(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6543784
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
E03D 5/09 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
E03D5/09
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-57951(P2019-57951)
(22)【出願日】2019年3月26日
【審査請求日】2019年3月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年10月5〜7日一般社団法人発明協会第22回身近なヒント発明展で発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591096864
【氏名又は名称】長谷川 正利
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正利
【審査官】
下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−156412(JP,A)
【文献】
実開平4−12570(JP,U)
【文献】
特開2018−96106(JP,A)
【文献】
特開2001−262660(JP,A)
【文献】
米国特許第9816260(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00〜13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望箇所に設置する操作部と、既存トイレの開栓用摘みレバーに装着する作動部と、フレキシブルワイヤーからなる伝達部で構成され、前記操作部が、駆動円盤を回動自在に設けた設置基板部を備え、前記駆動円盤に伝達部の伝達ワイヤーを巻装し、駆動円盤に回動摘みを装着して形成され、前記作動部が、前記開栓用摘みレバーにおける回動胴体から突設しているレバーと水洗トイレのタンク本体との間隙に納まる高さに形成した装着基板部を備え、前記装着基板部に前記開栓用摘みレバーを通過可能とした開口部を設け、前記開口部にレバーが係合する開口溝を備えた作動筒部を回動自在に設けると共に、伝達部の伝達ワイヤーを巻装したことを特徴とする水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置。
【請求項2】
伝達部のフレキシブルワイヤーのガイドチューブを二本束ねて形成し、伝達ワイヤーをループ状連結してなる請求項1記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置。
【請求項3】
操作部の回動摘みを開栓用摘みレバーと同様の形状としてなる請求項1又は2記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置。
【請求項4】
操作部の設置基板部を基板とカバーで構成し、駆動円盤における伝達ワイヤー巻装部分をカバー背面内に設け、回転摘みのレバーをカバー表面に配置してなる請求項3記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置。
【請求項5】
作動部の装着基板部を、接着背面と表面カバーを備えた偏平ボックス形状に形成し、表面カバーに開口部を設け、作動筒部を表面カバーの表裏に突出させ、表面カバーの裏面において伝達部の伝達ワイヤーを巻装してなる請求項1乃至4記載の何れかの水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の水洗トイレの開栓用の摘みレバーに使用する遠隔操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレは周知のとおり種々の形態・構造のものが知られており、特に老人や身体不自由者等が開栓操作を容易に行えるように、所望位置に設置できる操作部と水洗タンク開栓部とをワイヤー伝達手段で連結した遠隔操作装置が種々提案されている。例えば特許文献1にはレバーの回動操作で開栓を行うトイレ装置に関するもの、特許文献2には押しボタン操作で開栓を行うトイレ装置に関するもの、特許文献3には紐の引っ張り操作で開栓を行うトイレ装置に関するものが開示されている。
【0003】
特に本発明は、特許文献1に開示されているように、一般家庭で多用されている開栓操作がレバー回動でなされる既存トイレに使用するものである。
【0004】
