(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6543950
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】フレーム車両の車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 21/02 20060101AFI20190705BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20190705BHJP
B60T 11/06 20060101ALI20190705BHJP
F16D 65/28 20060101ALI20190705BHJP
F16D 121/14 20120101ALN20190705BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20190705BHJP
【FI】
B62D21/02 Z
B60T13/74 H
B60T11/06
F16D65/28
F16D121:14
F16D121:24
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-27420(P2015-27420)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-150600(P2016-150600A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】板屋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】澄川 武夫
【審査官】
マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−002437(JP,A)
【文献】
特開2012−106647(JP,A)
【文献】
特開2001−130392(JP,A)
【文献】
特開2005−081964(JP,A)
【文献】
特開2006−051939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/02
B60T 11/06
B60T 13/74
F16D 65/28
F16D 121/14
F16D 121/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム上にマウントを介してボディが載置される車両の車体構造において、
前記フレームのうち車長方向に延設され、前記車両の左右に一対配置されたサイドメンバと、
乗員操作に応じて前記車両の駐車ブレーキを作動させ又は解除するモータを内蔵し、前記サイドメンバにおける車両外側の側面に固定された電動駐車ブレーキ装置と、を備え、
前記マウントの一つが、前記電動駐車ブレーキ装置と前記車両の前輪との間に配置される
ことを特徴とする、フレーム車両の車体構造。
【請求項2】
前記サイドメンバに固定されて前記フレームの振動を抑制するダンパ装置を備え、
前記電動駐車ブレーキ装置が、車幅方向に前記ダンパ装置と対置される
ことを特徴とする、請求項1記載のフレーム車両の車体構造。
【請求項3】
前記電動駐車ブレーキ装置と車輪との間に配索されるワイヤケーブルの分配器を備え、
前記分配器が、前記電動駐車ブレーキ装置に隣接して前記サイドメンバに固定される
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のフレーム車両の車体構造。
【請求項4】
前記電動駐車ブレーキ装置が、前記車両の燃料タンクに対して車長方向に重ならない位置に配置される
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のフレーム車両の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム上にマウントを介してボディが載置されるフレーム車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックやバス,SUV(Sport Utility Vehicle)等の車体構造として、フレームとボディとを分離させたセパレートフレーム構造が知られている。すなわち、防振・制振用のマウントを介してフレーム上に車室や荷台等のボディを載置したものである。荷重をフレームで支える構造にすることで、曲げやねじり変形に対する剛性の高いフレームを採用することが容易となり、耐久性,走破性を向上させることができる。
【0003】
ところで、近年の車両には、駐車ブレーキ装置(パーキングブレーキ)を電動化した電動駐車ブレーキ装置を搭載したものが存在する。駐車ブレーキ装置とは、ブレーキペダルによる制動系とは別系統で設けられた制動装置である。具体的には、乗員がブレーキレバー(ハンドブレーキ)を手動操作で引き上げるとワイヤケーブルが牽引され、ワイヤケーブルに接続された摩擦制動機構に制動力が発生して、車輪の回転が機械的に拘束される。
【0004】
一方、電動駐車ブレーキ装置は、ワイヤケーブルを電動モータで牽引する構造を備えている(特許文献1参照)。これにより、電動モータを作動させるだけで、手軽に車輪をロックすることができる。また、電動モータで発生する牽引力を弱めることで車輪のロックが解除されるため、坂道発進時におけるブレーキペダルの踏み込み操作の代わりに使用することも可能である。なお、電動駐車ブレーキ装置の取付位置は、防水性や防塵性を考慮して、おもに車室内や車室の下面に設定される(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-211485号公報
