(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部通路の第1のテーパ部分を有している集束原動力セクションと、前記内部通路の第2のテーパ部分を有している発散排出セクションと、少なくとも1つの吸引ポートと、表面を形成した筐体と、前記集束原動力セクションの前記第1のテーパ部分の出口端と前記発散排出セクションの前記第2のテーパ部分の入口端との間の直線距離であるベンチュリギャップと、を画定する本体部であって、前記筐体は前記発散排出セクションの一部を取り囲み、且つ前記ベンチュリギャップを含んだ、本体部と、
前記ベンチュリギャップと前記吸引ポートとに流体接続された第1のチェック弁と、
前記ベンチュリギャップの下流において前記発散排出セクションの前記内部通路の前記第2のテーパ部分の内部に空隙を形成していると共に、前記筐体の内部に含まれている複数の第2のギャップであって、前記第2のギャップそれぞれが、前記第2のギャップに流体接続されているチェック弁を有している、複数の前記第2のギャップと、
を備える、空気圧作動式真空ポンプにおいて、
複数の前記第2のギャップが、少なくとも1つの前記吸引ポートから空気を引き込む、空気圧作動式真空ポンプ。
前記コンプレッサの下流に配置されたスロットルを更に備え、前記イジェクタの前記発散排出セクションは、前記コンプレッサの下流の位置において、前記吸気マニフォールドに流体接続される、請求項7に記載のシステム。
空気清浄器とスロットルとを更に備え、前記スロットルは、前記空気清浄器の下流且つ前記エンジンの前記吸気マニフォールドの上流に配置される、請求項13に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、本発明の一般的な原理を示し、その例は、添付の図面において追加的に示される。図面において、類似の参照番号は同一の要素または機能的に同様の要素を指す。本明細書において使用されるとき、流体という用語は、任意の液体、懸濁液、コロイド、気体、プラズマまたはそれらの組み合わせを含み得る。
【0010】
図1を参照すると、車両真空システムに真空を提供するための例示的システム10が開示される。システム10は、内燃機関12と、空気圧作動式真空ポンプ20と、コンプレッサ24と、タービン26と、真空溜めまたはキャニスタ30と、真空消費デバイス32と、を含み得る。内燃機関12は、例えば、火花点火(SI:spark ignited)エンジン、圧縮点火(CI:compression ignition)エンジン、または天然ガスエンジンであってよい。一実施形態において、内燃機関12は、ハイブリッド車両の一部である電気モータ/バッテリシステムに含まれ得る。コンプレッサ24およびタービン26は、内燃機関12の出力および全体的な効率を向上させるためのターボ過給機の一部であってよい。タービン26は、排気エネルギーを利用するとともに共通シャフト40を通じて排気エネルギーを機械的仕事に変換して、コンプレッサ24のコンプレッサホイール(図示略)を回転させるタービンホイール(図示略)を含み得る。コンプレッサホイールは、空気を取込み、圧縮し、上昇された動作圧力で内燃機関12の吸気マニフォールド42に送る。
【0011】
真空キャニスタ30は、空気圧作動式真空ポンプ20を介して内燃機関12の吸気マニフォールド42から真空を供給され得る。圧力調節器44は、コンプレッサ24からの大気圧よりも高い圧力(ブースト圧力)の圧縮空気が空気圧作動式真空ポンプ20を通過することを可能にするために、選択的に開かれるように制御可能である。圧縮空気は、空気圧作動式真空ポンプ20を通過して、空気圧作動式真空ポンプ20内に低圧領域を生成し、それによって真空キャニスタ30のための真空源を提供する。代替的実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ20は、真空消費デバイス32に直接的に真空を供給してよい。真空消費デバイス32は、ブレーキブースタなどの真空を必要とするデバイスであってよい。一実施形態において、真空消費デバイス32は、例えば、ターボ過給機ウエィストゲートアクチュエータ、加熱および通気アクチュエータ、動力伝達系統アクチュエータ(例えば、四輪駆動アクチュエータ)、燃料蒸気パージシステム、エンジンクランクケース通気、および燃料システム漏れ試験システムなどの追加的な真空消費体もまた含んでよい。
