(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気ガス管または前記スクラバーに接続され、海水を電気分解して水素と、窒素系酸化物を酸化させる酸化剤または酸性化された洗浄水を中和させる中和剤とを生成する浄化ユニットと、
前記浄化ユニットから前記水素の供給を受けて電気を生成する燃料電池モジュールとをさらに含む、請求項1に記載の汚染物質低減装置。
前記洗浄水供給管に接続され、清水を供給する清水供給管をさらに含み、前記清水供給管は前記前処理ユニットに前記清水を供給し、供給された清水は前記前処理ユニット内で噴射される、請求項1に記載の汚染物質低減装置。
前記酸化ユニットの後段に、前記排気ガス管または洗浄水供給管に接続され、液状触媒を注入して排気ガスを酸化状態に維持させる液状触媒注入ユニットをさらに含む、請求項1に記載の汚染物質低減装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点、特徴、及びそれらの達成方法は、添付図面と一緒に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に実現できる。但し、本実施形態は、本発明の開示を完全たるものとし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。本発明は請求項の範疇のみによって定義される。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
【0018】
以下、
図1乃至
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施形態に係る汚染物質低減装置は、排気ガスに含まれている各種の汚染物質(窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵など)の濃度を減らして、排気基準に適合した空気を排出すると同時に、排気ガスの濃度を減らすために使用された洗浄水の処理を行うことができる装置であって、主に船舶に搭載され、船舶から発生する排気ガスの汚染物質を除去することができる。
【0020】
汚染物質低減装置は、海水を電気分解する浄化ユニットで生成された酸化剤によって排気ガス中の一酸化窒素を酸化させ、且つ同じ浄化ユニットで生成された中和剤によって酸性化洗浄水を中和させることにより、システムの設置及び維持費用が減少するだけでなく、船舶内のスペース活用度が増加することができる。また、浄化ユニットにおける海水の電気分解によって生成された水素を燃料電池モジュールへ供給して電気を生成するために使用し、生成された電気を浄化ユニット及びその他の装置の駆動源として使用することにより、システムをより効率よく運用することができるという特徴がある。
【0021】
図1は本発明の第1実施形態に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図、
図2は
図1の浄化ユニットの一例の断面図、
図3は
図1の燃料電池モジュールの一例の断面図である。
【0022】
図1乃至
図3を参照すると、本発明の第1実施形態に係る汚染物質低減装置1は、排気ガス管10と、海水供給管20と、洗浄水供給管30と、スクラバー40と、浄化ユニット50と、燃料電池モジュール90と、洗浄水排出管41とを含む。
【0023】
排気ガス管10は、燃焼機関(図示せず)から排気ガスが移動する管であって、後述するスクラバー40に接続される。排気ガス管10は、燃焼機関の排気管に直接接続され、高温の排気ガスが直接移動したり、各種の熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動したりする通路になれる。ここで、燃焼機関は、燃料を燃焼させて、船舶に必要な各種の動力を発生させる装置であって、例えば、メインエンジン、発電機エンジンなどから形成できる。排気ガス管10には、複数の燃焼機関の排気管が接続でき、複数の燃焼機関は、必要に応じて選択的に動作することができる。このような燃焼機関は、通常、化石燃料を燃焼させて動力を発生させるので、化石燃料の燃焼による排気ガスを発生させる。発生した排気ガスは、多量の窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などを含んでおり、燃焼機関の一側に接続された排気ガス管10を介してスクラバー40へ供給される。
【0024】
海水供給管20は、外部から海水の流入を受けて供給する管であって、海水を加圧する少なくとも一つのポンプP1が設置され、海水をスクラバー40へスムーズに供給することができる。しかし、海水供給管20が海水をスクラバー40へ供給するもことに限定されるものではなく、必要に応じてバラスト水タンク(図示せず)などへ海水を供給することもできる。
【0025】
海水供給管20の一側からは洗浄水供給管30が分岐してスクラバー40に接続でき、海水供給管20と洗浄水供給管30との接続部分には第1制御弁25が設置できる。第1制御弁25は、三方弁からなり、洗浄水供給管30を介して供給される海水の量を調節したり、洗浄水供給管30に分岐して供給される海水と、海水供給管20を介して流動する海水との比率を調節したりすることができる。このような海水供給管20は、洗浄水供給管30の後段に混合管22と海水排出管23が順次接続される。混合管22は後述する浄化ユニット50から電気分解反応済みの海水が流動し、海水排出管23は外部へ海水を排出することができる。
【0026】
洗浄水供給管30は、海水、清水、及び海水と清水との混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー40へ供給する管であって、一端部が海水供給管20または清水供給管26に接続され、他端部がスクラバー40に接続され得る。すなわち、洗浄水供給管30は、海水と清水の供給を選択的に受けることができる。以下、洗浄水が海水であると限定して、洗浄水供給管30を介して主に海水が流入してスクラバー40へ供給される過程をより重点的に説明する。
【0027】
海水供給管20を介して外部から流入する海水は、洗浄水供給管30を介して流動してスクラバー40へ供給される。スクラバー40は、排気ガス管10を介して流入する排気ガスに、洗浄水供給管30を介して供給される洗浄水を噴霧して、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、通常の湿式スクラバー(scrubber)であり得る。このとき、洗浄水供給管30は、スクラバー40の内部に位置した端部がスクラバー40の上部に配置され、複数個に分岐して洗浄水を微粒子状に噴霧することができる。すなわち、スクラバー40の上部に配置された洗浄水供給管30は、排気ガス管10が位置したスクラバー40の下部に向かって洗浄水を噴霧し、これにより、排気ガスと洗浄水とを効果的に接触させることができる。スクラバー40の内部で排気ガスと洗浄水とが接触することにより、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去でき、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去された排気ガスは、別の排出管42を介して外部へ排出できる。排出管42を介して排出される排気ガスは、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去された状態なので、排気基準に適合して大気中にそのまま排出することができる。
【0028】
スクラバー40の内部で汚染物質の含まれた排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などが含まれた洗浄水は、洗浄水排出管41を介してスクラバー40の外部へ排出される。
【0029】
一方、浄化ユニット50は、海水を電気分解して水素と、窒素系酸化物を酸化させる酸化剤または酸性化した洗浄水を中和させる中和剤とを生成するもので、排気ガス管10または海水供給管20またはスクラバー40に接続できる。つまり、浄化ユニット50は、排気ガス管10または海水供給管20またはスクラバー40に酸化剤または中和剤を供給することができる。また、浄化ユニット50は、海水を電気分解して殺菌剤を作ることもできる。このように生成された殺菌剤は、第2注入管57と第3注入管58を介してスクラバー40と海水供給管20に供給され、海水中の微生物を殺菌することができる。その後、殺菌処理された海水は、海水排出管23を介して海洋へ放流される前に、センサー部24によって過剰の酸化剤量を確認する。このとき、海水に過剰の酸化剤が含まれている場合には、チオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)を添加して酸化剤の量を低減した後、海洋へ放出する。
【0030】
浄化ユニット50は、電気分解槽51、陽電極板52a、陰電極板52b及び整流器53を含む。
【0031】
ここで、
図2を参照して説明すると、電気分解槽51は、内部に収容空間が形成された筒またはチャンバであって、海水供給管20を介して供給された海水が収容される。電気分解槽51は、一側に海水供給管20から分岐した海水流入管21が接続されて海水の供給を受け、海水流入管21上には少なくとも一つのポンプP2が設置され、海水を電気分解槽51にスムーズに供給することができる。電気分解槽51は、内部に陽電極板52aと陰電極板52bが設置される。
