(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下に本発明の第1の実施の形態を説明する。各図面に共通な要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明では、媒体スタッカの一例として通帳スタッカを説明する。また媒体スタッカが取扱う媒体として、冊子状の通帳を一例として説明するが、カード状の媒体又は紙葉状の媒体であってもよい。
図1は、第1の実施の形態に関する自動取引装置を背面側から見た斜視図であり、
図2は、第1の実施の形態に関する自動取引装置を正面側から見た斜視図である。
【0014】
第1の実施の形態に関する自動取引装置1は、顧客の操作により現金の入出金取引又は通帳取引などの取引を行う。自動取引装置1の正面側(以下、「装置正面側」という)には、
図2に示すように、操作誘導画面が表示され顧客が操作する顧客操作部2と、紙幣及び硬貨の投入又は取出しを行う紙幣入出金口3及び硬貨入出金口4と、キャッシュカード等のカードの挿入及び返却を行うカード挿入返却口5、通帳10の挿入及び返却を行う通帳挿入返却口6が配置されている。
【0015】
一方、自動取引装置1の背面側(以下、「装置背面側」という)は、
図1に示すように、矢印A方向に開くことができるように背面扉1aが設けられている。自動取引装置1の内部は、装置下段には入出金する現金が収納された現金ユニット11が配置され、装置上段には通帳10への印字、磁気ストライプデータの読出し、書き込み処理等を行う通帳処理部7が配置されている。現金ユニット11は、装置正面側の紙幣入出金口3及び硬貨入出金口4と接続されており、通帳処理部7は装置正面側の通帳挿入返却口6と接続されている。そして、装置中央段には媒体スタッカとしての通帳スタッカ12が配置されており、通帳スタッカ12の扉としての通帳スタッカ扉13を矢印B方向に開くことにより通帳10を取り出せるようになっている。通帳スタッカ12は、通帳繰越しが発生したときに発行する新規通帳を複数冊保管し及び顧客が取忘れた旧通帳若しくは通帳発行の際のエラー通帳などを集積する。
【0016】
図3は、第1の実施の形態に関する通帳スタッカの構成を示す斜視図であり、
図4は、第1の実施の形態に関する通帳スタッカの構成を示す説明図である。なお、
図3は、通帳スタッカ12をスタッカ正面側から見た斜視図、即ち自動取引装置1の背面扉1aを開けて背面側から見た斜視図である。
図4(a)は通帳スタッカの上面図であり、
図4(b)はリンク部9の斜視図である。
通帳スタッカ12の外形は筐体で形成された直方体であり、スタッカ正面側の後述する開口部15aには通帳スタッカ扉13が開閉可能に設けられ、スタッカ背面側には図示しない通帳繰出機構及び通帳搬送機構が配置されている。
【0017】
通帳スタッカ12の内部には、
図3に破線で示すように、通帳10を集積する媒体スタック部としての通帳スタック部15と、リンク手段としての後述するリンク部9が設けられる。通帳スタック部15の外形は、筐体で形成された直方体であり、スタッカ正面側には、通帳10を取り出すための開口部15aが設けられ、スタッカ背面側には図示しない通帳繰出機構及び通帳搬送機構が配置されている。
【0018】
更に、通帳スタック部15の内部には、Z軸方向に上下動可能で通帳10を集積するステージ8が実装されている。ステージ8は図示しないステージ昇降手段により上下動可能であり、通帳10の冊数が増えると増えた分の自重で下降するようになっている。ステージ8は略直方体であり、上面図で見ると、通帳10と同等の形状乃至若干広い面積を有する。ただし、ステージ8は、スタッカ背面側の中央部には、後述するようにステージ切欠部81が上下方向に形成されている。
通帳スタッカ扉13は、通帳スタッカ12の扉回転支軸22を支軸として矢印B方向に回転し、通帳スタック部15の開口部15aを開閉する。通帳スタッカ扉13は開き易くするための取手21が設けられている。
【0019】
更に、
図4(a)に示すように、通帳スタッカ扉13の裏側にはリンク駆動手段としてのリンク駆動支点23が設けられている。リンク駆動支点23は、通帳スタッカ扉13の裏面に平行にかつ通帳スタッカ扉13に固定されたピン状の部品である。リンク駆動支点23は通帳スタッカ扉13の扉回転支軸22を中心とした開閉運動により、通帳スタッカ扉13と一体として回転する。リンク駆動支点23はこの回転運動をリンク部9の滑動に伝達するためにある。
