特許第6543856号(P6543856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6543856自己整合注入及びキャッピングを用いた太陽電池エミッタ領域の製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543856
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】自己整合注入及びキャッピングを用いた太陽電池エミッタ領域の製造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20190705BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20190705BHJP
【FI】
   H01L31/04 440
   H01L31/06 300
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-520013(P2016-520013)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公表番号】特表2016-541106(P2016-541106A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014067497
(87)【国際公開番号】WO2015088782
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】14/100,540
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウェイドマン、ティモシー
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0237022(US,A1)
【文献】 特表2011−523230(JP,A)
【文献】 特開2012−235084(JP,A)
【文献】 特開平10−260523(JP,A)
【文献】 特表2009−507363(JP,A)
【文献】 特表2013−510432(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0104618(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0213469(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/174421(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池のエミッタ領域を製造する方法であって、前記方法は、
基板上に配設された酸化物層上にシリコン層を形成する工程と、
前記シリコン層の複数の注入領域を、隣接する前記シリコン層の複数の非注入領域とともに形成すべく、ステンシルマスクを介して、前記シリコン層内に複数のドーパント不純物原子を注入する工程と、
前記ステンシルマスクを介して、前記シリコン層の前記複数の注入領域上に、それと実質的に位置合わせしてキャッピング層を形成する工程と、
前記シリコン層の前記複数の非注入領域を除去する工程であって、前記除去する工程の間に、前記キャッピング層が前記シリコン層の前記複数の注入領域を保護する、工程と、
複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく前記シリコン層の前記複数の注入領域をアニールする工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
太陽電池の交互のN型エミッタ領域及びP型エミッタ領域を製造する方法であって、前記方法は、
単結晶シリコン基板上に配設された酸化物層上に多結晶シリコン層を形成する工程と、
複数の非注入領域に隣接する前記多結晶シリコン層の複数の第1の注入領域を形成すべく、第1のステンシルマスクを介して、前記多結晶シリコン層内に第1の導電型の複数のドーパント不純物原子を注入する工程と、
前記第1のステンシルマスクを介して、前記多結晶シリコン層の前記複数の第1の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第1のキャッピング層を形成する工程と、
前記多結晶シリコン層の複数の第2の注入領域を形成すべく、第2のステンシルマスクを介して、前記多結晶シリコン層の前記複数の非注入領域の複数の部分内に第2の反対の導電型の複数のドーパント不純物原子を注入する工程であって、その結果、複数の残りの非注入領域が生じる、工程と、
前記第2のステンシルマスクを介して、前記多結晶シリコン層の前記複数の第2の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第2のキャッピング層を形成する工程と、
前記多結晶シリコン層の前記複数の残りの非注入領域を除去する工程であって、前記除去する工程の間に、前記第1のキャッピング層及び前記第2のキャッピング層が、前記多結晶シリコン層の前記複数の第1の注入領域及び前記複数の第2の注入領域をそれぞれ保護する、工程と、
複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく前記多結晶シリコン層の前記複数の第1の注入領域及び前記複数の第2の注入領域をアニールする工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
ステンシルマスクを介して前記注入する工程が、シリコンステンシルマスクを介して注入する工程を含み、前記シリコンステンシルマスクは前記シリコン層上に、又はそれに近接して位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記注入する工程及び前記キャッピング層を前記形成する工程がインラインプロセス装置内で実行され、前記ステンシルマスク及び前記基板は前記インラインプロセス装置内を一体的に移動される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
前記注入する工程及び前記キャッピング層を前記形成する工程が、固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行される、請求項1、3および4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記キャッピング層を前記形成する工程が、低圧化学気相成長(LPCVD)チャンバ、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)及び物理気相成長(PVD)からなる群から選択される堆積技法を用いる工程を含む、請求項1および3から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記キャッピング層を前記形成する工程が、摂氏25〜400度の範囲内の温度で堆積する工程を含む、請求項1および3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記キャッピング層を前記形成する工程が、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)及び酸窒化ケイ素(SiON)からなる群から選択される材料を形成する工程を含む、請求項1および3から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記キャッピング層を除去する工程と、
前記複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に複数の導電コンタクトを形成する工程と、
を更に含む、請求項1および3から8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は再生可能エネルギーの技術分野のものであり、特に、自己整合注入及びキャッピングを用いた太陽電池エミッタ領域を製造する方法、並びにその結果もたらされる太陽電池の技術分野のものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池として一般的に知られる、光起電力電池は、太陽放射線の、電気エネルギーへの直接変換のための周知の機器である。一般に、太陽電池は、半導体処理技術を使用して半導体ウェハ上又は基板上に製造され、基板の表面近くにp−n接合が形成される。基板の表面に衝突し、これに進入する太陽放射は、基板のバルク内に電子−正孔対を生じさせる。電子−正孔対は、基板内のpドープ領域及びnドープ領域に移動し、これによって、ドープ領域の間に電圧差を発生させる。ドープ領域は、太陽電池の導電性領域に接続され、電流を太陽電池からそれと連結された外部回路へと方向付ける。
【0003】
