特許第6544223号(P6544223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544223
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20190705BHJP
   B60Q 3/283 20170101ALI20190705BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20190705BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20190705BHJP
【FI】
   B62D1/06
   B60Q3/283
   F21V29/503 100
   F21V29/70
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-243305(P2015-243305)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-109519(P2017-109519A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】永田 篤
(72)【発明者】
【氏名】浅川 れんげ
(72)【発明者】
【氏名】日比野 康司
(72)【発明者】
【氏名】竹田 慎一
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0109719(US,A1)
【文献】 特表2017−529272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
B60Q 3/283
F21V 29/503
F21V 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を含む表示器が配設されたステアリングホイールであって、
芯金と、
前記芯金を被覆する基材と、
前記芯金の外側面よりも外側に設けられ、前記光源と熱的に接続されるとともに、前記芯金の外側面と熱的に接続された放熱部と、を有し、
前記放熱部は、前記基材よりも熱伝導率の高い材料からなり、前記光源よりも表面積が広く形成され、
前記芯金と前記放熱部とは一体に形成されており、
前記光源は、前記芯金の外側面と前記放熱部の内周面とによって形成された収容部に収容されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
光源を含む表示器が配設されたステアリングホイールであって、
芯金と、
前記芯金を被覆する基材と、
前記芯金の外側面よりも外側に設けられ、前記光源と熱的に接続されるとともに、前記芯金の外側面と熱的に接続された放熱部と、を有し、
前記放熱部は、前記基材よりも熱伝導率の高い材料からなり、前記光源よりも表面積が広く形成され、
前記表示器は、
自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体を有し、
操舵時に把持するリング部と、
前記リング部の中央に配置されるボス部と、
前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、
前記ボス部よりも上側に位置する前記リング部に設けられ、前記ボス部側に膨出して形成されたアシスト部と、を有し、
前記光源及び前記放熱部は、前記アシスト部の内部に配設され、
前記導光体は、前記リング部の周方向に沿って延在されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項3】
前記放熱部の外周面は、前記芯金の外側面に熱伝導部材を介して熱的に接続され、
前記熱伝導部材は、前記基材を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記放熱部は、前記基材を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料を含有する樹脂材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールのリング部に表示器を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のステアリングホイールでは、リング部に溝部が形成され、その溝部に表示器である発光ダイオード(LED:Light emitting diode)が設置されている。この発光ダイオードは、例えば、自動運転に関する情報、車両の速度、エンジンの回転数、車内の温度、ラジオの周波数、変速機の段数等を表示させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−69671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、表示器の視認性を向上させるために発光ダイオードに供給する電流量を大きくすると、発光ダイオードの発熱量が大きくなる。しかし、上記ステアリングホイールでは、発光ダイオードで発生した熱を効率良く放熱(排熱)することが困難であった。このため、放熱性の良いステアリングホイールの開発が望まれている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、放熱性を向上させることのできるステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するステアリングホイールは、光源を含む表示器が配設されたステアリングホイールであって、芯金と、前記芯金を被覆する基材と、前記芯金の外側面よりも外側に設けられ、前記光源と熱的に接続されるとともに、前記芯金の外側面と熱的に接続された放熱部と、を有し、前記放熱部は、前記基材よりも熱伝導率の高い材料からなり、前記光源よりも表面積が広く形成されている。
【0007】
この構成によれば、光源が放熱部と熱的に接続され、その放熱部が芯金と熱的に接続される。このため、光源で発生した熱は、放熱部に一旦拡散されてから、表面積の広い芯金に伝導されて放熱される。このとき、放熱部が基材よりも熱伝導率の高い材料からなるため、光源を基材に搭載する場合に比べて、光源で発生する熱を放熱部及び芯金で効率良く放熱することができる。また、放熱部の表面積が光源よりも広く形成されているため、光源を芯金に直接搭載する場合に比べて、光源で発生する熱を放熱部及び芯金で効率良く放熱することができる。
【0008】
上記ステアリングホイールにおいて、前記放熱部の外周面は、前記芯金の外側面に熱伝導部材を介して熱的に接続され、前記熱伝導部材は、前記基材を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料からなることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、放熱部と芯金とが熱伝導部材を介して熱的に接続される。このため、例えば放熱部の外周面と芯金の外側面との間に隙間が生じる場合であっても、その隙間を熱伝導部材により埋めることができ、さらに熱伝導部材によって放熱部の外周面と芯金の外側面との接触熱抵抗を減らすことができる。
【0010】
上記ステアリングホイールにおいて、前記放熱部は、前記基材を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料を含有する樹脂材からなることが好ましい。
この構成によれば、加工性の高い樹脂材によって放熱部が構成される。このため、放熱部の生産性を向上させることができる。
【0011】
上記ステアリングホイールにおいて、前記芯金と前記放熱部とは一体に形成されており、前記光源は、前記芯金の外側面と前記放熱部の内周面とによって形成された収容部に収容されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、芯金と放熱部とが一体に形成されている。これにより、芯金と放熱部との間の接触熱抵抗が無くなるため、光源で発生した熱を放熱部及び芯金で効率良く放熱することができる。
【0013】
上記ステアリングホイールにおいて、前記表示器は、自身の端部を前記光源に対向させた状態で配置され、前記端部から入射された光の一部を外周面から出射する導光体を有することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、光源から光が出射されると、その光が導光体の端部から導光体に入射され、その入射された光の一部が導光体の外周面から出射される。この導光体を用いることによって、少ない光源で広範囲の領域を照射することができる。これにより、光源の数を減らすことができる。この結果、表示器の消費電力を低減することができる。
【0015】
