., 28:265−278 [1988]);カンジダ;トリコデルマ・レーシア(Trichoderma reesia)(欧州特許第244,234号);ニューロスポーラ・クラッサ(Neurospora crassa)(Case et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:5259−5263 [1979]);シュワンニオミセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)(欧州特許第394,538号、1990年10月31日公開)などのシュワンニオミセス(Schwanniomyces);及び例えばニューロスポーラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、トリポカルジウム(Tolypocladium)(国際公開第91/00357号、1991年1月10日公開)などの糸状菌、及びA.ニジュランス(A.nidulans)(Ballance et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 112:284−289 [1983];Tilburn et al., Gene, 26:205−221 [1983];Yelton et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 1470−1474 [1984])及びA.ニガー(A.niger)(Kelly and Hynes, EMBO J., 4:475−479 [1985])などのアルペルギルス(Aspergillus)宿主が挙げられる。メチロトローフ酵母は本明細書において好適であり、そして、これらには限定されないが、ハンゼヌラ(Hansenula)、カンジダ(Candida)、クロエケラ(Kloeckera)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、トルロプシス(Torulopsis)、及びロドトルラ(Rhodotorula)を含む属から選択される、メタノール上で成長することが可能な酵母を含む。このクラスの酵母の例を挙げた、特定の種の酵母のリストを、C. Anthony, The Biochemistry of Methylotrophs, 269 (1982)において見ることができる。
【0243】
本発明において使用することができる、その他の好適な細胞には、これらには限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)(例えば、DH5−α菌株)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)などの原核宿主細胞系統、又はシュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトミセス(Streptomyces)及びスタフィロコッカス(Staphylococcus)属の系統が挙げられる。好適な原核生物の非限定的な例としては、アクチノプラーネス(Actinoplanes);アルカオエグロブス(Archaeoglobus);デロビブリオ(Bdellovibrio);ボレリア(Borrelia);クロロフレクサス(Chloroflexus);エンテロコッカス(Enterococcus);エシェリキア(Escherichia);ラクトバチルス(Lactobacillus);リステリア(Listeria);オセアノバチルス(Oceanobacillus);パラコッカス(Paracoccus);シュードモナス(Pseudomonas);スタフィロコッカス(Staphylococcus);ストレプトコッカス(Streptococcus);ストレプトミセス(Streptomyces);テルモプラズマ(Thermoplasma);及びビブリオ(Vibrio)属のものが挙げられる。特定の系統の非限定的な例としては、アルカオエグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus);デロビブリオ・バクテリオボラス(Bdellovibrio bacteriovorus);ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi);クロロフレクサス ・アウランチアカス(Chloroflexus aurantiacus);エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis);エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium);ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii);ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum);ラクトバチルス ・ラクチス(Lactococcus lactis);リステリア ・イノクア(Listeria innocua);リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes);オセアノバチルス・イヘイエンシス(Oceanobacillus iheyensis);パラコッカス ・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens);シュードモナス・メバロニ(Pseudomonas mevalonii);スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus);スタフィロコッカス・エピデルミジス(Staphylococcus epidermidis);スタフィロコッカス・ヘモリチクス(Staphylococcus haemolyticus);ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae);ストレプトミセス・グリセオロスポレウス(Streptomyces griseolosporeus);ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans);ストレプトコッカス ・プニューモニエ(Streptococcus pneumoniae);ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes);テルモプラズマ ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum);テルモプラズマ・ボルカニウム(Thermoplasma volcanium);ビブリオ ・コラレ(Vibrio cholerae);ビブリオ・パラヘモリチクス(Vibrio parahaemolyticus);及びビブリオ ・ブルニフィクス(Vibrio vulnificus)が挙げられる。
【0244】
目的のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、プロモーターの活性、形質転換体の選抜又は遺伝子の増幅について適切に改変した、標準的な組成の培地(例えば、Ham’s栄養素混合物)中で培養することができる。温度、pHなどの培養条件は、発現させるために選択した宿主細胞の使用について既に知られている条件であり、当業者には明かであろう。一般的には、細胞を遠心分離により回収し、物理的又は化学的な手段を用いて破砕し、そして得られた粗抽出物をさらなる精製にかける。宿主細胞から分泌される組成物の場合は、遠心分離で得られた上清を分離し、さらなる精製にかける。タンパク質の発現に用いた微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的な破砕、又は細胞溶解剤の使用を含む任意の簡便な方法によって破砕することができ、これら方法の全ては当業者には周知である。細胞溶解を含む実施形態は必然的に、キメラDNA分子の発現後の分解を制限する、プロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液の使用を伴うだろう。好適なプロテアーゼ阻害剤には、これらには限定されないが、ロイペプチン、ペプスタチン又はアプロチニンが挙げられる。次に、飽和硫酸アンモニウムの濃度を段階的に上げることにより、上清を沈殿させることができる。
【0245】
試料中の遺伝子発現は、例えば,標準的なサザンブロット、mRNAの転写を定量するためのノザンブロット[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201−5205 (1980)]、ドットブロット(DNA解析)、又は本明細書において示した配列に基づく、適切に標識したプローブを使用したin situハイブリダイゼーションにより、直接測定してもよい。あるいは、DNAデュプレックス、RNAデュプレックス、及びDNA−RNA雑種デュプレックス又はDNA−タンパク質デュプレックスを含む特異的なデュプレックスを認識することができる抗体を用いてもよい。その後、抗体を標識することができ、そしてデュプレックスが表面上に結合している場合、表面上でのデュプレックスの形成に際して、デュプレックスに結合する抗体の存在を検出することができるようなアッセイを行ってもよい。
【0246】
あるいは、遺伝子産物の発現を直接定量するために、細胞又は組織切片の免疫組織学的染色及び培養細胞若しくは体液のアッセイ又は選択マーカーの検出のような、蛍光を用いた免疫学的な手法によって遺伝子発現を測定してもよい。免疫組織学的染色及び/又は体液試料に有用な抗体は、モノクローナルであっても又はポリクローナルであってもよく、そして任意の動物を用いて調製することができる。簡便に、天然のGHポリペプチド配列に対する若しくは本明細書において示したDNA配列に基づいた合成ペプチドに対する抗体を調製することができ、又はGHに融合させた外生の配列であって、かつ、特異的な抗体エピトープをコードしている配列に対する抗体を調製してもよい。当業者に周知の選択マーカーの例には、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などが含まれる。
【0247】
発現したGHXTENポリペプチド産物を当該分野において既知の方法、又は本明細書に開示した方法を介して精製することができる。ゲルろ過、アフィニティ精製、塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲル電気泳動などの方法を用いることができ、各方法は、それぞれの宿主細胞によって生産された融合タンパク質を回収及び精製するために調整される。いくつかの発現GHXTENは、単離及び精製の間にリフォールディングを必要とする場合がある。精製方法は、Robert K. Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Charles R. Castor (ed.), Springer−Verlag 1994,及びSambrook, et al.,前記、に記載されている。複数工程の分離についてはまた、Baron, et al., Crit. Rev. Biotechnol. 10:179−90 (1990)及び Below, et al., J. Chromatogr. A. 679:67−83 (1994)に記載されている。
【0248】
VIII).医薬組成物
本発明は、GHXTENを含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、医薬組成物は、GHXTEN融合タンパク質及び少なくとも1種類の薬学上許容可能な担体を含む。本発明のGHXTENポリペプチドを、ポリペプチドを水溶液又は緩衝液、薬学上許容可能な懸濁液及び乳濁液のような薬学上許容可能な担体媒体と共に混合する、薬学上有用な組成物を調製するための既知の方法に従って処方することができる。非水性溶媒の例としてはプロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコール及び植物油が挙げられる。保管のためには、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されているように、所望される純度の有効成分を、任意に生理的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液として調製する。
【0249】
医薬組成物を経口的に、経鼻的に、非経口的に又は吸入治療によって投与することができ、また、医薬組成物は錠剤、トローチ、顆粒、カプセル、丸薬、アンプル、座薬又はエアロゾルの形態にしてもよい。医薬組成物を、水性又は非水性希釈剤、シロップ、顆粒又は粉末に加えられた、活性成分の懸濁液、溶液及び乳濁液の形態としてもよい。加えて、医薬組成物に、その他の薬学的に活性な化合物、又は複数の本発明の化合物を含めることもできる。
【0250】
より具体的には、本医薬組成物を治療のために、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、バッカル及び舌下を含む)、経膣、非経口(皮下、注入ポンプによる皮下、筋内、静脈内及び皮内を含む)、硝子体内、及び経肺を含む、任意の好適な経路により投与してもよい。当然のことながら、好ましい経路は受容者の状態及び年齢、並びに治療する疾患によって多様になるだろう。
【0251】
一実施形態においては医薬組成物を皮下に投与する。この実施形態において組成物は、投与の前に再構成する、凍結乾燥した粉末剤として提供されるだろう。組成物を、患者に直接投与することができる、液体の形状で提供してもよい。一実施形態においては、患者がその組成物を容易に自己投与することができるように、予めシリンジに充填された溶液剤として組成物を提供する。
【0252】
本発明において有用な持続放出型製剤は、マトリックス及びコーティングした組成物を含む、経口製剤となるだろう。好適なマトリックス材料には、ワックス(例えば、カルナバろう、密ろう、パラフィンワックス、セレシン、セラックろう、脂肪酸、及び脂肪アルコール)、油、硬化油又は脂質(例えば、硬化菜種油、ヒマシ油、牛脂、ヤシ油、及び大豆油)、及びポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリエチレングリコール)が含まれ得る。その他の好適なマトリックス打錠材料としては、その他の担体及び増量剤を含む、微結晶セルロース、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、がある。錠剤は、顆粒、被覆した粉末、又はペレットをもまた含み得る。錠剤は多層であってもよい。多層錠は、活性成分が顕著に異なる薬物動態学的プロファイルを有する場合に特に好ましい。任意に、成形した錠剤を被覆しても又は被覆しなくてもよい。
【0253】
被覆用の組成物は、不溶性マトリックスポリマー及び/又は水溶性材料を含み得る。水溶性材料は、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールのようなポリマー、又は、糖(例えば、ラクトース、ショ糖、フルクトース、マンニトールなど)、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど)、有機酸(例えば、フマル酸、コハク酸、乳酸、及び酒石酸)、のような単量体材料、及びその混合物になるだろう。任意に、腸溶性ポリマーを被覆組成物中に組み込んでもよい。好適な腸溶性ポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタラート、ポリビニルアセテートフタラート、セルロースアセテートフタラート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、及びカルボキシ基を含むポリメタクリレートが挙げられる。好適な可塑化剤、例えば、ジエチルフタル酸、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、アセチル化クエン酸エステル、セバチン酸ジブチル、及びヒマシ油を加えることにより、被覆組成物を可塑化してもよい。被覆組成物に、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、カオリン、アルミナ、澱粉、粉末セルロース、MCC、又はポラクリリンカリウムのような不溶性材料である場合のある、充填剤をもまた加えてもよい。被覆組成物を、有機溶媒又は水性溶媒に溶解した溶液又は乳液、又はその混合物としてもよい。水、低級アルコール、低級塩素化炭化水素、ケトン、又はその混合物のような溶媒もまた使用することができる。
【0254】
本発明の組成物は、様々な賦形剤を用いて処方することができる。好適な賦形剤には、微結晶セルロース(例えばAvicel PH102、Avicel PH101)、ポリメタクリレート、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)(EudragitRS−30Dなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel K100M、Premium CR Methocel K100M、Methocel E5、Opadry(登録商標))、ステアリン酸マグネシウム、タルク、クエン酸トリエチル、水性エチルセルロース分散剤(Surelease(登録商標))、及び硫酸プロタミンが含まれる。徐放性製剤もまた、例えば、溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含む可能性がある担体を含み得る。薬学上許容可能な塩もまたこれら徐放性製剤中で使用することができ、塩の例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、又は硫酸塩のような無機塩、並びにアセテート、プロピオン酸塩、マロン酸塩、又は安息香酸塩のような、有機酸の塩がある。組成物または、水、塩水、グリセロール、及びエタノールなどの液体、並びに湿潤剤、乳化剤、又はpH緩衝剤のような物質を含み得る。リポソームを担体として用いてもよい。
【0255】
別の実施形態においては、本発明の組成物はリポソーム中に封入される。リポソームは、制御された方法で長期間にわたり、有益な活性薬剤を送達する上で有用であることが示されてきたものである。リポソームは、封入された水性の物質を含む、閉じた二重の膜である。リポソームはまた、単一の膜二重層を有するユニラメラ媒体、又は隣あうそれぞれの膜が水層によって離されている、複数の膜二重層を有するマルチラメラであってもよい。生じる膜二重層の構造は、脂質の疎水性(非極性)テールが二重膜の中心の方向にむき、親水性(極性)ヘッドが水相の方向に向いているというものである。一実施形態においては、主に肝臓及び脾臓において、単核食細胞系の組織による取り込みを回避するために、弾力性のある水溶性ポリマーを用いてリポソームを被覆してもよい。リポソームを覆うための好適な親水性ポリマーとしては、これらには限定されないが、PEG、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアスパラギン酸アミド及び、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第6,316,024号;同第6,126,966号;同第6,056,973号;同第6,043,094号に記載されている親水性ペプチド配列が含まれる。
【0256】
リポソームは、当該分野において既知の、任意の脂質又は脂質の組み合わせを含んでいてもよい。例えば、ベシクル形成脂質は天然に生じるものであっても、又はホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、並びに米国特許第6,056,973号及び同第5,874,104号に開示されたスフィンゴミエリンなどのリン脂質を含む合成した脂質であってもよい。ベシクル形成脂質はまた、糖脂質、セレブロシド、又は1,2−ジオレイルオキシ−3−(トリメチルアミノ)プロパン(DOTAP);N−[1−(2,3,−テトラデシルオキシ)プロピル]−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE);N−[1[(2,3,-−ジオレイルオキシ)プロピル]−N、N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE);N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA);3[N−(N’、N’−ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)のような陽イオン性脂質;又は米国特許第6,056,973号にまた開示されたジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)であってもよい。米国特許第5,916,588号及び同第5,874,104号に開示されたように、ベシクルに安定性を付与するために、一定の範囲のコレステロールもまた含まれ得る。
【0257】
さらに別のリポソーム技術が、参照することにより本明細書に組み入れられる、米国特許第6,759,057号;同第6,406,713号;同第6,352,716号;同第6,316,024号;同第6,294,191号;同第6,126,966号;同第6,056,973号;同第6,043,094号;同第5,965,156号;同第5,916,588号;同第5,874,104号;同第5,215,680号;及び同第4,684,479号に記載されている。これらは、リポソーム及び脂質に覆われたマイクロバブル、並びにそれらの製造方法について記載しているものである。従って、当業者は、本発明の開示及びこれらその他特許の開示の両方を考慮することにより、本発明のポリペプチドを持続放出型にするためのリポソームを作出することができるだろう。
【0258】
液体製剤に求められる特性は、その製剤が静脈内、筋内、関節内、又は皮下投与に用いられる、25、28、30、31、32ゲージの針の中を通過できるような形態で提供されることである。
【0259】
経皮的製剤を用いた投与は、一般的に、例えば、参照することによりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第5,186,938号及び同第6,183,770号、同第4,861,800号、同第6,743,211号、同第6,945,952号、同第4,284,444号、及び国際公開第89/09051号に記載されている方法を含む、当該分野において既知の方法を用いてもまた、行うことができる。経皮パッチは、吸収に問題のあるポリペプチドを用いる場合に、特に有用な実施形態である。パッチは、皮膚を通過する活性成分の放出を、12時間、24時間、3日、及び7日間、制御することができる。一例として、1日用量の2倍を超える本発明のポリペプチドを、非揮発性の液体中に溶解する。本発明の組成物は、粘性のある、非揮発性の液体の形態で提供される。特定の製剤の皮膚への浸透は、当該分野における標準的な方法(例えば、Franz et al., J. Invest. Derm. 64:194−195 (1975))により、測定され得る。好適なパッチの例としては、受身伝達皮膚パッチ,イオン導入皮膚パッチ,又はNicodermのような極微針を有するパッチがある。
【0260】
その他の実施形態においては、活性薬剤の嗅覚系を介したCNSへの移動を可能にするように、及び全身投与を低減するために、組成物を経鼻的、口腔内、又は舌下経路を介して脳へと送達してもよい。この投与経路で一般的に用いられる装置は、米国特許第6,715,485号に含まれている。この経路を介して送達された組成物は、CNSへの投薬を増加させることが、又は特定の薬剤に関連する全身性毒性リスクを低減させることで、全身負荷を低減させることができるだろう。皮下に移植可能な装置を用いた送達のための医薬組成物の調製は、例えば、米国特許第3,992,518号;同第5,660,848号;及び同第5,756,115号に記載された方法などの、当該分野において既知の方法を用いて行うことができる。
【0261】
浸透圧ポンプを、錠剤、丸薬、カプセル又は移植可能な装置の形態での遅延放出型薬剤として用いても良い。浸透圧ポンプは当該分野において周知であり、そして当業者は、持続放出性薬剤のための浸透圧ポンプの提供に実績のある業者から、容易に入手することができる。例としては、ALZA社のDUROS(商標);ALZA社のOROS(商標);Osmotica Pharmaceutical社のOsmodex(商標)システム;Shire Laboratories社のEnSoTrol(商標)システム;及びAlzet(商標)がある。浸透圧ポンプの技術について記載している特許としては、参照することにより本明細書に組み入れられる、米国特許第6,890,918号;同第6,838,093号;同第6,814,979号;同第6,713,086号;同第6,534,090号;同第6,514,532号;同第6,361,796号;同第6,352,721号;同第6,294,201号;同第6,284,276号;同第6,110,498号;同第5,573,776号;同第4,200,0984号;及び同第4,088,864号がある。当業者は、本発明の開示及びこれらその他特許の開示の両方を考慮することにより、本発明のポリペプチドを持続放出型にするための浸透圧ポンプを生産することができるだろう。
【0262】
シリンジポンプもまた、遅延放出型製剤として用いることができる。それらの装置は、参照することにより本明細書に組み入れられる、米国特許第4,976,696号;同第4,933,185号;同第5,017,378号;同第6,309,370号;同第6,254,573号;同第4,435,173号;同第4,398,908号;同第6,572,585号;同第5,298,022号;同第5,176,502号;同第5,492,534号;同第5,318,540号;及び同第4,988,337号に記載されている。当業者は、当業者は、本発明の開示及びこれらその他特許の開示の両方を考慮することにより、本発明の組成物を持続放出型にするためのシリンジポンプを生産することができるだろう。
【0263】
IX).医薬キット
別の態様において、本発明は、GHXTENポリペプチドの使用を促進するためのキットを提供する。このキットは、本明細書において示した医薬組成物、医薬組成物について記載したラベル、並びに、医薬組成物の保管、再構成及び/又は対象への投与についての説明を含む。いくつかの実施形態において、キットは好ましくは、(a)それを必要とする対象に投与することで、疾患、状態又は障害を治療するために十分な、一定の量のGHXTEN融合タンパク質組成物、及び(b)一定量の薬学上許容可能な担体を含み;注入又は再構成に直ちに用いられる製剤には水、緩衝液、若しくはデキストロースが共に;GHXTEN薬剤及び保管及び取扱い条件を記載したラベル、及び薬剤の認可された適用を示すシート、予防的使用における再構成及び/又はGHXTEN薬剤の投与についての説明、及び/又は認可された適用の治療、適切な用量及び安全情報、及び薬剤のロット及び有効期限を示す情報が共に含まれる。前述の別の実施形態においてキットは、対象に送達するための適切な濃度のGHXTENを使用者に提供する、好適に希釈されたGHXTEN組成物を含む場合がある、第二の容器を含む場合がある。
【実施例】
【0264】
実施例1:XTEN_AD36モチーフセグメントの構築
以下の実施例においては、36アミノ酸のモチーフ配列をコードしている、コドン最適化した遺伝子コレクションの構築について記載する。第一の工程として、pETベクターベースで、かつ、T7プロモーターを含むstufferベクターである、pCW0359を構築した。pCW0359は、セルロース結合ドメイン(CBD)及びTEVプロテアーゼ認識部位、それに続くstuffer配列と隣接したBsaI、BbsI、及びKpnI部位をコードする。BsaI及びBbsIは、消化後に一致する突出末端が生成されるように挿入された。stuffer配列の後には切断型のGFP遺伝子及びHisタグが続く。stuffer配列は終止コドンを含むため、stufferプラスミドpCW0359を含む大腸菌(E.coli)細胞は蛍光を発しないコロニーを形成する。stufferセグメントを除去するためにstufferベクターpCW0359をBsaI及びKpnIで消化し、得られたベクター断片をアガロースゲル精製により単離した。モチーフのADファミリーを反映させ、配列をXTEN_AD36と命名した。そのセグメントは、[X]で表せるアミノ酸配列を有し、ここでXは、配列がGESPGGSSGSES(配列番号136)、GSEGSSGPGESS(配列番号137)、GSSESGSSEGGP(配列番号138)、又はGSGGEPSESGSS(配列番号139)の、12merのペプチドである。挿入断片を、以下に示す、リン酸化した合成オリゴヌクレオチド対のアニーリングによって得た。
【化2】
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【0265】
我々はまた、リン酸化したオリゴヌクレオチドである3KpnIstopperFor(AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号147))とリン酸化していないオリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev(CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号148))もアニーリングさせた。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントに結合した、様々な数の12merの繰り返しを有する、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに相当する産物を分離用のアガロースゲル電気泳動によって混合物から単離し、そしてBsaI/KpnIで消化したstufferベクターpCW0359とライゲーションした。LCW0401と命名した、得られたライブラリーの大部分のコロニーは誘導後に緑色蛍光を呈し、このことからXTEN_AD36配列がGFP遺伝子にインフレームで結合されたこと、及び大部分のXTEN_AD36配列が良い発現レベルを有することが示された。

