(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ブローバイガス通路に流通されるブローバイガスの流量を制御する第1流量制御弁と、 前記第2ブローバイガス通路に流通されるブローバイガスの流量を制御する第2流量制御弁と、をさらに備え、 前記内燃機関本体には、前記内燃機関本体からのブローバイガスに含まれるオイルミストを分離するためのオイルセパレータが接続されており、
前記第1流量制御弁および前記第2流量制御弁は、共に、前記オイルセパレータの出口に設けられている、請求項1または2に記載の過給機付き内燃機関の換気装置。
前記第1流量制御弁を閉じる方向に付勢する付勢力は、前記第2流量制御弁を閉じる方向に付勢する付勢力よりも大きく設定されている、請求項3に記載の過給機付き内燃機関の換気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたブローバイガス処理装置付き内燃機関では、エアクリーナにおける下流側フィルタの圧力差を利用して新気が内燃機関本体に供給されるため、吸入空気量が少ない(過給機の回転数(仕事量)が小さい状態を含む)場合など下流側フィルタでの圧力差が十分に得られない場合には、新気の内燃機関本体への供給量が十分に確保できないと考えられる。また、新気の内燃機関本体への供給量が不足する分、ブローバイガスの吸気通路への還流量も十分に確保できなくなる。このため、過給機付き内燃機関においてクランクケース内の換気性能が十分に得られないという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、内燃機関本体内の換気性能を十分に得ることが可能な過給機付き内燃機関の換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における過給機付き内燃機関の換気装置は、吸気装置と内燃機関本体とを連通する第1ブローバイガス通路と、吸気装置に接続されるスロットルバルブの上流かつ吸気側過給機の下流の部分と内燃機関本体とを連通する第1新気導入通路と、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の部分と内燃機関本体とを連通する第2ブローバイガス通路と
、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の部分と内燃機関本体とを連通する第2新気導入通路と、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の部分に一方側が接続された共通通路部と、を備え、非過給時に第1ブローバイガス通路を介して内燃機関本体からのブローバイガスが吸気装置に吸引され、かつ、
非過給時に第2新気導入通路を介して新気が内燃機関本体に導入されるように構成されるとともに、過給時に第2ブローバイガス通路を介して内燃機関本体からのブローバイガスが吸引され、かつ、第1新気導入通路を介して新気が内燃機関本体に導入されるように構成され
、第2ブローバイガス通路と第2新気導入通路とが共通通路部の他方側にそれぞれ接続されている。
【0009】
この発明の一の局面による過給機付き内燃機関の換気装置では、上記のように、非過給時に第1ブローバイガス通路を介して内燃機関本体からのブローバイガスを吸気装置に吸引し、かつ、第1新気導入通路を介して新気を内燃機関本体に導入するとともに、過給時に第2ブローバイガス通路を介して内燃機関本体からのブローバイガスを吸気装置に吸引し、かつ、第1新気導入通路を介して新気を内燃機関本体に導入するように構成する。これにより、非過給時には、吸気装置の負圧(吸引圧)を利用してブローバイガスを吸引しつつスロットルバルブよりも上流の第1新気導入通路を介して新気を内燃機関本体に導入することができる。また、過給時には、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流部分に生じる負圧(大気圧よりも顕著に低い吸引圧)を有効に利用してブローバイガスを確実に吸引しつつスロットルバルブの上流かつ吸気側過給機の下流部分に生じる正圧(過給圧)を利用して第1新気導入通路を介して新気を内燃機関本体に十分に供給することができる。なお、過給機の回転数が小さい状態でも内燃機関本体内の負圧と吸気側過給機下流の正圧とによって新気を内燃機関本体に容易に供給することができる。このように、過給の有無に関係なく吸気装置または吸気側過給機上流のいずれかの負圧(吸引圧)と吸気側過給機下流の正圧とを共に利用して、内燃機関本体における新気とブローバイガスとの置換を行うことができるので、内燃機関本体内の換気性能を十分に得ることができる。
また、特に、低負荷時(非過給時)にスロットルバルブの開度に応じたスロットルバルブの前後差圧(スロットルバルブの上流側と下流側との圧力差:吸気装置の負圧)が十分に得られない場合に、より大気圧(正圧)に近い吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の部分から新気を取り込んで第2新気導入通路を介して内燃機関本体に容易に導入することができる。
【0010】
上記一の局面による過給機付き内燃機関の換気装置において、好ましくは、第1新気導入通路に設けられ、内燃機関本体内部の圧力を制御するための内圧制御弁をさらに備える。
【0011】
