特許第6543855号(P6543855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543855スペックルを低減するためにスクリーンを振動させるシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543855
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】スペックルを低減するためにスクリーンを振動させるシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/60 20140101AFI20190705BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20190705BHJP
   G03B 21/62 20140101ALI20190705BHJP
   G02B 27/48 20060101ALI20190705BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   G03B21/60
   G03B21/14 Z
   G03B21/62
   G02B27/48
   H04N5/74 Z
   H04N5/74 C
   H04N5/74 H
【請求項の数】24
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-518051(P2016-518051)
(86)(22)【出願日】2014年6月6日
(65)【公表番号】特表2016-526192(P2016-526192A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】US2014041394
(87)【国際公開番号】WO2014197852
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月24日
(31)【優先権主張番号】61/832,047
(32)【優先日】2013年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517418080
【氏名又は名称】リアルディー リュクス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マクナイト、ダグラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カーティス、ケビン アール.
【審査官】 石本 努
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0009860(US,A1)
【文献】 特開2007−316400(JP,A)
【文献】 特開2008−191533(JP,A)
【文献】 特開2007−199292(JP,A)
【文献】 特開2009−134231(JP,A)
【文献】 特開2007−293187(JP,A)
【文献】 特開2010−060745(JP,A)
【文献】 特開2005−107150(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0010356(US,A1)
【文献】 特開2006−267948(JP,A)
【文献】 特開2007−178501(JP,A)
【文献】 特開2001−033879(JP,A)
【文献】 特開昭61−105530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C63/00−63/48
65/00−65/82
B32B1/00−43/00
G03B21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
H04N5/66−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法であって、
所定の周波数スペクトル内で投影スクリーンを振動させる工程であって、前記所定の周波数スペクトルは、前記所定の周波数範囲内で分散するパワーを有し、前記投影スクリーンはスクリーンの面外方向に振動する、工程と、
複数の振動要素からの音響透過を低減させるために、前記投影スクリーンの周囲若しくは縁部の少なくとも一部に配置されたマスキングの後方に前記複数の振動要素を配置する工程と、
前記投影スクリーン上のスペックルを許容可能なレベルまで軽減する工程とを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの主要トランスデューサーにより前記投影スクリーンを振動させる工程を更に含む、請求項1に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの主要トランスデューサーがボイスコイルを更に含む、請求項2に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項4】
前記所定の周波数スペクトルパワーは主に、およそ30〜500ヘルツの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項5】
前記スペックルの許容可能なレベルは、前記投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満である、請求項1から4のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項6】
前記投影スクリーンが、高弾性率基材を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項7】
前記高弾性率基材が、およそ0.4GPa超の弾性率を有する、請求項6に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項8】
前記スクリーンを振動させる工程は、前記投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)においておよそ40dBm未満の、許容可能な可聴ノイズレベルを生成する工程を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの主要トランスデューサーを取り付けパッチに装着する工程を更に含み、前記取り付けパッチは前記投影スクリーンに取り付けられる、請求項2または3に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項10】
前記投影スクリーンの振動を測定することによって主要トランスデューサーの故障を検出する工程を更に含む、請求項2から9のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項11】
少なくとも1つの加速度計により投影スクリーンの振動を測定する工程を更に含む、請求項10に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項12】
前記投影スクリーン上に複数の冗長トランスデューサーを配置する工程を更に含む、請求項10または11に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項13】
