特許第6543747号(P6543747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543747特に高架またはガントリークレーン用クレーンガーダ、およびこれを含むクレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543747
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】特に高架またはガントリークレーン用クレーンガーダ、およびこれを含むクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 6/00 20060101AFI20190628BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20190628BHJP
   B66C 17/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B66C6/00
   B66C19/00 A
   B66C17/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-103902(P2018-103902)
(22)【出願日】2018年5月30日
(62)【分割の表示】特願2016-568431(P2016-568431)の分割
【原出願日】2015年5月21日
(65)【公開番号】特開2018-158843(P2018-158843A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】102014107323.1
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516083449
【氏名又は名称】コネクレーンズ グローバル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Konecranes Global Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】パスマン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クライスナー、リカルド
(72)【発明者】
【氏名】シュリーアバッハ−クノブロッホ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ノル、 シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュルト、フランツ
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/144314(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/144319(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102012109588(DE,A1)
【文献】 特開2007−223699(JP,A)
【文献】 実開昭49−148650(JP,U)
【文献】 特開2002−005138(JP,A)
【文献】 実開昭54−015980(JP,U)
【文献】 実開昭60−137782(JP,U)
【文献】 特開2014−058365(JP,A)
【文献】 実開昭49−148653(JP,U)
【文献】 米国特許第4863044(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第103601083(CN,A)
【文献】 特表2000−509779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 5/00─ 7/16
B66C 9/00─11/26
B66C 17/00─17/26
B66C 13/00─15/06
B66C 19/00─23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン(1)用クレーンガーダ(2)であって、上記クレーンガーダ(2)は、昇降装置を有する移動可能なクレーントロリーを支持するように構成されており、上記クレーンガーダは、上部コード(3)、下部コード(4)およびこれらを連結するブレース(5)をもつトラス型ガーダとして形成されており、上記ブレース(5)の少なくとも1つは板状に形成されているとともに、上記クレーンガーダ(2)の長手方向(LR)に対して横方向に延びる主面部(5a)を有しているものにおいて、上記ブレース(5)は上記上部コード(3)および上記下部コード(4)のいずれか1つに、プラグイン接合部(13)によって、脱着可能に固定されており、
少なくとも1つのプラグインショルダー部(5g)が、上記主面部(5a)の長辺側に形成されており、上記プラグイン接合部(13)を形成するべく、プラグインショルダー部(5g)は、上記上部コード(3)のプラグイン受容部(3f)にあるいは上記下部コード(4)のプラグイン受容部(4f)に挿入されており、
上記プラグイン接合部(13)は、上記上部コード(3)および上記下部コード(4)のいずれか上記1つに対する上記ブレース(5)の固定姿勢を規定することを特徴とする、クレーンガーダ(2)。
【請求項2】
上記ブレース(5)は、上記主面部(5a)を介して上記上部コード(3)および/または上記下部コード(4)に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項3】
上記ブレース(5)は、上記上部コード(3)および/または上記下部コード(4)のウエブ(3a,4a)に固定されており、かつ、上記ウエブ(3a,4a)は上記クレーンガーダ(2)の上記長手方向(LR)に対して好ましくは垂直に延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項4】
上記ブレース(5)は、ねじ接合部(12)により固定されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項5】
上記ねじ接合部(12)および上記プラグイン接合部(13)は、上記長手方向(LR)の横方向から見て、互いに隣接していることを特徴とする、請求項4に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項6】
