(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポストはその先端部において拡張部を備え、前記拡張部は、前記皮下リードの縫合糸孔をスナップスルー方式で通過し、前記縫合糸孔を通過した後に前記皮下リードに固定されたままとなるように構成されている、請求項1に記載の錨着装置。
錨着装置および関連する皮下リードの患者への導入の間に充填材として作用し、次いで植込み後に組織液によって溶解されると、前記本体と錨着された皮下リードとの間に空間を生じさせる可溶性部分をさらに備える、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の錨着装置。
【背景技術】
【0002】
キャメロン ヘルス インコーポレイテッド(Cameron Health, Inc.)およびボストン サイエンティフィック コーポレイション(Boston Scientific Corporation)のS−ICDシステム(商標)は、経静脈的除細動器システムに関連する合併症を低減する心調律管理における新たな機会を与える。除細動器システム自体は、脈管構造にアクセスしたり、または心臓に接触したりすることなく、皮下的に植え込まれ得る。
【0003】
実例を
図1に提供する。上記システムは、キャニスタ12がほぼ心尖部の高さの左腋窩に位置した状態で患者10に植え込まれる。リード14は患者の皮膚下かつ胸郭上に皮下的に配置され、第1部分は乳房下溝線に沿って剣状突起まで延び、次いで胸骨に平行に、かつ胸骨の左側約1〜2cmのところで上方に延在する。近位センス電極16、衝撃コイル電極18および遠位先端センス電極20は、リード14の傍胸骨部に沿って備えられている。システム全体は胸郭の外側に植え込まれている。
【0004】
キャニスタ12は、プログラマ22のような外部装置との通信(例えばRF通信、誘導遠隔測定または他の適当な通信リンケージなど)に適当であるような構成要素をさらに備えてもよい。例えば、植込み処置中に、一旦キャニスタ12およびリード14が配置されると、プログラマ22はキャニスタ12を作動させ、かつ/または診断もしくは作動試験を指示/監視するために用いられ得る。植込み後には、プログラマ22は、植え込まれた装置の状態および履歴を非侵襲的に判定するために用いられ得る。プログラマ22はまた、キャニスタ12と組合せて、使用者/医師に対して統計値、エラー、履歴および潜在的な問題の通知を可能にしてもよく、またキャニスタ12におけるプログラミングの更新を可能にしてもよい。
【0005】
図2に示すように、S−ICDシステムの典型的な植込みは3つの切開口30,32,34を用い、感染症を引き起こし得る微生物の導入を避けるために、形状36によって表わされる滅菌野が用いられる。一部の医師達はまた、上位胸骨切開口34を見合わせることにより、2−切開口アプローチを用いている。
【0006】
皮下のみの配置(subcutaneous−only placement)は、感染症に関連するより危険な合併症のうちのいくつか、特に感染が経静脈リードを下って心臓内に移行した場合に生じ得る心内膜炎を防止する。しかしながら、全身性および表在性の双方の感染が報告されている。加えて、切開口32または34のいずれかにおける空気ポケットが植込みの初めの数週間内に不適当なショックをひき起こし得ることを示す報告もあった。
【0007】
切開口の数を削減するための代替案およびさらなる選択肢が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが認識したところでは、特に解決すべき課題は皮下リードの錨着である。リードの遠位先端部における錨着を容易にするために、皮下リードに取り付けるための錨着装置が提供される。いくつかの例において、錨着機構は、植込みの前に皮下リードの遠位端部の開口に取り付けられる。錨着機構は皮下リードの感知電極を覆わないように設計され、感知との干渉を防止し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の例示的な実施形態において、皮下リードとともに使用するための錨着装置は、1つ以上のアームと、それらの1つ以上のアームをともに連結し、かつその一端上にノーズ部を有する本体と、皮下リードの遠位先端部に取り付けるための取付機構とを備え得る。
【0010】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、取付機構は該取付機構からノーズ部の方向に対して横方向に延びるポストを備えてもよく、そのポストは皮下リードの先端部の開口を通って位置するように構成されている。
【0011】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態では、ポストに固定するための固定片が備えられ、固定片とポストとはともにスナップフィットする。
【0012】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、固定片、取付機構および本体はともに皮下リードの遠位先端部と組み合って、それらの間に滑らかな移行を形成するように構成されてもよい。