少なくとも1つの主要トランスデューサーの故障が検出されるときのみ、前記複数の冗長トランスデューサーを駆動する工程を更に含む、請求項12に記載の投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法。
【請求項14】
投影スクリーンシステムであって、
投影スクリーンと、
前記投影スクリーンに取り付けられ、所定の周波数スペクトル内で前記投影スクリーンスクリーンの面外方向に振動するように構成された少なくとも1つの主要振動要素と、
前記少なくとも1つの主要振動要素からの可聴音響透過を抑制するために、前記投影スクリーンの周囲若しくは縁部の少なくとも一部に配置されるように構成されたマスキングと、
を備え、前記少なくとも1つの主要振動要素は前記マスキングの後方に配置されるようさらに構成され、前記所定の周波数スペクトルは、前記所定の周波数範囲内で分散するパワーを有し、更に前記投影スクリーンの振動はスペックルを許容可能なレベルまで軽減する、投影スクリーンシステム。
【請求項15】
前記投影スクリーンが、高弾性率基材を含む、請求項14に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの主要振動要素は少なくとも1つの主要トランスデューサーを含む、請求項14または15に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの主要トランスデューサーがボイスコイルを含む、請求項16に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項18】
前記所定の周波数スペクトルは、およそ50〜200Hzの範囲である、請求項14から17のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項19】
前記スペックルの許容可能なレベルは、前記投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満である、請求項14から18のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項20】
前記高弾性率基材が、およそ0.4GPa超の弾性率を有する、請求項15に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの主要振動要素が前記投影スクリーンに直接隣接するように取り付けられている、請求項14から20のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つの主要振動要素に加えて、複数の冗長振動要素を更に含み、前記複数の冗長振動要素は、前記少なくとも1つの主要振動要素の少なくとも1つの故障が検出されたときにのみ駆動される、請求項14から21のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項23】
前記マスキングは、前記投影スクリーンの前方及び後方に配置される、請求項14から22のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【請求項24】
前記マスキングはノイズ吸収材料を更に含む、請求項14から23のいずれか一項に記載の投影スクリーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願番号第61/832,047号、表題「Screen vibration for reducing speckle」(参照番号第363000号)に対する優先権を主張し、その全体が本明細書において参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は一般的に、スクリーンの振動を使用して、作製されたスクリーンにおけるスペックルを低減させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コヒーレント、又は部分コヒーレント光源の使用は、ディスプレイ又は照明において、より高い輝度、より高い確実性、及びより大きな色域を達成し得るという点において、標準的なインコヒーレント光源(ランプ)に対する利点を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この向上したコヒーレンスによりスペックル干渉の問題が生じる。スペックルは、観察者又は器具により観察され得る、強度のばらつきを生じる、スクリーン又は標的から反射する光の干渉によるものである。空間的周波数、強度ばらつきは、ディスプレイ又は画像化用途において、典型的であり、非常に望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様により、投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法は、所定の周波数のスペクトル内において投影スクリーンを振動させる工程を含んでもよく、所定の周波数スペクトルが、所定の周波数スペクトル内において広く分散するパワーを有する。結果として、投影スクリーン上のスペックルは、許容可能なレベル内まで軽減され得る。投影スクリーンは、例えば、ボイスコイルであり得る、少なくとも1つの主要トランスデューサーにより振動させることができる。所定の周波数スペクトルパワーは主に、およそ30〜500ヘルツであり得る。スペックルの許容可能なレベルは、投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満であり得る。投影スクリーンは、およそ0.4GPaよりも大きな弾性率の、高弾性率の物質を含んでもよい。振動要素は、投影スクリーンに直接取り付けられてもよく、あるいは振動要素は、取り付けパッチに装着されて、これが投影スクリーンに取り付けられてもよい。方法はまた、およそ40dBm未満であり得る、許容可能なレベルの可聴ノイズを生成する工程を含み得る。
【0006】
引き続き、方法は投影スクリーンの振動を測定することによって、主要トランスデューサーの故障を検出する工程を含み得る。スクリーン振動は、少なくとも1つの加速度計により測定され得る。主要トランスデューサーに加えて、冗長トランスデューサーがまた、投影スクリーン上に位置してもよい。冗長トランスデューサーは、少なくとも1つのトランスデューサーの故障が検出されるときのみに駆動され得る。主要トランスデューサー及び冗長トランスデューサーは、トランスデューサーからの音響透過を減少させるために、マスキングの後ろに位置してもよい。
【0007】
本開示の別の態様において、投影スクリーンシステムは、投影スクリーン、及び投影スクリーンに取り付けられた、少なくとも1つの主要振動要素を含んでもよく、振動要素は、所定の周波スペクトル内でスクリーンを振動させる。所定の周波数スペクトルは、所定の周波数スペクトル内において広く分散するパワーを有し得る。また、投影スクリーンは、スペックルを許容可能なレベルまで軽減してもよい。投影スクリーンは、およそ0.4GPaよりも大きな弾性率の、高弾性率の物質を含んでもよい。少なくとも1つの主要振動要素は、ボイスコイルであり得る、少なくとも1つのトランスデューサーであり得る。所定の周波数スペクトルは、およそ50〜200Hzの範囲にあり得る。スペックルの許容可能なレベルは、投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満であり得る。少なくとも1つの主要な振動要素は、投影スクリーンに直接隣接するように装着されてもよい。