上記ステアリングホイールにおいて、操舵時に把持するリング部と、前記リング部の中央に配置されるボス部と、前記リング部と前記ボス部とを連結するスポーク部と、前記ボス部よりも上側に位置する前記リング部に設けられ、前記ボス部側に膨出して形成されたアシスト部と、を有し、前記光源及び前記放熱部は、前記アシスト部の内部に配設され、前記導光体は、前記リング部の周方向に沿って延在されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、光源及び放熱部が、ボス部側に膨出して形成されたアシスト部の内部に配設される。これにより、リング部の形状変更を抑制しつつ、光源及び放熱部の設置スペースを容易に確保することができる。このため、光量の大きい光源を採用することができ、導光体の導光距離及び輝度を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
上記ステアリングホイールによれば、放熱性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態のステアリングホイールが取り付けられた車両を示す側面図。
図2】一実施形態のステアリングホイールの正面図。
図3】一実施形態のステアリングホイールの分解斜視図。
図4】一実施形態のステアリングホイールにおける保持部材の概略斜視図。
図5】一実施形態のリング部の概略断面図(図2における5−5断面図)。
図6】一実施形態のリング部の概略断面図(図2における6−6断面図)。
図7】一実施形態のリング部の概略断面図(図2における7−7断面図)。
図8】一実施形態の表示器及びリング部芯金を示す断面斜視図。
図9】(a)は、一実施形態の発光ユニット及び導光体を示す正面図、(b)は、一実施形態の発光ユニット及び導光体を示す概略断面図(図9(a)における9b−9b断面図)。
図10】一実施形態の制御回路の内部構成例を示すブロック図。
図11】一実施形態の表示器の出射領域を示す説明図。
図12】一実施形態の表示器の出射領域を示す説明図。
図13】(a)〜(c)は、一実施形態の表示器の発光態様を示す説明図。
図14】(a)〜(c)は、一実施形態の表示器の発光態様を示す説明図。
図15】変形例の発光ユニット及び導光体を示す正面図。
図16】変形例のステアリングホイールの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1図14に従って、車両用のステアリングホイールに具体化した一実施形態について説明する。なお、図1図14は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0020】
図1に示すように、車両の運転席S1よりも前方(図1の左方)には、軸線L1を中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)11が配設されている。ステアリングシャフト11は、運転席S1側(図1の右側)ほど高くなるように傾斜した状態で車両内に配設されている。ステアリングシャフト11の後端部には、ステアリングホイール12が一体回転可能に取り付けられている。
【0021】
本明細書では、ステアリングシャフト11の軸線L1に沿う方向をステアリングホイール12の「前後方向」といい、軸線L1に直交する面に沿う方向のうち、ステアリングホイール12の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングホイール12の前後方向及び上下方向は、車両の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対して若干傾いている。また、「前後方向」及び「上下方向」の両方に直交する方向をステアリングホイール12の左右方向とする。
【0022】
図2は、ステアリングホイール12を正面(運転席S1側)から見た時の外観図である。また、図2は、操舵角が零度である操舵基準状態(車両の直進操舵時)におけるステアリングホイール12を示している。
【0023】
図2に示すように、ステアリングホイール12は、リング部(ハンドル部、リム部と呼ばれることもある)13と、リング部13の略中央に配置されたボス部14と、リング部13とボス部14とを連結する複数本(ここでは、3本)のスポーク部15とを備えている。リング部13は、運転者D(図1参照)によって把持されて回転操作(操舵)される部分であり、軸線L1を中心とした略円環状をなしている。ボス部14は、リング部13によって囲まれた空間に配置されている。
【0024】
なお、操舵されるリング部13における周方向(つまり、軸線L1(ボス部14)を中心とした周方向)の位置を特定するために、本明細書では、操舵基準状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」を規定するものとする。
【0025】
ボス部14よりもやや上方に位置するリング部13の左右両側には、運転者によるリング部13の把持や操舵をアシストするアシスト部16が設けられている。アシスト部16は、リング部13の他の部分よりもボス部14側(軸線L1側)に膨出するように形成されている。
【0026】
アシスト部16よりも上方に位置するリング部13には、リング部13に内設された表示器40の一部を被覆するカバー17が設けられている。カバー17は透光性を有している。表示器40は、ボス部14よりも上側に位置するリング部13に内設されている。表示器40は、光源42を有する一対の発光ユニット41と、一対の発光ユニット41の間にリング部13の周方向に沿って延びる棒状(ここでは、丸棒状)の導光体50と、これら発光ユニット41及び導光体50を保持する保持部材60(図3参照)とを備えている。導光体50の端部50Aは、光源42に対向して配置された状態で発光ユニット41内に収容されている。このような表示器40では、光源42の発光時に、その光源42から出射される光が端部50Aを通じて導光体50に入射される。導光体50内に入射された光は、導光体50で内面反射を繰り返し、導光体50の外周面から僅かずつ漏れながら導光体50の長手方向(周方向)に沿って導光される。これにより、リング部13の周方向に沿って延びる導光体50が線状に発光する。そして、導光体50から出射された光は、カバー17を介してリング部13の外部に放射され、運転席側に照射される。このように、表示器40の発光部(照射部)は、一対の光源42と導光体50とによって構成されている。
【0027】
ステアリングホイール12(例えば、ボス部14)の内部には、当該ステアリングホイール12に振動を与える振動ユニット18が配設されている。また、ステアリングホイール12(例えば、ボス部14)の内部には、表示器40及び振動ユニット18を制御する制御回路19が配設されている。制御回路19は、例えば、光源42からの光の出射態様(光量、色等)を制御する。
【0028】
次に、図2図7に従って、ステアリングホイール12(とくに、リング部13)の内部構造について説明する。ここで、図4は、保持部材60を前側(反運転席側)から見た概略斜視図である。また、図5は、図2の5−5線に沿ったリング部13の断面構造を示し、図6は、図2の6−6線に沿ったリング部13の断面構造を示し、図7は、図2の7−7線に沿ったリング部13の断面構造を示している。
【0029】
図2に示すように、ステアリングホイール12のリング部13、ボス部14及びスポーク部15の各内部には、芯金が配設されている。この芯金のうちリング部13内に位置するものは、リング部芯金20と呼ばれる。このリング部芯金20は、リング部13の骨格部分をなすものであり、運転席側から見て軸線L1を中心とした略円環状をなしている。なお、リング部芯金20の材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらの合金等を用いることができる。
【0030】
図5に示すように、リング部芯金20は、リング部13の外表面から内方へ離れた箇所に配置されている。リング部芯金20は、上記軸線L1(図2参照)を中心とする円環状の外環状部21と、軸線L1を中心とし、且つ外環状部21よりもやや小径の円環状の内環状部22と、軸線L1を中心とする円環状をなし、且つ外環状部21及び内環状部22をそれらの後部で繋ぐ連結環状部23とを備えている。そして、外環状部21と内環状部22と連結環状部23とによって囲まれた空間は、リング部芯金20の前面において開口する溝部24となっている。溝部24は、リング部13の略全周に亘って設けられている。この溝部24を有する構造を採用することにより、リング部芯金20は略U字形の断面形状を有している。なお、リング部芯金20の断面形状は、U字形に限らず、他の断面形状を有するものであってもよい。
【0031】
リング部芯金20の表面は、基材30によって被覆されている。基材30は、運転者によって把持されても変形しない程度の剛性を有している。基材30の断面形状は、例えば、略楕円状に形成されている。基材30の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS系樹脂を用いることができる。
