(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着座部の骨格となるクッションフレームと、背もたれ部の骨格となるバックフレームと、前記クッションフレームに対して前記バックフレームを回転可能に連結するリクライニング装置と、を備えた車両用シートであって、
前記リクライニング装置は、
前記バックフレームの回転中心となる回転軸と、
該回転軸を中心として前記バックフレームを回転方向に沿って付勢する付勢バネと、
前記バックフレームのシート幅方向の外側面に対して取り付けられる基部と、該基部の外表面から外側に突出している突出部分と、を有し、該突出部分の先端側が前記付勢バネの一端側を係止するためのバネ係止部となるバネ係止ブラケットと、を備え、
該バネ係止ブラケットのうち、前記基部と前記バネ係止部の間の部分には、
前記バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、前記クッションフレーム側に設けられた被当接部に当接可能な当接部と、
該当接部よりも前記回転軸の径方向の外側に設けられ、かつ、前記当接部よりも前記回転軸の回転方向の前記被当接部側に配置されているカバー部と、がそれぞれ形成されていることを特徴とする車両用シート。
前記カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記当接部よりも前方側に配置されている前方カバー部と、前記当接部よりも後方側に配置されている後方カバー部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
前記カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記当接部よりも幅広となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用シート。
前記当接部は、前記基部のうち、前記突出部分よりも下方位置にある部分からシート幅方向の外側に突出して延びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート。
前記当接部は、前記突出部分のうち、前記バネ係止部よりもシート幅方向の内側にある部分から下方に突出して延びていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用シート。
前記当接部は、前記突出部分から下方に延びている第1壁部と、該第1壁部の下方部分からシート幅方向の内側に延びて前記基部に連結されている第2壁部と、を有していることを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用シート。
前記突出部分のうち、前記回転軸の回転方向において前記当接部と前記カバー部の間にある部分には、上下方向に貫通した貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用シート。
前記当接部のうち、前記被当接部に当接する部分は、前記回転軸の径方向において前記バネ係止部よりも内側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車両用シート。
【背景技術】
【0002】
従来、着座部の骨格となるクッションフレームに対して、背もたれ部の骨格となるバックフレームを回動可能に連結するリクライニング装置を備えた車両用シートが広く知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のリクライニング装置付きシートでは、バックフレームの回転中心となる回転軸と、回転軸を中心としてバックフレームをシート前方側に付勢する渦巻きバネと、バックフレームのシート幅方向の外側面に取り付けられ、渦巻きバネの自由端側を係止するためのバネ係止ブラケットと、を備えた構成となっている。
リクライニング装置は、バックフレームの回転動作をロックするロック状態とロック解除状態との間で切り替え可能であって、バックフレームを所定の起立姿勢でロックした状態から、操作レバーが操作されることでロック状態を解除し、バックフレームの起立姿勢を調整することが可能である。
そして、バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、バックフレームの回転移動を規制するために、バックフレームに取り付けられたバネ係止ブラケットと、クッションフレームの一部とが当接する構成となっている。
【0004】
特許文献2に記載のリクライニング装置付きシートも同様の構成となっており、バネ係止ブラケットが、バックフレームの外側面に取り付けられる基部と、基部の外側面から外側に突出している突出部分とを有し、この突出部分の先端が渦巻きバネの一端を係止するためのバネ係止部となっている。