【0008】
引き続き、投影スクリーンシステムは、少なくとも1つの主要振動要素に加えて、冗長振動要素を含み得る。冗長振動要素は、少なくとも1つの主要振動要素の故障が検出されるときのみに駆動され得る。マスキングは、少なくとも1つの主要振動要素から可聴音響透過を減衰するために位置付けられてもよい。マスキングは、投影スクリーンの前方及び後方に位置してもよく、吸収材を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示のために、実施形態が添付の図面に示され、貼付の図面において、類似する参照符号は、同様の部分を示す。
図1】本開示により、スペックルを低減するために使用されるスクリーンを例示する概略図である。
図2】本開示により、スペックルを低減させるために別のスクリーンシステムを例示する概略図である。
図3】本開示により、取り付けストリップ上に装着された、機械的トランスデューサーの例示である。
図4】本開示の実施形態による、機械的トランスデューサーを使用した、スクリーン振動のスペクトルを例示する概略図である。
図5】本開示により、低周波及び高周波の両方が低減されるように調整された、ノイズ源のパワースペクトルを例示する概略図である。
図6】本開示による、音声コイルトランスデューサーの例示である。
図7A】本開示による音声コイル及び取付具の例示である。
図7B】本開示による音声コイル及び取付具の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様により、投影スクリーン上のスペックルを低減するための方法は、所定の周波数のスペクトル内において投影スクリーンを振動させる工程を含んでもよく、所定の周波数スペクトルが、所定の周波数スペクトル内において広く分散するパワーを有する。結果として、投影スクリーン上のスペックルは、許容可能なレベル内まで軽減され得る。投影スクリーンは、ボイスコイルであり得る、少なくとも1つの主要トランスデューサーにより振動させることができる。所定の周波数スペクトルパワーは主に、およそ30〜500ヘルツの範囲であり得る。スペックルの許容可能なレベルは、投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満であり得る。投影スクリーンは、およそ0.4GPaよりも大きな弾性率の、高弾性率の物質を含んでもよい。振動要素は、投影スクリーンに直接取り付けられてもよく、あるいは振動要素は、取り付けパッチに装着されて、これが投影スクリーンに取り付けられてもよい。方法はまた、およそ40dBm未満であり得る、許容可能なレベルの可聴ノイズを生成する工程を含み得る。
【0011】
引き続き、方法は投影スクリーンの振動を測定することによって、主要トランスデューサーの故障を検出する工程を含み得る。スクリーンの振動は、少なくとも1つの加速度計により測定され得る。主要トランスデューサーに加えて、冗長トランスデューサーがまた、投影スクリーン上に位置してもよい。冗長トランスデューサーは、少なくとも1つのトランスデューサーの故障が検出されるときのみに駆動され得る。主要トランスデューサー及び冗長トランスデューサーは、トランスデューサーからの音響透過を減少させるために、マスキングの後ろに位置してもよい。
【0012】
本開示の別の態様において、投影スクリーンシステムは、投影スクリーン、及び投影スクリーンに取り付けられた、少なくとも1つの主要振動要素を含んでもよく、振動要素は、所定の周波スペクトル内でスクリーンを振動させる。所定の周波数スペクトルは、所定の周波数スペクトル内において広く分散するパワーを有し得る。また、投影スクリーンは、スペックルを許容可能なレベルまで軽減してもよい。投影スクリーンは、およそ0.4GPaよりも大きな弾性率の、高弾性率の物質を含んでもよい。少なくとも1つの主要振動要素は、ボイスコイルであり得る、少なくとも1つのトランスデューサーであり得る。所定の周波数スペクトルは、およそ50〜200Hzの範囲にあり得る。スペックルの許容可能なレベルは、投影スクリーンからおよそ4.572メートル(およそ15フィート)において、およそ15%コントラスト未満であり得る。少なくとも1つの主要な振動要素は、投影スクリーンに直接隣接するように装着されてもよい。
【0013】
引き続き、投影スクリーンシステムは、少なくとも1つの主要振動要素に加えて、冗長振動要素を含み得る。冗長振動要素は、少なくとも1つのトランスデューサーの故障が検出されるときのみに駆動され得る。マスキングは、少なくとも1つの主要振動要素から可聴音響透過を減衰するために位置付けられてもよい。マスキングは、投影スクリーンの前方及び後方に位置してもよく、吸収材を含んでもよい。
【0014】
スペックル干渉、又はスペックルの問題は、既知の問題であるが、多くの部分的な解決法が存在するのみである。スペックルの測定及び特徴もまた既知である。スペックルは、光強度のコントラストの測定によって測定され、平均強度からの標準偏差として定義され得る。スペックルの測定方法の説明に関しては、会議「Projector Summit 2010」,Las Vegas NV,May 7,2010の、Jacques Gollier of Comingによる、「Speckle Measurement Procedure」という表題の参照文献を参照されたい。
【0015】
スペックルの可視性を低減しようとする、様々な方法が以下に記載される。
【0016】
一群の解決法は、観察者/検出者の積分時間にわたる、スペックルの一部を一時的に平均するために、局所光位相の変更を達成するための、1つ以上のディフューザーの移動を使用する。これは一般的に、米国特許番号5,313,479号「Speckle−free display system using coherent light」、及び同第7,585,078号「Illumination system capable of eliminating laser speckle and projection system employing the same」に記載されている。ディフューザーはまた、一定の平均化を達成するために、いくつかの回折素子をカバーするために十分な大きさの振幅で振動し得る。これは一般的に、米国特許番号第7,922,333号「Projector,screen,projector system,and scintillation removing apparatus for removing scintillation on an image」に記載されている。
【0017】