【0020】
リンク手段としてのリンク部9は、リンク駆動支点23の回転運動を受けて開口部15aに向けて滑動する。即ち、リンク部9は、通帳スタッカ扉13の開動作に連動して開口部15aに向けてスライドする。リンク部9は、板状の部材であり、通帳スタッカ12内のスタッカ正面から奥方向(X軸方向)へ向かって配置される。リンク部9は、リンク駆動支点23から駆動力を受けるリンク受動部9−1、リンク受動部9−1の駆動力を奥方向(X軸方向)に伝えるリンクスライド部9−2、リンクスライド部9−2の駆動力を横方向(Y軸方向)に伝えるリンク折返し部9−3及びリンク折返し部9−3からの駆動力を受けて正面方向(X軸方向)にある通帳10を押圧する通帳プッシュ部9−4からなる。
リンク受動部9−1はリンク部9の先端、即ち通帳スタッカ扉13の裏面付近に位置する。リンク受動部9−1は、Y軸方向に設けられた第1の長孔としての長孔9aが設けられ、長孔9aは前述した通帳スタッカ扉13に固定されたリンク駆動支点23が嵌合する。
【0021】
リンクスライド部9−2はリンク部9の中間に位置する。リンクスライド部9−2は矢印C方向(X軸方向)に第2の長孔としての2本の長孔9b、9cが直列に設けられ、長孔9b、9cは通帳スタック部15の筐体に固定されたリンクスライド固定支点24a、24bが嵌合する。こうしてリンクスライド固定支点24a、24b及び長孔9b、9cは、リンク部9の矢印C方向の移動をガイドするガイド手段として機能する。
【0022】
リンク折返し部9−3は、リンクスライド部9−2と通帳プッシュ部9−4の間に位置する。押圧部としての通帳プッシュ部9−4はリンク部9の後端に位置する。即ち通帳プッシュ部9−4は通帳10に接触するように位置する。通帳プッシュ部9−4はリンク折返し部9−3から延びて通帳10に達し、通帳10の後端10−2を押圧して通帳10の先端10−1を開口部15aの外へ押し出す。
通帳プッシュ部9−4の先端には、
図4(b)に示すように垂直部9−5が形成され、通帳10に接触してステージ8上に集積された通帳10を押圧する。垂直部9−5のY軸方向の幅は、通帳プッシュ部9−4と同じである。垂直部9−5は上下に伸び、その長さは、ステージ8上に集積可能な通帳10の最大冊数に対応する長さである。そして、ステージ8には、前述のようにスタッカ背面側の中央部に、ステージ切欠部81が上下方向に形成され、このステージ切欠部81内を垂直部9−5が通過することによって通帳10を開口部15aの外へ押し出す。これにより、ステージ8が最上点から自重で下降して最下点に達する場合、ステージ8がどの高さであっても垂直部9−5が通帳10を押し出すことができる。ステージ切欠部81のX軸方向の長さは、通帳プッシュ部9−4及び垂直部9−5のX軸方向の長さの和と同等でよく、またY軸方向の幅は、通帳プッシュ部9−4及び垂直部9−5の幅より若干広い。
【0023】
なお、通帳プッシュ部9−4及び垂直部9−5の形状は、通帳10の押圧動作の安定性を確保するには、通帳10の後端10−2との接触面積が広い方がよいが、スタッカ背面側に配置される図示しない通帳繰出機構及び通帳搬送機構との接触を避けて設ける必要がある。
また、リンクスライド固定支点24a、24bは、通帳スタック部15の筐体に固定されることを説明したが、通帳スタッカ12の筐体に固定されるようにしてもよい。更にまた、リンク部9はZ軸方向に複数設ける構成としてもよい。
【0024】
以上の構成により第1の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12は以下のように動作する。
図5は第1の実施の形態に関する通帳スタッカの動作を示す上面図であり、
図6は第1の実施の形態に関する通帳スタッカの動作を示す斜視図である。以下、
図1乃至
図6を用いて通帳スタッカ12の動作を説明する。
まず、顧客が、
図2に示す顧客操作部2によって通帳による入出金取引を選択すると、通帳取引動作が開始される。すると、顧客操作部2は、通帳処理部7の通帳挿入返却口6から通帳10を挿入するよう操作誘導画面を表示する。
【0025】