バネ係止ブラケットにおいて基部とバネ係止部の間の突出部分は、バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、クッションフレームに設けられた当接壁部に当接するストッパー部分となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のようなリクライニング装置付きのシートでは、バックフレームが所定位置まで回転したときに、バックフレーム側にあるバネ係止ブラケットと、クッションフレーム側にある当接壁部とが当接する構成となっているところ、バックフレームの回転方向においてバネ係止ブラケットと当接壁部の間の隙間に異物が侵入してしまうと、リクライニング装置の円滑な回転動作が阻害される虞があった。
そのため、当該隙間を覆うことで、リクライニング装置の回転動作を安定させた車両用シートが望まれていた。
【0007】
また、特許文献1、2のようなリクライニング装置付きシートでは、バネ係止ブラケットが、バックフレームの回転動作時に渦巻きバネの付勢力が直接掛かる部材であって、かつ、バックフレームの回転動作を規制するためのストッパー部材でもある。
そのため、リクライニング装置の構成部品のうち、特にバネ係止ブラケットの剛性を確保することで、当該装置の動作を安定させることが望まれていた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、リクライニング装置の回転動作を安定させた車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、リクライニング装置の内部に異物が侵入してしまうことを抑制することが可能な車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、リクライニング装置の構成部品の剛性を確保した車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、本発明の車両用シートによれば、着座部の骨格となるクッションフレームと、背もたれ部の骨格となるバックフレームと、前記クッションフレームに対して前記バックフレームを回転可能に連結するリクライニング装置と、を備えた車両用シートであって、前記リクライニング装置は、前記バックフレームの回転中心となる回転軸と、該回転軸を中心として前記バックフレームを回転方向に沿って付勢する付勢バネと、前記バックフレームのシート幅方向の外側面に対して取り付けられる基部と、該基部の外表面から外側に突出している突出部分と、を有し、該突出部分の先端側が前記付勢バネの一端側を係止するためのバネ係止部となるバネ係止ブラケットと、を備え、該バネ係止ブラケットのうち、前記基部と前記バネ係止部の間の部分には、前記バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、前記クッションフレーム側に設けられた被当接部に当接可能な当接部と、該当接部よりも前記回転軸の径方向の外側に設けられ、かつ、前記当接部よりも前記回転軸の回転方向の前記被当接部側に配置されているカバー部と、がそれぞれ形成されていること、により解決される。
【0010】
上記のように、バネ係止ブラケットには、バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、クッションフレーム側に設けられた被当接部に当接可能な当接部と、当接部よりも回転軸の径方向の外側に設けられ、かつ、当接部よりも回転軸の回転方向の被当接部側に配置されているカバー部と、がそれぞれ形成されているため、当該カバー部によって、バネ係止ブラケットの当接部とクッションフレーム側にある被当接部との間の隙間に異物が侵入してしまうことを抑制することができる。
具体的には、バネ係止ブラケットにおいてカバー部が当該隙間の少なくとも一部を覆うように配置されることになる。
従って、リクライニング装置の回転動作を安定させた車両用シートを実現できる。
【0011】
このとき、前記カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記当接部よりも前方側に配置されている前方カバー部と、前記当接部よりも後方側に配置されている後方カバー部と、を有していると良い。
一般に、リクライニング装置付きシートでは、バックフレームが所定の前方回転位置と、所定の後方回転位置までそれぞれ回転したときに、バネ係止ブラケットとクッションフレームが当接する構成となっている。すなわち、バックフレームの回転方向においてバネ係止ブラケットの当接部を前後で挟む位置に被当接部が設けられている。