【0013】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、ポストは、その先端部において拡張部を備えてもよく、該拡張部は皮下リードの縫合糸孔のような開口をスナップスルー方式(snap−through fashion)で通過し、開口を通過した後に皮下リードに固定されたままとなるように構成されている。
【0014】
加えて、これに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、取付機構は、皮下リードの先端部における縫合糸孔のような開口に通すためのフックを備えてもよい。
【0015】
加えて、これに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、取付機構は、縫合糸孔のような皮下リードの開口のフックへの進入は許容するが、フックからの脱離は防止するラッチをさらに備えてもよい。
【0016】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、本体は、ノーズ部の近くに位置する閉鎖端と皮下リードの遠位先端部の一部を受容するための開放端とを有するボア(穴)を備えてもよく、また取付機構はそのボア内において本体に固定された縫合糸である。
【0017】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、縫合糸はリードが縫合糸に取り付けられたままボアの外側に位置することができるほど十分に長くてよい。
【0018】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、取付機構はタブであってもよく、そのタブは該タブを皮下リードの開口に固定するために縫合糸または外科用ステープルを用いることができるように、その内部を通る縫合糸孔のような開口を有する。
【0019】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、アーム、本体および取付機構は単一片から形成されていてもよい。
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、可溶性部分は、錨着装置および関連する皮下リードの患者への導入中に充填材として作用し、次いで植込み後に組織液によって溶解されると、本体と錨着された皮下リードとの間に空間を生じさせてもよい。
【0020】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、アームは可撓性を有し、かつイントロデューサシースによる導入のために折り畳まるように構成されてもよい。
【0021】
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、アームはその上に放射線不透過性コーティングを備えてもよい。
加えて、またはこれに代わって、第1の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、装置は内部に1つ以上の放射線不透過性ストランドまたはフィラメントを含んでもよい。
【0022】
第2の例示的な実施形態において、その上に位置する複数の電極と縫合糸孔のような開口を有する遠位先端部とを有する皮下リードを植え込む方法は、リードを植え込む前に、開口を用いて錨着装置を遠位先端部に固定する工程と、リードに錨着装置が固定された状態で該リードを皮下トンネルを介して所望の植込み位置まで前進させる工程とを備える。
【0023】
加えて、またはこれに代わって、第2の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、前記方法は、皮下トンネルを生成するために、その上にシースを有するイントロデューサツールを用いる工程と、イントロデューサツールを除去してシースを適所に残す工程とをさらに含み、リードに錨着装置が固定された状態で該リードを前進させる工程は、シースを介してリードおよび錨着装置を前進させることにより実施される。
【0024】
加えて、またはこれに代わって、第2の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、錨着装置は、皮下組織に錨着するための1つ以上のアームをその上に備えてもよく、1つ以上のアームは可撓性を有し、シースを介してリードおよび錨着装置を前進させる工程は、アームが折り畳み形態にある状態で実施され、シースを介してリードおよび錨着装置を前進させる工程が完了すると、シースは除去され、アームが折り畳み形態から皮下組織内に錨着するための拡張形態に戻ることを可能にする。
【0025】
加えて、またはこれに代わって、第2の例示的な実施形態に従ったいくつかの実施形態において、錨着装置は1つ以上のアームと、それらの1つ以上のアームをともに連結し、かつその一端上にノーズ部を有する本体と、皮下リードの遠位先端部に取り付けるための取付機構とを備えてもよい。
【0026】
第3例示的な実施形態において、皮下リードとともに使用するための錨着装置は、1つ以上の可撓性アームと、それらの1つ以上のアームをともに連結し、かつその一端上にノーズ部を有する本体と、皮下リードの遠位先端部に取り付けるための取付機構とを備え得る。取付機構は、スナップフィット、縫合糸、またはフックである。