特許文献1に開示されている遠隔操作装置の具体的構造は、トイレ内の所望位置(開栓操作し易い位置)に設置される操作部と、水洗トイレのタンクに設けられている既存の開栓用摘みレバーに装着する作動部と、前記操作部と作動部とをフレキシブルワイヤー(ガイドチューブ内に駆動ワイヤーを内装した既製品)で連結して構成している。前記操作部は一端側を枢結した手元操作レバーの円弧運動を略直線運動に変換してフレキシブルワイヤーを動作させ、作動部は開栓用摘みレバーに回転板を装着し、回転板に旋回駆動ピン及び開栓用摘みレバーを動作させるレバーキックピンを設け、旋回駆動ピンとフレキシブルワイヤーを連結する旋回ブラケットと、前記旋回ブラケットのガイドシャフトと、シャフト支持金具と、旋回ブラケットを付勢する圧縮バネで構成しているものある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−156412号公報
【特許文献2】特開2012−107442号公報。
【特許文献3】登録実用新案3148170号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所望箇所に設置する操作部と開栓用摘みレバーに装着する作動部と伝達手段としてフレキシブルワイヤーを採用している特許文献1開示の遠隔操作装置は、1本のワイヤーで操作伝達する構造であるために、操作部においてレバー回転動作を直線運動に変換する機構及び作動部において直線運動を回動動作に変換する機構が必要であり、且つ復帰動作のためにバネ部材を組み込む機構としており、必ずしも簡易な構造とは言えず、また既存トイレの開栓用摘みレバーへの作動部の装着も簡易とは言えない。
【0007】
そこで本発明は、構造が簡易で、且つ既存トイレへの装着が非常に容易に行うことができる新規な水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置は、所望箇所に設置する操作部と、既存トイレの開栓用摘みレバーに装着する作動部と、フレキシブルワイヤーからなる伝達部で構成され、前記操作部が、駆動円盤を回動自在に設けた設置基板部を備え、前記駆動円盤に伝達部の伝達ワイヤーを巻装し、駆動円盤に回動摘みを装着して形成され、前記作動部が、前記開栓用摘みレバーにおける回動胴体から突設しているレバーと水洗トイレのタンク本体との間隙に納まる高さに形成した装着基板部を備え、前記装着基板部に前記開栓用摘みレバーを通過可能とした開口部を設け、前記開口部にレバーが係合する開口溝を備えた作動筒部を回動自在に設けると共に、伝達部の伝達ワイヤーを巻装したことを特徴とするものである。
【0009】
而して操作部を水洗トイレ内の所望箇所に設置し、作動部を既存水洗トイレの開栓用摘みレバーを開口部から突出させ、且つレバーが開口溝内に納まるよう水洗トイレのタンクに接着することで装置の装着がなされる。トイレ使用者は所望箇所に設置されている作動部の回動摘みを回動操作すると駆動円盤が回動し、その回動動作によって伝達ワイヤーが移動し、作動部の作動筒部が回動し、レバーが開口溝に係合している開栓用摘みレバーが回動して、トイレの水洗作動がなされる。また水洗作動が終了すると水洗タンク内の重錘による閉栓動作によって開栓用摘みレバーの復帰回動がなされ、同時に回動摘みも復帰作動をなす。
【0010】
また本発明の請求項2記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置は、前記装置において、伝達部のフレキシブルワイヤーのガイドチューブを二本束ねて形成し、伝達ワイヤーをループ状連結してなるもので、回動摘みと開栓用摘みレバーの回動・復帰方向が双方向となり、水洗トイレの流量切換えにも対応できる。
【0011】
また本発明の請求項3記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置は、特に操作部の回動摘みを開栓用摘みレバーと同様の形状としてなるもので、回動摘みの操作性に違和感が生じない。
【0012】
また本発明の請求項4記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置は、更に操作部の設置基板部を基板とカバーで構成し、駆動円盤における伝達ワイヤー巻装部分をカバー背面内に設け、回動摘みのレバーをカバー表面に配置してなるもので、設置基板部を水洗トイレ内の所望位置(壁面)に化粧処理(見栄えを良くする処理)をすることなくそのまま設置できる。
【0013】
また本発明の請求項5記載の水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置は、特に作動部の装着基板部を、接着背面と表面カバーを備えた偏平ボックス形状に形成し、表面カバーに開口部を設け、作動筒部を表面カバーの表裏に突出させ、表面カバーの裏面において伝達部の伝達ワイヤーを巻装してなるもので、既存の水洗トイレの開栓用摘みレバーに被せるようにして背面をタンク面に接着することで簡単に設置できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成は上記のとおりで、任意設置する操作部とトイレタンクの開栓用摘みレバーに装着する作動部の回動動作を、直接フレキシブルワイヤーで伝達する構成としたもので、構造が簡易で、且つ既存トイレへの装着が非常に容易である水洗トイレ開栓用摘みレバーの遠隔操作装置を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】同操作部の説明図で(イ)は表面(ロ)は裏面を示す。