【0032】
陽電極板52aと陰電極板52bは、電気分解槽51の内部に海水の流動方向に配置され、一定間隔離隔して互いに向かい合って配置される。陽電極板52aと陰電極板52bとの間には、親水性多孔質膜で形成された隔膜54が設置され、電気分解槽51は、内部が陽電極板52aの位置する第1領域51aと陰電極板52bの位置する第2領域51bに分割できる。しかし、隔膜54が親水性多孔質膜で形成されることに限定されるものではなく、多様な構造の膜に変形することも、必要に応じて隔膜54が省略されることもできる。このような陽電極板52aと陰電極板52bは、それぞれケーブルを介して整流器53と電気的に接続される。
【0033】
整流器53は、陽電極板52aと陰電極板52bにそれぞれ整流された電流を供給する。図面上には、整流器53が電気分解槽51の外部に設置されたことが示されているが、これに限定されるものではなく、例えば、整流器53は電気分解槽51の内部に設置されてもよい。
【0034】
電気分解槽51の内部では、整流器53から供給された電流によって、海水に含まれている塩化ナトリウム(NaCl)が電気分解され、これにより、陽電極板52aでは酸化反応が起こって塩素ガス(Cl
2)が発生し、陰電極板52bでは水素ガス(H
2)と水酸基(OH)が発生する。このとき、塩素ガス(Cl
2)と水酸基(OH)とが化学反応を起こして酸化力の強い次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)と次亜塩素酸(HOCl)を生成する。電気分解槽51の内部には、生成された酸化剤または殺菌剤または中和剤の濃度を測定する濃度測定センサー55が設けられるので、整流器53は、濃度測定センサー55で測定された濃度値に応じて、供給される電流の強さを調節することができる。
【0035】
具体的に、陽電極板52aでは、次の反応が起こる。
2H
2O→O
2+4H
++4e
−
2Cl
−→Cl
2+2e
−
また、陰電極板52bでは、次の反応が起こる。
2H
2O+2e
−→H
2+2OH
−
2Na
++2e
−→2Na
Na+H
2O→NaOH
結論的に、
Cl
2+2OH
−→OCl
−+Cl
−+H
2O
Na
++OCl
−→NaOCl
NaOCl+H
2O→HOCl
【0036】
すなわち、酸化剤は、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸(HOCl)であり、浄化ユニット50は、第1注入管56を介して排気ガス管10に酸化剤を液状に微粒子化して噴射することができる。具体的に、浄化ユニット50は、第1注入管56を介して排気ガス管10に酸化剤を噴射することにより、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。二酸化窒素は、一酸化窒素に比べて水に容易に溶解するので、スクラバー40で洗浄水に溶けて容易に除去できる。第1注入管56は、排気ガス管10に液体酸化剤を微粒子化して噴射したり、或いは排気ガス管10に設置された別の酸化ユニット11を介して排気ガスに液体酸化剤を噴霧したりすることができる。酸化ユニット11は、ノズル、超音波振動子、スプレー、加熱板などを用いて液体酸化剤を微粒子化、液滴化または蒸気化することができる。
【0037】
また、中和剤は、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)の希釈液であり、浄化ユニット50は、第2注入管57を介してスクラバー40に中和剤を注入することができる。具体的に、中和剤は、窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)が洗浄水と反応して酸性化洗浄水を中和させることができる。窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)は、海水と反応すると、それぞれ硝酸(HNO
3)と硫酸(H
2SO
4)を生成するので、浄化ユニット50は、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)をスクラバー40に噴射して酸性化洗浄水を中和させることができる。スクラバー40の内部では、次の反応が起こる。
2NaOCl+2HNO
3→2NaNO
3+2HOCl
2NaOCl+H
2SO
4→Na
2SO
4+2HOCl
【0038】
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、硝酸(HNO
3)及び硫酸(H
2SO
4)と反応して次亜塩素酸(HOCl)をさらに生成するので、洗浄水中に含まれている微生物を殺菌することもできる。このとき、次亜塩素酸(HOCl)は、弱い酸(acidic)成分を帯びているので、別途の中和剤、例えばチオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することもできる。
【0039】
このような浄化ユニット50は、第3注入管58を介して海水供給管20に殺菌剤を注入して、混合管22及び海水排出管23を介して海上へ排出される海水中の微生物を殺菌させることができる。一方、浄化ユニット50は、第2注入管557を介してスクラバー40に直接中和剤(NaOH)を注入することもでき、浄化ユニット50から供給された中和剤で洗浄水の中和が十分に行われない場合、別途の中和剤注入ユニット(図示せず)を追加して2次中和段階を経ることもできる。
海水の電気分解によって生成された水素は、水に対する溶解度が非常に低いので(水素溶解度:0.0016g/kg)、別の気液分離器(図示せず)を介して水から容易に分離された後、燃料電池モジュール90へ供給できる。燃料電池モジュール90は、酸素と浄化ユニット50からの水素の供給を受けて電気を生成することができる。例えば、燃料電池モジュール90は、50℃〜200℃の低温で運転し、小容量の出力に適した高分子電解質型燃料電池で形成できる。高分子電解質型燃料電池は、水素イオン交換特性を有する高分子膜を電解質として使用する燃料電池であって、発電効率が高く、出力密度が大きく、負荷変化に対する応答特性が速いという長所がある。しかし、燃料電池モジュール90が高分子電解質型燃料電池で形成されることに限定されるものではなく、低温で作動する様々な燃料電池に変形できる。例えば、燃料電池モジュール90はリン酸型燃料電池で形成されてもよい。
【0040】
燃料電池モジュール90は、酸素を含む空気と水素の供給を受けて電気を生成する。ここで、空気とは、一般的に自然状態から得られる約80%の窒素と約20%の酸素から構成された一般な空気に限定されるものではなく、酸素の濃度が一般な空気よりも高いか低く、一般な空気の組成物質とは異なる物質が一部含まれてもよい。すなわち、空気とは、燃料電池モジュール90で必要な酸素を含んでいる気体を通称することができる。
【0041】
図3を参照して説明すると、燃料電池モジュール90には燃料極90aと空気極90bが形成できる。燃料極90aは、浄化ユニット50から供給された水素が供給され、燃料電池モジュール90の一側に形成できる。空気極90bは、酸素または酸素を含む空気または酸素を含む排気ガスが供給され、燃料電池モジュール90の他側に形成され得る。燃料極90aに供給された水素と空気極90bに供給された酸素とは化学的に反応して電気を生成し、水素と酸素とが反応する反応式は、次のとおりである。
燃料極:H
2−→2H
++2e
−
空気極:0.5O
2+2H
++2e
−→H
2O
全体:H
2+0.5O
2−→H
2O+電流+熱
【0042】
燃料極90aでは燃料である水素(H
2)の電気的酸化が起こり、水素イオン(2H
+)と電子(2e
−)は空気極90bへ移動する。水素イオン(2H
+)は、燃料極90aと空気極90bとの間に位置する高分子膜を介して燃料極90aから空気極90bへ移動し、電子(2e
−)は、燃料極90aと空気極90bを外部とつなぐ電気回路を介して燃料極90aから空気極90bへ移動する。空気極90bでは、酸化剤である酸素(O
2)の電気化学的還元が起こり、最終的に酸素(O
2)は、水素イオン(2H
+)及び電子(2e
−)と反応して水(H
2O)に変わる。これと同時に直流電力が発生し、付随的に熱も発生する。発生した直流電力は、直流電動機の動力として使用されるか、或いはインバータ(inverter)によって交流電力に変わって使用され得る。
【0043】
このような過程を経て生成された電気は、浄化ユニット50、海水供給管20上に設置されたポンプP1、海水流入管21上に設置されたポンプP2などに供給され、それぞれの動力源として使用されるか、或いは他の設備の動力源として使用され得る。燃料電池モジュール90から生成された電気が浄化ユニット50へ供給される場合、電気は海水を電気分解するために必要な動力源の一部として使用できる。
【0044】
燃料電池モジュール90の一側には、生成された電気を蓄積するバッテリモジュール100が設けられてもよく、バッテリモジュール100に蓄積された電気は、必要に応じて様々な使用先に供給されてもよい。
【0045】