上記ねじ接合部(12)は、上記主面部(5a)により形成される平面内に少なくとも一部が配置され、かつ、上記主面部(5a)と平行なねじ込み方向(ER)を有することを特徴とする、請求項4または5に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項7】
上記ねじ接合部12は、少なくとも1つのねじ(12a)と、上記主面部(5a)に固定されたスリーブ(12a)と、ナット(12c)とを含み、上記上部コード(3)または上記下部コード(4)のねじ通路(3g,4g)および上記スリーブ(12b)を通って案内される上記ねじ(12a)と上記スリーブ(12b)に支持されるとともに好ましくはプレスナットとして形成された上記ナット(12c)とにより、上記ブレース(5)が上記上部コード(3)および上記下部コード(4)に固定されていることを特徴とする、請求項4、5、またはに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項8】
上記ねじ接合部(12)は、クランプピン(12d)をさらに含み、これを通って上記ねじ(12a)が案内されるとともに、これに対して上記上部コード(3)および上記下部コード(4)が支持されていることを特徴とする、請求項7に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項9】
上記主面部(5a)は少なくとも1つの孔(5d)を有し、その縁部に対して上記スリーブ(12d)の外周面が接するとともに固定され、好ましくは溶接され、はんだ付けされ、または接着されていることを特徴とする、請求項7またはに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項10】
上記プラグイン受容部(3f,4f)は、上記主面部(5a)により形成される平面と平行な方向に延びていることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項11】
上記プラグイン接合部(13)は、上記主面部(5a)と平行なプラグイン方向(SR)を有することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれかに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項12】
上記プラグイン接合部(13)は、上記主面部(5a)と上記上部コード(3)または上記下部コード(4)との間に直接的に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項13】
上記上部コード(3)および上記下部コード(4)はさらに、上記クレーンガーダ(2)の長手方向(LR)に配置された複数のポスト(6)により互いに連結されていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項14】
上記上部コード(3)および上記下部コード(4)は、専ら脱着可能に相互に連結されていることを特徴とする、請求項1ないし13に記載のクレーンガーダ(2)。
【請求項15】
なくとも1つのクレーンガーダ(2)を含み、上記クレーンガーダ(2)は請求項1ないし14のいずれかに記載のように形成されたものであり、且つ、上記長手方向(LR)に水平に延びる、クレーン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレーン用クレーンガーダ、特に高架またはガントリークレーン用クレーンガーダに関し、上記クレーンガーダは、上部コード、下部コードおよび上記コードを互いに連結するブレースをもつトラス型ガーダとして設計されており、少なくとも1つの上記ブレースは板状に設計されており、かつ上記クレーンガーダの長手方向に対して横方向に延びる主面部を有する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1つの上記クレーンガーダを含むクレーン、特に高架またはガントリークレーンに関する。
【背景技術】
【0003】
トラス型ガーダとして設計されたガーダを含む高架クレーンは、ドイツ特許公開公報DE
10 2012 102 808 A1により公知である。このクレーンガーダは、上部コードおよび下部
コードを含み、これらは板状に設計されたブレースによって互いに連結されている。上記ブレースはそれぞれ、上記クレーンガーダの長手方向に対して横方向に延びる主面部を有し、それらの両端部が上記上部コードおよび下部コードに溶接されている。
【0004】
ドイツ実用新案公報DE 1 919 256 Uは、トラス型ガーダとして設計され、かつブレースがロッド形態で設計されるとともに上記下部コードにねじ付けられたクレーンガーダを開示する。同様のクレーンガーダはまた、米国特許公開公報US 2011/0180507 A1に開示されている。
【0005】
板状に設計され、かつ下部コードまたは上部コードにねじ付けられるブレースを含むトラス型ガーダは、ドイツ特許公開公報DE 1 907 455 Aにより公知であるが、このトラス型ガーダはクレーンガーダではない。
【0006】
さらに、ねじ付けられ、かつロッド状をしたブレースを含む橋梁のトラス型ガーダとして設計された支持構造は、ドイツ特許公報DE 943 424 Bにより公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ特許公開公報DE 10 2012 102 808 A1
【特許文献2】ドイツ実用新案公報DE 1 919 256 U
【特許文献3】米国特許公開公報US 2011/0180507 A1
【特許文献4】ドイツ特許公開公報DE 1 907 455 A
【特許文献5】ドイツ特許公報DE 943 424 B
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、とりわけ作製容易なクレーン用の、特に高架またはガントリークレーン用の改良されたクレーンガーダを提供することである。本発明の目的はまた、改良されたクレーンガーダを含むクレーンを提供することである。
【0009】
この目的は請求項1の特徴を含む特に高架またはガントリーのためのクレーン用クレーンガーダおよび請求項15の特徴を含むクレーンによって達成される。従属請求項2ないし14は本発明の有利な実施例を記述する。
【0010】