スペックルを低減するための別の群の解決法は、一時的な平均化を達成するために移動式ミラー、又は位相変調器を使用する。これは一般的に、米国特許出願番号第2011/0102748号「Optical system and method」、米国特許公開番号第2010/0053476号「Systems and methods for despeckling a laser light source」、米国特許番号第4,155,630号「Speckle elimination by random spatial phase modulation」、及び同第7,489,714号「Speckle reduction laser and laser display apparatus having the same」に記載されている。これらは、高価な可動部、又は位相変調器を使用する。
【0018】
別の解決法は、レーザービームに「デコヒーレンスを生じる」ために、大きなコアの、長く、非常に高い開口数(NA)のマルチモードファイバーを使用する。これは一般的に、米国特許出願番号第2009/0168025号「Decohered laser light production system」に記載されている。このシステムは、0.65のNAを備える直径12mmのコアファイバーの使用について記載する。この大きなファイバーは、スペックルのいくらかの減少をもたらし得るが、エタンデュが大きいためにシステムの輝度を減じる。米国特許公開番号第第2010/0079848号、「Speckle reduction in display systems that employ coherent light sources」に一般的に記載されるように、非常に長いマルチモードファイバーを使用することに、いくらかの利益があり得るが、このような長いマルチモードファイバーの使用は、吸収能力を低減させる。マルチモードスペックルの問題及び解決法は、Joseph Goodmanによる本「Speckle Phenomena in Optics」(Roberts and Company,2006,Chapter 7)に更に記載されている。
【0019】
レーザービームを部分へと分割し、その後各部分に、ビームの再結合の前に異なる経路長を持たせ、又は偏光を変化させる、一群の解決法が提示される。ファイバー束、又はスプリッタ/コンバイナ、又は小型レンズアレイが米国特許公開番号第2005/0008290号「Static method for laser speckle reduction and apparatus for reducing speckle」、米国特許番号第4,360,372号「Fiber optic element for reducing speckle noise」、同第6,895,149号、「Apparatus for beam homogenization and speckle reduction」、同第7,379,651号「Method and apparatus for reducing laser speckle」、同第7,527,384号「Illumination system to eliminate laser speckle and projection system employing the same」、及び同第7,719,738号「Method and apparatus for reducing laser speckle」に一般的に記載され得る。これらの方法は、スペックルのいくらかの低減を達成するために、高価なファイバーバンドル又はレンズアレイ、又は多くのファイバーカップラー/スプリッタを使用する。
【0020】
別の一群の解決法は、より大きな光学スペクトル帯域を備える光源を利用する。これは、駆動電流のチャーピング、異なる波長のいくつかのレーザーを使用すること、又は他の手段によって達成され得る。これは、追加的な費用、又は投影システムにおける光の損失を要求し得る。
【0021】
スクリーンの機械的平行移動又は回転は、スペックルを軽減するために別のアプローチである。Joseph Goodmanによる本Speckle Phenomena in Optics(Roberts and Company,2006,Chapter 6)では、Goodmanは、スクリーンの必要なx若しくはyの線形シフト速度、又はスクリーンの回転を計算する。これらの運動は、観察者/検出者の積分時間内において、スペックルのいくらかを平均化するために必要な、投影方向とおよそ垂直なスクリーンの平面内である。スクリーンを移動させることにより、光がスクリーンの異なる部分に連続的にぶつかり、これがスペックルパターンを変化させる。これが検出者の積分時間に対して早く行われると(例えば、目はおよそ20Hz)、検出者はいくつかのスペックルパターンの平均を見て、これがより低いスペックルコントラストを生じる。米国特許番号第5,272,473号、「Reduced−speckle display system」は、スペックルを最小化するために、表面音響波を機械的に生成するためにスクリーンに直接取り付けられた、トランスデューサーの使用を開示する。米国特許番号第6,122,023号「Non−speckle liquid crystal projection display」は、スクリーンとして高度な散乱液晶を使用し、その後液晶状態を電気的に変化させて、スペックルを軽減する。追加的な解決法は、米国特許番号第6,844,970号「Projection television set,screens,and method」、同第7,199,933号「Image projection screen with reduced speckle noise」、同第7,244,028号、「Laser illuminated projection displays」、同第7,342,719号「Projection screen with reduced speckle」、及び米国特許公開番号第2010/0118397号「Reduced laser speckle projection screen」に一般的に記載されるように、スペックルを改善するためにスクリーンとして散乱液晶又はディフューザーセルを使用する。
【0022】
実際、上記の技術のいくつかは、スペックル効果を軽減するために一緒に使用され得る。しかしながら、上記の手法の全てが、スペックルの低減を達成するために、追加的な部品、及び/又は物理的な平行移動の使用を伴う。追加的な部品は費用を増加させ、輝度を低減し、確実性を低減する。
【0023】
本開示は、ディスプレイ及び投影用途においてスペックルを低減するために、スクリーン振動を使用する。典型的には、音響透過のために穿孔され、その後所望の大きさのスクリーンを形成するために継ぎ合せられる、ポリマー基材、通常は弾性ポリ塩化ビニル(PVC)ロールストックで作製される。これらの従来的なスクリーンは典型的には、0.2〜0.6mm厚さであり、ヤング係数(弾性率)が低い弾性であり、高度の可塑化しており、艶消しの質感を備えるようにエンボス加工されている。偏波保持スクリーンを作製するため、この弾性PVCスクリーンは、偏波保持コーティングを噴霧されている。従来的なコーティングは一般的に、ある種の金属片、例えば、ポリマー結合剤に封入された、ボールミルにかけたアルミニウム粉末を使用する。これらの従来的なスクリーンは、比較的重く、弾性であり、典型的には40〜60MPaの範囲の低いヤング係数を有する。
【0024】
