特許第6543846号(P6543846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6543846-プロパンガス販売管理システム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543846
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】プロパンガス販売管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20190705BHJP
【FI】
   G06Q50/06
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-121779(P2016-121779)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-227967(P2017-227967A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】516183853
【氏名又は名称】有限会社ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】516183864
【氏名又は名称】黒川 誠也
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 真佐予
【審査官】 田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−279025(JP,A)
【文献】 特開2014−149662(JP,A)
【文献】 特開2003−303311(JP,A)
【文献】 特開2003−006291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロパンガスの消費者と、プロパンガスのガス供給者との間に構築されるプロパンガスの販売管理システムであって、
各消費者のガス配管に取り付けられて固有のID番号を有するガスメータと、ガス供給者側のホストコンピュータとがネットワークを介して接続されており、
前記ホストコンピュータは、
各消費者のガスの使用量を格納する使用量データ記憶部と、
消費者毎に設定してあるガス単価を格納する単価データ記憶部
を有するデータベースと、
前記使用量データ記憶部のデータと、前記単価データ記憶部のデータから各消費者の使用料金を算出する料金算出手段と、
ガスの使用量から各消費者のガスボンベの交換時期を算出する交換時期算出手段
を有する演算部を備えており、
更に、記データベースは、各消費者のガス配管をガス供給者が買い上げているか、長期使用契約を結んでいるか、各消費者が所有しているかの情報を格納する配管所有者データ記憶部を有しており、この配管所有者データ記憶部のデータに基づいてガスの単価を算出していることを特徴とするプロパンガス販売管理システム。
【請求項2】
ガスメータがスマートメータであることを特徴とする請求項1に記載のプロパンガス販売管理システム。
【請求項3】
ネットワークに、消費者を一括して管理する、あるいはグループ毎に管理する集金代行会社の端末コンピュータを接続し、ホストコンピュータで算出したガスの使用料金、およびガスボンベの交換時期のデータを入手して、集金代行会社が各消費者から使用料金を徴収し、またガスボンベの交換を行うようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のプロパンガス販売管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費者にプロパンガスの供給を安価に行うことができ、またガスボンベの交換を見過ごすことなく確実に行うことができるプロパンガス販売管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロパンガスの消費者とプロパンガスのガス供給会社との間では、プロパンガスの供給について個々に契約が結ばれており、定期的に巡回する検針員が各家庭のガス配管に取り付けたガスメータの指針値を読み取ってガス供給会社に報告し、この指針値データに基づいて算出した使用料の課金が行われていた。また、検針員は訪問した際にガスボンベの残量をチェックして、ガスボンベの交換が必要であるか否かも併せて報告していた。
【0003】
しかしながら、検針員が各家庭を回るのは手間であるため検針作業に長時間かかるという問題があり、また誤入力されてトラブルが生じる場合もあった。更には、多数の検針員が必要であるため人件費が増加し、プロパンガスの使用料金を高くする一因になるという問題もあった。
【0004】
そこで、特許文献1〜特許文献3に示されるように、各消費者のガス配管に取り付けたガスメータとガス供給者会社のコンピュータとをネットワークを介して接続し、コンピュータ側でガスの使用量を検出したり、ガス漏れの検出をすることができるガス管理システムが種々提案されている。また、これらによれば検針員の誤入力をなくすことができ、また検針員の削減も促すことができる。
【0005】
ところが、特許文献1〜3に示されるシステムは、いずれも都市ガスを供給するシステムであり、ガス配管を通じてガス供給者会社が各消費者に対してガスを連続的に供給するものである。即ち、ガスボンベでガスをバッチ式に供給するプロパンガスには適用できないシステムであった。従って、バッチ式にガスを供給するプロパンガスであっても、ガス供給会社側でガスの使用量を正確に検出することができ、またガスボンベの交換時期を見過ごすことなく確実に行うことができるプロパンガス販売管理システムの開発が要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5583830号公報
