(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力端子対間に印加された入力電圧を、該入力電圧のN倍(N≧1)に昇圧させるための昇圧動作と、前記入力電圧を、該入力電圧のM倍(0≦M≦1)に降圧させるための降圧動作とを並行して行い、前記昇圧動作及び降圧動作によって変圧された電圧を出力端子対から出力する変圧装置であって、
前記入力端子対の一方の入力端子に一端が接続される第1スイッチと、
カソードが該第1スイッチの他端に接続され、アノードが前記入力端子対の他方の入力端子に接続される第1ダイオードと、
該第1ダイオードのカソードに一端が接続されるコイルと、
カソードが前記出力端子対の一方の出力端子に接続され、アノードが前記コイルの他端に接続される第2ダイオードと、
前記コイルの他端に一端が接続され、前記入力端子対の他方の入力端子、及び、前記出力端子対の他方の出力端子に他端が接続される第2スイッチと、
前記出力端子対間に流れる電流を検出する電流検出回路と、
前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記昇圧動作を行い、前記電流検出回路が検出した検出電流が電流I1よりも大きい場合に、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えに係る昇圧デューティを低下させることによって、前記Nを低下させ、前記検出電流が前記電流I1よりも小さい場合に前記昇圧デューティを上昇させることによって前記Nを上昇させる昇圧調整回路と、
前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記降圧動作を行い、前記検出電流が電流I2(>前記電流I1)よりも大きい場合に、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えに係る降圧デューティを低下させることによって、前記Mを低下させ、前記検出電流が前記電流I2よりも小さい場合に前記降圧デューティを上昇させることによって前記Mを上昇させる降圧調整回路と
を備え、
前記昇圧調整回路及び降圧調整回路は、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えと、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えとを互いに独立して行うことによって、前記昇圧動作及び降圧動作を並行して行うこと
を特徴とする変圧装置。
入力端子対間に印加された入力電圧を、該入力電圧のN倍(N≧1)に昇圧させるための昇圧動作と、前記入力電圧を、該入力電圧のM倍(0≦M≦1)に降圧させるための降圧動作とを並行して行い、前記昇圧動作及び降圧動作によって変圧された電圧を出力端子対から出力する変圧装置であって、
前記入力端子対の一方の入力端子に一端が接続される第1スイッチと、
カソードが該第1スイッチの他端に接続され、アノードが前記入力端子対の他方の入力端子に接続される第1ダイオードと、
該第1ダイオードのカソードに一端が接続されるコイルと、
カソードが前記出力端子対の一方の出力端子に接続され、アノードが前記コイルの他端に接続される第2ダイオードと、
前記コイルの他端に一端が接続され、前記入力端子対の他方の入力端子、及び、前記出力端子対の他方の出力端子に他端が接続される第2スイッチと、
前記出力端子対間に流れる電流が大きい場合に高い電圧を出力し、前記出力端子対間に流れる電流が小さい場合に低い電圧を出力する出力手段と、
前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記昇圧動作を行い、前記出力手段が出力した電圧が電圧V1よりも高い場合に、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えに係る昇圧デューティを低下させることによって前記Nを低下させ、前記出力手段が出力した電圧が前記電圧V1よりも低い場合に、前記昇圧デューティを上昇させることによって前記Nを上昇させる昇圧調整回路と、
前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記降圧動作を行い、前記出力手段が出力した電圧が電圧V2(>前記電圧V1)よりも高い場合に、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えに係る降圧デューティを低下させることによって、前記Mを低下させ、前記出力手段が出力した電圧が前記電圧V2よりも低い場合に前記降圧デューティを上昇させることによって前記Mを上昇させる降圧調整回路と
を備え、
前記昇圧調整回路及び降圧調整回路は、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えと、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えとを互いに独立して行うことによって、前記昇圧動作及び降圧動作を並行して行うこと
を特徴とする変圧装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の変圧装置として、昇圧動作及び降圧動作を並行して行い、負荷に出力される出力電流が所定の電流となるように出力電圧を調整する変圧装置がある。
【0007】
この変圧装置では、出力電流が所定の電流よりも小さい場合、N及びMを上昇させることによって出力電圧を上昇させ、出力電流が所定の電流よりも大きい場合、N及びMを低下させることによって出力電圧を低下させる。
【0008】
以上のように構成されている変圧装置では、出力電流が所定の電流よりも小さい場合、N及びMが同時的に上昇するため、出力電圧が過度に上昇し、出力電流が所定の電流よりも大きく超える可能性がある。更に、出力電流が所定の電流よりも大きい場合、N及びMが同時的に低下するため、出力電圧が過度に低下し、出力電流が所定の電流よりも大きく下回る可能性がある。
このため、前述した従来の変圧装置には、出力電流の上昇及び低下が交互に繰り返されて出力電流が安定しないという問題がある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力電流を安定して流すことができる変圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る変圧装置は、入力端子対間に印加された入力電圧を、該入力電圧のN倍(N≧1)に昇圧させるための昇圧動作と、前記入力電圧を、該入力電圧のM倍(0≦M≦1)に降圧させるための降圧動作とを並行して行い、前記昇圧動作及び降圧動作によって変圧された電圧を出力端子対から出力する変圧装置であって、
前記入力端子対の一方の入力端子に一端が接続される第1スイッチと、カソードが該第1スイッチの他端に接続され、アノードが前記入力端子対の他方の入力端子に接続される第1ダイオードと、該第1ダイオードのカソードに一端が接続されるコイルと、カソードが前記出力端子対の一方の出力端子に接続され、アノードが前記コイルの他端に接続される第2ダイオードと、前記コイルの他端に一端が接続され、前記入力端子対の他方の入力端子、及び、前記出力端子対の他方の出力端子に他端が接続される第2スイッチと、前記出力端子対間に流れる電流を検出する電流検出回路と、
前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記昇圧動作を行い、前記電流検出回路が検出した検出電流が電流I1よりも大きい場合に