本明細書において参照としてその全体が組み込まれる、米国特許番号第8,072,681号に記載されるように、金属化した、エンボス加工した表面を備えるようにして作製されたスクリーンを使用することによって、かなりの光学性能の改善が見られる。作製されるスクリーンにおける適切な忠実性のため、ポリエステル、PCT、又はポリカーボネート(PC)などのより剛性の基材が使用されてもよい。適切な基材は、0.4Gpa〜6Gpa、好ましくは1Gpa超の、高弾性率(ヤング係数)を含み得る。加えて、複合的な手法は、作製したスクリーンのエンボス加工した表面を使用して、同一の譲受人による米国特許番号第8,169,699号、表題「Polarization preserving projection screen with engineered pigment and method for making same」に記載されるように、非平坦な金属片を形成するか、又は同一の譲受人による米国特許番号第8,194,315号、表題「Polarization preserving projection screen with engineered particle and method for making same」に記載されるように、金属化した基材を物理的に細断してもよく、双方は本明細書において参照として全体を組み込まれ、ひいてはそのいずれかを使用して、従来的なスクリーンシステムの金属片を代替することができる。本出願において記載されるシステム及び方法は更に、米国特許番号第7,898,734号、表題「Polarization preserving front projection screen」、同第8,072,681号、表題「Polarization preserving front projection screen material」、同第8,004,758号、表題「Polarization preserving front projection screen microstructures」、及び同第8,711,477号、表題「Polarization preserving front projection screen microstructures」に記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない、他の同一の譲受人による投影スクリーン用途において有利に使用され得、これらは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0025】
これらの作製されたスクリーンの基材、及びしたがって、作製されたスクリーンは、はるかに軽く、従来的な弾性PVCスクリーンよりも高いヤング係数を有する。作製されたスクリーン基材は、PC、PET、剛性PVC、シクロオレフィンなどの、任意の適切な高弾性率基材であり得る。後方投影偏波維持スクリーンは典型的には、拡散性散乱透過性ポリマー基材、エンボス加工した透明基材、又はこれらの2つの組合せを利用する。
【0026】
したがって、高弾性率基材を備える上述の新しく作製されたスクリーンにおいて、より高い周波数範囲から生じる振動は、低弾性率基材による従来的なスクリーンよりも遠く伝搬し得る。より高い男性率は、より大きなスクリーン外平面成分を備える表面波が生成され、スクリーンにわたり有意により遠くまで伝搬されるのを可能にする。このスクリーン外平面波は、平面内でスクリーンを移動させるよりも、スペックルの低減においてはるかに効果的である。更に、従来的なスクリーンでは、広い周波数のスペクトル、及び高い周波数のスペクトルの両方が、効果的に伝搬しない。結果として、スクリーン基材を通じた効果的な伝搬のために、従来的なスクリーンに対してより低い周波数が適用されるべきであり、これは、可聴ノイズを生じる。更に、標準的なビニル、又は弾性PVC基材を備える、従来的なスクリーンにおけるスペックルを低減するために、システムは、より高い周波数がこれらの基材又はいずれかの低い弾性率の基材においては効果的に伝搬しないので20〜30Hzの適切な範囲の周波数を使用する。これは、典型的には幅が3メートル(10フィート)よりも大きい、映画用途において使用されるスクリーンサイズにおいて特に当てはまる。
【0027】
更に、より高い周波数は、これらの作製されたスクリーンにおいてより効果的に伝搬するために、スクリーンを励振するために使用され得る。本明細書において開示されるように、30〜500Hzの範囲、より好ましくは50〜200Hzの適切な範囲の周波数が使用され得る。いくつかの実施形態において、周波数の範囲は、40〜300Hzの範囲であり得る。これらの周波数は、より低い周波数範囲よりも見えにくいスクリーンの運動を生じ、より低い周波数範囲よりも良好にスペックルパターンを平均化し、スペックル可視性のより効果的な軽減を生じる。許容可能なスペックルは、スクリーンからおよそ4.6メートル(およそ15フィート)において15%以下のコントラスト、好ましくはおよそ5%以下のコントラストであり得る。加えて、開示されるシステム及び方法は、図1を参照に更に記載されるように、画像が表示されるスクリーンの部分に取り付けられるか、又はこれと接触するトランスデューサーを必要としない。換言すると、トランスデューサーは、スクリーンの縁部、又は視界からマスクされ得るスクリーンの領域に取り付けられてもよい。視野領域内にあるスクリーン領域、又はマスキングされていない領域の前方又は後方に取り付けられてもよい。これは、スクリーンの前方又は後方のいずれか、又は両方において視野領域にトランスデューサーを配置することは、より高い可視性の可能性を生じ得るという点において有利である。更に、スクリーンの前方又は後方のいずれか又は両方の視野領域にトランスデューサーが配置されると、視聴者に対して振動が可視であり得、これは注意を逸らし、画像品質及び見るときの楽しみを損なうため、望ましくない。
【0028】
加えて、良好な伝搬特性を有するスクリーンの機械的励振は、関連する「ノード」が殆ど、又は全く変位しない、定在波を生じることがある。これらの、低変位の区域は、可視のスペックルを呈し、これらのスペックルの区域は、スクリーンにわたる波の伝搬の詳細に依存するパターンで生じることがある。シーム構造、又は取り付け構造における僅かな差異が、複雑な定在波パターンとなって現れる。
【0029】
加えて、スクリーンの振動は可聴ノイズを生じ得る。単一周波数、又はほぼ単一の周波数の調和が、非常にはっきりとした、聞こえやすいノイズを生じる。許容可能な可聴ノイズは、スクリーンからおよそ4.6メートル(およそ15フィート)において、およそ40dBm以下、好ましくはおよそ35dBm以下であり得る。
【0030】
本開示は、より複雑な振動スペクトルでスクリーンを励振することによってこれらの問題を解決するシステム及び方法を含む。ある範囲の周波数は、実際、スクリーンの全区域が、可視のスペックルを低減するために十分な運動を有するように、高変位及び低変位の重複パターンの集合をも呈する。先に記載されたように、許容可能なスペックルは、およそ15%コントラスト以下、好ましくはおよそ5%コントラスト以下であり得る。
【0031】
更に、本開示は、過度な可聴音を生じることなく、可視のスペックルを排除するのに有効であり得る、周波数の範囲を決定するためのシステム及び方法を含む。一実施形態において、初期スペクトルは、「白」又は「ピンク」ノイズの広域スペクトル、又は他の複雑な広帯域波形であり得る。広域スペクトルは、スクリーンの応答をモニタリングしながら、ソフトウェア及び/又はハードウェアにおけるハイ及び/又はローパスフィルターで調節することができる。代表的な実施形態において、ノイズ源は、アナログ電子機器によることがあり、又はコンピュータープログラムからの擬似ランダムノイズストリームであり得る。