海水供給管20、または海水供給管20から分岐した海水流入管21上には、海水に電解質を供給する電解質タンク110が設けられてもよく、このとき、電解質は塩化ナトリウム(NaCl)であり得る。船舶は全世界の海域を運航し、海域によって、海水に含まれている塩分の濃度は互いに異なる。特に、海水に含まれている塩分の濃度があまり低い場合、浄化ユニット50で電気分解が円滑に行われず、これにより、適切な濃度を有する酸化剤または中和剤が生成されないため、排気ガスが排出基準を満たさない場合が発生することができる。海水供給管20または海水流入管21上に電解質を供給する電解質タンク110が設けられることにより、塩化ナトリウムが少なく含まれている海水が流入した場合でも、浄化ユニット50で電気分解が円滑に行われ、これにより、酸化剤または中和剤が容易に生成できる。
【0046】
洗浄水排出管41は、スクラバー40内の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット60を介して海水供給管20に再び接続できる。すなわち、洗浄水排出管41は、フィルターユニット60を介して、洗浄水に含まれている固体状粒子を分離した後、外部へ排出することができる。洗浄水排出管41は、必ず海水供給管20に接続される必要はなく、独立して船舶の外部に接続されることもできる。
【0047】
洗浄水排出管41には循環管81が接続できる。循環管81は、洗浄水排出管41を介して排出される洗浄水を洗浄水供給管30へ再循環させる管であって、洗浄水を外部へ排出する必要がない場合、洗浄水をスクラバー40へ循環させて再利用することができる。
洗浄水排出管41と循環管81との間には再循環タンク80が設置できる。再循環タンク80は、スクラバー40を介して排出された洗浄水の一部を貯留することができ、循環管81を介して一定量の洗浄水が循環できるように一種のバッファタンク(buffer tank)の役割を果たすことができる。
【0048】
再循環タンク80は、遠心分離機、重力分離器及びフィルターのいずれかを含むことで、洗浄水に含まれている固体状粒子を分離し、循環管81を介して洗浄水を再循環させることができる。
【0049】
洗浄水供給管30は、海水供給管20、清水供給管26及び循環管81に接続されており、排気ガスの濃度、スクラバー40の処理容量、洗浄水の濃度及び汚染度などを考慮して、海水、清水、循環水を適切に混ぜてスクラバー40へ供給することができる。
【0050】
フィルターユニット60は、スクラバー40の後段に設置され、スクラバー40から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子などを分離する装置であって、再循環タンク80と一緒に遠心分離機、重力分離器、フィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離した後、スラッジタンク70へ排出することができる。フィルターユニット60は、ポンプP1と第1制御弁25との間の海水供給管20に接続できる。つまり、海水供給管20から供給される海水は、フィルターユニット60を通過した後、洗浄水供給管30を介してスクラバー40に供給され、スクラバー40を通過した洗浄水は、再びフィルターユニット60を通過することができる。すなわち、1つのフィルターユニット60に外部から流入した海水とスクラバー40を通過した洗浄水をすべてフィルタリングすることができる。また、フィルターユニット60は、1つまたは2つを使用するが、洗浄水排出管41を通過した洗浄水または海水供給管20を通過した海水中に含まれている粒子の大きい物質の除去に共通または独立して使用することもできる。
【0051】
フィルターユニット60を通過した洗浄水または海水には、第3注入管58を介して中和剤または殺菌剤が噴射できる。フィルターユニット60と海水排出管23との間には、海水と洗浄水との混合水が排出される混合管22が設置でき、第3注入管58は、海水供給管20または混合管22に接続できる。海水排出管23上にはセンサー部24が設置されており、排出される洗浄水と海水中に含まれている総残留酸化剤量(total residual oxidant)、pH値及び微生物濃度のうちの少なくとも一つをリアルタイムで把握することができる。センサー部24は、例えば、TRO(Total Residual Oxidant)センサーであり、浄化ユニット50は、センサー部24の結果値に応じて酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を調節することができる。
【0052】
混合管22を介して排出される洗浄水と海水は海水排出管23を介して外部へ排出される。
【0053】
以下、
図4及び
図5を参照して、汚染物質低減装置1の作動過程についてより詳細に説明する。
【0054】
図4及び
図5は
図1の汚染物質低減装置の作動図である。具体的には、
図4は海水供給管に供給された海水がスクラバーを通過した後、外部へ直接排出される開ループ(open loop)方式を示すものであり、
図5は海水供給管に供給された海水がスクラバーを通過した後、循環管を介して再循環する閉ループ(close loop)方式を示すものである。
【0055】
まず、
図4を参照すると、海水供給管20を介して流入した海水の一部は洗浄水供給管30を介してスクラバー40へ供給され、残りの一部は海水流入管21を介して浄化ユニット50へ供給される。洗浄水は、スクラバー40の上部から噴射され、スクラバー40の下部には、洗浄水が一定の水位に満たされ得る。このとき、排気ガス管10を介して供給された排気ガスはスクラバー40の下部から噴射できる。
【0056】
浄化ユニット50は、海水を電気分解して生成した酸化剤を、排気ガスがスクラバー40へ供給される前に噴射して一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。浄化ユニット50は、洗浄水のpH値を考慮して、海水供給管20またはスクラバー40に中和剤を一緒に噴射することができる。
【0057】
一方、排気ガスはスクラバー40の下部に満たされた洗浄水中で噴射できる。これにより、1次に窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質が除去できる。また、スクラバー40の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去できる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管42を介して外部へ排出される。
【0058】
スクラバー40を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管41を介してフィルターユニット60へ移動する。フィルターユニット60は、洗浄水内の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク70に貯蔵し、汚染物質の分離された洗浄水は、海水排出管23を介して外部へ排出される。このとき、センサー部24で測定した海水排出管23を通過する洗浄水の総残留酸化剤量とpH値が基準値から外れる場合、チオ硫酸ナトリウム(Na
2S
2O
3)を混合管22に注入するか(図示せず)、或いは第2注入管57を介して浄化ユニット50で生産された中和剤をスクラバー40に注入して、総残留酸化剤量とpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0059】
浄化ユニット50で海水の電気分解によって生成された水素は、燃料電池モジュール90へ供給され、燃料電池モジュール90で生成された電気は、浄化ユニット50またはポンプP1、P2の動力源として使用されるか或いはバッテリモジュール100に貯蔵され得る。
【0060】
一方、海水供給管20を介して、塩化ナトリウムが少なく含まれている海水が流入した場合、電解質タンク110は、海水流入管21を流動する海水に電解質を供給することができる。
【0061】
次いで、
図5を参照して説明すると、海水供給管20を介して流入した海水のうち、一部はスクラバー40へ供給され、一部は浄化ユニット50へ供給される。スクラバー40を通過して洗浄水排出管41へ排出された洗浄水は、再循環タンク80に一時貯蔵されてから、再び循環管81を介して洗浄水供給管30へ循環する。すなわち、
図5の過程は、洗浄水が循環管81を介して再循環すること以外は、残りの過程は
図4の過程と実質的に同一である。
【0062】
海水供給管20を介して流入した海水は、洗浄水供給管30、スクラバー40、洗浄水排出管41、再循環タンク80、循環管81を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して、
図4の過程と
図5の過程を併行することができる。
図5の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように外部へ海水を排出することができない場合に使用できる。洗浄水をさらに再循環することにより洗浄水の汚染が激しい場合、フィルターユニット60を介して固体状粒子を除去した後、外部へ排出し、再び新しい海水をスクラバー40へ供給することができる。
【0063】
図4及び
図5の過程は、必要に応じて選択的または順次的に使用できる。
【0064】
以下、
図6乃至
図11を参照して、本発明の第2実施形態に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0065】