効率は、太陽電池の発電能力に直接関係するため、太陽電池の重要な特性である。同様に、太陽電池を生産する上での効率は、このような太陽電池の費用対効果に直接関係する。したがって、太陽電池の効率を向上させるための技術、又は太陽電池の製造における効率を向上させるための技術が、一般的に望ましい。本開示のいくつかの実施形態は、太陽電池構造体を製造するための新規なプロセスを提供することによって、太陽電池の製造効率の向上を可能にする。本開示のいくつかの実施形態は、新規な太陽電池構造体を提供することによって、太陽電池の効率向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
図1B】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
図1C】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
図1D】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
図1E】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
図1F】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。
【0005】
図2】本開示の一実施形態に係る、図1A図1Fに対応するとおりの太陽電池の製造方法における工程を列挙するフローチャートである。
【0006】
図3】本開示の一実施形態に係る、太陽電池の別の製造方法における工程を列挙するフローチャートである。
【0007】
図4】本開示の一実施形態に係る、アルミニウム金属配線のバックコンタクト型太陽電池の裏面の平面図を示す。
【0008】
図5A】本開示の一実施形態に係る、パターニングされた注入及びキャッピングのためのインラインプラットフォームの断面図を概略的に示す。
【0009】
図5B】本開示の一実施形態に係る、図5Aの装置におけるシリコン接触マスクを介した注入及びキャッピングシーケンスを示す。
【0010】
図6A】本開示の一実施形態に係る、移動するウェハ及び固定されたシャドーマスクを含む、パターニングされた注入のためのインラインプラットフォームの断面図を概略的に示す。
【0011】
図6B】本開示の一実施形態に係る、図6Aの装置におけるグラファイト近接マスクを介した注入シーケンスを示す。
【0012】
図7A】本開示の一実施形態に係る、隣接する「ショートフィンガ」マルチバスバーレイアウトを有する交互嵌合バックコンタクト(IBC:interdigitated back contact)型太陽電池の裏側の平面図を示す。
【0013】
図7B】本開示の一実施形態に係る、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)の金属箔バックプレーンを有するIBC太陽電池の裏側の平面図を示す。
【0014】
図7C】本開示の一実施形態に係る、はんだ、導電接着剤を用いて、又はレーザスポット溶接(例えば、Al対Al)によって取り付けられる複数の接点を有するIBC太陽電池の裏側の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の発明を実施するための形態は、本質的には、単なる例示に過ぎず、本主題の実施形態、あるいは、かかる実施形態の応用及び用途を限定することを意図するものではない。本明細書で用いられる場合、「例示の」という語は、「例、事例、実例として機能すること」を意味する。本明細書で例示として記載する任意の実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解釈すべきではない。更には、前述の技術分野、技術背景、概要、若しくは以下の発明を実施するための形態で提示される、明示又は示唆したいずれの理論によっても、拘束されることを意図するものではない。
【0016】
本明細書は、「一実施形態(one embodiment)」又は「実施形態(an embodiment)」への言及を含む。「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句の出現は、必ずしも、同じ実施形態を指すものではない。特定の機構、構造、又は特性を、本開示と矛盾しない任意の好適な方式で組み合わせることができる。
【0017】
用語法。以下の段落は、本開示(添付の特許請求の範囲を含む)で見出される用語に関する、定義及び/又は文脈を提供する。
【0018】
「備える」。この用語は、オープンエンド型である。添付の特許請求の範囲で用いられる場合、この用語は、更なる構造又は工程を排除するものではない。
【0019】
「〜ように構成された」。様々なユニット又は構成要素は、1つのタスクまたは複数のタスクを実行する「ように構成された」として、説明又は特許請求される場合がある。そのような文脈において、「〜ように構成された」は、それらのユニット/構成要素が、動作中にそれらのタスクを実行する構造を含むことを示すことによって、その構造を含意するために使用される。それゆえ、それらのユニット/構成要素は、指定のユニット/構成要素が現時点で動作可能ではない(例えば、オン/アクティブではない)場合であっても、そのタスクを実行するように構成されていると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が、1または複数のタスクを実行する「ように構成された」と記載することは、そのユニット/構成要素に関して、米国特許法第112条第6項が適用されないことを、明示的に意図するものである。
【0020】
「第1の」、「第2の」など。本明細書で用いられる場合、これらの用語は、それらが前に置かれる名詞に関する指標として使用されるものであり、任意のタイプの(例えば、空間的、時間的、論理的などの)順序付けも示唆するものではない。例えば、「第1の」太陽電池への言及は、この太陽電池が一系列内の一番目の太陽電池であることを必ずしも示唆するわけではなく、その代わりに、用語「第1の」は、この太陽電池を別の太陽電池(例えば、「第2の」太陽電池)と区別するために用いられる。
【0021】
「結合された」−以下の説明は、要素又はノード又は機構が一体に「結合された」ことについて言及する。本明細書で用いられる場合、明示的に別段の定めがある場合を除き、「結合された」とは、1つの要素/ノード/機構が、別の要素/ノード/機構に、直接的又は間接的に接続される(又は、直接的若しくは間接的に連通する)ことを意味するものであり、これは、必ずしも機械的なものではない。
【0022】
更には、特定の用語法もまた、参照のみを目的として、以下の説明で使用される場合があり、それゆえ、それらの用語法は、限定的であることを意図するものではない。例えば、「上側」、「下側」、「上方」、及び「下方」などの用語は、参照される図面内での方向を指す。「前部」、「後方」、「後部」、「側部」、「外側」、及び「内側」などの用語は、論考中の構成要素を説明するテキスト及び関連図面を参照することによって明確にされる、一貫性はあるが任意の基準系の範囲内での、構成要素の諸部分の向き及び/又は位置を説明するものである。そのような用語法は、具体的に上述された語、それらの派生語、及び類似の意味の語を含み得る。
【0023】
自己整合注入及びキャッピングを用いた太陽電池エミッタ領域を製造する方法、及びその結果もたらされる太陽電池が本明細書において説明される。以下の説明において、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定のプロセスフロー工程などの多数の具体的な詳細が記載される。これらの具体的な詳細なしに、本開示の実施形態を実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の事例において、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、リソグラフィ及びパターニング技術などの、周知の製造技術は詳細に説明されない。更に、図示された様々な実施形態は、例示的な表示であって、必ずしも原寸に比例して描写されたものではないことを理解されたい。
【0024】
本明細書に開示されるものは、太陽電池を製造する方法である。一実施形態において、太陽電池のエミッタ領域を製造する方法は、基板の上方にシリコン層を形成する工程を含む。本方法はまた、シリコン層の注入領域を、隣接する非注入領域とともに形成すべく、ステンシルマスクを介して、シリコン層内にドーパント不純物原子を注入する工程を含む。本方法はまた、ステンシルマスクを介して、シリコン層の注入領域上に、それと実質的に位置合わせしてキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、シリコン層の非注入領域を除去する工程であって、除去する工程の間に、キャッピング層はシリコン層の注入領域を保護する、工程を含む。本方法はまた、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべくシリコン層の注入領域をアニールする工程を含む。
