(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543923
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】機能付表皮材を備えた乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B62J 1/20 20060101AFI20190705BHJP
B60N 2/60 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
B62J1/20 A
B62J1/20 Z
B60N2/60
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-252220(P2014-252220)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-112986(P2016-112986A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】吹上 秀人
(72)【発明者】
【氏名】元田 慎一朗
(72)【発明者】
【氏名】内海 吾郎
【審査官】
杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−124922(JP,A)
【文献】
実開昭61−30591(JP,U)
【文献】
実開昭59−182483(JP,U)
【文献】
米国特許第6260919(US,B1)
【文献】
実開平3−24984(JP,U)
【文献】
実開昭58−65962(JP,U)
【文献】
実開昭59−149581(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/20
B62J 1/18
B60N 2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が跨いで着座する乗物用シートであって、
底板と、該底板に支持されているクッション材と、少なくとも該クッション材を覆う表皮材と、を有して構成される乗物用シート基本構成と、
該乗物用シート基本構成の表面を被覆するシート体であるカバー部と、該カバー部に取付けられるブロック状のサブクッションパッドと、を少なくとも有する機能付表皮材と、を備え、
該サブクッションパッドは、前記カバー部において、前記乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付けられており、前記着座位置及び前記背面腰部支持位置の少なくとも一方と前記カバー部とで前記サブクッションパッドを挟持する状態で前記乗物用シート基本構成に取付けられ、
前記表皮材のシート幅方向の一端と他端には、本体側留め付け部がそれぞれ設けられ、
前記カバー部のシート幅方向の一端と他端には、表皮材側留め付け部がそれぞれ設けられ、
前記表皮材と前記カバー部は、前記底板の着座面側から、前記底板の幅方向の両端部に設けられた脚部の内側までそれぞれ連続して延びて、該延びている端部が互いに重なるように配置され、
該互いに重なっている部分において前記本体側留め付け部と前記表皮材側留め付け部が着脱可能となるように留め付けられていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記サブクッションパッドは、前記カバー部に対して着脱可能であって、
前記カバー部は、前記表皮材を外側から被覆するように取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記クッション材は、平らな部分となる着座面と、該着座面よりも幅方向の外側に位置し、湾曲している側面とを有し、
前記サブクッションパッドの幅方向の外端は、前記クッション材のうち、前記着座面よりも幅方向の外側に延びて前記側面に少なくともかかっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記底板の座面の厚さは、前記脚部の厚さより厚く、かつ、前記サブクッションパッドの厚さより厚いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記表皮材と前記カバー部は、それぞれ一体物として形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物の乗員が
跨いで着座するため部位を被覆する機能付表皮
材を備えた乗物用シートに係り、特に、乗員の着座性を向上させることが実現された機能付表皮
材を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動二輪車のシートは、合成樹脂等で形成されたボトムプレートの上面に、発泡材で形成されたクッション材を載置し、これらをビニールレザー等の表皮材で被覆することにより形成されている。