【0027】
本概要は本特許出願の主題の概要を提供するものである。本発明の排他的または網羅的な説明を提供するものではない。詳細な説明は本特許出願についてのさらに詳細な情報を提供するために含まれている。
【0028】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同一数字は、異なる視野における類似した構成要素を説明し得る。異なる文字の接尾辞を有する同一の数字は、類似した構成要素の異なる例を表わし得る。図面は、概して、本文書で検討される様々な実施形態を例として、しかし限定する目的ではなく、示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記で説明したように、
図1は、植え込まれた状態にある例示的な皮下のみの植込み型心臓刺激システムを示している。
図2は、
図1におけるような装置を植え込む処置の特定の態様を示している。この実例において、植込みのための処置は、位置30,32,34における3つの切開口の使用を必要とする。感染の危険性を低減するために、領域36をほぼ含む滅菌野が準備され得る。これは、主として2012年のFDAによる承認時にキャメロン ヘルスおよびボストン・サイエンティフィックのS−ICD(登録商標)システムに対して米国で承認されたラベリングに記載されている植込みの方法に従う。
【0031】
しかしながら、多くの患者において、この滅菌野36は、例えば、肥満患者では、かつ/または左胸に近接しているために、様々な皮膚のひだを含むであろう。切開口30,32,34がすべて治癒する間の手術後数日間または数週間にわたって領域36を清浄かつ乾燥させて維持することは言うまでもなく、手術のためにこの領域36を清浄にすることが常に容易だとは限らない。一部の患者に対しては、例えば切開口34が通常の一般的な衣服を着用したときに見え得る瘢痕を残す場合があり、また切開口32は水着の着用時にはっきりと見える場合があるため、胸骨に沿った切開口は審美的な懸念をもたらすこともある。切開口の数の削減が提案されてきた。いくつかは、例えば、米国特許第7,655,014号明細書のいくつかの実施形態に記載されているものに類似した2−切開口法を用い得る。前記文献の開示は参照により本願に援用される。この術式では、切開口32と切開口30との間にトンネルを形成し、そのトンネルを介してリードを引き込んだ後に、分離可能なシース(splittable sheath)を有するイントロデューサツールが、切開口34を全く形成することなく、切開口32から胸骨に沿って胸骨柄に向かって進められる。次に、イントロデューサツールはシースを後に残して除去され、そのシースを介してリードが導入される。最後に、シースは分離されて、リード上から除去される。このアプローチは、リードを適所に固定し、かつその移動を防止するために、剣状突起の切開口における縫合糸スリーブに依拠する。前記リードに対して、上部胸骨に沿ったリードの遠位先端部付近において、さらなる錨着を提供することが望ましいことがある。
【0032】
図3は
図1のそれに類似した植込み型リードを示している。リード50は、この例では絶縁材58によって分離された付加的な接点54,56とともに電気接点として機能する近位ピン52を備えた近位端部を有する。シールプラグは参照番号60で示されている。近位プラグシース62はリード50の近位端部付近の領域に備えられている。ピン52、接点54,56、絶縁材58およびシールプラグ60は、植込み型パルス発生器のヘッダー上におけるボアの内部に配置されるように構成されている。リード50は、この近位構成から中間領域64を通って、近位電極66、コイル電極68および遠位先端電極70を有する遠位端部まで延在する。S−ICD(商標)システムにおいて用いられるリードのいくつかの例示的な検討は、米国特許第8,483,841号明細書において提供されている。
【0033】
リード50は例示を目的として示されているが、より少数の、より多数の、または異なる電極66,68,70もしくは接点52,54,56を含む他の設計および構成が用いられてもよい。分岐または他の分離、パドルまたはその他の設計のような付加的な設計要素が代わりに植込み時に取り付けられる錨着装置とともに用いられてもよい。リード50は、スタイレットが導入中に使用するための通路を備えるとは示されていないが、所望により、そのような目的のための管腔が備えられてもよい。
【0034】
実例において、リード50は、近位接点54,56をコイル68および近位電極66に接続するためのコネクタを内部に有する通路を備える本体を有する。一例における近位ピン52は、ステンレス鋼線によって遠位先端部70に接続されており、そのステンレス鋼線上にはリード本体が共押し出しされており、該設計に有意な引張強度を与えている。他の設計が用いられてもよい。この皮下リードのための近位の接続は、共押し出しされた中央コネクタによって生じる付加的な剛性が穿孔の危険要因(perforation hazard)になり得る脈管構造内における誤用を防止するように設計されている。少なくともこれらの理由で、