【0266】
LCW0401ライブラリーから単離した96コロニーの蛍光強度について、それらをIPTGを含む寒天培地上に押しつけることにより、スクリーニングした。単離した同じクローンについてPCRによる評価も行い、48単離体を36アミノ酸のセグメントを含み、かつ、高レベルの蛍光をはっするものとして同定した。これら単離体について配列決定を行い、39のクローンがXTEN_AD36セグメントを含むことを同定した。これらセグメントについてのヌクレオチド及びアミノ酸構築物のファイル名を表8に列挙した。
【0267】
表8:36−merモチーフのDNA及びアミノ酸配列
【表8-1】
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【表8-2】
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【表8-3】
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【表8-4】
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【0268】
実施例2:XTEN_AE36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードしているコドンライブラリーを構築した。XTEN配列はXTEN_AE36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]で表せるアミノ酸配列を有し、ここでXは、配列がGSPAGSPTSTEE(配列番号225)、GSEPATSGSETP(配列番号226)、GTSESATPESGP(配列番号227)、又はGTSTEPSEGSAP(配列番号228)の、12merのペプチドである。挿入断片を、以下に示す、リン酸化した合成オリゴヌクレオチド対のアニーリングによって得た。
【化3】
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【0269】
我々はまた、リン酸化したオリゴヌクレオチドである3KpnIstopperFor(AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号237))とリン酸化していないオリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev(CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号238))もアニーリングさせた。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントに結合した、様々な数の12merの繰り返しを有する、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに相当する産物を分離用のアガロースゲル電気泳動によって混合物から単離し、そしてBsaI/KpnIで消化したstufferベクターpCW0359とライゲーションした。LCW0402と命名した、得られたライブラリーの大部分のコロニーは誘導後に緑色蛍光を呈し、このことからXTEN_AE36がGFP遺伝子にインフレームで結合されたこと、及び大部分のXTEN_AE36配列が良い発現レベルを有することが示された。


【0270】
LCW0402ライブラリーから単離した96コロニーの蛍光強度について、それらをIPTGを含む寒天培地上に押しつけることにより、スクリーニングした。単離した同じクローンについてPCRによる評価も行い、48単離体を36アミノ酸のセグメントを含み、かつ、高レベルの蛍光を発するものとして同定した。これら単離体について配列決定を行い、37のクローンがXTEN_AE36セグメントを含むことを同定した。これらセグメントについてのヌクレオチド及びアミノ酸構築物のファイル名を表9に列挙した。
【0271】
表9:36−merモチーフのDNA及びアミノ酸配列
【表9-1】
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【表9-2】
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【表9-3】
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【表9-4】
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【0272】
実施例3:XTEN_AF36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードしているコドンライブラリーを構築した。XTEN配列をXTEN_AF36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]で表せるアミノ酸配列を有し、ここでXは、配列がGSTSESPSGTAP(配列番号313)、GTSTPESGSASP(配列番号314)、GTSPSGESSTAP(配列番号315)、又はGSTSSTAESPGP(配列番号316)の、12merのペプチドである。挿入断片を、以下に示す、リン酸化した合成オリゴヌクレオチド対のアニーリングによって得た。
【化4】
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【0273】
我々はまた、リン酸化したオリゴヌクレオチドである3KpnIstopperFor(AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号325))とリン酸化していないオリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev(CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号326))もアニーリングさせた。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントに結合した、様々な数の12merの繰り返しを有する、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに相当する産物を分離用のアガロースゲル電気泳動によって混合物から単離し、そしてBsaI/KpnIで消化したstufferベクターpCW0359とライゲーションした。LCW0403と命名した、得られたライブラリーの大部分のコロニーは誘導後に緑色蛍光を呈し、このことからXTEN_AF36がGFP遺伝子にインフレームで結合されたこと、及び大部分のXTEN_AF36配列が良い発現レベルを有することが示された。


【0274】
LCW0403ライブラリーから単離した96コロニーの蛍光強度について、それらをIPTGを含む寒天培地上に押しつけることにより、スクリーニングした。単離した同じクローンについてPCRによる評価も行い、48単離体を36アミノ酸のセグメントを含み、かつ、高レベルの蛍光を発するものとして同定した。これら単離体について配列決定を行い、44のクローンが正しいXTEN_AF36セグメントを含むことを同定した。これらセグメントについてのヌクレオチド及びアミノ酸構築物のファイル名を表10に列挙した。
【0275】
表10:36−merモチーフのDNA及びアミノ酸配列
【表10-1】
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【表10-2】
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【表10-3】
[この文献は図面を表示できません]

【表10-4】
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【0276】
実施例4:XTEN_AG36セグメントの構築
36アミノ酸の長さのXTEN配列をコードしているコドンライブラリーを構築した。XTEN配列はXTEN_AG36と命名した。そのセグメントはアミノ酸配列[X]で表せるアミノ酸配列を有し、ここでXは、配列がGTPGSGTASSSP(配列番号415)、GSSTPSGATGSP(配列番号416)、GSSPSASTGTGP(配列番号417)、又はGASPGTSSTGSP(配列番号418)の、12merのペプチドである。挿入断片を、以下に示す、リン酸化した合成オリゴヌクレオチド対のアニーリングによって得た。
【化5】
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【0277】
我々はまた、リン酸化したオリゴヌクレオチドである3KpnIstopperFor(AGGTTCGTCTTCACTCGAGGGTAC(配列番号427))とリン酸化していないオリゴヌクレオチドpr_3KpnIstopperRev(CCTCGAGTGAAGACGA(配列番号428))もアニーリングさせた。アニーリングしたオリゴヌクレオチド対をライゲーションし、1つのBbsI/KpnIセグメントに結合した、様々な数の12merの繰り返しを有する、様々な長さの産物の混合物を得た。36アミノ酸の長さに相当する産物を分離用のアガロースゲル電気泳動によって混合物から単離し、そしてBsaI/KpnIで消化したstufferベクターpCW0359とライゲーションした。LCW0404と命名した、得られたライブラリーの大部分のコロニーは誘導後に緑色蛍光を呈し、このことからXTEN_AG36がGFP遺伝子にインフレームで結合されたこと、及び大部分のXTEN_AG36配列が良い発現レベルを有することが示された。


【0278】
LCW0404ライブラリーから単離した96コロニーの蛍光強度について、それらをIPTGを含む寒天培地上に押しつけることにより、スクリーニングした。単離した同じクローンについてPCRによる評価も行い、48単離体を36アミノ酸のセグメントを含み、かつ、高レベルの蛍光を発するものとして同定した。これら単離体について配列決定を行い、44のクローンが正しいXTEN_AG36セグメントを含むことを同定した。これらセグメントについてのヌクレオチド及びアミノ酸構築物のファイル名を表11に列挙した。
【0279】
表11:36−merモチーフのDNA及びアミノ酸配列
【表11-1】
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【表11-2】
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【表11-3】
[この文献は図面を表示できません]

【表11-4】
[この文献は図面を表示できません]