【0025】
別の実施形態において、太陽電池の交互のN型エミッタ領域及びP型エミッタ領域を製造する方法は、単結晶シリコン基板上に配設された薄い酸化物層上に多結晶シリコン層を形成することを含む。本方法はまた、非注入領域に隣接する多結晶シリコン層の第1の注入領域を形成すべく、第1のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層内に第1の導電型のドーパント不純物原子を注入する工程を含む。本方法はまた、第1のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の第1の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第1のキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、多結晶シリコン層の第2の注入領域を形成すべく、第2のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の非注入領域の部分内に第2の反対の導電型のドーパント不純物原子を注入する工程であって、その結果、残りの非注入領域が生じる、工程を含む。本方法はまた、第2のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の第2の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第2のキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、多結晶シリコン層の残りの非注入領域を除去する工程であって、除去する工程の間に、第1のキャッピング層及び第2のキャッピング層は、多結晶シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をそれぞれ保護する、工程を含む。本方法はまた、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく多結晶シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールする工程を含む。
【0026】
本明細書には、太陽電池を製造する装置も開示されている。一実施形態において、太陽電池のエミッタ領域を製造するためのインラインプロセス装置は、ステンシルマスクを基板と位置合わせするための第1のステーションを含む。ステンシルマスクを介して、基板の上方にドーパント不純物原子を注入するための第2のステーションが含まれる。ステンシルマスクを介して、基板の上方にキャッピング層を形成するための第3のステーションが含まれる。ステンシルマスク及び基板は、第2のステーション及び第3のステーション内を一体的に移動することができる。
【0027】
本明細書において説明されている1または複数の実施形態は、N+(例えば、通常、リン若しくはヒ素をドープされた)ポリシリコンエミッタ層、及びP+(例えば、通常、ホウ素をドープされた)ポリシリコンエミッタ層の両方を生成するためのイオン注入技術の使用を含む、高効率の全バックコンタクト型太陽電池機器を製造するための単純化されたプロセスフローを提供する。一実施形態において、製造アプローチは、処理される太陽電池基板にきわめて近接して、又はそれと直接物理的に接触して配置される、好ましくは、シリコン(Si)から製造される、パターニングされたシャドーマスクの使用を含む。1つのこのような実施形態において、シャドーマスクは基板とともに、まず、注入ビームの真下を移動し、次に(シャドーマスクを移動させることなく)第2の処理区域/領域内を移動する。第2の処理区域/領域において、十分な厚さのキャッピング層が注入エリアの直上に、それと完全に(又は少なくとも実質的に)位置合わせして堆積される。次に、反対の導電性を有するドーパント型の同様にキャッピングされたパターンを生成するために、同一又は同様のプロセスを適用することができる。
【0028】
いくつかの実施形態は、隣接する非注入(及び、したがって、キャッピングもされていない)ポリシリコン層の選択的なウェット又はドライエッチング除去が可能になるようにキャッピング層の組成が選択されることを含む。このようなエッチング選択性によって、例えば、バックコンタクト型太陽電池の、エミッタ領域間のパターニングされたトレンチ分離が可能になる。いくつかの例において、キャッピングフィルムは、低圧化学気相成長(LPCVD:low pressure chemical vapor deposition)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)又は高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD:high density plasma chemical vapor deposition)を用いて堆積される、SiO若しくはSiN(又はそれらの組み合わせ)誘電体ベースのフィルムからなってもよい。一実施形態において、堆積のより方向性の高い性質、及び前のイオン注入工程により適合した、より低い工程圧力のゆえに、HDPCVDが好ましくなり得る。しかし、キャッピング層はまた、たとえ、比較的低い温度(室温〜400Cなど)で適用された場合でも良好なウェットエッチング選択性を提供する、SiO、SiON、SiNベースの誘電体キャッピング層の、より方向性の高い平行堆積を可能にする、更により高真空の物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)又はスパッタリングベースのプロセスを用いて堆積されてもよい。
【0029】
特定の実施形態において、堆積時のキャッピング層は、全ての非注入(及びしたがってキャッピングもされていない)ポリシリコン領域の完全な除去を可能にするために、アルカリ系シリコンエッチング及びテクスチャ化化学物質に対して十分に耐性を有する。それゆえ、反対にドープされたポリSi領域を分離するトレンチを形成し、ウェハの表(太陽に面する)側のテクスチャ化を同時に行うために、アルカリ系のシリコンエッチング及びテクスチャ化化学物質が用いられる。一実施形態において、表側のテクスチャ化及びトレンチ分離エッチングが完了すると、残留キャッピング層を剥離すべく、フッ化水素酸(HF:hydrofluoric acid)系化学物質(例えば、NHF緩衝HF混合物、又は緩衝酸化物エッチング剤(BOE:buffered oxide etchant))などの、後続のウェットエッチング化学物質が適用される。しかし、代替実施形態において、キャッピング層は、アルカリ化学物質に対する十分な耐性を有する金属層である。このような金属層は接触層として機器内に残ってもよい。
【0030】
更に情況を説明すると、とりわけ、交互嵌合バックコンタクト(IBC)型太陽電池に有望である、太陽電池の製造に適用可能な、より低コストで、よりスループットの高いイオン注入システムの供与に対して、近年、著しい関心が向けられ、進展が見られている。N+注入及びP+注入の両方を、良好な位置合わせを有するように達成することができるであろうと想定されている。しかし、プロセスステップ、コスト、及び熱履歴を実際に低減することができるであろうプロセスフローを用いた高性能バックコンタクト型太陽電池構造体に適用可能となるためには、パターニングされ、位置合わせされたイオン注入をコスト効率よく提供するだけでなく、非注入多結晶シリコン領域の選択的除去又は自己整合した除去を提供するアプローチが必要である。このような懸念に対処するために、本明細書において説明されている1または複数の実施形態は、単一のシーケンス内で同じマスクを介して、パターニングされたイオン注入、及び自己整合したキャッピング層の両方を提供するための、比較的低コストの非汚染性シリコンウェハステンシルマスクを用いることによって、このような機能性を提供する。マスクは、シリコンウェハ基板と同様に、シリコンで構成されるため、それは、汚染の課題、又は異なる熱膨張率に関連付けられる問題を伴うことなく、接触モードで用いることができる。一実施形態において、マスキングウェハ又はステンシルウェハは、導電性を有し、したがって、イオンビーム整形電子装置の一体部分として含まれるように(又は単に帯電を回避するために)、十分にドープすることができる。更に、各イオン注入工程後に誘電体層の堆積を自動的に実行することによって、後続の注入を表面誘電体によって遮断することができ(例えば、その内部で阻止して閉じ込めることができ)、このようなステンシルマスクの周期的な洗浄及び再使用を大いに容易にする。
【0031】