、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えに係る昇圧デューティを低下させることによって、前記Nを低下させ、前記検出電流が前記電流I1よりも小さい場合に
前記昇圧デューティを上昇させることによって前記Nを上昇させる昇圧調整回路と、
前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記降圧動作を行い、前記検出電流が電流I2(>前記電流I1)よりも大きい場合に
、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えに係る降圧デューティを低下させることによって、前記Mを低下させ、前記検出電流が前記電流I2よりも小さい場合に
前記降圧デューティを上昇させることによって前記Mを上昇させる降圧調整回路とを備え
、前記昇圧調整回路及び降圧調整回路は、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えと、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えとを互いに独立して行うことによって、前記昇圧動作及び降圧動作を並行して行うことを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、入力端子対間に印加された入力電圧を昇圧させるための昇圧動作と、入力電圧を降圧させるための降圧動作とが行われる。昇圧動作は、降圧動作が行われていない状態において、入力電圧を入力電圧のN倍に昇圧する動作である。降圧動作は、昇圧動作が行われていない状態において、入力電圧を入力電圧のM倍に降圧する動作である。昇圧動作及び降圧動作を並行して行うことによって、入力電圧は変圧され、変圧された電圧は出力端子対から出力される。電流検出回路は出力端子対間に流れる電流を検出する。
【0012】
昇圧調整回路は、電流検出回路が検出した検出電流が電流I1よりも小さい場合にNを上昇させ、検出電流が電流I1よりも大きい場合、Nを低下させる。降
圧調整回路は、検出電流が電流I2よりも小さい場合にMを上昇させ、検出電流が電流I2よりも大きい場合にMを低下させる。N又はMの上昇によって出力端子対間に流れる電流は上昇し、N又はMの低下によって出力端子対間に流れる電流は低下する。
【0013】
電流I2は電流I1よりも大きい。検出電流が電流I1よりも大きくて電流I2よりも小さい場合、Nは低下し、Mは上昇する。Nが下限値となるか、又は、Mが上限値となった場合に、出力電流は電流I1以上電流I2以下の値で安定する。N≧1であるため、Nの下限値は1以上の値に設定され、0≦M≦1であるため、Mの上限値は1以下の値に設定される。Nが下限値であってMが上限値未満である状態で出力電流が安定した場合、出力電流は電流I2に調整される。Nが下限値を超えていてMが上限値である状態で出力電流が安定した場合、出力電流は電流I1に調整される。
【0014】
本発明に係る変圧装置は、入力端子対間に印加された入力電圧を、該入力電圧のN倍(N≧1)に昇圧させるための昇圧動作と、前記入力電圧を、該入力電圧のM倍(0≦M≦1)に降圧させるための降圧動作とを並行して行い、前記昇圧動作及び降圧動作によって変圧された電圧を出力端子対から出力する変圧装置であって、
前記入力端子対の一方の入力端子に一端が接続される第1スイッチと、カソードが該第1スイッチの他端に接続され、アノードが前記入力端子対の他方の入力端子に接続される第1ダイオードと、該第1ダイオードのカソードに一端が接続されるコイルと、カソードが前記出力端子対の一方の出力端子に接続され、アノードが前記コイルの他端に接続される第2ダイオードと、前記コイルの他端に一端が接続され、前記入力端子対の他方の入力端子、及び、前記出力端子対の他方の出力端子に他端が接続される第2スイッチと、前記出力端子対間に流れる電流が大きい場合に高い電圧を出力し、前記出力端子対間に流れる電流が小さい場合に低い電圧を出力する出力手段と、
前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記昇圧動作を行い、前記出力手段が出力した電圧が電圧V1よりも高い場合に
、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えに係る昇圧デューティを低下させることによって前記Nを低下させ、前記出力手段が出力した電圧が前記電圧V1よりも低い場合に
、前記昇圧デューティを上昇させることによって前記Nを上昇させる昇圧調整回路と、
前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行うことによって前記降圧動作を行い、前記出力手段が出力した電圧が電圧V2(>前記電圧V1)よりも高い場合に
、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えに係る降圧デューティを低下させることによって、前記Mを低下させ、前記出力手段が出力した電圧が前記電圧V2よりも低い場合に
前記降圧デューティを上昇させることによって前記Mを上昇させる降圧調整回路とを備え
、前記昇圧調整回路及び降圧調整回路は、前記第1スイッチのオン及びオフへの切替えと、前記第2スイッチのオン及びオフへの切替えとを互いに独立して行うことによって、前記昇圧動作及び降圧動作を並行して行うことを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、入力端子対間に印加された入力電圧を昇圧させるための昇圧動作と、入力電圧を降圧させるための降圧動作とが行われる。昇圧動作は、降圧動作が行われていない状態において、入力電圧を入力電圧のN倍に昇圧する動作である。降圧動作は、昇圧動作が行われていない状態において、入力電圧を入力電圧のM倍に降圧する動作である。昇圧動作及び降圧動作を並行して行うことによって、入力電圧は変圧され、変圧された電圧は出力端子対から出力される。出力手段は、出力端子対間に流れる電流が大きい場合に高い電圧を出力し、出力端子対間に流れる電流が小さい場合に低い電圧を出力する。
【0016】
昇圧調整回路は、出力手段が出力した電圧が電圧V1よりも低い場合にNを上昇させ、出力手段が出力した電圧が電圧V1よりも高い場合にNを低下させる。降圧調整回路は、出力手段が出力した電圧が電圧V2よりも低い場合にMを上昇させ、出力手段が出力した電圧が電圧V2よりも高い場合にMを低下させる。N又はMの上昇によって出力端子対間に流れる電流は大きくなり、N又はMの低下によって出力端子対間に流れる電流は小さくなる。
【0017】
電圧V2は電圧V1よりも高い。出力手段が出力した電圧が電圧V1よりも高くて電圧V2よりも低い場合、Nは低下し、Mは上昇する。Nが下限値となるか、又は、Mが上限値となった場合に、出力手段が出力した電圧は電圧V1以上電圧V2以下の値で安定し、出力電流も安定する。N≧1であるため、Nの下限値は1以上の値に設定され、0≦M≦1であるため、Mの上限値は1以下の値に設定される。Nが下限値であってMが上限値未満である状態で出力電流が安定した場合、出力手段が出力した電圧は電圧V2に調整されている。Nが下限値を超えていてMが上限値である状態で出力電流が安定した場合、出力手段が出力した電圧は電圧V1に調整されている。
【0018】
本発明に係る変圧装置は、
一定の電圧が一端に印加される第1抵抗と、前記第1抵抗の他端に一端が接続される第2抵抗及び第3抵抗と、前記第2抵抗の他端に一端が接続される第4抵抗と、前記第4抵抗の他端に一端が接続される第5抵抗と、前記第3抵抗の他端に一端が接続される第3スイッチと、前記第1抵抗の他端から出力された電圧を平滑する第1コンデンサと、前記第2抵抗の他端から出力された電圧を平滑する第2コンデンサとを備え、前記第1コンデンサが平滑した電圧が前記電圧V1として用いられ、前記第2コンデンサが平滑した電圧が前記電圧V2として用いられることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては
、例えば、出力端子対から安定して流れている出力電流が、出力端子対間を流れるべき電流と異なっている場合において、電圧V1又はV2を調整することによって、出力端子対から安定して流れている出力電流が調整される。
【0020】
本発明に係る変圧装置は、
前記第3スイッチのオン及びオフへの切替えを交互に行い、該切替えに係るデューティを調整することによって、前記電圧V1及び電圧V2を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、
第3スイッチのオン及びオフへの交互の切替えに係るデューティを調整することによって、電圧V1及び電圧V2を調整する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、出力電流を安定して流すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本実施の形態における変圧装置1の回路図である。変圧装置1は好適に車両に搭載されている。変圧装置1は、入力端子対を構成する2つの入力端子A1,A2と、出力端子対を構成する2つの出力端子B1,B2とを備える。入力端子A1はバッテリ2の正極に接続され、入力端子A2はバッテリ2の負極に接続されている。出力端子B1は負荷3の一端に接続され、出力端子B2は負荷3の他端に接続されている。
【0025】
変圧装置1は、バッテリ2によって入力端子A1,A2間に印加された入力電圧Vinを変圧し、変圧した電圧を、出力電圧Voutとして出力端子B1,B2から出力する。出力電圧Voutは負荷3の両端間に印加され、負荷3は給電される。負荷3は車両に搭載される電気機器である。
【0026】
変圧装置1は、入力端子A1,A2及び出力端子B1,B2の他に、Nチャネル型のFET(Field Effect Transistor)10,11、差動増幅器12、昇圧調整回路13、降圧調整回路14、制御部15、生成回路16、記憶部17、タイマ18、コンデンサC1、ダイオードD1,D2、コイルL1及び抵抗R1を備える。
【0027】
入力端子A1はFET10のドレインに接続され、FET10のソースはダイオードD1のカソードとコイルL1の一端とに接続されている。コイルL1の他端は、ダイオードD2のアノードとFET11のドレインとに接続されている。ダイオードD2のカソードは、差動増幅器12のプラス端子と、コンデンサC1及び抵抗R1夫々の一端とに接続されている。抵抗R1の他端は、差動増幅器12のマイナス端子と出力端子B1とに接続されている。入力端子A2は、FET11のソースと、出力端子B2と、コンデンサC1の他端と、ダイオードD1のアノードとに接続されている。
【0028】
差動増幅器12の出力端子は昇圧調整回路13、降圧調整回路14及び制御部15に接続されている。昇圧調整回路13は更にFET11のゲートに接続されている。降圧調整回路14は更にFET10のゲートに接続されている。制御部15は、差動増幅器12の出力端子の他に、生成回路16、記憶部17及びタイマ18に各別に接続されている。生成回路16は、制御部15の他に、昇圧調整回路13及び降圧調整回路14に各別に接続されている。
【0029】
FET10,11夫々はスイッチとして機能する。FET10について、ソースの電位を基準としてゲートに印加されている電圧が一定電圧以上である場合、電流がドレイン及びソース間を流れることが可能であり、FET10はオンである。FET10について、ソースの電位を基準としてゲートに印加されている電圧が一定電圧未満である場合、電流がドレイン及びソース間に流れることはなく、FET10はオフである。FET11もFET10と同様にオン/オフされる。
【0030】
変圧装置1では、FET10がオンであるか又はFET10がオン/オフを繰り返している状態で、FET11のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力電圧Vinを昇圧するための昇圧動作が行われる。FET11について、オフからオンへの切替え、又は、オンからオフへの切替えを一定の周期で行うことによって、FET11のオン/オフを周期的に繰り返す。1周期におけるオン期間の割合がデューティであり、デューティはゼロ以上1以下の値である。
【0031】
FET11をオフからオンにした場合、多量の電流がバッテリ2の正極からFET10、コイルL1及びFET11の順に流れる。このとき、コンデンサC1の両端間に電圧は印加されていない。FET11をオンからオフにした場合、電流がコイルL1のFET11側の一端からダイオードD2へ向けて流れる。
【0032】
このとき、コイルL1に流れる電流は徐々に低下し、コイルL1は、入力端子A2及び出力端子B2の電位を基準としてFET10側の一端に印加されている電圧よりも高い電圧を、FET11側の一端からダイオードD2に向けて出力する。このため、FET10がオンである場合、コイルL1は入力電圧Vinよりも高い電圧を、ダイオードD2を介してコンデンサC1の両端間に印加する。
【0033】
コンデンサC1は、両端間に印加されている電圧を平滑し、平滑した電圧を、抵抗R1を介して出力端子B1,B2から出力する。FET10がオンに維持されている場合において、FET11を、前述したように周期的にオン/オフを繰り返すことによって、出力電圧Voutは入力電圧VinのN倍(N≧1)となる。FET11のオン/オフのデューティが大きい程、即ち、1周期においてFET11がオンである期間が長い程、Nは大きい。また、FET11のオン/オフのデューティが小さい程、即ち、1周期においてFET11がオンである期間が短い程、Nは小さい。FET11のオン/オフのデューティがゼロである場合、Nは1である。
【0034】
以上のように、変圧装置1では、FET11のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力電圧Vinを、入力電圧VinのN倍に昇圧させるための昇圧動作が行われる。
【0035】
変圧装置1では、FET11がオフであるか又はFET11がオン/オフを繰り返している状態で、FET10のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力電圧Vinを降圧するための降圧動作が行われる。FET10について、オフからオンへの切替え、又は、オンからオフへの切替えを一定の周期で行うことによって、FET10のオン/オフを周期的に行う。
【0036】
FET10をオフからオンにした場合、電流がバッテリ2の正極からFET10及びコイルL1の順に流れ、コイルL1に流れる電流は徐々に上昇する。このため、コイルL1は、入力端子A2及び出力端子B2の電位を基準として、FET10側の一端に印加されている入力電圧Vinよりも低い第1電圧をFET11側の一端から出力する。第1電圧は、FET11がオフである場合、ダイオードD2を介してコンデンサC1の両端に印加される。
【0037】
FET10をオンからオフにした場合、電流がダイオードD1及びコイルL1の順に流れ、コイルL1に流れる電流は徐々に低下する。このため、コイルL1は、入力端子A2及び出力端子B2の電位を基準としてFET10側の一端に印加されている電圧よりも高い第2電圧をFET11側の一端から出力する。第2電圧は、FET11がオフである場合、ダイオードD2を介してコンデンサC1の両端に印加される。第2電圧は第1電圧よりも低い。