このように構成すれば、内圧制御弁により内燃機関本体内部の圧力を大気圧よりも若干低い圧力(負圧)の状態に維持することができるので、過給時においても内燃機関本体内部の圧力がスロットルバルブの上流かつ吸気側過給機の下流の部分の圧力(正圧)よりも低い圧力に維持される分、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の部分の負圧(大気圧よりも顕著に低い吸引圧)を最大限に活用して、内燃機関本体からのブローバイガスを、第2ブローバイガス通路を介して吸引することができる。これに加えて、内燃機関本体内部の圧力が大気圧よりも若干低い圧力(負圧)の状態に維持される分、スロットルバルブの上流かつ吸気側過給機の下流の部分に生じる過給圧を利用して新気を第1新気導入通路を介して内燃機関本体に確実に導入することができる。また、過給の有無に関係なく内燃機関本体内部の圧力が大気圧よりも若干低い圧力(負圧)の状態に維持される分、過給機付き内燃機関の性能低下を極力抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による過給機付き内燃機関の換気装置において、好ましくは、第1ブローバイガス通路に流通されるブローバイガスの流量を制御する第1流量制御弁と、第2ブローバイガス通路に流通されるブローバイガスの流量を制御する第2流量制御弁と、をさらに備え、内燃機関本体には、内燃機関本体からのブローバイガスに含まれるオイルミストを分離するためのオイルセパレータが接続されており、第1流量制御弁および第2流量制御弁は、共に、オイルセパレータの出口に設けられている。
【0013】
このように構成すれば、内燃機関の運転状態(エンジン負荷状態)における過給の有無に関係なく、オイルセパレータによりオイルミスト(オイル成分)が分離されたブローバイガスを、第1ブローバイガス通路または第2ブローバイガス通路を介して内燃機関本体(吸気系統)に再循環(還流)させることができる。
【0014】
上記第1流量制御弁および第2流量制御弁をさらに備える構成において、好ましくは、第1流量制御弁を閉じる方向に付勢する付勢力は、第2流量制御弁を閉じる方向に付勢する付勢力よりも大きく設定されている。
【0015】
このように構成すれば、吸気側過給機の上流かつエアクリーナの下流の位置での負圧(大気圧よりも低い吸引圧)と比較して、内燃機関本体のピストンの往復動によるポンピングの負圧が相対的に大きい条件下で吸気装置に接続される第1ブローバイガス通路の第1流量制御弁が大型化するのを抑制することができる。すなわち、第1流量制御弁を閉じる方向に付勢する付勢力を調整することによって、より小型化された第1流量制御弁を用いて第1ブローバイガス通路に流通されるブローバイガスの流量を制御することができる
。
【0016】
上記一の局面による過給機付き内燃機関の換気装置において、以下の構成も考えられる。
【0017】
(付記項1)
すなわち、上記内圧制御弁をさらに備える内燃機関の換気装置において、内圧制御弁は、内燃機関本体内部の圧力が正圧にならないように制御するように構成されている。
【0018】
(付記項2)
また、上記第2新気導入通路をさらに備える過給機付き内燃機関の換気装置において、第2新気導入通路に設けられ、過給時に、内燃機関本体から吸気側過給機の上流にブローバイガスが逆流するのを防止する逆止弁をさらに備える
。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[
第1参考例]
図1〜
図6を参照して、
第1参考例によるエンジン100について説明する。
【0022】
(過給機付きエンジンの概略構成)
第1参考例による車両(自動車)用のエンジン100(過給機付き内燃機関)は、
図1に示すように、エンジン本体10(内燃機関本体)を備えている。エンジン本体10は、複数の気筒(シリンダ1a)が形成されたシリンダブロック1と、シリンダブロック1の上部に締結されるシリンダヘッド2と、シリンダブロック1の下部に締結されるクランクケース3と、シリンダヘッド2に被せられたヘッドカバー2aとを含む。また、エンジン本体10には、吸気系統30と排気系統40とが接続されている。エンジン100は、シリンダブロック1内でピストン4が往復動することにより吸引・圧縮・膨張(燃焼)・排気の1サイクルを連続的に繰り返してクランク軸5を回転させる機能を有している。
【0023】
シリンダヘッド2には、カムシャフトの回転により周期的に開閉される吸気バルブ6および排気バルブ7と、点火プラグ8とが組み込まれている。また、シリンダヘッド2は、燃焼室9と、燃焼室9に吸入空気を送り込む吸気ポート11と、既燃ガスが排出される排気ポート12とを有する。また、シリンダヘッド2の内部には、シリンダヘッド2とヘッドカバー2aとの間の内部空間とクランクケース3とを連通する新気連通路13が設けられている。また、エンジン100は、クランク軸5の回転から駆動力を取り出すことにより車両(図示せず)を走行させる駆動源の役割を有している。
【0024】