【0280】
実施例5:XTEN_AE864の構築
XTEN_AE36を順次二量体化し、AE72、144、288、576及び864にすることにより、XTEN_AE864を構築した。37種類の異なるXTEN_AE36セグメントから、XTEN_AE72セグメントのコレクションを構築した。37種類の異なる36−アミノ酸セグメントの全てを含む大腸菌培養を混合し、そしてプラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/NcoIで消化し、挿入断片となる短い断片を生成した。同じプラスミドプールをBbsI/NcoIで消化し、ベクターとしての長い断片を生成した。挿入断片及びベクター断片を倍の長さになるようにライゲーションし、ライゲーション混合物を用いてBL21Gold(DE3)細胞を形質転換し、そしてXTEN_AE72のコロニーを得た。
【0281】
このXTEN_AE72セグメントのライブラリーをLCW0406と命名した。LCW0406由来の全てのクローンを合わせ、上述したものと同じ工程により再度二量体化し、XTEN_AE144のライブラリーであるLCW0410を得た。LCW0410由来の全てのクローンを合わせ、上述したものと同じ工程により再度二量体化し、XTEN_AE288のライブラリーであるLCW0414を得た。ライブラリーから無作為に2つの単離体であるLCW0414.001及びLCW0414.002を選択し、その同一性を確認するために配列を決定した。LCW0414由来の全てのクローンを合わせ、上述したものと同じ工程により再度二量体化し、XTEN_AE576のライブラリーであるLCW0418を得た。LCW0418ライブラリー由来の96の単離体をGFPの蛍光強度についてスクリーニングした。PCRによって確認した挿入断片のサイズが正しく、かつ強い蛍光を呈する8つの単離体の配列を決定し、決定された配列及び発現のデータに基づき、2つの単離体(LCW0418.018及びLCW0418.052)をその後の使用のために選択した。
【0282】
XTEN_AE864の特定のクローンであるpCW0432を、上述したもの同じ二量体化工程を介してXTEN_AE576のLCW0418.018及びXTEN_AE288のLCW0414.002を組み合わせることにより構築した。
【0283】
実施例6:XTEN_AM144の構築
37種類の異なるXTEN_AE36セグメント、44種類のXTEN_AF36セグメント、及び44種類のXTEN_AG36セグメントを出発材料として、XTEN_AM144セグメントのコレクションを構築した。
【0284】
125種類の異なる36−アミノ酸セグメントの全てを含む大腸菌培養を混合し、プラスミドを単離した。このプラスミドプールをBsaI/NcoIで消化し、挿入断片となる短い断片を生成した。同じプラスミドプールをBbsI/NcoIで消化し、ベクターとしての長い断片を生成した。挿入断片及びベクター断片を倍の長さになるようにライゲーションし、ライゲーション混合物を用いてBL21Gold(DE3)細胞を形質転換し、そしてXTEN_AM72のコロニーを得た。
【0285】
このXTEN_AM72セグメントのライブラリーをLCW0461と命名した。LCW0461の全てのクローンを合わせ、上述したものと同じ工程により再度二量体化し、LCW0462を得た。LCW0462由来の1512単離体をタンパク質発現を指標にスクリーニングした。個々のコロニーを96ウェルプレートに移し、初期培養として一晩培養した。これらの初期培養を新しい自動誘導培地で希釈し、20〜30時間培養した。蛍光プレートリーダーを用い、励起395nm及び放射510nmで発現を測定した。192の単離体が高レベルの発現を示したため、これらをDNA配列決定にかけた。LCW0462中の大部分のクローンが、高い発現及び類似した物理化学的特性を示したことから、XTEN_AM36セグメントの組み合わせの大部分から有用なXTEN配列が得られたことが示唆される。LCW0462由来の30の単離体を、複数のXTENセグメントを含む多機能タンパク質の構築に有用な、好ましいXTEN_AM144セグメントのコレクションとして選抜した。これらセグメントのヌクレオチド及びアミノ酸構築物のファイル名を表12に列挙する。
【0286】
表12:AM144セグメントのDNA及びアミノ酸配列
【表12-1】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-2】
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【表12-3】
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【表12-4】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-5】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-6】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-7】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-8】
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【表12-9】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-10】
[この文献は図面を表示できません]

【表12-11】
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【0287】
実施例7:XTEN_AM288の構築
LCW0462ライブラリー全体を実施例6に記載したように二量体化し、XTEN_AM288クローンのライブラリーを得て、これをLCW0463と命名した。LCW0463ライブラリー由来の1512の単離体を実施例6に記載したプロトコールを用いてスクリーニングした。176の多く発現しているクローンについて配列決定を行い、40の好ましいXTEN_AM288セグメントを、288アミノ酸残基を有する、複数のXTENセグメントを含む多機能タンパク質の構築のために選択した。
【0288】
実施例8:XTEN_AM432の構築
XTEN_AM144セグメントのLCW0462ライブラリー由来のセグメントとXTEN_AM288セグメントのLCW0463ライブラリー由来のセグメントとを再び組み合わせることにより、XTEN_AM432セグメントのライブラリーを生成した。この新しい、XTEN_AM432セグメントのライブラリーをLCW0464と命名した。LCW0462及びLCW0463をそれぞれ含む培養した大腸菌から、プラスミドを単離した。LCW0464由来の1512の単離体を、実施例6に記載したプロトコールを用いてスクリーニングした。発現の高い176のクローンについて配列決定を行い、39の好ましいXTEN_AM432セグメントを、より長いXTENの構築、及び432アミノ酸残基を有する複数のXTENセグメントを含む多機能タンパク質の構築のために選択した。
【0289】
並行して、XTEN_AM144及びXTEN_AM288の好ましいセグメントを用い、XTEN_AM432セグメントのLMS0100ライブラリーを構築した。
【0290】
実施例9:XTEN_AM875の構築
stufferセグメントを除去するためにstufferベクターpCW0359をBsaI及びKpnIで消化し、生じたベクター断片をアガロースゲル精製によって単離した。
【0291】
GASASGAPSTG(配列番号585)のアミノ酸をコードし、かつ、この配列中に制限酵素AscIの認識部位であるヌクレオチド配列GGCGCGCCを含むシークエンスアイランドA(SI−A)を導入するために、リン酸化したオリゴヌクレオチドBsaI−AscI−KpnIforP:
【化6】
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(配列番号583)と、リン酸化していいないオリゴヌクレオチドBsaI−AscI−KpnIrev:
【化7】
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(配列番号584)とをアニーリングさせた。アニーリングさせたオリゴヌクレオチド対を、BsaI及びKpnIで消化し、上述したように準備したstufferベクターpCW0359とライゲーションさせ、SI−Aを含むpCW0466を得た。次に、実施例8からの43種類の好ましいXTEN_AM432セグメントとpCW0466からのSI−AセグメントのC末端を、実施例5に記載したものと同じ二量体化工程介して再度組み合わせ、XTEN_AM443セグメントのライブラリーを構築した。この新しいXTEN_AM443セグメントのライブラリーをLCW0479と命名した。


【0292】
XTEN_AM443セグメントのLCW0479ライブラリー由来のセグメントと、43種類の実施例8からの好ましいXTEN_AM432セグメントを、実施例5に記載したものと同じ二量体化工程介して再度組み合わせることにより、XTEN_AM875セグメントのライブラリーを構築した。この新しいXTEN_AM875セグメントのライブラリーをLCW0481と命名した。
【0293】
実施例10:TEN_AM1318の構築
GPEPTGPAPSG(配列番号588)のアミノ酸をコードし、かつ、この配列中に制限酵素FseIの認識部位であるヌクレオチド配列GGCCGGCCを含むシークエンスアイランドB(SI−B)を導入するために、リン酸化したオリゴヌクレオチドBsaI−FseI−KpnIforP:
【化8】
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(配列番号586)と、リン酸化していないオリゴヌクレオチドBsaI−FseI−KpnIrev:
【化9】
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(配列番号587)とをアニーリングさせた。アニーリングさせたオリゴヌクレオチド対を、実施例9で用いたようなBsaI及びKpnIで消化したstufferベクターpCW0359とライゲーションさせ、SI−Bを含むpCW0467を得た。次に、実施例8からの43種類の好ましいXTEN_AM432セグメントとpCW0467からのSI−BセグメントのC末端を、実施例5に記載したものと同じ二量体化工程介して再度組み合わせることにより、XTEN_AM443セグメントのライブラリーを構築した。この新しいXTEN_AM443セグメントのライブラリーをLCW0479と命名した。この新しいXTEN_AM443セグメントのライブラリーをLCW0480と命名した。