【0038】
コンデンサC1は、前述したように、両端間に印加されている電圧を平滑し、平滑した電圧を、抵抗R1を介して出力端子B1,B2から出力する。FET11がオフに維持されている場合において、FET10を、前述したように周期的にオン/オフを繰り返すことによって、出力電圧Voutは入力電圧VinのM倍(0≦M≦1)となる。これは、第1電圧及び第2電圧が共に入力電圧Vin以下であるためである。
【0039】
第1電圧が第2電圧よりも高いため、FET10のオン/オフのデューティが大きい程、即ち、1周期においてFET10がオンである期間が長い程、Mは大きい。デューティが1である場合、Mは1である。同様に、第1電圧が第2電圧よりも高いため、FET10のオン/オフのデューティが小さい程、即ち、1周期においてFET10がオンである期間が短い程、Mは小さい。デューティがゼロである場合、Mはゼロである。
【0040】
以上のように、変圧装置1では、FET10のオン/オフを周期的に繰り返すことによって、入力電圧Vinを、入力電圧VinのM倍に降圧させるための降圧動作が行われる。
変圧装置1では、昇圧動作及び降圧動作を並行して行い、昇圧動作及び降圧動作によって変圧された電圧、即ち、出力電圧Voutは出力端子B1,B2から出力される。
【0041】
コンデンサC1によって平滑された電圧は、抵抗R1を介して出力端子B1,B2から出力される。このため、負荷3を介して、出力端子B1から出力端子B2に流れる出力電流Ioutは、抵抗R1にも流れる。
【0042】
差動増幅器12は、プラス端子に入力された電圧からマイナス端子に入力された電圧を引いた電圧、即ち、抵抗R1の両端間の電圧を増幅し、増幅した電圧Vdを出力端子から昇圧調整回路13、降圧調整回路14及び制御部15に出力する。
【0043】
抵抗R1の抵抗値をr1とし、差動増幅器12の増幅率をKとした場合、電圧Vdは、K×r1×Ioutで表される。増幅率K及び抵抗値r1夫々は定数である。このため、電圧Vdは出力電流Ioutに比例する。
従って、差動増幅器12及び抵抗R1は、出力端子B1,B2間に流れる電流を検出する電流検出回路として機能し、更には、出力電流Ioutが大きい場合に高い電圧を出力し、出力電流Ioutが小さい場合に低い電圧を出力する出力手段として機能する。
【0044】
昇圧調整回路13及び降圧調整回路14夫々は、ハイレベル及びローレベルの電圧によって構成される昇圧用PWM(Pulse Width Modulation)信号及び降圧用PWM信号をFET11,10のゲートに出力する。FET11のゲートにハイレベルの電圧が印加された場合、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧以上となり、FET11はオンとなる。FET11のゲートにローレベルの電圧が印加された場合、ソースの電位を基準としたゲートの電圧が一定電圧未満となり、FET11はオフとなる。FET10も、FET11と同様に、ゲートにハイレベルの電圧が印加された場合にオンとなり、ゲートにローレベルの電圧が印加された場合にオフとなる。
【0045】
昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々は、一定の周期で、ローレベルの電圧からハイレベルの電圧へ、又は、ハイレベルの電圧からローレベルの電圧へ切替えられる。このため、FET10,11夫々のオン/オフが周期的に繰り返される。昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々において、1周期においてハイレベルの電圧が出力されている期間の割合がデューティであり、デューティはゼロ以上1以下の値である。
【0046】
昇圧調整回路13には、差動増幅器12の出力端子から電圧Vdが入力されると共に、生成回路16から参照電圧Vr1が入力される。昇圧調整回路13は、入力された電圧Vd及び参照電圧Vr1に基づいて、FET11のゲートに出力している昇圧用PWM信号のデューティを調整し、これによりNを調整する。
【0047】
降圧調整回路14には、差動増幅器12の出力端子から電圧Vdが入力されると共に、生成回路16から、参照電圧Vr1よりも高い参照電圧Vr2が入力される。降圧調整回路14は、入力された電圧Vd及び参照電圧Vr2に基づいて、FET10のゲートに出力している降圧用PWM信号のデューティを調整し、これによりMを調整する。
【0048】
制御部15は、参照電圧Vr1,Vr2を調整するための調整用PWM信号を生成回路16に出力している。調整用PWM信号は、昇圧用PWM信号又は降圧用PWM信号と同様に、ハイレベル及びローレベルの電圧によって構成される。調整用PWM信号においても、一定の周期で、ローレベルの電圧からハイレベルの電圧へ、又は、ハイレベルの電圧からローレベルの電圧へ切替えられる。デューティは昇圧用PWM信号又は降圧用PWM信号と同様に定義される。
【0049】
生成回路16は、参照電圧Vr1,Vr2夫々を生成し、生成した参照電圧Vr1を昇圧調整回路13に出力し、生成した参照電圧Vr2を降圧調整回路14に出力する。生成回路16が生成する参照電圧Vr1,Vr2夫々は、制御部15から出力されている調整用PWM信号のデューティDaに応じて調整される。
【0050】
記憶部17は不揮発性メモリである。記憶部17には予め設定された設定時間が記憶されている。更には、記憶部17は、制御部15によって電圧Vdを示す電圧情報が経時的に記憶される。
タイマ18には、計時の開始を指示する開始指示と、計時の終了を指示する終了指示とが制御部15から入力される。タイマ18は、制御部15から開始指示が入力された場合、計時を開始する。タイマ18が計時した計時時間は制御部15によって読み出される。タイマ18は、制御部15から終了指示が入力された場合、計時を終了する。
【0051】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成される。記憶部17には制御プログラムが記憶してある。制御部15は、制御プログラムを記憶部17から読み出し、読み出した制御プログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。
【0052】
制御部15は、タイマ18が計時している計時時間が設定時間以上となるまでに、差動増幅器12の出力端子から出力される電圧Vdを示す情報を記憶部17に繰り返し記憶する。そして、制御部15は、計時時間が設定時間以上となるまでに記憶部17に記憶された複数の電圧情報夫々が示す電圧Vdから、差動増幅器12の出力端子から出力されている電圧Vdが安定したか否かを判定する。制御部15は、電圧Vdが安定したと判定した場合、安定した電圧Vdに基づいて、生成回路16に出力している調整用PWM信号のデューティDaを調整する。
【0053】
図2は昇圧調整回路13の回路図である。昇圧調整回路13は、差動増幅器30、コンパレータ31、抵抗R30,R31,R32及びコンデンサC30を有する。差動増幅器30のプラス端子は生成回路16に接続されている。抵抗R30の一端は、差動増幅器12の出力端子に接続されている。抵抗R30の他端は、差動増幅器30のマイナス端子と、コンデンサC30及び抵抗R31夫々の一端とに接続されている。
【0054】
コンデンサC30の他端は抵抗R32の一端に接続されており、抵抗R31,R32夫々の他端は、差動増幅器30の出力端子に接続されている。差動増幅器30の出力端子は、更に、コンパレータ31のプラス端子に接続されており、コンパレータ31の出力端子はFET11のゲートに接続されている。コンパレータ31のマイナス端子には三角波W1が入力されている。