【特許文献2】特開2002-242968号公報
【特許文献3】特開2007-040442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電動駐車ブレーキ装置を車室のフロアパネル等に固定すると、電動駐車ブレーキ装置がマウントよりも上部のボディ側に配置されることになり、作動音や振動が車室に伝達されやすくなるという課題がある。特に、近年の電動駐車ブレーキ装置は、アクセルペダルの踏み込み操作で車輪のロックを解除する機能を持つことから、立体駐車場内や渋滞路で車輪を頻繁にロックする操作がなされる場合がある。そのため、電動駐車ブレーキ装置の作動音や振動によって車室の静粛性が低下するおそれがある。
【0007】
本件は上記のような課題に鑑み創案されたものであり、電動駐車ブレーキ装置を搭載するフレーム車両において、車室の静粛性を高めることができる車体構造を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)ここで開示するフレーム車両の車体構造は、フレーム上にマウントを介してボディが載置される車両の車体構造である。本車体構造は、前記フレームのうち車長方向に延設され、前記車両の左右に一対配置されたサイドメンバと、乗員操作に応じて前記車両の駐車ブレーキを作動させ又は解除するモータを内蔵し、前記サイドメンバにおける車両外側の側面に固定された電動駐車ブレーキ装置とを備え
、前記マウントの一つが、前記電動駐車ブレーキ装置と前記車両の前輪との間に配置される。
【0009】
(2)前記サイドメンバに固定されて前記フレームの振動を抑制するダンパ装置を備えることが好ましい。この場合、前記電動駐車ブレーキ装置が、車幅方向に前記ダンパ装置と対置されることが好ましい。
例えば、前記電動駐車ブレーキ装置が左右何れか一方のサイドメンバに固定され、前記ダンパ装置が他方のサイドメンバに固定されることが好ましい。これにより、車幅方向の重量バランスが向上する。また、前記ダンパ装置は、前記サイドメンバにおける振動モードの腹(例えば車長方向の中央部付近)に配置されることが好ましい。
【0010】
(3
)前記電動駐車ブレーキ装置と車輪との間に配索されるワイヤケーブルの分配器を備えることが好ましい。この場合、前記分配器が、前記電動駐車ブレーキ装置に隣接して前記サイドメンバに固定されることが好ましい。
(
4)前記電動駐車ブレーキ装置が、前記車両の燃料タンクに対して車長方向に重ならない位置に配置されることが好ましい。例えば、前記電動駐車ブレーキ装置が左右何れか一方のサイドメンバに固定され、前記燃料タンクが他方のサイドメンバに固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
開示のフレーム車両の車体構造によれば、電動駐車ブレーキ装置をサイドメンバにおける車両外側の側面に固定することで、車室の静粛性を高めつつメンテナンス性を高めることができる。また、車室はマウントを介してフレームに支持されることから、電動駐車ブレーキ装置の取付箇所に防振ゴムを介装する必要がなく、コストを削減できる。その上、電動駐車ブレーキ装置に対するパワートレインの熱害対策を不要とすることができ、パワートレインとの干渉を回避することもできる。さらに、電動駐車ブレーキ装置の質量でフレームの振動を抑制することができ、車両の振動に対する安定性や静粛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の車体構造が適用された車両の分解斜視図である。
【
図2】
図1の車両のフレーム(フロアパネル下)を示す上面図である。
【
図3】車両の電動駐車ブレーキ装置を示す右側面図(
図2のA矢視図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、実施形態としてのフレーム車両の車体構造について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
[1.構成]
[1−1.フレーム]
本実施形態の車体構造が適用された車両10を
図1に例示する。この車両10は、マウント4を介してフレーム1上にボディ11が載置されたフレーム車両であり、フレーム1とボディ11とが分離したセパレートフレーム構造を備える。
図1では、車両10のパワートレインや懸架装置等の記載を省略して、フレーム1とボディ11とを分離させた状態を模式的に示す。
【0015】
フレーム1は、車両10の骨格をなす構造部材であり、車両10に作用する荷重を支えるものである。
図1中に示すフレーム1は、一対のサイドメンバ2と複数のクロスメンバ3とを梯子状に連結してなるラダーフレームであり、車長方向(車両前後方向)が長手となるように配置される。サイドメンバ2は、車両10の前端部から後端部までのほぼ全長に渡って車長方向に延設される部材であり、車幅方向に間隔を空けて左右一対設けられる。
【0016】
サイドメンバ2の断面形状は、例えば閉断面形状(円形,角形等)やコの字型(溝形,チャンネル形)に形成される。左右のサイドメンバ2は、車両10の全体でほぼ左右対称形状となるように配置される。また、これらのサイドメンバ2の間隔は、ボディ11の形状や車両10に搭載される各種装置のレイアウトに合わせて、場所によって車幅方向に拡幅,狭窄される。例えば
図2に示すように、サイドメンバ2は、前輪12と干渉しないようにホイールハウスの近傍での間隔が狭く形成される。また、後輪13の近傍では、車軸を避けるようにその上側に湾曲した形状に形成される。以下、二つのサイドメンバ2の個々を区別する場合には、それぞれを右サイドメンバ21,左サイドメンバ23と呼ぶ。