このようなシートでは、その性能として、着座性が追及されることが多い。
特に、自動二輪車において、シートを跨いで乗員が着座するような場合においては、例えば、停止時には、脚を地面へと設置することにより転倒を防止し、乗車時には所定位置に脚を設置しておくこととなる。
しかし、自動二輪車の座面から地表までの距離(高さ)は一定であるが、乗員の体格はまちまちであり、着座性が良くない場合が懸念される。
つまり、体格が小さい乗員であれば、着座状態で地表面や所定位置に足先をつくことが困難となったり、体格が大きい乗員であれば、脚を深く折りたたまざるを得ない。
また、背もたれ部が存在するシートの場合には、背もたれ位置もまた一定であるため、特に、体格が小さい乗員であれば、ハンドルを把持した状態で、必ずしも快適な背もたれ位置とならない場合もある。
このような状況を緩和するために、シートの高さを含む乗員の着座位置を調整するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に係るシートでは、ボトムプレートに取付けられたサブプレートによって、シートの高さを調整できるように構成されている。サブプレートは、ボトムプレートの中央部分から前方に延びるように取付けられ、この取付部分中心に前方端部が上下方向に回動可能となっている。つまり、当該取付部分を中心に、ボトムプレートに対して所定の角度θをなした状態でサブプレートを静止させ、下方から間隙形成部材にて支持することにより、シートの高さを変えることができる(前方端高さ増値=サブフレームの前後方向の長さ×sinθ)。
また、特許文献2に係るシートでは、ボトムプレートとクッション材との間にエアクッションを挿入し、このエアクッション内部の空気量(空気圧)を調整することにより、シートの高さが調整できるように構成されている。更に、当該技術においては、エアシリンダからの動力により、バックレストを前方に押し出し、快適な背もたれ位置を構築するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−003088号公報
【特許文献2】特開2005−125859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、サブプレートの角度を調整するとともに、その角度を維持するために間隙形成部材を設置する必要があり、高さ調整のための手間がかかるという問題があった。また、当該技術では、着座位置を均等に上昇及び下降させることができない。
更に、特許文献2の技術では、エアクッションにエアを供給するための装置及びバックレストを移動させる装置が必要であり、制作コスト及び時間がかかり、装置もまた複雑となる。
このため、簡易に高さ調整が可能となるとともに、複雑な機構を採用することのない高さ調整機構の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑な機構を採用することなく簡易な構成で高さ調整を含む乗員の着座位置を空間的に変更することが可能な機能付表皮材及びこれを備えた乗物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、意匠性を損ねることなく、乗員の着座位置を空間的に変更することが可能な機能付表皮材及びこれを備えた乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の
乗物用シートによれば、乗員が
跨いで着座する
乗物用シートであって、底板と、該底板に支持されているクッション材と、少なくとも該クッション材を覆う表皮材と、を有して構成される乗物用シート基本構成と、該乗物用シート基本構成の表面を被覆するシート体であるカバー部と、該カバー部に取付けられるブロック状のサブクッションパッドと、を少なくとも
有する機能付表皮材と、を備え、該サブクッションパッドは、前記カバー部において、前記乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付けられており、前記着座位置及び前記背面腰部支持位置の少なくとも一方と前記カバー部とで前記サブクッションパッドを挟持する状態で前記乗物用シート基本構成に取付けられ
、前記表皮材のシート幅方向の一端と他端には、本体側留め付け部がそれぞれ設けられ、前記カバー部のシート幅方向の一端と他端には、表皮材側留め付け部がそれぞれ設けられ、前記表皮材と前記カバー部は、前記底板の着座面側から、前記底板の幅方向の両端部に設けられた脚部の内側までそれぞれ連続して延びて、該延びている端部が互いに重なるように配置され、該互いに重なっている部分において前記本体側留め付け部と前記表皮材側留め付け部が着脱可能となるように留め付けられていることにより解決される。
【0008】
このように、本発明においては、乗物用シート基本構成に取付けることができる機能付表皮材
を備えた乗物用シートを提案している。