また、ガソリン機関からなるエンジン100は、排気タービン駆動式の過給機(ターボチャージャ)20を備えている。すなわち、過給機20は、共通の回転軸(タービンシャフト)に接続されたタービンホイール21とコンプレッサホイール22(吸気側過給機)とがハウジング20a内に回転可能に収容されている。また、過給機20は、タービンホイール21が排気ポート12の下流の排気装置41に接続されるとともに、コンプレッサホイール22が吸気ポート11の上流の吸気系統30に接続されている。そして、過給機20においては、エンジン100の排気ガスの力を受けてタービンホイール21が回転されることによりコンプレッサホイール22も回転される。これにより、コンプレッサホイール22に吸い込まれた空気が圧縮空気となって吐出されてシリンダ1aに供給されるように構成されている。エンジン100は、同一排気量の無過給エンジンに比べてシリンダ1aに多量の空気が供給されて充填効率が高められる分、エンジン出力が増加されている。
【0025】
また、エンジン100は、ブローバイガスの換気装置50を備えている。すなわち、ピストン4とシリンダ1aとの隙間を通って燃焼室9からクランクケース3内に吹き漏れるブローバイガス(燃焼ガスを含む未燃焼混合気)を吸気系統30に戻して燃焼室9で再び燃焼させる役割を有している。また、換気装置50は、クランクケース3内からブローバイガスを排出するのとともに吸気系統30からの新気(吸入空気の一部)をエンジン本体10(シリンダ1a以外のクランクケース3などの内部空間)に供給してエンジン本体10内の換気を行う役割を有している。
【0026】
第1参考例では、過給機20が搭載されたエンジン100の運転中におけるブローバイガスの換気方式について説明する。以下では、吸気系統30および排気系統40の構成を説明し、これらの構成を前提としたうえで、ブローバイガスの換気装置50の詳細な構成およびその機能について説明する。
【0027】
(吸気系統および排気系統の構成)
吸気系統30では、空気取入口30aからエンジン100の吸気ポート11(シリンダブロック1)に向かって、エアクリーナ31、過給機20におけるコンプレッサホイール22、インタークーラ32、スロットル弁(スロットバルブ)33、吸気装置34がこの順に接続されて構成されている。また、吸気系統30においては、大気圧となるエアクリーナ31の上流(空気取入口30a)を位置A、エアクリーナ31の下流かつコンプレッサホイール22の上流の部分を位置B、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の部分を位置Cとする。
【0028】
エアクリーナ31は、吸入空気に含まれるごみやほこりなどの異物を除去するとともに、下流に接続されているエアインレットダクト(図示せず)とともに吸気騒音を低減する役割を有している。インタークーラ32は、過給機20におけるコンプレッサホイール22より圧縮された吸入空気を冷却して温度を下げる役割を有する。これにより空気密度の増加が図られてシリンダ1aに対する吸入空気の更なる充填効率が向上される。スロットル弁33は、吸入空気量を制御する役割を有しており、開度が相対的に小さいほど吸入空気量が絞られるのでスロットル弁33の上流側と下流側との差圧(圧力損失)が増加される。
【0029】
吸気装置34は、サージタンク(図示せず)とサージタンクの下流側に配置され枝分かれする吸気管群(図示せず)を含む。また、スロットル弁33の下流側がサージタンクに接続されるとともに、吸気管群の下流側が吸気ポート11(シリンダブロック1)に接続されている。また、吸気装置34は、各シリンダ1aの上方に形成される燃焼室9に、シリンダヘッド2を介して吸入空気を分配供給する役割を有する。
【0030】
また、排気系統40では、排気ポート12(シリンダブロック1)からマフラー(図示せず)に向かって、排気装置41と、過給機20におけるタービンホイール21と、触媒コンバータ(図示せず)を含む排気管42とがこの順に接続されている。そして、吸気系統30に、ブローバイガスの換気を行う換気装置50が組み込まれている。
【0031】
(ブローバイガスの換気装置の構成)
換気装置50は、第1ブローバイガス通路51と、第2ブローバイガス通路52と、第1新気導入通路53とを備える。第1ブローバイガス通路51は、吸気装置34と、エンジン本体10におけるクランクケース3とを連通している。また、第2ブローバイガス通路52は、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bと、エンジン本体10におけるクランクケース3とを連通している。そして、
第1参考例では、第1新気導入通路53が、吸気装置34に接続されるスロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cと、エンジン本体10におけるヘッドカバー2aとを連通するように設けられている。
【0032】
また、エンジン本体10には、ブローバイガスに含まれるオイル成分(オイルミスト)を分離するためのオイルセパレータ60が接続されている。このオイルセパレータ60も換気装置50の一部を構成している。オイルセパレータ60においては、未燃焼混合気とオイルミストとが互いに分離され、分離され液化したオイルはクランクケース3に戻される。オイルセパレータ60は樹脂製であり、クランクケース3に接続されるブローバイガスを吸引する入口部63と、出口部61および出口部62を有している。なお、オイルセパレータ60は、エンジン本体10の下部の外表面に固定されており、入口部63がシリンダブロック1に形成された導入口に対して気密性を有して締結されている。
【0033】
また、
図1および