【0032】
別の実施形態において、スクリーンにおける振動エネルギーの一部を吸収するために、スクリーン縁部が装着されてもよい。本実施形態により、スクリーンの縁部から伝搬する波の反射を減衰し、また定在波若しくは振動における干渉区域を最小化するために、スクリーン端部は緩衝されてもよい。単純なばねではなく、エラストマーバンド、又は緩衝ばねが、取り付けハードウェアとして使用されてもよい。あるいは、発泡ゴム片などの、エネルギー吸収構造が、取り付けハードウェアに組み込まれてもよい。
【0033】
図1は、スペックルを低減するためのスクリーンシステムを例示する概略図である。スクリーン100は、1つ以上の取り付けストリップ102を有し得る。取り付けストリップ102はスクリーン100に剛性及び厚さを付加し、スクリーン100の縁部における取り付け孔106から負荷を拡散し得る。一実施形態において、スクリーン100の上部の上、及びスクリーン100の底部の上に取り付けストリップ102が存在してもよい。別の実施形態において、スクリーン100の上部の上のみ、又はスクリーン100の底部の上のみに取り付けストリップ102が存在してもよい。更に別の実施形態において、モニタリングストリップは、より小さいパッチ、例えば、およそ10センチメートル(およそ4インチ)の取り付けパッチへと切り取られてもよく、スクリーンの上部及び底部にわたって位置付けられてもよい。更に、取り付けパッチは、254/100センチメートル(およそ1インチ)より小さくてもよく、又はおよそ38センチメートル(およそ15インチ)幅もの大きさであってもよい。これらの方法は、一般的に、2014年2月11日出願の、仮特許出願番号第61/938,304号「Strain relieved mounting method for screen material」に記載され、これは本明細書において参照として全体を組み込まれる。
【0034】
グロメットであり得る取り付け孔106は、取り付けばね又はコードがスクリーン100に、その後スクリーン取り付けフレームに取り付けられて、便利な方法でスクリーン100に張力をかけ、これを装着することを可能にする。同一の譲受人による、米国特許出願番号第61/697,692号、表題「Mechanical design and optical benefits of high elastic modulus cinema screen substrates」に記載されるスクリーンの側部の取り付けストリップもまた使用することができ、これは本明細書において参照としてその全体が組み込まれる。
【0035】
スクリーン100はまた、取り付けストリップ102に装着された、1つ又は2つ以上のトランスデューサー104を含む。一実施形態において、これは、スクリーン100にわたり振動が伝搬する範囲を増加させ得る。別の実施形態において、図2に関して記載されるように、トランスデューサーを取り付けストリップ又は取り付けパッチへと装着するのではなく、トランスデューサーがスクリーン縁部に直接取り付けられてもよい。
【0036】
引き続き図1に関し、振動は、トランスデューサー104が、スクリーン100の縁部の周囲に様々な構成で取り付けられ得るように、スクリーンにわたり十分に遠く伝搬され得る。重要なことに、トランスデューサー104は、スクリーン100の画像が表示される領域の前方又は後方に取り付けられるか、又はこれと接触する必要がない。換言すると、トランスデューサーは、スクリーンの縁部、又は隠れたスクリーン領域に装着されてもよい。スクリーンマスキングの後方にトランスデューサーを配置することはまた、ノイズ低減のために有益である。典型的なマスキングは、スクリーン取り付けスキーム、空間、及び画像形状によって、およそ2.54センチメートル〜0.6メートル(およそ1インチ〜2フィート)の範囲であり得る。マスキングは典型的には黒色であり、プラスチック、フォーム、繊維、ウール、金属、木材、若しくは他の任意の好適な材料、又はこれらの組合せなど、ノイズ吸収、又は反射材料を補充されてもよい。マスキングは、マスクされ、スクリーンフレームに取り付けられるスクリーン部分の前方に伸長するワイヤー又はコードによって、スクリーン縁部の前方に配置されるか、又は吊り下げられ得る。マスキングを、スクリーンに触れないように、スクリーン近位により近く位置付けるため、金属バー、又は金属シートを使用して、音吸収マスキングをスクリーンのより近くに保持してもよい。マスキングは、スクリーンの周囲若しくは縁部全体にわたり、又はトランスデューサー位置のみに配置されてもよい。音低減のために、スクリーンの前方及び後方にマスキングが使用されてもよい。
【0037】
より小さいスクリーンにおいて、1つ又は2つ以上の振動トランスデューサー104は、スクリーン100の底部に装着されてもよい。トランスデューサー104は、取り付けストリップ102をクランプし、トランスデューサー104をスクリーン100に保持する、ねじ及びプレートを使用して装着することができる。別の代替案は、スクリーン100の金属フレームに装着され、取り付けストリップ102と接触している、トランスデューサー104を有するものである。典型的には、間隔は、取り付けストリップ102上において、1〜12メートル(4〜40フィート)であり得る。取り付けストリップ102は、機械的により堅牢であるため、重いトランスデューサー及び/又はより強力なトランスデューサーを使用することができる。取り付けストリップ102はまた、振動をスクリーン100に対し、点接触ではなく、ある面積にわたってより均一に結合することもできる。取り付けストリップに接着する(追加的なプレートで、又はこれなしで)ことによりトランスデューサーを装着することも可能である。振動が緩衝されないように、取り付けハードウェアの質量が最小化されることが理想的である。これらの方法により、振動要素又はトランスデューサーをパッチに装着するか、又はスクリーンに直接装着することはまた、トランスデューサーの重量によって可能である。振動要素及びトランスデューサーという用語は、限定ではなく、説明目的のためだけに、本明細書において互換的に使用され得る。
【0038】
トランスデューサー104としては、機械的要素、又は装置、例えば、機械的振動装置、軸外若しくはアンバランスモーター、湾曲若しくは規則的モーター(線形運動又は回転のいずれか)、圧電、ボイスコイル、又は他の種類の振動装置が挙げられる。しかしながら、スピンモーターが使用される場合、生じる励振は、単一の周波数のみであるか、又は調波のみである。単一周波数、又はほぼ単一の周波数の調和に近い振動が、先に記載されたように、非常にはっきりとした、聞こえやすいノイズを生じる。
【0039】