より具体的には、ステンシルマスクの使用を必要とする他のパターニングプロセスと同様に、十分な機械的完全性を有するマスクを生成することは、用いられるパターンの種類に大幅な制限を加える場合があるか、又は注入極性ごとの所望のパターンが、2つの別個の完全に位置合わせされたステップで(例えば、合計で4つの別個のマスクを用いて)実行されることを必要とする場合がある。影響を受ける可能性のあるこうしたシナリオの1つは、太陽電池のほぼ全長にわたって延在する長いフィンガを用いた交互嵌合の製造である。しかし、本明細書において説明されている実施形態によれば、それほど困難ではなくなり得る他の可能な交互嵌合レイアウトが説明される。例えば、以下においてより詳細に説明されるように、代替的なマルチバスバー設計を用いることで、次世代(例えば、より低コストの)金属配線方式へ移行する際に顕著な利点を提供することができる。
【0032】
例示的なプロセスフローにおいて、図1A図1Fは、本開示の一実施形態に係る、太陽電池の製造における様々な段階の断面図を示す。図2は、本開示の一実施形態に係る、図1A図1Fに対応するとおりの太陽電池の製造方法における工程を列挙するフローチャート200である。
【0033】
図1A、及びフローチャート200の対応する工程202を参照すると、太陽電池の交互のN型エミッタ領域及びP型エミッタ領域を製造する方法は、基板102上に配設された薄い酸化物層104上に多結晶シリコン層106を形成する工程を含む。
【0034】
一実施形態において、基板102は、バルク単結晶N型ドープシリコン基板などの、単結晶シリコン基板である。しかし、基板102は、汎用太陽電池基板上に設けられた多結晶シリコン層などの層でもよいことを理解すべきである。一実施形態において、薄い酸化物層は、およそ2ナノメートル以下の厚さを有するトンネル誘電体シリコン酸化物層である。多結晶シリコン層106として説明されているが、代替実施形態において、アモルファスシリコン層が代わりに用いられる。
【0035】
図1B、及びフローチャート200の対応する工程204を参照すると、本方法はまた、多結晶シリコン層106の第1の注入領域112、及び非注入領域(即ち、プロセス内のこの段階では未注入の多結晶シリコン層106の残りの部分)を形成すべく、第1のステンシルマスク108を介して、多結晶シリコン層106内に第1の導電型のドーパント不純物原子110を注入する工程を含む。
【0036】
一実施形態において、第1のステンシルマスク108はシリコンステンシルマスクである。一実施形態において、ステンシルマスクのシリコンはシリコンベースの太陽電池を汚染しないため、シリコンステンシルマスクの使用は、図1Aの構造体上への配置、又はそれにきわめて近接した配置を可能にする。一実施形態において、注入は、イオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を用いることによって実行される。一実施形態において、この第1の注入は、シリコンのためのP+ドーパント原子(例えば、ホウ素原子)を提供する。しかし、別の実施形態において、第1の注入は、シリコンのためのN+ドーパント原子(例えば、リン原子又はヒ素原子)を提供する。一実施形態において、後述される後の工程に関連するとおりの、注入領域と非注入領域との間の後続のエッチング選択性を向上させるために、注入を実行するために用いられる条件を(例えば、連続した、又は同時の電子衝撃によって)調整する。調整されてもよい他の条件は、注入中の基板バイアス、温度調整、及びドーズ量調整のうちの1または複数を含むことができる。
【0037】
図1Bを再び参照し、今度は、フローチャート200の対応する工程206を参照すると、本方法はまた、第1のステンシルマスク108を介して、多結晶シリコン層106の第1の注入領域112上に、それと実質的に位置合わせして第1のキャッピング層114を形成する工程を含む。ステンシルマスク及び基板は一体的に移動するため、位置合わせは理想的に完全なものと見なすことができる。しかし、プロセスは、プロセスが注入/ドーピングチャンバからキャップ堆積チャンバへ移動する間に生じ得るいくらかの若干の偏り(例えば、並進方向において2、3パーセント未満)を許容することができる。
【0038】
一実施形態において、注入、及び第1のキャッピング層114の形成はインラインプロセス装置内で実行され、第1のステンシルマスク108及び単結晶シリコン基板102は、図5A及び図5Bに関して更に詳細に説明されるように、インラインプロセス装置内を一体的に移動される。一実施形態において、第1のキャッピング層114は、限定するものではないが、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)又は酸窒化ケイ素(SiON)などの材料を含む。一実施形態において、第1のキャッピング層114は、限定するものではないが、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)又は物理気相成長(PVD)などの堆積技法を用いて形成される。一実施形態において、第1のキャッピング層114は、およそ摂氏25〜400度の範囲の温度における堆積によって形成される。
【0039】
図1Bを再び参照すると、キャッピング層114の材料は第1のステンシルマスク108上にも堆積され得る。堆積環境を経たステンシルマスク108の多数の運用の後に、図1Bに示されるように、複数の材料層が最終的に蓄積し得る。最適な運用数は、後の堆積プロセスに何らかの仕方で影響を与え得ると思われるステンシルマスク108上への材料の過剰蓄積に対するスループットのバランスを取るように決定されてもよいことを理解されたい。1つのこのような実施形態において、特定の数の運用の後に、蓄積されたキャッピング材料は選択的エッチングによって除去され、その後、第1のステンシルマスク108は再使用することができる。
【0040】
図1C、及びフローチャート200の対応する工程208を参照すると、本方法はまた、多結晶シリコン層106の第2の注入領域120、及び残りの非注入領域(即ち、プロセス内のこの段階では未注入の多結晶シリコン層106の残りの部分)を形成すべく、第2のステンシルマスク116を介して、多結晶シリコン層106の非注入領域の部分内に第2の反対の導電型のドーパント不純物原子118を注入する工程を含む。
【0041】
一実施形態において、第2のステンシルマスク116はシリコンステンシルマスクである。一実施形態において、ステンシルマスクのシリコンはシリコンベースの太陽電池を汚染しないため、シリコンステンシルマスクの使用によって、図1Bの構造体上への配置、又はそれにきわめて近接した配置が可能になる。一実施形態において、注入は、イオンビーム注入又はプラズマ浸漬注入を用いることによって実行される。一実施形態において、第2の注入は、シリコンのためのN+ドーパント原子(例えば、リン原子又はヒ素原子)を提供する。しかし、別の実施形態において、第2の注入は、シリコンのためのP+ドーパント原子(例えば、ホウ素原子)を提供する。一実施形態において、後述される後の工程に関連するとおりの、注入領域と非注入領域との間の後続のエッチング選択性を向上させるために、注入を実行するために用いられる条件を(例えば、連続した、又は同時の電子衝撃によって)調整する。調整されてもよい他の条件は、注入中の基板バイアス、温度調整、及びドーズ量調整のうちの1または複数を含むことができる。
【0042】
図1Cを再び参照し、今度は、フローチャート200の対応する工程210を参照すると、本方法はまた、第2のステンシルマスク116を介して、多結晶シリコン層106の第2の注入領域120上に、それと実質的に位置合わせして第2のキャッピング層122を形成する工程を含む。ステンシルマスク及び基板は一体的に移動するため、位置合わせは理想的に完全なものと見なすことができる。しかし、プロセスは、プロセスが注入/ドーピングチャンバからキャップ堆積チャンバへ移動する間に生じ得るいくらかの若干の偏り(例えば、並進方向において2、3パーセント未満)を許容することができる。
【0043】
一実施形態において、注入、及び第2のキャッピング層122の形成はインラインプロセス装置内で実行され、第2のステンシルマスク116及び単結晶シリコン基板102は、図5A及び図5Bに関して更に詳細に説明されるように、インラインプロセス装置内を一体的に移動される。一実施形態において、第2のキャッピング層122は、限定するものではないが、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)又は酸窒化ケイ素(SiON)などの材料を含む。一実施形態において、第2のキャッピング層122は、限定するものではないが、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)又は物理気相成長(PVD)などの堆積技法を用いて形成される。一実施形態において、第2のキャッピング層122は、およそ摂氏25〜400度の範囲の温度における堆積によって形成される。
【0044】