図2に示すように、オイルセパレータ60の出口部61には、第1流量制御弁71が設けられ、オイルセパレータ60の出口部62には、第2流量制御弁72が設けられている。第1流量制御弁71は、第1ブローバイガス通路51に流通されるブローバイガスの流量を制御するとともに、第2流量制御弁72は、第2ブローバイガス通路52に流通されるブローバイガスの流量を制御する役割を有している。したがって、第1ブローバイガス通路51は、オイルセパレータ60の出口部61から第1流量制御弁71を介して吸気装置34に接続されている。また、第2ブローバイガス通路52は、オイルセパレータ60の出口部62から第2流量制御弁72を介してコンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bに接続されている。なお、位置Bは、より大きな負圧を得るためにもエアクリーナ31の下流側でかつコンプレッサホイール22の吸引口により近付けられた位置がより好ましい。
【0034】
また、
図2に示すように、第1流量制御弁71は、内部が空洞を有するハウジング71aと、ハウジング71a内に収容された樹脂製の弁体75と、弁体75を機械的に付勢する巻きばね77とを含んでいる。第1流量制御弁71は、ハウジング71aにおける一方側(X2側)の部材71b内に巻きばね77および弁体75が挿入された状態で他方側(X1側)の部材71cが組み付けられている。なお、巻きばね77は、自然長から圧縮された状態で弁体75を閉じる方向(矢印X2方向)に付勢している。なお、第2流量制御弁72についても同様の構造を有しており、ハウジング72aにおける部材72b内に巻きばね78および樹脂製の弁体76が挿入された状態で他方側の部材72cが組み付けられている。また、巻きばね78は、自然長から圧縮された状態で弁体76を閉じる方向(矢印X2方向)に付勢している。
【0035】
また、第1流量制御弁71は、クランクケース3内のブローバイガス圧および吸気装置34における負圧の大きさによって巻きばね77が押し縮められる方向(矢印X1方向)に弁体75が移動された場合に、弁体75の移動量に応じた流量でブローバイガスが矢印X1方向に流通されるように構成されている。一方、第2流量制御弁72は、クランクケース3内のブローバイガス圧およびエアクリーナ31の下流かつコンプレッサホイール22の上流の位置Bにおける負圧の大きさによって巻きばね78が押し縮められる方向(矢印X1方向)に弁体76が移動された場合に、弁体76の移動量に応じた流量でブローバイガスが矢印X1方向に流通されるように構成されている。
【0036】
ここで、
第1参考例では、第1流量制御弁71を閉じる方向に付勢する巻きばね77の付勢力(ばね定数Ka)は、第2流量制御弁72を閉じる方向に付勢する巻きばね78の付勢力(ばね定数Kb)よりも大きく設定されている(Ka>Kb)。なお、
図2では、弁体76が移動されてオイルセパレータ60を通過したブローバイガスが第2ブローバイガス通路52に流通される様子(
図6に示す過給時における状態)を示している。
【0037】
これにより、エンジン100では、
図1に示すように、吸気系統30(吸気装置34)の吸気負圧によってクランクケース3内に発生したブローバイガスがオイルセパレータ60に吸引されて、オイルセパレータ60によってブローバイガスに含まれるオイル成分が分離される。そして、オイル成分が分離されたブローバイガスが第1流量制御弁71を含む第1ブローバイガス通路51を介して吸気装置34に還流される(
図5参照)か、または、第2流量制御弁72を含む第2ブローバイガス通路52を介してコンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bに還流される(
図6参照)。また、ブローバイガスの還流とともに、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cから導入された新気(吸入空気の一部)が、第1新気導入通路53を介してエンジン本体10におけるヘッドカバー2aに供給される。また、ヘッドカバー2aに供給された新気が新気連通路13を介してクランクケース3へと供給されることにより、エンジン本体10(クランクケース3)内部の換気が行われる。
【0038】
ここで、
第1参考例では、エンジン100の運転状態(過給の有無など)に応じて、換気装置50におけるブローバイガスおよび新気の循環経路(使用する通路の組合せ)が異なるように構成されている。すなわち、エンジン100における非過給時と過給時とで、ブローバイガスおよび新気の循環経路が部分的に異なるように構成されている。
【0039】
具体的には、
図5に示すように、エンジン100の負荷が小さく(低く)過給機20が機能を発揮しない非過給時においては、第1ブローバイガス通路51を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気装置34に吸引され、かつ、第1新気導入通路53を介して新気がエンジン本体10のヘッドカバー2aに導入される。この場合、吸気装置34における吸気負圧の大きさに応じてオイルセパレータ60の下流の第1流量制御弁71(
図2参照)が開かれて弁体75の移動量に応じた流量でブローバイガスが第1ブローバイガス通路51に流通される。そして、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cから導入(分岐導入)された新気が、第1新気導入通路53を介してエンジン本体10におけるヘッドカバー2aに供給される。
【0040】
また、