本発明によれば、特に高架またはガントリークレーンにおけるクレーン用クレーンガーダであって、上記クレーンガーダは、上部コード、下部コードおよびこれらを連結するブレースをもつトラス型ガーダとして形成されており、上記ブレースの少なくとも1つは板状に形成されているとともに、上記クレーンガーダの長手方向に対して横方向に延びる主面部を有しているものが、上記ブレースが上記上部コードおよび/または上記下部コードに脱着可能に固定されるという事実による有利な手法において改良される。その結果、上記クレーンガーダの個々のモジュールおよび組み立て体を、組み立てに先立って前もって作製するとともに、空間を節約して、かつこれによって簡便かつ低コストで設置場所へと運送することができる。したがって、伝統的な脱着不能な連結部を含むクレーンガーダと対照的に、このクレーンガーダは、設置場所での特に簡便な組み立てが可能となり、かつ比較的高価な工場製造および煩雑な運送を回避することができる。そして、形成が困難な溶接接合を回避することもできる。
【0011】
この場合、ブレースは斜めまたは傾斜延長部をもつトラス型構造の要素として一般的に考慮される。その結果、トラス型構造の上記ブレースは、専ら垂直に延びるとともにポストとして定義される要素とは異なる。
【0012】
板状の形状により、上記ブレースまたは面ブレースはそれらの長手軸の方向の、したがってそれらの平坦な主面部の拡張平面内の力を好ましく吸収する。そのような面要素または面支持構造は、拡張平面と垂直に重ねられる面要素または主面部がプレートとして定義されることから、工学的力学においてディスクとして定義される。ディスクおよび本発明にしたがう上記面ブレースは、例えばロッドやロッド型ポストとは異なり、それらの厚さ寸法はディスクの二次元的な広がりを決定する長さおよび幅寸法より小さい。したがって、板状ブレースはまた、面ブレースまたはディスクブレースとして定義することもできる。
【0013】
さらに、トラス型ガーダとして板状ブレースを持って製作される上記クレーンガーダは、その重量が著しく低減され、同時に、構造的に不必要な金属シート領域を省略するとともに関連する材料を節約することにより、最適化された荷重能力をもつ。
【0014】
有利な手法において、上記ブレースが上記主面部を介して上記上部コードおよび/または上記下部コードに固定されるということが行われる。上記ブレースの固定に上記主面部を取り入れることにより、上記上部コードまたは下部コードの上記ウエブの外側に形成される膜状接合部に関して上記ブレースの力の流れと座屈強度を最適化することができる。
【0015】
この場合、上記ブレースが上記上部コードおよび/または上記下部コードのウエブに固定され、かつ、上記ウエブが上記クレーンガーダの長手方向に対して好ましくは垂直に延びるということが構造的に簡単な手法で行われる。
【0016】
有利な手法において、上記ブレースは、ぴったりした固定またはぴったりした固定方法での固定が行われる。その結果として、上記クレーンガーダは特に簡単な手法で組み立ておよび分解が可能である。
【0017】
構造的に簡単な手法において、上記ブレースのねじ接合部による固定が行われる。
【0018】
上記クレーンガーダの簡単な実施例において、上記ねじ接合部は、少なくとも一部の上記主面部で形成される平面内での配置がなされ、好ましくは上記主面部と平行なねじ込み方向を有する。
【0019】
さらに、有利な手法において、上記ねじ接合部は、少なくとも1つのねじと、上記主面
部に固定されたスリーブと、ナットとを含み、上記上部コードまたは上記下部コードのねじ通路および上記スリーブを通って案内される上記ねじと上記スリーブに支持されるとともに好ましくはプレスナットとして形成された上記ナットとにより、上記ブレースが上記上部コードおよび上記下部コードに固定されるということが行われる。この手法により、簡単に作製されるとともに回転方向に固定される、上記上部コードまたは下部コードに対する脱着可能な固定が達成される。
【0020】
有利な手法において、上記ねじ接合部はクランプピンをさらに含み、これを通って上記ねじが案内されるとともに、これに対して上記上部コードおよび上記下部コードが支持されるということが行われる。上記クランプピンは、横力およびせん断力に関して、上記ねじ接合部の特に上記ねじの負担を緩和する。
【0021】
構造的に簡単な手法において、上記主面部は少なくとも1つの孔を有し、その縁部に対して上記スリーブの外周面が接するとともに固定され、好ましくは溶接され、はんだ付けされ、または接着されるということが行われる。上記孔は、上記スリーブと上記ブレースが好ましくは上記溶接、上記はんだ付けまたは上記接着接合により相互に固定される以前における上記ブレースに対する上記スリーブの位置決めを容易にする。さらに、上記ブレースが鋼板から作製される場合において、上記孔をレーザカッティングにより特に簡単に形成することができることにより、製作の困難性を低減することができる。
【0022】
特に有利な手法においてはまた、上記ブレースがプラグイン接合部で固定されるということが行われる。この手法は、上記ブレースが上記下部コードまたは上部コードに対する所望の固定位置にぴったりした固定方法で位置づけられることが可能なことから、実質的に組み立てを容易にする。いったん位置決めのための上記プラグイン接合部が形成されると、例えば上述したねじ接合部により、簡単な手法において、上記固定位置を解除可能にロックすることができる。
【0023】
さらに、有利な手法において、上記プラグイン接合部は上記主面部と平行なプラグイン方向を有することが行われる。
【0024】
特に有利な手法においては、上記プラグイン接合部は、特に、上記上部コードのプラグイン受容部または上記下部コードのプラグイン受容部に挿入される上記主面部の少なくとも1つのプラグインショルダー部により、上記主面部と上記上部コードまたは上記下部コードとの間に直接的に形成されるということが行われる。この場合、上記ブレースの上記プラグインショルダー部を上記下部コードまたは上部コードにおける対応するプラグイン受容部に押し込みまたは挿入することにより、上記ブレースが特に簡単に上記下部コードまたは上部コードに対して方向づけられ、これによりそれらは互いに係合し、かつ当接させられることになる。その結果、上記ブレースに対する上記下部コードまたは上部コードの相対位置は、回転および直線方向において簡単に固定できる。
【0025】