図3に示すリード50は、経静脈的除細動器における標準的なプラグ設計(DF−1、DF−4、など)と互換性がなくてよい。
【0035】
遠位先端電極70は縫合糸孔のような開口を備えて示されており、該開口の詳細は
図4A〜
図4Bに示されている。
図4Aは、先端電極70がベース部74に接続された縫合糸孔72のような開口を有することを示している。先端電極70は、
図4Bの側面図に示すように領域76において薄くなっている。他の設計が用いられてもよい。
【0036】
上記で
図2に示した3−切開口の植込みのために、縫合糸孔72はリード50の遠位先端部を胸骨/肋骨(筋膜)を覆う強靭な結合組織膜に係留するために用いられるであろう。そのような縫合は上部胸骨切開口34(
図2)を介したアクセスを用いて実施されるであろう。しかしながら、上部胸骨切開口34(
図2)が排除される場合には、筋膜への縫合による係留は遠位先端部において可能ではなく、よって、同一のリードとともに遠位アンカーを使用しながら、
図2に示した3−切開口法または上部胸骨切開口34を省略した2−切開口法を実施する柔軟性を医師に与える設計代案が所望される。
【0037】
植込み型の皮下のみの除細動器の接点について本願における様々な例が記載されているが、他の装置/システムがリードまたは他の装置を固定するためのこれらの設計および概念を、例えば、植込み型監視装置、植込み型神経刺激器、経静脈的ペースメーカーもしくは除細動器(もしくは再同期システム)、ドラッグポンプまたは他の装置において利用してもよい。
【0038】
図5は第1錨着装置の分解組立図である。装置100は、アーム110,112およびノーズ部114を有する本体102、取付機構104、並びに取付機構104と合体するように設計されたプレート106の三点を有する。一例では、本体102はシリコーンゴムのような比較的柔軟な材料からなるが、取付機構104およびプレート106はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のようなより硬質な材料からなる。他の材料が用いられてもよい。
【0039】
取付機構104は、対応する孔118によってプレート106を取り付けることができるポスト116を備える。ポスト116は、装置100の長さに対して横方向に延び、装置100の長さはノーズ部114から取付機構104の対向する端部まで延びると理解される。
【0040】
ポスト116は、プレート106に対してスナップフィットを生じさせるために刻み目、窪み、環状部、突起または他の要素を備えてもよい。代替実施形態において、プレート106の貫通孔118は、ねじ込み式の取り付け(twist−on attachment)を可能にするために、ねじ山が切られていてもよい。さらに別の実施形態では、プレートは、中空に形成され得るか、または代わりに開口によって置き換えることもできるポスト116に挿入するために、孔118ではなく、雄コネクタを備えてもよい。プレート106をポスト116に接続する多数の他の方法を想定することができる。例えば、ポスト116をプレート108に固定するのに用いるために独立したピンが備えられてもよい。
【0041】
別の例では、取付機構104およびプレート106の少なくとも一方のすべてまたは一部は、装置100全体が取り付けられている電極による、それらを通じた心臓または他の信号感知を容易にするために、導電性金属であってもよい。さらに別の例では、本体102、取付機構104またはプレート106の1つ以上のうちのいくつか、またはすべては、それらを通って装置100が取り付けられているリードの下層電極に接触する組織液を介した感知を可能にするために、多孔質であるか、またはそれらを通る小さな孔を有していてもよい。
【0042】
本体102、取付機構104およびプレート106の少なくとも一方は、チタンのような放射線不透過性物質または放射線不透過性塗料/インクのコーティングを有してもよいし、または放射線不透過特性を有するフィラメント、ワイヤなどを組み込んでいてもよい。一例において、本体102は、確かな接続を保証するために、参照番号120の交互になった円板を用いて、取付機構104上にインサート成形される。図示していないが、取付機構104はまた、本体102に対する接続強度を追加するために該機構に取り付けられたねじ、逆刺またはフックを備えてもよい。加えて、本体102、取付機構104またはプレート106上には、植え込まれると組織内殖を促進するように、表面テクスチャリングなどが設けられていてもよい。
【0043】
取付機構104は、対応する孔118によってプレート106を取り付けることができるポスト116を備える。ポスト116は、装置100の長さに対して横方向に延び、その長さはノーズ部114から取付機構104の対向する端部まで延びると理解される。
【0044】
ポスト116は、プレート106に対するスナップフィットを生じさせるために刻み目、環状部、突起または他の要素を備えてもよい。代替実施形態において、プレート106の貫通孔118は、ねじ込み式の取り付けを可能にするために、ねじ山が切られていてもよい。さらに別の実施形態において、プレートは、中空に形成され得るポスト116内に挿入するための雄コネクタを備えてもよい。プレート106をポスト116に接続する多数の他の方法を想定することができる。例えば、ポスト116をプレート108に固定するのに用いるために独立したピンが備えられてもよい。