図6に示すように、エンジン100の負荷が大きく(高く)過給機20が機能を発揮する過給時においては、第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気系統30における位置Bの部分に吸引され、かつ、第1新気導入通路53を介して新気がエンジン本体10に導入される。この場合、コンプレッサホイール22の上流(エアクリーナ31の下流)の位置Bにおける負圧の大きさに応じてオイルセパレータ60の下流の第1流量制御弁72(
図2参照)が開かれて弁体76の移動量に応じた流量でブローバイガスが第2ブローバイガス通路52を介して位置Bに還流される。そして、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cから導入された新気が、第1新気導入通路53を介してエンジン本体10におけるヘッドカバー2aに供給される。なお、過給機20の回転数が小さい状態でもクランクケース3内の負圧とコンプレッサホイール22下流の正圧とによって新気がエンジン本体10に供給される。
【0041】
なお、大気圧を基準にした場合の非過給時における吸気装置34の吸気負圧の大きさは、過給時におけるコンプレッサホイール22の上流(エアクリーナ31の下流)の位置Bにおける負圧(吸引圧)の大きさよりもはるかに大きい。したがって、第1流量制御弁71の巻きばね77のばね定数Kaを第2流量制御弁72の巻きばね78のばね定数Kbよりも大きく(硬く)設定することにより、互いに異なる負圧(負圧源)であっても、弁体75および弁体76が同じような移動量の範囲で作動するように構成されている。
【0042】
また、
第1参考例では、第1新気導入通路53には、内圧制御弁80が設けられている。内圧制御弁80は、エンジン本体10内部の圧力が正圧にならないように制御する役割を有している。具体的には、
図3および
図4に示すように、内圧制御弁80は、ハウジング81と、弾性変形可能なダイヤフラム(弁体)82と、2個の巻きばね83および84と含んでいる。ハウジング81は、複数の圧力室(作動室)を有するように内壁部が構成されている。ダイヤフラム82は、複数の圧力室を互いに隔てるように形成されている。そして、内圧制御弁80は、ハウジング81内に2個の巻きばね83および84によってダイヤフラム82の上面82aおよび下面82bを互いに反対方向から挟み込んだ状態で、ダイヤフラム82の外周部がハウジング81内の内壁の所定位置に固定されている。すなわち、巻きばね83の下端部が上面82aに当接するとともに巻きばね84の上端部が下面82bに当接した状態で2個の巻きばね83および84が各々の座部81aおよび81bに保持されるように構成されている。
【0043】
これにより、内圧制御弁80には、シリンダヘッド2とヘッドカバー2aとの間の内部空間に連通する作動室85と、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cに連通する作動室86と、大気圧を引き込む圧力室87とが互いに区画されるように構成されている。なお、エンジン本体10の内圧が負圧になる場合に、ダイヤフラム82が
図4に示す状態となって作動室86とヘッドカバー2aの内部とが連通路88によって連通されるように、2個の巻きばね83および84のばね定数が設定されている。なお、内圧制御弁80は、ダイヤフラム(弁体)82が連通路88を完全に閉じるか(
図3参照)または完全に開くか(
図4参照)に作動されるわけではない。すなわち、エンジン本体10の内圧が位置C(
図1参照)よりも若干低い圧力であるならば、その差圧に応じてダイヤフラム82が移動して連通路88を僅かに開く作動状態も存在しうる。したがって、内圧制御弁80は、新気の流通量(供給量)を制御する機能も兼ね備えている。
【0044】
そして、
図3に示すように、たとえば、エンジン本体10の内圧が大気圧以上であった場合には、エンジン本体10の内圧が作動室85に作用してダイヤフラム82を下方(矢印Z2方向)に押し下げる(巻きばね84を押し縮める)。これにより、ダイヤフラム82の下面82bが下方に移動して作動室86と作動室85とを連通させる連通路88が閉じられる。一方、
図4に示すように、エンジン本体10の内圧が大気圧未満であった場合には、大気圧が圧力室87に作用するダイヤフラム82を上方(矢印Z1方向)に押し上げる(巻きばね83を押し縮める)。これにより、ダイヤフラム82の下面82bが上方に移動して作動室86と作動室85とを連通させる連通路88が開かれる。
【0045】
これにより、過給時に、第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気系統30における位置Bの部分に吸引され、かつ、第1新気導入通路53を介して新気がエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に供給される際に、内圧制御弁80によってエンジン本体10内部の圧力が正圧でない状態(大気圧よりも若干低い負圧の状態)に維持されるように構成されている。これにより、内圧制御弁80によりエンジン本体10内部の圧力が正圧でない状態(大気圧よりも若干低い負圧の状態)に維持されるので、過給時においてもエンジン本体10内部の圧力が負圧に維持される分、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bの負圧(大気圧よりも顕著に低くなる吸引圧)を最大限に活用して、エンジン本体10からのブローバイガスが第2ブローバイガス通路52を介して吸引される。加えて、エンジン本体10内部の圧力が負圧に維持される分、スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Cに生じる正圧(過給圧)を利用して、新気が第1新気導入通路53を介してエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に確実に導入される。
