特許第6544186号(P6544186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544186
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】光デバイス及び光システム
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/18 20060101AFI20190705BHJP
   G02B 27/22 20060101ALI20190705BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20190705BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20190705BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190705BHJP
【FI】
   G09F13/18 Z
   G02B27/22
   G09F19/12 A
   F21V8/00 330
   F21Y115:10
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-199578(P2015-199578)
(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-72727(P2017-72727A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田上 靖宏
(72)【発明者】
【氏名】北村 智和
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−297072(JP,A)
【文献】 特許第5701434(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/18
F21V 8/00
G02B 27/22
G09F 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備え、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きく、
前記第2領域内の前記第1領域に隣接する部分領域において前記第2光出射部が前記第2出射面から出射させる単位面積あたりの光の放射量は、前記第1領域内の前記第2領域に隣接する領域において前記第1光出射部が前記第2出射面から出射させる単位面積あたりの光の放射量と略等しい光デバイス。
【請求項2】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備え、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きく、
前記第2領域において前記第2光出射部が前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第1領域から離れるほど小さい
光デバイス。
【請求項3】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備え、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きく、
前記第2光出射部が有する前記複数の光学面は、前記第1領域から離れているほど、より小さいパターン密度で形成されている
光デバイス。
【請求項4】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備え、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きく、
前記第2光出射部が有する前記複数の光学面は、前記第1領域から離れるほど、より小さい面積を持つ
光デバイス。
【請求項5】
前記第2光出射部は、前記導光板において前記第1光出射部が設けられた面とは反対側に設けられる
請求項1からのいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1光出射部は、前記導光板の前記第2出射面側に設けられ、
前記第2光出射部は、前記第1出射面側に設けられる
請求項1からのいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記第1光出射部が前記第1出射面から出射させる光によって、前記導光板外の前記第1出射面側の位置から視認可能な像が形成される
請求項1からのいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第2光出射部が前記第2出射面から出射させる光によって、前記第2出射面から出射する光で形成される像は、前記第1出射面から出射する光で形成される像より、ぼけが大きい
請求項に記載の光デバイス。
【請求項9】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備え、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きく、
前記第2光出射部は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、前記第1光出射部が前記第2出射面から出射させる光の色の補色の光を、前記第2出射面から出射させ、
前記第1光出射部及び前記第2光出射部が前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第1領域及び前記第2領域にわたって略均一である
光デバイス。
【請求項10】
前記第2光出射部は、前記第1領域及び前記第2領域に設けられ、前記第2出射面から白色光を出射させ、
前記第2光出射部が前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きい
請求項1からのいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記第1光出射部は、前記導光板によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点又は収束線に実質的に収束する又は空間上の1つの収束点又は収束線から実質的に発散する方向の出射光を前記第1出射面から出射させる光学面をそれぞれ有する複数の第1光収束部を有し、