【0055】
差動増幅器30、抵抗R30,R31,R32及びコンデンサC30は誤差増幅器として機能し、電圧Vdと参照電圧Vr1とに基づいて電圧Vaを出力端子からコンパレータ31のプラス端子に出力する。電圧Vdが参照電圧Vr1よりも低い場合には電圧Vaは上昇し、電圧Vdが参照電圧Vr1よりも高い場合には電圧Vaは低下する。コンパレータ31は、電圧Vaが、マイナス端子に印加されている三角波W1の電圧以上である場合、出力端子からハイレベルの電圧をFET11のゲートに出力する。コンパレータ31は、電圧Vaが、マイナス端子に印加されている三角波の電圧未満である場合、出力端子からローレベルの電圧をFET11のゲートに出力する。
【0056】
図3は昇圧調整回路13の動作の説明図である。
図3には、コンパレータ31のマイナス端子に入力される三角波W1の波形と、コンパレータ31の出力端子から出力される昇圧用PWM信号の波形とが示されている。
図3において、「H」はハイレベルの電圧を示し、「L」はローレベルの電圧を示す。
【0057】
図3に示すように、三角波W1は、緩やかな電圧の上昇と急速な電圧の低下とを周期的に繰り返す波形である。三角波W1は所謂のこぎり波である。コンパレータ31は、電圧Vaが三角波W1の電圧以上である期間にハイレベルの電圧を出力し、電圧Vaが三角波W1の電圧未満である期間にローレベルの電圧を出力する。このように、コンパレータ31は昇圧用PWM信号をFET11のゲートに出力する。
【0058】
電圧Vdが参照電圧Vr1よりも低い場合、電圧Vaは上昇し、昇圧用PWM信号のデューティが上昇する。昇圧用PWM信号のデューティの上昇により、FET11のオン/オフのデューティが上昇し、Nが上昇する。これにより、出力電圧Voutが上昇し、出力電流Ioutが上昇する。このように、昇圧調整回路13は、電圧Vdが参照電圧Vr1よりも低い場合、Nを上昇させる。
【0059】
電圧Vdが参照電圧Vr1よりも高い場合、電圧Vaは低下し、昇圧用PWM信号のデューティが低下する。昇圧用PWM信号のデューティの低下により、FET11のオン/オフのデューティが低下し、Nが低下する。これにより、出力電圧Voutが低下し、出力電流Ioutが低下する。このように、昇圧調整回路13は、電圧Vdが参照電圧Vr1よりも高い場合、Nを低下させる。参照電圧Vr1は特許請求の範囲における電圧V1に相当する。
【0060】
電圧Vdは、前述したように、K×r1×Ioutで表される。増幅率K及び抵抗値r1夫々は定数であるため、電圧Vdと参照電圧Vr1とを比較することは、抵抗R1及び差動増幅器12によって構成される電流検出回路が検出した出力電流Ioutと参照電流Ir1(=Vr1/(K×r1))とを比較することと等価である。電圧Vdが参照電圧Vr1よりも高いことは、検出された出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも大きいことに相当し、電圧Vdが参照電圧Vr1よりも低いことは、検出された出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも小さいことに相当する。
【0061】
従って、昇圧調整回路13は、抵抗R1及び差動増幅器12によって構成される電流検出回路が検出した出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも大きい場合にNを低下させ、出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも小さい場合にNを上昇させる回路でもある。昇圧調整回路13は、出力電流Ioutが参照電流Ir1となるように、昇圧用PWM信号のデューティを調整する。参照電流Ir1は特許請求の範囲における電流I1に相当する。
【0062】
電圧Vaについて下限電圧が設けられている。電圧Vaが下限電圧である場合にコンパレータ31から出力される昇圧用PWM信号のデューティが、昇圧用PWM信号のデューティの下限値である。下限電圧が三角波W1の最低電圧未満である場合、昇圧用PWM信号のデューティの下限値はゼロである。また、降圧動作が行われていない状態、即ち、FET10がオンに維持されている状態で昇圧用PWM信号のデューティが下限値である場合において、出力電圧Voutを入力電圧Vinで割った値がNの下限値である。Nの下限値は1以上の値である。
【0063】
図4は降圧調整回路14の回路図である。降圧調整回路14は、差動増幅器40、コンパレータ41、抵抗R40,R41,R42及びコンデンサC40を有する。これらは、昇圧調整回路13の差動増幅器30、コンパレータ31、抵抗R30,R31,R32及びコンデンサC30と同様に接続される。ここで、差動増幅器30、コンパレータ31、抵抗R30,31,32及びコンデンサC30夫々は、差動増幅器40、コンパレータ41、抵抗R40,R41,R42及びコンデンサC40に対応する。
【0064】
差動増幅器40のプラス端子には生成回路16に接続されている。抵抗R40において、差動増幅器40側の一端とは異なるもう1つの一端は差動増幅器12の出力端子に接続されている。コンパレータ41のマイナス端子には三角波W2が入力されている。コンパレータ41の出力端子はFET10のゲートに接続されている。
【0065】
差動増幅器40、抵抗R40,R41,R42及びコンデンサC40は誤差増幅器として機能し、差動増幅器30、抵抗R30,R31,R32及びコンデンサC30によって構成される誤差増幅器と同様に作用する。従って、電圧Vdが参照電圧Vr2(>Vr1)よりも低い場合には電圧Vbは上昇し、電圧Vdが参照電圧Vr2よりも高い場合には電圧Vbは低下する。
【0066】
降圧調整回路14のコンパレータ41は昇圧調整回路13のコンパレータ31と同様に作用し、出力端子から降圧用PWM信号をFET11のゲートに出力する。また、三角波W1の波形は三角波W2の波形と類似している。即ち。三角波W2は、緩やかな電圧の上昇と急速な電圧の低下とを周期的に繰り返す波形であり、所謂のこぎり波である。
【0067】
従って、電圧Vdが参照電圧Vr2よりも低い場合、電圧Vbは上昇し、降圧用PWM信号のデューティが上昇する。降圧用PWM信号のデューティの上昇により、FET10のオン/オフのデューティが上昇し、Mが上昇する。これにより、出力電圧Voutが上昇し、出力電流Ioutが上昇する。このように、降圧調整回路14は、電圧Vdが参照電圧Vr2よりも低い場合、Mを上昇させる。
【0068】
電圧Vdが参照電圧Vr2よりも高い場合、電圧Vbは低下し、降圧用PWM信号のデューティが低下する。降圧用PWM信号のデューティの低下により、FET10のオン/オフのデューティが低下し、Mが低下する。これにより、出力電圧Voutが低下し、出力電流Ioutが低下する。このように、降圧調整回路14は、電圧Vdが参照電圧Vr2よりも高い場合、Mを低下させる。参照電圧Vr2は特許請求の範囲における電圧V2に相当する。
【0069】
電圧Vdは、前述したように、K×r1×Ioutで表される。増幅率K及び抵抗値r1夫々は定数であるため、電圧Vdと参照電圧Vr2とを比較することは、抵抗R1及び差動増幅器12によって構成される電流検出回路が検出した出力電流Ioutと参照電流Ir2(=Vr2/(K×r1))とを比較することと等価である。電圧Vdが参照電圧Vr2よりも高いことは、検出された出力電流Ioutが参照電流Ir2よりも大きいことに相当し、電圧Vdが参照電圧Vr2よりも低いことは、検出された出力電流Ioutが参照電流Ir2よりも小さいことに相当する。
【0070】