【0294】
XTEN_AM443セグメントのLCW0480ライブラリー由来のセグメントと、XTEN_AM875セグメントのLCW0481ライブラリー由来のセグメントを、実施例5に記載したものと同じ二量体化工程介して再度組み合わせることにより、XTEN_AM1318セグメントのライブラリーを構築した。この新しいXTEN_AM1318セグメントのライブラリーをLCW0487と命名した。
【0295】
実施例11:XTEN_AD864の構築
複数回、連続して二量体化を行うことにより、実施例1に挙げたXTEN_AD36のセグメントを出発材料として、XTEN_AD864配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように組み合わせた。XTEN_AD864由来の複数の単離体を評価し、生理学的な条件下で高く発現し、非常に良い溶解度を示すクローンを見いだした。1種類のXTEN_AD576の中間構築物について配列決定を行った。このクローンをカニクイザルを用いたPK実験において評価し、半減期が約20時間であることを測定した。
【0296】
実施例12:XTEN_AF864の構築
複数回、連続して二量体化を行うことにより、実施例3に挙げたXTEN_AF36のセグメントを出発材料として、XTEN_AF864配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように組み合わせた。XTEN_AF864由来の複数の単離体を評価し、生理学的な条件下で高く発現し、非常に良い溶解度を示すクローンを見いだした。1種類のXTEN_AF540の中間構築物について配列決定を行った。このクローンをカニクイザルを用いたPK実験において評価し、半減期が約20時間であることを測定した。XTEN_AF864の完全長クローンの1つが非常に高い溶解度を有し、カニクイザルにおいて60時間を超える半減期を示した。シークエンスアイランドを含むXTEN_AF配列の二番目のセットを実施例9に記載したように組み合わせた。
【0297】
実施例13:実施例XTEN_AG864の構築
複数回、連続して二量体化を行うことにより、実施例1に挙げたXTEN_AD36のセグメントを出発材料として、XTEN_AG864配列配列のコレクションを構築した。これらの配列を実施例5に記載したように組み合わせた。XTEN_AG864由来の複数の単離体を評価し、生理学的な条件下で高く発現し、非常に良い溶解度を示すクローンを見いだした。XTEN_AG864の完全長クローンの1つが非常に高い溶解度を有し、カニクイザルにおいて60時間を超える半減期を示した。
【0298】
実施例14:XTEN構築物のN末端伸張の構築及び12mer付加ライブラリー(Addition Library)のスクリーニング
この実施例では、XTEN融合が融合タンパク質のN末端にある融合タンパク質の発現を、ヘルパードメインなしで可能にするような翻訳の開始を促進するために、XTENタンパク質のN末端を最適化する工程について詳細に記載する。これまで、XTENをN末端に有するタンパク質の発現は低く、得られる値は本質的に、GFP蛍光アッセイにおいては検出できなかった(N末端CBDヘルパードメインを有するタンパク質の発現の<25%)。コドンレベルでの多様性を作出するために、7種類のアミノ酸配列を選択し、コドン多様性を有するものを準備した。異なるコドンを有し、12アミノ酸をコードしている7対のオリゴヌクレオチドを設計し、アニーリングさせ、NdeI/BsaIで制限消化したstufferベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)とライゲーションし、そして、7種類のライブラリーのコロニーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞中に形質転換した。得られたクローンは、発現のスクリーニングにGFPの蛍光を用いることができるように、XTEN_AM875−GFPにN末端XTEN12merをインフレームで融合させた配列を有するものである。作出した7種類のライブラリーから個別のコロニーを選択し、深型の96ウェルプレートに入れた500μlのsuper broth培地中で飽和に達するまで一晩生育させた。理論的なライブラリーの多様性のおよそ1/2から1/3の数の範囲のコロニーを選択した(表13を参照のこと)。
【0299】
表13:12merを付加したライブラリーの理論的多様性及びサンプリング数。無作為化したコドンを含むアミノ酸残基を下線で示す。
【表13】
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【0300】
飽和した一晩培養を自動誘導培地を用いた新しい500μl培養中に播種し、これを26℃で一晩培養した。次に、含まれるレポーターであるGFPの量を決定するために、これらの発現培養を、蛍光プレートリーダーを用いてアッセイした(励起395nm、放射510nm)(発現アッセイの結果を示す、図9を参照のこと)。箱ひげ図としてグラフ化した結果は、ライブラリー由来の最も発現量の高いクローンの値は基準により近かったが、発現レベルの中間値は、「基準」であるCBDN末端ヘルパードメインの発現レベルのおよそ半分であったことを示し、このことはこれらの配列の近傍にさらなる最適化が求められることを示すものであった。この結果は、発現レベルが基準となるCBDN末端の<25%であった、これまでの型のXTENとは著しく異なる。この結果はまた、アミノ酸MEから始まるライブラリーの発現レベルよりも、アミノ酸MAから始まるものの方が発現レベルが高いことを示す。このことは、最も発現レベルが高いクローンについて見た場合に最も顕著であり、基準により近いクローンの多くがMAを含む配列から始まるものである。ライブラリー中の配列の75%のみがMAから始まる配列であるのに対し、基準であるCBD−AM875の33%以内に入った176クローンのうち、87%がMAから始まるものであり、最高レベルの発現についてはMAから始まるクローンの有意に高い割合が示された。最も発現の高い96クローンについて同一性を確認するために配列決定を行い、LCW546から4配列、LCW547から4配列及びLCW552から4配列の、総和12配列をさらなる最適化のために選抜した(表14を参照のこと)。
【0301】
表14:改良した12merのDNAヌクレオチド配列
【表14】
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【0302】
実施例15:XTEN構築物のN末端伸張の構築、及びコドン3と4を最適化したライブラリーのスクリーニング
この実施例では、XTEN融合が融合タンパク質のN末端にある融合タンパク質の発現を、ヘルパードメインなしで可能にするような翻訳の開始を促進するために、XTENタンパク質のN末端を最適化する工程について詳細に記載する。確立した、好ましい最初の2つのコドン(前記実施例を参照のこと)を含む配列の3番目及び4番目のコドンを、好ましいコドンを決定するために無作為化したLCW546、LCW547及びLCW552由来のクローンに基づく3種類のライブラリーの3番目及び4番目の残基を、これらの位置が可能な限り全てのXTENコドンの組み合わせを含むように変更した(図10を参照のこと)。各ライブラリーに可能な限り全てのXTENコドンが含まれるようにするため、3番目と4番目のコドンが異なり、12アミノ酸をコードしている9対のオリゴヌクレオチドを設計し、アニーリングさせ、NdeI/BsaIで制限消化したstufferベクターpCW0551(Stuffer−XTEN_AM875−GFP)とライゲーションし、そして、LCW0569〜571の3種類のライブラリーのコロニーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞中に形質転換した。24のXTENコドンを用いた場合、各ライブラリーの理論的な多様性は576のユニークなクローンとなる。作出した3種類のライブラリー由来の総和504の個別のコロニーを選択し、深型の96ウェルプレートに入れた500μlのsuper broth培地中で飽和に達するまで一晩生育させた。これにより、相対的なライブラリーの効率及び好ましい配列を把握するために必要なコロニーを十分にカバーできる。飽和した一晩培養を自動誘導培地を用いた新しい500μl培養中に播種し、これを26℃で一晩培養した。次に、含まれるレポーターであるGFPの量を決定するために、これらの発現培養を、蛍光プレートリーダーを用いてアッセイした(励起395nm、放射510nm)。スクリーニングから得られた最も良い75クローンについて配列決定を行い、レポーターであるGFPの発現対基準試料についての再試験を行った(図11を参照のこと)。52のコロニーから使用可能なシークエンスデータが得られ、これをその後の解析に用いた。ライブラリー毎に分類した結果は、LCW546が最も良いライブラリーであったことを示す。結果を表15に示す。驚くべきことに、基準であるCBDN末端のベースラインの測定値がたったの〜600AUであったのに対し、最も良いクローンのベースラインでの蛍光の測定値が〜900AUであったことを発見した。このことは、基準であるCBDN末端の発現とおよそ同じ発現レベルを有した前段階のライブラリーの最もよいクローン(実施例14)よりも、このライブラリーがおよそ33%改良されたことを示すものである。
【0303】
表15:3番目及び4番目のコドンを最適化したライブラリーの比較
【表15】
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【0304】
このデータから、3番目及び4番目の位置の位置には好ましい特定のコドンがあることを示す、さらなる傾向が見いだされた。表16に見られるようにLCW569ライブラリーでは、3番目の位置のグルタミン酸コドンGAAとトレオニンコドンACTがより高い発現と相関した。
【0305】
表16:LCW569における、好ましい3番目と4番目のコドン
【表16】
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【0306】
加えて、最も良かった75クローンについての再試験から、複数のクローンの発現量が、今回は、基準となるクローンよりも非常に良かったことが示された。
【0307】
実施例16:XTEN構築物のN末端伸張の構築、並びに12mer及び36merコンビナトリアルライブラリーのスクリーニング
この実施例では、XTEN融合が融合タンパク質のN末端にある融合タンパク質の発現を、ヘルパードメインなしで可能にするような翻訳の開始を促進するために、XTENタンパク質のN末端を最適化する工程について詳細に記載する。確立した、好ましい最初の2つのコドン(前記実施例を参照のこと)に加えて、選択した12の12mer配列(前記実施例を参照のこと)を一番N末端側に、その後に125の先に構築した36merセグメント(前記実施例を参照のこと)をコンビナトリアル手法を用いて組み合わせることにより、幅広い視点から、N末端について試験した。このことにより、XTENタンパク質のN末端に新規の48merを作出し、そして、N末端でのより長い配列の相互作用が、より長い配列の発現に及ぼす影響について評価することを可能にした(図12)。36merを組み合わせるために用いた二量体化工程と同様に(以下の実施例を参照のこと)、125種類の選択した36merセグメントを含むプラスミドを制限酵素BbsI/NcoIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。クローンAC94(CBD−XTEN_AM875−GFP)からのプラスミドもまたBsaI/NcoIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。これらの断片を一緒にライゲーションし、LCW0579ライブラリーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞を形質転換した。このライブラリーは、一番N末端側の、選択した12種類の12merの今後のクローニングにおけるベクターとしても用いた。LCW0579のプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。選択した12種類の12mer配列をコードしている12対のオリゴヌクレオチドを設計し、アニーリングさせ、NdeI/EcoRI/BsaIで消化したLCW0579ベクターとライゲーションし、そしてLCW0580ライブラリーのコロニーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンビテント細胞を形質転換した。理論的には多様性は1500のユニークなクローンとなるため、作出したライブラリーから、総和して1512個の個別のコロニーを選択し、深型の96ウェルプレートに入れた500μlのsuper broth培地中で、飽和に達するまで一晩生育させた。これにより、相対的なライブラリーの効率及び好ましい配列を把握するために必要なコロニーを十分にカバーされる。飽和した一晩培養を自動誘導培地を用いた新しい500μl培養中に播種し、これを26℃で一晩培養した。次に、含まれるレポーターであるGFPの量を決定するために、これらの発現培養を、蛍光プレートリーダーを用いてアッセイした(励起395nm、放射510nm)。最も良かった90のクローンについて配列決定を行い、レポーターであるGFPの発現について再試験した。83のクローンについて使用可能なシークエンスデータが得られたため、これらをその後の解析に用いた。それぞれのクローンに含まれるリーダーである12merを決定するためにシークエンスデータを用い、そして各12merが発現に及ぼす影響について評価した。クローンLCW546_06及びLCW546_09が非常に優れたN末端であるとして突出していた(表17を参照のこと)。
【0308】
表17:LCW546_06及びLCW459_09から始まるクローンの相対的な効率
【表17】
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【0309】
配列決定及び再試験のデータにおいて、同じ配列を有する独立した複数の例で同様の結果が示されたことは、このアッセイの信頼性を向上させるものである。加えて、6種類のユニーク配列を有する10のクローンは基準となるクローンよりも非常に良いものであった。これらを表18に示す。これらの配列について生じたものはこれらの配列のみであり、これらの配列についてはその他の配列は得られず、また、基準となるクローンよりも優れたものもなかったことが示された。これら6種類の配列がさらなる最適化のために優れていた。
【0310】
表18:基準となるクローンよりも非常に良かった12mer及び36merのコンビナトリアルクローン
【表18-1】
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【表18-2】
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【0311】
実施例17:XTEN構築物のN末端伸張の構築、並びにXTEN−AM875及びXTEN−AE864のための12merと36merのコンビナトリアルライブラリーのスクリーニング
【0312】
XTEN融合が融合タンパク質のN末端にある融合タンパク質の発現を、ヘルパードメインなしで可能にするような翻訳の開始を促進するために、XTENタンパク質のN末端を最適化する工程について詳細に記載する。確立した、好ましい最初の4つのコドン(前記実施例を参照のこと)及びN末端12merと36merとの最も良い組み合わせ(前記実施例を参照のこと)に加えて、これらの好ましい配列のまとまりについて試験するために、コンビナトリアル手法を用いた。このことにより、XTENタンパク質のN末端に新規の48merを作出し、そして、これまでの結果のコンフルエンスについて試験することを可能にした。加えて、これらリーダー配列の能力が、全てのXTENタンパク質の低い発現量に対する普遍的な解決となるかについて、新しい48merをXTEN−AE864及びXTEN−AM875の両方の前に配置することによって評価した。36merセグメントの全125のクローンを用いる代わりに、コンビナトリアルライブラリー中で最も良いGFPの発現を示した、選択した6つの36merセグメントのクローンからのプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。AC94(CBD−XTEN_AM875−GFP)及びAC104(CBD−XTEN_AE864−GFP)からのプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。これらの断片を一緒にライゲーションし、LCW0585(−XTEN_AM875−GFP)及びLCW0586(−XTEN_AE864−GFP)ライブラリーのコロニーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンピテント細胞を形質転換した。これらのライブラリーは、一番N末端側の、選択した8種類の12merの今後のクローニングにおけるベクターとしてもまた役立つ場合がある。LCW0585及びLCW0586のプラスミドをNdeI/EcoRI/BsaIで消化し、適切な断片をゲルを用いて精製した。先のスクリーニング(Generation2)において最も良いGFPの発現を示した、選択した8種類の12mer配列をコードしている8対のオリゴヌクレオチドを設計し、アニーリングさせ、NdeI/EcoRI/BsaIで消化したLCW0585及びLCW0586ベクターとライゲーションし、そして最終的なライブラリーである、LCW0587(XTEN_AM923−GFP)及びLCW0588(XTEN_AE912−GFP)ライブラリーのコロニーを得るために、大腸菌BL21Gold(DE3)コンビテント細胞を形質転換した。理論的には多様性は48のユニークなクローンとなるため、作出したライブラリーから総和252個の個別のコロニーを選択し、深型の96ウェルプレートに入れた500μlのsuper broth培地中で、飽和に達するまで一晩生育させた。これにより、相対的なライブラリーの効率及び好ましい配列を把握するために必要なコロニーを十分にカバーされる。飽和した一晩培養を自動誘導培地を用いた新しい500μl培養中に播種し、これを26℃で一晩培養した。次に、含まれるレポーターであるGFPの量を決定するために、これらの発現培養を、蛍光プレートリーダーを用いてアッセイした(励起395nm、放射510nm)。最も良かった36のクローンについて配列決定を行い、レポーターであるGFPの発現について再試験した。36のクローンについて使用可能なシークエンスデータが得られたため、これら36クローンをその後の解析に用いた。シークエンスデータを用いて、クローン中に含まれる12mer、3番目のコドン、4番目のコドン及び36merを決定し、多くのクローンが、同じ配列を含む独立した産物であることを明らかにした。加えて、これらのクローンについての再試験の結果の値は類似しており、このことはスクリーニング工程がロバストであることを示している。N末端における好ましい特定の組み合わせが見られ、そして基準である対照よりも一貫しておよそ50%高い、蛍光の値が得られた(表19及び20を参照のこと)。これらのデータは、最適化したN末端XTENをコードしている配列を融合タンパク質遺伝子に加えることにより、融合タンパク質の発現が顕著に増加する、と言う結果を支持するものである.
【0313】
表19:XTEN−AM875への好ましいN末端の組み合わせ
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
【0314】
表20:XTEN−AE864への好ましいN末端の組み合わせ
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
【0315】
特に、XTEN−AM875への好ましいN末端の組み合わせとXTEN−AE864への好ましい組み合わせは同じではなく(表19及び20)、このことは、開始部位から150塩基離れた配列とのより複雑な相互作用が発現レベルに影響することを示している。好ましいヌクレオチド配列の配列を表21に示し、そして独立して発現を確認するために、好ましいクローンをSDS−PAGEにより解析した(図13を参照のこと)。XTEN_AM923及びXTEN_AE912の完全長配列をさらなる解析用に選択した。
【0316】
表21:XTEN−AM875及びXTEN−AE864の、N末端の最初の48アミノ酸残基に対する好ましいDNAヌクレオチド配列
【表21】
[この文献は図面を表示できません]