図1Cを再び参照すると、第2のキャッピング層122の材料は第2のステンシルマスク116上にも堆積され得る。第1のステンシルマスク上の第1のキャッピング層の場合と同様に、堆積環境を経た第2のステンシルマスク116の多数の運用の後に、図1Cに示されるように、複数の材料層が最終的に蓄積し得る。最適な運用数は、後の堆積プロセスに何らかの仕方で影響を与え得ると思われるステンシルマスク116上への材料の過剰蓄積に対するスループットのバランスを取るように決定されてもよいことを理解されたい。1つのこのような実施形態において、特定の数の運用の後に、蓄積されたキャッピング材料は選択的エッチングによって除去され、その後、第2のステンシルマスク116は再使用される。
【0045】
図1D、及びフローチャート200の対応する工程212を参照すると、多結晶シリコン層106の残りの非注入領域を除去することができる。一実施形態において、多結晶シリコン層106の残りの非注入部分の除去の最中に、第1のキャッピング層114及び第2のキャッピング層122は、第1の注入領域112及び第2の注入領域120をそれぞれ保護する。一実施形態において、図1Dを再び参照すると、多結晶シリコン層106の残りの非注入部分の除去の後、及び/又はその最中に、キャッピング層114及び122も除去することができる。どちらの場合にも、第1の注入領域112及び第2の注入領域120の少なくとも相当量の保護を提供するために(例えば、注入領域を大幅に侵食することがないように)、キャッピング層114及び122は、多結晶シリコン層106よりも適度にエッチングを受けにくいものでなければならない。
【0046】
一実施形態において、第1及び第2のキャッピング層114及び122は、限定するものではないが、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)又は酸窒化ケイ素(SiON)などの材料を含み、多結晶シリコン層106の残りの非注入領域を除去する工程は、水酸化物系ウェットエッチングプロセスを用いる工程を含む。一実施形態において、その後、第1及び第2のキャッピング層114及び122は、緩衝酸化物エッチング剤(BOE)プロセスなどの、HF系ウェットエッチングプロセスを用いた後続のプロセスにおいて、除去される。
【0047】
図1E、及びフローチャート200の対応する工程214を参照すると、第1(124)及び第2(126)のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域をそれぞれ形成すべく、多結晶シリコン層の第1の注入領域112及び第2の注入領域120をアニールすることができる。一般的には、高温アニール及び活性化プロセスを実行する前にポリシリコンの非注入エリアのエッチング(即ち、除去)を完了することが最も有利となり得るが、特定の注入条件において、(例えば、非注入領域に対して)テクスチャ化エッチングにおいて本質的により高い反応性を生じさせる場合がある。この場合には、トレンチエッチングの前に高温アニールを実行することができる。
【0048】
一実施形態において、加熱はおよそ摂氏850〜1100度の範囲の温度でおよそ1〜100分の範囲の期間、実行される。一実施形態において、加熱又はアニールの最中に少量のP+ドーパント駆動が実行される。
【0049】
図1D及び図1Eの両方を参照すると、一実施形態において、第1(124)及び第2(126)のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域の間にトレンチ128が形成される。更に、一実施形態において、基板102のトレンチ及び/又は受光表面101はテクスチャ化される。第1(124)及び第2(126)のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成するための、トレンチ形成、及び多結晶シリコン層の第1の注入領域112及び第2の注入領域120のアニールの工程の順序付けは、変更することができる。一実施形態において、トレンチ形成及びテクスチャ化は両方とも、例えば、シリコン層106の非注入領域を除去するために用いられるプロセスの一部として、アニールの前に、同じ水酸化物系エッチングプロセスにおいて実行される。代替的に、トレンチ形成及びテクスチャ化は(図1D及び図1Eに示されるように)アニールの後に実行される。更に別の実施形態において、表面101のテクスチャ化は、トレンチ128を形成し、テクスチャ化するために用いられる工程と異なる工程において実行されてもよい。テクスチャ化された表面は、入射光を散乱させることによって太陽電池の受光表面から反射される光の量を減少させる、規則的又は不規則的な形状の表面を有するものであってよいことを理解されたい。追加の実施形態は、図1Eに示されるように、受光表面101上の不活性化層又は反射防止膜層129の形成を含むことができる。
【0050】
図1Fを参照すると、第1(124)及び第2(126)のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域とそれぞれ接触するための導電コンタクト130及び132が製造される。一実施形態において、コンタクトは、まず絶縁層150を堆積させ、開口部を有するようにパターニングし、その後、開口部内に1または複数の導電層を形成することによって製造される。一実施形態において、導電コンタクト130及び132は金属を含み、堆積、リソグラフィ、及びエッチングアプローチ、又は、代替的に、印刷プロセスによって形成される。
【0051】
一実施形態において、キャッピング層114及び122(又は少なくともそれらの残余物)は最終構造体内に保持される。1つのこのような実施形態において、コンタクト130及び132は、例えば、コンタクトトレンチ形成の最中にキャッピング層をパターニングすることによって、キャッピング層114及び122を貫通して形成される。しかし、別の代替実施形態において、キャッピング層114及び122の一方又は両方は、限定するものではないが、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)又はタングステン(W)などの耐熱金属を含む。このような耐熱金属は多結晶シリコン表面上に堆積され、多結晶シリコン層内のドーパントを活性化するために用いられるアニールプロセスに耐えることができる。他の実施形態において、薄い金属キャッピング層が用いられ、限定するものではないが、チタン(Ti)、コバルト(Co)又はニッケル(Ni)などの材料を含む。薄い金属キャッピング層は、多結晶層の上部とシリサイド化するために用いることができる。一実施形態において、導電コンタクト130及び132は、導電キャッピング層を含むように形成される。更に別の代替実施形態において、キャッピング層114及び122の一方又は両方は、50〜1000Aの厚さを有し、揮発性カルボシラン前駆体を用いた化学気相成長技法を用いて堆積される、表面のカルボシランベースのフィルムを含む。このような層は、導電コンタクトの形成前に除去又はパターニングすることができる。
【0052】
自己整合注入及びキャッピング領域及び層のためのこのようなステンシルマスクベースのアプローチは、両方のドーパント型のために用いる代わりに、一方のドーパント型のみのために用いることができることを理解されたい。例えば、このプロセスは、P+又はN+ドーピングの一方のために特に有利である場合があり、それゆえ、エミッタ領域の2つの導電型のうちの一方の製造のためにのみ用いられる。一例として、図3は、本開示の実施形態に係る、太陽電池の別の製造方法における工程を列挙するフローチャート300である。
【0053】
フローチャート300の工程302を参照すると、太陽電池のエミッタ領域を製造する方法は、基板の上方にシリコン層を形成する工程を含む。フローチャート300の工程304を参照すると、シリコン層の注入領域を、隣接する非注入領域とともに形成すべく、ステンシルマスクを介して、シリコン層内にドーパント不純物原子を注入する。フローチャート300の工程306を参照すると、ステンシルマスクを介して、シリコン層の注入領域上に、それと実質的に位置合わせしてキャッピング層を形成する。フローチャート300の工程308を参照すると、シリコン層の非注入領域を除去する。除去する工程の間に、キャッピング層はシリコン層の注入領域を保護する。フローチャート300の工程310を参照すると、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく、シリコン層の注入領域をアニールする。
【0054】
上述のプロセスは、レーザ切断されたSiマスクを介した、パターニングされたホウ素(又はリン若しくはヒ素など)の注入及びキャッピングを可能にするために用いることができる。本アプローチは、温度膨張率(CTE:coefficient of temperature expansion)の不一致、汚染、及び/又は洗浄の課題に対処するために、注入をキャッピングと統合することを含む。諸アプローチは現在の太陽電池設計のために好適となり得る。しかし、一実施形態において、マスクの完全性の要求は、全Al金属配線セルのために製作される設計などの、低減されたフィンガ寸法を有する設計に好都合となり得る。一例として、図4は、本開示の一実施形態に係る、アルミニウム金属配線のバックコンタクト型太陽電池400の裏面の平面図を示す。