前記収束点又は収束線は前記複数の第1光収束部の間で互いに異なり、複数の前記収束点又は収束線の集まりによって空間上に像が形成される
請求項1から10のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項12】
前記複数の第1光収束部は、前記第1出射面に平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成される
請求項11に記載の光デバイス。
【請求項13】
前記第2光出射部は、前記導光板によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点又は収束線に実質的に収束する又は空間上の1つの収束点又は収束線から実質的に発散する方向の出射光を前記第2出射面から出射させる光学面をそれぞれ有する複数の第2光収束部を有し、
前記第2光出射部から出射される光の前記収束点又は収束線は前記複数の第2光収束部の間で互いに異なり、前記第2光出射部から出射される光の複数の前記収束点又は収束線の集まりによって空間上に像が形成される
請求項1から12のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項14】
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のパターン密度は30%以下である
請求項1から13のいずれか1項に記載の光デバイス。
【請求項15】
第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、
前記導光板の第1領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、
前記導光板の第2領域に設けられ、前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を前記第1出射面及び前記第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部と
を備える光デバイスであって、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量は、前記第1光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第2出射面から出射させる光の放射量は、前記第2光出射部が有する前記複数の光学面のそれぞれが前記第1出射面から出射させる光の放射量より大きい、光デバイスと、
前記光デバイスの前記第2出射面に対向して設けられた第2光デバイスと
を備え、
前記第2光デバイスは、
出射面に平行な面内で光を導く第2導光板と、
前記導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を、前記第2導光板の前記出射面から出射させる複数の光学面を有する光出射部と
を備え、
前記第2導光板の前記出射面と反対側の面は、前記導光板の前記第2出射面に対向し、
前記第1光出射部が有する前記複数の光学面が前記第1出射面から出射させる光によって、前記導光板外の前記第1出射面側の位置から視認可能な像が形成され、
前記第2導光板の前記光出射部が有する前記複数の光学面が前記出射面から出射させる光によって、前記第2導光板外の前記出射面側の位置から視認可能な像が形成される
光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微小な凹部からなる反射ドットを複数形成した導光板を2枚併設して、2つの表示体を同時若しくは交互に表示する光点式表示器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1 特開2002−297070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
透光性を有する導光板を用いた場合に、導光板の出射面から出射させようとする光が当該出射面でフレネル反射することで、出射面とは反対側の背面から光が漏れてしまう場合がある。また、導光板の背面等に形成した複数の光学面を通過して背面から光が漏れてしまう場合がある。そのため、導光板の出射面とは反対側にいる人にも、漏れ光による模様等が認識されてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様においては、光デバイスは、第1出射面に平行な面内で光を導く導光板と、導光板の第1領域に設けられ、導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を第1出射面及び第1出射面とは反対側の第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第1光出射部と、導光板の第2領域に設けられ、導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を第1出射面及び第2出射面から出射させる複数の光学面を有する第2光出射部とを備え、第1光出射部が有する複数の光学面のそれぞれが第1出射面から出射させる光の放射量は、第1光出射部が有する複数の光学面のそれぞれが第2出射面から出射させる光の放射量より大きく、第2光出射部が有する複数の光学面のそれぞれが第2出射面から出射させる光の放射量は、第2光出射部が有する複数の光学面のそれぞれが第1出射面から出射させる光の放射量より大きい。
【0005】
第2領域内の第1領域に隣接する部分領域において第2光出射部が第2出射面から出射させる単位面積あたりの光の放射量は、第1領域内の第2領域に隣接する領域において第1光出射部が第2出射面から出射させる単位面積あたりの光の放射量と略等しくてよい。
【0006】
第2領域において第2光出射部が第2出射面から出射させる光の放射量は、第1領域から離れるほど小さくてよい。
【0007】
第2光出射部が有する複数の光学面は、第1領域から離れているほど、より小さいパターン密度で形成されていてよい。
【0008】
第2光出射部が有する複数の光学面は、第1領域から離れるほど、より小さい面積を持ってよい。
【0009】
第2光出射部は、導光板において第1光出射部が設けられた面とは反対側に設けられてよい。
【0010】
光第1出射部は、導光板の第2出射面側に設けられ、第2光出射部は、第1出射面側に設けられてよい。
【0011】
第1光出射部が有する複数の光学面が第1出射面から出射させる光によって、導光板外の第1出射面側の位置から視認可能な像が形成されてよい。