【0012】
空気圧作動式真空ポンプ20を流れる圧縮空気は、大気と同一か概して同様の条件またはブースト圧力よりも低い圧力にあるシステム10の任意の部分に排出されてよい。
図1に示される非限定的な実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ20は、圧縮空気を大気に排出してよい。代替的実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ20を流れる圧縮空気は、コンプレッサ24の下流の位置において、吸気マニフォールド42に戻されてよい。別の実施形態において、任意選択的なスロットル46がコンプレッサ24の下流に含まれてよい。空気圧作動式真空ポンプ20を流れる圧縮空気は、コンプレッサ24およびスロットル46の両方よりも下流の位置において、吸気マニフォールド42に戻されてよい。
【0013】
図1〜
図11に示される実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ20は、イジェクタ52である。すなわち、空気圧作動式真空ポンプ20は、大気圧よりも高い圧力源(例えば、コンプレッサ42からのブースト圧力)に接続され、ブースト圧力よりも低いシステム10の任意の部分に空気を排出する。しかしながら、代替的実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ20は、ブーストされたエンジンを含み得ない(すなわち、ターボ過給機のない)システムにおいて、アスピレータとして使用されてよいことを理解されたい。換言すれば、アスピレータは、自然吸気の内燃機関を採用するシステムにおいて使用され得、そこでは、吸気はもっぱら大気圧に依存する。この構成は
図12に示され、以下により詳細に説明される。
【0014】
図2〜
図3を参照すると、イジェクタ52の本体部22は、軸A-Aに沿って延びる通路50(
図3に示される)を画定し得る。示される実施形態において、イジェクタ52の本体部22は、内燃機関12(
図1)のサブシステムに接続可能な4つのポートを含む。具体的には、
図1〜
図3を参照すると、イジェクタ52は、コンプレッサ42に流体接続されてそこから圧縮空気を供給する原動力ポート58と、真空キャニスタ30に流体接続された2つの吸引ポート60と、大気またはブースト圧力よりも低い圧力のいずれかに流体接続されてそこへ空気を排出する排出ポート62と、を含み得る。図示された非限定的な実施形態において、イジェクタ52は、2つの吸引ポート60を含み、吸引ポート60のうちの1つは、イジェクタ52の上部66に沿って配置され、残りの吸引ポート60はイジェクタ52の底部68に沿って配置される。しかしながら、別の実施形態において、イジェクタ52の上部66または底部68のいずれかに沿って配置された1つのみの吸引ポート60もまた使用され得ることを理解されたい。
【0015】
図3を参照すると、イジェクタ52の通路50は、通路50の原動力セクション70に第1のテーパ部分72(原動力コーンとも呼ばれる)を含み得る。通路50は、通路50の排出セクション72に第2のテーパ部分73(排出コーンとも呼ばれる)も含み得る。通路50の第1のテーパ部分72は、入口端84と出口端86とを含み得る。同様に、通路50の第2のテーパ部分73もまた、入口端88と出口端90と含み得る。
【0016】
図3に見られるように、イジェクタ52の第1のテーパ部分72は、ベンチュリギャップ82Aによって第2のテーパ部分73に流体結合され得る。ベンチュリギャップ82Aは、吸引ポート60をイジェクタ52の原動力セクション70および排出セクション72に流体連通させる流体接合部であってよい。詳細には、ベンチュリギャップ82Aは、第1のテーパ部分72の出口端86と第2のテーパ部分73の入口端88との間で測定された直線距離Lであってよい。
【0017】
イジェクタ52の通路50の入口端84、88および出口端86、90は、円形、楕円形、または他の多角形状などの任意のタイプのプロファイルを含み得るが、それらに限定されない。更には、通路50の入口端84、88および出口端86、90から延びる徐々におよび連続的に先細りになる内径は、双曲線体または円錐体を画定し得る。第1のテーパ部分72の出口端86および第2のテーパ部分73の入口端88のいくつかの例示的構成は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2014年6月3日に出願された同時継続の米国特許出願第14/294,727号の