【0045】
図6は
図5の第1錨着装置100の組立図である。述べたように、本体102は取付機構104上にインサート成形することができる。これに代わって、本体102は取付機構上に、スナップフィットされてもよく、かつ/または接着剤によって固定されてもよく、溶接されてもよく、または熱収縮されてもよい。別の例では、本体12、アーム110,112、および取付機構106は単一片である。
図6に示すように、プレート106は取付機構104に取り付けられている。アセンブリ全体は患者への導入のために滑らかな外形を備える。
【0046】
図7は、リードの遠位先端部上に固定された第1錨着装置を示している。装置100は、プレート106に組み合った取付機構104を用いて、上記で
図3、
図4Aおよび
図4Bに示したそれに類似した植込み型リードの遠位先端電極70に取り付けられている。具体的には、取付機構104およびプレート106は、電極70の縫合糸孔のような開口を活用する。
【0047】
図8は、リードの遠位先端部に対して、リードへの取り付けに縫合糸を用いた、第2錨着装置を示している。該装置は、縫合糸孔202のような開口をその遠位先端部204に有するリード200に対して示されている。遠位先端部204は電極であってもよいし、電極でなくてもよい。
【0048】
錨着装置210は概してt字形の形態にあるアームまたは歯212を備える。歯210は本体214で合流し、本体214は歯212から近位に延びて、(歯において)閉鎖端を有するボアを画定する。他の図でのように、歯210が合流する位置は装置210のノーズ部と称されてもよい。
【0049】
ボア内には、縫合糸220が結び付けられる小さなループまたは小穴の形態をとり得る取付機構が存在する。縫合糸220は、ループまたは小穴に結び付けられるのではなく、本体214に恒久的に固着されてもよい。縫合糸220ではなく、例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、編組、巻回部材、ワイヤ、ステープルもしくはクリップ、または妥当な引張強度(例えば0.45kg、1.36kgまたは2.27kg、若しくはそれ以上(1、3または5ポンド、若しくはそれ以上))を有する任意の適当な生体適合性フィラメントの形態にある金属材料、ポリマー材料、もしくは天然材料(例えば絹)、またはそれらの組合せが用いられてもよい。上記または下記の実施形態のいずれかは、縫合糸の代わりに、これらの他の材料および/または構造を用いてもよい。縫合糸220(または他の取り付け構造)は、錨着装置210とリード200の遠位先端部204との間に隙間を与える長さのものである。
【0050】
歯212および本体214の残部は単一構造として成形されていてもよい。これに代わって、歯212および本体214の残部は、位置の透視観察を可能にするためにチタンのような金属上にオーバーモールドされていてもよい。歯212は、それらの歯が患者への挿入中に、例えば下記で
図10に示すように折り畳まることを可能にするために可撓性であり得る。本体214内のボアは、リード200の遠位部分が、ボア内に恒久的に固定されることなく、挿入中にボア/本体214内に存在することを可能にする。
【0051】
挿入中、リードは、遠位先端部204に取り付けられた錨着装置210とともに中空シース内に押し通されるであろう。リード210がシース内に押し通されると、遠位先端部204は、本体214によって画定されたボアの内部に位置して、プッシャビリティを向上するであろう。所望の植込み位置に達したならば、シースは除去され、リード200と錨着装置210とは、リード200を錨着装置210に固定する縫合糸220によって、わずかに離れるようになるであろう。
【0052】
図9A〜
図9Bは第3錨着装置を表わす。
図9Aを参照すると、第1錨着装置での上記のように、装置300は、参照番号302のノーズ部と、参照番号304,306のアームとを備える。取付機構310は参照番号312においてフックを備える。取付機構は装置300の本体308内に埋設されて示されている。
【0053】
フック312は、所望により、バネ構造によって伸長可能/後退可能であってもよいし、または単に固定位置に位置してもよい。この特定の例では、フック312が取り付けられるリードが錨着装置300の残部から離れて維持されるように導入中に用いるために、フック312上には可溶層320が設けられている。
図9Bは、リード(図示せず)の遠位端部をフック312に固定するためにラッチ330も備えた代替案を示している。ラッチ330は、第1方向、すなわちフック312によって画定される空間の内方へは、リード(図示せず)の遠位端部の進入を許容するために可撓性であり得、一方、外方向においては、リードが脱離するのを防止するために比較的不撓性である。
【0054】