従って、降圧調整回路14は、抵抗R1及び差動増幅器12によって構成される電流検出回路が検出した出力電流Ioutが参照電流Ir2よりも大きい場合にMを低下させ、出力電流Ioutが参照電流Ir2よりも小さい場合にMを上昇させる回路でもある。参照電圧Vr2は参照電圧Vr1よりも高いため、参照電流Ir2は参照電流Ir1よりも大きい。降圧調整回路14は、出力電流Ioutが参照電流Ir2となるように、降圧用PWM信号のデューティを調整する。
参照電流Ir2は特許請求の範囲における電流I2に相当する。
【0071】
電圧Vbについて上限電圧が設けられている。電圧Vbが上限電圧である場合にコンパレータ41から出力される降圧用PWM信号のデューティが、降圧用PWM信号のデューティの上限値である。上限電圧が三角波W2の最高電圧を超えている場合、降圧用PWM信号のデューティの上限値は1である。また、昇圧動作が行われていない状態、即ち、FET11がオフに維持されている状態で降圧用PWM信号のデューティが上限値である場合において、出力電圧Voutを入力電圧Vinで割った値がMの上限値である。Mの上限値は1以下の値である。
【0072】
図5は変圧装置1の動作の説明図である。
図5には、出力電流Ioutの推移と、昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティの推移とが示されている。これらの推移は、参照電圧Vr1,Vr2、即ち、参照電流Ir1,Ir2が一定の値に維持されている期間における推移である。
図5を用いて、出力電流Ioutが参照電流Ir1に収束する一例を説明する。
【0073】
出力電流Ioutが参照電流Ir1(<Ir2)よりも小さい場合、昇圧調整回路13及び降圧調整回路14夫々は昇圧用PWM信号のデューティ、及び、降圧用PWM信号のデューティを上昇させる。これにより、出力電流Ioutが上昇する。出力電流Ioutが参照電流Ir1以上であり、かつ、参照電流Ir2以下である場合において、昇圧調整回路13は、出力電流Ioutを参照電流Ir1にすべく、昇圧用PWM信号のデューティを低下させる。同様の場合において、降圧調整回路14は、出力電流Ioutを参照電流Ir2にすべく、降圧用PWM信号のデューティを上昇させる。
【0074】
出力電流Ioutが参照電流Ir1に近い場合、出力電流Ioutを上昇させようとする降圧調整回路14の作用が、出力電流Ioutを低下させようとする昇圧調整回路13の作用よりも大きいため、出力電流Ioutは参照電流Ir2に向かって上昇する。
【0075】
出力電流Ioutが参照電流Ir2に近い場合、出力電流Ioutを低下させようとする昇圧調整回路13の作用が、出力電流Ioutを上昇させようとする降圧調整回路14の作用よりも大きいため、出力電流Ioutは参照電流Ir1に向かって低下する。
【0076】
出力電流Ioutが参照電流Ir1以上であり、かつ、参照電流Ir2以下である間、出力電流は、参照電流Ir1,Ir2に交互に接近し、昇圧用PWM信号のデューティは低下し続け、降圧用PWM信号のデューティは上昇し続ける。
【0077】
昇圧用PWM信号のデューティが下限値を超えている状態で、降圧用PWM信号のデューティが上限値に到達した場合、即ち、Nが下限値を超えている状態でMが上限値に到達した場合、降圧用PWM信号のデューティは上限値に維持される。この後、昇圧調整回路13が行う昇圧用PWM信号のデューティの調整によって、出力電流Ioutは参照電流Ir1に調整され、出力電流Ioutは安定する。
【0078】
図6は変圧装置1の動作の他の説明図である。
図6にも、
図5と同様に、出力電流Ioutの推移と、昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティの推移とが示されている。これらの推移も、参照電圧Vr1,Vr2、即ち、参照電流Ir1,Ir2が一定の値に維持されている期間における推移である。
図6を用いて、出力電流Ioutが参照電流Ir2に収束する一例を説明する。
【0079】
前述したように、出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも小さい場合、昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティは上昇し、出力電流Ioutは上昇する。また、前述したように、出力電流Ioutが参照電流Ir1以上であり、かつ、参照電流Ir2以下である場合、昇圧用PWM信号のデューティは低下し続け、降圧用PWM信号のデューティは上昇し続ける。この間、出力電流Ioutは参照電流Ir1,Ir2に交互に接近する。
【0080】
降圧用PWM信号のデューティが上限値未満である状態で、昇圧用PWM信号のデューティが下限値に到達した場合、即ち、Mが上限値未満である状態でNが下限値に到達した場合、昇圧用PWM信号のデューティが下限値に維持される。この後、降圧調整回路14が行う降圧用PWM信号のデューティの調整によって、出力電流Ioutは参照電流Ir2に調整され、出力電流Ioutは安定する。
【0081】
図7は変圧装置1の動作の更なる他の説明図である。
図7にも、
図5又は
図6と同様に、出力電流Ioutの推移と、昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティの推移とが示されている。これらの推移も、参照電圧Vr1,Vr2、即ち、参照電流Ir1,Ir2が一定の値に維持されている期間における推移である。
図7を用いて、出力電流Ioutが参照電流Ir1,Ir2の間の電流に収束する一例を説明する。
【0082】
前述したように、出力電流Ioutが参照電流Ir1よりも小さい場合、昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティは上昇し、出力電流Ioutは上昇する。また、前述したように、出力電流Ioutが参照電流Ir1以上であり、かつ、参照電流Ir2以下である場合、昇圧用PWM信号のデューティは低下し続け、降圧用PWM信号のデューティは上昇し続ける。この間、出力電流Ioutは参照電流Ir1,Ir2に交互に接近する。
【0083】
昇圧用PWM信号のデューティが下限値に到達し、かつ、降圧用PWM信号のデューティが上限値に到達した場合、即ち、Nが下限値に到達し、かつ、Mが上限値に到達した場合、出力電流Ioutは安定する。安定した出力電流Ioutは、参照電流Ir1,Ir2の間の電流である。
【0084】
なお、出力電流Ioutが参照電流Ir2よりも大きい場合、昇圧調整回路13及び降圧調整回路14夫々は昇圧用PWM信号のデューティ、及び、降圧用PWM信号のデューティを低下させ、出力電流Ioutを低下させる。そして、出力電流Ioutが参照電流Ir1以上であり、かつ、参照電流Ir2以下である場合においては、前述したように、出力電流Ioutは参照電流Ir1,Ir2に交互に接近し、参照電流Ir1、参照電流Ir2、又は、参照電流Ir1,Ir2間の電流で安定する。
【0085】
以上のように、変圧装置1では、参照電流Ir2が参照電流Ir1よりも大きいため、出力電流Ioutは参照電流Ir1以上参照電流Ir2以下の値で安定する。
【0086】
また、前述したように、電圧VdはK×r1×Ioutで表され、参照電圧Vr1はK×r1×Ir1で表され、参照電圧Vr2はK×r2×Ir2で表される。増幅率K及び抵抗値r1,r2は定数である。このため、参照電流Ir2が参照電流Ir1よりも大きいことは、参照電圧Vr2が参照電圧Vr1よりも大きいことを意味し、出力電流Ioutが参照電流Ir1以上参照電流Ir2以下で安定することは、電圧Vdが参照電圧Vr1以上参照電圧Vr2以下で安定することを意味する。従って、変圧装置1では、参照電圧Vr2が参照電圧Vr1よりも高いため、電圧Vdは参照電圧Vr1以上参照電圧Vr2以下の値で安定し、出力電流Ioutも参照電流Ir1以上参照電流Ir2以下の値で安定すると述べることもできる。