図4〜
図6において提示されている。
【0018】
複数の追加的なギャップ82B、82C、82Dが、イジェクタ52の第2のテーパ部分73に沿って、ベンチュリギャップ82Aの下流に配置されてよい。実施形態において、図面に示されるように、イジェクタ52は、合計で4つのギャップを含み、3つのギャップ82B、82C、82Dはベンチュリギャップ82Aの下流に配置される。この図はイジェクタ52の単なる例示的実施形態であることを理解されたい。ベンチュリギャップ82Aの下流に任意の数のギャップが配置されてよいことを当業者は容易に理解するであろう。イジェクタ52の本体部22は、筐体80を画定し得る。筐体80は、イジェクタ52の第2のテーパ部分73の一部分を取り囲み得、ギャップ82A、82B、82C、82Dを内部に含み得る。示される実施形態においては、筐体80は全体として長方形のプロファイルを含むことができるが、筐体80は長方形のプロファイルに限定されるわけではない。
【0019】
各ギャップ82A、82B、82C、82Dは、筐体80内に配置された空隙であってよい。具体的には、ギャップ82A、82B、82C、82Dはそれぞれ、筐体80の内側断面と相似であってよい。例えば、
図5B〜
図5Cに見られるように、ギャップ82Aは、筐体80の内側断面に実質的に対応する、全体として長方形のプロファイルを含み得る。
図3に戻ると、イジェクタ52の第1のテーパ部分72を通る原動力空気の流れは、速度を増し得るが、低静圧力を生成する。この低静圧力は、吸引ポート60からベンチュリギャップ82A内へと空気を吸い込む。ベンチュリギャップ82Aの下流に配置された残りのギャップ82B、82C、82Dも、吸引ポート60から空気を更に吸い込むために使用され得、このことは以下により詳細に説明される。
【0020】
図3〜
図4を参照すると、筐体80は、上面90と底面92とを含み得る。イジェクタ52が組み付けられたときに、上側チェック弁要素94および上側吸引キャップ96は、上面90に対向して位置され得、下側チェック弁要素100および下側吸引キャップ102は、底面92に対向して位置され得る(
図2に示される)。上側チェック弁要素94および下側チェック弁要素100の両方が示されているが、別の実施形態において、筐体80は、上側チェック弁要素94または下側チェック弁要素100のいずれかのみを含んでもよいことを理解されたい。具体的には、上側チェック弁要素94は、上側吸引キャップ96と筐体80の上面90との間に位置され得、下側チェック弁要素100は、下側吸引キャップ102と筐体80の底面92との間に位置され得る。一実施形態において、上側吸引キャップ96および下側吸引キャップ102はそれぞれ、吸引ポート60を真空キャニスタ30(
図1)に接続するホース(図示略)と結合する戻り部(barb)(図示略)を含み得る。
【0021】
上側チェック弁要素94および下側チェック弁要素100はそれぞれ、例えばエラストマーなどの比較的柔軟な材料で構成され得る。柔軟な材料は、上側チェック弁要素94および下側チェック弁要素100がイジェクタ52の動作中に屈曲または変形することを可能にし、このことは
図5B〜
図5Cに示され、以下により詳細に説明される。
図4に戻ると、上側チェック弁要素94は第1のセクション110を含み得、下側チェック弁要素100は第1のセクション112を含み得る。上側チェック弁要素94および下側チェック弁要素100の第1のセクション110、112はそれぞれ、イジェクタ52の軸A-Aに略平行である。外側に向かって突出する複数の指部またはタブ116A、116B、116C、116Dは、外側に向かって、上側チェック弁要素94の第1のセクション110に対して全体的に横切る方向に延び得る。同様に、外側に向かって突出する複数の指部またはタブ120A、120B、120C、120Dは、下側チェック弁要素100の第1のセクション112に対して全体的に横切る方向に延びる。
【0022】