【特許文献1】特開2002−140397号公報
【特許文献2】特開2002−288279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、ガスの使用量をガス供給会社側で正確に検出することができ、また検針員の削減も促すことができて消費者にプロパンガスの供給を安価に行うことができ、更にガスボンベの交換を見過ごすことなく確実に行うことができるプロパンガス販売管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る本発明のプロパンガス販売管理システムは、プロパンガスの消費者と、プロパンガスのガス供給者との間に構築されるプロパンガスの販売管理システムであって、
各消費者のガス配管に取り付けられて固有のID番号を有するガスメータと、ガス供給者側のホストコンピュータとがネットワークを介して接続されており、
前記ホストコンピュータは、
各消費者のガスの使用量を格納する使用量データ記憶部と、
消費者毎に設定してあるガス単価を格納する単価データ記憶部
を有するデータベースと、
前記使用量データ記憶部のデータと、前記単価データ記憶部のデータから各消費者の使用料金を算出する料金算出手段と、
ガスの使用量から各消費者のガスボンベの交換時期を算出する交換時期算出手段
を有する演算部を備えており、
更に、記データベースは、各消費者のガス配管をガス供給者が買い上げているか、長期使用契約を結んでいるか、各消費者が所有しているかの情報を格納する配管所有者データ記憶部を有しており、この配管所有者データ記憶部のデータに基づいてガスの単価を算出していることを特徴とするものである。
【0009】
好ましい実施形態によれば、前記ガスメータがスマートメータであるものが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0010】
【0011】
また、その他の好ましい実施形態によれば、前記ネットワークに、消費者を一括して管理する、あるいはグループ毎に管理する集金代行会社の端末コンピュータを接続し、ホストコンピュータで算出したガスの使用料金、およびガスボンベの交換時期のデータを入手して、集金代行会社が各消費者から使用料金を徴収し、またガスボンベの交換を行うようにしたものが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、各消費者のガス配管に取り付けられて固有のID番号を有するガスメータと、ガス供給者側のホストコンピュータとがネットワークを介して接続されており、前記ホストコンピュータは、使用量データ記憶部と単価データ記憶部を有するデータベースと、各消費者の使用料金を算出する料金算出手段と、ガスボンベの交換時期を算出する交換時期算出手段を有する演算部を備えているものとしたので、ガスメータの指針値に基づいて各消費者の使用料金を正確に算出することができ、また、ガスボンベの交換時期も正確に把握し余裕をもって交換作業を進めることができる。更に、前記データベースは、各消費者のガス配管をガス供給者が買い上げているか、長期使用契約を結んでいるか、各消費者が所有しているかの情報を格納する配管所有者データ記憶部を有しており、この配管所有者データ記憶部のデータに基づいてガスの単価を算出するようにしたものでは、ガス供給者がガス配管の買い上げや長期使用契約の締結を推し進めて、各消費者のガス配管の費用負担を大幅に軽減することができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明では、ガスメータをスマートメータとしたので、検針員の巡回による検針作業を削減することができ、消費者にプロパンガスの供給を安価に行うことが可能となる。
【0014】
【0015】
また、請求項3に係る発明では、ネットワークに、消費者を一括して管理する、あるいはグループ毎に管理する集金代行会社の端末コンピュータを接続し、ホストコンピュータで算出したガスの使用料金、およびガスボンベの交換時期のデータを入手して、集金代行会社が各消費者から使用料金を徴収し、またガスボンベの交換を行うようにしたものでは、ガス供給者が各消費者と個別に契約するのではなく、集金代行会社と大口の契約を交わすことで、ガスの仕入れコストを低減化し基本料金やガス単価を安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明のプロパンガス販売管理システムの一構成を示すものである。図において、1はプロパンガスの消費者のガス配管に取り付けられたガスメータ、2はガス供給者側のホストコンピュータ、3は前記ガスメータ1とホストコンピュータ2を接続するインターネット回線や電話回線等からなるネットワークである。
【0018】
前記ガスメータ1は、検針員が指針値を読み取ってガス供給会社に報告する従来のアナログタイプのものでもよいが、ガス使用量をデジタルで計測しその信号を自動通信する機能を有するスマートメータを用いるほうが、検針員の削減や誤入力の防止の点から好ましい。なお、前記ガスメータ1は、各消費者の固有のID番号を有している。
【0019】
前記ガスメータ1とガス供給者側のホストコンピュータ2とは、ネットワーク3を介して接続されている。そして、前記ホストコンピュータ2は、データベース4と演算部5を備えた構成となっている。