【0055】
以上において簡単に説明されているように、本明細書において言及されているプロセスはインラインプロセス装置上で実行されてもよい。一例として、図5Aは、本開示の一実施形態に係る、パターニングされた注入及びキャッピングのためのインラインプラットフォームの断面図を概略的に示す。図5Bは、本開示の一実施形態に係る、図5Aの装置におけるシリコン接触マスクを介した注入及びキャッピングシーケンスを示す。
【0056】
図5Aを参照すると、太陽電池のエミッタ領域を製造するためのインラインプロセス装置500は、ステンシルマスク504を基板506と位置合わせするための第1のステーション502を含む。ステンシルマスク504を介して、基板506の上方にドーパント不純物原子(例えば、ホウ素又はリン)を注入するための第2のステーション508が含まれる。ステンシルマスク504を介して、基板506の上方にキャッピング層を形成するための第3のステーション510が含まれる。インラインプロセス装置500の他の態様は、ウェハ投入エリア512並びにマスク除去及びウェハ産出エリア514を含むことができる。
【0057】
一実施形態において、ステンシルマスク504及び基板506は、少なくとも第2のステーション508及び第3のステーション510内を一体的に移動される。インラインプロセス装置500を介したウェハの流れの方向は矢印550によって示される。図5Bを参照すると、一実施形態において、インラインプロセス装置500は、ステンシルマスク504を介した基板506上におけるシリコン層507の注入及びキャッピング領域を可能にする。キャッピング層は、注入を実行するために用いられたのと同じ位置にある同じマスクを用いて形成されるため、注入領域507A及びキャッピング層509は自己整合される。一実施形態において、第1のステーション502は、ステンシルマスク504を基板506上に接触して、又はそれにきわめて近接して位置合わせするためのものである。一実施形態において、第2のステーション508は、イオン注入又はプラズマ浸漬注入のチャンバを含む。一実施形態において、第3のステーション510は、限定するものではないが、低圧化学気相成長(LPCVD)チャンバ、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)チャンバ、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)チャンバ、又は物理気相成長(PVD)チャンバなどの堆積チャンバを含む。
【0058】
代替実施形態において、マスクと基板との間で接触が行われない限り、シリコン基板に対して汚染性を有し得る他のステンシルマスクが用いられてもよい。例えば、グラファイトシャドーマスクが用いられてもよい。更に、他の実施形態において、ステンシルマスクは基板と一体的に移動しない。両代替案の一例として、図6Aは、本開示の一実施形態に係る、移動するウェハ及び固定されたシャドーマスクを含むパターニングされた注入のためのインラインプラットフォームの断面図を概略的に示す。図6Bは、本開示の一実施形態に係る、図6Aの装置におけるグラファイト近接マスクを介した注入シーケンスを示す。図6Aを参照すると、インラインプラットフォーム600は、ウェハ投入領域602、注入源604(例えば、イオン注入若しくはプラズマ浸漬)、並びに産出領域606を含む。注入基板612を提供するために、固定されたグラファイトマスクなどの固定ステンシルマスク608が、基板610に近接するが、それと接触しないように、保持される。
【0059】
図4に関して簡単に説明されたように、一実施形態において、マスクの完全性は、例えば、薄いウェハ接触金属を有する交互嵌合バックコンタクト(IBC)セルのための、低減されたフィンガ寸法を有する太陽電池設計に好都合となり得る。例として提供されるものの中で、図7Aは、本開示の一実施形態に係る、隣接する「ショートフィンガ」マルチバスバーレイアウトを有するIBC太陽電池700Aの裏側の平面図を示す。図7Bは、本開示の一実施形態に係る、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)の金属箔バックプレーンを有するIBC太陽電池700Bの裏側の平面図を示す。図7Cは、本開示の一実施形態に係る、はんだ、導電接着剤を用いて、又はレーザスポット溶接(例えば、Al対Al)によって取り付けられる複数の接点750を有するIBC太陽電池700Cの裏側の平面図を示す。
【0060】
全体的に、特定の材料が具体的に上述されているが、いくつかの材料は他のものと容易に置換することができ、それでもなお、こうした他の実施形態は本開示の実施形態の趣旨及び範囲内にとどまる。例えば、一実施形態において、III−V族材料基板等の、異なる材料基板をシリコン基板の代わりに用いることができる。更に、N+及びP+形のドーピングが具体的に説明されている箇所において、意図されている他の実施形態は、反対の導電形、例えば、P+及びN+形のドーピングをそれぞれ含むことを理解されたい。
【0061】
概して、本明細書において説明されている実施形態は、高効率IBC式太陽電池を製造するための、より低コストの、高スループットイオン注入プラットフォームを提供するために実施することができる。特定の実施形態は、単一のSi接触ステンシルマスクを介して自己整合注入及びキャッピング層を生成するための有利なアプローチを提供することができる。加えて、注入エリア及びキャッピングフィルムが自動的に自己整合されることを確実にするために、Siステンシルマスクを、誘電体キャッピングフィルムを自動的に適用するプロセスと組み合わせることで、太陽電池製造への注入技術の適用を一般に制限する、コスト、汚染、寿命、及び洗浄/再使用の問題の多くに対処することができる。トレンチ除去のためのエッチングマスクの役割を果たすための自己整合キャップを提供することに加えて、真空を破壊することなくキャッピングフィルムを堆積することで、空気酸化による注入領域の劣化を低減することができる。諸実施形態は、多結晶シリコン又はアモルファスシリコン(例えば、a−Si:H)から得られたエミッタを組み込む太陽電池の製造のために特に有用になり得る。
【0062】
以上のように、自己整合注入及びキャッピングを用いた太陽電池エミッタ領域を製造する方法、及びその結果もたらされる太陽電池が説明された。
【0063】
具体的な実施形態が上述されてきたが、これらの実施形態は、特定の機構に関して単一の実施形態のみが説明される場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本開示で提供される機構の実施例は、別段の定めがある場合を除き、制約的であることよりも、むしろ例示的であることを意図するものである。上記の説明は、本開示の利益を有する当業者には明らかとなるような、変更、修正、及び等価物を包含することを意図するものである。
【0064】
本開示の範囲は、本明細書で対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かにかかわらず、本明細書で(明示的又は暗示的に)開示される、あらゆる機構又は機構の組み合わせ、若しくはそれらのあらゆる一般化を含む。したがって、本出願(又は、本出願に対する優先権を主張する出願)の実施の間に、任意のそのような機構の組み合わせに対して、新たな請求項を形式化することができる。具体的には、添付の請求項を参照して、従属請求項からの機構を、独立請求項の機構と組み合わせることができ、それぞれの独立請求項からの機構を、任意の適切な方式で、単に添付の請求項で列挙される具体的な組み合わせのみではなく、組み合わせることができる。
【0065】
一実施形態において、太陽電池のエミッタ領域を製造する方法は、基板の上方にシリコン層を形成する工程を含む。本方法はまた、シリコン層の注入領域を、隣接する非注入領域とともに形成すべく、ステンシルマスクを介して、シリコン層内にドーパント不純物原子を注入する工程を含む。本方法はまた、ステンシルマスクを介して、シリコン層の注入領域上に、それと実質的に位置合わせしてキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、シリコン層の非注入領域を除去する工程であって、除去する工程の間に、キャッピング層はシリコン層の注入領域を保護する、工程を含む。本方法はまた、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべくシリコン層の注入領域をアニールする工程を含む。
【0066】