図10は、上部に錨着装置を備えたリードのシースを介した挿入を示している。シースは参照番号400において示されており、例えば、シースがその長さに沿って分離することを可能にする弱化部の易壊性の、切れ目の入った、またはミシン目の線を有する分離可能なシースであり得る。シース400は管腔402を画定し、管腔402内にはシース400の内側に対して圧迫された折り畳まれた状態にあるアーム412,414を有した錨着装置410が示されている。錨着装置410は、リード420に対してその遠位先端部422において取り付けられて示されている。遠位先端部422は、例えば
図4A〜
図4Bにおいて、上記に示したものに類似していてもよい。錨着装置410がシース402の遠位端部を退出したり、シース402がそのシースを分離することによって除去されると、アーム412,414は、所望位置において、収縮されていない弛緩状態に広がって、リード420のためのアンカーを形成する。
【0055】
図11A〜
図11Bは、第4錨着装置を表わしている。
図11Aを参照すると、錨着装置450はノーズ部456およびアーム454を有する本体452を備え、その本体の近位端部から参照番号458の取付機構が延びている。この例では、取付機構458は、
図11Bの側面図に示すように、内部を通る孔460を有するタブである。孔460は、錨着装置が縫合糸、外科用ステープル、または他のコネクタを用いて、リードの遠位端部に取り付けられることを可能にする。所望であれば、この実施形態の本体452はまた、上記で
図8に示したそれに類似した方法でリードの遠位端部を覆うためのボアを画定するように近位方向に延びてもよい(その場合、ノーズ部456は錨着装置450の遠位端部を画定する)。そのようなボアを備えることにより、
図10に示すシースを介した導入をより容易にし得る。取付機構458は、オーバーモールディングまたはインサート成形、接着剤、溶融接合、または溶接によって本体452に固定されてもよいし、または取付機構458および本体452が単一片として形成されてもよい。
【0056】
図12は、第5錨着装置を示している。この場合には、錨着装置470は、アーム474およびノーズ部476を有する本体472を備える。取付機構480は、ポスト上に拡張したヘッドを有する横方向に延びるポスト482を備えて、前記ヘッドがポスト482をリードに固定された状態に維持するような、リードの縫合糸孔などの開口を通る配置を可能にする。前述のように、取付機構480は、本体472に固定されてもよいし、または本体472と単一片として形成されてもよい。
【0057】
図13は、上部にシースを有するリード挿入ツールを示している。リード挿入ツール500は時に電極挿入ツールまたはEITとも称される。ツール500は、参照番号502のハンドルと、参照番号504の遠位先端部とを備える。遠位先端部504は、皮下組織の切開を容易にするために尖頭であるが、概して鈍らの端部を有し得るが、不注意に皮膚を刺通しないように鋭利ではない。他の設計が用いられてもよい。
【0058】
先端部504上には、示したように縫合糸孔のような開口が備えられ得る。例えば、前記開口は、電極の遠位端部とイントロデューサツールとの間に縫合糸を取り付けることにより、側方または腋窩切開口30(
図2)から剣状突起切開口32(
図2)への導入中にリードを引き込むために用いられ得る。
【0059】
リード上に恒久的なアンカーを備えることは、簡単な手段ではない場合があることが指摘されよう。例えば、引き込み工程が実施されるので、そのようなアンカーは患者を傷つけることなく、引き込み工程を可能にする設計を有する必要があるであろう。いくつかの概念は米国特許出願公開第2012/0029335号明細書に示されており、前記特許文献の開示は、参照により本願に援用される。
【0060】
遠位先端部504の近位において、リード挿入ツールはシャフト506を備え、シャフト506上には分離可能なシース510が配置されている。分離可能なシースは、ハンドル514を掴んで引き離すと、それが分離可能なシースの従来の方法で分離することを可能にする、参照番号512の弱化部の長手方向線を有して示されている。
【0061】
使用時、
図13に加えて
図2を再び参照すると、挿入ツール500は剣状突起切開口32を介して挿入され、側方切開口30まで進められて、剣状突起切開口32と側方切開口30との間にトンネルを形成する。遠位先端部504は側方切開口30を退出し、縫合糸によって(
図3に示すような)リードの遠位端部に固定される。ツール500は、剣状突起切開口から引き出されて、リードを側方切開口30と剣状突起切開口との間のトンネル内に引き込む。これらの工程の各々の間、分離可能なシース510は適所に残存する。
【0062】
次に、挿入ツール500は、それらの2つをつなぎ合わせている縫合糸を切ることによってリードから分離されるであろう。挿入ツール500は、剣状突起切開口32を介して再度挿入され、今度は(ほぼ)胸骨左縁、またはその左側1〜2センチメートルの上を進む。所望により、他の方向および配置が用いられてもよい。所望の位置が得られたならば、挿入ツール500が除去される間、分離可能なシース510は適所に保持されて、分離可能なシースを今回形成された第2皮下トンネル内に残す。
【0063】