【0032】
図5及び図6に示すように、リング部13の周方向についての一部(例えば、アシスト部16(図2参照)以外の部分)では、基材30は、リング部芯金20全体を取り囲むように形成されている。すなわち、この基材30は、リング部芯金20の溝部24を充填し、外環状部21、内環状部22及び連結環状部23の表面全面に接しそれら表面全面を被覆するように形成されている。
【0033】
一方、図7に示すように、アシスト部16における基材30は、リング部芯金20の表面の一部、具体的には内環状部22の外側面(ボス部14側の面)を露出するように形成されている。そして、アシスト部16における基材30は、リング部芯金20の溝部24を充填し、外環状部21及び連結環状部23の表面に接しそれら表面を被覆するように形成されている。
【0034】
図5及び図6に示すように、基材30の運転席側表面である後面30Aには、表示器40が取り付けられる取付部31が形成されている。取付部31は、後面30Aの下部に設けられている。この取付部31は、基材30の他の部分よりも薄く形成されている。
【0035】
取付部31の上端には溝部32が形成されている。図3に示すように、溝部32は、周方向に長いスリット状に形成されている。
取付部31の下面31Aの周方向についての一部には、複数の係止突起33が形成されている。これら各係止突起33は、取付部31の下面31Aから下方に突出するように形成されている。複数の係止突起33は、例えば、周方向に所定の間隔を置いて形成されている。
【0036】
図5及び図6に示すように、取付部31の下面31Aと溝部32との間には、リング部芯金20に向かって湾曲状に凹む湾曲部34が形成されている。この湾曲部34は、丸棒状の導光体50が設けられる位置に対応して形成されている。湾曲部34は、周方向に沿って延びるように形成されている。
【0037】
以上説明した構造を有する基材30は、例えば、インサート成形により形成することができる。このインサート成形によって、基材30は、リング部芯金20に密着及び接着した状態で、リング部芯金20と一体化されている。
【0038】
次に、取付部31に装着される表示器40について説明する。
図3に示すように、表示器40は、発光ユニット41と、導光体50と、保持部材60とを備えている。保持部材60は、軸線L1を中心とした周方向に沿って延びるように長尺状に形成されている。保持部材60の左右両端にはそれぞれ、アシスト部16(図2参照)を構成する膨出部61が形成されている。膨出部61は、保持部材60の他の部分よりも軸線L1側に向かって膨出するように形成されている。
【0039】
図4に示すように、各膨出部61の内周面には、発光ユニット41を保持する保持部62が形成されている。また、各膨出部61の内周面には、発光ユニット41から延びる導光体50を案内する案内部63が形成されている。これら保持部62及び案内部63は、例えば、膨出部61の内周面に立設されたリム等によって形成されている。各膨出部61近傍の保持部材60には、当該保持部材60を厚さ方向に貫通する貫通孔64が形成されている。
【0040】
図3に示すように、一対の貫通孔64の間に位置する保持部材60の外周面には、前側(リング部芯金20側)に向かって湾曲状に凹む収容部65が形成されている。収容部65は、保持部材60の長手方向(周方向)に沿って延びるように形成されている。
【0041】
図4に示すように、各発光ユニット41は、保持部62に位置決めされて保持(固定)されている。この発光ユニット41に端部が収容された導光体50は、案内部63により、発光ユニット41から貫通孔64まで案内されている。この導光体50は、貫通孔64を通じて保持部材60の内周面から保持部材60の外周面に挿通されている。そして、導光体50は、一対の貫通孔64の間では、図3に示した収容部65に配設されている。すなわち、導光体50は、一対の貫通孔64の間では、保持部材60の外周面に沿って配設されている。なお、本例の導光体50は、収容部65の内面(湾曲面)に接着剤等により接着されている。
【0042】
このようにして、複数の単体部品、つまり発光ユニット41と導光体50と保持部材60とがユニット化されて表示器40が構成されている。このため、表示器40の取り付けの際に、ユニット化された表示器40を1つの集合体として扱うことができる。そして、表示器40は、例えば、保持部材60において、スナップフィット構造により基材30の取付部31に装着されている。以下に、表示器40の取付構造について詳述する。
【0043】
図5に示すように、保持部材60の上端には、取付部31の溝部32に嵌合される突条66が形成されている。突条66は、周方向に長いスリット状に形成された溝部32に対応して、周方向に長い長尺状に形成されている。そして、突条66は、保持部材60が取付部31に装着された場合に、溝部32の内面(具体的には、溝部32の下方側の内面)に係合される。
【0044】
保持部材60の突条66よりも下方には、取付部31の湾曲部34に嵌合される突出部67が形成されている。突出部67は、湾曲部34に対応して、周方向に沿って延びるように形成され、リング部芯金20に向かって湾曲状に突出するように形成されている。突出部67の内周面は、例えば、保持部材60が取付部31に装着された場合に、湾曲部34の外周面に当接する。なお、上述した収容部65は、突出部67に対応する位置に設けられている。
【0045】
図6に示すように、保持部材60の突出部67よりも下方には、取付部31の係止突起33に対応する箇所に係止爪68が形成されている。各係止爪68は、保持部材60の湾曲状に形成された内周面よりも上方に起き上がるように形成されている。本例の係止爪68は、保持部材60の下部における内周面の中途位置から前方に向かって突出し、前後方向に沿って延びるように形成されている。係止爪68の先端部には、リング部芯金20側へ突出する係止突起69が形成されている。係止爪68の基端部は、例えば、係止爪68(係止突起69)がリング部13の径方向(図中上下方向)に弾性変形可能に構成されている。そして、保持部材60が取付部31に装着された場合に、各係止爪68の係止突起69は、取付部31の各係止突起33の下端部に係止される。これにより、各係止突起69が後方へ抜けることが規制されている。
【0046】
以上説明した保持部材60を取付部31に取り付ける際には、まず、発光ユニット41及び導光体50とユニット化された保持部材60の突条66(図5参照)を溝部32に嵌合し、保持部材60の取付部31に対する上下方向の位置決めを行う。この位置決めを行った状態で、保持部材60を前側(リング部芯金20側)に押し込む。すると、各係止爪68が係止突起33の分だけ下側に撓みながら保持部材60が前側に移動し、各係止突起69が係止突起33よりも前側に移動した後に、各係止爪68が形状復帰して係止突起69が係止突起33の下端部に係止する。この係止により、各係止突起69が反挿入方向に抜け出ることが規制され、保持部材60の後方への移動が規制される。
【0047】
このようにして、保持部材60(表示器40)が取付部31(基材30)に装着されている。このとき、取付部31の外周面は保持部材60によって被覆されている。また、図7に示すように、保持部材60の内周面に配設された発光ユニット41は、保持部材60の内周面とリング部芯金20の外側面との間の空間に配設されている。すなわち、発光ユニット41は、リング部芯金20の外側面よりも外側(具体的には、リング部13の径方向外側)に配設されている。そして、発光ユニット41は、アシスト部16におけるリング部芯金20の内環状部22の外側面に熱伝導部材70を介して熱的に接続されている。
【0048】
図5図7に示すように、保持部材60から露出された基材30の外周面は軟質シート71によって被覆されている。この軟質シート71の外周面には、その外周面を被覆する表皮層72が巻き付けられている。なお、軟質シート71は、接着剤や両面テープなどにより、基材30の外周面に接着されている。表皮層72は、接着剤などにより、軟質シート71の外周面に接着されている。また、軟質シート71としては、例えば、フェルトを用いることができる。表皮層72の材料としては、例えば、天然皮革、合成皮革や人工皮革を用いることができる。
【0049】
図7に示すように、アシスト部16では、基材30及び保持部材60(つまり、膨出部61)を取り囲むように軟質シート71及び表皮層72が形成されている。すなわち、アシスト部16における軟質シート71及び表皮層72は、基材30の外周面と膨出部61の外周面を被覆するように形成されている。このため、保持部材60の内周面に配設された発光ユニット41は、膨出部61、軟質シート71及び表皮層72によって覆われて外部から視認されない位置に設けられている。
【0050】