【0317】
実施例18:GHXTENの作出及び評価方法;XTEN−hGHを例として
GHXTEN組成物の作出及び評価の一般的な模式図が図6に示されており、そしてこれは本実施例の基本的な説明の基礎となる。開示した方法及び当業者に既知の方法を、例示となる実施例に示した指針と共に用いることにより、熟練者は、XTEN、GH及び当該分野において既知のGH変異体を含む、広範囲のGHXTEN融合タンパク質を作出及び評価することができる。そのため、本実施例は単に例示するためだけのものであると解釈され、かつ、方法を制限するものでは一切なく;数々の変異型が当業者には明かであろう。本実施例においては、AEファミリーモチーフのXTENに結合した、ヒト成長ホルモンのGHXTENが作出されるだろう。
【0318】
XTENをコードしているポリヌクレオチドの作出の一般的な模式図を、図4及び5に示す。図5は、本発明の実施形態のうちの1つの、XTENポリヌクレオチド構築物の組み合わせにおける、代表的な工程を示す模式的なフローチャートである。個別のオリゴヌクレオチド 501をアニーリングさせ、12アミノ酸モチーフ(「12−mer」)のような配列モチーフ 502にし、これを次にBbsI、及びKpnI制限部位を含むオリゴ 503とライゲーションする。モチーフライブラリーは、例えば、表1のAD、AE、AF、AG、AM、又はAQ配列のような、特定の配列のXTENファミリーに限定することができる。この例においては、AEファミリーモチーフをモチーフライブラリーとして用いることができ、これを「ビルディングブロック」の長さにするために、例えば36アミノ酸をコードするセグメントにするために、12−merとアニーリングさせる。XTEN配列をコードしている遺伝子を、所望される長さのXTEN遺伝子 504になるまで、ライゲーションと「ビルディングブロック」の多量体化により組み合わせることができる。図5に示すように、この例におけるXTENの長さは48アミノ酸残基であるが、この方法により、より長い長さにすることもできる。例えば、多量体化は、ライゲーション、オーバーラップエクステンション、PCRアセンブリ−、又は当該分野において既知の同様のクローニング技術を用いて行うことができる。XTEN遺伝子をstufferベクター中にクローニングすることができる。図5に示したこの例においては、ベクターは、Flag配列 506とそれに続く、BsaI、BbsI、及びKpnI部位に隣接したstuffer配列 507及びGH遺伝子(例えば、hGH) 508をコードすることができ、結果としてGHXTEN 500をコードしている遺伝子となり、これはこの例においては、N末端側からC末端側方向への配置がXTEN−hGHである融合タンパク質をコードする。
【0319】
GHをコードしているDNA配列は、適切な細胞源から調製したcDNAライブラリーから、若しくはゲノムライブラリーから当該分野において既知の標準的な方法を用いて簡便に得ることができ、又は公的に使用可能なデータベース、特許若しくは参考文献から得られたDNA配列を用いて合成的に(例えば自動核酸合成で)作出することもできる。その後、タンパク質のGH部分をコードしている遺伝子又はポリヌクレオチドを構築物中にクローニングすることができ、本明細書において記載した構築物のように、これらは、生物系において高レベルのタンパク質を発現するために適切な転写及び翻訳配列の制御下にある、プラスミド又はその他のベクターであってもよい。XTEN部分をコードしている二番目の遺伝子又はポリヌクレオチド(図5の例においてはAEを含む48アミノ酸残基として示される)を、ライゲーション又は多量体化工程を介して構築物中のhGHをコードしている遺伝子に隣接して及びインフレームでクローニングすることにより、hGH遺伝子のN末端をコードしているヌクレオチドに遺伝的に融合させることができる。この方法では、XTEN−hGHGHXTEN融合タンパク質をコードしているキメラDNA分子(又はその相補鎖)が構築物中に生成されるだろう。任意に、第二のXTENコードしている遺伝子を挿入し、そしてXTEN−hGH遺伝子のC末端をコードしているヌクレオチドにインフレームでライゲーションすることができ、その結果XTEN−hGH−XTEN融合タンパク質をコードしている構築物が得られるだろう。単量体ポリペプチドとして、融合パートナーの様々な置換をコードするように、構築物を異なる配置になるように設計することができる。例えば、N末端側からC末端側への配置が、hGH−XTEN;XTEN−hGH;hGH−XTEN−hGH;XTEN−hGH−XTEN;並びに前述したものの多量体である融合タンパク質をコードする遺伝子を作出することができる。任意に、このキメラDNA分子をより適切な発現ベクターである、別の構築物中に導入又はクローニングしてもよい。この時点で、キメラDNA分子を発現することができる宿主細胞を、キメラDNA分子を用いて形質転換するだろう。目的のDNAセグメントを含むベクターを、細胞宿主の型に依存する周知の方法により、前述したように、適切な宿主細胞に導入することができる。
【0320】
XTEN−GH発現ベクターを含む宿主細胞を、プロモーターを適切に活性化するために改変した、標準的な栄養培地中で培養するだろう。温度、pHなどの培養条件は、発現させるために選択した宿主細胞の使用について既に知られている条件であり、当業者には明かであろう。融合タンパク質を発現させた後に、細胞を遠心分離により回収し、物理的又は化学的な手段を用いて破砕し、そして、以下に記載したように融合タンパク質を精製するため、得られた粗抽出物をさらに用いるだろう。宿主細胞から分泌されるGHXTEN組成物の場合は、遠心分離で得られた上清を分離し、さらなる精製にかけるだろう。
【0321】
試料中の遺伝子発現を、例えば、標準的なサザンブロット、mRNAの転写を定量するためのノザンブロット[Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201−5205(1980)]、ドットブロット(DNA解析)、又は本明細書において示した配列に基づく、適切に標識したプローブを使用したin situハイブリダイゼーションにより、直接測定するだろう。あるいは、遺伝子産物の発現を直接定量するために、細胞の免疫組織学的染色のような、蛍光を用いた免疫学的な手法によって遺伝子発現を測定するだろう。免疫組織学的染色及び/又は体液試料に有用な抗体は、モノクローナルであっても又はポリクローナルであってもよく、そして任意の動物を用いて調製することができる。簡便に、本明細書において提供した配列に基づく合成ペプチドを用いてhGHポリペプチド配列に対する抗体を調製してもよく、又はhGHに融合させた外生の配列であって、かつ、特異的な抗体エピトープをコードしている配列に対する抗体を調製してもよい。選択マーカーの例は当業者には周知であり、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(β−gal)又はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などが含まれる。
【0322】
XTEN−hGHポリペプチド産物を当該分野において既知の方法を介して精製するだろう。ゲルろ過、アフィニティ精製、塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及びゲル電気泳動などの方法は全て、精製工程において使用することができる。精製の特定の方法は、Robert K. Scopes, Protein Purification: Principles and Practice, Charles R. Castor (ed.), Springer−Verlag 1994,及びSambrook, et al.,前記、に記載されている。複数工程の分離についてはまた、Baron, et al., Crit. Rev. Biotechnol. 10:179−90 (1990)及び Below, et al., J. Chromatogr. A. 679:67−83 (1994)に記載されている。
【0323】
図6に示したように、次に、単離したXTEN−hGH融合タンパク質をそれらの化学的及び活性の特性についての特徴付けを行うだろう。単離した融合タンパク質を、例えば、配列、純度、見かけの分子量、溶解度及び安定性について、当該分野において既知の標準的な方法を用いて解析するだろう。期待される基準を満たしている融合タンパク質を次に、活性について評価するだろう。活性は、インビトロ又はインビボで、本明細書に記載した成長ホルモンに関連した指標を測定することにより、本明細書で開示した1つ以上のアッセイを用いて、又は実施例若しくは表34のアッセイを用いて、測定することができる。
【0324】
加えて、実施例30〜32に記載したように、標準的な薬物動態学的指標を決定するために、XTEN−hGH融合タンパク質を1種以上の動物種に投与するだろう。
【0325】
XTEN−hGH構築物の作出、発現及び回収、並びにその後、本明細書に開示した方法又は当該分野において既知のその他方法によりそれらの特徴を解析することを繰り返すことにより、当業者はhGH及びXTENを含むGHXTEN組成物を生産することができ、そして高い溶解度、高い安定性、薬物動態の改善及び免疫原性の低下のような、融合していない対応するhと比較して全体的に向上した治療用活性を生じる期待される特性を確認するために、評価を行うことができる。求められる特性をもたないそれらの融合タンパク質については、異なる配列を構築し、発現させ、単離し、そしてそれらの特性を有する組成物を得るためにこれらの方法により評価することができる。
【0326】
実施例19:K及びYXTEN配列に結合したhGHの遺伝子及びベクターの構築
KシリーズのGHXTEN構築物
【0327】
N末端にセルロース結合ドメイン(CBD)、その後ろにTomatoEtchウイルス(TEV)プロテアーゼ開裂部位、その後にhGHコード配列、及びその後にK288コード配列:CBD−K288−hGHを含むタンパク質を発現する、pET−シリーズのベクターをT7プロモーターを用いて構築した。K288は反復配列(GEGGGEGGE)32(配列番号622)を有する。使用したCBD配列は、SwissprotファイルQ06851で示され、CBD融合タンパク質の精製についてはOfir, K. et al.(2005)Proteomics 5:1806に記載されている。TEV開裂部位の配列はENLYFQ/X(配列番号623)であり;Xの位置にはGを用いた。この構築物をBL21(DE3)−star大腸菌株中に形質転換し、そして発現を促進する条件化で生育させた。C細胞を回収し、破砕した。細胞上清をセルロースビーズ樹脂(Perloza 100)にアプライし、緩衝液A(25mM Tris pH=8.0)で洗浄し、そして20mM NaOHでカラムから溶出した。1M Tris緩衝液pH=8.0を用いて試料を滴定することにより、pHを調製した。タンパク質の純度は90%を超えると予測した。溶出したタンパク質を精製したTEVプロテアーゼを用いて4℃で一晩消化し、消化した試料をセルロースビーズ樹脂(Perloza 100)にアプライした。CBDはカラムに保持され、K288−hGHはフロースルー中に認められた。集めたフロースルーを陰イオン交換(Q−sepharose、Pharmacia)にかけ、緩衝液A(25mM Tris pH=8.0)で溶出し、そして1M NaClを含む同じ緩衝液のシャローな(shallow)直線勾配を用いてカラムから溶出した。溶出した融合タンパク質を集め、緩衝液Aに対して透析し、濃縮し、そして最終的な精製としてサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製した。タンパク質の純度は98%を超えると予測した。最終的なタンパク質はK288−hGHである。精製過程における試料のSDSPAGE解析を図20に示した。