汚染物質低減装置は、硫黄酸化物と窒素酸化物を酸化させる前に微細粉塵を除去することにより、酸化効率を向上させることができる。また、酸化した排気ガスが湿式スクラバーを通過しながら二重に浄化されて排気ガス中の汚染物質を著しく低減させることができ、酸化した排気ガスが洗浄水に溶解して強酸を作って洗浄水中の微生物を死滅させることができるという特徴がある。
【0066】
以下、
図6及び
図7を参照して、汚染物質低減装置について具体的に説明する。
【0067】
図6は本発明の第2実施形態に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図、
図7は
図6の前処理ユニットの一例を示す断面図である。
【0068】
本発明に係る汚染物質低減装置200は、排気ガス管210、洗浄水供給管230、スクラバー240、酸化ユニット250、前処理ユニット260、中和剤供給部300及び洗浄水排出管241を含む。
【0069】
排気ガス管210は、燃焼機関(図示せず)から排気ガスが移動する管であって、後述のスクラバー240に接続される。排気ガス管210は、燃焼機関の排気管に直接接続され、高温の排気ガスが直接移動したり、各種の熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動したりする通路になれる。洗浄水供給管230は、海水、清水、及び海水と清水の混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー240へ供給する管であって、一端部が海水供給管220または清水供給管226に接続され、他端部がスクラバー240に接続され得る。すなわち、洗浄水供給管230は、海水と清水の供給を選択的に受けることができる。以下、洗浄水が海水であると限定して、洗浄水供給管230を介して主に海水が流入してスクラバー240へ供給される過程をより重点的に説明する。
【0070】
海水供給管220は、外部から海水の流入を受けて供給する管であって、海水を加圧する少なくとも一つのポンプP1が設置され、海水をスクラバー240へスムーズに供給することができる。
【0071】
海水供給管220の一側からは洗浄水供給管230が分岐してスクラバー240に接続され、海水供給管220と洗浄水供給管230との接続部分には制御弁225が設置され得る。制御弁225は、三方弁からなり、洗浄水供給管230を介して供給される海水の量を調節したり、洗浄水供給管230に分岐して供給される海水と海水供給管220を介して流動する海水との比率を調節したりすることができる。混合管222は後述の中和剤供給部300の中和剤が注入された海水が流動し、海水排出管223は外部へ海水を排出することができる。
【0072】
海水供給管220を介して外部から流入する海水は、洗浄水供給管230を介して流動してスクラバー240へ供給される。スクラバー240は、排気ガス管210を介して流入する排気ガスに、洗浄水供給管230を介して供給される洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバー(scrubber)であってもよい。このとき、洗浄水供給管230は、スクラバー240の内部に位置した端部がスクラバー240の上部に配置され、複数個に分岐して洗浄水を微粒子状に噴霧することができる。すなわち、スクラバー240の上部に配置された洗浄水供給管230は、排気ガス管210が位置したスクラバー240の下部に向かって洗浄水を噴霧し、これにより、排気ガスと洗浄水とを効果的に接触させることができる。スクラバー240の内部で排気ガスと洗浄水とが接触することにより、排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去でき、窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などの汚染物質が除去された排気ガスは、別途の排出管242を介して外部へ排出できる。排出管242を介して排出される排気ガスは、窒素酸化物、硫黄酸化物、及び粉塵などの汚染物質が除去された状態なので、排気基準に適合して大気中にそのまま排出することができる。
【0073】
スクラバー240の内部で汚染物質の含まれている排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物及び粉塵などが含まれている洗浄水は、洗浄水排出管241を介してスクラバー240の外部へ排出される。このとき、スクラバー240内の洗浄水は、窒素酸化物と硫黄酸化物が溶解して強酸性の硫酸(H
2SO
4)と硝酸(HNO
3)を形成するので、洗浄水に含まれている微生物を死滅させることができる。
【0074】
一方、排気ガス管210を介して供給される排気ガスは、前処理ユニット260を通過して微細粉塵が除去され、酸化ユニット250を通過して1次に浄化され、さらにスクラバー240を介して2次に浄化され得る。
【0075】
酸化ユニット250は、パルスコロナ放電または紫外線照射を行うことにより、排気ガスを酸化させる装置であって、排気ガス管210に接続できる。以下、酸化ユニット250がパルスコロナ放電をして排気ガスを酸化させる構造をより重点的に説明する。
【0076】
酸化ユニット250は、パルス高電圧によってコロナ放電がなされると、排気ガスがプラズマ状態になってオゾンとO
2、OHなどの酸化性ラジカルを発生させ、窒素酸化物や硫黄酸化物などの汚染物質を除去する。酸化ユニット250は、排気ガスが次の反応式に基づいて反応して排ガス中の汚染物質、すなわち、硫酸化物または窒素酸化物を酸化させることができる。
<反応式>
NO+O→NO
2
NO+H
2O→NO
2+OH
−
NO+OH
−→HNO
2
HNO
2+OH
−→NO
2+H
2O
NO+O
3→NO
2+O
2
NO
2+OH
−→HNO
3
SO
2+OH
−→HSO
3−
HSO
3−+OH
−→H
2SO
4
SO
2+O→SO
32−
SO
32−+H
2O→H
2SO
4
【0077】
前処理ユニット260は、排気ガスに含まれている微細な粉塵を除去する装置であって、排気ガス管210に接続されるが、酸化ユニット250の前段に位置することができる。前処理ユニット260は、微細粉塵に水分子を噴射して、排気ガスの微細粉塵の濃度を減少させるか、微細粉塵の透過率が低い分離膜を用いて微細粉塵の濃度を減少させるか、或いはサイクロン(cyclone)方式の遠心分離機を用いて微細粉塵の濃度を減少させることができる。以下、
図7を参照して、前処理ユニット260が微細粉塵に水分子を噴射して排気ガスの微細粉塵の濃度を減少させる構造をより重点的に説明する。
【0078】
海水供給管220は、一側が分枝して前処理ユニット260に接続でき、外部から流入した海水を前処理ユニット260に噴射することができる。このとき、海水供給管220の端部にはノズルユニット262が結合されるので、海水を微粒子化して噴射することができる。また、清水供給管226は、一側が分枝して前処理ユニット260に接続でき、清水を前処理ユニット260に噴射することができる。このとき、清水供給管226の端部にはノズルユニット262が結合されるので、清水を微粒子化して噴射することができる。すなわち、前処理ユニット260は、海水、清水、または海水と清水との混合水の供給を選択的に受けることができる。
【0079】
前処理ユニット260に海水、清水、または海水と清水との混合水が噴射されることにより、排気ガス中の微細粉塵は水分子を吸収して沈み、これにより、前処理ユニット260を通過して酸化ユニット250へ供給される排気ガスの微細粉塵の濃度が減少することができる。酸化ユニット250に微細粉塵濃度の減少した排気ガスが供給されることにより、酸化ユニット250の内部に位置してパルスコロナ放電を誘導する電極(図示せず)に微細粉塵が吸着することを防止することができるため、排気ガスの酸化効率が向上できる。また、酸化ユニット250が紫外線を照射する場合、微細粉塵が紫外線の照射経路を遮断することを防止することができるため、酸化効率が向上できる。
【0080】
しかし、海水供給管220及び清水供給管226の端部にノズルユニット262が結合されることに限定されるものではなく、海水または清水を微粒子化して噴射することができる多様な構造に変形できる。例えば、前処理ユニット260と海水供給管220との間、または前処理ユニット260と清水供給管226との間には、水蒸気を発生させる水蒸気発生ユニット(図示せず)が結合されてもよい。ここで、水蒸気とは、水の完全な気体状態のみを意味するのではなく、液体状態の水が霧化して小さな粒子をなす状態を含むことができる。水蒸気発生ユニットで発生した水蒸気は、ポンピングユニット(図示せず)を介して前処理ユニット260の内部に高圧で噴射できる。
【0081】
前処理ユニット260の一側に捕集管261が接続できる。捕集管261は、前処理ユニット260を通過した海水または清水を洗浄水供給管230へ供給する管であって、必要に応じて選択的に開放できる。捕集管261は、前処理ユニット260を通過した海水または清水を後述の循環管291に供給することもできる。すなわち、捕集管261は、分岐して洗浄水供給管230に接続されるか或いは循環管291に接続され得る。
【0082】
一方、スクラバー240の内部に生成された硫酸(H
2SO
4)と硝酸(HNO