図2は、スペックルを低減するための別のスクリーンシステムを例示する概略図である。図2のスクリーンシステムは、図1のスクリーンシステムと同様であるが、図2は取り付けストリップを含まない。スクリーン200は、1つ以上の取り付けパッチ202を含み得る。取り付けパッチ202は、スクリーンをフレームに取り付けるためのアイループを含み得る。スクリーン200は、ショックコード、ばね、又は他のいずれかの好適な要素により取り付けられてもよい。トランスデューサー210もまた図2に例示されている。トランスデューサー210は取り付けパッチ202に装着されるか、取り付けストリップ(図示されない)に装着されるか、又は図2に図示されるように、スクリーン200に直接装着されてもよい。トランスデューサー210は、間隔220を有し得る。トランスデューサーの間隔は、スクリーン基材の大きさ及び弾性率によって決定され得る。トランスデューサーの間隔は更に、許容可能なスペックル低減のために、トランスデューサーに入力され、スクリーンに移送される、信号入力のエネルギー/パワーによって決定されてもよい。使用され得る実際のエネルギー/パワーは、信頼性、電力操作能力などの、トランスデューサーの特徴、及び生成され得る可聴ノイズによって制限され得る。一般的に、電力のより低い、より多くのトランスデューサーが離間され得、1つのより強力なトランスデューサーよりも静かな動作を生じ、かつより良好なスペックルの抑制を生じ得る。
【0040】
図3は、取り付けストリップ102上に装着された、機械的トランスデューサー104の例示である。図3の例示はまた、スクリーン100に張力をかけるバンド108を含む。本実施形態において、スクリーン100の縁部からの、伝搬する波の反射を減衰し、加えて、更に制限された帯域幅の振動においてさえも定在波の形成を低減するため、スクリーン端部は緩衝されてもよい。したがって、単純なばねではなく、エラストマーバンド108、又は緩衝ばねが、図3に示される取り付けハードウェアとして使用されてもよい。あるいは、発泡ゴム片などの、エネルギー吸収構造が、取り付けハードウェアに組み込まれてもよい。加えて、取り付けハードウェアは、振動が追加的な可聴ノイズを生成しないように、構成されてもよい。したがって、コード又は緩衝ばねは、典型的な金属ばねよりも、音響目的のためにより良好に機能し得る。
【0041】
図4は、機械的トランスデューサーを使用するスクリーン振動のスペクトル400を例示する概略図である。図4は、高弾性率を有する作製されたスクリーンにおいて生成される周波数を例示する。スペクトル400を生成するために使用された機械的トランスデューサーは、可聴であり、許容可能なノイズレベルを上回る調波を生成した。換言すると、機械的トランスデューサーの電力又はエネルギーは、調波周波数に集中し、望ましくは可聴ノイズを生成する。より具体的には、人間の脳は、多くの周波数にわたり、およそ同量の、かつ広範囲に分散した量の電力を容易に認識する、又は聞くことができないのに対して、音調又は集中した調波周波数をよく認識し、かつ/又は聞く。
【0042】
図5は、低周波及び高周波の両方が低減されるように調整された、ノイズ源のパワースペクトル500を例示する概略図である。図5は、x軸におけるHertz、及びy軸における正規化された電力/Hertzを例示している。スペクトル500は、トランスデューサーを駆動する、電気信号の所定の周波数スペクトル又は電力スペクトルである。換言すると、スペクトル500は、トランスデューサーに供給される電気信号の、フーリエ変換である。一般的に、高周波は聞こえやすいために望ましくなく、より低い周波数は、標準的なスピーカーではなく、サブウーハーなどの、大きく重いトランスデューサーがないと、良好に励振しにくく、一定のプロジェクターフラッシュ周波数によるビート効果(beating effect)を生じ得る。この電力スペクトルは、図5のスペクトルを生じるために、ホワイトノイズ、又は他の広帯域波形をフィルタリングするための高帯域パス及び低帯域パスフィルターを使用することにより生成することができる。
【0043】
更に、図5は、調波周波数に集中する電力又はエネルギー及び周波スペクトル内で広く分散しない電力又はネルギーを例示する図4とは対照的な所定の周波数スペクトル内で広く分散する電力又はエネルギーを例示する。図5に示されるように、この波形において一部の周波数は、より高いエネルギーを有するが、一般的に振動又は信号の波形は、多くの周波数にわたって、広く又は広範に分散する。特定の周波数におけるエネルギーの量は、典型的には最重要ではない。信号は、スペックル低減、最小の音、及び最高の電力効率の最高の動作のために、トランスデューサーの伝達関数へと調節され得る。所定の周波数スペクトルは、およそ30〜500Hz、及び好ましくはおよそ50〜200Hzの範囲であり得る。いくつかの実施形態において、所定の周波数の範囲は、40〜300Hzの範囲であり得る。
【0044】
ノイズ源は、所定の周波数スペクトル、又は電力スペクトルへと調節されてもよく、かつ高周波及び低周波の両方が低減されて、不快な可聴ノイズを生じることなく、スクリーン領域全体にわたるスペックルの可視性を低減し得る。図5に示されるもののような代表的なスペクトル500は、スクリーン100に取り付けられたトランスデューサー104を駆動するために使用され得、これは不快な可聴ノイズを生じることなく、スクリーン領域全体にわたるスペックルの可視性を低減する。両側のスクリーン100をクランプする軽量プレートを使用して、図2に記載されるようにボイスコイルトランスデューサー104をスクリーンに直接、又は図1に記載されるように、スクリーン取り付けストリップに、効果的に結合することができる。別の実施形態において、圧電装置は、複雑な波形で駆動され得る。周波数の範囲は、実際、高変位及び低変位の重複するパターンの集合をもたらし、これによりスクリーン100の全ての区域が可視スペックルを低減するために十分な運動を有する。
【0045】
トランスデューサーにより生じる運動は、z方向、又は面外であり得る。これは、目の積分時間中における多数のスペックルパターンを時間平均化することにより、スクリーンの面内の運動よりも、スペックルをより良好に軽減し得る。目の積分時間は典型的にはおよそ50ミリ秒〜150ミリ秒の範囲である。多数のトランスデューサーが一緒に装着され得、同じ電子機器により駆動され得る。多数のトランスデューサーがスクリーンの異なる側、又はスクリーンの同じ側に位置し得る。トランスデューサーの相対位相は、同相であるか、位相外れであるか、又はランダムな相であり得る。主要振動要素、又は主要トランスデューサーに加えて、追加的な又は冗長トランスデューサーがスクリーン上に配置され得る。冗長トランスデューサー、又は冗長振動要素は、システムの信頼性を向上させるため、別の主要トランスデューサーの故障が検出されるときにのみ、利用又は駆動され得る。主要トランスデューサーは、投影スクリーンシステムの通常状態において駆動されるトランスデューサーであり得、冗長トランスデューサーは、主要トランスデューサーが故障したときのみ駆動され得る。故障は加速度計でスクリーン振動を測定することにより検出されるか、特定の主要トランスデューサーが開いているか又は短絡しているときに測定され得る。更に、1つ以上の冗長トランスデューサーがスクリーンを振動させている場合、これらの冗長トランスデューサーの故障がモニタリングされてもよい。冗長トランスデューサーの1つが故障すると、次にスクリーンを振動させるために別の冗長トランスデューサーが利用され得る。
【0046】