【0328】
YシリーズのGHXTEN構築物
XTENデスティネーションベクター中のstufferに隣接したBbsI及びHindIII制限部位(BbsI及びHindIIIと末端が一致している)を導入した、hGHをコードしている遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。pCBD−XTENプラスミドはセルロース結合ドメイン(CBD)−XTEN−Stufferの形態をもつ、Novagen社のpET30の派生物であり、ここでStufferは緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、XTENは36〜576又はそれを超える任意の長さであってよい。pCBD−XTEN中のstuffer配列をhGHをコードしている断片(図7B)と置換することにより、構築物を生成した。pCBD−XTENの特徴としては、CBDの上流のT7プロモーター、及びその後の、stuffer配列の上流にインフレームで融合したXTEN配列がある。用いたXTEN配列はXTEN_Yファミリーに属し、かつ、36、72、144、288、及び576アミノ酸を含む長さの配列をコードする。BbsI及びHindIIIエンドヌクレアーゼを用いて制限消化することにより、stuffer断片を除去した。T4DNAリガーゼを用いて、制限消化したhGH DNA断片と開裂させたpCBD−XTENベクターとをライゲーションし、そしてBL21(DE3)Gold(Stratagene)にエレクトロポレーションで導入した。DNAミニプレップで形質転換体をスクリーニングし、所望の構築物をDNAシークエンシングで確認した。最終的なベクターは、T7プロモーターの制御下にあるCBD_XTEN_hGH遺伝子である。得られたDNA配列は、36、72、144、及び288アミノ酸それぞれの長さのXTENに結合したGHをコードするものであった。
【0329】
実施例20:AE及びAMXTEN配列を用いた、hGH−XTEN遺伝子及びベクターの構築
XTENデスティネーションベクター中のstufferに隣接したNdeI及びBbsI制限部位(NdeI及びBsaIと末端が一致している)を導入した、hGHをコードしている遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。ThepXTENプラスミドはStuffer−XTENの形態をもつ、Novagen社のpET30の派生物であり、ここでStufferは緑色蛍光タンパク質(GFP)又はCBDのいずれかであってもよく、かつ、XTENは36〜1318アミノ酸又はそれを超える任意の長さであってよい(図7)。pXTEN中のstuffer配列をhGHをコードしている断片と置換することにより、構築物を生成した。pXTENの特徴としては、stuffer配列の上流のT7プロモーター、及びstuffer配列の下流にインフレームで融合したXTEN配列がある。用いたXTEN配列は、XTENのAE又はAMファミリーに属し、かつ、36、72、144、288、576、864、875及び1318アミノ酸を含む長さの配列をコードするコードする。NdeI及びBsaIエンドヌクレアーゼを用いて制限消化することにより、stuffer断片を除去した。T4DNAリガーゼを用いて、制限消化したhGH DNA断片と開裂させたpXTENベクターとをライゲーションし、そしてBL21(DE3)Gold(Stratagene)にエレクトロポレーションで導入した。DNAミニプレップで形質転換体をスクリーニングし、所望の構築物をDNAシークエンシングで確認した。最終的なベクターは、T7プロモーターの制御下にあるhGH−XTEN遺伝子であり、hGHをN末端に有する融合タンパク質を発現させるために使用されるだろう。
【0330】
実施例21:AE及びAMXTEN配列を用いた、XTEN−hGH及びXTEN−hGH遺伝子及びベクターの構築
XTENデスティネーションベクター中のstufferに隣接したBbsI及びHindIII制限部位(BbsI及びHindIIIと末端が一致している)を導入した、hGHをコードしている遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。pCBD−XTENプラスミドはセルロース結合ドメイン(CBD)−XTEN−Stufferの形態をもつ、Novagen社のpET30の派生物であり、ここでStufferは緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、XTENは36〜1318又はそれを超える任意の長さであってよい(図7)。pCBD−XTEN中のstuffer配列をhGHをコードしている断片と置換することにより、構築物を生成した。pCBD−XTENの特徴としては、CBDの上流のT7プロモーター、及びその後の、stuffer配列の上流にインフレームで融合したXTEN配列がある。用いたXTEN配列はXTEN_AE及びXTEN_AMファミリーに属し、かつ、36、72、144、288、576、864、875及び1318アミノ酸を含む長さの配列をコードする。BbsI及びHindIIIエンドヌクレアーゼを用いて制限消化することにより、stuffer断片を除去した。T4DNAリガーゼを用いて、制限消化したhGH DNA断片と開裂させたpCBD−XTENベクターとをライゲーションし、そしてBL21(DE3)Gold(Stratagene)にエレクトロポレーションで導入した。DNAミニプレップで形質転換体をスクリーニングし、所望の構築物をDNAシークエンシングで確認した。最終的なベクターは、T7プロモーターの制御下にあるCBD_XTEN_hGH遺伝子であり、hGHをC末端に有する融合タンパク質を発現させるために使用されるだろう。
【0331】
実施例22:XTEN−AE_hGH_XTEN−AE遺伝子及びベクターの構築
pNTS−XTENデスティネーションベクター中のstufferに隣接したBbsI及びHindIII制限部位(BbsI及びHindIIIと末端が一致している)を導入した、hGHをコードしている遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。pNTS−XTEN_AEプラスミドは48アミノ酸のN末端XTEN発現配列−XTEN−Stufferの形態をもつ、Novagen社のpET30の派生物であり、ここでStufferは緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、XTENは36〜576又はそれを超える任意の長さであってよい。pNTS−XTEN中のstuffer配列をhGHをコードしている断片と置換することにより、構築物を生成した。pNTS−XTENの特徴としては、NTSの上流にあるT7プロモーターと、その後ろの、stuffer配列の上流にインフレームで融合したXTEN配列がある。用いたXTEN配列はXTEN_AEファミリーに属し、かつ、36、72、144、288、576、864、及び1296アミノ酸を含む長さの配列をコードする。BbsI及びHindIIIエンドヌクレアーゼを用いて制限消化することにより、stuffer断片を除去した。T4DNAリガーゼを用いて、制限消化したhGH DNA断片と開裂させたpNTS−XTENベクターとをライゲーションし、そしてBL21(DE3)Gold(Stratagene)にエレクトロポレーションで導入した。いくつかの例においては、144又は288アミノ酸の第二のXTEN_AE配列をhGHコードしている遺伝子のC末端にライゲーションさせた。この工程は図8に示す。pNTS−XTENデスティネーションベクター中のstufferに隣接したBsaI及びHindIII(BbsI及びHindIIIと末端が一致し、HindIIIの上流にさらにBbsI部位を含む)を導入した、hGHをコードしている遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅した。制限酵素消化、ライゲーション及び形質転換の後に得られた中間体プラスミドは、pNTS−XTEN−hGHの形態を有し、hGHのC末端にBbsI/HindIII制限部位を有する。中間体プラスミドをさらにBbsI及びHindIIIで消化し、XTEN−hGH遺伝子のC末端にAE144又はAE288をコードしている配列を配置するように、BsaI及びHindIIIに隣接した144又は288アミノ酸の第二のXTEN_AE配列とライゲーションし、そしてBL21(DE3)Gold中に形質転換した。DNAミニプレップで形質転換体をスクリーニングし、所望の構築物をDNAシークエンシングで確認した。上述した最終的なベクターの配置はNTS_XTEN_hGH又はNTS_XTEN_hGH_XTENのいずれかであり、図7C及び7Dに示したようにT7プロモーターの制御下にある。
【0332】
実施例23:GHXTEN_AE構築物の精製
【0333】
タンパク質発現
上述したプラスミドをBL21(DE3)−Gold大腸菌株(Novagen)中に形質転換し、適切な抗生物質を含むLB寒天培地上にプレーティングし、そして37℃で一晩生育させた。単一のコロニーを5mlのTB125培地中に播種し、37℃で一晩生育させた。翌日、播種した材料を500mlのTB125を入れ2Lのベッセル中に移し、そしてOD=0.6になるまで生育させ、その後0.1mM IPTGを加えて26℃で16時間生育させた。
【0334】
遠心分離によって細胞を回収し、細胞沈殿物を5mM Tris pH8.0、100mM NaClを含む50mlの緩衝液中に再懸濁した。APV−2000ホモジナイザーを用いて細胞を破砕した。宿主細胞からのタンパク質混入物を沈殿させるために、次に溶解物のpHを酢酸を用いてpH4.5に調製し、その後遠心分離によって除去した。酸処理をし、混入物を除いた溶解物を次にDE52陰イオン交換クロマトグラフィーカラムにアプライし、NaClで溶出した。溶出された画分をその後さらにpH4.2まで酸性化し、MacroCapSP陽イオン交換クロマトグラフィーカラムにアプライした。NaClで連続的に溶出することにより、産物を溶出した。産物に関わる凝集体及び残存する宿主細胞からの不純物(例えばエンドトキシン、DNA、宿主細胞タンパク質)を除くために、クロマトグラフィー工程をMacrocap Qを用いてさらに行った。
【0335】
タンパク質の純度は98%を超えるものと予測した。SDS−PAGE解析を行うことにより、及び全タンパク質濃度を測定することにより、溶出した融合タンパク質の量を決定した。多量のGHXTEN融合タンパク質が溶出されたことは、XTENに結合していない対応するhGHと比較して、融合タンパク質の溶解性の度合いが高いこと(例えば、Singh, S. M., et al. (2005) J Biosci Bioeng, 99: 303;Patra, A. K., et al. (2000) Protein Expr Purif, 18: 182を参照のこと)、並びに宿主細胞からのタンパク質を沈殿させる酸性化条件においても可溶性を保持する能力を有することを反映するものである。.
【0336】
最終的な製剤及び保管
次に、タンパク質を交換した緩衝液を、10K MWCO Vivacell 100遠心限外ろ過を用いて15mg/ml未満にならないように濃縮した。濃縮したものを0.22μmのシリンジフィルターをもちいて滅菌した。最終的な溶液を小分けにし、−80℃で保存した。
【0337】
実施例24:GHXTEN構築物の特徴解析
SDS−PAGE解析
Y576に結合したGH(Y576のN末端又はC末端のいずれかに)の、最終的に精製したGHXTENタンパク質5μgを、InvitrogenのNuPAGE4−12%Bis−Trisゲルを用いた、製造業者による仕様書に従って行った、非還元及び還元SDS−PAGEにかけた。結果のゲルを図20に示す。
【0338】
分析サイズ排除クロマトグラフィー
TSKGel−G4000 SWXL(7.8mmx30cm)カラムを用いてサイズ排除クロマトグラフィー解析を行った。濃度1mg/mlの精製したタンパク質20μgを、20mMリン酸塩pH6.8、114mM NaClを用いて、流速0.6ml/分で分離した。クロマトグラムプロファイルは、OD214nm及びOD280nmでモニターした。カラムの校正(calibration)は、チログロブリン(670kDa)、ウシガンマ−グロブリン(158kDa)、トリオボアルブミン(44kDa)、ウマミオグロブリン(17kDa)及びビタミンB12(1.35kDa)を含むマーカーである、BioRadのサイズ排除較正基準を用いて行った。生成したY576−GHのクロマトグラフィープロファイルは、同じアッセイで泳動した基準となるタンパク質との比較することにより、それぞれの構築物の見かけの分子量が球状タンパク質の予測される分子量よりも有意に大きいことを示す(データは示さない)。
【0339】
分析RP−HPLC
C4(7.8mmx20cm)カラムを用いて、分析RP−HPLCクロマトグラフィー解析を行った。流速1ml/分の移動相中で、0.1%TFAを加えた100%アセトニトリルを用いてカラムを平衡化した。変性させた及び変性させていない、0.2mg/mlの濃度の精製したタンパク質20μgを別々にインジェクションした。0.1%TFAを含むHPLCグレードのH20を含む緩衝液を15分以内に5%〜60%にする直線勾配により、タンパク質を分離及び溶出した。クロマトグラムプロファイルはOD214nm及びOD280nmでモニターした。天然の及び変性させたY576−GHのクロマトグラフィープロファイルを重ねて図21に示す。
【0340】
実施例25:ELISAベースの結合アッセイ
GHと結合したXTEN融合体の、GH受容体への結合能力を評価するために、それらを標準的なELISAベースのアッセイにおいて試験した。アッセイは、組換えhGH受容体(hGHR−Fc)をELISAプレートにコーティングした、サンドイッチELISAの形式によって実施した。その後ウェルをブロッキングし、洗浄し、そしてGHXTENを捕捉するために、様々な倍率に希釈したGHXTEN試料をウェル中でインキュベートする。ウェルをしっかりと洗浄し、ビオチン化したポリクローナル又はモノクローナル抗GH又は抗XTEN抗体及びストレプトアビジンHRPを用いて、結合したタンパク質を検出した。各血清希釈の比色反応を、結合させていないGHの検量線と比較することにより、結合したタンパク質の割合を算出することができる。図15に示す、K288に結合したhGHと組換えhGHとを比較した最初のアッセイの結果は、GHXTENがhGH受容体に結合する能力を示す。第二のアッセイにおいては、AM864−hGH及びhGH−AM864の配置をとる2種類のGHXTENを組換えhGHと比較した。図16に示した結果は、天然のhGHのEC50値が0.0701nMであり、AM864−hGHでは0.3905、及びhGH−AM864では2.733であることをはっきりと示す。第三のアッセイにおいては、GHXTEN融合タンパク質のhGH構成要素にC末端XTENを付加することが、結合親和性を低下させる能力を有することを示すために、組換えhGHをAE912−hGH−AE144と比較した。結果(図18)は、結合親和性がhGHと比較しておよそ17倍低下することを示す。
【0341】
実施例26:hGH及びGHXTENの安定性に及ぼす熱処理の効果
結合した治療用分子に構造的な安定性を付与する、XTENの能力について調査した。hGH及びAM864−hGHの試料を25℃及び80℃でインキュベートし、その後ゲル電気泳動及びクマシー染色で解析した。図17は、25℃及び80℃で15分間処理した2種類の調製物のSDS−PAGEゲルであり、図17Bは25℃で処理した試料に対する80℃で処理した試料の受容体結合活性の、対応するパーセンテージを示すものである。結果は、hGHはこの処理条件下で変性するが、GHXTEN構築物はこの実験条件下では、およそ80%の受容体結合活性を保持する、高い安定性を維持することを示す。
【0342】
まとめ:GHXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素は、XTENに結合していないhGHと比較して、向上した溶解度及び安定性特性を融合タンパク質に付与する。
【0343】
実施例27:IG−1分泌におけるhGH及びAM864−hGHの比較効果
投与した化合物に対する血中IGF−1の反応を測定指標として用い、GHXTENの薬理学的効力を保持する能力を評価した。図24は、カニクイザル(n=4/群)の血中IGF−1レベルに及ぼす、hGH(0.071mg/kg/日)の毎日の投与又はAM864−hGH(5mg/kg;1.1mg/kgと等価)の単回投与の効果を示し、基準に対する変化(パーセンテージ)として図示する。結果は、実験開始時の1回のみの投与にもかかわらず、GHXTEN構築物により活性が向上したことを示す。
【0344】
実施例28:体重増加に及ぼすhGH及びAM864−hGHの比較効果
投与した化合物に対する低酸素ラットの体重増加を測定指標として用い、GHXTENの、薬理学的効力を保持する能力を評価した。図25は、示した用量及び投与頻度で投与したhGH又はAM864−hGHの低酸素ラットの体重に及ぼす効果を示す。結果は、GHXTEN構築物はより低頻度での投与でも、hGHと同等の用量と等価の効力である生物学的な活性を維持することを示す。AM864−hGHの投与量を増加させると体重の増加を生じることは、hGHと比較して、これらの条件におけるGHXTENの薬物動態特性の向上を示している。
【0345】
実施例29:軟骨に及ぼすhGH及びAM864−hGHの比較効果
低酸素ラットの脛骨骨端板の増加を測定指標として用い、GHXTENの薬理学的効力を保持する能力を評価した。図26は、処理9日後のラット脛骨の組織学的な横断切片において見られた、偽薬、hGH、及びAM864−hGHの投与の比較効果を示すものであり、脛骨の端を点線で示した。群は図26において示したものと同じである。図26Aは、処理9日後の偽薬群の横断切片の幅の平均が344±38.6μmであったことを示す。図26Bは、9日後のhGH(1日当たり10μg)群の横断切片の幅の平均が598±8.5μmであったことを示す。図26Cは、9日後のAM864−hGH(15mg/kg、q3d)群の横断切片の幅の平均が944±8.5μmであったことを示す。結果は、より低頻度での投与間隔にもかかわらず、hGHと比較して、GHXTEN構築物により活性が向上したことを示す。
【0346】
実施例30:GHXTENタンパク質融合体のPK解析
インビボでの薬物動態学的指標を決定するために、GH−Y576及びY576h−GH(この例では、N末端側からC末端側へのGH及びXTENの順序を表している)をカニクイザルに注入した。水性の緩衝液中に組成物を調製し、個別の動物に静脈経路を介して、0.15mg/kgの用量で投与した。投与後、様々な時点で血清試料を採取し、アクセサリータンパク質の血清濃度を解析した。解析は、サンドイッチELISAの形式において実施した。ウサギポリクローナル抗XTEN(Y型XTENに対する)抗体でELISAプレートのウェルをコーティングした。次に、コーティングした抗体が化合物を捕捉することができるように、様々な倍率に希釈した血清試料をウェル中でインキュベートした。ウェルをしっかりと洗浄し、ビオチン化したポリクローナル抗XTEN抗体及びストレプトアビジンHRPを用いて結合したタンパク質を検出した。それぞれの希釈倍率の試料の比色反応を検量線と比較することにより、各時点での血清タンパク質濃度を算出した。WinNonLinソフトウェアパッケージを用いて薬物動態学的指標を算出した。
【0347】
図22は、カニクイザルに静脈内投与した後の2種類のGH構築物の濃度プロファイルを示す。IV投与後のhGH−Y576の半減期は7時間、Y576−hGHの半減期は10.5時間と算出された。参考までに、文献中によく記載されている、成人のヒトにおける改変していないGHの出版されている半減期は、10〜15分である(例えば、Hindmarch、P.C.、et al.、Clinical Endocrinology(2008)30(4):443−450を参照のこと)。結果は、XTENに対するhGHの位置(N末端体C末端)は融合タンパク質のクリアランスには影響を及ぼさなかったこと、及び、Y576の付加が融合タンパク質の終末相半減期を大きく延長させたことを示す。
【0348】
カニクイザルにおける別の薬物動態学的研究を、AM864−hGH構築物を用いて行った。図23は、カニクイザルの皮下に5mg/kgで単回投与した後のAM864−hGHの薬物動態学的プロファイルを示す。算出した同等のhGH濃度を破線で示す。
【0349】
まとめ:GHXTEN融合タンパク質のXTEN構成要素はこれらの条件においては、XTENに結合していないhGHと比較して、向上した薬物動態学的特性を融合タンパク質に付与する。
【0350】
実施例31:ラットを用いたhGHXTEN融合ポリペプチドのPK解析
hGHXTENポリペプチドのインビボでの薬物動態学的指標を決定するために、GHXTEN融合タンパク質AE912−hGH、AM864−hGH(本実施例及び以下の実施例においてはAM875−hGHと同義である)、AE912−hGH−AE144及びAE912−hGH−AE288をラットを用いて評価した。全ての組成物を水性の緩衝液中に調製し、皮下経路(SC)を介して1.5mg/kgの組成物を、個別の動物に単回投与した。投与後、様々な時点で血漿試料を採取し、被験物質の濃度について解析を行った。解析はサンドイッチELISAの形式において実施した。組換えhGHR−Fcを用いてELISAプレートのウェルをコーティングした。ウェルをブロッキングし、洗浄し、その後コーティングした抗体が化合物を捕捉することができるように、様々な倍率で希釈した血漿試料をウェル中でインキュベートした。ウェルをしっかりと洗浄し、ビオチン化したポリクローナル抗hGH抗体及びストレプトアビジンHRPを用いて、結合したタンパク質を検出した。それぞれの希釈倍率の試料の比色反応を検量線と比較することにより、各時点での被験物質の濃度を算出した。WinNonLinソフトウェアパッケージを用いて薬物動態学的指標を算出した。
【0351】
図27は、皮下の投与後の4種類のhGHXTEN構築物の濃度プロファイルを示す。算出された終末相半減期は、AE912−hGHが7.5時間、AM864−hGH(AM875−hGHと同義)が6.8時間、AE912−hGH−AE144が12.4時間及びAE912−hGH−AE288が13.1時間であった。比較のために、同じ実験において改変していないhGHについても並行して解析したが、これは非常により短い血漿半減期を示した。
【0352】
まとめ:齧歯類モデルを用いてこれら条件下で示したように、hGHを含む融合タンパク質中に異なるXTEN配列を組み込むと、改変していないhGHと比較して、4つ全ての組成物の薬物動態学的指標が有意に向上する。第二のXTENタンパク質をAE−hGH構築物のC末端に付加すると、単一のXTENを有する構築物と比較して終末相半減期がさらに延長され、これは受容体介在性クリアランスによるものだと考えられる。
【0353】
実施例32:カニクイザルを用いたhGHXTEN融合ポリペプチドのPK解析
hGHXTENポリペプチドのインビボでの薬物動態学的指標に及ぼす第二のXTENを組み込むことの影響を決定するために、1つ又は2つのXTEN分子を含むGHXTEN融合タンパク質(AE912−hGH、AM864−hGH、及びAE912−hGH−AE144)についての評価をカニクイザルを用いて行った。全ての組成物を水性の緩衝液中に調製し、皮下経路(SC)を介して1.5mg/kgの組成物を、個別の動物に単回投与した。投与後、様々な時点で血漿試料を採取し、被験物質の濃度について解析を行った。解析はサンドイッチELISAの形式において実施した。組換えhGHR−Fcを用いてELISAプレートのウェルをコーティングした。ウェルをブロッキングし、洗浄し、その後コーティングした抗体が化合物を捕捉することができるように、様々な倍率で希釈した血漿試料をウェル中でインキュベートした。ウェルをしっかりと洗浄し、ビオチン化したポリクローナル抗hGH抗体及びストレプトアビジンHRPを用いて、結合したタンパク質を検出した。それぞれの希釈倍率の試料の比色反応を検量線と比較することにより、各時点での被験物質の濃度を算出した。WinNonLinソフトウェアパッケージを用いて薬物動態学的指標を算出した。図28は、皮下投与後、336時間にわたる3種類のhGHXTEN構築物の濃度プロファイルを示す。融合タンパク質の平均終末相半減期は、AM864−hGHが33時間、AE912−hGHが44時間、及びAE912−hGH−AE144(hGHのN及びC末端に結合した2つのXTENを含む)が110時間であった.
【0354】
まとめ:サルモデルを用いてこれら条件下で示したように、hGHを含む融合タンパク質中に異なるXTEN配列を組み込むと、3つ全ての組成物の薬物動態学的指標が有意に向上した。hGHのC末端に結合した第二のXTENを含む構築物の終末相半減期は、N末端に単一のXTENを含むGHXTENの終末相半減期と比較して、約2倍に延長された。
【0355】
実施例33:カニクイザルにおけるIGF−1反応を測定することによる、AE912−hGH−AE144GHXTENの薬力学的効果の評価
0.80〜1.13mlの範囲の容量で、0.3、1.5、及び7.5mg/kgのAE912−hGH−AE144を、オス及びメスのカニクイザルに投与した。投与前、及び2、4、8、24、48、72、96、120、168、216、264、336、388、432、504時間後(16)の血液試料(1.0mL)を、予め凍結させた、ヘパリン処理したチューブに採取し、血漿へと処理した。抗XTEN捕捉抗体及びビオチン化抗hGH検出抗体を用いたELISAアッセイにより、PKを測定した。IGF−1試料をMilliporeに送付し、解析した。WinNonLinソフトウェアパッケージを用いて算出したPK指標を、以下の表に示す。3種類の用量を投与した場合のGHXTEN及びIGF−1レベルの血漿濃度プロファイルをそれぞれ、図29及び図30に示す(白丸=0.3mg/kg;四角=1.5mg/kg;三角=7.5mg/kg)。結果は、AE912−hGH−AE144を投与するとIGF−1のレベルが持続して増加することを示し、これは成長ホルモンの生物学的な作用機序及びAE912−hGH−AE144の長い血漿半減期の両方と一致するものである。
【0356】
表22:カニクイザルにおけるPK指標
【表22】
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【0357】
実施例34:カニクイザルへの皮下及び筋内投与を介した、AE912−hGH−AE144の比較バイオアベイラビリティ
1.5mg/kgのAE912−hGH−AE144を、静脈内、皮下、及び筋内経路を介してオス及びメスのカニクイザルに投与した。投与前、及び2、4、8、24、48、72、96、120、168、216、264、336、388、432、504時間後(16)の血液試料(1.0mL)を、予め凍結させたヘパリン処理したチューブに採取し、その後血漿へと処理した。抗XTEN捕捉抗体及びビオチン化抗hGH検出抗体を用いたELISAアッセイにより、各時点における血漿レベルを測定した。WinNonLinソフトウェアパッケージを用いて算出したPK及びバイオアベイラビリティ指標を以下の表に示す。血漿濃度プロファイルを図31に示す(白丸=皮下;三角=IV;四角=筋内)。バイオアベイラビリティの算出は、静脈内投与のAUCを100%と定義して行った。結果は、AE912−hGH−AE144が高いバイオアベイラビリティを示し、かつ、注入後に注入部位から速やかに血管要素へと分散することを示す。
【0358】
表23:カニクイザルにおけるPK指標
【表23】
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【0359】
実施例35:AE912−hGH−AE144の治療ウインドウの決定
低酸素ラットの、化合物の投与に反応した体重増加の測定指標を用いて、GHXTEN AE912−hGH−AE144の特異的活性を評価した。図32は、低酸素ラットの体重に及ぼす、媒体(白丸)、5nmol/kg/日用量で投与した組換えhGH(白丸)、様々な用量及び様々な投与頻度で投与したGHXTEN AE912−hGH−AE144(黒三角=0.5nmol/kg/日;白三角=1.5nmol/日;四角=3nmol/kg/Q2D)の効果を示す。結果は、1.5nmol/kg/日ほどの低用量でのGHXTEN AE912−hGH−AE144の投与で、hGHの単独投与と同等の成長が生じることを示す。しかしながら、より低用量、0.5nmol/kg/日の投与はこれら動物の成長を促進しない。ラットにおいて決定した薬物動態学的プロファイルに基づき、反復投与後の血漿レベルのモデルを、図33に示すように構築した(符号は図32と同じ)。このモデルは、より低い用量の非有効量と有効量を明確に区別するものである。結果は、低酸素ラットモデルにおける最適な成長を維持するためにには、AE912−hGH−AE144の血漿濃度は通常、約1nmol/Lの濃度よりも高くなければならないことを示す。
【0360】
実施例36:GHXTENを評価するためのヒトにおける臨床試験のデザイン
対応する成長ホルモン生物製剤と比較して、GHXTEN組成物の効力及び利点をヒトにおいて検証できるように、臨床試験をデザインすることができる。例えば、上記実施例において記載したような成長を含むGHXTEN融合構築物を、組成物の効力を特徴付けるための臨床試験において使用することができる。試験は、成長ホルモンの投与により、改善される、回復する、又は抑制される、1つ以上の成長ホルモン関連疾患、障害、又は状態において実施することができる。成人患者におけるそのような研究には、3相が含まれる。第一に、最大耐量及びヒト(正常対象、又は成長疾患若しくは状態を呈する患者のいずれか)における薬物動態学及び薬力学を決定し、そして今後の研究における指針となる、潜在的な毒性及び有害事象を定義するための、成人患者における第I相安全性及び薬物動態学的研究を実施する。この研究は、GHXTENの融合タンパク質の組成物を漸増単回投与により投与し、生化学、PK、及び臨床指標を測定することによって実施する。この研究により、最大耐量の決定、並びに、それぞれの化合物の治療ウインドウを構成する用量及び血中薬剤の、閾値及び最大濃度を決定することができる。その後、疾患、障害又は状態を呈する患者における、臨床試験を実施する。
【0361】
第II相及び第III相臨床試験
小児患者におけるGH欠損による低身長の反転、ターナー症候群の治療、慢性腎不全、プラダー・ウィリー症候群、胎児の成長遅延、又は成人患者(HIV+又は後天性下垂体腫瘍患者など)におけるボディマス組成物の回復(除脂肪体重の増加、脂肪の減少)などの、血中の成長ホルモン薬力学及びその他の生理的、PK、安全性及び臨床指標(以下に列挙したような)が試験にとって適切な患者において、第II相投与試験を実施する。投与した融合タンパク質組成物の機能としては、指標及び臨床エンドポイントを測定する。このことにより、有害事象に関連した安全性データの収集に加えて、次の第III相試験における適切な用量範囲情報が得られる。PK指標は、GHXTEN組成物の治療ウインドウ及び治療用投与計画を確立するための、生理的、臨床的及び安全指標データと関連し、臨床医がGHXTEN組成物の適切な用量範囲を確立することを可能にする。最後に、患者には投与計画に則ったGHXTEN組成物、及びポジティブコントロール(市販されている、認可された成長ホルモンなど)を投与し、又は偽薬を毎日、若しくは対象組成物が薬物動態学的及び薬力学的特性を示すのに適当だとみなされるその他の投与計画に則って偽薬を投与する第III相効力試験を実施する。ここでは全ての薬剤は研究のエンドポイントに達するまでの適切な長さの期間にわたって投与される。モニターする指標には、GH、IGF−1及びIGFBP3濃度、身長成長速度の変化、除脂肪体重、総体脂肪、体幹脂肪、インスリン抵抗性症候群に関連する指標、軟骨細胞の分裂及び複製の測定、及び/又は骨密度及び/又は骨成長の変化;偽薬若しくはポジティブコントロール群がとるであろう指標が含まれる。効力アウトカムは標準的な統計分析を用いて決定されるだろう。記載した方法において使用する場合、この研究においては、この化合物が安全であることを確認するための毒性及び有害事象マーカーもまた追跡する。
【0362】
実施例37:異なるペイロードを有するXTEN融合タンパク質の分析サイズ排除クロマトグラフィー
様々な治療用タンパク質及び伸張した長さの非構造性組換えタンパク質を含む融合タンパク質について、サイズ排除クロマトグラフィーを行った。TSKGel−G4000 SWXL(7.8mmx30cm)カラムを用いた例示的なアッセイにおいて、1mg/ml濃度の精製したグルカゴン融合タンパク質40μgを、20mMリン酸塩pH6.8、114mM NaClを用い、流速0.6ml/分で分離した。クロマトグラムプロファイルをOD214nm及びOD280nmでモニターした。全てのアッセイにおいて、カラムの校正は、チログロブリン(670kDa)、ウシガンマ−グロブリン(158kDa)、トリオボアルブミン(44kDa)、ウマミオグロブリン(17kDa)及びビタミンB12(1.35kDa)を含むマーカーである、BioRadのサイズ排除校正基準を用いて行った。図34に、グルカゴン−Y288、グルカゴン−Y144、グルカゴン−Y72、グルカゴン−Y36の代表的なクロマトグラフィープロファイルを重ねて示す。データは、各化合物の見かけの分子量は結合させたXTEN配列の長さに比例することを示す。しかしながら、データはまた、各構築物の見かけの分子量が球状タンパク質の予測される分子量よりも有意に大きいことを示す(同じアッセイで解析した基準と成るタンパク質との比較により示すように)。GHXTEN組成物を含む、評価した全ての構築物のSEC分析に基づく、見かけの分子量、見かけの分子量因子(算出した分子量に対する見かけの分子量の比率として示す)及び流体力学半径(R、単位nm)を表24に示す。結果は、576アミノ酸又はそれより大きい異なるXTENを組み込むと、融合タンパク質の見かけの分子量がおよそ339kDa〜760大きくなり、864アミノ酸又はそれより大きいXTENはおよそ800kDAの見かけの分子量を付与することを示す。見かけの分子量が実際の分子量に対して比例的に増加するという結果は、いくつかの異なるモチーフファミリー、すなわちAD、AE、AF、AG、及びAM由来のXTENを含むように作出した融合タンパク質と一致するものであり、その増加は少なくとも4倍であり、かつ比率は約17倍ほど高かった。加えて、576又はそれ以上のアミノ酸のXTEN融合パートナーを、様々なペイロード(グルカゴンをY288に融合させた場合にはさらに288残基)を含む融合タンパク質中に組み込むと、流体力学半径は7nm又はそれより大きくなり、これはおよそ3−5nmである糸球体細孔径よりもかなり大きいものである。従って、成長及びXTENを含む融合タンパク質の腎クリアランスが低減すると予測され、このことは、対応する融合していない生物学的ペイロードタンパク質と比較して、終末相半減期の増大及び治療用又は生物学的効果の向上に寄与する。
【0363】
表24:様々なポリペプチドのSEC解析
【表24】
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【0364】
実施例38:GFPに融合させた伸張ポリペプチドの、カニクイザルにおける薬物動態
PK指標に及ぼす組成物及び非構造性ポリペプチドの長さの効果を決定するために、GFP−L288、GFP−L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−XTEN_Y576及びXTEN_AD836−GFPの薬物動態学的をカニクイザルにおいて試験した。注入後、様々な時点で血液試料を解析し、捕捉抗体として抗GFPポリクローナル抗体及び検出抗体として同じポリクローナル抗体をビオチン化したものを用いたELISAによって、血漿中のGFP濃度を測定した。結果を図35にまとめた。それらは、XTEN配列の長さが長くなると、半減期が驚くほど長くなっていることを示す。例えば、GFP−XTEN_L288(XTENが288アミノ酸残基である)の半減期は10時間であると決定された。非構造性ポリペプチド融合パートナーの長さを576アミノ酸へと倍にすることにより、複数の融合タンパク質構築物、すなわちGFP−XTEN_L576、GFP−XTEN_AF576、GFP−XTEN_Y576の半減期が20〜22時間へと増加した。非構造性ポリペプチド融合パートナーの長さをさらに836残基へと増加させると、XTEN_AD836−GFPの半減期は72〜75時間になった。従って、ポリマーの長さを288から576残基へと288残基増加させることで、インビボでの半減期が約10時間長くなった。しかしながら、ポリペプチドの長さを576残基から836残基へと260残基させることによっては、半減期は50時間よりも長くなった。これらの結果は、非構造性ポリペプチドの長さが、比例的よりも高くインビボ半減期を長くする、驚くべき閾値を有することを示す。従って、伸張した、非構造性ポリペプチドを含む融合タンパク質は、より短い長さのポリペプチドと比較して向上した薬物動態学的特性を有すると予測される。
【0365】
実施例39:XTENの血清安定性
GFPのN末端に融合させたXTEN_AE864を含む融合タンパク質を、37℃で最長7日間、サル血漿及びラット腎臓溶解物中でインキュベートした。試料を0時点、1日目及び7日目で採取し、SDS PAGEで解析し、その後ウエスタン解析で解析した。抗GFP抗体を用いた検出を図14に示す。XTEN_AE864の配列は血漿中で7日間にわたりインキュベートしても、無視できるほどしか分解の徴候を示さなかった。しかしながら、XTEN_AE864はラット腎臓溶解物では3日間で速やかに分解された。GFP_AE864を免疫沈降し、上述したようにSDS PAGEで解析して、融合タンパク質のインビボでの安定性を試験した。注入後7日までに採取した試料は、ほとんど分解の徴候を示さなかった。結果は、GHXTEN融合タンパク質の薬物動態学的特性の向上における因子である、血清プロテアーゼによる分解に対してGHXTENが抵抗性であることを示す。
【0366】
実施例40:複数の種におけるEx4−XTEN融合タンパク質のPK解析及び予測されるヒト半減期
XTENに融合させた治療用タンパク質の、ヒトにおける予測される薬物動態学的プロファイルを決定するために、AE864XTENに融合させたエキセンジン−4を、単一の融合ポリペプチドとして用いて研究を行った。0.5−1.0mg/kgのEx4−XTEN構築物を、4種の異なる動物種の皮下及び静脈内に投与した。投与後、一定の間隔で血清試料を採取し、標準的な方法を用いて血清濃度を決定した。各種での半減期を決定し、表25に示した。この結果を、平均体重に対する終末相半減期、分布容積、及びクリアランス率の異種間物差し法(allometric scaling)を用いて、ヒトにおける半減期を予測するために用いた。図36Aは、動物種における測定した終末相半減期対体重のプロットを示す。エクセナチドの報告された半減期が2.4時間であるのに対し(Bond, A. Proc (Bayl Univ Med Cent) 19(3): 281−284. (2006))、75kgのヒトにおけるEx4−XTEN構築物の予測されるT1/2は140時間である。図36Bは測定した薬剤クリアランス対体重を示し、これによって予測されるクリアランス率の値は、75kgのヒトで30ml/時間である。図36Cは、測定した分布容積対体重を示し、ここで予測される値は、75kgのヒトにおいて5970mlである。
【0367】
まとめ:結果から、エキセンジン−4のような、グルコースを制御するペプチドにXTENを付加することにより、XTENに結合していないペプチドと比較して、終末相半減期を大きく増大させることができると結論することができる。
【0368】
表25:Ex4−XTENの半減期
【表25】
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*異種間物差し法に基づく予測値
【0369】
実施例41:XTENに結合させることによる、ペプチドペイロードの溶解度及び安定性の向上
XTENの、溶解度及び安定性の物理的/化学的特性を向上させる能力を評価するために、グルカゴンとより短い長さのXTENを含む融合タンパク質を調製し、評価した。pHが中性のトリス緩衝食塩水中に被験物質を調製し、タンパク質が溶液中において均一で、かつ、凝集していないことを確認するために、Gcg−XTEN溶液の特徴を逆相HPLC及びサイズ排除クロマトグラフィーにより解析した。データを表26に示す。比較する目的で、同じ緩衝液中に調製した、改変していないグルカゴン60μM(0.2mg/mL)の溶解限度を測定した。結果は、付加した全ての長さのXTENについて、溶解度が十分に向上したことを示す。重要なことは、大部分の例において、グルカゴン−XTEN融合タンパク質は目的の濃度になるように調製され、そして示した構築物の最大溶解限度を決定するために評価されたのではないということである。しかしながら、グルカゴンをAF−144XTENに結合させた例においては溶解限度を決定し、その結果は、XTENに結合させていないグルカゴンと比較して、溶解度が60倍に向上したというものであった。加えて、グルカゴン−AF144GHXTENの安定性を評価し、溶液製剤中でのグルカゴン−AF144GHXTENが、冷蔵条件では少なくとも6ヶ月間、37℃ではおよそ1ヶ月間安定であることを見いだした(データは示さない)。
【0370】
まとめ:このデータは、グルカゴンのような生物学的に活性なタンパク質に短い長さのXTENポリペプチドを結合させると、融合タンパク質を生じることにより、そのタンパク質の溶解特性が向上し、並びに、より高いタンパク質濃度での安定性を付与するというまとめを支持するものである。
【0371】
表26:グルカゴン−XTEN構築物の溶解度
【表26】
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【0372】
実施例42:XTEN融合タンパク質の二次構造の特性解析
円二色性分光法により、融合タンパク質Ex4−AE864の二次構造の度合いを評価した。CD分光法は、Jasco Peltier温度コントローラー(TPC−348WI)を備えたJascoJ−715(Jasco Corporation、Tokyo、Japan)円二色性分散計を用いて行った。20mMリン酸ナトリウムpH7.0、50mM NaClを用いて、タンパク質の濃度を0.2mg/mLに調整した。HELLMAのクオーツセルを用い、光路長0.1cmで実験を行った。5°、25°、45°、及び65°CでのCDスペクトルを取得し、Windows(登録商標)用のJ−700 version1.08.01(Build 1)Jascoソフトウェアを用いて処理した。CD測定を行う前に5分間、試料を各温度で平衡化した。300nmから185nmの範囲のスペクトルを、スキャン速度100nm/分、バンド幅1nmで2秒毎に測定し、全てのスペクトルは2回ずつ記録した。図37に示したCDスペクトルは、二次構造の安定性の証拠を示さず、かつ、非構造性ポリペプチドのスペクトルと一致する。
【0373】
実施例43:予測アルゴリズムを用いた、配列の二次構造の解析
アミノ酸配列の二次構造は、周知のChou−Fasmanアルゴリズム(Chou,P.Y., et al.(1974)Biochemistry,13:222−45)及びGarnier−Osguthorpe−Robson、又は「GOR」法(Garnier J, Gibrat JF, Robson B. (1996). GOR method for predicting protein secondary structure from amino acid sequence. Methods Enzymol 266:540−553)のような特定のコンピュータープログラム又はアルゴリズムを介して評価することができる。アルゴリズムは、指定した配列中に、例えばアルファ−ヘリックス若しくはベータシーを形成する配列残基の総数及び/又は割合として、又はランダムコイルを形成すると予測される配列残基の割合として表される、いくらかの二次構造が存在するか、又は二次構造がまったくないかどうかを予測することができる。
【0374】
XTEN「ファミリー」に由来する複数の代表的な配列を、これら配列中の二次構造の度合いを評価するために、Chou−Fasman及びGOR方法の2種類のアルゴリズムツールを用いて評価した。Chou−Fasmanツールは、William R. Pearson及びバージニア大学(University of Virginia)により、インターネットサイト「Biosupport」において提供されたものであり、2009年6月19日時点でのワールドワイドウェブにおけるURLは .fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_www.cgi?rm=misc1 であった。GORツールは、Pole Informatique Lyonnaisにより、インターネットサイト「Network Protein Sequence Analysis」で提供されたものであり、2008年6月19日時点でのワールドワイドウェブでのURLは .npsa−pbil.ibcp.fr/cgi−bin/secpred_gor4.pl であった。
【0375】
解析の第一工程として、単一のXTEN配列を2種類のアルゴリズムにより解析した。AE864組成物は、アミノ酸G、S、T、E、P、及びAを含む、4種類の、12アミノ酸配列モチーフの複数のコピーから作出した864アミノ酸残基のXTENである。この配列モチーフは、モチーフ中の反復性が限られていること、及び12アミノ酸モチーフのいずれにおいても、その配列全体にわたって、任意の2つの連続したアミノ酸が2回を超えて繰り返されないこと、並びに、完全長XTEN中の連続した3つのアミノ酸が同一ではないこと、によって特徴付けられる。AF864配列のN末端から順に、より長い長さの部分についてChou−Fasman及びGORアルゴリズムによって解析した(後者は、最低17の長さのアミノ酸を必要とする)。FASTA形式の配列を予測ツールに登録し、解析することによって、配列の解析を行った。解析の結果を表27に示す。
【0376】
結果は、Chou−Fasmanによる計算では、AEファミリーの4種類のモチーフ(表1)は、アルファ−ヘリックス及びベータシートを含まないことを示す。288残基までの配列が同様に、アルファ−ヘリックス及びベータシートを含まないことが見いだされた。432残基の配列は、わずかに二次構造を有すると予測され、ここでは2アミノ酸のみがアルファーヘリックスを構成し、その全体における割合は0.5%である。完全長AF864ポリペプチドは、アルファーヘリックスを構成する同じ2つのアミノ酸を有し、その全体における割合は0.2%である。ランダムコイル形成についての計算により、長さが増加すると、ランダムコイル形成の割合も増加することが明らかになった。配列の最初の24アミノ酸におけるランダムコイル形成の割合は91%であり、これは長さの増加と共に、完全長配列の最大99.77%まで増加した。
【0377】
その他のモチーフファミリーに由来する、500アミノ酸又はそれより長い数多くのXTEN配列についてもまた解析し、大部分が95%を超えるランダムコイル形成を有することが明らかとなった。例外は、3つの連続したセリン残基を1回以上含む配列であり、これはベータシート形成を生じると予測された。しかしながら、これら配列でさえも、それでもなお、およそ99%のランダムコイル形成を有した。
【0378】
一方、アミノ酸がA、S、及びPに限定された、84残基のポリペプチド配列をChou−Fasmanアルゴリズムにより評価したところ、これは予測されるアルファーヘリックスを高い割合で含むことが予測された。「AA」及び「AAA」配列の繰り返しを複数含む配列の、全体にわたるアルファ−ヘリックス構造の割合は69%であると予測された。GORアルゴリズムにより、ランダムコイル形成は78.57%であると予測された。これは、本実施例において解析した、G、S、T、E、Pアミノ酸を含む12アミノ酸配列モチーフを含む、任意の配列における割合よりもずっと少ないものであった。
【0379】
まとめ:この解析は、:1)連続したアミノ酸に関しては限られた反復性を有する、G、S、T、E、P、及びAを含む複数の配列モチーフから作出したXTENは、ごく僅かな量のアルファーヘリックス及びベータシートを含むと予測される;2)XTENの長さを長くすることによっても、アルファーヘリックス又はベータシート形成の確立の増加ははっきりとは認められない;及び3)G、S、T、E、P、及びAアミノ酸を含む非反復性の12−merを付加することによりXTEN配列の長さを徐々に長くすると、ランダムコイル形成の割合の増加が生じる、という結論を支持する。一方、高い度合いの内部反復性を有する、A、S及びPに限定したアミノ酸から作出したポリペプチドは、Chou−Fasmanアルゴリズムで決定したように、高い割合のアルファーヘリックス、並びにランダムコイル形成を有すると予測される。これら方法によって評価した多数の配列により、G、S、T、E、P、及びAの配列モチーフから作出され、限られた反復性(いずれか1つのモチーフにおける、2つ以下の同一の連続したアミノ酸として定義される)を有し、長さが約400アミノ酸残基より長いXTENは、ごく限られた二次構造しかもたないと予測される。3つの連続したセリンを含むモチーフを除外すると、表1の配列モチーフの任意の順序又は組み合わせは、実質的に二次構造を含まないXTEN配列を生じるであろう、約400残基を超える長さのXTENポリペプチドを作出するために用いることができると考えられる。そのような配列は、本明細書において開示した、本発明のGHXTEN実施形態で記載した特徴を有すると予測される。
【0380】
表27:ポリペプチド配列のCHOU−FASMAN及びGOR予測計算
【表27-1】
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【表27-2】
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【表27-3】
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【表27-4】
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【表27-5】
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【表27-6】
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【表27-7】
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【表27-8】
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【表27-9】
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*H:アルファーヘリックスE:ベータシート