なお、乗物用シート基本構成とは、その構成において、乗員の通常の着座が可能である構成であり、半製品という概念と対極をなす概念である。
つまり、本発明にかかる機能付表皮材は、通常使用可能な乗物用シート基本構成に追加して使用することができる被覆用の部材である。
そして、本発明においては、この機能付表皮材のサブクッションパッドを、カバー部において、乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付け、着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方とカバー部とでサブクッションパッドを挟持する状態で乗物用シート基本構成に取付けられる構成とした。
これにより、機能付表皮材を着座位置に使用することにより、通常の着座位置よりも、サブクッションパッドの厚み分高い位置に着座位置を調整することができる。
また、背面腰部支持位置に使用することにより、通常の着座位置よりも、サブクッションパッドの厚み分前方の位置に背面腰部支持位置を調整することができる。
よって、乗員の着座位置を空間的(上下方向及び前後方向)に調整することができる。
また、乗物用シート基本構成の外側を被覆する構成であるため、外観上の問題が生じることもなく、意匠性もまた維持できる。
また、このように構成されていると、具体的に、複雑な装置を必要とせず、簡易な構成で乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。
【0009】
なお、本発明においては、乗物用シート基本構成の着座位置と背面腰部支持位置と、に別個のサブクッションパッドを設け、一方若しくは双方に配設する場合に加え、乗物用シート基本構成の着座位置と背面腰部支持位置とに亘るようにサブクッションパッドを構成し、一個のサブクッションパッドにて双方位置の位置調整を行う構成もまた含まれる。
【0010】
また、上記の
乗物用シートにおいて、
前記サブクッションパッドは、前記カバー部に対して着脱可能であって、前記カバー部は、前記表皮材を外側から被覆するように取付けられていると好適である。
更に、
前記クッション材は、平らな部分となる着座面と、該着座面よりも幅方向の外側に位置し、湾曲している側面とを有し、前記サブクッションパッドの幅方向の外端は、前記クッション材のうち、前記着座面よりも幅方向の外側に延びて前記側面に少なくともかかっていると好適である。
更に、前記底板の座面の厚さは、前記脚部の厚さより厚く、かつ、前記サブクッションパッドの厚さより厚いと好適である。
更に、前記表皮材と前記カバー部は、それぞれ一体物として形成されていると好適である。
このように構成されていると、簡易かつフレキシブルに位置調整を行うことができるため好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機能付表皮材のサブクッションパッドを、カバー部において、乗物用シート基本構成の着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方に対峙する面に取付け、着座位置及び背面腰部支持位置の少なくとも一方とカバー部とでサブクッションパッドを挟持する状態で乗物用シート基本構成に取付けられる構成とし、通常の着座位置よりも、サブクッションパッドの厚み分高い位置又は/及び前方の位置に着座位置を調整することができる。
よって、乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。また、外側を被覆する構成であるため、意匠性もまた維持できる。
また本発明によれば、簡易かつフレキシブルに調整を行うことができる。
また本発明によれば、複雑な装置を必要とせず、簡易な構成で乗員の着座位置を空間的(上下方向)に調整することができる。また、意匠上へ影響が及ぶことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乗物用シートの側面視説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表皮材の配置状態を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るサブクッションパッドの配設位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<<本発明の座席装置の構成例>>
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について図面を参照しながら説明する。
本発明の座席装置は、地面に接触しながら走行する乗物、具体的には自動二輪車や自動三輪車等に好適に搭載されるものである。本実施形態では、2人乗り用の自動二輪車に搭載される乗物用シート(以下、「乗物用シートS」と記す)を例に挙げ、その構成や動作について説明することとする。
【0015】