3)は、中和剤供給部300を介して供給された中和剤によって中和できる。例えば、中和剤は、アルカリ溶液、すなわち、水酸化ナトリウム(NaOH)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であり、海水などを電気分解して得ることができる。したがって、中和剤供給300は、単に中和剤が貯蔵された中和剤タンクを含むこともでき、電気分解装置を含めて中和剤を直接生産する装置であってもよい。中和剤供給部300が電気分解装置を含めて中和剤を直接生産する場合、中和剤供給部300の一側には海水供給管220から分岐した海水流入管221が接続されることにより、海水の供給を受けることができる。海水流入管221上には少なくとも一つのポンプP2が設置され、海水を中和剤供給部300へスムーズに供給することができる。
【0083】
中和剤供給部300は、中和剤をスクラバー240に供給するか、海水供給管220に供給するか、或いは捕集管261に供給することができる。つまり、中和剤供給部300は、第1注入管310を介してスクラバー240に中和剤を供給するか、或いは第2注入管320を介して海水供給管220に中和剤を供給するか、或いは第3注入管330を介して捕集管261に中和剤を供給することができる。
【0084】
中和剤供給部300が中和剤をスクラバー240に供給する場合、洗浄水が排気ガスと接した後、順次接するように制御することができる。すなわち、洗浄水内の微生物の殺菌のために、排気ガスと洗浄水とが先ず接して硫酸と硝酸によって微生物を死滅させた後、中和剤が洗浄水に混ぜられて洗浄水を適正のpHとなるように中和させることができる。このような過程を経てスクラバー240内で排気ガス内の汚染物質を除去し、洗浄水の微生物を死滅させ、洗浄水を中和させる過程が一度に行われ得る。
【0085】
前述したように、捕集管261の内部は、前処理ユニット260を通過した海水または清水が流動する。前処理ユニット260を通過した海水または清水は、微細粉塵や汚染物質などを含有して酸性を帯びるので、中和剤供給部300は、中和剤を供給してpHを適切に調節することができる。
【0086】
洗浄水排出管241は、スクラバー240内の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット270を介して海水供給管220に再び接続できる。すなわち、洗浄水排出管241は、フィルターユニット270を介して、洗浄水に含まれている固体状粒子を分離した後、外部へ排出することができる。しかし、洗浄水排出管241は、必ず海水供給管220に接続される必要はなく、独立して船舶の外部に接続されてもよい。
【0087】
洗浄水排出管241には循環管291が接続できる。循環管291は、洗浄水排出管241を介して排出される洗浄水を洗浄水供給管230へ再循環させる管であって、洗浄水を外部へ排出する必要がない場合、洗浄水をスクラバー240へ循環させて再利用することができる。洗浄水排出管241と循環管291との間には再循環タンク290が設置できる。再循環タンク290は、スクラバー240を介して排出された洗浄水の一部を貯蔵することができ、循環管291を介して一定量の洗浄水が循環できるように一種のバッファタンク(buffer tank)の役割を果たすことができる。再循環タンク290は、遠心分離機、重力分離器及びフィルターのいずれかを含み、洗浄水に含まれている固体状粒子を分離し、循環管291を介して洗浄水を再循環させることができる。
【0088】
洗浄水供給管230は、海水供給管220、清水供給管226、循環管291及び捕集管261に接続されており、排気ガスの濃度、スクラバー240の処理容量、洗浄水の濃度及び汚染度などを考慮して、海水、清水、循環水を適切に混ぜてスクラバー240へ供給することができる。
【0089】
フィルターユニット270は、スクラバー240の後段に設置され、スクラバー240から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子などを分離する装置であって、再循環タンク290と一緒に遠心分離機、重力分離器及びフィルターの少なくとも一つを用いて固体状粒子を分離した後、スラッジタンク280へ排出することができる。フィルターユニット270は、ポンプP1と制御バルブ225との間の海水供給管220に接続できる。すなわち、海水供給管220から供給される海水は、フィルターユニット270を通過した後、洗浄水供給管230を介してスクラバー240へ供給され、スクラバー240を通過した洗浄水は、再びフィルターユニット270を通過することができる。すなわち、1つのフィルターユニット270によって、外部から流入した海水とスクラバー240を通過した洗浄水を両方ともフィルタリングすることができる。また、フィルターユニット270は、1つまたは2つを使用するが、洗浄水排出管241を通過した洗浄水または海水供給管220を通過した海水中に含まれている粒子の大きい物質の除去に共通または独立して使用することもできる。
【0090】
フィルターユニット270を通過した洗浄水または海水には、第2注入管320を介して中和剤または殺菌剤が噴射できる。フィルターユニット270と海水排出管223との間には、海水と洗浄水との混合水が排出される混合管222が設置でき、第2注入管320は、海水供給管220または混合管222に接続できる。海水排出管223上にはセンサー部224が設置されており、排出される洗浄水と海水中に含まれている総残留酸化剤量(total residual oxidant)、pH値及び微生物濃度のうちの少なくとも一つをリアルタイムで把握することができる。センサー部224は、例えば、TRO(Total Residual Oxidant)センサーであり、中和剤供給部300は、センサー部224の結果値に応じて酸化剤、中和剤、殺菌剤の供給量を調節することができる。
【0091】
混合管222から排出される洗浄水と海水は海水排出管223を介して外部へ排出される。
【0092】
図8は
図6の前処理ユニットの他の例を示す断面図である。
【0093】
図8を参照すると、前処理ユニット260aは、微細粉塵の透過率が低い分離膜263を用いて微細粉塵の濃度を減少させる。本発明の他の実施形態に係る前処理ユニット260aは、微細粉塵の透過率が低い分離膜263を用いて微細粉塵の濃度を減少させること以外は、前述した実施形態と実質的に同一である。よって、これを中心に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代替する。
【0094】
前処理ユニット260aは、少なくとも一つの分離膜263を用いて、酸化ユニット250に流入する排気ガスの微細粉塵の濃度を減少させる。分離膜263は、微細粉塵の透過率が低いため、微細粉塵の透過を遮断する膜を意味する。本発明において、分離膜263は、微細粉塵の透過を完全に遮断することができる膜に限定されるものではなく、微細粉塵の濃度を調節することができる程度の分離膜であればいずれでもよい。
【0095】
分離膜263は、図示の如く、前処理ユニット260aの内部に設置されてもよく、排気ガス管210の内部に直接設置されてもよい。また、分離膜263は、排気ガスの移動方向に沿って多段に配置され、微細粉塵の濃度を段階的に減少させることもできる。
【0096】
分離膜263は、前処理ユニット260aを横方向に分割して第1領域A1と第2領域A2に分離することができる。第1領域A1と第2領域A2は、分離膜263を挟んでそれぞれ両側に形成され、第1領域A1は燃焼機関に連結される領域であり、第2領域A2は酸化ユニット250に連結される領域であり得る。このとき、第2領域A2は、第1領域A1よりも低い圧力に設定され、排気ガス管210を介して流入した排気ガスは、第1領域A1から分離膜263を介して第2領域A2へ移動することができる。前述したように、分離膜263は、微細粉塵の透過率が低い特性を有するので、排気ガス管210を介して流入した排気ガスに含まれている微細粉塵が透過することを遮断することができる。すなわち、第2領域A2に存在する排気ガスの微細粉塵の濃度は、第1領域A1に存在する排気ガスの微細粉塵の濃度よりも低く維持できる。
【0097】
図9は
図6の前処理ユニットの別の例を示す断面図である。
【0098】
図9を参照すると、前処理ユニット260bは、サイクロン(cyclone)方式の遠心分離機264を用いて微細粉塵の濃度を減少させる。本発明の別の実施形態に係る前処理ユニット260bは、サイクロン(cyclone)方式の遠心分離機264を用いて微細粉塵の濃度を減少させること以外は、前述した実施形態と実質的に同様である。よって、これを重点的に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代替する。
【0099】
前処理ユニット260bは、排気ガス管210を介して供給される排気ガスの供給を受けて微細粉塵を分離するが、このとき、遠心分離機264を用いることができる。遠心分離機264は、図示の如く、サイクロン方式の固体分離装置に形成される。すなわち、排気ガス管210から供給される微細粉塵が含まれている排気ガスを遠心分離機264の内部へ接線方向に供給すると、密度の差によって、微細粉塵の除去された排気ガスと微細粉塵に分離される。微細粉塵は遠心力によって旋回しながら円錐壁に集まり、円錐部264aを介して排出される。微細粉塵の除去された排気ガスは、遠心分離機264の中心部に集まって旋回渦を形成しながら上昇して円筒部264bを介して排出される。円錐部264aを介して排出された微細粉塵、及び微細粉塵を含む排気ガスは別途の粒子除去器に供給され、円筒部264bを介して排出された微細粉塵の除去された排気ガスは排気ガス管210を介して酸化ユニット250へ供給される。