その一方で、図3に示すように、軟質シート71及び表皮層72には、膨出部61以外の保持部材60の外周面とその外周面(具体的には、収容部65の内面)に配設された導光体50とを露出する開口部73が形成されている。図5に示すように、開口部73が形成された部分の表皮層72は、その端末部分が、基材30と保持部材60との間の隙間に嵌め込まれている。具体的には、表皮層72の上側の端末部分は、溝部32において、基材30と保持部材60の突条66との間の隙間に嵌め込まれて保持されている。また、表皮層72の下側の端末部分は、取付部31の下端において、基材30と保持部材60の下端との間の隙間に嵌め込まれて保持されている。
【0051】
ここで、収容部65に配設された導光体50は、開口部73に露出され、基材30、保持部材60、軟質シート71及び表皮層72から露出されている。この収容部65に配設された導光体50は、カバー17によって覆われている。このカバー17は、開口部73を塞ぐように設けられている。なお、カバー17は、例えば、接着剤などにより、表皮層72に接着されている。
【0052】
カバー17は、透光性を有するレンズ17Aと、導光体50からリング部13の外部(運転席側)への光の出射領域A1を制限する遮光部材17B(図中太線参照)とを有している。レンズ17Aの材料としては、例えば、光源42(図2参照)が使用する波長域で光透過性を有する透明又は半透明の樹脂材料を用いることができる。このようなレンズ17Aの材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、メタクリル樹脂やABS系樹脂を用いることができる。なお、ここでの透明には、無色透明のほかにも有色透明も含まれる。
【0053】
遮光部材17Bは、導光体50の外周面から出射される光を遮光する。この遮光部材17Bは、レンズ17Aの表面(ここでは、内周面)の一部を覆うように形成されている。遮光部材17Bは、例えば、収容部65に配設された導光体50と対向するレンズ17Aの領域を取り囲む周辺領域を覆うように形成されている。導光体50の発光時には、導光体50の外周面から出射されてレンズ17Aを介して外部に出射(放射)される光を遮光部材17Bが遮ることで、導光体50の外周面からリング部13の外部への光の出射領域A1(つまり、表示器40の照射領域)が制限される。すなわち、本例では、遮光部材17Bの形成されていないレンズ17Aの領域が出射領域A1となる。このように、本例では、収容部65に配設された導光体50から出射された光が、遮光部材17Bにより出射領域A1に限定されながら、レンズ17Aを介してリング部13の外部に放射され、その導光体50の発光状態が運転者に視認される。すなわち、収容部65に配設された導光体50、つまりカバー17(レンズ17A)に対向配置された導光体50が表示器40の表示部として機能する。
【0054】
なお、遮光部材17Bは、例えば、遮光性塗料の塗布や、遮光性を有するシートやフィルム等の貼付により形成することができる。また、カバー17の外表面と表皮層72の外表面とは、リング部13の最表面であり、リング部13の意匠面を構成している。
【0055】
次に、図8及び図9に従って、発光ユニット41及び導光体50の構造について詳述する。まず、発光ユニット41の構造例について説明する。なお、図8は、図2に示した右側の発光ユニット41を示した断面斜視図である。
【0056】
発光ユニット41は、放熱部43と、その放熱部43に収容された発光装置46とを備えている。放熱部43は、筒状に形成された本体部44と、本体部44の開口を閉塞するように形成された搭載部45とを備えている。これら本体部44と搭載部45とは一体に形成されている。本体部44の外周面の一部は、熱伝導部材70を介して、基材30(図7参照)から露出されたリング部芯金20の内環状部22の外側面に熱的に接続されている。この内環状部22の外側面と対向する本体部44の外周面44Aは、リング部芯金20との密着性を向上させるために、対向する内環状部22の外側面の形状に対応するように形成されている。熱伝導部材70は、本体部44の外周面44Aと内環状部22の外側面との間の空間を埋めるように形成されている。この熱伝導部材70により、放熱部43とリング部芯金20との間の接触熱抵抗を減らすことができる。
【0057】
ここで、放熱部43(本体部44及び搭載部45)は、光源42及び発光装置46よりも大きい表面積を有し、光源42で発生した熱の密度を分散させる機能を有している。このような放熱部43の材料としては、熱伝導率の良好な材料であることが好ましい。例えば、放熱部43の材料としては、基材30(図7参照)を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料を用いることができる。例えば、放熱部43の材料としては、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)又はこれらの合金等を用いることができ、本実施形態ではAlを用いている。また、放熱部43の材料としては、例えば、熱伝導率の高い無機材料(例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素など)や金属材料(例えば、銀、銅、ニッケルなど)のフィラーを含有した樹脂材を用いることもできる。このような樹脂材によって放熱部43を形成すると、加工性が向上するため、放熱部43の生産性を向上させることができる。また、熱伝導部材70の材料としては、例えば、基材30(図7参照)を構成する材料よりも熱伝導率の高い材料を用いることができる。例えば、熱伝導部材70の材料としては、シリコーン樹脂などを用いることができる。また、熱伝導部材70の材料としては、例えば、インジウム、シリコーングリース、金属フィラーなどの高熱伝導性物質を含有した樹脂バインダを用いることができる。
【0058】
発光装置46は、搭載部45上に搭載された配線基板47と、配線基板47上に搭載されたサブマウント48と、サブマウント48に実装された光源42と、光源42と電気的に接続された信号配線49とを備えている。
【0059】
配線基板47は、例えば、アルミナ(Al)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックス材料やガラスエポキシ樹脂の平板材などによって形成されている。サブマウント48としては、例えば、AlNや炭化シリコン(SiC)等からなるセラミック基板を用いることができる。
【0060】
光源42は、例えば、光出射面(ここでは、左側の面)をサブマウント48とは反対側(ここでは、左側)に向けた状態で、サブマウント48に実装されている。光源42としては、例えば、LEDや半導体レーザダイオードを用いることができる。本実施形態では、発光色の異なる複数のLEDが光源42としてサブマウント48に実装されている。複数のLEDの組み合わせとしては、例えば、3原色(RGB)の組み合わせや、白色光及び電球色の組み合わせなどを挙げることができる。
【0061】
図10に示すように、本例の各発光ユニット41の光源42は、3原色の各色の光を発する3つのLEDチップ、つまり赤色LEDチップ42R、緑色LEDチップ42G及び青色LEDチップ42Bを有している。すなわち、一対の発光ユニット41の双方が、赤色LEDチップ42R、緑色LEDチップ42G及び青色LEDチップ42Bを備えている。このため、一対の発光ユニット41の各々において、各LEDチップ42R,42G,42Bの出射光を混光させて所望の色の照射光を実現することができる。
【0062】
図8に示した信号配線49は、搭載部45を厚さ方向に貫通する貫通孔45Xに挿通されている。この信号配線49は、配線基板47に形成された配線パターン(図示略)やサブマウント48に形成された電極(図示略)等を介して光源42と電気的に接続されている。そして、信号配線49は、光源42からの光の出射態様を制御する制御回路19(図10参照)と電気的に接続されている。
【0063】
また、発光装置46の図中左方に位置する本体部44には、案内孔44Xが形成されている。案内孔44Xは、光源42と対向する位置に設けられている。この案内孔44Xには、導光体50の端部50Aが収容されている。この導光体50は、端部50Aを光源42に対向させた状態で案内孔44Xに収容されている。
【0064】
以上説明した構造を有する発光ユニット41では、光源42で発生した熱がサブマウント48及び配線基板47を通じて放熱部43(搭載部45及び本体部44)に一旦拡散されてから、表面積の広いリング部芯金20に伝導されて放熱される。このとき、放熱部43が熱伝導率の高い材料から構成されており、発光装置46よりも広い表面積を有している。このため、光源42の発する熱を効率良く放熱することができ、光源42の温度上昇を抑制することができる。
【0065】
また、光源42の光出射面から出射された光は、導光体50の端部50Aから導光体50へ導入される。以下に、導光体50について詳述する。
図9(a)に示すように、導光体50は、一対の発光ユニット41(一対の光源42)の間において、周方向に沿って正面視で湾曲して延びるように形成されている。このとき、導光体50では、上述したように、収容部65に配設された部分が表示器40の表示部となる。具体的には、収容部65に配設された導光体50の運転席側表面である後面50Bが表示器40の表示部となる。