【0017】
クロスメンバ3は、一対のサイドメンバ2の間を車幅方向に接続する部材であり、車長方向に間隔を空けて複数本設けられる。クロスメンバ3の断面形状は、サイドメンバ2と同様に、閉断面形状やコの字型に形成される。
図1に示す車両10には、六本のクロスメンバ3が設けられる。以下、これらのクロスメンバ3を区別する場合には、前方から順に第一クロスメンバ31,第二クロスメンバ32,…,第六クロスメンバ36と呼ぶ。
【0018】
図1に示すように、第一クロスメンバ31は、車両10の前端部で左右のサイドメンバ2を接続する。また、第二クロスメンバ32,第三クロスメンバ33は、前輪12の車軸を挟んでその前後に配置される。一方、第四クロスメンバ34は、フレーム1の全体で車長方向の中央部付近に配置される。また、第五クロスメンバ35,第六クロスメンバ36は、後輪13の車軸を挟んでその前後に配置される。
【0019】
フレーム1上には、複数のマウント4を介してボディ11が載置,支持される。マウント4は、ボディ11に伝達される振動や衝撃を緩和する緩衝装置であり、例えばラバーマウントやビスカスマウント等である。マウント4の取付箇所は、右サイドメンバ21,左サイドメンバ23のそれぞれに六箇所ずつ設定される。
図1に示す例では、前輪12の車軸を挟む前後の二箇所,後輪13の車軸を挟む前後の二箇所,車室下方の一箇所,サイドメンバ2における後端部近傍の一箇所に配置される。以下、前輪12の直後方に配置されたマウント4のうち、右サイドメンバ21に固定されたものを第一マウント41と呼び、左サイドメンバ23に固定されたものを第二マウント42と呼ぶ。
【0020】
[1−2.各種搭載品]
図2に示すように、車両10のパワートレイン装置は、一対のサイドメンバ2の間に配置される。これらのパワートレイン装置は、マウントや弾性部材を介してクロスメンバ3に取り付けられる。エンジン16,変速機17は、第三クロスメンバ33よりも前方側で、車幅方向の中央付近に配置される。また、変速機17から車長方向にプロペラシャフト18が延設され、後輪13の車軸の近傍においてディファレンシャル装置19に接続される。プロペラシャフト18は、クロスメンバ3と交差する付近で分割され、ユニバーサルジョイントやスリーブヨークを介して接続される。なお、車両10が四輪駆動車の場合には、変速機17とプロペラシャフト18との間にパワートランスファユニットが介装される。
【0021】
プロペラシャフト18よりも右側には、エンジン16の排気系装置20(排気管,排気触媒装置,消音装置等)が配置される。一方、プロペラシャフト18よりも左側には、エンジン16の燃料タンク15が配置される。燃料タンク15の位置は、上面視で第三クロスメンバ33と第四クロスメンバ34とに挟まれた範囲内に設定される。本実施形態では、第三クロスメンバ33,第四クロスメンバ34,左サイドメンバ23のそれぞれに対して燃料タンク15が固定される。また、プロペラシャフト18を挟んで燃料タンク15の右側には、消音装置(マフラー)が配置される。
【0022】
左サイドメンバ23の外面24には、フレーム1の振動を抑制するためのダイナミックダンパ8(ダンパ装置)が取り付けられる。ダイナミックダンパ8は、フレーム1の振幅が比較的大きくなりやすい中央部付近(例えば、第三クロスメンバ33と第四クロスメンバ34との間)に配置され、フレーム1の共振を抑制するおもりとして機能する。また、ダイナミックダンパ8の位置は、第二マウント42よりも後方に設定される。つまり、ダイナミックダンパ8と前輪12との間に第二マウント42を配置する。これにより、前輪12からダイナミックダンパ8への飛び石(チッピング)が抑制される。
【0023】
[1−3.電動駐車ブレーキ装置]
この車両10には、駐車ブレーキの作動,解除を電子制御する電動駐車ブレーキ装置5(EPB,Electric Parking Brake)が搭載される。電動駐車ブレーキ装置5は、ブレーキペダルによる通常の制動系とは別系統で設けられた制動装置であり、例えば後輪13に内蔵された摩擦制動機構(ドラムブレーキ装置,ディスクブレーキ装置等)をワイヤケーブル7で自動的に牽引することにより、後輪13の回転をロックする(拘束する)機能を持つ。
【0024】
電動駐車ブレーキ装置5には、バッテリ駆動のモータ6が内蔵される。モータ6の作動状態は、乗員の操作に応じて制御される。例えば、モータ6を正回転させる操作がなされると、ワイヤケーブル7が牽引され、後輪13がロックされる。また、モータ6を逆回転させる操作がなされた場合には、ワイヤケーブル7の牽引力が弱められ、後輪13のロックが解除される。これらの操作は、例えばボタン操作やアクセルペダルの踏み込み操作等に対応付けられる。
【0025】
左右の後輪13に伝達されるワイヤケーブル7の牽引力は、イコライザ9(分配器)で均等に分配される。イコライザ9は、電動駐車ブレーキ装置5とともに、電動駐車ブレーキ装置5に隣接してサイドメンバ2に固定される。イコライザ9から伸びる二本のワイヤケーブル7は、フレーム1上に配索されて、左右の後輪13のそれぞれに対して接続される。
【0026】
本実施形態の電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9は、車室のフロアパネル14の下方において、サイドメンバ2における車両外側の側面に固定される。すなわち、