第1参考例によるエンジン100に搭載されるブローバイガスの換気装置50は、上記のように構成されている。
【0046】
(
第1参考例の効果)
第1参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0047】
第1参考例では、非過給時に、第1ブローバイガス通路51を介してエンジン本体10(クランクケース3)からのブローバイガスを吸気装置34に吸引し、かつ、第1新気導入通路53を介して新気をエンジン本体10(ヘッドカバー2a)に導入する。また、過給時に、第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10からのブローバイガスを吸気装置に吸引し、かつ、第1新気導入通路53を介して新気をエンジン本体10(ヘッドカバー2a)に導入するように構成する。これにより、非過給時には、吸気装置34の負圧(吸引圧)を利用してブローバイガスを吸引しつつスロットル弁33よりも上流の第1新気導入通路53を介して新気をエンジン本体10に導入することができる。また、過給時には、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流部分(位置B)に生じる負圧(大気圧よりも顕著に低い吸引圧)を有効に利用してブローバイガスを確実に吸引しつつスロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流部分(位置C)に生じる正圧(過給圧)を有効に利用して第1新気導入通路53を介して新気をエンジン本体10に十分に供給することができる。なお、過給機20の回転数が小さい状態でもクランクケース3内の負圧とコンプレッサホイール22下流の正圧とによって新気をエンジン本体10に容易に供給することができる。このように、過給の有無に関係なく吸気装置34またはコンプレッサホイール22のいずれかの負圧とコンプレッサホイール22下流の正圧とを共に利用して、クランクケース3内における新気とブローバイガスとの置換を行うことができるので、エンジン本体10内の換気性能を十分に得ることができる。
【0048】
また、
第1参考例では、エンジン本体10内部の圧力を制御する内圧制御弁80を第1新気導入通路53に設ける。これにより、内圧制御弁80によりエンジン本体10内部の圧力を大気圧よりも若干低い圧力(この場合は負圧)の状態に維持することができるので、過給時においてもエンジン本体10内部の圧力が位置Cよりも低い圧力(負圧)に維持される分、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bの負圧(大気圧よりも顕著に低くなる吸引圧)を最大限に活用して、エンジン本体10からのブローバイガスを、第2ブローバイガス通路52を介して吸引することができる。これに加えて、エンジン本体10内部の圧力が大気圧よりも若干低い圧力(負圧)の状態に維持される分、位置C(スロットル弁33の上流かつコンプレッサホイール22の下流部分)に生じる正圧(過給圧)を利用して新気を、第1新気導入通路53を介してエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に確実に導入することができる。また、過給の有無に関係なくエンジン本体10内部の圧力が負圧(大気圧よりも若干低い負圧の状態)に維持される分、過給機20が搭載されたエンジン100の性能低下を極力抑制することができる。
【0049】
また、
第1参考例では、第1ブローバイガス通路51に流通されるブローバイガスの流量を制御する第1流量制御弁71および第2ブローバイガス通路52に流通されるブローバイガスの流量を制御する第2流量制御弁72を共にオイルセパレータ60の出口部61および出口部62に設ける。これにより、エンジン100の運転状態(エンジン負荷状態)における過給の有無に関係なく、オイルセパレータ60によりオイルミストが分離されたブローバイガスを、第1ブローバイガス通路51または第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10(吸気系統30)に再循環(還流)させることができる。
【0050】
また、
第1参考例では、第1流量制御弁71を閉じる方向に付勢する巻きばね77のばね定数Kaを、第2流量制御弁72を閉じる方向に付勢する巻きばね78のばね定数Kbよりも大きく設定する。これにより、過給機20におけるコンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bでの負圧(大気圧よりも低い吸引圧)と比較して、エンジン本体10のピストン4の往復動によるポンピングの負圧が相対的に大きい条件下で吸気装置34に接続される第1ブローバイガス通路51の第1流量制御弁71が大型化するのを抑制することができる。すなわち、第1流量制御弁71を閉じる方向に付勢する巻きばね77の付勢力(ばね定数Ka)を調整することによって、より小型化された第1流量制御弁71を用いて第1ブローバイガス通路51に流通されるブローバイガスの流量を制御することができる。