【0066】
ここで、導光体50は、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂といった透光性を有する合成樹脂によって形成されている。導光体50は、例えば、複数の部材からなり、それらが同心円状に積層された層構造を有するものであってもよいし、単一の部材からなり、層構造を有しないものであってもよい。本実施形態では、導光体50として、可撓性に優れた二層構造を有する導光棒を用いている。
【0067】
図9(b)に示すように、本例の導光体50は、芯となるコア層51と、コア層51を被覆しコア層51よりも屈折率の低いクラッド層52とを有している。コア層51は、円形断面を有している。クラッド層52は、コア層51の表面全面を被覆するように形成されている。コア層51及びクラッド層52の材料としては、例えば、光源42が使用する波長域において光透過性を有する樹脂材を用いることができる。なお、図5図6及び図8等では、コア層51及びクラッド層52のうちコア層51のみを図示している。
【0068】
導光体50の長さ方向(周方向)における中間部には、複数の凹部53が設けられている。複数の凹部53は、導光体50の長さ方向に互いに離間して設けられている。複数の凹部53は、表示部となる導光体50、具体的には収容部65(図9(a)参照)に配設された導光体50の後面50Bに形成されている。
【0069】
各凹部53の形状は、コア層51内を伝播する光を導光体50の外部に出射可能な形状に形成されている。すなわち、各凹部53は、クラッド層52の後面50Bからクラッド層52を前後方向に貫通し、コア層51に達するように形成されている。各凹部53は、その底面がコア層51の前後方向の中途に位置するように形成されている。このように、本例の凹部53は前後方向に延びるように形成されている。凹部53の形状は、ここでは円柱状であるが、角柱状、円錐状や角錐状であってもよい。このような凹部53は、例えば、切削加工、レーザ加工、サンドペーパ加工やプレス加工によって形成することができる。
【0070】
ここで、端部50Aを通じて導光体50に入射した光は、コア層51とクラッド層52との間で内面反射を繰り返し、クラッド層52の外周面から僅かずつ漏れながら導光体50の長手方向に沿って導光される。このため、コア層51とクラッド層52との間(つまり、導光体50内)を伝播する光は、光源42から導光体50の長さ方向へ遠ざかるに従って減衰する。導光体50内を伝播する光の一部は、凹部53の内壁面に当たって反射され、導光体50から外部に出射される。この凹部53では、導光体50(クラッド層52)の外周面から出射される光よりも多くの光が出射される。このため、凹部53の輝度が導光体50の他の部分の輝度よりも高くなり、凹部53が他の部分よりも明るく発光する。このとき、凹部53から出射される光の量は、凹部53の表面積に比例して増加する。このため、凹部53の表面積を調整することにより、凹部53における輝度を調整することができる。また、凹部53を設けると、導光体50内を伝播する光の減衰が大きくなるため、凹部53を設けない場合に比べて導光体50における導光距離が短くなる。また、各凹部53の表面積が大きくなるほど凹部53から出射される光の量(つまり、導光体50内を伝播する光の減衰量)が大きくなるため、導光体50における導光距離が短くなる。このため、各凹部53の表面積及び凹部53の数を適宜変更することにより、導光体50における導光距離を調整することができる。
【0071】
そこで、凹部53の数及び各凹部53の表面積は、例えば、光源42の光量や導光体50における導光距離等に応じて適宜設定されている。例えば、複数の凹部53の表面積を互いに異なるように設定してもよい。本例では、複数の凹部53の表面積は、光源42から遠ざかるに従って大きくなるように設定されている。例えば、複数の凹部53の開口幅及び深さの少なくとも一方が、光源42から遠ざかるに従って大きくなるように設定されている。このように設定することで、光源42からの距離に関わらず、各凹部53から出射される光量(各凹部53における輝度)を同程度にすることができる。
【0072】
次に、導光体50の設置位置について説明する。
図5及び図6に示すように、収容部65に配設された導光体50(つまり、表示部である導光体50)は、リング部13の運転席側表面13Aのうち最も運転席側(後側)に突出した頂部13T(図2の一点鎖線も参照)よりも下側(ボス部14(図2参照)側)にのみ設けられている。これにより、導光体50よりも上側に位置するリング部13(特に、頂部13Tを構成する表皮層72)が導光体50に対する庇として機能するため、導光体50に外光が直接当たることが抑制される。さらに、本例の導光体50は、頂部13Tよりも反運転席側(前側)の位置に設けられている。ここで、ステアリングホイール12の操舵基準状態において最も上側に位置する導光体50、つまり図5に示した導光体50の設置位置の具体例について説明する。
【0073】
まず、図11に示すように、ステアリングシャフト11の軸線L1に沿う方向、つまりステアリングホイール12の前後方向をX軸とし、ステアリングホイール12の上下方向をY軸とする。また、ステアリングホイール12の運転席側表面のうち軸線L1と交差する点を原点P1とし、その原点P1の座標(X,Y)を(0,0)とする。
【0074】
このとき、ステアリングホイール12の直径が360mmである場合には、ステアリングホイール12の最も上側に位置する導光体50は、その前後方向の中心C1が例えば座標(−5,165)に位置するように配設される。すなわち、この場合の導光体50の中心C1は、原点P1よりも5mm前方に位置し、且つ原点P1よりも165mm上方に位置している。また、ステアリングホイール12の直径が380mmである場合には、ステアリングホイール12の最も上側に位置する導光体50は、その中心C1が例えば座標(−5,175)に位置するように配設される。そして、表示部として機能する導光体50は、上記中心C1を基準にして、周方向に沿って配設される。具体的には、表示部として機能する導光体50は、軸線L1を中心として上記中心C1を通る円上に沿って配設される。以上説明した位置に導光体50を配設することにより、表示部として機能する導光体50の全体を、頂部13Tよりも下方の位置であって、且つ頂部13Tよりも前方の位置に設けることができる。
【0075】
なお、導光体50の中心C1を、原点P1よりも3〜8mm程度前方であって、且つ原点P1よりもステアリングホイール12の半径よりも13〜18mm程度短い距離分だけ上方に位置させるようにしてもよい。
【0076】
次に、出射領域A1について説明する。
出射領域A1は、例えば、運転席S1に着座した運転者Dの視野に含まれるように設定されている。例えば、出射領域A1は、運転席S1に適正な姿勢で着座した状態の運転者Dが最も上側に位置する導光体50(カバー17)に視線を合わせた際の運転者Dの視野に出射領域A1の全てが含まれるように設定されている。このような出射領域A1は、運転席S1に適正な姿勢で着座した際の運転者Dの目(例えば、体格の異なる複数の運転者D1,D2の目)と導光体50の中心C1とを結ぶ仮想線を基準にして設定することができる。但し、本実施形態では、運転者Dの目と導光体50の中心C1とを結ぶ仮想線が、軸線L1と平行な仮想線であって、導光体50の中心C1を通る仮想線L2と略一致する。具体的には、仮想線L2は、身長(特に、座高)の高い運転者D1(例えば、AM50ダミー)の目と導光体50の中心C1とを結ぶ仮想線と略一致する。さらに、仮想線L2は、身長(特に、座高)の低い運転者D2(例えば、AF05ダミー)の目と導光体50の中心C1とを結ぶ仮想線と略一致する。そこで、本実施形態では、仮想線L2を中心として上記出射領域A1を設定している。
【0077】
具体的には、出射領域A1は、仮想線L2を中心として、軸線L1側(図中下側)の角度θ1が10〜40°(好ましくは10°〜20°、より好ましくは10°)の範囲、且つ軸線L1とは反対側(図中上側)の角度θ2が10〜25°(好ましくは10°〜15°、より好ましくは10°)の範囲に設定されている。さらに、出射領域A1は、角度θ2が角度θ1と同じ又は角度θ1よりも小さくなるように設定されている。このように出射領域A1を設定することにより、その出射領域A1を運転者D(運転者D1,D2)の視野に含めることができるため、運転者Dが導光体50の発光状態を好適に視認することができる。
【0078】