上側チェック弁要素94のタブ116A、116B、116C、116Dのそれぞれは、ギャップ82A、82B、82C、82Dのうちの1つに対応し得、流体接続される。同様に、下側チェック弁要素100のタブ120A、120B、120C、120Dのそれぞれもまた、ギャップ82A、82B、82C、82Dのうちの1つに対応し得、流体接続される。
図4に見られるように、凹部124が、下側吸引キャップ102の上部面126に沿って配置され得る。凹部124は、下側チェック弁要素100に全体的に対応するプロファイルを含み得る。したがって、下側チェック弁要素100は、下側吸引キャップ102の凹部124内に着座され得る。同様の凹部128(
図5B〜
図5Cに示される)もまた、上側吸引キャップ96の下部面130に沿って配置され得、上側チェック弁要素94に全体的に対応するプロファイルを含むことが理解される。
【0023】
上側吸引キャップ96は、上側チェック弁要素94のタブ116A、116B、116C、116Dのうちの1つに対応する複数の開口132A、132B、132C、132Dを含み得る。各開口132A、132B、132C、132Dは、ギャップ82A、82B、82C、82Dのうちの対応するものをイジェクタ52の上側吸引ポート60および真空キャニスタ30(
図1)に流体接続するために使用され得る。同様に、下側吸引キャップ102は、下側チェック弁要素100のタブ120A、120B、120C、120Dのうちの1つに対応する複数の開口134A、134B、134C、134Dを含み得る。各開口134A、134B、134C、134Dは、ギャップ82A、82B、82C、82Dのうちの対応するものをイジェクタ52の下側吸引ポート60および真空キャニスタ30(
図1)に流体接続するために使用され得る。
【0024】
図5Aは、イジェクタ52の正面図であり、
図5B〜
図5Cは、
図5Aの断面線B-Bに沿ったイジェクタ52の透視図である。具体的には、断面線B-Bはギャップ82Aの位置に引かれている。したがって、
図5Bおよび
図5Cは両方とも、上側チェック弁要素94のタブ116Aおよび下側チェック弁要素100のタブ120Aを示す。
図5Bは、閉位置にあるタブ116Aおよび120Aを示した図であり、
図5Cは、開位置にあるタブ116Aおよび120Aを示した図である。
【0025】
図5Bを詳細に参照すると、イジェクタ52の上側吸引ポート60内の圧力がベンチュリギャップ82A内の圧力に等しいかそれよりも小さいとき、上側チェック弁要素94は、上側吸引キャップ96内で平らに着座され得、タブ116Aは屈曲されない。同様に、イジェクタ52の下側吸引ポート60(
図1)内の圧力がベンチュリギャップ82A内の圧力に等しいかそれよりも小さいとき、下側チェック弁要素100は、下側吸引キャップ102内で平らに着座され得、タブ120Aは屈曲されない。チェック弁94、100が閉位置にあるとき、イジェクタ52の上側および下側吸引ポート60(
図1)からの空気は、ベンチュリギャップ82A内に吸引され得ない。
【0026】
次に
図5Cを参照すると、イジェクタ52の上側吸引ポート60内の圧力がベンチュリギャップ82A内の圧力よりも大きいとき、上側チェック弁要素94は開き得る。具体的には、上側チェック弁94は、タブ116Aが第1の部分110に沿って内側に、ベンチュリギャップ82Aに向かって屈曲し得るのに十分なほど柔軟であり、それによって、上側吸引ポート60からの空気が、ベンチュリギャップ82A内に吸引されることを可能にする。同様に、イジェクタ52の下側吸引ポート60内の圧力がベンチュリギャップ82A内の圧力よりも大きいとき、下側チェック弁要素100は開き得る。具体的には、下側チェック弁100は、タブ120Aが第1の部分112に沿って内側に、ベンチュリギャップ82Aに向かって屈曲し得るのに十分なほど柔軟であり、それによって、下側吸引ポート60からの空気がベンチュリギャップ82A内に吸引されることを可能にする。
【0027】
図5B〜
図5Cは、ベンチュリギャップ82Aに対応するチェック弁のみを示しているが、残りのギャップ82B、82C、および82Dも同様に動作することを当業者は容易に理解するであろう。上側チェック弁要素94のタブ116A、116B、116C、116Dのそれぞれは、互いに独立して屈曲し得ることも理解されたい。同様に、下側チェック弁要素100のタブ120A、120B、120C、120Dのそれぞれは、互いに独立して屈曲し得る。したがって、イジェクタ52の動作中に、真空キャニスタ30(