【0087】
図8は、出力電圧Voutを入力電圧Vinで割った比Vout/Vinと昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティとの関係を示すグラフである。
図8には、昇圧用PWM信号のデューティと比Vout/Vinとの関係を示すグラフと、降圧用PWM信号のデューティと比Vout/Vinとの関係を示すグラフとが示されている。
【0088】
図8には、出力電流Ioutが安定した場合における昇圧用PWM信号及び降圧用PWM信号夫々のデューティが示されている。出力電流Ioutが参照電流Ir2で安定した場合、昇圧用PWM信号のデューティは下限値であり、降圧用PWM信号のデューティは上限値未満である。出力電流Ioutが参照電流Ir1で安定した場合、降圧用PWM信号のデューティは上限値であり、昇圧用PWM信号のデューティは下限値を超えている。出力電流Ioutが参照電流Ir1,Ir2間の電流で安定した場合、昇圧用PWM信号のデューティは下限値であり、かつ、降圧用PWM信号のデューティは上限値である。
【0089】
参照電流Ir1,Ir2を変更することにより、安定した後の出力電流Ioutを調整することができる。前述したように、参照電流Ir1はVr1/(K×r1)で表され、参照電流Ir2はVr2/(K×r1)で表されるため、参照電圧Vr1,Vr2を調整することによって、参照電流Ir1,Ir2を調整することができる。以下では、参照電圧Vr1,Vr2の調整について説明する。
【0090】
図9は生成回路16の回路図である。生成回路16は、トランジスタ50、コンデンサC50,C51及び抵抗R50,R51,・・・,R55を有する。トランジスタ50はNPN型のバイポーラトランジスタである。トランジスタ50について、ベースは制御部15に接続されており、コレクタは抵抗R50の一端に接続されており、エミッタは接地されている。抵抗R50の他端は、抵抗R51,R52,R53夫々の一端に接続されている。抵抗R51の他端には一定の電圧Vccが印加されている。抵抗R53の他端は、コンデンサC50の一端と、降圧調整回路14とに接続されており、コンデンサC50の他端は接地されている。
【0091】
抵抗R52の他端は抵抗R54,R55夫々の一端に接続されている。抵抗R55の他端は、コンデンサC51の一端と、昇圧調整回路13とに接続されている。コンデンサC51及び抵抗R54夫々の他端は接地されている。
【0092】
トランジスタ50はスイッチとして機能する。トランジスタ50について、エミッタの電位を基準としてベースに印加されている電圧が一定電圧以上である場合、電流がコレクタ及びエミッタ間を流れることが可能であり、トランジスタ50はオンである。トランジスタ50について、エミッタの電位を基準としてベースに印加されている電圧が一定電圧未満である場合、電流がコレクタ及びエミッタ間を流れることはなく、トランジスタ50はオフである。
【0093】
制御部15は、トランジスタ50のベースに調整用PWM信号を出力している。トランジスタ50のベースにハイレベルの電圧が印加された場合、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧以上となり、トランジスタ50はオンとなる。トランジスタ50のベースにローレベルの電圧が印加された場合、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧未満となり、トランジスタ50はオフとなる。制御部15が調整用PWM信号をトランジスタ50のベースに出力することによって、トランジスタ50は周期的にオン/オフを繰り返す。
【0094】
トランジスタ50がオフである場合、抵抗R51と、抵抗R52,R53の直列回路とが電圧Vccを分圧し、分圧した電圧Vs2が抵抗R53を介してコンデンサC50の両端間に印加される。電圧Vs2を抵抗R52,R54が分圧し、分圧した電圧Vs1が抵抗R55を介してコンデンサC51の両端間に印加される。電圧Vs2を分圧することによって電圧Vs1が生成されているため、電圧Vs2は電圧Vs1よりも高い。
【0095】
トランジスタ50がオンである場合、抵抗R51と、抵抗R50及び前述の直列回路が並列に接続された並列回路とが電圧Vccを分圧し、分圧した電圧Vt2が抵抗R53を介してコンデンサC50の両端に印加される。電圧Vt2を抵抗R52,
R54が分圧し、分圧した電圧Vt1が抵抗R55を介してコンデンサC51の両端間に印加される。電圧Vt2を分圧することによって電圧Vt1が生成されているため、電圧Vt2は電圧Vt1よりも高い。
【0096】
前述した直列回路の抵抗値は、前述した並列回路の抵抗値よりも大きいため、電圧Vs2は電圧Vt2よりも高い。また、電圧Vs1,Vt1夫々は電圧Vs2,Vs1を共通の抵抗R52,R54が分圧することによって生成されるため、電圧Vs1は電圧Vt1よりも高い。
【0097】
制御部15は調整用PWM信号をトランジスタ50のベースに出力しているため、トランジスタ50は周期的にオン/オフされる。トランジスタ50がオフである期間、電圧Vs2がコンデンサC50の両端間に印加され、トランジスタ50がオンである期間、電圧Vt2がコンデンサC50の両端間に印加される。コンデンサC50は、両端間に印加されている電圧を平滑する。コンデンサC50によって平滑化された電圧が参照電圧Vr2であり、降圧調整回路14へ出力される。調整用PWM信号のデューティDaを用いて、参照電圧Vr2は、Vs2×(1−Da)+Vt2×Daで表される。
【0098】
同様に、トランジスタ50がオフである期間、電圧Vs1がコンデンサC51の両端間に印加され、トランジスタ50がオンである期間、電圧Vt1がコンデンサC51の両端間に印加される。コンデンサC51は、両端間に印加されている電圧を平滑する。コンデンサC51によって平滑化された電圧が参照電圧Vr1であり、昇圧調整回路13へ出力される。参照電圧Vr1は、Vs1×(1−Da)+Vt1×Daで表される。
【0099】
以上のように、生成回路16は、参照電圧Vr1,Vr2を生成し、生成した参照電圧Vr1,Vr2夫々を昇圧調整回路13及び降圧調整回路14に出力する。
【0100】
また、抵抗R52,R54は、電圧Vs2,Vt2夫々を所定数分の1の電圧に分圧することによって、電圧Vs1,Vt1を生成している。このため、参照電圧Vr1は参照電圧Vr2の所定数分の1の電圧である。従って、生成回路16は参照電圧Vr2を分圧することによって参照電圧Vr1を生成していると述べることができる。
参照電圧Vr2を分圧することによって参照電圧Vr1が生成されるため、参照電圧Vr2が調整された場合、参照電圧Vr1も自動的に調整される。
【0101】
デューティDaがゼロである場合、参照電圧Vr1,Vr2夫々は、電圧Vs1,Vs2であり、最も高い。また、デューティDaが1である場合、参照電圧Vr1,Vr2夫々は、電圧Vs1,Vs2であり、最も低い。制御部15は、デューティDaを調整することによって、生成回路16が生成する参照電圧Vr1,Vr2の電圧調整処理を行う。制御部15は調整手段として機能する。
【0102】
図10は、制御部15が実行する電圧調整処理の手順を示すフローチャートである。制御部15は変圧装置1が作動した場合に電圧調整処理を開始する。まず、制御部15は、調整用PWM信号のデューティDaを、予め記憶部17に記憶されている初期値に設定する(ステップS1)。
【0103】