そこで、上記のようにバネ係止ブラケットが前方カバー部と後方カバー部とを有することで、これらカバー部が、当接部と被当接部との間の隙間を一層好適に覆うことができる。
【0012】
このとき、
前記前方カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記バネ係止部よりも
前方側に張り出して
おり、前記後方カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記バネ係止部よりも後方側に張り出していると良い。
また、前記カバー部は、前記回転軸の回転方向において前記当接部よりも幅広となるように形成されていると良い。
また、前記カバー部は、前記バックフレームが前記回転方向において所定位置にいるときに、
前記クッションフレーム側に設けられた被当接溝を上方から覆う位置に配置され、
前記被当接部は、前記被当接溝の内壁であると良い。
上記構成により、カバー部が、当接部と被当接部との間の隙間を一層好適に覆うことができる。
【0013】
このとき、前記当接部は、前記基部のうち、前記突出部分よりも下方位置にある部分からシート幅方向の外側に突出して延びていると良い。
また、前記当接部は、前記突出部分のうち、前記バネ係止部よりもシート幅方向の内側にある部分から下方に突出して延びていると良い。
上記構成により、当接部が、バネ係止ブラケットにおいて比較的剛性が高まった部分から突出するように延びているため、当接部の剛性を高めることができる。
【0014】
このとき、前記当接部は、前記突出部分から下方に延びている第1壁部と、該第1壁部の下方部分からシート幅方向の内側に延びて前記基部に連結されている第2壁部と、を有していると良い。
上記構成により、当接部の剛性を一層高めることができる。
【0015】
このとき、前記当接部は、前記基部及び前記突出部分の
それぞれが一部切り起こされて形成されていると良い。
上記構成により、バネ係止ブラケットに当接部を形成するにあたって、部品同士を接合する必要もなく、量産加工性に優れたものとなる。
【0016】
このとき、前記突出部分のうち、前記回転軸の回転方向において前記当接部と前記カバー部の間にある部分には、上下方向に貫通した貫通孔が形成されていると良い。
上記構成により、バネ係止ブラケットに当接部を形成するにあたって、量産加工性に優れた形状となる。
【0017】
このとき、前記当接部のうち、前記被当接部に当接する部分は、前記回転軸の径方向において前記バネ係止部よりも内側に配置されていると良い。
上記構成により、当接部と被当接部との間の隙間に異物が侵入し難い形状となる。
【0018】
このとき、前記被当接部は、前記クッションフレームの上端部分に形成され、前記回転軸の回転方向において前記当接部を挟む位置にそれぞれ設けられ、前記バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、前記バックフレームの回転移動を規制するために前記当接部に当接するように設けられていると良い。
上記のように、クッションフレーム側の所定位置に被当接部を形成するにあたって、クッションフレームに直接被当接部を形成しているため、別途構成部品を増やす必要がなく、部品点数の削減、組み付け作業の容易化につながる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、カバー部によって、バネ係止ブラケットの当接部とクッションフレーム側にある被当接部との間の隙間に異物が侵入してしまうことを抑制できる。具体的には、バネ係止ブラケットにおいてカバー部が当該隙間の少なくとも一部を覆うように配置されることになる。
従って、リクライニング装置の回転動作を安定させた車両用シートを実現できる。
請求項2の発明によれば、バネ係止ブラケットが前方カバー部と後方カバー部とを有することで、これらカバー部が、当接部と被当接部との間の隙間を好適に覆うことができる。
請求項3、4、5の発明によれば、カバー部が、当接部と被当接部との間の隙間を一層好適に覆うことができる。
【0020】
請求項6、7、8の発明によれば、当接部が、バネ係止ブラケットにおいて比較的剛性が高まった部分から突出するように延びているため、当接部の剛性を高められる。
請求項9、10の発明によれば、バネ係止ブラケットに当接部を形成するにあたって、部品同士を接合する必要もなく、量産加工性に優れたものとなる。
請求項11の発明によれば、当接部と被当接部との間の隙間に異物が侵入し難い形状となる。
請求項12の発明によれば、クッションフレームに直接被当接部を形成しているため、別途構成部品を増やす必要がなく、部品点数の削減、組み付け作業の容易化につながる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る車両用シートについて、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