そして、顧客が通帳10を挿入すると、通帳処理部7は、挿入された通帳10の磁気ストライプのデータを読み取り、入出金取引を行う。その後、取引結果が通帳10に印字され、通帳10は通帳挿入返却口6より返却される。ここで、通帳印字の際、通帳10の印字ページが満杯となった場合では、新たな通帳10を発行する旨を顧客操作部2に表示し、通帳10を返却する。
そして、返却されたこれらの通帳10を顧客が取忘れた場合、通帳10を通帳スタッカ12に回収する。即ち、図示しない通帳搬送機構にて取忘れ通帳10を通帳スタッカ12の通帳スタック部15に搬送する。他の取引によって通帳10の取忘れが複数回発生したときは、その都度順次、
図3に示すようにステージ8上に取忘れ通帳10を集積する。ステージ8上に集積された通帳10は図示しないステージ昇降手段によりその重さに応じてステージ8と共に降下する。
【0026】
そして、所定の冊数の通帳10がステージ8上に集積されると、自動取引装置1が一時停止され、保守員が呼び出される。保守員は、
図1に示すように、自動取引装置1の背面扉1aを矢印Aに示す方向に開き、次いで、通帳スタッカ12の通帳スタッカ扉13を矢印Bに示す方向に開く。
【0027】
すると、
図5に示すように、通帳スタッカ扉13が矢印B方向に回動すると、通帳スタッカ扉13の裏側に固定されたリンク駆動支点23も同様に扉回転支軸22を支点として矢印Bに示す方向に回動する。このリンク駆動支点23の回動により、リンク駆動支点23が嵌合したリンク受動部9−1の長孔9aにガイドされて、リンク部9は開口部15aの方向へ、即ち矢印C方向へスライドする。つまり長孔9aは、リンク受動部9−1にY軸方向に形成されているので、リンク駆動支点23の回動のうちX軸方向の移動量はリンク部9を矢印C方向(X軸方向)に移動させる移動量となる。
【0028】
よって、リンク受動部9−1の長孔9aは、リンク駆動支点23が嵌合することにより、リンク駆動支点23の移動方向(矢印B方向)を、リンク部9の開口部15a方向へのスライドに変換する方向変換手段として機能する。このとき、リンク部9は、リンクスライド部9−2に矢印C方向に形成された長孔9b、9cに嵌合したリンクスライド固定支点24a、24bにガイドされるので、矢印C方向へスライドする。そしてリンク折返し部9−3も矢印C方向へスライドする。
【0029】
このリンク部9のリンク折返し部9−3のスライド動作により、リンク部9のスタッカ背面側に設けた通帳プッシュ部9−4が矢印C方向へスライドし、垂直部9−5がステージ切欠部81を通過し、垂直部9−5は通帳10の後端10−2を押圧する。その結果、
図6に示すように、通帳10の先端10−1が通帳スタック部15の開口部15aから矢印C方向に押し出されることになる。
【0030】
このように、通帳スタッカ扉13を開く動作に連動して通帳10の先端10−1が押し出されてくるので、保守員は、手を通帳スタッカ12の奥まで伸ばす必要がなく、通帳10を見ながら掴んで取出すことができる。そして、保守員は、取り出した通帳10を別途用意した図示しない回収庫に移す。
【0031】
その後、保守員が通帳スタッカ扉13を閉じると、通帳スタッカ扉13は矢印Bの逆方向へ回動し、通帳スタッカ扉13の裏面に一体となったリンク駆動支点23も、これに連動し矢印Bの逆方向へ回動する。すると、リンク部9はリンクスライド支点24a、24bにガイドされて矢印Cの逆方向に移動し、もとの位置へ戻る。更に、保守員は
図1に示した自動取引装置1の背面扉1aも閉じた後、自動取引を再開させる。
【0032】
(第1の実施の形態の変形例)
図7は第1の実施の形態に関する通帳スタッカの変形例の構成を示す斜視図である。第1の実施の形態では、
図3に示すように通帳スタッカ12内に通帳スタック部15を設け、通帳スタッカ12と通帳スタック部15の隙間にリンク部9を設けるように説明した。そして、ステージ8の断面は方形とするものであった。しかしながら、第1の実施の形態に関する通帳スタッカの変形例は、
図7に示すように断面T字形状のステージ18とするものである。
【0033】
即ち、断面T字形状のステージ18は、幅広の上部18−1と幅狭の下部18−2からなり、上部18−1は第1の実施の形態と同様に複数の通帳10を集積する奥行(X軸方向)と幅(Y軸方向)を有する。下部18−2は、上部18−1を支持するものであり、奥行(X軸方向)は上部18−1と同じ長さであるが、幅(Y軸方向)は三分の一程度の長さである。従って、ステージ18の下部18−2の幅(Y軸方向)の左右は空間とすることができる。また、ステージ18は図示しないステージ昇降手段により上下動可能であり、通帳10の冊数が増えると増えた分の自重で下がるようになっている。また、通帳スタッカ12のスタッカ背面側には図示しない通帳繰出機構及び通帳搬送機構が配置されている。