図3に示すように、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9は、右サイドメンバ21の外面22に固定される。電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9は、フロアパネル14とは非接触とされる。また、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9は、ダイナミックダンパ8と同様に、フレーム1の振幅が比較的大きくなりやすい中央部付近(例えば、第三クロスメンバ33と第四クロスメンバ34との間)に配置される。
【0027】
つまり、電動駐車ブレーキ装置5,イコライザ9は、上面視でプロペラシャフト18を挟んでダイナミックダンパ8と対向するように配置され、ダイナミックダンパ8と車幅方向に対置される。これにより、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9は、フレーム1の共振を抑制するおもりとして機能する。なお、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9の配設位置は、サイドメンバ2の外側であることから、車両10の燃料タンク15に対して車長方向に見て重ならない位置となる。
【0028】
また、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9の固定位置は、第一マウント41よりも後方に設定される。つまり、第一マウント41は、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9と前輪12との間に配置される。これにより、
図3に示すように、前輪12からの飛び石(チッピング)が電動駐車ブレーキ装置5,イコライザ9に衝突しにくくなり、電動駐車ブレーキ装置5,イコライザ9の保護性が向上する。
【0029】
[2.作用,効果]
(1)上記の電動駐車ブレーキ装置5は、ボディ11から分離したサイドメンバ2に固定される。これにより、電動駐車ブレーキ装置5の作動に伴って生じうる騒音,振動がボディ11に伝わりにくくなり、車室の防音性,防振性を高めることができる。また、車室はマウント4を介してフレーム1に支持されることから、電動駐車ブレーキ装置5の取付箇所にも防振ゴムを介装する必要がなく、コストを削減することができる。さらに、電動駐車ブレーキ装置5の質量でフレーム1の振動を抑制することができ、車両10の振動に対する安定性や静粛性を高めることができる。
【0030】
(2)上記の電動駐車ブレーキ装置5の固定位置は、サイドメンバ2のうち車両外側の側面(外面22)に設定される。これにより、電動駐車ブレーキ装置5の点検・整備や部品交換が容易となり、メンテナンス性を高めることができる。
また、車両10のパワートレインは、サイドメンバ2の内側に配置される。これに対して、電動駐車ブレーキ装置5は、サイドメンバ2の外側に配置される。これにより、電動駐車ブレーキ装置5に対する熱害対策が不要となり、例えばエンジン16で発生する熱を遮蔽するための遮熱板を省略することができる。さらに、車両10のパワートレインと車長方向に見て重ならない位置となるため、例えば車両衝突時における電動駐車ブレーキ装置5とパワートレインとの干渉を回避することができる。
【0031】
(3)上記の電動駐車ブレーキ装置5は、
図2に示すように、車幅方向にダイナミックダンパ8と対置するように設けられる。これにより、フレーム1の車長方向の振動を効率的に抑制することができ、車両10の振動に対する静粛性や車体安定性を向上させることができる。
(4)上記の車体構造では、
図2,
図3に示すように、前輪12と電動駐車ブレーキ装置5との間に第一マウント41が配置される。これにより、前輪12からの飛び石(チッピング)を電動駐車ブレーキ装置5に衝突しにくくすることができ、電動駐車ブレーキ装置5の保護性を向上させることができる。
【0032】
(5)上記の車体構造では、イコライザ9が電動駐車ブレーキ装置5に隣接する位置に配置される。このように、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9を隣り合わせでサイドメンバ2に固定することで、部品交換や点検・整備がより容易となり、メンテナンス性をさらに向上させることができる。また、イコライザ9をディファレンシャル装置19の近傍(車幅方向の中央部付近)に配置した場合と比較して、電動駐車ブレーキ装置5及びイコライザ9の機能的な関連性を乗員に把握させやすくすることができる。
【0033】
(6)上記の車体構造では、電動駐車ブレーキ装置5が、燃料タンク15に対して車両前後方向に見て重ならない位置に配置される。すなわち、燃料タンク15が左サイドメンバ23に固定されるのに対し、電動駐車ブレーキ装置5は右サイドメンバ21に固定される。これにより、例えば車両衝突時における燃料タンクとの干渉を回避することができる。
【0034】
[3.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態では、梯子形のラダーフレームが適用された車両10の車体構造について詳述したが、他のフレームを車両10に適用することも可能である。例えば、ペリメータフレーム(車両の外周を囲むように配置されるフレーム)や、トラスフレーム(三角形の骨組みを基本形状としたトラス構造のフレーム)を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 フレーム
2 サイドメンバ
4 マウント
5 電動駐車ブレーキ装置
6 モータ
7 ワイヤケーブル
8 ダイナミックダンパ(ダンパ装置)
9 イコライザ(分配器)
10 車両
11 ボディ
12 前輪
13 後輪(車輪)
15 燃料タンク
21 右サイドメンバ
22 外面