本実施形態は、リクライニング装置を備えた車両用シートであって、バックフレームを回転軸の回転方向に沿って付勢する付勢バネと、バックフレームの外側面に対して取り付けられる基部、及び基部の外側面から突出している突出部分を有し、突出部分の先端側が付勢バネの一端を係止するためのバネ係止部となるバネ係止ブラケットと、を備えており、このバネ係止ブラケットのうち、基部とバネ係止部の間の部分には、バックフレームが所定の回転位置まで回転したときに、クッションフレーム上端にある被当接部に当接可能な当接部と、当接部よりも回転軸の径方向の外側に設けられ、かつ、当接部よりも回転軸の回転方向の被当接部側にそれぞれ配置されている前方カバー部及び後方カバー部と、が形成されていることを特徴とする車両用シートの発明に関するものである。
なお、車両用シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
【0023】
本実施形態の車両用シートSは、
図1に示すように、シートクッション1と、シートバック2とを備えるシート本体と、
図2に示すように、シートクッション1に対してシートバック2を回転可能に連結するリクライニング装置30と、から主に構成されている。
なお、シート本体は、シート本体を昇降可能に連結するハイトリンク装置、及びシート本体を前後移動可能に支持するレール装置を介して車体フロアに取り付けられている。
【0024】
シートクッション1は、
図1に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となる
図2に示すクッションフレーム10にクッションパッド1aを載置して表皮材1bで被覆されて構成されている。
シートバック2は、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる
図2に示すバックフレーム20にクッションパッド2aを載置して表皮材2bで被覆されて構成されている。
【0025】
クッションフレーム10は、
図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるサイドフレーム11と、各サイドフレーム11の前方部分を連結するプレート状のパンフレーム12と、各サイドフレーム11の後方部分を連結するパイプ状の後方連結フレーム13と、パンフレーム12及び後方連結フレーム13にそれぞれ掛け止めされ、蛇状に延びている3つの弾性バネ14と、から主に構成されている。
【0026】
サイドフレーム11は、シート前後方向に延出し、縦断面略I字形状からなる板金部材であって、フレーム本体の上端部分からシート幅方向の内側に屈曲して突出する上端フランジ11aと、フレーム本体の下端部分からシート幅方向の外側に屈曲して突出する下端フランジ11bと、を備えている。
サイドフレーム11の後方部分には、
図2、
図3に示すように、リクライニング装置30が取り付けられている。
詳しく言うと、サイドフレーム11のシート幅方向の外側面には、
図4に示すように、回転軸32を挿通させるための軸穴11cと、軸穴11cを囲むように設けられ、リクライニングユニット31を嵌め込むための嵌合穴11dと、が形成されている。
また、上端フランジ11aのうち、回転軸32の真上に位置する部分には、上端フランジ11aの突出部分が一部切り欠かれて形成された被当接溝11eが形成されている。
【0027】
バックフレーム20は、
図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム21と、各バックサイドフレーム21の上端部分を連結する略逆U字形状の上部フレーム22と、各バックサイドフレーム21の下端部分を連結する略プレート形状の下部フレーム23と、各バックサイドフレーム21にそれぞれ掛け止めされ、蛇状に延びている2つの弾性バネ24と、から主に構成されている。
バックサイドフレーム21は、
図3に示すように、上下方向に延出し、横断面略コ字形状からなる板金部材であって、その下端部分がリクライニング装置30を介してサイドフレーム11の後端部分と連結されている。
バックサイドフレーム21のシート幅方向の外側面には、
図4に示すように、リクライニングユニット31を嵌め込むための嵌合穴21aが形成されている。
【0028】
リクライニング装置30は、
図3に示すように、バックフレーム20の回転動作をロックするロック状態と、ロック解除状態との間で切り替え可能であって、バックフレーム20を所定の起立姿勢でロックした状態から、不図示の操作レバーが操作されることでロック状態を解除し、バックフレーム20の起立姿勢を調整することが可能な装置である。
【0029】