図1)から空気が吸引されることを可能にするためにギャップ82A、82B、82C、82Dの一部分のみが対応するチェック弁を開いてよく、残りのギャップ82A、82B、82C、82Dはそれらの対応するチェック弁を閉じてよい。
【0028】
図6〜
図7は、例示的動作条件の第1のセットの間のイジェクタ52を示した図である。具体的には、
図6は、例示的動作条件の間の圧力プロファイルを示し、
図7は対応する速度プロファイルを示す。
図6〜
図7に示される実施形態において、イジェクタ52内の最大圧力は第1のテーパ部分72に位置し、イジェクタ52内の最小圧力は第2のテーパ部分73に位置する。詳細には、イジェクタ52内の最小圧力は、第2のテーパ部分73において第3のギャップ82Cと第4のギャップ82Dとの間にある。
【0029】
引き続き
図6〜
図7の両方を参照すると、イジェクタ52は、最大速度の位置を含み得る。最大速度の位置はイジェクタ52内の最小圧力の位置と同一である。したがって、
図7を参照すると、イジェクタ52内の最大速度の位置は、第2のテーパ部分73において第3のギャップ82Cと第4のギャップ82Dとの間にある。
【0030】
図8は、
図6〜
図7に示されるイジェクタ52の動作条件の概要を示す。図示される実施形態において、イジェクタ52の原動力圧力は、約201,325パスカルであり、イジェクタ52の排出圧力は約101,325パスカルである。真空キャニスタ30(
図1)内の圧力は、約100,000パスカルから約65,420パスカルの範囲であり得る。具体的には、イジェクタ52は、100,000パスカルの真空キャニスタ30から、真空キャニスタ30の内部圧力が約65,420パスカルに到達するまで、空気を吸引するために使用され得る。
図6〜
図7は、真空キャニスタ30が約65,420パスカルの最小圧力にあるときのイジェクタ52の圧力および速度のプロファイルを示す。
【0031】
図8は、ギャップ82A〜82Dが閉じ得る(すなわち、対応するチェック弁要素94、100が、
図5Bに見られるように閉位置にあり、もはや真空キャニスタ30から空気が吸引されることを許容しない)圧力も示す。例えば、
図2および
図6〜
図8を参照すると、ギャップ82B内の圧力が80,155パスカルに到達するまでギャップ82Bは真空キャニスタ30から空気を吸引し続ける。次いで、チェック弁タブ116Bが閉じる。ベンチュリギャップ82Aが77,935パスカルに到達するまでベンチュリギャップ82Aは真空キャニスタ30から空気を吸引し続ける。次いで、チェック弁タブ116Aが閉じる。ギャップ82Cが67,841パスカルに到達するまでギャップ82Cは真空キャニスタ30から空気を吸引し続ける。次いで、チェック弁タブ116Cが閉じる。最終的に、真空キャニスタ30が65,420パスカルに到達すると、チェック弁タブ116Dが閉じる。
【0032】
図9〜
図10は、例示的動作条件の別のセットの間のイジェクタ52を示した図である。具体的には、
図9は、例示的動作条件の間の圧力プロファイルを示し、
図10は対応する速度プロファイルを示す。
図11は、
図9〜
図10に示されるイジェクタ52の動作条件の概要を示す。図示される実施形態において、イジェクタ52の原動力圧力は、約241,325パスカルであり、イジェクタ52の排出圧力は約101,325パスカルである。真空キャニスタ30(
図1)内の圧力は、約100,000パスカルから約57,440パスカルの範囲であり得る。
【0033】
図9〜
図11に示される実施形態において、イジェクタ52内の最小圧力は、
図6〜
図7に示されるイジェクタ52と比べると、第2のテーパ部分73内で下流にシフトしている。具体的には、イジェクタ52内の最小圧力は、このときには第4のギャップ82Dの下流に位置する。イジェクタ52の原動力圧力が増加するにつれ、イジェクタ52内の最小圧力の位置は、第2のテーパ部分73内で下流にシフトまたは移動し得ることを当業者は容易に理解するであろう。例えば、
図6〜
図7および
図9〜
図10を全体的に参照すると、原動力圧力は、(
図6〜
図7に見られる)約201,325パスカルから(
図9〜