そして、出射領域A1は、収容部65(図5参照)に配設された導光体50の全長に亘って同様に設定されている。具体的には、図12に示すように、収容部65(図5参照)に固定された導光体50では、各位置における導光体50の前後方向の中心を通って軸線L1と平行な仮想線L2を中心として出射領域A1が設定されている。すなわち、この場合の出射領域A1は、仮想線L2を中心として、軸線L1側の角度θ1が10〜40°(好ましくは10°〜20°、より好ましくは10°)の範囲、且つ軸線L1と反対側の角度θ2が10〜25°(好ましくは10°〜15°、より好ましくは10°)の範囲に設定されている。さらに、出射領域A1は、角度θ2が角度θ1と同じ又は角度θ1よりも小さくなるように設定されている。
【0079】
ここで、出射領域A1が最も狭い範囲(つまり、仮想線L2を中心とした20°の範囲)に設定された場合(実線参照)には、水平方向(図中左右方向)の出射領域A1が狭い領域に限定される。これにより、例えば助手席に着座した同乗者Fの視野に出射領域A1が含まれることを抑制できる。
【0080】
一方、出射領域A1が最も広い範囲に設定された場合(破線参照)には、仮想線L2を中心として、軸線L1側の角度θ1が40°、軸線L1と反対側の角度θ2が25°に設定される。すなわち、この場合には、軸線L1と反対側の出射領域(範囲)が軸線L1側の出射領域(範囲)よりも狭く設定される。このため、出射領域A1を最も広い範囲に設定した場合であっても、その出射領域A1が同乗者F側(助手席側)に広がることが抑制される。これにより、助手席に着座した同乗者Fが導光体50の発光状態を視認しにくくなる。このように、出射領域A1は、運転者D以外の同乗者に導光体50の発光状態が視認されない範囲に設定されている。
【0081】
次に、図10に従って、光源42の出射態様と振動ユニット18を制御する制御回路19の内部構成例について説明する。
制御回路19は、一対の光源42を個別に制御するとともに、振動ユニット18を制御するマイコン19Aと、マイコン19Aからの制御信号に基づいて各光源42を駆動する駆動回路19Bとを備えている。マイコン19Aには、制御回路19及び光源42の発光に必要な電源が供給される。また、マイコン19Aには、表示器40に表示する情報に関連する情報IFが供給される。情報IFには、例えば、ステアリングホイール12(図1参照)が実装される車両の自動運転に関する情報、車両の速度、エンジンの回転数、車両の温度などが含まれる。自動運転に関する情報としては、例えば、車両が自動運転中であることを示す情報、通信状況や白線の有無などの自動運転が可能な状態であるか否かを示す情報、ステアリングホイール12の回転方向及び回転角度、シフトポジション情報などが含まれる。そして、マイコン19Aは、受信した情報IFに基づいて、一対の光源42(赤色LEDチップ42R、緑色LEDチップ42G及び青色LEDチップ42B)の出射態様(光量及び色等)を制御する制御信号を生成する。また、マイコン19Aは、受信した情報IFに基づいて、振動ユニット18を駆動制御する制御信号を生成する。
【0082】
各駆動回路19Bは、マイコン19Aからの制御信号に基づいて、赤色LEDチップ42R、緑色LEDチップ42G及び青色LEDチップ42Bを個別に駆動する。これにより、LEDチップ42R,42G,42Bの少なくとも一つのLEDチップが発光すると、導光体50(図3参照)が所定の態様で発光する。この導光体50の発光態様により、表示器40(図3参照)は、所定の車両情報(例えば、車両の自動運転に関する情報)を呈示する。
【0083】
次に、図13及び図14に従って、光源42及び導光体50の発光態様の一例を説明する。
図13(a)に示した表示器40では、制御回路19の制御により、左側の光源42と右側の光源42とから互いに異なる色の光が出射されている。例えば、左側の光源42から青色の光が出射され、右側の光源42から緑色の光が出射されている。このとき、導光体50では、左側の光源42から出射された青色の光が左側の端部から導入され、右側の光源42から出射された緑色の光が右側の端部から導入される。すると、導光体50では、青色の光が左側の端部から右側の端部に向かって伝播され、緑色の光が右側の端部から左側の端部に向かって伝播される。これにより、左側の光源42に近接する導光体50の外周面から青色の光が出射され、左側の光源42に近接する導光体50が青色に発光する。また、右側の光源42に近接する導光体50の外周面から緑色の光が出射され、右側の光源42に近接する導光体50が緑色に発光する。このとき、図示の例では、制御回路19により、導光体50における導光距離が導光体50全体の長さの半分程度の距離となるように各光源42の光量が制御されている。これにより、図示のように、導光体50の長さ方向(周方向)における略中心に、青色の光と緑色の光との境界が生成されている。このように左右一対の光源42から互いに異なる色の光を出射させてその光量を制御することにより、色の境界部を容易に作り出すことができる。このとき、導光体50に入射した光は、光源42から導光体50の長さ方向へ遠ざかるに従って(つまり、各光源42から色の境界部に近づくに従って)減衰する。このため、色の境界部に近づくほど導光体50の輝度が低くなる。但し、導光体50の凹部53では光の出射量(光量)が集中するため、凹部53における輝度は導光体50の他の部分に比べて高くなる。これにより、凹部53において導光体50の視認性を向上させることができる。
【0084】
図13(a)に示した発光状態から、右側の光源42の光量を徐々に減らし左側の光源42の光量を徐々に増やすと、図13(b)及び図13(c)に示すように、導光体50において青色の光が出射される発光領域が右側の光源42に向けて(右側に向けて)徐々に拡大される。このように各光源42からの光の出射態様(光量)を変更することにより、導光体50において青色の光が出射される発光領域と緑色の光が出射される発光領域との割合を変更することができる。すなわち、各光源42の光量を変更することにより、色の境界部を移動させることができる。これにより、表示部(導光体50)において光の流れを表現することができる。
【0085】
なお、以上説明した発光態様では、一対の光源42が互いに異なる色の光を出射するようにしたが、一対の光源42が同一の色の光を出射して導光体50全体を一つの色に発光させるようにしてもよい。この場合には、1つの光源42で導光体50全体を発光させる場合に比べて、各々の光源42の光量を減らすことができる。
【0086】
また、図14(a)に示した表示器40では、一対の光源42の一方の光源42(ここでは、左側の光源42)のみから所定の色(ここでは、青色)の光が出射されている。すると、左側の光源42から出射された青色の光が左側の端部から導光体50内に導入され、その導入された青色の光が導光体50内を伝播する。これにより、左側の光源42に近接する導光体50から青色の光が出射され、その導光体50が青色に発光する。
【0087】
図14(a)に示した発光状態から、左側の光源42の光量を徐々に増やすと、図14(b)及び図14(c)に示すように、導光体50において青色の光が出射される発光領域が右側に向けて徐々に拡大される。このように光源42の光量を変更することにより、導光体50の発光領域を拡大縮小することができる。これによっても、表示部(導光体50)において光の流れを表現することができる。
【0088】
図13及び図14に示した発光態様のいずれの場合であっても、光源42の光量を変更することにより、導光体50における輝度を変更することもできる。また、光源42から出射される光の色を変更することにより、導光体50から出射される光の色を変更することができる。さらに、光源42の点灯及び消灯を繰り返すことにより、導光体50を点滅させることもできる。
【0089】
以上説明したように、制御回路19によって光源42の出射態様(光量及び色等)を適宜制御することにより、導光体50から出射される光の色、輝度、点滅や導光体50における発光領域を変化させることができ、さらに導光体50において光の流れを表現することができる。このように導光体50から出射される光の色、輝度、点滅、導光体50における発光領域、光の流れ、つまり導光体50の発光態様を変化させることにより、ステアリングホイール12に種々の車両情報を呈示することができる。例えば、車両の危険を表わす警告情報を呈示する場合に、導光体50から出射される光の色、輝度、点滅や光の流れを変化させることで危険の大きさや方向を通知することができる。また、光の流れを利用することにより、例えば駐車時などにステアリングホイール12の必要舵角を呈示することもできる。さらに、光の流れを利用して、運転者の視線を例えば車両内に配設されたメータパネル等に誘導することもできる。
【0090】
なお、例えば警告情報等を呈示する場合に、導光体50の発光態様による呈示と合わせて、振動ユニット18を駆動制御してステアリングホイール12を振動させるようにしてもよい。これにより、例えば車両の自動走行時に運転者がステアリングホイール12から視線を外していても、ステアリングホイール12を振動させることによって、ステアリングホイール12に運転者の注意を引きつけることができる。このように導光体50の発光とステアリングホイール12の振動とを組み合わせることにより、例えば警告音等を使用することなく、運転者のみに警告情報を認識させることができる。