【0100】
以下、
図10及び
図11を参照して、汚染物質低減装置200の作動過程についてより詳細に説明する。
【0101】
図10は海水供給管へ供給された海水がスクラバーを通過した後、外部へ直接排出される開ループ(open loop)方式を示すものであり、
図11は海水供給管に供給された海水がスクラバーを通過した後、循環管を介して再循環する閉ループ(close loop)方式を示すものである。
【0102】
まず、
図10を参照すると、海水供給管220を介して流入した海水のうち、一部は洗浄水供給管230を介してスクラバー240へ供給され、一部は海水流入管221を介して中和剤供給部300へ供給され得る。洗浄水はスクラバー240の上部から噴射され、スクラバー240の下部には洗浄水が一定の水位に満たされ得る。このとき、排気ガス管210を介して供給される排気ガスは、前処理ユニット260と酸化ユニット250を順次経た後、スクラバー240の下部から噴射できる。前処理ユニット260は、海水供給管220から海水の供給を受けて微細粉塵に噴射し、酸化ユニット250は、パルスコロナ放電または紫外線照射を行うことにより、排気ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させることができる。
【0103】
中和剤供給部300は、海水を電気分解して中和剤を生成することができ、洗浄水のpH値を考慮して、海水供給管220またはスクラバー240に中和剤を噴射することができる。また、中和剤供給部300は、前処理ユニット260を通過した後、捕集管261を流動する海水に中和剤を噴射してpHを調節することができる。pHの調節された捕集管261内の海水は、洗浄水供給管230を介してスクラバー240へ供給できる。
一方、排気ガスは、スクラバー240の下部に満たされた洗浄水中で噴射でき、これにより、一次に窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質が除去できる。また、スクラバー240の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去できる。このような過程を経て排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管242を介して外部へ排出される。
【0104】
スクラバー240を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管241を介してフィルターユニット270へ移動する。フィルターユニット270は、洗浄水中の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク280に貯蔵し、汚染物質が分離された洗浄水は海水排出管223を介して外部へ排出される。このとき、センサー部224で測定した、海水排出管223を通過する洗浄水の総残留酸化剤量とpH値が基準値から外れた場合、チオ硫酸ナトリウム混合管222に注入するか(図示せず)、或いは、中和剤供給部300で生成された中和剤を第1注入管310を介してスクラバー240に注入することにより、総残留酸化剤量とpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0105】
次いで、
図11を参照して説明すると、海水供給管220を介して流入した海水のうち、一部はスクラバー240に供給されて洗浄水として使用され、一部は中和剤供給部300へ供給されて中和剤の生成に使用される。排気ガス管210を介して供給される排気ガスは、前処理ユニット260と酸化ユニット250を順次経た後、スクラバー240に噴射されるが、前処理ユニット260は、海水供給管220から供給された海水を微細粉塵に噴射して排気ガスの微細粉塵の濃度を減少させる。
【0106】
スクラバー240を通過して洗浄水排出管241を介して排出された洗浄水は、再循環タンク290に一時貯蔵されてから、さらに循環管291を介して洗浄水供給管230へ循環する。
【0107】
中和剤供給部300は、洗浄水のpH値を考慮して、スクラバー240と捕集管261に中和剤を噴射し、pHの調節された捕集管261内の海水は循環管291に供給できる。
【0108】
海水供給管220を介して流入した海水は、洗浄水供給管230、スクラバー240、洗浄水排出管241、再循環タンク290、循環管291を順次循環し、海水の汚染度、pH値などを考慮して、
図10の過程及び
図11の過程を併行することができる。
図11の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように、外部へ海水を排出することができない場合に使用できる。
【0109】
以下、
図12乃至
図14を参照して、本発明の第3実施形態に係る汚染物質低減装置について詳細に説明する。
【0110】
本発明の第3実施形態に係る汚染物質低減装置は、気液接触の前に酸化させた硫黄酸化物と窒素酸化物に液状触媒を注入して、酸化した硫黄酸化物と窒素酸化物が再び還元されることを防止することができる。よって、硫黄酸化物及び窒素酸化物の低減効果を向上させることができるとともに、酸化した排気ガスが湿式スクラバーを通過して二重に浄化されるので、排気ガス中の汚染物質を著しく低減させることができるという特徴がある。
図12は本発明の第3実施形態に係る汚染物質低減装置を概略的に示す図である。
【0111】
本発明に係る汚染物質低減装置400は、排気ガス管410、洗浄水供給管420、スクラバー430、酸化ユニット440、液状触媒注入ユニット450、及び洗浄水排出管431を含む。
【0112】
排気ガス管410は、燃焼機関(図示せず)から排気ガスが移動する管であって、後述のスクラバー430に接続される。排気ガス管410は、燃焼機関の排気管に直接接続され、高温の排気ガスが直接移動したり、各種の熱交換器を通過して排気熱の大部分を再利用して残った廃ガスが移動したりする通路になれる。発生した排気ガスは、多量の窒素酸化物、硫黄酸化物、及び微細粉塵などを含んでおり、燃焼機関の一側に接続された排気ガス管410を介してスクラバー430へ供給される。
【0113】
洗浄水供給管420は、海水、清水、及び海水と清水の混合水のうちの少なくとも一つである洗浄水をスクラバー430へ供給する管であって、一端部が海水供給管421または清水供給管427に接続され、他端部がスクラバー430に接続され得る。
【0114】
海水供給管421は、外部から海水の流入を受けて供給する管であって、海水を加圧する少なくとも一つのポンプP1が設置され、海水をスクラバー430へスムーズに供給することができるが、これに限定されるものではない。
【0115】
海水供給管421の一側には洗浄水供給管420が分岐してスクラバー430に接続され、海水供給管421と洗浄水供給管420との接続部分には制御弁426が設置され得る。制御弁426は、三方弁からなり、洗浄水供給管420へ供給される海水の量を調節したり、洗浄水供給管420に分岐して供給される海水と海水供給管421へ供給される海水との比率を適切に調節したりすることができる。
【0116】
海水供給管421を介して外部から流入した海水は、洗浄水供給管420を介して流動してスクラバー430へ供給される。スクラバー430は、排気ガス管410を介して供給される排気ガスに、洗浄水供給管420を介して供給される洗浄水を噴霧することにより、排気ガスと洗浄水とを気液接触させる装置であって、湿式スクラバーであってもよい。このとき、洗浄水供給管は、スクラバー430の内部に位置した端部がスクラバー430の上部に配置され、複数個に分岐して洗浄水を微粒子状に噴霧することができる。
【0117】
汚染物質の含まれた排気ガスと接触して窒素酸化物、硫黄酸化物及び微細粉塵などが含まれた洗浄水は、洗浄水排出管431を介してスクラバー430の外部へ排出される。
一方、排気ガス管410を介して供給される排気ガスは、酸化ユニット440を介して1次に浄化され、スクラバー430を介して2次に浄化され得る。
【0118】
酸化ユニット440は、パルスコロナ放電または紫外線の照射または酸化剤の噴射によって排気ガスを酸化させる装置であって、排気ガス管410に接続できる。すなわち、排気ガス管410を流動する排気ガスに含まれている一酸化窒素は、酸化ユニット440によって二酸化窒素に酸化できる。二酸化窒素は、一酸化窒素に比べて水に容易に溶けるので、スクラバー430で洗浄水に容易に溶けて除去できる。
【0119】
酸化ユニット440がパルスコロナ放電をして排気ガスを酸化させる場合、パルス高電圧によってコロナ放電がなされると、排気ガスがプラズマ状態になってオゾンとO
2、OHなどの酸化性ラジカルを発生させて窒素酸化物や硫黄酸化物を酸化させることができる。また、酸化ユニット440が酸化剤を噴射して排気ガスを酸化させる場合、ノズル、超音波振動子、スプレー、加熱板などを用いて液体酸化剤を微粒子化、液滴化または蒸気化することができる。
【0120】
酸化ユニット440を介して1次に浄化された排気ガスは、スクラバー430へ供給される前に液状触媒注入ユニット450を通過することができる。