【0012】
第2光出射部が有する複数の光学面が出射させる光によって、第2出射面から出射する光で形成される像は、第1出射面から出射する光で形成される像より、ぼけが大きくてよい。
【0013】
第2光出射部は、第1領域及び第2領域に設けられ、第1光出射部が第2出射面から出射させる光の色の補色の光を、第2出射面から出射させ、第1光出射部及び第2光出射部が第2出射面から出射させる光の放射量は、第1領域及び第2領域にわたって略均一であってよい。
【0014】
第2光出射部は、第1領域及び第2領域に設けられ、第2出射面から白色光を出射させ、第2光出射部が第2出射面から出射させる光の放射量は、第1光出射部が第2出射面から出射させる光の放射量より大きくてよい。
【0015】
第1光出射部は、導光板によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点又は収束線に実質的に収束する又は空間上の1つの収束点又は収束線から実質的に発散する方向の出射光を第1出射面から出射させる光学面をそれぞれ有する複数の光収束部を有し、収束点又は収束線は複数の光収束部の間で互いに異なり、複数の収束点又は収束線の集まりによって空間上に像が形成されてよい。
【0016】
複数の光収束部は、第1出射面に平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成されてよい。
【0017】
第2光出射部は、導光板によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点又は収束線に実質的に収束する又は空間上の1つの収束点又は収束線から実質的に発散する方向の出射光を第2出射面から出射させる光学面をそれぞれ有する複数の第2光収束部を有し、第2光出射部から出射される光の収束点又は収束線は複数の第2光収束部の間で互いに異なり、第2光出射部から出射される光の複数の収束点又は収束線の集まりによって空間上に像が形成される。
【0018】
第1出射部が有する複数の光学面のパターン密度は30%以下であってよい。
【0019】
第2の形態における光システムは、上記の光デバイスと、光デバイスの第2出射面に対向して設けられた第2光デバイスとを備え、第2光デバイスは、出射面に平行な面内で光を導く第2導光板と、導光板によって導かれている光が入射し、入射した光を、第2導光板の出射面から出射させる複数の光学面を有する光出射部とを備え、第2導光板の出射面と反対側の面は、導光板の第2出射面に対向し、第1光出射部が有する複数の光学面が第1出射面から出射する光によって、導光板外の第1出射面側の位置から視認可能な像が形成され、第2導光板の光出射部が有する複数の光学面が出射面から出射する光によって、第2導光板外の出射面側の位置から視認可能な像が形成される。
【0020】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態における表示装置10を、空間上に投影される立体像と共に概略的に示す。
図2】表示装置10のyz断面を概略的に示す。
図3】出射面71及び背面72のそれぞれの面から出射する単位面積あたりの光放射量の分布を示す。
図4】反射面41を設けない場合の背面72の漏れ光を概略的に示す。
図5】反射面41を設けた場合の背面72からの漏れ光を概略的に示す。
図6】表示装置10の変形例としての表示装置10Aのyz断面を概略的に示す。
図7】表示装置10の変形例としての表示装置10aを、空間上に投影される立体像と共に概略的に示す。
図8】表示装置10の変形例としての表示装置10Bのyz断面を概略的に示す。
図9】背面72bからの漏れ光を概略的に示す。
図10】表示装置10Bの変形例としての表示装置10Cのyz断面を概略的に示す。
図11】背面72cからの漏れ光を概略的に示す。
図12】表示装置100のyz断面を概略的に示す。
図13】表示装置100によって形成される像を概略的に示す。
図14】表示装置100を用いた改札機システム900を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、一実施形態における表示装置10を、空間上に投影される立体像と共に概略的に示す。なお、分かり易く説明することを目的として、実施形態の説明に用いる図は概略的又は模式的なもとする。実施形態の説明に用いる図は、実際のスケールで描かれていない場合がある。
【0024】
表示装置10は、光を出射する出射面71を有する。表示装置10は、出射面71から出射する光によって、立体像としての像6を形成する。像6は、ユーザによって空間上に認識される立体像である。なお、立体像とは、表示装置10の出射面71とは異なる位置にあるように認識される像をいう。立体像とは、例えば、表示装置10の出射面71から離れた位置に認識される2次元像も含む。つまり、立体像とは、立体的な形状として認識される像だけでなく、表示装置10の表示面上とは異なる位置に認識される2次元的な形状の像も含む概念である。
【0025】
表示装置10は、導光板70と、光源20とを備える。導光板70は、透明で屈折率が比較的に高い樹脂材料で成形される。導光板70を形成する材料は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、ガラス等であってよい。導光板70は、光デバイスの一例である。表示装置10は、光システムの一例である。
【0026】
導光板70は、出射面71と、出射面71とは反対側の背面72とを有する。出射面71は、導光板70の一方の主面であり、背面72は、他方の主面である。また、導光板70は、導光板70の四方の端面である端面73、端面74、端面75及び端面76を有する。端面73は、導光板70の入光端面である。端面73には光源20が設けられ、光源20からの光は、端面73から導光板70に入射する。端面74は、端面73とは反対側の面である。端面76は、端面75とは反対側の面である。
【0027】
実施形態の説明において、x軸、y軸及びz軸の右手系の直交座標系を用いる場合がある。z軸方向を、出射面71に垂直な方向で定める。背面72から出射面71への向きをz軸プラス方向と定める。また、y軸方向を、端面73に垂直な方向で定める。端面73から端面74への向きをy軸プラス方向と定める。x軸は、端面75及び端面76に垂直な方向であり、端面75から端面76への向きをx軸プラス方向と定める。なお、記載が冗長にならないよう、xy平面に平行な面のことをxy面、yz平面に平行な面のことをyz面、xz平面に平行な面のことをxz面と呼ぶ場合がある。