次に上記の例のうちのいずれかにおけるような錨着装置がリードの遠位先端部に固定される。上部に錨着装置を備えたリードは、次いで、所望位置が得られるまで、分離可能なシース510を通って進められる。リードを適所に保持したまま、次いで分離可能なシースは分離され、除去される。剣状突起切開口32および/または側方もしくは腋窩切開口30において、リード上に縫合糸スリーブが配置されてもよい。最後に、リードの近位端部は当該システムの植込み型パルス発生器に挿入され、本処置は、典型的には急性試験、感知構成、並びに他のシステムチェックおよび構成工程、並びにすべての切開口30,32の閉鎖によって終了するであろう。
【0064】
より具体的にリードの導入に関して、
図14はブロック形式で方法を示している。方法600は、トンネルを形成すること610と、アンカーを取り付けること620と、取り付けられたアンカーを備えたリードを挿入すること630とを備える。
【0065】
様々な例において、トンネルを形成する工程610は、参照番号612で示すように、使用中の分離可能なシースのようなシースによって実施され得る。アンカーを取り付ける工程620は、スナップフィット622、縫合糸624、フック626または上記で検討して示した様々な他の取り付け具を用いて実施されてもよい。アンカーを備えたリードを挿入する工程630は、参照番号632で示すように、分離可能なシースを介してリードおよびアンカーを前進させることによって実施され得る。
【0066】
別の例では、ブロック610においてシースを省略してもよく、リードおよびアンカーを挿入する後の工程630は、適所にシースを有さず、代わりに単にトンネルを通過することで実施されてもよい。
【0067】
これらの非限定的な実施例の各々は、独立していてもよいし、または様々な順列もしくは組合せで他の実施例の1つ以上と組み合わされてもよい。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への言及を含む。図面は、例証として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示している。これらの実施形態はまた本願では「実施例」とも称される。そのような実施例は、示されているか、または記載されているものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者らはまた、示されているか、または記載されているそれらの要素のみが備えられた実施例も企図する。さらに、本発明者らはまた、本願に示されているか、または記載されている特定の実施例(またはその1つ以上の態様)、または他の実施例(またはその1つ以上の態様)のいずれかに関して、示されているか、または記載されているそれらの要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組合せまたは順列を用いた実施例も企図する。
【0068】
本文書と、参照によりそのように援用された任意の文書との間で用法が一致しない場合には、本文書の用法が支配する。
本文書において、用語「一」または「1つ」は、特許文献において共通であるように、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の任意の他の例または用法とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように用いられる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単に標識として用いられており、それらの対象に対して数的な要件を課すものではない。
【0069】
上記の説明は、例示であり、限定的なものではない。例えば、上述の例(またはそれらの1つ以上の態様)は互いに組合せて用いてもよい。上記の説明の検討により、当業者などによって、他の実施形態が用いられ得る。
【0070】
要約書は、読者が技術的な開示の性質を迅速に確認できるようにするために、米国特許法施行規則第1.72条(b)に準拠するために提供される。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するためには用いられないという理解で提出されている。
【0071】
また、上記の詳細な説明において、様々な特徴は開示を簡素化するためにグループ化され得る。これは、権利請求されていない開示された特徴が任意の請求項に対して必須であることを意図していると解釈されるべきでない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない状態にあってもよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として、これにより詳細な説明に援用され、各請求項は別個の実施形態として自立している。また、そのような実施形態は様々な組合せまたは順列で互いに組合せられ得ることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに係る特許請求の範囲が権利を享受する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。