【0121】
液状触媒注入ユニット450は、排気ガスを酸化状態に維持させる装置であって、酸化ユニット440の後段の排気ガス管410に接続できる。酸化ユニット440によって人為的に酸化した排気ガスは、再び元の状態に容易に還元できる。排気ガスが再び還元されると、スクラバー430で洗浄水に容易に溶けて除去されないので、排気ガスが酸化状態でスクラバー430に流入することができるように制御しなければならない。液状触媒注入ユニット450は、酸化した排気ガスに液状触媒を注入して、排気ガスを酸化状態に維持させる。液状触媒は、石油やディーゼルなどのオイル(oil)に含まれている有機硫化物を酸化させて得た有機硫黄酸化物(organic sulfoxides)であって、水とスルホキシド(sulfoxide)の重量比が30〜70:70〜30であり得る。酸化した排気ガスに有機硫黄酸化物たる液状触媒を注入することにより、排気ガスが再び還元されずに酸化状態を維持してスクラバー430へ供給できる。しかし、液状触媒注入ユニット450が酸化ユニット440の後段の排気ガス管410または洗浄水供給管420に接続されることに限定されるものではなく、液状触媒注入ユニット450の位置は多様に変形できる。例えば、液状触媒注入ユニット450は、酸化ユニット440の内部に酸化ユニット440と一体にまたは別個に形成されるか、或いはスクラバー430の内部にスクラバー430と一体にまたは別個に形成され得る。
【0122】
一方、スクラバー430の内部に生成された硫酸と硝酸は、中和剤供給部470を介して供給された中和剤によって中和できる。例えば、中和剤は、アルカリ溶液、すなわち水酸化ナトリウム(NaOH)または次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)であり、海水などを電気分解して得ることができる。したがって、中和剤供給部470は、単に中和剤が貯蔵された中和剤タンクから形成されるか、或いは電気分解装置を含めて中和剤を直接生産する装置から形成され得る。中和剤供給部470が電気分解装置を含めて中和剤を直接生産する場合、中和剤供給部470の一側には海水供給管421から分岐した海水流入管422が接続されることにより、海水の供給を受けることができる。海水流入管422上には少なくとも一つのポンプP2が設置されることにより、海水を中和剤供給部470へスムーズに供給することができる。
【0123】
中和剤供給部470は、中和剤をスクラバー430へ供給するか、或いは海水供給管421へ供給することができる。中和剤供給部470が中和剤をスクラバー430に供給する場合、洗浄水が排気ガスと接した後に順次接するように供給タイミングを制御することができる。
【0124】
海水供給管421、または海水供給管421から分岐した海水流入管422上には、海水に電解質を供給する電解質タンク520が設けられてもよい。このとき、電解質は塩化ナトリウム(NaCl)であってもよい。
【0125】
洗浄水排出管431は、スクラバー430内の洗浄水を排出する管であって、フィルターユニット480を介して海水供給管421に接続できる。
【0126】
洗浄水排出管431上には分離ユニット460が接続できる。分離ユニット460は、洗浄水に含まれている液状触媒を分離する装置であって、洗浄水との比重差を用いて液状触媒を分離することができる。すなわち、分離ユニット460は、重力分離方式で、洗浄水に含まれている液状触媒を分離する。液状触媒は、比重が約0.85であって洗浄水よりも小さい。したがって、相対的に比重が大きい洗浄水は分離ユニット460の下側に配置され、比重が小さい液状触媒は分離ユニット460の上側に配置されることにより、洗浄水と液状触媒は完全に互いに分離できる。しかし、分離ユニット460が重力分離方式で液状触媒を分離することに限定されるものではなく、洗浄水に含まれている液状触媒を分離することができる様々な方式で変形できる。分離ユニット460が、洗浄水に含まれている液状触媒を分離することにより、汚染物質低減装置400が開ループで動作する場合、液状触媒が洗浄水と一緒に船外へ排出されることを防止することができる。分離された液状触媒は液状触媒注入ユニット450に循環できる。
【0127】
循環ライン461は、分離ユニット460で分離された液状触媒を液状触媒注入ユニット450へ再循環させる管であって、分離ユニット460と液状触媒注入ユニット450とを互いに接続することができる。循環ライン461は、洗浄水を外部へ排出する場合、すなわち、汚染物質低減装置400が開ループで動作する場合に開放され、液状触媒を液状触媒注入ユニット450へ循環させることができる。
【0128】
洗浄水排出管431には再循環管510も接続できる。
【0129】
洗浄水排出管431と再循環管510との間には再循環タンク500が設置できる。再循環タンク500は、遠心分離機、重力分離器及びフィルターのいずれかを含み、洗浄水に含まれている固体状粒子を分離し、再循環管510を介して再循環させることができる。
【0130】
洗浄水供給管420は、海水供給管421、清水供給管427及び再循環管510に接続されており、排気ガスの濃度、スクラバー430の処理容量、洗浄水の濃度及び汚染度などを考慮して、海水、清水、循環水を適切に混ぜてスクラバー430へ供給することができる。
【0131】
フィルターユニット480は、スクラバー430の後段に設置され、スクラバー430から排出される洗浄水に含まれている固体状粒子を分離する装置であって、再循環タンク500と一緒に遠心分離機、重力分離器及びフィルターのいずれかを用いて固体状粒子を分離した後、スラッジタンク490へ排出することができる。
【0132】
フィルターユニット480を通過した洗浄水または海水には、中和剤供給部470から中和剤が注入できる。中和剤は、海水と洗浄水との混合水が排出される混合管423に注入することができ、混合管423は、フィルターユニット480と海水排出管424との間を接続することができる。海水排出管424上にはセンサー部425が設置されている。
【0133】
以下、
図13及び
図14を参照して、汚染物質低減装置400の作動過程についてさらに詳細に説明する。
図13及び
図14は本発明の第3実施形態に係る汚染物質低減装置の作動図である。
【0134】
本発明に係る汚染物質低減装置400は、気液接触の前に酸化させた硫黄酸化物と窒素酸化物に液状触媒を注入して、酸化した硫黄酸化物と窒素酸化物が再び還元されることを防止することができる。よって、硫黄酸化物及び窒素酸化物の低減効果を向上させることができ、酸化した排気ガスが湿式スクラバーを通過して二重に浄化されるので、排気ガス中の汚染物質を著しく低減させることができる。
【0135】
図13は海水がスクラバーを通過した後に外部へ排出される開ループ(open loop)方式を示す図、
図14は海水がスクラバーを通過した後に再循環管を介して再循環する閉ループ(close loop)方式を示す図である。
【0136】
まず、
図13を参照して説明すると、海水供給管421を介して流入した海水のうち、一部は洗浄水供給管420を介してスクラバー430へ供給され、残りの一部は海水流入管422を介して中和剤供給部470へ供給される。洗浄水はスクラバー430の上部から下部に向かって噴射され、スクラバー430の下部には洗浄水が漸次満たされ得る。このとき、排気ガス管410を介して供給される排気ガスは、酸化ユニット440と液状触媒注入ユニット450を順次経た後、酸化した状態でスクラバー430の下部から上部に向かって噴射できる。酸化ユニット440は、放電、紫外線の照射または酸化剤の噴射によって、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させ、液状触媒注入ユニット450は、酸化した排気ガスに液状触媒を注入して排気ガスの酸化状態を維持させる。
【0137】
中和剤供給部470は、中和剤を貯蔵または生成し、洗浄水のpH値を考慮して、海水供給管421またはスクラバー430に中和剤を噴射することができる。
【0138】
排気ガスは、スクラバー430の下部に満たされた洗浄水中で噴射され、これにより、1次に窒素酸化物、硫黄酸化物、微細粉塵などの汚染物質が除去され得る。また、スクラバー430の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去できる。このような過程によって排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管432を介して外部へ排出される。
【0139】
スクラバー430を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、微細粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管431を介してスクラバー430の外部へ排出される。洗浄水排出管431上には分離ユニット460が設置されるので、液状触媒は洗浄水から分離されて循環ライン461を介して液状触媒注入ユニット450へ循環し、液状触媒が分離された洗浄水のみがフィルターユニット480へ移動する。フィルターユニット480は、洗浄水内の固体状粒子などの汚染物質を分離してスラッジタンク490に貯蔵し、汚染物質の分離された洗浄水は、海水排出管424を介して船舶の外部へ排出される。このとき、センサー部425で測定した海水排出管424を通過する洗浄水の総残留酸化剤量とpH値が基準値から外れた場合、中和剤供給部470から中和剤をスクラバー430または混合管423に注入して総残留酸化剤量とpH値を基準値以内に合わせた後、外部へ排出する。