リクライニング装置30は、
図3、
図4に示すように、バックフレーム20の回転を規制するリクライニングユニット31と、バックサイドフレーム21の下端部分にシート幅方向に軸支され、バックサイドフレーム21の外側面から突出してリクライニングユニット31と連結される回転軸32と、リクライニングユニット31のシート幅方向の外側に取り付けられ、バックフレーム20を回転方向に沿って付勢する渦巻きバネ33と、から主に構成されている。
回転軸32は、シート幅方向においてバックサイドフレーム21とサイドフレーム11とに軸支されており、その延出端部には、不図示の操作レバーが取り付けられている。
渦巻きバネ33は、バックフレーム20をシート前方側に付勢する付勢バネであって、その一端部が、バックサイドフレーム21の外側面に取り付けられたバネ係止ブラケット40に係止され、他端部がサイドフレーム11の外側面に取り付けられたバネ係止部材34に係止されて構成されている。
【0030】
バネ係止ブラケット40は、
図3〜
図5に示すように、略L字形状の板金部材からなり、バックフレーム20の回転動作時に渦巻きバネ33の付勢力が掛かる部材であって、かつ、バックフレーム20の回転動作を規制するためのストッパー部材としても機能する。
バネ係止ブラケット40は、バックフレーム20のシート幅方向の外側面に取り付けられる基部41と、基部41の上端部分からシート幅方向の外側に突出している突出部42と、を有し、この突出部42の先端が渦巻きバネ33の一端部を係止するためのバネ係止部43となっている。
【0031】
バネ係止ブラケット40のうち、基部41とバネ係止部43の間の部分には、バックフレーム20が所定の前方回転位置、及び後方回転位置まで回転したときに、クッションフレーム10側にある被当接溝11eの壁部に当接する当接部44が形成されている。
ここで、被当接溝11eのうち、前方壁部11fと後方壁部11gとが、特許請求の範囲において被当接部に相当する。
また、基部41とバネ係止部43の間の部分には、当接部44よりも回転軸32の径方向の外側(上方側)に設けられ、かつ、当接部44よりも回転軸32の回転方向の前方側及び後方側にそれぞれ配置されているカバー部45が形成されている。
【0032】
基部41は、バックサイドフレーム21の外側面に対して溶接で接合されている部分であって、
図4、
図5に示すように、その外周部分のうち、リクライニングユニット31に近接した下端部分が、リクライニングユニット31の形に沿わせて湾曲した形状となっている。
そのため、バネ係止ブラケット40が、リクライニングユニット31と干渉することを抑制しながら、コンパクトな配置を実現できる。
また、基部41は、
図5に示すように、シート前後方向においてバネ係止部43よりも幅広となるように形成されている。そのため、バネ係止ブラケット40のバックフレーム20に対する連結剛性を向上させながらも、全体形状をコンパクト化し軽量化を果たせる。
【0033】
バネ係止部43は、段差形状からなる突出部42の先端位置に形成されており、かつ、当接部44の上端、及びカバー部45よりも下方位置に配置されている。
そのため、バネ係止ブラケット40において比較的剛性を必要とするバネ係止部43の剛性を確保でき、かつ、渦巻きバネ33の上下方向における大型化の抑制を配慮している。
【0034】
当接部44は、
図5に示すように、バックフレーム20が所定の回転位置まで回転したときに、バックフレーム20の回転移動を規制するためのストッパー部分であって、基部41及び突出部42のそれぞれ一部が切り起こされることで形成されている。
当接部44は、
図5(b)に示すように、略L字形状体からなり、突出部42の所定位置から下方に屈曲して延びている第1壁部44aと、第1壁部44aの下端部分からシート幅方向の内側に屈曲して延びて基部41に連結されている第2壁部44bと、を備えている。
このとき、第1壁部44aと第2壁部44bが連結されている部分が、クッションフレーム10の被当接溝11eの内部に収められており、前方壁部11f及び後方壁部11gとそれぞれ当接する当接部分44cとなっている。
【0035】
上記構成において、突出部42のうち、回転軸32の回転方向において当接部44とカバー部45の間にある部分には、上下方向に貫通した貫通孔46が形成されている。
そのため、バネ係止ブラケット40を一部切り起こして当接部44を形成するにあたり、量産加工性に優れた形状となる。
【0036】
また上記構成において当接部44の当接部分44cは、回転軸32の径方向においてバネ係止部43よりも内側(下方側)に配置されている。
そのため、当接部分44cが突出部42(バネ係止部43)と略同じ高さ位置に設けられている従来例と比較して、当接溝11e内部の隙間に異物が侵入し難い形状となる。
【0037】