【
図4】同作動部の説明図で(イ)は表面(ロ)は裏面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明の実施形態について説明する。本発明は、既存の水洗トイレにおいて、多用されている水洗トイレのタンク本体Aの側面部分に取り付けられている開栓用摘みレバーBを遠隔操作するための装置で、操作部1と作動部2と、伝達部3で構成されている。
【0017】
前記伝達部はガイドチューブ31内に伝達ワイヤー32を通した周知のフレキシブルワイヤーを採用しているものである。
【0018】
操作部1は、設置基板部11と駆動円盤12と回動摘み13で構成され、設置基板部11は基板111とカバー112で構成され、基板111に駆動円盤12を突設状態で回動自在に組み込み、伝達部3の二本の束ねられたガイドチューブ31の先端を固定(固定部113)すると共に、前記駆動円盤12に伝達ワイヤー32を巻装しているものである。
【0019】
カバー112は、駆動円盤12と同軸での摘み装着透孔114を設けて、駆動円盤12の前記伝達ワイヤー32巻装部分とガイドチューブ31固定部分を被覆隠蔽するものである。また回動摘み13は、開栓用摘みレバーBと同様の形状で、回動胴体131とレバー132を備え、回動胴体131は駆動円盤12と一体に回動するように連結し、レバー132はカバー112の表面側で動作するようにしたものである。
【0020】
作動部2は、装着基板部21と作動筒部22で構成され、装着基板部21は、開栓用摘みレバーBにおける回動胴体aから突設しているレバーbと水洗トイレのタンク本体Aの側面との間隙に納まる高さに形成した偏平ボックス形状で、接着背面211と表面カバー212を備えてなる。
【0021】
前記の表面カバー212には、開栓用摘みレバーBと対応する形状で、開栓用摘みレバーが通過する通過可能とした開口部213を設けてなる。
【0022】
作動筒部22は、前記開口部213における回動胴体aと対応する円形透孔部分に回動自在に装着し、レバーbと対応する開口溝221を設けたもので、表面カバー212から突出した開口溝221の部分がレバーbと係合し、表面カバー212の背面において、ガイドチューブ31の先端を固定(固定部214)すると共に、作動筒部22に伝達ワイヤー32を巻装しているものである。
【0023】
而して上記の遠隔装置は、操作部1の設置基板部11を水洗トイレ室内においてトイレ使用者が容易に手の届く範囲に接着剤などで基板111を接着固定する。既存水洗トイレの開栓用摘みレバーBに対して作動部2を装着固定するもので、開栓用摘みレバーBを開口部213に通してレバーbを表面カバー212の外側に露出させて回動自在の状態で、且つレバーbが作動筒部22の開口溝221内に位置するようにして、接着背面211をタンク本体Aの側面に接着剤などで接着固定する。
【0024】
上記のとおりトイレ室内で取り付けられると、トイレ使用者が操作部1の回動摘み13のレバー132を開栓用摘みレバーBと同様に操作すると、回動摘み13の回動がそのまま作動筒部22の回動となり、開栓用摘みレバーBが動作することになる。
【0025】
勿論開栓用摘みレバーBの回動方向によって流量の切換えがなされる水洗トイレであっても、回動摘み13の回動方向の選択操作で対応できるものである。
【0026】
従って、各家庭の既存の水洗トイレにおいて、本発明装置を装着することで、老人や身体不自由者でも水洗トイレの水洗操作を容易に行えるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 操作部
11 設置基板部
111 基板
112 カバー
113 固定部
114 摘み装着透孔
12 駆動円盤
13 回動摘み
131 回動胴体
132 レバー
2 作動部
21 装着基板部
211 接着背面
212 表面カバー
213 開口部
214 固定部
22 作動筒部
221 開口溝
3 伝達部
31 ガイドチューブ
32 伝達ワイヤー
A 水洗トイレのタンク本体
B 開栓用摘みレバー
a 回動胴体
b レバー
【要約】
【課題】一般家庭で多用されている開栓用摘みレバーの回動操作でなされる既存の水洗トイレにおいて、トイレ使用者の所望位置で開栓操作を行えるようにした遠隔装置を提供する。
【解決手段】操作部1と、開栓用摘みレバーBに装着する作動部2と、フレキシブルワイヤーからなる伝達部3で構成され、操作部が、駆動円盤12を回動自在に設けた設置基板部11を備え、駆動円盤に伝達部の伝達ワイヤー32を巻装し、駆動円盤に回動摘み13を装着して形成され、作動部が、開栓用摘みレバーBにおける回動胴体aから突設しているレバーbとタンク本体Aとの間隙に納まる高さに形成した装着基板部21を備え、装着基板部に開栓用摘みレバーを通過可能とした開口部213を設け、開口部にレバーが係合する開口溝221を備えた作動筒部22を回動自在に設けると共に、伝達部の伝達ワイヤーを巻装した。
【選択図】
図2