前記データベース4は、前記固有のID番号で管理される各消費者のガスの使用量を格納する使用量データ記憶部4aと、消費者毎に設定してあるガス単価を格納する単価データ記憶部4bを有している。前記使用量データ記憶部4aは、ガスメータ1の今月の指針値と先月の指針値との差で表されるガスの使用量データを格納する部分であり、また単価データ記憶部4bは、各消費者と個別契約している内容に基づいて設定されたガス単価や基本使用料金等の単価データを格納する部分である。
【0020】
その他に、データベース4は、配管所有者データ記憶部4cを有している。この配管所有者データ記憶部4cは、各消費者のガス配管をガス供給者が買い上げているか、長期使用契約を結んでいるか、各消費者が所有しているかの情報を格納する部分であり、後述するように、この配管所有者データ記憶部4cのデータを加味して、きめ細やかに各消費者のガスの単価を算出することができる。
【0021】
前記演算部5は、前記使用量データ記憶部4aのデータと、前記単価データ記憶部4bのデータから各消費者の使用料金を算出する料金算出手段5aと、ガスの使用量から各消費者のガスボンベの交換時期を算出する交換時期算出手段5bを有している。
料金算出手段5aは、原則としてガスメータ1の検針から求めた今月のガス使用量に、消費者毎に設定してある単価データを乗じることで今月のガス使用料金を算出する。また、交換時期算出手段5bは、各消費者の平均ガス使用量データやガスボンベの残量データ等から次回のガスボンベ交換時期を予測して算出する。
なお、この演算部5で算出した値も消費者毎にガス使用料金データ、ガスボンベ交換時期データとしてデータベース4内の記憶部(図示せず)に格納されることとなる。
【0022】
このように構成されたものでは、各消費者のガス配管に取り付けられて固有のID番号を有するガスメータ1の指針値が、定期的に巡回する検針員により読み取られ、そのデータがネットワーク3を通じてガス供給者側のホストコンピュータ2に送信される。なお、ガスメータ1がスマートメータである場合は、指針値あるいはガス使用量が自動的にホストコンピュータ2に送信されることとなる。
【0023】
次いで、送信された指針データに基づいて各消費者のガス使用量が算出され、そのデータが使用量データ記憶部4aに格納される。一方、データベース4は消費者毎に設定してあるガス単価を格納する単価データ記憶部4bを有しており、前記使用量データ記憶部4aのデータと、前記単価データ記憶部4bのデータから料金算出手段5aにより各消費者の使用料金が算出される。
【0024】
またデータベースが、各消費者のガス配管をガス供給者が買い上げているか、長期使用契約を結んでいるか、各消費者が所有しているかの情報を格納する配管所有者データ記憶部4cを有している場合には、この配管所有者データ記憶部4cのデータに基づいて、例えばガス配管を買い上げた場合は単価が安くしてある等の条件が加味され、消費者毎のガス単価が算出されることとなる。これにより、きめ細やかに各消費者のガス単価を算出することができる。更には、ガス供給者がガス配管の買い上げや長期使用契約の締結を推し進めて、各消費者のガス配管の費用負担の軽減を図り、またガス供給者によるガス配管の一元管理によってガス単価の引き下げを促進することができる。
【0025】
これと同時に、各消費者のガス使用量からガスボンベのガス残量が算出され、このガスボンベの残量データや各消費者の平均ガス使用量データ等から次回のガスボンベ交換時期が予測して算出される。このガスボンベ交換時期のデータに基づいて、ガス供給者は予め各消費者のガスボンベ交換時期を把握できるため、計画的にガスボンベ交換作業を行えることとなる。
【0026】
ガス供給者は、ホストコンピュータ2の算出結果に基づいて各消費者にガス使用料金の課金をし、またガスボンベの交換作業を行う。
また、前記ネットワーク3に、消費者を一括して管理する集金代行会社の端末コンピュータ6を接続するか、あるいは地域ごとのグループ毎に管理する集金代行会社の端末コンピュータ6を接続することもできる。この場合は、ホストコンピュータ2で算出したガスの使用料金、およびガスボンベの交換時期のデータを前記集金代行会社がネットワーク3から入手した後、集金代行会社が各消費者から使用料金を徴収し纏めた金額をガス供給者に支払い、またガスボンベの交換を行うようにすればよい。
これにより、ガス供給者は各消費者との個別契約を止めて、前記集金代行会社との大口の契約とすることができ、ガス基本料金やガス単価を低減化して消費者にプロパンガスの供給を安価に行うことができる。
【0027】
以上の説明からも明らかなように、本発明は各消費者のガス配管に取り付けられたガスメータと、ガス供給者側のホストコンピュータとがネットワークを介して接続されており、前記ホストコンピュータは、ガスの使用量を格納する使用量データ記憶部と、ガス単価を格納する単価データ記憶部を有するデータベースと、各消費者の使用料金を算出する料金算出手段と、ガスボンベの交換時期を算出する交換時期算出手段を有する演算部を備えているプロパンガス販売管理システムであるので、バッチ式でガスボンベの交換作業を行うプロパンガスであっても、ガス供給会社側でガスの使用量を正確に検出することができ、またガスボンベの交換時期を見過ごすことなく確実に行うことができることとなる。
従って、新たなプロパンガス販売管理システムを提供するものとして、産業の発達に寄与するところ大である。
【符号の説明】
【0028】
1 ガスメータ
2 ホストコンピュータ
3 ネットワーク
4 データベース
4a 使用量データ記憶部
4b 単価データ記憶部
4c 配管所有者データ
5 演算部
5a 料金算出手段
5b 交換時期算出手段
6 端末コンピュータ
図1