更に、本開示は、過度な可聴音を生じることなく、可視のスペックルを排除するのに有効であり得る、周波数のおよその範囲を決定するための方法を提示する。これを達成するための1つの方法は、広域スペクトル「ホワイト」又は「ピンク」ノイズから開始して、その後、スクリーンの反応をモニタリングしながら、ソフトウェア又はハードウェアでハイパス及びローパスフィルターを調節するものである。ノイズ源は、アナログ電子機器によることがあり、又はコンピュータープログラムからの擬似ランダムノイズストリームであり得る。代表的な方法に従い、コンピュータープログラムにおいてノイズストリームが形成され、その後、適切な結果が達成される(例えば、およそ40dBm未満のノイズを生成する)まで音響フィルター値が変更され得る。代表的なノイズスペクトルは、24dB/オクターブ、30Hzで−3dBのロールオフでハイパスフィルタリング、及び24dB/オクターブ、70Hzで−3dBのロールオフでローパスフィルタリングされた、ホワイトノイズである。ノイズ又は周波数スペクトルは、トランスデューサーの種類、スクリーン基材、ストリップ基材、及びトランスデューサーが、スクリーンに直接装着されるか、又はスクリーンに取り付けられるパッチに装着されるかによって、変化し得る。
【0047】
図6は、図1のスクリーン100に取り付けられた、ボイスコイルトランスデューサー604の例示である。図6に示されるように、スクリーン100を、両側からクランプする軽量プレートを使用して、トランスデューサー604をスクリーン取り付けストリップ102に、又は図1に関して記載されたようにスクリーンに直接、効果的に結合することができる。先に記載されたように、トランスデューサーをスクリーンにクランンプする軽量プレートは、利用され得るより重いクランプ機構と比較して、より聞こえにくいノイズを伝搬し得る。軽量プレートは、およそ150グラム未満、及び好ましくはおよそ50グラム未満の重量であり得る。
【0048】
図7A及び7Bは、ボイスコイル710及びマウント720の例示である。図7A及び図7Bに例示されるボイスコイルなどのトランスデューサーは、多くの方法によりスクリーンに装着することができる。トランスデューサー又は振動要素は、取り付けストリップ、パッチ、に装着されるか、又はスクリーンに直接装着することができる。先に記載されたように、取り付けストリップは、スクリーンをスクリーンフレームへと装着するための取り付け領域をより厚くするために、スクリーンの縁部の一方の側又は両側に接着されるストリップであり得る。パッチは、接着剤又は機械的手段によってスクリーンに装着され得るプラスチックパッチであり得、スクリーンをフレームに接続するために、スクリーンをばね、ショックコード、コード又は他の装置に引っ掛けるための方法を含む。トランスデューサーを装着するために使用されるパッチは、ショックコード又は他の装置へと接続するための方法を利用しなくてもよい。トランスデューサーはこれらの領域に、接着されるか、又はスクリーンを通じてボルトとねじを使用するなど、機械的手段によって装着されてもよいが、これらの方法は典型的にはスクリーンを損傷する。
【0049】
図7B及び7Bにおいて、代替的な装着に関する解決法の群が提示されている。機械的取り付けは、マウントの2つの半体がスクリーンを両側からクランプ又は圧迫するように、トランスデューサーを保持することができる。図7Aは、ボイスコイル710であるトランスデューサー、及びクランピングマウント720の図を例示している。図7A及び7Bに示されるように、これはプラスチックで作製されているが、他の材料が使用されてもよい。しかしながら軽量材料の方が典型的には良い。更に、2つのねじ、ボルト、ナット、又は他の任意の適切な締結要素を使用して閉じられた、マウントクランプによってマウント内に挿入されたボイスコイルが図7Bに例示されている。ボルト又はねじは、アセンブリが、スクリーンの周辺部又は縁部のいずれかの部分に位置し得るように、スクリーンを貫通してもよい。しかしながら、アセンブリはまた、スクリーンの縁部に配置されながら、スクリーンに孔が必要でないように、ボルトがスクリーン外に配置されてもよい。この実施例において、マウントの残部は、スクリーンを損傷せずにトランスデューサーをスクリーンに保持するように、スクリーンを依然としてクランプしてもよい。これは、トランスデューサーが、スクリーンの周縁部のいずれかの場所に配置されることを可能にし得る。多数のトランスデューサーは、スクリーンの大きさにより、なんらかの故障の際の冗長性のために、スクリーン周辺に配置されてもよい。
【0050】
本明細書で使用されるとき、用語「実質的に」及び「およそ(ほぼ)」は、それに対応する用語及び/又は項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。このような、業界で受け入れられる許容範囲は、0パーセント〜10パーセントの範囲であり、成分値、角度などが該当するが、これらに限定されない。このような、項目間の相対性は、約0パーセント〜10パーセントの範囲である。
【0051】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を上記に記載してきたが、それらは限定としてではなく単なる一例として提示されていることを理解されたい。それ故、この開示の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されてはならず、請求項のいずれか、及び本開示に由来するそれらの均等物にしたがってのみ規定されるべきである。更に、上述の利点及び特徴が記載された実施形態において提供されるが、かかる公開される特許請求の範囲の用途を、上述の利点のいずれか又は全てを達成する方法及び構造に限定するものではない。
【0052】
加えて、本明細書においてセクションの見出しは、米国特許規則§1.77の規定するところにしたがって、さもなくば、編成上の目印(organizational cue)として提供されるものである。これらの見出しは、本開示から生じ得る請求項に定める(単数又は複数の)実施形態を限定したり又は特徴付けたりしないものとする。具体的には、単に例示ではあるが、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。更に、「背景技術」に記載された技術に関する記述が、特定の技術が、本開示における任意の(単数又は複数の)実施形態に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。「発明の概要」についても、公開される請求項で述べられる(単数又は複数の)実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。更に、本開示においては、単数形での「発明」に対するいずれの言及も、本開示における新規な点が1つのみである、ということを主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示により、公開される複数の請求項の限定にしたがって、述べられる場合がある。したがって、これらの請求項は、この(単数又は複数の)実施形態及びそれらの均等物を定義することによって、それらを保護している。全ての場合において、これらの請求項の範囲は、本開示に照らして、固有の利点が考慮されるべきであり、本明細書に述べる見出しによって制約されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B