【0034】
本変形例は、断面T字形状のステージ18の下部18−2の幅(Y軸方向)の左右の空間のうち、扉回転支軸22側の空間にリンク部9を配置する。これにより、通帳スタック部15を設けない構成とすることができる。そして、リンク部9の長孔9b、9cに嵌合したリンクスライド固定支点24a、24bは、ステージ18又は通帳スタッカ12の筐体に固定すればよい。このような構成とすることにより、上下動するステージ18が最下点の位置に移動したときでも、ステージ18とリンク部9が干渉することがないので、通帳スタッカ12と通帳スタック部15の隙間が不要となり、部品数の削減、省スペース化が可能となる。
【0035】
以上詳細に述べたように、第1の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12によれば、ステージ18上に通帳を集積する通帳スタック部15と、該通帳スタック部15の開口部15aを開閉可能な通帳スタッカ扉13を設け、前記通帳スタッカ扉13を開いて前記通帳スタック部15内の通帳10取出す通帳スタッカ12において、前記通帳スタッカ扉13を開く動作に連動して前記開口部15a側にスライドし、該スライドにより前記通帳10の後端10−2を押圧して通帳10の先端10−1を前記開口部15aの外に押し出すリンク手段9を設けたので、通帳スタッカ扉13を開いて通帳10を取出すときに手を通帳スタッカ12の奥まで伸ばす必要がなく、通帳10を見ながら掴んで取出すことができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に関する自動取引装置の通帳スタッカ12の構成を説明する。
図8は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの構成を示す斜視図であり、
図9は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの構成を示す上面図である。
【0037】
第2の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12は、集積された通帳10の通帳スタック部15の開口部15aを取り囲むように四隅において矢印C方向(X軸)に平行に配置された4個の可動ピン26と、4個の可動ピン26に架け渡された帯状伸縮部材20を設ける。更に、通帳スタッカ12は、4個の可動ピン26を吸引し通帳スタッカ12内に退避させる可動ピン駆動手段としての4個の吸引型のソレノイド駆動部30と、図示しない電源によりソレノイド駆動部30への通電をオンオフさせるスイッチ手段としてのスイッチ27aを設けたスイッチ部27と、Z方向に上下し通帳10を集積する断面T字形状のステージ28を設ける。
【0038】
4個の可動ピン26は、例えば磁性体の可動鉄芯からなり、
図8の破線a部に示したように圧縮バネ等の図示しない付勢手段で矢印C方向、即ちスタッカ正面側に付勢されている。そして、それぞれのストッパ26a内を貫通し、ストッパ26aにてガイドされる構成となっている。
各可動ピン26は、通常は上記付勢手段により矢印C方向に付勢された状態となっているが、ソレノイド駆動部30への通電によって矢印E方向に吸引される。通帳10の自重により上下方向に移動可能なステージ18が最下点の位置に移動したときに、ステージ18と可動ピン26が干渉しないように、ステージ18は断面T字形状となっている。
【0039】
なお、帯状伸縮部材20は、ゴム等の伸縮自在のゴム材料からなるが、通帳10を束ねることができれば、帯状でなくても輪ゴム状のものであってもよいし、可動ピン26は4個に限るものではなく、6個或いは8個又はそれ以上としてもよい。
また、ソレノイド駆動部30を可動ピン26にそれぞれに設けるのではなく、4個の可動ピン26を連結させておき、1つのソレノイド駆動部30にて全ての可動ピン26を矢印E方向に移動させるようにしてもよい。また、ソレノイド駆動部30への通電のための電力は自動取引装置1からの電力を用いてもよい。