さらに、有利な手法において、上記上部コードおよび上記下部コードはさらに、当該クレーンガーダの長手方向に配置された複数のポストにより互いに連結されるということが行われる。これにより、上記上部コードまたは上記下部コードの座屈リスクをさらに効果的に低減することができる。このことはまた、上記クレーンガーダの荷重支持能力を高める。
【0026】
構造的に簡単な手法において、上記上部コードおよび上記下部コードは、専ら脱着可能に相互に連結されるということが行われる。
【0027】
本発明によれば、長手方向に水平に延びる少なくとも1つのクレーンガーダを含む特に
高架またはガントリークレーンが、上記クレーンガーダが上記した有利な実施例の一つにしたがって形成されることにより、有利に改良される。
【0028】
本発明の例示的な実施例が添付図面を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】単一ガーダクレーンとして設計され、本発明にしたがうクレーンガーダを含む高架型クレーンを示す。
図2図1に示すクレーンガーダの斜視図である。
図3図2に示すクレーンガーダの横断面図である。
図3a図3における細部Aの横断面図である。
図4図2に示すクレーンガーダの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、単一ガーダ型高架クレーンとして設計されたクレーンを示す。このクレーンは、トラス型ガーダとして設計されかつ水平方向を向くとともに長手方向LRに長さLで延びるクレーンガーダ2を含む。
【0031】
もちろん、このクレーン1もまた対応するクレーンジブ2を含む単一ガーダ型ガントリークレーンとして設計することができる。同様に、上記クレーン1は双ガーダ型高架クレーンまたは双ガーダ型ガントリークレーンとして設計することができ、かつ対応する方法で2つのクレーンガーダ2を含むことができる。したがって以下の説明は、単一ガーダ型高架クレーンとして設計されたクレーン1を参照して行う。
【0032】
上記クレーン1のクレーンガーダ2は、両端に固定された第1および第2走行ギアユニットとともに平面的に実質的なダブルT型のクレーン橋を形成している。上記走行ギアユニット7,8により、上記クレーン1は上記クレーンガーダ2の長手方向と直交する水平の行程F方向において図示しないレール上を移動可能である。上記レールは典型的には地面の上方に設定され、かつその目的のために例えば適当な支持構造により上昇可能であるか、または建物の反対壁に固定することができる。上記クレーン1またはそのクレーンガーダ2を動かせるために、上記第1ギアユニット7が第1電動モータ7aによって駆動されるとともに、上記第2ギアユニット8が第2電動モータ8aによって駆動される。上記クレーンガーダ9から吊るされているのは、ケーブルウィンチとして設計された昇降装置を含むクレーントロリー9であり、このトロリーは図示しない走行ギアユニットによって、上記クレーン1の行程Fと直交する方向であって上記クレーンガーダ2の長手方向LRに移動可能である。このクレーントロリー9は上記クレーンガーダ2の下部コード4の側方突出走行面4hに沿ってその上を移動可能である。上記クレーン1はまた、クレーン制御部10およびこれに付属するペンダント制御スイッチ11を含み、これにより上記クレーン1または上記電動モータ7a,8a、および上記ケーブルウィンチを含む上記クレーントロリー9は互いに独立して起動かつ作動しうる。
【0033】
上記クレーンガーダ2のトラス型構造は、実質的に、上部コード3、下部コード4、およびこれらの間に斜め延びるとともに上記上部コード3および上記下部コード4に強固に連結されたブレース5を含む。図1に示すように、複数のポスト6を上記上部コード3と上記下部コード4との間に付加的に設けることができ、上記ポストは上記クレーンガーダ2の長手方向に並んでおり、かつ垂直方向に延びるとともに、同様に上記上部コード3と下部コード4とに強固に連結される。
【0034】
簡単のため、本発明は実質的に、上記上部コード3と下部コード4に対する上記ブレース5の固定に関連して説明される。したがって、上記クレーンガーダ2は、ポスト6なし
のブレース5のみ有して図2図4に示されている。しかしながら、本発明は上記上部コード3と下部コード4に対するブレース5の固定に限定されず、これに代えて同様に上記上部コード3と下部コード4に設けることができ、かつこれに適用することができるポスト6の固定にも関する。
【0035】
上記上部コード3および下部コード4は互いに離間して延び、上記走行ギアユニット7,8間の上記クレーンガーダ2の長手方向において平行である。本実施例では、上記上部コード3および下部コード4は互いに垂直方向に離間している。上記上部コード3は2つの第1および第2上部コード外形部3d,3eからなり、これらは水平面上に配置されているとともに互いに水平方向に離間している。上記2つの上部コード外形部3d,3eは、L型またはアングル外形のガーダで形成されており、いずれの場合でも垂直ウエブ3aおよびこれと直角に配置された水平フランジ3cを含む。本実施例において、上記上部コード外形部3d,3eのフランジ3cは好ましくは上記ブレース5の上端面とともに水平面内に位置する。上記下部コード4は、上記上部コード3と同様に、第1下部コード外形部4dおよび第2下部コード外形部4eからなり、これらは同様にそれぞれにおいてL型またはアングル外形のガーダとして形成されており、したがって垂直ウエブ4aおよびこれに対して直角に配置されたフランジ4f含む。本実施例において、上記下部コード4のフランジ4cは上記クレーントロリー9のための走行面4hを形成する。上記上部コード3の上部コード外形部3d,3eにおける下方に延びるウエブ3a、および上記下部コード4の下部コード外形部4d,4eにおける上方に延びるウエブ4aは、対向している。
【0036】
しかしながら、上記下部コード外形部4d,4eは図1に示すようなL型またはアングル外形のガーダとして設計する必要はない。上記クレーンガーダ2の下部コード4として、2つの独立した下部コード外形部4d,4eに代えて、2つの垂直ウエブ4aを含む単一の平坦な外形部4bにより形成されてもよい。したがって、略U型の横断面を有するこのような平坦な外形部4bの場合、上記ウエブ4aを越えて側方に延びる1つのみの共通フランジ4fが設けられる。この場合、上記フランジ4fの両端部は上記走行面4hを形成する。同様にして、上記上部コード3もまた対応する平坦外形部3bにより形成することができる。
【0037】