図10に見られる)約241,325パスカルに増加している。それ故に、イジェクタ52内の最小圧力もまた同様に、イジェクタ52の第2のテーパ部分73内で下流にシフトしている。
【0034】
1つまたは複数のギャップ(例えば、ギャップ82B、82C、82D)をベンチュリギャップ82Aの下流に配置することは、イジェクタ52の第2のテーパ部分73内で下流にシフトする最小圧力を利用することを理解されたい。具体的には、イジェクタ52内への原動力圧力が増加するとき、たとえイジェクタ52内の最小圧力がイジェクタ52の第2のテーパ部分73内で下流にシフトしても、(
図3および
図5B〜
図5Cに示される)ギャップ82B、82C、82Dおよびそれらに対応するチェック弁は、真空キャニスタ30から空気を吸引し続けることができる。換言すれば、イジェクタ52内の最小圧力の位置が下流にシフトすると、ギャップ82B、82C、82Dが、真空キャニスタ30から空気を更に吸引するために使用され得る。したがって、たとえ原動力ポート58における原動力圧力が増加しても、イジェクタ52は空気を吸引するために使用され得る。対照的に、原動力圧力が約192,000パスカルを超えると、現在のイジェクタは、大気圧よりも低い圧力では吸引を生じさせることができず、最大真空は約135,000パスカルよりも低い原動力圧力で生じる。
【0035】
図12は、車両真空システムに真空を提供するためのシステム110を示す代替的実施形態である。システム110は、内燃機関112と、空気圧作動式真空ポンプ120と、スロットル124と、空気清浄器126と、真空キャニスタ130と、真空消費デバイス132と、を含み得る。スロットル124は、空気清浄器126の下流、かつ内燃機関112の吸気マニフォールド142の上流に配置され得る。
図1に示される実施形態とは異なり、内燃機関112は自然吸気であり、ブーストされない(すなわちターボ過給機が含まれない)。
【0036】
真空キャニスタ130は、内燃機関112の吸気マニフォールド142から真空を供給され得る。追加的に、真空キャニスタ130は、空気清浄器126および空気圧作動式真空ポンプ120を介して、大気からも真空を供給され得る。空気圧作動式真空ポンプ120は、スロットル124の上流で空気清浄器126から清浄な空気を供給される。清浄な空気は、空気圧作動式真空ポンプ120を通過して低圧領域を生成し、それによって真空キャニスタ130のための真空源を提供する。代替的実施形態において、空気圧作動式真空ポンプ120は、真空消費デバイス132に直接的に真空を供給してもよい。空気圧作動式真空ポンプ120を流れる空気は、スロットル146の下流の位置において、吸気マニフォールド42に排出されてよい。
【0037】
図12に示される空気圧作動式真空ポンプ120は、上述の
図2〜
図11に示された空気圧作動式真空ポンプ20と同一の内部構造を含む。しかしながら、空気圧作動式真空ポンプ120は、システム110内でアスピレータ152として働く。このことは、空気圧作動式真空ポンプ120は、大気圧の清浄な空気を供給される原動力ポート158と、真空キャニスタ130に接続する1つまたは複数の吸引ポート160と、スロットル146の下流のエンジン吸気マニフォールド142に接続される排出ポート162と、を含むことを意味する。更には、
図1〜
図11に示されたイジェクタ52とは異なり、アスピレータ152の原動力圧力は、典型的には大気圧(約101,325パスカル)である。換言すれば、アスピレータ152の原動力圧力は実質的に変化せず、典型的には大気圧である。代わりに、排出圧力は、吸気マニフォールド142内の圧力の関数として変化し得る。
【0038】
図13〜
図14は、例示的動作条件の間のイジェクタ152を示した図である。具体的には、
図13は、例示的動作条件の間の圧力プロファイルを示し、
図14は対応する速度プロファイルを示す。
図13〜
図14に示される実施形態において、原動力ポート158におけるアスピレータ152の圧力は約大気圧(101,325パスカル)であり、排出ポート162におけるアスピレータ152の圧力は約41,325パスカルである。アスピレータ152内の最小圧力は第2のテーパ部分173に位置する。詳細には、アスピレータ152内の最小圧力は、第2のテーパ部分173においてベンチュリギャップ182Aにある。
【0039】
引き続き
図13〜