【0028】
光源20は、例えば、LED光源である。光源20の光軸は、y軸に実質的に平行である。光源20からの光は、端面73に入射して、光源20から端面73に入射した光は、出射面71と背面72との間を全反射しながら、導光板70内を出射面71に平行な面内で広がりながら導光板70内を進む。導光板70に導かれる光の中心は、y軸に実質的に平行である。このように、導光板70は、光源20からの光を出射面71に平行な面内で面状に広げて導く。導光板70内を導かれて導光板70内の各位置を通過する光束は、導光板70内の各位置で所定値より小さい広がり角を持つ。具体的には、導光板70内を導かれている光は、導光板70内の各位置と光源20とを結ぶ方向を中心として所定値より小さい広がり角を持つ。具体的には、導光板70内の各位置を通過する光束は、xy面内において、導光板70内の各位置と光源20とを結ぶ方向を中心として所定値より小さい広がり角を持つ。なお、本明細書において、導光板内外の点を通過する光束の広がりとは、当該光束がその点から発散する光とみなした場合の光の広がりのことをいう。また、導光板内外の点を通過する光束の広がりのことを、単に光の広がりと呼ぶ場合がある。
【0029】
導光板70の背面72には、光収束部30a、光収束部30b及び光収束部30cを含む複数の光収束部30が形成されている。光収束部30はx軸方向に実質的に連続して形成されている。光収束部30のx軸方向の各位置には、光源20から端面73に入射されて出射面71と背面72との間を全反射しながら導光板70によって導かれている光が入射する。
【0030】
ここで、導光板70によって導かれる光がyz面に沿う方向に広がりを有しないものとして説明する。光収束部30は、光収束部30の各位置に入射した光を、光収束部30にそれぞれ対応する定点に実質的に収束させる。図1には、光収束部30の一部として、光収束部30a、光収束部30b及び光収束部30cが特に示され、光収束部30a、光収束部30b及び光収束部30cのそれぞれにおいて、光収束部30a、光収束部30b及び光収束部30cのそれぞれから出射された複数の光線が収束する様子が示されている。
【0031】
具体的には、光収束部30aは、像6上の定点PAに対応する。光収束部30aの各位置からの光線は、定点PAに収束する。したがって、光収束部30aからの光の波面は、定点PAから発するような光の波面となる。同様に、光収束部30bは、像6上の定点PBに対応し、光収束部30bからの各位置からの光線は、定点PBに収束する。また、光収束部30cは、像6上の定点PCに対応し、光収束部30cからの各位置からの光線は、定点PCに収束する。このように、任意の光収束部30の各位置からの光線は、光収束部30に対応する定点に実質的に収束する。これにより、任意の光収束部30によって、対応する定点から光が発するような光の波面を提供できる。各光収束部30が対応する定点は互いに異なり、光収束部30にそれぞれ対応する複数の定点の集まりによって、空間上に認識される像6が形成される。このように、光収束部30が有する複数の反射面が出射面71から出射する光によって、導光板70外の出射面71側の位置から視認可能な像が形成される。このようにして、表示装置10は空間上に立体像を投影する。
【0032】
本実施形態において、光収束部30のそれぞれは、x軸方向に実質的に連続して形成された多数の反射面を含む。1つの光収束部30が有する反射面は、互いに向きが異なり、それぞれ入射光を光収束部30に対応する1つの定点に向けて反射する向き収束する。これにより、光収束部30がそれぞれ有する反射面の反射光は、光収束部30に対応する1つの定点に収束する。例えば、光収束部30aが有する複数の反射面のそれぞれによる複数の反射光の光線は、定点PAに収束する。また、光収束部30bが有する複数の反射面のそれぞれによる複数の反射光の光線は、定点PBに収束する。また、光収束部30cが有する複数の反射面のそれぞれによる複数の反射光の光線は、定点PCに収束する。
【0033】
上述したように、導光板70によって導かれている光は、xy面内において、導光板70内の各位置と光源20とを結ぶ方向を中心として所定値より小さい広がり角を持つ。すなわち、導光板70によって導かれている光は、xy面内において、導光板70内の各位置と光源20とを結ぶ方向のまわりに実質的に広がりを有しない。光収束部30が光源20から離れた位置に設けられている場合、導光板70によって導かれている光は、光収束部30が設けられた位置において、概ねy軸方向を中心とする向きに進み、xy面内において実質的に広がりを有しない。したがって、例えば定点PAを含みxz平面に平行な面では、光収束部30aからの光は実質的に1つの定点に収束する。
【0034】
図1に示されるように、光収束部30aは、線190aに沿って形成されている。光収束部30bは、線190bに沿って形成されている。光収束部30cは、線190cに沿って形成されている。ここで、線190a、線190b及び線190cは、x軸に略平行な直線である。任意の光収束部30は、x軸に略平行な直線に沿って実質的に連続的に形成される。
【0035】
このように、光収束部30は、出射面71に平行な面内でそれぞれ予め定められた線に沿って形成されている。そして、光収束部30のそれぞれは、導光板70によって導かれている光が入射し、空間上の1つの収束点に実質的に収束する方向の出射光を出射面71から出射させる。なお、定点が導光板70の背面72側の場合は、出射光は、定点から発散する方向の光となる。したがって、定点が導光板70の背面72側の場合、光収束部30が有する反射面は、空間上の1つの収束点から実質的に発散する方向の出射光を出射面71から出射させる。
【0036】
なお、導光板70によって導かれる光がyz面に沿う方向に広がりを有しない場合、上述したように、光収束部30からの光は定点に実質的に収束する。一方、導光板70によって導かれる光がyz面に沿う方向に広がりを有する場合、光収束部30の反射面で反射した光は、yz面に平行かつ出射面に平行な収束線上に実質的に収束する。例えば、光収束部30aによる光は、PAを含み、yz面に平行かつ出射面に平行な線上に実質的に収束する。定点が導光板70の背面72側の場合も同様に、光収束部30が有する反射面は、空間上の1つの収束線から実質的に発散する方向の出射光を出射面71から出射させる。
【0037】