なお、以下の説明中、「前後方向」とは、後述する乗物用シートSの前後方向に相当し、自動二輪車の走行方向と一致する方向である。また、「幅方向」とは、乗物用シートSの幅方向(横幅)に相当し、自動二輪車を正面視したときの左右方向と一致する方向である。また、以下の説明中で述べる各機器の位置や動き等は、特に断らない限り、自動二輪車が直立状態(左右方向に傾いていない状態)にあるときの内容となっている。
【0016】
図1乃至
図3は、本発明の一実施形態に係るものであり、
図1は乗物用シートの側面視説明図、
図2は表皮材の配置状態を示す説明図、
図3はサブクッションパッドの配設位置を示す説明図である。
【0017】
図1及び
図2により、乗物用シートSについて説明する。
なお、
図1は、乗物用シートSを図示した側面視説明図であり、本図は、乗物用シートSの一例であり、自動二輪車の乗員が跨いで着座する鞍状のシートである。この乗物用シートSは、自動二輪車のシート取り付け部(不図示)に取り付けられている。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、本実施形態に係る乗物用シート(seat)Sは、ボトムプレート1(「底板」に相当)と、このボトムプレート1の上方に配設されるメインクッションパッド2(「クッション材」に相当)と、メインクッションパッド2の外面を被覆する表皮材4と、サブ表皮材5と、を有して構成されている。
なお、
図3は、
図1のA−A線断面部分を模式的に示した説明図である。
【0019】
ボトムプレート1は、合成樹脂等により形成された成形品であり、車両用シートSの底部を形作る。
本例においては、ボトムプレート1は、メインクッションパッド2を載置する平板状のメインクッション支持部11と、このメインクッション支持部11の幅方向両端辺から下方に延出するように延びる脚部12,12と、を有して断面略コ字形状に形成されている。
ボトムプレートを少し詳しく説明すると、このメインクッション支持部11は、地表と略水平となる着座部分11aと、着座部分後端から後方へ向かうに連れて上昇する斜面となるバックレスト部11bと、着座部分前端から前方へ向かうにつれて上昇する斜面となる前方部11cと、により、側面視が緩やかなU字状(下方に凸な略円弧形状)に構成されている。
【0020】
そして、脚部12,12は、メインクッション支持部11の幅方向両端辺から各々垂下する壁であり、バックレスト部11bにおいては後下方向へと延出し、前方部においては前下方向へと延出することとなる。
メインクッションパッド2は、ウレタン等の発泡材からなる弾力性を有する塊状体であり、ボトムプレート21のメインクッション支持部11の上面に載置固定される。
【0021】
表皮材4は、布帛や合成皮革等で形成されるシート(sheet)体であり、メインクッションパッド2がボトムプレート1上方に配設された状態で、その外側面を被覆する。
図3に示すように、表皮材4の下方側両端部は、ボトムプレート1の両脚部12,12の下端を外側から巻き込んで、ボトムプレート1の両脚部12,12の内側に導かれて、当該内側部分で固定されている。
そして、表皮材4の下方自由端付近(脚部12,12の内側に配設された部分)には、本体側留め付け部43が形成されている。
この本体側留め付け部43は、締結具であり、後述するサブ表皮材5の下方自由端を留め付けるためのものである。
【0022】
サブ表皮材5は、着脱可能な表皮であり、乗物用シートSの高さをあげる際に配設される。
サブ表皮材5は、メインクッションパッド2がボトムプレート1上方に配設されるとともに、表皮材4で被覆された状態(以下、必要があるときは、当該状態を「乗物用シート基本構成S´」と記す)において、その外側面を被覆するよう配設可能に構成される。
本実施形態に係るサブ表皮材5は、カバー部51と、サブクッションパッド52と、表皮材側留め付け部53と、を有して構成されている。
カバー部51は、布帛や合成皮革等で形成されるシート(sheet)体である。
【0023】
このカバー部51裏面(メインクッションパッド2と対峙する側の面)において、メインクッションパッド2のうち乗員臀部を支持する箇所(つまり、着座部分11a上面)に対峙する位置には、ブロック形状のサブクションパッド52が取付けられている。
このサブクッションパッド52の形状は、乗物用シートSの形状に応じてどのような形状に形成されていてもかまわないが、その厚みは、高さを調整するために必要なサイズに調整される。
本実施形態においては、1cm〜3cm程度の厚さに設定されている。
なお、サブクッションパッド52の材質としては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であればどのようなものが使用されていてもよいが、例えば、発泡体(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂発泡体であるとよい)、繊維構造体、ジェル状の材質、エアクッション等が想定される。