【0051】
[
本実施形態]
次に、
図7および
図8を参照して、
本実施形態について説明する。この
本実施形態では、上記
第1参考例と異なり、換気装置250における位置B(
図7参照)からエンジン本体10に新気を導入するための第2新気導入通路54を設けた例について説明する。なお、図中において、上記
第1参考例と同様の構成には、同じ符号を付して図示する。
【0052】
(ブローバイガスの換気装置の構成)
本実施形態におけるブローバイガスの換気を行う換気装置250では、
図7に示すように、第2ブローバイガス通路52の途中の「位置D」と内圧制御弁80の下流の「位置E」とを連通する第2新気導入通路54を設けている。なお、第2ブローバイガス通路52のうち、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bと第2ブローバイガス通路52の途中の位置Dとの区間は、第2ブローバイガス通路52と第2新気導入通路54との共通通路部55として構成されている。
【0053】
すなわち、換気装置250では、位置Bに共通通路部55の一方側が接続されるとともに、他方側において第2ブローバイガス通路52および第2新気導入通路54がそれぞれ接続されている。また、第2新気導入通路54には、位置Dから位置Eへの新気の流通のみを許容する逆止弁90が設けられている。すなわち、逆止弁90は、過給時に、エンジン本体10から2新気導入通路54を介してコンプレッサホイール22の上流の位置Bにブローバイガスが逆流するのを防止する役割を有している。
【0054】
これにより、
本実施形態では、エンジン100の負荷が低く過給機20が機能を発揮しない非過給時においては、第1ブローバイガス通路51を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気装置34に吸引され、かつ、共通通路部55を含む第2新気導入通路54を介して新気がエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に導入されるように構成されている。すなわち、低負荷時(非過給時)にスロットル弁33の開度に応じたスロットル弁33の前後差圧(スロットル弁33の上流側と下流側との圧力差)が十分に得られない場合に、より大気圧(正圧)に近いコンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置D(位置B)から新気を取り込んでエンジン本体10に導入するように構成されている。
【0055】
なお、エンジン100の負荷が高く過給機20が機能を発揮する過給時においては、共通通路部55を含む第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気系統30における位置Bの部分に吸引され、かつ、第1新気導入通路53を介して新気がエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に導入される。この際、第2新気導入通路54に逆止弁90が設けられているので、過給時に第1新気導入通路53を介して取り込まれた新気がエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に導入されずに第2新気導入通路54を逆流してコンプレッサホイール22の上流(エアクリーナ31の下流)の位置Bに戻されるのが防止されている。なお、
本実施形態におけるその他の構成は、上記
第1参考例と同様である。
【0056】
(
本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
また、
本実施形態では、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置D(位置B)とエンジン本体10(ヘッドカバー2a)とを連通する第2新気導入通路54を備える。そして、非過給時に第2新気導入通路54を介して新気がエンジン本体10に導入されるように構成する。これにより、特に、低負荷時(非過給時)にスロットル弁33の開度に応じたスロットル弁33の前後差圧(スロットル弁33の上流側と下流側との圧力差:吸気装置34の負圧)が十分に得られない場合に、より大気圧(正圧)に近いコンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置D(位置B)から新気を取り込んで第2新気導入通路54を介してエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に容易に導入することができる。
【0058】
また、
本実施形態では、過給時にエンジン本体10からコンプレッサホイール22の上流にブローバイガスが逆流するのを防止する逆止弁90を第2新気導入通路54に設ける。これにより、過給時に第1新気導入通路53を介して取り込まれた新気がエンジン本体10に導入されずに第2新気導入通路54を逆流して位置B(コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流)に戻されるのを確実に防止することができる。したがって、第2新気導入通路54を設けた場合であっても、過給時に第2ブローバイガス通路52を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気系統30における位置Bの部分に吸引され、かつ、第1新気導入通路53を介して新気を確実にエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に導入することができる。