カバー部45は、
図3、
図6に示すように、バックフレーム20が所定位置にいるときに、被当接溝11eを上方から覆うカバー部分であって、回転軸32の回転方向において当接部44よりも前方側に配置されている前方カバー部45aと、当接部44よりも後方側に配置されている後方カバー部45bと、を備えている。
前方カバー部45aは、回転軸32の回転方向においてバネ係止部43よりも前方側に張り出しており、後方カバー部45bは、バネ係止部43よりも後方側に張り出している。
【0038】
上記構成において、カバー部45a,45bは、それぞれ回転軸32の回転方向において当接部44よりも幅広となるように形成されている。
そのため、カバー部45が、当接部44と被当接溝11eにおける壁部(被当接部)との間の隙間を好適に覆うことができる。その結果、当該隙間に異物が侵入してしまうことを抑制できる。
【0039】
また上記構成において、カバー部45a,45bは、被当接溝11e及びリクライニングユニット31の形にそれぞれ沿わせて略円弧状に湾曲した形状となっている。
そのため、カバー部45が、当接部44と被当接溝11eにおける壁部(被当接部)との間の隙間を好適に覆うことができ、また、被当接溝11eから一部露出しているリクライニングユニット31についても好適に覆うことができる。
【0040】
次に、バネ係止ブラケット40の当接部44が、被当接溝11eの前方壁部11fに当接している状態を、
図6に基づいて説明する。
バックフレーム20が回転軸32を中心として回転移動すると、バネ係止ブラケット40の当接部44が被当接溝11eの中で回転移動する。
そして、バックフレーム20が所定の前方位置まで回転したときに、バックフレーム20の回転移動を規制すべく、当接部分44cと、被当接溝11eにおける前方壁部11fとが当接する構成となっている。
同様にして、バックフレーム20が所定の後方位置まで回転したときには、当接部分44cと、被当接溝11eにおける後方壁部11gとが当接する構成となっている。
【0041】
上記構成において、
図6に示すように、被当接溝11eはサイドフレーム11の上端部分に形成され、前方壁部11fと後方壁部11gとが、回転軸32の回転方向において当接部44(当接部分44c)を挟む位置に設けられている。
このように、クッションフレーム10側の所定位置に被当接部を形成するにあたって、サイドフレーム11に直接被当接溝11eを形成しているため、別途構成部品を増やす必要がなく、部品点数の削減、組み付け作業の容易化につながる。
【0042】
上記構成において、被当接溝11eは、リクライニングユニット31を外部から視認可能となるように、リクライニングユニット31の真上となる位置に形成されている。
そのため、被当接溝11eを利用して、リクライニングユニット31の組み付け状態を外部から容易に確認することができる。
【0043】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図6に示すように、バネ係止ブラケット40は、当接部44よりも前方側にある前方カバー部45aと、当接部44よりも後方側にある後方カバー部45bと、を備えているが、特に限定されることなく変更可能であって、カバー部45a,45bのうち、少なくとも一方を備えていれば良い。
【0044】
上記実施形態において、
図6に示すように、被当接溝11eの前方壁部11f、後方壁部11gが、クッションフレーム10側に設けられる被当接部として、サイドフレーム11の上端に形成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、サイドフレーム11とバックサイドフレーム21を連結する連結ブラケットや、サイドフレーム11を補強する補強フレーム等の構成部品を別途設けて、当該構成部品に被当接部を形成するようにしても良い。
【0045】
上記実施形態において、
図6に示すように、被当接溝11eの前方壁部11f、後方壁部11gが、被当接部としてサイドフレーム11の一部に形成されているが、特に限定されることなく形状変更可能である。
例えば、サイドフレーム11の上端部分の一部を上方に突出させて形成した突出部分を被当接部としても良いし、また、サイドフレーム11の上端部分の一部を下方に凹ませて形成した窪み部分の壁部を被当接部としても良い。
【0046】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、これに限定されることなく、電車、バス等の車両用シートのほか、飛行機、船等の乗り物用シートとしても利用することができる。
【0047】
本実施形態では、主として本発明に係る車両用シートSに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。