図1に示す上記クレーンガーダ2の上部コード3および下部コード4は、それぞれ板状ブレース5およびポスト6によって互いに強固かつ脱着可能に連結される。本実施例において、ブレース5は実質的に平坦で矩形の横断面を有する主面部5aを含む金属製シート形状に形成され、その長手方向に延びる側部は少なくとも中央領域の座屈強度を高めるために副面部5bを形成して折り曲げられている。上記ブレース5は、上記上部コード3および下部コード4の間において上記クレーンガーダ2のトラス構造内に配置され、本実施例では上記主面部5aが上記クレーンガーダ2の長手方向LRに対して横方向に延びるように方向づけられている。したがって、上記クレーンガーダ2の長手方向に対する横方向視で見られるように、1つのみのブレース5−またはこれに代えて1つのみのポスト6−が常に上記上部コード3のウエブ3aおよび上記下部コード4のウエブ4a間に設けられる。
【0038】
上記ブレース5の設計は図3を参照して以下に詳細に説明される。金属製シート形状として同様に設計され、選択的に設けられる板状ポスト6の構造設計は−対応して適用される寸法をもって−上記板状ブレース5の設計と実質的に対応しており、したがって、本実施例において参照符号5a−5gを含んでなされる上記板状ブレースの説明は、適宜適用することができる。
【0039】
図2は、上記クレーンガーダ2の端部の斜視図である。上記クレーンガーダ2は、その上部コード3および下部コード4がそれぞれ2つの上部コード外形部3d,3eおよび下
部コード外形部4d,4eからなるトラス型ガーダとして設計されている。上記下部コード外形部4d,4eは上記したように中空形状に設計されている。上記上部コード3と上記下部コード4とを連結する上記ブレース5は、上記長手方向について見るように、対となって傾斜屋根のように配置されている。本実施例では、各ブレース5は、上記長手方向LRと平行に延びる上記上部コード3および上記下部コード4に対して直角をなす概念上の垂直補助面(図4参照)に対して設定角度αで傾斜させられている。本実施例では、上記設定角度αは第1ブレース5の上記平面状主面部5と上記補助面とにより形成されている。簡単のため、上記設定角度αは上記主面部5aと上記補助面内にある補助線HLとの間に示されている。好ましくは、上記設定角度αは35°から55°の範囲であり、特に好ましくは45°である。好ましくは、偶数個のブレース5が用いられ、上記ブレースはしたがって、対となって傾斜屋根のように傾斜して、または互いに傾斜して配置されており、その結果、全長Lにわたって見られるように、上記第1または最終ブレース5は上記下部コード4において始まり、または終わる(図1参照)。それぞれが同じ長さをもつ偶数個のブレース5を用いることを可能とするために、上記設定角度αは組み立て前のクレーンガーダ2の長さに依存して決定される。その結果として、レールを形成し、かつ本発明の目的のための上記走行面4hを形成する上記下部コード4が反りを防止するように補強される。しかしながら、本来、上記ブレースは異なる長さをもってもよく、したがって上記設定角度αも異なる値をもってもよい。
【0040】
上記対となり、傾斜屋根配置のブレース5の場合、上記長手方向LRにおいて見られるように、上記クレーンガーダ2の2つの端部のうちの1つの領域において、第1ブレース5が下部ねじ接合部12および下部プラグイン接合部13によって上記下部コード4に対して脱着可能に固定されている。これに続き、上記ブレース5は、上記長手方向LRにおいて、上記設定角度αで傾斜しつつ上記上部コード3の方向に延び、この上部コード3に対して当該ブレースは同様にして上部ねじ接合部12および上部プラグイン接合部13によって脱着可能に固定されている。本実施例では、上記ブレース5は、上記上部コード3または下部コード4のウエブ3a,4aの互いに対向する内側間にこれらに接するようにして、上部第1ブレース端部5eおよび下部第2ブレース端部5fをもって固定されている。
【0041】
第1上部結節点領域OKまたは第1下部結節点領域UKは、それぞれ上記上部コード3または下部コード4の上記ウエブ4a,4aにおいて、ねじ接合部12およびプラグイン接合部13によって形成されており、上記結節点領域は、上記ブレース5の主面部5aの長手側部上に、点的手法ではなく、線的手法で形成されている。
【0042】
上記それぞれのねじ接合部12およびプラグイン接合部13、並びにそれらの形成は、図3、3aおよび4を参照して以下に詳細に説明される。
【0043】
上記第1上部結節点領域OKの隣に配置されている第2上部結節点領域OK付近にあるのは、上記設定角度αで上記下部コード4へ下方に延び、傾斜屋根のように配置された第1対のブレース5の終わりをなす第2ブレース5である。したがって、各ブレース5は、上記上部コード3上の対応する上部結節点領域において、上記補助面または補助線HLに対する同一の設定角度αを形成する。これは、上記ブレース5が上記クレーンガーダ2の反対端部に到達するまで繰り返される。選択的に、それぞれの隣接する2つのブレース5間、特にブレース5の対の上記上部結節点領域OK間または2つの隣接するブレース対の上記下部結節点領域UK間にポスト6を配置することができ、このポスト6は上記ブレース5と同様にして脱着可能に固定することができる。
【0044】
図3は、図2に示すクレーンガーダ2の横断面であり、この断面は上記長手方向LRに対して横方向に、かつ隣接する2つのブレース5の間を延びる面である。この断面図にお
いて例示的に描かれている上記ブレース5は、板状に設計されており、長手軸LAの方向に伸びた形状を含むとともに実質的に矩形の主面部5aをもつ。上記ブレース5は、上記長手軸LAに対して対称的に形成されている。本実施例では、上記主面部5aは上記ブレース5の上記長手軸LAに沿って延び、かつ、それぞれ中央領域において、少なくとも上記クレーンガーダ2の幅Bの半分を超えて上記クレーンガーダ2の長手方向LRに対して横方向に延びる。本実施例では、上記幅Bは、上記下部コード4、または、図3に示すクレーンガーダ2の場合には上記上部コード3における、特に上記長手軸LAから離れる方向に向けられた上記フランジ3c,4cの上記長手方向LRにおいて見られる最外ポイント間の距離に対応している。
【0045】