一実施形態において、ステンシルマスクを介して注入する工程は、シリコンステンシルマスクを介して注入する工程を含み、シリコンステンシルマスクはシリコン層上に、又はそれにきわめて近接して位置付けられる。
【0067】
一実施形態において、注入する工程、及びキャッピング層を形成する工程はインラインプロセス装置内で実行され、ステンシルマスク及び基板はインラインプロセス装置内を一体的に移動される。
【0068】
一実施形態において、注入する工程、及びキャッピング層を形成する工程は、固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行される。
【0069】
一実施形態において、キャッピング層を形成する工程は、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)及び物理気相成長(PVD)からなる群から選択される堆積技法を用いる工程を含む。
【0070】
一実施形態において、キャッピング層を形成する工程は、およそ摂氏25〜400度の範囲内の温度で堆積させる工程を含む。
【0071】
一実施形態において、キャッピング層を形成する工程は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)及び酸窒化ケイ素(SiON)からなる群から選択される材料を形成する工程を含む。
【0072】
一実施形態において、本方法は、キャッピング層を除去する工程と、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に導電コンタクトを形成する工程とを更に含む。
【0073】
一実施形態において、シリコン層の非注入領域を除去する工程は、水酸化物系ウェットエッチングプロセスを用いることを含み、キャッピング層を除去する工程は、HF系ウェットエッチングプロセスを用いることを含む。
【0074】
一実施形態において、本方法は、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に導電コンタクトを形成する工程であって、導電コンタクトはキャッピング層の少なくとも一部分を含む、工程を更に含む。
【0075】
一実施形態において、キャッピング層を形成する工程は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)若しくはタングステン(W)、ニッケル(Ni)並びにコバルト(Co)からなる群から選択される金属を形成する工程を含む。
【0076】
一実施形態において、太陽電池の交互のN型エミッタ領域及びP型エミッタ領域を製造する方法は、単結晶シリコン基板上に配設された薄い酸化物層上に多結晶シリコン層を形成することを含む。本方法はまた、非注入領域に隣接する多結晶シリコン層の第1の注入領域を形成すべく、第1のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層内に第1の導電型のドーパント不純物原子を注入する工程を含む。本方法はまた、第1のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の第1の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第1のキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、多結晶シリコン層の第2の注入領域を形成すべく、第2のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の非注入領域の部分内に第2の反対の導電型のドーパント不純物原子を注入する工程であって、その結果、残りの非注入領域が生じる、工程を含む。本方法はまた、第2のステンシルマスクを介して、多結晶シリコン層の第2の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第2のキャッピング層を形成する工程を含む。本方法はまた、多結晶シリコン層の残りの非注入領域を除去する工程であって、除去する工程の間に、第1のキャッピング層及び第2のキャッピング層は、多結晶シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をそれぞれ保護する、工程を含む。本方法はまた、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく多結晶シリコン層の第1の注入領域及び第2の注入領域をアニールする工程を含む。
【0077】
一実施形態において、第1のステンシルマスク及び第2のステンシルマスクを介して注入する工程は、シリコンステンシルマスクを介して注入する工程を含み、第1のシリコンステンシルマスク及び第2のシリコンステンシルマスクは多結晶シリコン層上に、又はそれにきわめて近接して連続して位置付けられる。
【0078】
一実施形態において、注入する工程、及び第1のキャッピング層及び第2のキャッピング層を形成する工程は、1または複数のインラインプロセス装置内で実行され、第1のステンシルマスク及び第2のステンシルマスクの一方並びに単結晶シリコン基板は1または複数のインラインプロセス装置内を一体的に移動される。
【0079】
一実施形態において、注入する工程、及び第1のキャッピング層を形成する工程は、第1の固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行され、注入する工程及び第2のキャッピング層を形成する工程は、第2の固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行される。
【0080】
一実施形態において、多結晶シリコン層の残りの非注入領域を除去する工程は、水酸化物系ウェットエッチングプロセスを用いる工程を含み、第1のキャッピング層及び第2のキャッピング層は、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)及び酸窒化ケイ素(SiON)からなる群から選択される材料を含む。本方法は、HF系ウェットエッチングプロセスを用いて第1のキャッピング層及び第2のキャッピング層を除去する工程と、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に導電コンタクトを形成する工程と、を更に含む。
【0081】
一実施形態において、キャッピング層は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)若しくはタングステン(W)、ニッケル(Ni)並びにコバルト(Co)からなる群から選択される金属を含む。本方法は、ドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に導電コンタクトを形成する工程であって、導電コンタクトは各々、第1のキャッピング層又は第2のキャッピング層のうちの一方を含む、工程を更に含む。
【0082】
一実施形態において、太陽電池のエミッタ領域を製造するためのインラインプロセス装置は、ステンシルマスクを基板と位置合わせするための第1のステーションを含む。ステンシルマスクを介して、基板の上方にドーパント不純物原子を注入するための第2のステーションが含まれる。ステンシルマスクを介して、基板の上方にキャッピング層を形成するための第3のステーションが含まれる。ステンシルマスク及び基板は、第2のステーション及び第3のステーション内を一体的に移動することができる。
【0083】
一実施形態において、第1のステーションは、ステンシルマスクを、基板と接触して、又はそれときわめて近接して位置合わせさせるように更に構成される。
【0084】
一実施形態において、第2のステーションは、イオン注入又はプラズマ浸漬注入チャンバを含む。
【0085】
一実施形態において、第3のステーションは、低圧化学気相成長(LPCVD)チャンバ、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)チャンバ、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)チャンバ及び物理気相成長(PVD)チャンバからなる群から選択される堆積チャンバを含む。
[項目1]
太陽電池のエミッタ領域を製造する方法であって、上記方法は、
基板の上方にシリコン層を形成する工程と、
上記シリコン層の複数の注入領域を、隣接する複数の非注入領域とともに形成すべく、ステンシルマスクを介して、上記シリコン層内に複数のドーパント不純物原子を注入する工程と、
上記ステンシルマスクを介して、上記シリコン層の上記複数の注入領域上に、それと実質的に位置合わせしてキャッピング層を形成する工程と、
上記シリコン層の上記複数の非注入領域を除去する工程であって、上記除去する工程の間に、上記キャッピング層が上記シリコン層の上記複数の注入領域を保護する、工程と、