【0024】
また、本実施形態に係る表皮材側留め付け部53は、サブ表皮材5下方端部に取付けられる締結具であり、本体側留め付け部43に留め付けられる構成をとる。
詳しく説明すると、
図3に示すように、サブ表皮材5の下方側両端部は、ボトムプレート1の両脚部12,12の下端を外側から巻き込んで、ボトムプレート1の両脚部12,12の内側に導かれる。
そして、サブ表皮材5の下方端部に形成された表皮材側留め付け部53,53が、表皮材4の端部(脚部12,12内側に配設された端部)に形成された本体側留め付け部43,43に留め付けられる構成である。
【0025】
なお、この表皮材側留め付け部53,53及び本体側留め付け部43,43としては、両者で着脱が簡易に実行できる構成であれば、どのような構成でもよいが、例えば、一方にメス型ホック他方にオス型ホックを取付けた締結構成でもよいし、双方に面ファスナを取付けた締結構成でもよい。
【0026】
そして、本実施形態においては、サブクッションパッド52は、
図2(a)に示すように、乗物用シートSのうち、乗員の臀部を支持する位置(
図2の位置X1)に配置されていた。
しかし、この位置に限られることはなく、同様に、乗員の背面腰部を支持する位置(
図2の位置X2)にも適用可能である。
この場合は、ボトムプレート1を構成するバックレスト部11bにサブクッションパッド52が配置されるように構成される。
【0027】
その他、サブ表皮材5の後下方側両端部が、ボトムプレート1の両脚部12,12の後下端を外側から巻き込んで、ボトムプレート1の両脚部12,12の内側に導かれ、表皮材側留め付け部53,53と本体側留め付け部43,43とで固定される構成は上記と同様である。
このように構成されていると、背もたれの位置を、サブクッションパッド52の厚み分前方に張り出させることができるため、体格の小さい乗員の背面腰部をより有効に支持することができる。
【0028】
なお、特に、乗員の背面腰部を支持する背もたれに当該構成を適用する場合、サブクッションパッド52の厚みを、下方から上方へ向けて厚くなるように構成すれば、上方側を乗員位置方向へ張り出させることができる。
つまり、サブクッションパッド52の形状を変更することにより、乗物用シートSの座席形状を必要な形状にデザインすることが可能となり、設計自由度が大きくなる。
また、なお、当該構成は、乗員の臀部を支持する座面部分に適用する場合を排除するものではなく、当該位置においても必要であれば適用することは可能である。
また、もちろん、乗物用シートSにおいて、着座部分11a及びバックレスト部11b双方にサブクッションパッド52を設けた構成でもよいし、一方のみを備えた構成でもよい。また、前方部11cへの適用を排除するものではない。
【0029】
また、
図2(b)に示すように、サブクションパッド52を一枚とし、乗員の臀部を支持する位置と乗員の背面腰部を支持する位置とに亘るように配置してもよい。
なお、このとき、サブクッションパッド52が、前方位置まで延びることを排除するものではない。
この場合においても、サブクッションパッド52をカバー部51に対して着脱可能とし、厚さの異なるサブクッションパッド52を複数準備しておけば、位置調整を簡易かつ柔軟に行うことができる。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、乗物用シートSの高さ調整及び位置調整を、簡易に実行することができる。
つまり、乗物用シート基本構成S´に対してサブ表皮材5を着脱することで、簡易に高さや位置を調整することができる。
よって、複雑な装置や機構を必要とすることなく、高さ調整及び位置調整を行うことが可能となる。
また、厚さの異なるサブクッションパッド52を複数準備しておき、カバー部51に着脱可能としておけば、必要な厚さのサブクッションパッド52に簡易に交換して使用することが可能であり、より高さ及び位置調整のバリエーションが多彩となる。
この着脱は、どのような構成であってもよいが、例えば、ホック、面ファスナ等で行えるようにするとよい。
【0031】
なお、以上の実施形態においては、自動二輪シートに本発明を適用する例を示したが、もちろん、これに限られることはなく、四輪シートや、その他の背もたれとクッション部を有するシート等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、どのようなシートにおいても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
S 乗物用シート
S´ 乗物用シート基本構成
1 ボトムプレート(底板)
11 メインクッション支持部
11a 着座部分
11b バックレスト部
11c 前方部
12 脚部
2 メインクッションパッド(クッション材)
4 表皮材
43 本体側留め付け部
5 サブ表皮材(機能付表皮材)
51 カバー部
52 サブクッションパッド
53 表皮材側留め付け部