図14の両方を参照すると、アスピレータ152は、最大速度の位置を含み得る。最大速度の位置はアスピレータ152内の最小圧力の位置と同一である。したがって、
図14を参照すると、アスピレータ152内の最大速度の位置は、ベンチュリギャップ182Aの第2のテーパ部分173にある。
図15は、
図13〜
図14に示されるアスピレータ152の動作条件の概要を示す。真空キャニスタ30(
図1)内の圧力は、約100,000パスカルから約58,900パスカルの範囲であり得る。具体的には、アスピレータ152は、100,000パスカルの真空キャニスタ30から、真空キャニスタ30の内部圧力が約58,900パスカルに到達するまで、空気を吸引するために使用され得る。
図13〜
図14は、真空キャニスタ30が約58,900パスカルの最小圧力にあるときのアスピレータ152の圧力および速度のプロファイルを示す。
【0040】
図16〜
図17は、例示的動作条件の第2のセットの間のアスピレータ152を示した図である。具体的には、排出ポート162におけるアスピレータ152の圧力は約61,325パスカルに減少している。
図18は、
図16〜
図17に示されるアスピレータ152の動作条件の概要を示す。真空キャニスタ30(
図1)内の圧力は、約100,000パスカルから約39,900パスカルの範囲であり得る。
図16〜
図18に示される実施形態において、アスピレータ152内の最小圧力は、
図13〜
図15に示されるアスピレータ152と比べると、第2のテーパ部分173内で下流にシフトしている。具体的には、アスピレータ152内の最小圧力は、このときにはベンチュリギャップ182Aとギャップ182Bとの間に位置する。更には、排出ポート162におけるアスピレータ152の圧力が減少するにつれ、アスピレータ152が生じさせる真空の量は増加し得る。換言すれば、アスピレータ152が真空キャニスタ30(
図1)から吸引し得る空気の量が増加する。
【0041】
図19〜
図20は、例示的動作条件の第3のセットの間のアスピレータ152を示した図である。具体的には、排出ポート162におけるアスピレータ152の圧力は約41,325パスカルに減少している。
図21は、
図19〜
図20に示されるアスピレータ152の動作条件の概要を示す。真空キャニスタ30(
図1)内の圧力は、約100,000パスカルから約28,400パスカルの範囲であり得る。
図19〜
図21に示される実施形態において、アスピレータ152内の最小圧力は、
図13〜
図15および
図16〜
図18に示される動作条件の両セットと比べると、第2のテーパ部分173内で下流にシフトしている。更には、アスピレータ152が生じさせる真空の量は、39,900パスカル(
図16〜
図18)から28,400パスカルに更に増加していることにも留意されたい。
【0042】
図13〜
図21を全体的に参照すると、排出ポート162におけるアスピレータ152の圧力が81,325パスカルから41,325パスカルに減少するにつれ、アスピレータ152が生じさせる真空の量は増加し得る。開示されたアスピレータ152は、様々な動作条件において、排出圧力よりも低い吸引圧力を真空キャニスタ130へと提供し続けるので、アスピレータ152の利点および有益性を当業者は容易に理解するであろう。更には、任意の所与の排出圧力に対して、真空キャニスタ130内の圧力がアスピレータ152によって生み出される圧力よりも高いならば、吸引流がアスピレータ152内の複数のギャップ182A、182B、182C、182D(すなわち、ギャップのうちの2つ、3つ、更には4つ全てでさえ)の中を進行し得る可能性がある。結果的に、これは、現在入手可能な従来のアスピレータと比べて、アスピレータ152からの吸引流量を増加し得る。アスピレータ152によって生み出された増加された吸引流量は、キャニスタ130の排出のために要する時間の短縮のため、および/または吸引流を生み出すために使用される原動力流の減少のために使用され得る。
【0043】
図面に示され、上述された本発明の実施形態は、添付の特許請求の範囲内でなされ得る数多くの実施形態の例示である。本開示の数多くの他の構成が、開示された手法を利用して創出され得ることが意図される。要するに、本明細書から生じる特許の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることが出願人の意図するところである。