【0381】
実施例44:ポリペプチド配列の反復性の解析
ポリペプチド全体に見られるより短い部分列の回数を定量することにより、ポリペプチドアミノ酸配列の反復性を評価することができる。例えば、200アミノ酸残基のポリペプチドは、オーバーラップしている192個の、9アミノ酸の部分列(又は9−mer「フレーム」)を含むが、ユニークな9−mer部分列の回数は、その配列中の反復性の量に依存するであろう。本解析においては、ポリマー部分の最初の200アミノ酸配列中にあるユニークな3−mer部分列の絶対数で割った、その200アミノ酸にわたって存在する、各3アミノ酸フレームについてのユニークな3−mer部分列の数を総和することにより、異なる配列の反復性を評価した。得られた部分列スコアは、そのポリペプチドの反復性の度合いを反映するものである。
【0382】
表28に示した結果は、2又は3アミノ酸型の非構造性ポリペプチドは高い部分列スコアを有するが、アミノ酸G、S、T、E、P、及びAの12アミノ酸モチーフからなる、内部の反復性が低い非構造性ポリペプチドは、10未満、いくつかの例においては5未満の部分列スコアを有することを示す。例えば、2つのアミノ酸型を有し、短く、かつ反復性の高い配列を有するL288配列の部分列スコアは50.0である。3つのアミノ酸型を有するが、短く、かつ反復性の配列を有するポリペプチドJ288の部分列スコアは33.3である。Y576もまた3つのアミノ酸型を有するが、内部の反復性は形成されておらず、このことは、最初の200アミノ酸にわたる部分列スコアが15.7であることに反映される。W576は4つのアミノ酸型を含むが、内部反復性の度合いが高く、例えば「GGSG」(配列番号649)、23.4の部分列スコアを生じる。AD576は4つの型の12アミノ酸モチーフを含み、それぞれが4つの型のアミノ酸からなる。個々のモチーフの内部反復性の度合いが低いことから、最初の200アミノ酸全体の部分列スコアは13.6である。一方、それぞれにおける内部反復性の度合いが低い、6型のアミノ酸を含む4種類のモチーフからなるXTENの部分列スコアはより低く、すなわち、AE864(6.1)、AF864(7.5)、及びAM875(4.5)である。