複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく上記シリコン層の上記複数の注入領域をアニールする工程と、
を含む、方法。
[項目2]
上記ステンシルマスクを介して上記注入する工程が、シリコンステンシルマスクを介して注入する工程を含み、上記シリコンステンシルマスクは上記シリコン層上に、又はそれにきわめて近接して位置付けられる、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記注入する工程及び上記キャッピング層を上記形成する工程がインラインプロセス装置内で実行され、上記ステンシルマスク及び上記基板は上記インラインプロセス装置内を一体的に移動される、項目1に記載の方法。
[項目4]
上記注入する工程及び上記キャッピング層を上記形成する工程が、固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行される、項目1に記載の方法。
[項目5]
上記キャッピング層を形成する工程が、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)及び物理気相成長(PVD)からなる群から選択される堆積技法を用いる工程を含む、項目1に記載の方法。
[項目6]
上記キャッピング層を形成する工程が、およそ摂氏25〜400度の範囲内の温度で堆積する工程を含む、項目1に記載の方法。
[項目7]
上記キャッピング層を形成する工程が、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)及び酸窒化ケイ素(SiON)からなる群から選択される材料を形成する工程を含む、項目1に記載の方法。
[項目8]
上記キャッピング層を除去する工程と、
上記複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に複数の導電コンタクトを形成する工程と、
を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目9]
上記シリコン層の上記複数の非注入領域を除去する工程が、水酸化物系ウェットエッチングプロセスを用いる工程を含み、上記キャッピング層を除去する工程が、HF系ウェットエッチングプロセスを用いる工程を含む、項目8に記載の方法。
[項目10]
上記複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に複数の導電コンタクトを形成する工程であって、上記複数の導電コンタクトは上記キャッピング層の少なくとも一部分を含む、工程を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目11]
上記キャッピング層を形成する工程が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)若しくはタングステン(W)、ニッケル(Ni)並びにコバルト(Co)からなる群から選択される金属を形成する工程を含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
項目1に記載の方法に従って製作される太陽電池。
[項目13]
太陽電池の交互のN型エミッタ領域及びP型エミッタ領域を製造する方法であって、上記方法は、
単結晶シリコン基板上に配設された薄い酸化物層上に多結晶シリコン層を形成する工程と、
複数の非注入領域に隣接する上記多結晶シリコン層の複数の第1の注入領域を形成すべく、第1のステンシルマスクを介して、上記多結晶シリコン層内に第1の導電型の複数のドーパント不純物原子を注入する工程と、
上記第1のステンシルマスクを介して、上記多結晶シリコン層の上記複数の第1の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第1のキャッピング層を形成する工程と、
上記多結晶シリコン層の複数の第2の注入領域を形成すべく、第2のステンシルマスクを介して、上記多結晶シリコン層の上記複数の非注入領域の複数の部分内に第2の反対の導電型の複数のドーパント不純物原子を注入する工程であって、その結果、複数の残りの非注入領域が生じる、工程と、
上記第2のステンシルマスクを介して、上記多結晶シリコン層の上記複数の第2の注入領域上に、それと実質的に位置合わせして第2のキャッピング層を形成する工程と、
上記多結晶シリコン層の上記複数の残りの非注入領域を除去する工程であって、上記除去する工程の間に、上記第1のキャッピング層及び上記第2のキャッピング層が、上記多結晶シリコン層の上記複数の第1の注入領域及び上記複数の第2の注入領域をそれぞれ保護する、工程と、
複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域を形成すべく上記多結晶シリコン層の上記複数の第1の注入領域及び上記複数の第2の注入領域をアニールする工程と、
を含む、方法。
[項目14]
上記第1のステンシルマスク及び上記第2のステンシルマスクを介して注入する上記工程が、複数のシリコンステンシルマスクを介して注入する工程を含み、上記第1のシリコンステンシルマスク及び上記第2のシリコンステンシルマスクは上記多結晶シリコン層上に、又はそれにきわめて近接して連続して位置付けられる、項目13に記載の方法。
[項目15]
上記注入する工程、及び上記第1のキャッピング層および上記第2のキャッピング層を上記形成する工程が、1または複数のインラインプロセス装置内で実行され、上記第1のステンシルマスク及び上記第2のステンシルマスクの一方並びに上記単結晶シリコン基板は上記1または複数のインラインプロセス装置内を一体的に移動される、項目13に記載の方法。
[項目16]
上記注入する工程、及び上記第1のキャッピング層を上記形成する工程が、第1の固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行され、上記注入する工程及び上記第2のキャッピング層を上記形成する工程が、第2の固定されたグラファイトステンシルマスクを用いて実行される、項目13に記載の方法。
[項目17]
上記多結晶シリコン層の上記複数の残りの非注入領域を除去する工程が、水酸化物系ウェットエッチングプロセスを用いる工程を含み、上記第1のキャッピング層及び上記第2のキャッピング層が、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)及び酸窒化ケイ素(SiON)からなる群から選択される材料を含み、上記方法が、
HF系ウェットエッチングプロセスを用いて上記第1のキャッピング層及び上記第2のキャッピング層を除去する工程と、
上記複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に複数の導電コンタクトを形成する工程と、
を更に含む、項目13に記載の方法。
[項目18]
上記キャッピング層が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)若しくはタングステン(W)、ニッケル(Ni)並びにコバルト(Co)からなる群から選択される金属を含み、上記方法が、
上記複数のドープされた多結晶シリコンエミッタ領域上に複数の導電コンタクトを形成する工程であって、上記複数の導電コンタクトは各々、上記第1のキャッピング層又は上記第2のキャッピング層のうちの一方を含む、工程、
を更に含む、項目13に記載の方法。
[項目19]
太陽電池のエミッタ領域を製造するためのインラインプロセス装置であって、上記インラインプロセス装置は、
ステンシルマスクを基板と位置合わせするように構成される第1のステーションと、
上記ステンシルマスクを介して上記基板の上方に複数のドーパント不純物原子を注入するように構成される第2のステーションと、
上記ステンシルマスクを介して上記基板の上方にキャッピング層を形成するように構成される第3のステーションであって、上記ステンシルマスク及び上記基板は、上記第2のステーション及び上記第3のステーション内を一体的に移動するように構成される、第3のステーションと、
を備える、インラインプロセス装置。
[項目20]
上記第1のステーションが、上記ステンシルマスクを、上記基板と接触して、又はそれときわめて近接して位置合わせするように更に構成される、項目19に記載のインラインプロセス装置。
[項目21]
上記第2のステーションが、イオン注入又はプラズマ浸漬注入のチャンバを備える、項目19に記載のインラインプロセス装置。
[項目22]
上記第3のステーションが、低圧化学気相成長(LPCVD)、プラズマ支援化学気相成長(PECVD)チャンバ、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)チャンバ及び物理気相成長(PVD)チャンバからなる群から選択される堆積チャンバを備える、項目19に記載のインラインプロセス装置。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C