次に、制御部15は、デューティDaが初期値である調整用PWM信号を出力する(ステップS2)。これにより、デューティDaに対応する参照電圧Vr1,Vr2夫々が昇圧調整回路13及び降圧調整回路14に出力される。昇圧調整回路13及び降圧調整回路14によって出力電流Ioutの調整が開始される。
【0104】
次に、制御部15は、タイマ18に開始指示を出力することによって、タイマ18に計時を開始させ(ステップS3)、差動増幅器12の出力端子から入力されている電圧Vdを示す電圧情報を記憶部17に記憶する(ステップS4)。その後、制御部15は、タイマ18が計時している計時時間が設定時間以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0105】
制御部15は、計時時間が設定時間未満であると判定した場合(S5:NO)、処理をステップS4に戻し、差動増幅器12の出力端子から入力されている電圧Vdを示す電圧情報を記憶する。制御部15は、計時時間が設定時間以上となるまで、ステップS4を繰り返し実行する。制御部15は、ステップS4を繰り返し実行することによって、経時的に差動増幅器12の出力端子から入力されている電圧Vdを示す電圧情報を記憶する。
【0106】
制御部15は、計時時間が設定時間以上であると判定した場合(S5:YES)、タイマ18に終了指示を出力することによって、タイマ18に計時を終了させる(ステップS6)。次に、制御部15は、タイマ18が計時を開始してから計時時間が設定時間以上となるまでに記憶部17に記憶した複数の電圧情報が示す電圧Vdに基づいて、差動増幅器12の出力端子から出力されている電圧Vdが安定しているか否かを判定する(ステップS7)。
【0107】
ここで、制御部15は、例えば、前述した複数の電圧情報が示す電圧Vdの最小値と最大値との差分電圧が所定電圧以下である場合に電圧Vdが安定したと判定し、差分電圧が所定電圧を超えている場合に電圧Vdが安定していないと判定する。電圧Vdは、前述したように、K×r1×Ioutで表され、増幅率K及び抵抗値r1は定数であるため、電圧Vdの安定は出力電圧Ioutの安定を意味する。
【0108】
制御部15は、電圧Vd、即ち、出力電流Ioutが安定していないと判定した場合(S7:NO)、処理をステップS3に戻す。これにより、制御部15は、再び、差動増幅器12の出力端子から入力されている電圧Vdを示す電圧情報を経時的に記憶し、記憶している複数の電圧情報が示す電圧Vdに基づいて、差動増幅器12の出力端子から出力されている電圧Vdが安定しているか否かを判定する。制御部15は、電圧Vd、即ち、出力電流Ioutが安定するまで待機する。
【0109】
制御部15は、電圧Vd、即ち、出力電流Ioutが安定したと判定した場合(S7:YES)、差動増幅器12が出力端子から出力している電圧Vdが、記憶部17に予め記憶してある目標電圧を超えているか否かを判定する(ステップS8)。制御部15は、電圧Vdが目標電圧を超えていると判定した場合(S8:YES)、トランジスタ50のベースに出力している調整用PWM信号のデューティDaを上昇させる(ステップS9)。これにより、参照電圧Vr1,Vr2は低下し、出力電流Ioutは再び変動する。参照電圧Vr1,Vr2を低下させることによって、差動増幅器12の出力端子から安定して出力される電圧Vdを低くすることが可能となり、出力電流Ioutが収束した後に出力端子B1,B2間に安定して流れる出力電流Ioutを小さくすることが可能となる。
【0110】
制御部15は、ステップS9を実行した後、処理をステップS3に戻し、電圧Vd、即ち、出力電流Ioutが安定するまで待機する。そして、電圧Vdが安定した後、制御部15は再びステップS8を実行する。
【0111】
制御部15は、電圧Vdが目標電圧を超えていないと判定した場合(S8:NO)、電圧Vdが目標電圧未満であるか否かを判定する(ステップS10)。制御部15は、電圧Vdが目標電圧未満であると判定した場合(S10:YES)、トランジスタ50のベースに出力している調整用PWM信号のデューティDaを低下させる(ステップS11)。これにより、参照電圧Vr1,Vr2は上昇し、出力電流Ioutは再び変動する。参照電圧Vr1,Vr2を上昇させることによって、差動増幅器12の出力端子から安定して出力される電圧Vdを高くすることが可能となり、出力電流Ioutが収束した後に出力端子B1,B2間に安定して流れる出力電流Ioutを大きくすることが可能となる。
【0112】
制御部15は、ステップS11を実行した後、処理をステップS3に戻し、電圧Vd、即ち、出力電流Ioutが安定するまで待機する。
制御部15は、電圧Vdが目標電圧未満ではないと判定した場合、即ち、電圧Vdが目標電圧である場合(S10:NO)、処理をステップS3に戻す。
【0113】
電圧Vdが目標電圧であって、所望の出力電流Ioutが出力端子B1,B2間を流れている場合であっても、例えば、バッテリ2の出力電圧の低下によって、入力電圧Vinが低下し、出力電流Ioutが低下する可能性がある。制御部15は、前述したように、処理を終了せずに繰り返しているため、再び、電圧Vdが目標電圧となるように、参照電圧Vr1,Vr2夫々を調整する。
以上のように、電圧調整処理では、参照電圧Vr1,Vr2を調整することによって、出力端子B1,B2間に安定して流れている出力電流Ioutが調整される。
【0114】
なお、生成回路16の構成は、抵抗R52,R54が参照電圧Vr2を分圧することによって、参照電圧Vr1を生成する構成に限定されず、例えば、参照電圧Vr1,Vr2を各別に生成する構成であってもよい。また、制御部15は参照電圧Vr1,Vr2両方を同時的に調整しなくてもよく、例えば、参照電圧Vr1,Vr2のいずれか一方を調整してもよい。
また、参照電圧Vr1,Vr2は固定値であってもよい。この場合、制御部15は電圧調整処理を行うことなく、生成回路16から昇圧調整回路13及び降圧調整回路14夫々に一定の参照電圧Vr1,Vr2が出力される。
【0115】
更に、変圧装置1の構成は、差動増幅器12の出力端子から出力される電圧Vdを用いて出力電流Ioutを調整する構成に限定されず、例えば、電流計により、出力端子B1,B2間に流れる電流を直接計測し、計測した電流を用いて、出力電流Ioutを調整する構成であってもよい。
【0116】
また、変圧装置1は、ダイオードD1の代わりに第1スイッチが設けられ、ダイオードD2の代わりに第2スイッチが設けられている構成であってもよい。この場合、降圧動作は、FET10をオンにすると共に第1スイッチをオフにし、FET10をオフにする共に第1スイッチをオンにすること、即ち、FET10及び第1スイッチを相補的にオン/オフすることによって行われる。更に、昇圧動作は、FET11をオンにすると共に第2スイッチをオフにし、FET11をオフにすると共に第2スイッチを
オンにすること、即ち、FET11及び第2スイッチを相補的にオン/オフすることによって行われる。
【0117】
更に、FET10,11夫々は、スイッチとして機能すればよいため、Nチャネル型のFETに限定されず、Pチャネル型のFETであってもよい。また、FET10,11夫々の代わりに、バイポーラトランジスタ又はリレー接点等を用いてもよい。トランジスタ50も、スイッチとして機能すればよいため、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、PNP型のバイポーラトランジスタであってもよい。また、トランジスタ50の代わりに、FET又はリレー接点等を用いてもよい。
【0118】
開示された本実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。