上記ブレース5は、上記主面部5aおよび選択的に設けられる上記副面部5bを形成する鋼板から好ましくはレーザカッティングによって形成される。互いに反対側のブレース端部5e,5fの領域において、2つの上部凹部および2つの下部凹部5cが上記ブレース5の両長手側部に設けられている。上記凹部5cは円形方式、好ましくは円弧の形態で形成され、上記ブレース5を上記上部コード3または下部コード4に固定する時点において、確実に上記ブレースおよび上記ねじ連結部12または上記プラグイン接続部13が緩和されることにより、力の流れを最適化する。上記凹部5cは、各ブレース端部5e,5fにおいて、上記長手軸LAに対する横方向への上記主面部5aの狭隘部を形成し、これにより上記ブレース5は、上記領域において膜状のジョイント部を形成する。
【0046】
上記下部凹部と上部凹部5cの間において、好ましくは直角に折り曲げられ、上記長手軸LAと平行に延びる副面部5bが上記ブレース5の各長手側部において上記主面部5aに隣接している。上記副面部5bは、実質的に台形である(図4参照)。上記副面部5bがともに同一方向において直角に折り曲げられると、同図に示されるように、図2に示されるブレース5は少なくとも上記副面部5bの領域において、上記ブレース5の長手軸LAの方向視においてU型の横断面を有する。同様に、上記長手軸LAの方向視において少なくとも部分的にZ型横断面が形成されるように、上記副面部5bを反対側に折り曲げることもできる。上記副面部5bを省略することにより、または1つのみの副面部5bを設けることにより、上記ブレース5はまた、これに対応して上記長手軸LAの方向において少なくとも部分的なL型横断面をもつことができる。上記副面部5bは上記ブレース5の座屈強度を高めるのに役立つ。上記副面部5bは上記上部コード3および上記下部コード4の間で上記ウエブ3a,4aの外方に位置しており、そのため、折り曲げられていない上記主面部5aの長手側部のみが上記ウエブ3a,4aに、特に互いに向き合うそれらの内側の反対側に位置する。上記凹部5cにより形成される膜状のジョイント部が、上記長手軸LAの方向視において見られるように、上記副面部5bおよび上記ウエブ3aまたは4a間に挟持されるそれぞれのブレース端部5e,5f間に設けられる。
【0047】
上記ブレース5を上記上部コード3および上記下部コード4に固定するために設けられる上記ねじ接合部12およびプラグイン接合部13は、上記ブレース端部5e,5fもまた−寸法の相違に関係なく−同様の構造条件で設計されることから、それぞれ同様の手法で形成される。この点についての以下の説明はしたがって、上記上部コード3に対する上記ブレース5の固定と上記下部コード4に対する上記ブレース5の固定のいずれにも関係し、したがって上記ブレース5の他の固定部にそれぞれ適用することができる。
【0048】
上記上部第1ブレース端部5eをもつ上記ブレース5を上記2つのウエブ3a間において上記ねじ接合部12によって上記上部コード3に固定することを可能とするために、上記ブレース5の上記上部第1ブレース端部5eと上記主面部5aの金属板の上記上部凹部5cとの間に2つの孔5dが設けられ、この2つの孔5dは上記長手軸LAに関して左右に配置されている。上記孔5dは、実質的に矩形のスロットとして形成されており、長手軸LAと平行に延びる上記ブレース5の長手側部から上記長手軸LAの方向に対して横方
向に延び、これによって上記長手側部が上記長手軸LAの方向へ凹入している。
【0049】
上記各孔5dの領域にはスリーブ12bが配置されており、これを通って上記ねじ接合部12の1本のねじ12aが案内される。本実施例において、上記スリーブ12bはその長手軸が上記孔5dの長手方向と平行に方向づけられ、かつその外周面が上記孔5dの縁部に当接する。この目的のため、上記スリーブ12bの外周面は上記長手軸LAの方向から計測される上記孔5dの幅よりも小の外径を有する。したがって、上記スリーブ12bは少なくとも部分的に上記孔5d内に配置され、上記主面部5aによって形成される面内に、またはこれを通して突入する。上記スリーブ12bが上記スリーブの長手軸周りに回転するのを確実に防止するために、当該スリーブ12bは上記主面部5a、特に上記孔5dの縁部に固定される。好ましくは、上記の固定は一体接合の手法において行われ、特に上記スリーブ12bの外周面と上記孔5dの縁部領域における上記主面部5aとの間の溶接接合によってなされる。選択的には、はんだ接合または接着接合もまた採用しうる。
【0050】
上記孔への上記したスリーブ12bの配置は、上記長手軸LAに対して横方向に延び、かつ上記主面部5aと平行な、ねじ12aのためのねじ込み方向ERを確立する。
【0051】
上記ブレース5を上記上部コード3に強固に固定するために、上記ねじ12は、上記上部コード3またはそのウエブ3aに設けられたねじ通路3gおよび上記スリーブ12bにより外部から案内され、かつ、好ましくはプレスナットとして形成されたナット12cに対して上記ねじ込み方向ERにねじ込まれる。本実施例において、上記ねじ12aは、そのねじ頭部により上記上部コード3の上記ウエブ3aに支持される。上記ねじ12aの締め付けトルクを緩和するために、上記孔5d内において、上記ナット12cは上記スリーブ12bに支持されている。その結果、上記スリーブ12bは上記上部コード3に強固に固定され、したがって上記ブレース5もまた上記上部コード3に強固に固定される。上記ブレース5またはこれに固定された上記スリーブ12c、および、上記上部コード3の上記ウエブ3aの間の横力またはせん断力を緩和するために、上記ねじ接合部12は上記ねじ12aが案内されるスリーブ型クランプピン12d(図3a参照)を含む。
【0052】
図3において、下部ねじ接合部12は詳細Aとして示されている。図3aは上記詳細Aの拡大断面図であり、これによりすべてのねじ接合部12の基本設計を例示的かつ詳細に示すためのものである。図示する断面は上記ブレース5の上記主面部5aに対して平行に延びる面である。図3aは特に、上記下部第2ブレース端部5fを上記下部コード4の2つのウエブ4aのうちの1つに下部ねじ接合部12によって固定している状態を示す。この図は上記孔5dの1つを示し、その縁部に対して上記スリーブ12cの外周面が当接し、かつ溶接されている。上記ねじ通路4g内であって上記スリーブ12b内に配置されたクランプピン12dもまた示されている。本実施例では、上記スリーブ12bおよび上記ウエブ4aは上記クランプピン12dの上記ねじ通路4gを介して支持されている。上記ねじ12aは上記ねじ込み方向ERに延びる上記クランプピン12dを通って案内される。
【0053】