その他の構成は、
図1〜
図3に示した第1の実施の形態に関する自動取引装置1及び通帳スタッカ12の構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明を省略する。
【0040】
以上の構成により第2の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12は以下のように動作する。ここで、自動取引装置1による顧客の操作について並びに通帳10をステージ18上に集積させる動作については、第1の実施の形態に関する自動取引装置1の動作と同様であるので簡略化のためにその説明を省略する。
【0041】
図10は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの動作を説明する上面図である。所定の冊数の通帳10がステージ18上に集積されると、自動取引装置1が一時停止され、保守員が呼び出され、集積された通帳10が取り出される。即ち、保守員は、自動取引装置1の背面扉1aを矢印A(
図1参照)のように開き、次いで、通帳スタッカ扉13を矢印Bのように開く。
【0042】
すると、
図10に示すように、通帳スタッカ扉13が矢印Bに示す回転動作をすると、通帳スタッカ扉13の裏側に固定されたリンク駆動支点23が扉回転支軸22を支点として矢印Bに示す方向に移動する。このリンク駆動支点23の移動により、リンク駆動支点23に嵌合した長孔9aにガイドされてリンク部9は矢印C方向へ移動する。このとき、リンク部9は、矢印C方向に形成された長孔9b、9cに嵌合したリンクスライド固定支点24a、24bにガイドされるので、矢印C方向へスライドする。
【0043】
図11及び
図12は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの動作説明図である。
図11(a)及び
図12(a)は通帳スタック部15の上面図であり、
図11(b)及び
図12(b)は通帳スタック部15の正面図である。
リンク部9のスライド動作により、リンク部9の後端に設けた通帳プッシュ部9−4が矢印C方向へスライドし、垂直部9−5がステージ切欠部81を通過し、垂直部9−5は集積された複数の通帳10の後端10−2を押圧する。その結果、
図10、
図11の矢印Cに示すように通帳10の先端10−1が通帳スタック部15の開口部15aの外に押し出され、通帳10の先端10−1はステージ18の矢印C側の端部18−3を越えてはみ出すことになる。
このとき、
図11に示すように、まだ可動ピン26はソレノイド駆動部30に吸引されることなく、帯状伸縮部材20は可動ピン26に架かった状態となっている。
【0044】
そして、保守員がスイッチ部27のスイッチ27aを押すと、ソレノイド駆動部30への通電がオンとなり、4個の可動ピン26がソレノイド駆動部30に吸引され、通帳スタッカ12内に退避する。このとき、
図11(a)の破線b部に示すように、4個の可動ピン26に架け渡された帯状伸縮部材20はストッパ26aによってE方向への移動が抑止されるので、矢印E方向に移動することなく、可動ピン26から外れる。
【0045】
すると、
図12(a)及び(b)に示すように、帯状伸縮部材20が矢印F方向に収縮する。
図13は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの動作を示す斜視図である。
図13に示すように、帯状伸縮部材20はステージ18の矢印C側の端部18−3を越えてはみ出した通帳10の先端10−1に巻付き、通帳10は束ねられる。こうして保守員は、帯状伸縮部材20にて束ねられた通帳10を通帳スタック部15の開口部15aから取り出し、図示しない回収庫に移すことができる。
【0046】
そして、スイッチ部27のスイッチ27aを再度押下することにより、ソレノイド駆動部30への通電がオフとなり、4個の可動ピン26が図示しない付勢手段の不勢力により開口部15a側に伸長してくる。すると新たな帯状伸縮部材20を4個の可動ピン26に架ける。なお、新たな帯状伸縮部材20ではなく、取り出した通帳10を束ねた帯状伸縮部材20を取り外し、可動ピン26に再び架けるようにしてもよい。
その後、通帳スタッカ扉13を閉じて、