導光板70は、xy面内において、領域81と領域82とに分けられる。領域81は、光収束部30が形成された領域である。領域82は、領域81の周囲の一部の領域である。領域82は、領域81を環囲する。領域82は、複数の反射面41が形成された領域である。光収束部30が有する複数の反射面に入射した光は、主として出射面71から出射するが、一部が漏れ光として背面72から出射する。一方、領域82に設けられた複数の反射面41に入射した光は、主として背面72から出射する。領域82の反射面41が背面72から出射させる光の明るさは、光収束部30の反射面31が背面72から出射させる光の明るさと同程度である。そのため、反射面41が存在しない場合と比較して、背面72から出射する光放射量のムラが小さくなる。したがって、背面72から漏れる光が、背面72側にいる観察者の目に目立って見えることを抑制できる。
【0038】
図2は、表示装置10のyz断面を概略的に示す。反射面31は、背面72に設けられる。反射面31に入射した光の大部分は反射面31で反射して出射面71に向かう。反射面31に入射した光の一部は、反射面31を通過して背面72から漏れ光として外部に出射する。また、反射面31で反射して出射面71に向かった光の大部分は、出射面71を通過して外部に出射する。反射面31で反射して出射面71に向かった光の一部が、出射面71で反射して背面72に向かい、背面72から漏れ光として出射する。このように、反射面31は、入射した光を出射面71及び背面72から出射させる。ここで、領域81に形成された複数の反射面31のそれぞれが出射面71から出射する単位面積あたりの光放射量32は、領域81に形成された複数の反射面31のそれぞれが背面72から出射する単位面積あたりの光放射量33より大きい。
【0039】
一方、反射面41は、出射面71に設けられる。反射面41に入射した光の大部分は反射面41で反射して背面72に向かう。反射面41に入射した光の一部は、反射面41を通過して出射面71から漏れ光として外部に出射する。また、反射面41で反射して背面72に向かった光の大部分は、背面72を通過して外部に出射する。反射面41で反射して背面72に向かった光の一部が、背面72で反射して出射面71に向かい、出射面71から出射する。このように、反射面41は、入射した光を出射面71及び背面72から出射させる。ここで、領域82に形成された複数の反射面41のそれぞれが背面72から出射する単位面積あたりの光放射量43は、領域82に形成された複数の反射面のそれぞれが出射面71から出射する単位面積あたりの光放射量42より大きい。
【0040】
背面72から出射する光の単位面積あたりの光放射量について、少なくとも領域81及び領域82の境界に隣接する部分領域において、領域82からの光放射量43は、領域81からの光放射量33と略等しい。すなわち、少なくとも、領域82内の領域81に隣接する部分領域において反射面41が背面72から出射する単位面積あたりの光放射量は、領域81内の領域82に隣接する領域において、反射面31が背面72から出射する単位面積あたりの光放射量と略等しい。これにより、領域81と領域82の境界領域が目立って見えることを抑制できる。
【0041】
図3は、出射面71及び背面72のそれぞれの面から出射する単位面積あたりの光放射量の分布を示す。図4は、反射面41を設けない場合の背面72の漏れ光を概略的に示す。図5は、反射面41を設けた場合の背面72からの漏れ光を概略的に示す。
【0042】
分布44は、y軸方向における背面72からの光放射量分布を示す。分布34は、y軸方向における出射面71からの光放射量分布を示す。分布44に示されるように、y軸方向における背面72からの光放射量分布は、領域81及び領域82にわたって略一定である。これにより、領域81からの漏れ光による模様を、背面72側から目立って見えないようにすることができる。
【0043】
なお、分布34に示されるように、領域82において、出射面71から漏れる光も存在する。しかし領域82からの漏れ光の光放射量は、領域81から出射する光放射量より小さいので、領域82からの漏れ光が像の見え方に大きな影響を与えることはない。
【0044】
図4に示されるように、反射面41を設けない場合、背面72から見た場合に、像6に対応する像が目立って見える。しかし、反射面41を設けることで、図5に示されるように、像6に対応する像を目立たなくすることができる。このように、反射面41を設けることによって、出射面71から出射する光によって形成される像のぼけより、背面72から出射する光によって形成される像のぼけを、大きくすることができる。
【0045】
なお、領域82における光放射量I2は、反射面41のパターン密度及び面積の少なくとも一方によって調整される。例えば、反射面41のパターン密度を反射面31のパターン密度と略同一にする場合、領域81における出射面71からの単位面積あたりの光放射量をI1とし、反射面31の面積をS1とすると、反射面41の面積S2を(I2/I1)×S1としてよい。反射面41の面積は、反射面41のx軸方向の長さ及びz軸方向の高さの少なくとも一方によって調整されてよい。一方、反射面41の面積S2を反射面31の面積S1と同一にする場合、反射面31のパターン密度D1とすると、反射面41のパターン密度D2を(I2/I1)×D1としてよい。このように、S2×D2を、(I2/I1)×S1×D1に一致させるようにしてよい。なお、S1は、30%以下であることが好ましい。
【0046】
図6は、表示装置10の変形例としての表示装置10Aのyz断面を、光放射量分布と共に概略的に示す。表示装置10Aは、領域82からの光放射量分布が異なる点を除いて、表示装置10と同様の構成を有する。
【0047】
光放射量の分布44Aに示されるように、領域82からの光放射量は、領域81から離れるにつれて減少する。表示装置10Aによれば、像6に対応する像を目立たなくすることができるだけでなく、領域82の端部が目立つことも抑制できる。なお、領域82からの光放射量分布は、座標(xy面内の座標)について、領域81からの光放射量を最大値としたフェルミ分布関数で表される又は近似される分布であってよい。このようにすることで、光放射量分布が不連続になることを抑制できる。なお、領域82からの光放射量分布は、単調に現象する任意の直線、単調に現象する任意の曲線、若しくは単調に現象する直線及び曲線の組み合わせで表されてよい。領域81からの光放射量分布と領域82からの光放射量分布とは完全に連続していなくよく、観察者の目に目立たない程度の光放射量の差があってもよい。
【0048】