【0091】
以上詳述した本実施形態によれば、次の作用及び効果が得られる。
(1)光源42を含む発光装置46を、基材30よりも熱伝導率の高い材料からなり、発光装置46よりも表面積の広い放熱部43と熱的に接続し、その放熱部43をリング部芯金20と熱的に接続した。このため、光源42で発生した熱は、放熱部43に一旦拡散されてから、表面積の更に広いリング部芯金20に伝導されて放熱される。このとき、放熱部43が基材30よりも熱伝導率の高い材料からなるため、光源42を基材30に搭載する場合に比べて、光源42で発生する熱を放熱部43及びリング部芯金20で効率良く放熱することができる。また、放熱部43の表面積が発光装置46よりも広く形成されているため、発光装置46をリング部芯金20に直接搭載する場合に比べて、光源42で発生する熱を放熱部43及びリング部芯金20で効率良く放熱することができる。これらにより、光源42及びその周辺部品の熱劣化を抑制することができる。
【0092】
(2)また、発熱によって光源42の性能低下(例えば、発光効率の低下)や信頼性低下が生じることを抑制できる。
(3)光源42近傍のリング部13が高温になると、ステアリングホイール12の操作性が低下する。しかし、本実施形態では、光源42で発生した熱を放熱部43及びリング部芯金20で効率良く放熱することができるため、ステアリングホイール12の操作性が低下することを抑制できる。
【0093】
(4)表示器40の光源42及び導光体50を、リング部芯金20の外側面よりも外側に設置した。このため、リング部芯金20の形状を変更することなく、表示器40をリング部13に内設することができる。
【0094】
(5)発光装置46をリング部芯金20に直接搭載せずに、発光装置46とリング部芯金20との間に放熱部43を介在させるようにした。このため、例えば放熱部43の形状を適宜変更することにより、発光装置46の設置位置を適宜変更することができる。これにより、発光装置46の設置位置の自由度を向上させることができる。
【0095】
(6)放熱部43の外周面を、熱伝導部材70を介してリング部芯金20の外側面に熱的に接続した。これにより、例えば放熱部43の外周面とリング部芯金20の外側面との間に隙間が生じる場合であっても、その隙間を熱伝導部材70によって埋めることができる。さらに、熱伝導部材70によって放熱部43の外周面とリング部芯金20の外側面との接触熱抵抗を減らすことができる。
【0096】
(7)表示器40の発光部を、光源42と導光体50とで構成した。導光体50を利用することにより、少ない光源42で広い範囲を照射することができる。これにより、光源42の数を減らすことができる。
【0097】
例えば、導光体50を省略し、リング部13の周方向に沿って光源42を並べる場合には、多数の光源42が必要になる。特に、光源42自体で色の変化を表現する場合には、各々の設置箇所に少なくとも2種類(2色)の光源42を搭載する必要がある。このため、この場合には、光源42の数が増大し、光源42を設置するための設置スペースが増加するとともに、表示器40の消費電力が増加する。
【0098】
これに対し、導光体50を利用した場合には、発光装置46に2種類(2色)の光源42を搭載するだけでも、導光体50から出射される色を変化させることができる。これにより、光源42自体を表示部として利用する場合に比べて、光源42の数を大幅に減らすことができる。このため、光源42を設置するための設置スペースを小さくでき、表示器40の消費電力を低減できる。
【0099】
なお、導光体50における導光距離が長くなると、光量の大きい光源42が必要となるため、光源42の発熱量が大きくなる。このため、導光体50を利用する場合には、上記(1)で説明した効果が顕著となる。
【0100】
(8)発光ユニット41(放熱部43及び発光装置46)を、リング部13の他の部分よりもボス部14側に膨出して形成されたアシスト部16の内部に配設した。これにより、リング部13の形状変更を抑制しつつ、発光ユニット41の設置スペースを容易に確保することができる。このため、光源42として光量の大きい光源を採用することができ、導光体50の導光距離及び輝度を十分に確保することができる。また、発光ユニット41の設置によるリング部13の形状変更が抑制されるため、リング部13の外観品質の低下を抑制することができる。
【0101】
(9)また、表示部として機能する導光体50に近接した位置(つまり、アシスト部16)に光源42を設けることができる。このため、表示部として機能する導光体50から遠く離れた位置に光源42が設けられる場合に比べて、導光体50における導光距離を短くできる。これにより、光源42の光量を小さくでき、光源42自体を小さくすることができる。
【0102】
(10)さらに、発光ユニット41を、保持部材60の膨出部61、軟質シート71及び表皮層72で被覆し、外部から視認されないように設けた。これにより、発光ユニット41の設置によるリング部13の外観品質の低下を更に抑制することができる。
【0103】
(11)樹脂材により放熱部43を形成した場合には、放熱部43の加工性を向上させることができる。これにより、放熱部43の生産性を向上させることができる。
(12)通常、導光体50は全長に亘って略均一に発光する。しかし、この場合には、導光体50が低輝度で略均一に発光する。このため、外光が強い場合には、導光体50の視認性が著しく低下するおそれがある。
【0104】
これに対し、本実施形態では、導光体50の運転席側表面である後面50Bに、導光体50内を伝播する光を導光体50の外部に出射可能な形状に形成された凹部53を設けた。この構成によれば、光源42の発光時に、凹部53から出射される光の量を導光体50の他の部分に比べて多くできるため、導光体50の他の部分に比べて凹部53における輝度を高くできる。これにより、凹部53が明るく発光するため、その凹部53において導光体50の視認性を向上できる。
【0105】
(13)また、凹部53を設けたことにより、その凹部53で局所的に明るく発光させることができるため、導光体50を不均一に発光させることができる。このため、凹部53の数や位置を変更することにより、導光体50における発光態様を変更できる。したがって、導光体50における発光パターンを増大させることができる。
【0106】
(14)ところで、凹部53が形成されていない場合には、上述のように、導光体50が全長に亘って略均一に発光する。このため、この場合には、一対の光源42から互いに異なる色の光が出射された場合であっても、導光体50の全長に亘って2つの色の光が混ざり合ってしまい、2つの色の境界を生成することが困難である。
【0107】
これに対し、凹部53を設けることにより、導光体50における導光距離を調整することができる。具体的には、凹部53の表面積に比例して凹部53から出射される光の量(つまり、導光体50内を伝播する光の減衰量)が増えるため、凹部53の表面積(凹部53の開口径や深さ)や凹部53の数を適宜調整することにより、導光体50における導光距離を調整することができる。例えば凹部53の表面積を大きくすることにより、導光体50における導光距離を短くできる。このように導光距離を短くすることで、一対の光源42から互いに異なる色の光が出射された場合に、それら2つの色の境界を好適に生成することができる。
【0108】
(15)光源42として複数色のLEDチップ42R,42G,42Bを採用した。これにより、導光体50における発光パターンを増大させることができる。
(16)左側の光源42(第1光源)と右側の光源42(第2光源)とを、互いに異なる色の光を出射可能に構成した。これにより、例えば図13に示した発光態様のように導光体50を2つの色で発光させることが可能となり、さらに導光体50において2つの色の境界を生成することが可能となる。
【0109】
(17)各光源42から出射される光の出射態様(光量や色)を制御する制御回路19を設けた。これにより、導光体50から出射される光の色や発光領域を適宜変更することができ、導光体50の発光パターンを種々に変化させることができる。例えば、導光体50の発光領域を順次変化(拡大又は縮小)させることにより、導光体50において光の流れを表現することができる。
【0110】
(18)表示部として機能する導光体50を、リング部13の運転席側表面13Aの頂部13Tよりもボス部14側(下側)の領域のみに設けた。これにより、表示部として機能する導光体50よりも上側に位置するリング部13(特に、頂部13Tを構成するリング部13)が庇として機能するため、外光が導光体50に直接当たることを抑制できる。このため、導光体50の視認性を向上させることができる。
【0111】
(19)カバー17に、導光体50からリング部13の外部への光の出射領域A1を制限する遮光部材17Bを形成した。この遮光部材17Bにより、出射領域A1、つまり表示器40の照射領域を所望の形状及び範囲に容易に設定することができる。