図1に示した自動取引装置1の背面扉1aも閉じた後、自動取引を再開する。
【0047】
このように、通行スタッカ扉15を開く動作に連動して、通帳10の先端10−1が押し出されてきて、更に、スイッチ27aの押下により帯状伸縮部材20にて通帳10を束ねることができるので、通帳10を取出すときに通帳10の集積が崩れることがなく、集積された通帳10の集積順序も変わることがない。
【0048】
(第2の実施の形態の変形例)
図14は第2の実施の形態に関する通帳スタッカの変形例を示す説明図である。以上の第2の実施の形態の説明では、通帳スタッカ12を
図8に示すように、通帳スタッカ12の内部に通帳スタック部15を設け、通帳スタッカ12と通帳スタック部15の隙間にリンク部9を設けるように説明した。しかしながら、第2の実施の形態に関する通帳スタッカの変形例は
図14に示すように、断面T字形状のステージ18の下部18−2の幅(Y軸方向)の左右の空間のうち、扉回転支軸22側の空間に、リンク部9を配置することにより、通帳スタック部15を設けない構成とすることもできる。
即ち、このような構成とすることにより、上下動可能なステージ18が最下点の位置に移動したときでもリンク部9とステージ18が干渉することがないので、通帳スタッカ12と通帳スタック部15の隙間が不要となり、部品数の削減、省スペース化が可能となる。
【0049】
以上詳細に述べたように第2の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12は、開口部15aを取り囲むように帯状伸縮部材20を架けた4個の可動ピン26配置し、通帳スタッカ扉13を開いたときにリンク部9により通帳10の先端10−1を開口部15aの外に押し出した後、スイッチ27aの操作により4個の可動ピン26を通帳スタック部15内に移動させ、通帳10を帯状伸縮部材20にて束ねるようにした。これにより、第1の実施の形態に関する自動取引装置1の通帳スタッカ12の効果に加え、取出すときに通帳10の集積が崩れることがなく、集積された順序も変わることがない。
【0050】
(第3の実施の形態)
図15は第3の実施の形態に関する通帳スタッカのリンク部を示す説明図である。リンク部29は、板状の部材であり、通帳スタッカ12内のスタッカ正面から奥方向(X軸方向)へ向かって配置される。リンク部29は、リンク駆動支点23から駆動力を受けるリンク受動部29−1、リンク受動部29−1の駆動力を奥方向(X軸方向)に伝えるリンクスライド部29−2、リンクスライド部29−2の駆動力を横方向(Y軸方向)に伝えるリンク揺動部29−3及びリンク揺動部29−3からの駆動力を正面方向(X軸方向)にある通帳10に伝える通帳プッシュ部29−4と垂直部29−5からなる。
【0051】
リンク受動部29−1は前述の第1の実施の形態に関するリンク受動部9−1と同じであるので説明を省略する。
リンクスライド部29−2は、第1の実施の形態に関するリンクスライド部9−2と同じであるので説明を省略する。ただし、次に説明するリンク揺動部29−3とは、リンクスライド部29−2の一端が回転自在に接続されている。
【0052】
リンク揺動部29−3は、リンクスライド部29−2と通帳プッシュ部29−4との間に設けられ、一端31を中心に矢印Gで示す方向に揺動可能に設けられる。リンク揺動部29−3の他端32は通帳プッシュ部29−4と回転可能に接続され、リンク揺動部29−3の中間33はリンクスライド部29−2と回転可能に接続される。これにより、リンクスライド部29−2が矢印C方向にスライドすると、通帳プッシュ部29−4は同じく矢印C方向にスライドし、垂直部29−5がステージ切欠部81を通過し、垂直部29−5は通帳10の後端10−2を押して通帳10の先端10−1を開口部15aの外に押し出すことができる。
通帳プッシュ部29−4及び垂直部29−5は第1の実施の形態に関する通帳プッシュ部9−4及び垂直部9−5と同じであるので説明を省略する。
【0053】
以上のように第3の実施の形態によれば、リンク部29において、リンクスライド部29−2と通帳プッシュ部29−4の間にリンク揺動部29−3を設けたので、通帳プッシュ部29−4による矢印C方向のスライド幅をリンクスライド部29−2のスライド幅より大きくすることができる。その結果、通帳10が大きく押し出され、通帳を取出すときに容易に取り出すことができる。