【0059】
また、
本実施形態では、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の位置Bに一方側が接続された共通通路部55を備える。そして、第2ブローバイガス通路52と第2新気導入通路54とを共通通路部55の他方側(位置D)にそれぞれ接続する。これにより、第2ブローバイガス通路52および第2新気導入通路54の一部(位置Bから位置Dまでの区間)を共通通路部55で代用することができる分、通路(配管)の本数が削減されて、ブローバイガスの換気装置250の構造を簡素化させることができる。なお、
本実施形態のその他の効果は、上記
第1参考例と同様である。
【0060】
[
第2参考例]
次に、
図9を参照して、
第2参考例について説明する。この
第2参考例では、上記
第1参考例と異なり、換気装置350における位置F(
図9参照)から、エンジン本体10に新気を導入するための第1新気導入通路53aを設けた例について説明する。
【0061】
第2参考例におけるブローバイガスの換気を行う換気装置350では、
図9に示すように、第1ブローバイガス通路51と、第2ブローバイガス通路52と、第1新気導入通路53aとを備える。すなわち、第1新気導入通路53aにおける新気の取り入れ口をコンプレッサホイール22の下流かつインタークーラ32の上流の「位置F」に設けている。これにより、ブローバイガスの還流とともに、インタークーラ32の上流かつコンプレッサホイール22の下流の位置Fから導入された新気が、第1新気導入通路53aを介してエンジン本体10に供給され、新気が新気連通路13を介してクランクケース3へと供給されることにより、クランクケース3の内部の換気が行われる。なお、
第2参考例におけるその他の構成は、上記
第1参考例と同様である。また、位置Eから新気を導入するように第1新気導入通路53aを構成しても、エンジン本体10内の換気性能を十分に得ることができる。
【0062】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0063】
たとえば、上
記実施形態では、排気タービン駆動式の過給機20を備えたエンジン100の換気装置
250に対して本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、クランク軸5の駆動力により駆動される過給機(スーパーチャージャ)を備えたエンジンの換気装置に対して本発明を適用してもよい。
【0064】
また、上
記実施形態では、内圧制御弁80において2個の巻きばね83および84を使用してダイヤフラム82を保持したが、本発明はこれに限られない。たとえば、巻きばね84を削減するとともに巻きばね83の端部をダイヤフラム82に固着して保持してもよい。また、ダイヤフラム82自体に
図3と
図4との間で形状が復元可能な弾性部材(螺旋状の巻きばね)を組み付けて「内圧制御弁」を構成してもよい。
【0065】
また、上
記実施形態では、第2新気導入通路54の下流端(逆止弁90よりも下流の部分)を内圧制御弁80の下流の位置Eに接続したが、本発明はこれに限られない。すなわち、第2新気導入通路54の下流端(逆止弁90よりも下流の部分)を内圧制御弁80の上流に接続してもよい。これにより、非過給時に、第1ブローバイガス通路51を介してエンジン本体10からのブローバイガスが吸気装置34に吸引され、かつ、第2新気導入通路54を介して新気がエンジン本体10(ヘッドカバー2a内)に導入される際にも、内圧制御弁80によってエンジン本体10内部の圧力が正圧でない状態(大気圧よりも若干低い負圧の状態)に維持されるので、新気を確実にエンジン本体10に導入することができる。
【0066】
また、上
記実施形態では、第2ブローバイガス通路52と第2新気導入通路54とに共通に使用される共通通路部55を設けたが、本発明はこれに限られない。すなわち、第2新気導入通路54を、コンプレッサホイール22の上流かつエアクリーナ31の下流の部分(位置Bと類似の位置)に直接的に接続してもよい。これにより、ブローバイガスのみが流通する第2ブローバイガス通路52と、新気のみが流通する第2新気導入通路54とを完全に独立させることができる。したがって、オイルセパレータ60で分離し切れなかったオイルミストが若干混入した新気が第2新気導入通路54に流通するのを回避することができるので、内圧制御弁80の内部にオイル成分が劣化したスラッジなどが生成するのを抑制することができる。
【0067】
また、上
記実施形態では、樹脂製のオイルセパレータ60をエンジン本体10の外表面に取り付けたが、本発明はこれに限られない。たとえば、金属材料を用いてオイルセパレータ60を構成してもよい。
【0068】
また、上
記実施形態では、ガソリン機関からなるエンジン100を備えた車両(自動車)に搭載される換気装置
250に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、ガソリンエンジン以外にも、過給機付きのディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどに対して本発明を適用することが可能である。