【0383】
まとめ:結果は、それぞれが4〜6型のアミノ酸を含む、12アミノ酸部分列モチーフの組み合わせは本質的に非反復性であり、より長いXTENポリペプチドにしても、配列全体が非反復性となることを示す。このことは、配列全体にわたって、各部分列モチーフが複数回用いられることには関わらない。一方、実際の配列は、部分列スコアをより低くするため、反復性の度合いが低くなるように設計することができるが、より少数のアミノ酸型から作出されたポリマーの部分列スコアはより高くなる。
【0384】
表28:ポリペプチド配列の部分列スコアの計算
【表28-1】
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【表28-2】
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【表28-3】
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【表28-4】
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【0385】
実施例45:TEPITOPEスコアの算出
9merペプチド配列のTEPITOPEスコアを、Sturnioloによって記載されたように[Sturniolo, T., et al. (1999) Nat Biotechnol, 17: 555]、ポケットポテンシャルを加算することにより算出することができる。本実施例においては、個々のHLAアレルについて、別個のTEPITOPEスコアを算出した。表29は例として、コーカサス(白人)集団では高い頻度で生じる、HLA*0101Bのポケットポテンシャルを示す。配列P1−P2−P3−P4−P5−P6−P7−P8−P9を含むペプチドのTEPITOPEスコアを算出するために、対応する個々のポケットポテンシャルを表29に加えた。配列FDKLPRTSG(配列番号667)を有する9merペプチドであるHLA*0101Bのスコアは、0、−1.3、0、0.9、0、−1.8、0.09、0、0の総和となるだろう。

【0386】
配列中にある、全ての9mer部分列についての処理を繰り返すことで、長いペプチドのTEPITOPEスコアを評価することができる。その他のHLAアレルによってコードされたタンパク質について、この処理を繰り返すことができる。表30〜33は、コーカサス(白人)集団では高い頻度で生じるHLAアレルのタンパク質産物のポケットポテンシャルを示す。
【0387】
この方法によって算出されたTEPITOPEスコアは、およそ−10から+10までの範囲になる。しかしながら、P1位置に疎水性アミノ酸(FKLMVWY(配列番号668))をもたない9merペプチドのTEPITOPEスコアは−1009から−989の範囲になると算出された。この値は生物学的に意味をもたず、疎水性アミノ酸がHLAへの結合におけるアンカー残基となることを反映するものであり、そして、P1に疎水性残基をもたないペプチドはHLAに対して結合しないと考えられる。大部分のXTEN配列は疎水性残基を有さないことから、9mer部分列の、全組み合わせのTEPITOPEの範囲は、−1009から−989になるであろう。この方法は、XTENポリペプチドがT細胞エピトープをほとんどもたない、又は全くもたないということを確認するものである。

【0388】
表29:HLA*0101Bアレルのポケットポテンシャル
【表29】
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【0389】
表30:HLA*0301Bアレルのポケットポテンシャル
【表30】
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【0390】
表31:HLA*0401Bアレルのポケットポテンシャル
【表31】
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【0391】
表32:HLA*0701Bアレルのポケットポテンシャル
【表32】
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【0392】
表33:HLA*1501Bアレルのポケットポテンシャル
【表33】
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【0393】
表34:生理活性の具体例、アッセイの具体例及び好ましい指標
【表34-1】
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【表34-2】
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表35:成長ホルモン及び単一のXTENを含むGHXTENの具体例
【表35-1】
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【表35-33】
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*配列名は、成長因子及びXTEN構成要素のN末端側からC末端側への配置を反映する

表36:成長ホルモン及び2つのXTEN配列を含むGHXTENの具体例
【表36-1】
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【表36-63】
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*配列名は、成長因子及びXTEN構成要素のN末端側からC末端側への配置を反映する

表37:成長ホルモン、XTEN及び開裂配列を含むGHXTENの具体例
【表37-1】
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【表37-2】
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*配列名は、成長因子、開裂配列及びXTEN構成要素のN末端側からC末端側への配置を反映する
図1
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図2
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図3-1】
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図3-2】
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図4
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図5
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図6
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図7
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図8
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図9
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図10
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図19
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図21
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図22
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図23
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図24
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図26
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]