【0140】
一方、海水供給管421を介して、塩化ナトリウムが少なく含まれている海水が流入する場合、電解質タンク520は、海水流入管422を流動する海水に電解質を供給することもできる。
【0141】
次いで、
図14を参照して説明すると、海水供給管421を介して流入した海水のうち、一部はスクラバー430へ供給され、一部は中和剤供給部470へ供給される。スクラバー430を通過して洗浄水排出管431へ排出された洗浄水は、液状触媒を含んだ状態で再循環タンク500に一時貯蔵されてからさらに再循環管510を介して洗浄水供給管420へ供給される。すなわち、
図14の過程は洗浄水排出管431を介して排出された洗浄水が船外へ排出されず、液状触媒を含んだ状態で再循環管510を介して洗浄水供給管420へ再循環すること以外は、残りの過程は
図13の過程と同一である。
【0142】
酸化した排気ガスに液状触媒注入ユニット450を介して注入された液状触媒は、排気ガス管410、スクラバー430、洗浄水排出管431、分離ユニット460、循環ライン461を順次循環し、液状触媒の汚染度などを考慮して、
図13の過程と
図14の過程とを併行することができる。
【0143】
また、海水供給管421を介して流入した海水は、洗浄水供給管420、スクラバー430、洗浄水排出管431、分離ユニット460、再循環タンク500、及び再循環管510を順次循環し、洗浄水の汚染度、pH値などを考慮して、
図13の過程と
図14の過程とを併行することができる。
【0144】
図14の過程は海水の排出が制限される地域を通過する場合のように外部へ海水を排出することができない場合に運用でき、
図13と
図14の過程は必要に応じて選択的にまたは順次的に運用できる。
【0145】
以下、
図15及び
図16を参照して、本発明の第4実施形態に係る汚染物質低減装置400について詳細に説明する。
図15及び
図16は本発明の第4実施形態に係る汚染物質低減装置の作動図である。
【0146】
本発明の第4実施形態に係る汚染物質低減装置400は、排気ガスに含まれている微細粉塵を除去する前処理ユニット530をさらに含む。本発明の第4実施形態に係る汚染物質低減装置400は、排気ガスに含まれている微細粉塵を除去する前処理ユニット530をさらに含むこと以外は、前述した実施形態と実質的に同一である。よって、これを中心に説明するが、別の記載がない限り、残りの構成部についての説明は前述した事項で代替する。
【0147】
前処理ユニット530は、排気ガスに含まれている微細粉塵を除去する装置であって、酸化ユニット440の前段の排気ガス管410に接続できる。前処理ユニット530は、微細粉塵に水分子を噴射するか、微細粉塵の透過率が低い分離膜を利用するか、或いはサイクロン方式の遠心分離機を用いて、排気ガスの微細粉塵の濃度を減少させることができる。
【0148】
海水供給管421は、一側が分岐して前処理ユニット530に接続でき、外部から流入した海水を前処理ユニット530に噴射することができる。このとき、海水供給管421は、フィルターユニット480の後端から分岐して、1次にフィルタリングされた海水を前処理ユニット530に供給することができ、端部にノズルユニット(図示せず)が形成されて海水を微粒子化して噴射することができる。また、清水供給管427は、一側が分岐して前処理ユニット530に接続でき、清水を前処理ユニット530に噴射することができる。このとき、清水供給管427の端部にはノズルユニット(図示せず)が形成されるため、清水を微粒子化して噴射することができる。すなわち、前処理ユニット530は、海水、清水、または海水と清水との混合水の供給を選択的に受けることができる。しかし、海水供給管421と清水供給管427の端部にノズルユニットが結合されることに限定されるものではなく、海水または清水を微粒子化して噴射することができる多様な構造に変形することができる。例えば、前処理ユニット530と海水供給管421との間、または前処理ユニット530と清水供給管427との間には、水蒸気を発生させる水蒸気発生ユニット(図示せず)が結合されてもよい。ここで、水蒸気とは、水の完全な気体状態のみを意味するのではなく、液体状態の水が霧化して小さな粒子をなす状態を含むことができる。水蒸気発生ユニットで発生した水蒸気は、別のポンプ装置を介して前処理ユニット530の内部に高圧で噴射できる。
【0149】
前処理ユニット530に海水、清水、または海水と清水との混合水が噴射されることにより、排気ガス中の微細粉塵は水分子を吸収して沈み、これにより、前処理ユニット530を通過して酸化ユニット440へ供給される排気ガスの微細粉塵の濃度が減少することができる。酸化ユニット440に微細粉塵濃度の減少した排気ガスが供給されることにより、酸化ユニット440の内部に位置してパルスコロナ放電を誘導する電極(図示せず)に微細粉塵が吸着することを防止することができる。したがって、排気ガスの酸化効率が向上できる。また、酸化ユニット440が紫外線を照射する場合、微細粉塵が紫外線の照射経路を遮断することを防止して酸化効率を向上させることができる。
【0150】
前処理ユニット530の一側には捕集管531が接続できる。捕集管531は、前処理ユニット530を通過した海水または清水を捕集して洗浄水供給管420へ供給する管であって、必要に応じて選択的に開放できる。捕集管531は、前処理ユニット530を通過した海水または清水を再循環管510に供給することもできる。
【0151】
図15は海水がスクラバーを通過した後に外部へ排出される開ループ(open loop)方式を示す図、
図16は海水がスクラバーを通過した後に再循環管510を介して再循環する閉ループ(close loop)方式を示す図である。
【0152】
まず、
図15を参照すると、海水供給管421を介して流入した海水のうち、一部は洗浄水供給管420を介してスクラバー430へ供給され、一部は海水流入管422を介して中和剤供給部470へ供給される。洗浄水はスクラバー430の上部から噴射され、スクラバー430の下部には洗浄水が一定水位に満たされ得る。このとき、排気ガス管410を介して供給される排気ガスは、前処理ユニット530、酸化ユニット440及び液状触媒注入ユニット450を順次経た後、スクラバー430の下部から噴射できる。前処理ユニット530は、海水供給管421から海水の供給を受けて微細粉塵に噴射し、前処理ユニット530を通過した海水は、捕集管531を介して洗浄水供給管420へ供給できる。酸化ユニット440は、放電、紫外線の照射または酸化剤の噴射によって、排気ガスに含まれている一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させ、液状触媒注入ユニット450は、酸化した排気ガスに液状触媒を注入して排気ガスの酸化状態を維持させる。
【0153】
中和剤供給部は、中和剤を貯蔵または生成し、海水供給管421またはスクラバー430または捕集管531に中和剤を噴射することができる。
【0154】
排気ガスは、スクラバー430の下部に満たされた洗浄水の中で噴射され、これにより、1次に窒素酸化物、硫黄酸化物、微細粉塵などの汚染物質が除去され得る。また、スクラバー430の上部から噴射される洗浄水によって2次に汚染物質が除去され得る。このような過程によって排気ガス中の汚染物質は除去され、汚染物質の除去された排気ガスは排出管432を介して外部へ排出される。
【0155】
スクラバー430を通過した洗浄水は、窒素酸化物、硫黄酸化物、微細粉塵などの汚染物質を含んでおり、洗浄水排出管431を介してスクラバー430の外部へ排出される。洗浄水排出管431を流動する洗浄水は、分離ユニット460を通過して液状触媒が分離され、分離された液状触媒は、循環ライン461を介して液状触媒注入ユニット450へ循環できる。液状触媒が分離された洗浄水は、フィルターユニット480へ移動して固体状粒子などの汚染物質が除去され、汚染物質はスラッジタンク490に貯蔵され、汚染物質が除去された洗浄水は海水排出管424を介して船舶の外部へ排出される。
【0156】
次いで、
図16を参照すると、海水供給管421を介して流入した海水のうち、一部はスクラバー430へ供給され、一部は中和剤供給部470へ供給される。
【0157】
スクラバー430を通過して洗浄水排出管431へ排出された洗浄水は、液状触媒を含んだ状態で再循環タンク500に一時貯蔵されてから再循環管510を介して洗浄水供給管420へ供給される。すなわち、
図16の過程は、洗浄水が船外へ排出されず、液状触媒を含んだ状態で再循環管510を介して洗浄水供給管420へ再循環すること以外は、残りの過程を
図15の過程と同一である。
【0158】
図16の過程は、海水の排出が制限される地域を通過する場合のように外部へ海水を排出することができない場合に運用でき、
図15及び
図16の過程は、必要に応じて選択的にまたは順次的に運用できる。
【0159】
以上、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得ることを理解することができるだろう。したがって、上述した実施形態は、すべての面で例示的なもので、限定的なものではないと理解すべきである。