図3はまた、上記上部第1ブレース端部5eが上記ねじ接合部12のみならず、プラグイン接合部13によっても上記上部コード3に固定されている点を示す。上記プラグイン接合部13は、上記ブレース5、特にその主面部5と、上記上部コード3、特にそのウエブ3aとの間に直接形成されている。その目的のために、上記主面部5aはその長手側部に、それぞれ対応して側方に配置されたプラグインショルダー部5g(図2を参照)を形成し、このショルダー部は、上記長手軸LAから離れる方向において外方へ好ましくは矩形状に延びる。上記上部凹部5cと上記上部孔5dとの間で上記プラグインショルダー部5gが翼形態で配置されているために、上記主面部5aはその領域において略T型に形成されている。上記プラグイン接合部13の形成を可能とするために、プラグイン受容部3
fが上記上部コード3またはそのウエブ3aにそれぞれ設けられ、上記ブレース5は上記プラグインショルダー部5gにより上記プラグイン受容部3fに挿入される。したがって、上記プラグイン受容部3fは、上記プラグインショルダー部5gまたはその金属板断面と補完し合うようにスロット形態に形成される。上記スロット形態のプラグイン受容部3fは上記ウエブ3aにそれぞれ長状貫通孔として形成されるが、不連続な孔として形成したり、めくら穴として形成することもできる。さらに、上記プラグイン受容部3fは、上記補助面(図4を参照)に対する上記設定角度αに対応して方向づけられ、その結果、上記プラグイン受容部3fはそれぞれ上記主面部5aと平行に、かつ上記主面部5aの面内に延びる。上記設定角度αに関して上記プラグイン受容部3fを方向づけることにより、かつそれらを上記長手方向LRにおいて互いに離間して配置することにより、上記ブレース5の配置位置が回転運動および直線運動に際して固定される。上記ブレース5を上記上部コード3に対して脱着可能に固定するために、上記ブレース5の上記第1ブレース端部5eおよび上記上部コード外形部3d,3eは、協働する上部コード外形部3d,3eにおいて対応するプラグイン受容部3fに上記プラグインショルダー部5gが挿入されるように、それぞれ上記プラグイン方向SRにおいて互いの方へ動かされる。本実施例において、上記長手方向LAに延びる上記主面部5aの長手側部はともに、上記孔5dまたは上記フラグインショルダー部5gの上方および下方において、上記ウエブ3aの内側の反対側に位置する。このような手法によって形成された上記プラグイン接合部13は、上記プラグイン方向SRに対して横方向に作用する、上記上部コード3に対する上記ブレース5のぴったりとした接合または固定を形成し、これにより上記ブレース5の位置は固定位置における上記プラグイン受容部3fの位置および方向にしたがって固定される。上記ぴったりした接合は、次いで、上記ブレース5または上記上部コード外形部3d,3eをそれぞれ反対のプラグイン方向SRに動かせるだけで解除することができる。この実施例において、上記プラグイン方向SRは上記ねじ込み方向ERと一致しており、その結果、それらは上記主面部5aの平面と平行となり、かつ、この場合上記ねじ接合部12および上記プラグイン接合部13は少なくとも部分的に上記主面部5aの平面内に位置することになる(図4参照)。
【0054】
上記ブレース5を上記下部コード4に固定するために、上記下部第2ブレース端部5fには同様に対応する下部ねじ接合部12および下部プラグイン接合部13が設けられている。上記ブレース5が長手状に延びていることに関連して、上記上部ねじ接合部12および上記下部プラグイン接合部13は対応するブレース端部5e,5fを向いており、上記下部ねじ接合部12および上部プラグイン接合部13はその間に配置されている。しかしながら、上記長手軸LAの方向において、上記ねじ接合部12および上記プラグイン接合部13はそれぞれブレース端部5e,5fに、互いにどのような関係においても設けることができる。
【0055】
上記ねじ接合部12およびプラグイン接合部13はそれぞれ上記孔5dおよびプラグインショルダー部5gの形態において上記主面部5aと協働し、これによって上記主面部5aと直接協働することから、上記ブレース5は特に上記主面部5aを介して上記上部コード3に固定されている。
【0056】
特に上記上部コード3を下部コード4に連結する上記板状ブレース5を脱着可能に固定するための上記したクレーンガーダ2の組み立て方法は、以下に説明される。本実施例において、最初の組み立て工程では、上記ブレース5は、上記上部コード3および下部コード4に関連して当該ブレース5の所望の設定角度αおよび上記長手方向についてのそれらの間隔を含む固定位置へと移動される。上記固定位置を達成するために、上記最初の組み立て工程では、上記設定角度αで形成されたプラグインショルダー部5gをもつ上記ブレース5と記上部コード3および下部コード4における上記設定角度αで形成されたプラグイン受容部3f,4fとが上記プラグイン方向SRにおいて組み立てられる。したがって
、上記プラグイン受容部3f,4fは上記それぞれのプラグイン接合部13を形成する際の位置決め補助を提供し、これにより、上記長手方向LRへの直線方向および上記設定角度αについての固定位置が、上記したぴったりとした接合のために決まる。上記上部コード3または下部コード4がそれぞれ2つの上部コード外形部4d,3eまたは2つの下部コード外形部4e,4fを構成する場合、それらはしたがって上記ブレース5によって組み立てられる。
【0057】
組み立ての第2工程では、上記クレーンガーダ2は次に、上記最初の組み立て工程で形成された固定位置に、かつ2つのねじ接合部12により挿入方向ERに関してロックされるとともに固定される。本実施例では、上記2つの上部ねじ接合部12の2つのねじ12aは、特に2つのウエブ3a間において上記上部コード3に対して上部第1ブレース端部5eを強固に保持し、上記下部ねじ接合部12の2つのねじ12aは、特に2つのウエブ4a間において上記下部コード4に対して下部第2ブレース端部5fを強固に保持する。位置決め補助としての上記上部および下部プラグイン接合部13は、上記固定位置を決めるだけではなく、本実施例ではまた、回転方向に固定されたねじ接合部12を解除する。しかしながら、上記回転方向に固定されたねじ接合部12のために、上記クレーンガーダ12の組み立ての間、上記プラグイン接合部13を省略すること、および、上記ねじ接合部12によって単に上記設定角度αの調整および維持をすることもまた、基本的に可能である。
【0058】