上述したように、領域82における光放射量I2は、反射面41のパターン密度及び面積の少なくとも一方によって調整される。分布44Aのように領域81から離れるにつれて背面72からの光放射量を減少させるためには、複数の反射面41Aは、領域81から離れているほど、より小さいパターン密度で形成されてよい。また、複数の反射面41Aは、領域81から離れるほど、より小さい面積を有してよい。
【0049】
図7は、表示装置10の変形例としての表示装置10aを、空間上に投影される立体像と共に概略的に示す。表示装置10aが有する導光板70は、出射面71及び背面72の光収束部が形成する像が、上述の導光板70とは異なる点で、導光板70とは異なる。
【0050】
図7(a)は、背面72に形成された光収束部によって形成される像6a及び像8aを、表示装置10aとともに示す。像6aは立体像であり、背面72に形成された光収束部によって出射面71側に出射した光により形成される。像8aは、背面72に形成された光収束部による、背面72からの漏れ光により形成される立体像である。出射面71側の像6aは、背面72側の像8aより明るい像である。
【0051】
図7(b)は、出射面71に形成された光収束部によって形成される像18a及び像16aを、表示装置10aとともに示す。出射面71には、立体像である像18aを形成する光を背面72側に出射するように、光収束部30と同様の光収束部が形成されている。なお、像18aは、図7(a)に示す像8aが実質的に形成されない部分に形成される。像18aを形成する光収束部は、像18aの明るさが像8aの明るさと略同一になるように、反射面の面積が定められる。出射面71に形成された光収束部によって出射面71側に漏れ光による立体像である像16aが形成されるが、像16aは、出射面71側に形成される像18aより暗い。
【0052】
図7(c)は、表示装置10aにより形成される像を示す。図示されるように、背面72側には、像8aと像18aとの重ね合わせた像が形成される。そのため、図7(a)に示す像8aが観察者に視認されにくくすることができる。図7(b)に示す像16aは、図7(a)に示す像6aに比べて著しく暗いので、観察者は像6aを十分に視認できる。
【0053】
図8は、表示装置10の変形例としての表示装置10Bのyz断面を、光放射量分布と共に概略的に示す。表示装置10Bは、表示装置10aと、表示装置10bとを有する。表示装置10a及び表示装置10bのそれぞれは、表示装置10と類似の構成を有する。表示装置10aは、導光板70aと光源20aとを有する。表示装置10bは、導光板70bと光源20bとを有する。導光板70a及び導光板70bは、表示装置10の導光板70に対応する。光源20a及び光源20bは、表示装置10の光源20に対応する。表示装置10a及び表示装置10bが備える構成要素について、表示装置10が備える構成要素との相違点について説明する。
【0054】
導光板70a及び導光板70bは、z軸プラス方向に沿って、導光板70b、導光板70aの順に設けられる。導光板70aは、出射面71a及び背面72aを有する。導光板70bは、出射面71b及び背面72bを有する。導光板70a及び導光板70bは、導光板70aの背面72aが導光板70bの出射面71bと対向するように設けられる。導光板70aを1つの導光板とみなした場合、出射面71aが像を形成する光が出射する光出射面に対応し、背面72bが出射面71aとは反対側の面に対応する。
【0055】
領域81において、導光板70aは、反射面31に対応する反射面31aを背面72aに有する。背面72aには、反射面31aと同様の反射面を複数有する。ここでは、これらの反射面を反射面31aと総称する。導光板70aは、反射面41に対応する反射面を出射面71aに有しない。光源20aは、特定の波長域の光を発する。例えば、光源20aは、可視光の波長域内の部分波長域の光を発する。具体的には、光源20aは、赤の波長域の光を発する。したがって、領域81に設けられた反射面31aは、出射面71aから赤の波長域の光を出射させる。これにより、領域81において背面72aに形成された反射面31aを含む光収束部によって、像6に対応する赤色の像が、出射面71a側に形成される。分布34aは、y軸方向における出射面71aからの光の放射量分布を示す。
【0056】
表示装置10において反射面31から背面72側への漏れ光が生じるのと同様に、表示装置10Bにおいても、領域81に設けられた反射面31aによって、赤色の漏れ光が背面72bから生じる。分布44aは、y軸方向における背面72bからの光放射量分布を示す。分布44aに示されるように、領域81において、反射面31aによる背面72bからの光放射量I2は略均一とする。
【0057】
領域81及び領域82において、導光板70bは、反射面41に対応する反射面41bを出射面71bに有する。出射面71bには、反射面41bと同様の反射面を複数有する。ここでは、これらの反射面を反射面41bと総称する。導光板70bは、反射面31に対応する反射面を背面72bに有しない。光源20bは、可視光の波長域において、光源20aが発する光の色の補色の光を発する。具体的には、光源20bは、青緑の波長域の光を発光する。したがって、領域81及び領域82に設けられた反射面41bは、背面72bから青緑の波長域の光を出射させる。分布44bは、y軸方向における背面72bからの光の放射量分布を示す。分布44bに示されるように、導光板70bの反射面41bからの光放射量は、領域81より領域82の方が大きい。
【0058】
分布45は、導光板70aの反射面31a及び導光板70bの反射面41bが背面72bから出射させる光の合計の放射量のy軸方向の分布を示す。分布45に示されるように、導光板70aの反射面31aが背面72bから出射させる光及び導光板70bの反射面41bが背面72bから出射させる光を合わせた合計放射量I4は、領域81及び領域82にわたって略均一である。導光板70bの反射面41bは、背面72bから出射される光の合計放射量が領域81及び領域82にわたって略均一となるように、反射面41bの面積及び密度の少なくとも一方が調整されて、領域81及び領域82に設けられる。
【0059】
例えば、領域82に設けられる反射面41bの面積は、反射面41bからの光放射量が領域82においてI4になるように決定される。そして、領域81に設けられる反射面41bの面積は、領域81における反射面31aによる漏れ光の光放射量I2を考慮して、領域82に設けられる反射面41bの面積より小さく決定される。例えば、領域81に設けられる反射面41bの面積は、領域81からの光放射量I3がI4−I2になるように決定される。反射面41bの数密度が領域81及び領域82において一定の場合、領域81に設けられる反射面41bの面積は、領域82に設けられる反射面41bの面積のI3/I4倍であってよい。