【0112】
(20)出射領域A1の全てが運転席S1に着座した運転者Dの視野に含まれるように、遮光部材17Bによって出射領域A1を制限した。これにより、出射領域A1が運転者Dの視野の範囲内に限定される。このため、助手席に着座した同乗者Fが導光体50の発光状態を視認しにくくなる。この結果、運転者Dのみに導光体50の発光状態を認識させることができる。
【0113】
(21)出射領域A1の水平方向の範囲は、仮想線L2から軸線L1とは反対側の範囲が、仮想線L2から軸線L1側の範囲と同じ範囲又は軸線L1側の範囲よりも狭くなるように設定されている。このため、出射領域A1が同乗者F側(助手席側)に広がることが抑制される。これにより、助手席に着座した同乗者Fが導光体50の発光状態を視認しにくくなる。
【0114】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
【0115】
<発光ユニット41について>
・発光ユニット41は、図8に示した構造に限定されない。例えば、光源42と導光体50の端部50Aとの間に、光源42から出射された光を集光するレンズを設けてもよい。また、光源42を搭載するための配線基板47及びサブマウント48の構造を適宜変更してもよい。また、上記実施形態では、発光装置46の光源42、配線基板47やサブマウント48等全体を覆うように放熱部43を形成したが、それら光源42、配線基板47やサブマウント48等の一部分を露出するように放熱部43を形成してもよい。
【0116】
・熱伝導部材70を省略し、放熱部43の外周面をリング部芯金20の内環状部22の外側面に直接接触させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、放熱部43をリング部芯金20とは別部品で形成した。これに限らず、例えば、リング部芯金20の内環状部22の外側面と一体に放熱部43を形成してもよい。この場合には、例えば、リング部芯金20の内環状部22の外側面と放熱部43の内周面とによって形成される収容部に発光装置46が搭載される。具体的には、上記収容部内に搭載部45が形成され、その搭載部45に発光装置46が搭載される。このような構造を採用することにより、放熱部43とリング部芯金20との間の接触熱抵抗が無くなるため、光源42で発生した熱を放熱部43及びリング部芯金20で効率良く放熱することができる。
【0117】
・発光ユニット41をアシスト部16以外に配設してもよい。例えば、発光ユニット41を、ボス部14に内設してもよい。この場合には、発光ユニット41の放熱部43を、ボス部14に位置する芯金に熱的に接続してもよい。
【0118】
・各光源42として、1つの色の光のみを出射する光源を用いてもよい。この場合に、一対の光源42として、同一の色の光を出射する光源を用いてもよいし、互いに異なる色の光を出射する光源を用いてもよい。
【0119】
・一対の光源42のうち一方の光源を省略してもよい。
・光源42としては、上記実施形態のようにLEDが代表的であるが、LEDとは異なるものを用いてもよい。例えば、光源42として、レーザダイオードを用いてもよい。
【0120】
<導光体50について>
・導光体50として、円形とは異なる断面形状(例えば、矩形等の多角形、楕円や半円などの断面形状)を有する導光体を用いてもよい。
【0121】
・上記実施形態では、導光体50における凹部53を、導光体50の後面50Bに前後方向に延びるように形成したが、これに限定されない。
例えば図15に示すように、凹部53を、導光体50の後面50Bに上下方向に延びるように形成してもよい。この場合には、運転席側から見たときに、凹部53が上下方向に線状に延びるように形成される。このため、光源42の発光時に、運転席側から見て凹部53を線状に発光させることができる。
【0122】
・導光体50における凹部53の数を、上記実施形態と異なる数に変更してもよい。また、各凹部53の寸法(凹部53の直径や深さ)を上記実施形態と異なる値に変更してもよい。例えば、複数の凹部53の寸法を全て同一の寸法に設定してもよい。
【0123】
・導光体50における凹部53を省略してもよい。
・導光体50の長さを、上記実施形態と異なる長さに変更してもよい。例えば、導光体50を、リング部13の周方向の全周に沿って円環状に形成してもよい。
【0124】
・導光体50の運転席側から見た形状を、湾曲形状とは異なる形状(例えば、直線形状)に変更してもよい。
・上記実施形態では、保持部材60の外周面に配設された導光体50を、接着剤などにより、収容部65の内面に接着した。これに限らず、保持部材60の外周面に配設された導光体50を、収容部65の内面に接着せずに、収容部65の内面とカバー17の内周面とによって挟持してもよい。
【0125】
・表示部として機能する導光体50の設置位置は特に限定されない。例えば、リング部13の運転席側表面13Aのうち頂部13Tよりも上側に位置する領域に、表示部として機能する導光体50を設けてもよい。また、ボス部14よりも下側に位置するリング部13に、表示部として機能する導光体50を設けてもよい。また、ボス部14やスポーク部15に、表示部として機能する導光体50を設けてもよい。
【0126】
・導光体50と光源42との組み合わせを複数組設けてもよい。これにより、各組で導光体50の発光態様を変更できるため、より多くの発光態様で車両情報の呈示を行うことができる。
【0127】
・上記実施形態では、表示器40の発光部を光源42と導光体50とから構成したが、これに限定されない。
例えば図16に示すように、表示器40の発光部をLED等の光源42のみで構成してもよい。図示の例では、導光体50に代えて、複数の光源42がリング部13の周方向に沿って並べられている。この場合には、光源42そのものが表示器40の表示部として機能する。
【0128】
<保持部材60について>
・保持部材60の収容部65の内面に反射部材を設けてもよい。このようにすると、導光体50から前方(反運転席側)又はそれに近い方向に出射された光を反射部材によって反射させて、運転席側に出射される光量を増やすことができる。なお、反射部材は、収容部65の内面全体に設けてもよいし、収容部65の内面のうち、導光体50の反運転席側表面と対向する面のみに設けてもよい。
【0129】
・保持部材60の基材30に対する取付構造は特に限定されない。例えば、保持部材60における突条66、係止爪68及び係止突起69等を省略し、その保持部材60を、接着剤等により基材30の外周面に接着するようにしてもよい。この場合には、基材30の取付部31における係止突起33も省略される。
【0130】
・発光ユニット41、導光体50及び保持部材60とカバー17とをユニット化してもよい。
・保持部材60を省略してもよい。この場合には、例えば、発光ユニット41及び導光体50のみをユニット化し、そのユニット化した発光ユニット41及び導光体50を基材30に取り付ける。また、発光ユニット41及び導光体50を個別に基材30に取り付けるようにしてもよい。
【0131】
<遮光部材17Bについて>
・遮光部材17Bを、レンズ17Aの外表面に形成してもよい。また、遮光部材17Bを、基材30や保持部材60に形成してもよい。
【0132】
・遮光部材17Bを省略してもよい。この場合には、導光体50からリング部13の外部への光の出射領域A1が制限されない。
<出射領域A1について>
・上記実施形態では、導光体50の前後方向の中心を通ってステアリングシャフト11の軸線L1と平行な仮想線L2を中心として出射領域A1を設定した。これに限らず、例えば、運転席S1に着座した運転者D(運転者D1,D2等)の目と導光体50の前後方向の中心とを結ぶ仮想線を中心として出射領域A1を設定してもよい。
【0133】
<リング部13について>
・リング部13におけるアシスト部16を省略してもよい。この場合には、発光ユニット41がアシスト部16以外の領域に配設される。
【0134】
・リング部13における軟質シート71を省略してもよい。
<その他>
・振動ユニット18を省略してもよい。
【0135】
・上記ステアリングホイール12は、車両に限らず、航空機、船舶等の他の乗り物における操舵装置のステアリングホイールに適用することもできる。この場合、車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
【符号の説明】
【0136】
11…ステアリングシャフト、12…ステアリングホイール、13…リング部、13T…頂部、14…ボス部、15…スポーク部、16…アシスト部、17…カバー、17B…遮光部材、19…制御回路、20…リング部芯金(芯金)、30…基材、40…表示器、41…発光ユニット、42…光源、43…放熱部、50…導光体、50A…端部、51…コア層、52…クラッド層、53…凹部、70…熱伝導部材、A1…出射領域、S1…運転席、D,D1,D2…運転者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16