図4は、図2に示すクレーンガーダ2の一部の側面図である。同図には、上記板状ブレース5によって相互に脱着可能に連結されたクレーンガーダの上記上部コード3および下部コード4が示されている。特に、本実施例では上記補助線HLに対する設定角度αで傾斜屋根のように配置された2対のブレース5が示されている。各対の上記ブレース5は、それぞれねじ接合部12およびプラグイン接合部13によって、互いに隣接する2つの上部結節点領域OKを形成しつつ上記上部コード3に固定されている.上記それぞれのねじ通路3gを通して案内され、かつ上記上部コード3の上記ウエブ3aに支持されている上記ねじ接合部12における上記ねじ12aの頭部を確認することができる。また、上記クレーンガーダ2の長手方向LRに対して横方向に延びる上記主面部5aにより形成された上記プラグインショルダー部5gもまた示されている。本実施例において、上記プラグインショルダー部5gは上記上部コード3の図示されるウエブ3aに設けられた上記プラグイン受容部3fに挿入される。
【0059】
さらに、各対の上記ブレース5は、同様にそれぞれねじ接合部12によって上記下部コード4に固定されており、当該ねじ接合部は、下部結節点領域UKを形成しつつ上記ねじ通路4gおよび上記プラグイン接合部13に配置されており、図4は同様に上記ねじ接合部12および上記プラグイン接合部13を示している。
【0060】
図4はまた、上記主面部5aから折り曲げられた上記ブレース5の副面部5bの台形形態を明瞭に示している。上記副面部5bは、上記上部コードおよび下部コード3,4のウエブ3a,4aの外側に配置され、上記クレーンガーダ2の長手方向LRを含む垂直面内またはこれと平行に延びる。上記主面部5aによって規定され、上記長手方向LRに対して横方向に、かつ上記垂直補助線HLに対して設定角度αで傾斜させられている平面内または少なくともこれに平行に位置しているのは、上記主面部5aにより形成されるプラグインショルダー部5g、凹部5cおよび孔5d、特にねじ込み方向ERにおける上記ねじ接合部12のねじ12a、スロット状プラグイン受容部3f,4g、並びに、上記上部コード3または下部コード4における上記ねじ通路3g,4gの中心点である。
【0061】
一つの可能性のある実施例において、上記ブレース5の全長は890mmである。この場合、上記プラグインショルダー部5gは、それぞれ上記長手軸LAの方向から計測して
25mmのプラグイン幅で上記上部および下部コード3,4の上記プラグイン受容部3f,4fに挿入される。上記ねじ接合部12を受容する上記孔5dの中心と上記プラグインショルダー部5gとの間の最大距離はそれぞれ35mmである。上記副面部5bは、上記長手軸LAに関して530mmの副面部長さを有し、すなわち、上記副面部5bは、その長手方向において530mmの上記副面部長さ以上の長さで延びている。
【0062】
したがって、上記副面部の長さは、好ましくは上記ブレース5の全長の40%から70%の範囲、特に好ましくは60%から65%の範囲である。上記凹部5cにおける上記ブレース端部5e,5f側の端部から始まる上記ブレース端部5e,5fの長さは、上記ブレース5の全長の約10%から15%の範囲である。上記ブレース5の全長に関し、上記凹部5cの領域における膜状ジョイント部の長さは、好ましくは5%から8%、特に好ましくは8%である。
【0063】
上記したねじ接合部12およびプラグイン接合部13による上記上部コード3および下部コード4への上記ブレース5の脱着可能な連結は、上記上部コード3または下部コード4が上部コード外形部3d,3eまたは下部コード外形部4d,4eを構成しているかどうかに関わりなく、または、単一の平坦外形3b,4bとして形成されているかどうかに関わりなく可能である。さらに、対応するブレース端部5e,5fにおける上記ねじ接合部12はまた、少なくとも1つのねじ12aを含むことができ、かつ上記プラグイン接合部13はまた、少なくとも1つのプラグインショルダー部5gを含むことができる。
【0064】
図1図4において、すべてのブレース5は板状に形成され、かつ上記したように上記上部コード3および下部コード4に脱着可能に固定されている。しかしながら、すべてのブレース5を脱着可能に固定するのではなく、それに代えて、上記ブレース5のいくつかを特に溶接によって上記上部コード3または下部コード4に脱着不能に固定することも可能である。さらに、上記ブレース5の全てではなく、これに代えていくつかのブレース5のみを板状に形成することもできる。同様のことが選択的に設けられるポスト6に適用できるが、当該ポストは、好ましくは上記ブレース5と同様に、上記上部コード3のウエブ3a間において、これに対してねじで組み立てられる上部第1ポスト端部6eを持って形成される。この目的のため、上記ポスト6はまた、それらの主面部6aの長手側部に対応する孔6dおよびプラグインショルダー部5bを有する。
【0065】
基本的にボルト接合部もまた可能であり、このボルト接合部はそれぞれ、上記ブレース5を上記上部コード3または下部コード4に脱着可能に固定するために用いるボルトおよび少なくとも1つのロックリングを含む。上記ボルト接合部は、上記ねじ接合部12または上記プラグイン接合部13に加え、またはこれらに代えて設けることができ、この場合、特に対応する孔5dを介して上記ブレース5に、上記上部コード3に、または上記下部コード4に対し、対応する方法で連結することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 クレーン
2 クレーンガーダ
3 上部コード
3a ウエブ
3b 平坦外形
3c フランジ
3d 第1上部コード外形部
3e 第2上部コード外形部
3f プラグイン受容部
3g ねじ通路
4 下部コード
4b 平坦外形
4c フランジ部
4d 第1下部コード外形部
4e 第2下部コード外形部
4f プラグイン受容部
4g ねじ通路
4h 走行面
5 ブレース
5a 主面部
5b 副面部
5c 凹部
5d 孔
5e 第1ブレース端部
5f 第2ブレース端部
5g プラグインショルダー部
6 ポスト
6a 主面部
6c 凹部
6d 孔
6e 第1ポスト端部
7 第1走行ギアユニット
7a 第1電動モータ
8 第2走行ギアユニット
8a 第2電動モータ
9 クレーントロリー
10 クレーン制御部
11 ペンダント制御スイッチ
12 ねじ接合部
12b スリーブ
12c ナット
12d クランプピン
13 プラグイン接合部
α 設定角度
A 細部
B 幅
ER ねじ込み方向
F 移動方向
HL 補助面
L 長さ
LA 長手軸
LR 長手方向
OK 上部結節点領域
SR プラグイン方向
UK 下部結節点領域
図1
図2
図3
図3a
図4