【0060】
ここで、反射面41bは、領域81に設けられた反射面31aが背面72bから出射させる光と領域81に設けられた反射面41bが背面72bから出射させる光との合成光が実質的に白色光になるように、反射面の面積及び密度の少なくとも一方が調整されて領域81に設けられる。この場合、反射面41bが背面72bから出射させる光の色は、像6の色の補色である青緑色(例えば、シアン色)となる。
【0061】
図9は、背面72bからの漏れ光を概略的に示す。背面72bから見た場合、背面72bからの漏れ光の色は、領域81の周囲の領域82においては像6の色の補色となり、領域81においては白色となる。上述したように、背面72bからの合計の光放射量は、領域81及び領域82にわたって略均一である。そのため、反射面31aからの漏れ光の像について、明るさの差を指標とするぼけ量は実質的になくなる。一方、領域81と領域82との間の色の差は存在する。しかし、模様として認識され得る領域81からの光を実質的に無彩色化することができるので、漏れ光を模様として視認しづらくすることができる。また、領域81からの光の色と領域82からの光の色が補色関係になることもない。したがって、表示装置10Bによっても、反射面31aによる領域81からの漏れ光による模様が背面72b側から目立って見えないようにすることができる。
【0062】
なお、表示装置10aの導光板70aと表示装置10bの導光板70bとを1つの導光板とみなすことができる。また、導光板70のように、1つの出射面71と1つの背面72とを有する単一の導光板を用いて、表示装置10Bと同様の機能を実現することもできる。例えば、光源20として白色光源を用い、背面72に形成する反射面31に、赤色等の特定色の波長域の光を反射する反射膜を設けるとともに、出射面71に形成する反射面41に、上記特定色の波長域以外の波長域の光を反射する反射膜を設けることによって、単一の導光板で表示装置10Bと同様の機能を実現することもできる。上記の反射膜として、ダイクロイックコーティング等を適用できる。
【0063】
図10は、表示装置10Bの変形例としての表示装置10Cのyz断面を、光放射量分布と共に概略的に示す。表示装置10Bは、表示装置10aと、表示装置10cとを有する。表示装置10aの構成は、上述したとおりであるので、説明を省略する。表示装置10cは、表示装置10bと類似の構成を有する。表示装置10cは、導光板70cと光源20cとを有する。導光板70cは、表示装置10bの導光板70bに対応する。光源20cは、表示装置10bの光源20bに対応する。表示装置10cが備える構成要素について、表示装置10bが備える構成要素との相違点について説明する。
【0064】
導光板70a及び導光板70cは、z軸プラス方向に沿って、導光板70c、導光板70aの順に設けられる。導光板70a及び導光板70cは、導光板70aの背面72aが導光板70cの出射面71cと対向するように設けられる。
【0065】
領域81及び領域82において、導光板70cは、反射面41に対応する反射面41cを出射面71cに有する。出射面71cには、反射面41cと同様の反射面を複数有する。ここでは、これらの反射面を反射面41cと総称する。導光板70cは、反射面31に対応する反射面を背面72cに有しない。光源20cは、可視光の波長域において、光源20aが発する光の波長域を含み、当該波長域より広い波長域の光を発する。具体的には、光源20cは、実質的に白色光を発する。したがって、領域81及び領域82に設けられた反射面41cは、背面72cから実質的に白色光を出射させる。分布44cは、y軸方向における背面72cからの光の放射量分布を示す。分布44cに示されるように、導光板70cの反射面41cが背面72cから出射させる白色光の光放射量は、領域81及び領域82にわたって略均一である。反射面41bcは、領域81及び領域82にわたって光放射量が均一になるように、面積及びパターン密度が領域81及び領域82にわたって均一に設けられる。
【0066】
反射面41cが背面72cから出射させる光放射量I5は、反射面31aが背面72cから出射させる光放射量I2より大きい。例えば、I5はI2の2倍以上であってよい。分布46は、導光板70aの反射面31a及び導光板70cの反射面41cが背面72cから出射させる光の合計の放射量のy軸方向の分布を示す。分布46に示されるように、領域81における光放射量はI5+I2となる。
【0067】
図11は、背面72cからの漏れ光を概略的に示す。上述したように、反射面41cが背面72cから出射させる光放射量I5は、反射面31aが背面72cから出射させる光放射量I2より大きい。そのため、背面72cから見た場合、背面72cからの漏れ光は、領域81において薄い赤色に見える光となり、領域81の周囲の領域82において明るい無彩色の光となる。そのため、反射面31aによる背面72cからの漏れ光の像を視認しづらくすることができる。
【0068】
具体的には、領域81における光放射量に対する領域82における光放射量の比は、(I5+I2)/I5である。領域81と82の境界における明るさの比は、I5が大きいほど小さくなる。すなわち、I5が大きいほど、漏れ光による像が視認しづらくなる。表示装置10Cによれば、I5をI2より大きくすることで、反射面31aによる漏れ光の像のぼけを大きくすることができる。このように、表示装置10Cによっても、反射面31aによる領域81からの漏れ光による模様が背面72c側から目立って見えないようにすることができる。
【0069】
なお、表示装置10aの導光板70a及び表示装置10cの導光板70cを1つの導光板とみなすことができる。また、導光板70のように、1つの出射面71と1つの背面72とを有する単一の導光板を用いて、表示装置10Cと同様の機能を実現することもできる。例えば、光源20として白色光源を用い、背面72に形成する反射面31に、赤色等の特定色の波長域の光を反射する反射膜を設けることによって、単一の導光板で表示装置10Cと同様の機能を実現することもできる。上記の反射膜としては、ダイクロイックコーティング等を適用できる。
【0070】
図12は、表示装置100のyz断面を概略的に示す。図13(a)及び図13(b)は、表示装置100によって形成される像を概略的に示す。
【0071】
表示装置100は、表示装置10B及び表示装置10Cを備える。表示装置10Bは、表示装置10の変形例であり、像6とは異なる像を形成するための反射面31Bを有する点を除いて、表示装置10と同様の構成を有する。また、表示装置10Cは、表示装置10の変形例であり、像6とは異なる像を形成するための反射面31Cを有する点を除いて、表示装置10と同様の構成を有する。
【0072】
表示装置10Bの背面72は、表示装置10Cの背面72と対向して設けられる。表示装置10Bの出射面71は、表示装置100の一方の主面を提供する。表示装置10Cの出射面71は、表示装置100の他方の主面を提供する。
【0073】
図13(a)は、表示装置10Bによって表示装置10Bの出射面71側に形成される像6Bを示す。図13(b)は、表示装置10Cによって表示装置10Cの出射面71側に形成される像6Cを示す。このように、表示装置100は、表示装置10Bの出射面71側と表示装置10Cの出射面71側とで互いに異なる像を提供する。
【0074】
表示装置100によれば、表示装置10Cの背面72からの漏れ光の光放射量の空間的な変化を小さくすることができる。そのため、表示装置10Cからの漏れ光によって像6Bが見えづらくなることを抑制できる。同様に、表示装置10Bの背面72からの漏れ光の光放射量の空間的な変化を小さくすることができるので、表示装置10Bからの漏れ光によって像6Cが見えづらくなることを抑制できる。
【0075】
図14は、表示装置100を用いた改札機システム900を概略的に示す。改札機システム900は、表示装置100aと、表示装置100bと、表示装置910と、複数の改札機920とを備える。
【0076】
表示装置100a及び表示装置100bは、表示装置100と同様の構成を有する。表示装置100aと表示装置100bは、主面の向きが異なるように設けられる。具体的には、表示装置100aが備える表示装置10Bの出射面71の向きが、表示装置100bが備える表示装置10Cの出射面71の向きと略一致するように設けられる。
【0077】
表示装置100a及び表示装置100bは、改札機920の上方に設けられる。像6Bは、通行を許可する方向を示すマークであり、像6Cは、通行禁止を表すマークである。改札機システム900によれば、改札機920を通って駅に入ろうとする利用者及び改札機920を通って駅から出ようとする利用者に、それぞれの利用者が通行できる改札機の位置を立体像で知らせることができる。
【0078】
表示装置910は、改札機920を通過する利用者にプラットホームの位置を知らせる像906aと、駅の中にいる利用者に出口の位置を知らせる像906bとを形成する。像906aは、利用者の目で見た場合に、表示装置910の設置位置より奥の位置に認識されるような像であってよい。像906bは、駅の中にいる利用者の目で見た場合に、表示装置910の設置位置より手前の位置に認識されるような像であってよい。表示装置910は、形成する像及び表示装置の形状が表示装置100とは異なる点を除いて、表示装置100と同様の構成を有するので、構造の詳細については説明を省略する。
【0079】
なお、表示装置100の変形例として、表示装置10B及び表示装置10Cと同様の2つの表示装置さらに重ねた表示装置を提供してよい。例えば、表示装置10Bと表示装置10Cとの間に、表示装置10Cと同様の構成の表示装置を、出射面が表示装置10Bの背面72Bに対向するように設け、表示装置10Bと同様の構成の表示装置を、背面が表示装置10Cの出射面71Bに対向するように設けてよい。そして、利用者に提示すべき像に基づいて、発光させる光源を選択することによって、改札機920を通って駅に入ろうとする利用者及び改札機920を通って駅から出ようとする利用者に提示する像を切り換える制御を行ってよい。
【0080】
以上に説明した実施形態において、反射面31及び反射面41を有する導光板70の機能を説明した。しかし、光収束部30の反射面31と同様の機能を持つ光学面として、反射型フレネルレンズを適用できる。また、反射面31と同様の機能を持つ光学面として、屈折又は回折によって出射面71から光を出射する光学面を適用できる。同様に、反射面41と同様の機能を持つ光学面として、反射型フレネルレンズや、屈折又は回折によって出射面71から光を出射する光学面を適用できる。
【0081】
また、反射面31に対応する光学面及び反射面41に対応する光学面は、出射面71及び背面72のどちらの主面に設けてもよい。例えば、反射面31を背面72に設けた場合に、反射面41に対応する光学面を背面72に設けてもよい。この場合、反射面41に対応する光学面は、入射した光を屈折することによって、主として背面72側に光を出射させる屈折面であってよい。また、反射面41に対応する光学面は、入射した光を回折することによって主として背面72側に光を出射させる透過型回折素子であってよい。また、反射面41に対応する光学面は、入射した光を反射することによって、主として背面72側に光を出射させる反射面であってもよい。
【0082】
また、反射面31に対応する光学面を出射面71に設けてもよい。この場合、反射面31に対応する光学面は、入射した光を屈折することによって、主として出射面71側に光を出射させる屈折面であってよい。また、反射面31に対応する光学面は、入射した光を回折することによって主として出射面71側に光を出射させる透過形回折素子であってよい。また、反射面31に対応する光学面は、入射した光を反射することによって、主として出射面71側に光を出射させる反射面であってもよい。以上に説明したように、反射面31及び反射面41を表示装置10の同じ主面側に設けてもよい。
【0083】
なお、光源20は、レーザ光源であってもよい。例えば、光源20は、レーザダイオードであってよい。回折素子を用いる場合、実質的に単一波長域に属するコヒーレントな光であることが好ましい。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0085】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0086】
6、8、16、18 像
10 表示装置
20 光源
30 光収束部
31、41 反射面
70 導光板
71 出射面
72 背面
73 端面
74 端面
75 端面
76 端面
100 表示装置
190 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14