(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、車両の後席用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。また、車両用シートには、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が着座しているものとする。
【0023】
図2に示すように、乗物としての車両10の側部には、ボディサイド部11が配置されている。ボディサイド部11の車内側の近傍には、前席及び後席が前後方向に並べられた状態で配置されている。これらの前席及び後席は、乗物用シートとしての車両用シート12によって構成されている。
図2では、後席を構成する車両用シート12が図示されている。ここで、ボディサイド部11の代表的なものは、ドア、ピラー等であるが、後席に対応するボディサイド部11としては、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等が挙げられる。なお、
図2中の符号11aは、ボディサイド部11から車室内に向けて突出するアームレストである。
【0024】
車両用シート12は、シートクッション13と、そのシートクッション13の後側から斜め後上方へ起立するシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が車両前方を向く姿勢で車室内に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
【0025】
ボディサイド部11とシートバック14との間にはガーニッシュ15が配置されている。ガーニッシュ15は、車幅方向よりも上下方向に細長い形状をなしている。ガーニッシュ15は、締結手段等によって車両10の車体に固定されている。
【0026】
図1及び
図3に示すように、ガーニッシュ15には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールABMが取付けられている。エアバッグモジュールABMは、ガス発生器30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。エアバッグ40の外殻部分は、エアバッグ本体41によって構成されている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
【0027】
ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールABM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、車両用シート12のシートバック14を基準としている。シートバック14の起立する方向をエアバッグモジュールABM等の「上下方向」とし、シートバック14の厚み方向をエアバッグモジュールABM等の「前後方向」としている。上述したように、シートバック14は後方へ多少傾斜していることから、エアバッグモジュールABM等の「上下方向」は厳密には車両10の上下方向(鉛直方向)と合致しておらず、多少傾斜している。同様に、エアバッグモジュールABM等の「前後方向」は、車両10の前後方向(水平方向)と合致しておらず、多少傾斜している。
【0028】
<ガス発生器30>
図3及び
図5に示すように、ガス発生器30は、インフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状(長尺状)をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その下端部にガス噴出部31aを有している。また、インフレータ31の上端部には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
【0029】
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
【0030】
一方、リテーナ32は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ31をエアバッグ40と一緒に車両10に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。リテーナ32においてガス噴出部31aの径方向に対向する箇所には窓部(図示略)が設けられており、ガス噴出部31aから噴出された膨張用ガスがこの窓部やリテーナ32の下端開口部等を通じてエアバッグ本体41に供給される。リテーナ32には、これを車両10の車体に取付けるための係止部材として、複数本のボルト33が固定されている。なお、ガス発生器30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
【0031】
<エアバッグ本体41>
図4は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく展開させられた(折り畳まれていない)状態のエアバッグモジュールABMを示している。エアバッグ本体41のこの状態を、以下「非膨張展開状態」というものとする。また、
図5は、エアバッグモジュールABMの内部構造を示すべく、
図4のエアバッグ本体41が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールABMを示している。
図6は、エアバッグ本体41をはじめとする、エアバッグ40の各構成部材を、それぞれ分解して車幅方向に平面状に展開させた状態で示している。
【0032】
図4〜
図6に示すように、エアバッグ本体41は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)によって構成されている。エアバッグ本体41の車幅方向における中央部分には、上下方向に延びる折り線42が設定されている。エアバッグ本体41は、折り線42に沿って前方へ二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、折り線42を境として隣り合う2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを本体布部43といい、車外側に位置するものを本体布部44というものとする。
【0033】
なお、本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、折り線42がエアバッグ本体41の後端部に位置するように布片が二つ折りされているが、折り線42が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ本体41は折り線42に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。さらに、本体布部43,44の少なくとも一方は、2枚以上の布片によって構成されてもよい。
【0034】
図1及び
図2に示すように、各本体布部43,44は、エアバッグ本体41が車両用シート12とボディサイド部11との間で展開及び膨張したときに、乗員Pの上半身のうち肩部PSから胸部PTにかけての部位に対応する領域を占有し得る形状及び大きさに形成されている。二つ折りされた本体布部43,44の各前上端部Aは、前上方へ向けて膨らむように湾曲状をなしており(
図4及び
図5参照)、エアバッグ本体41が展開及び膨張したとき肩部PSの側方近傍に位置する。
【0035】
両本体布部43,44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
【0036】
図4及び
図5に示すように、両本体布部43,44の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部45においてなされている。本実施形態では、周縁結合部45は、両本体布部43,44の周縁部のうち、後端部(折り線42の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。このように、結合が縫製による点は、後述する各種結合部についても同様である。各種結合部とは、縦結合部61,62、後結合部72,94,95、前結合部75,93等である。
【0037】
上記縫製に関し、
図4及び
図5では、2つの線種によって縫製部分が表現されている。変形例の説明に用いられる
図10についても同様である。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している(
図4における周縁結合部45等参照)。2番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る面における縫糸の断面を示している(
図5における周縁結合部45等参照)。
【0038】
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、上記各種結合部についても同様である。
エアバッグ本体41内には、2種類の補強布51,55と、一対の膨張厚み調整部70とが設けられている。
【0039】
<補強布51,55>
両補強布51,55は、いずれも上記本体布部43,44と同様の素材によって形成されている。
図6及び
図7に示すように、一方の補強布51は、平面状に展開された状態のエアバッグ本体41の車幅方向における中央部分と同様の形状、すなわち、上下方向に細長い形状に形成されている。補強布51の車幅方向における中央部分には上下方向に延びる折り線52が設定されている。ここでは、補強布51のうち折り線52を境として隣り合う2つの部分を区別するために、車内側に位置する部分を補強布部53といい、車外側に位置する部分を補強布部54というものとする。補強布51は、その折り線52をエアバッグ本体41の折り線42に合致された状態で、同エアバッグ本体41の車幅方向における中央部分に重ね合わされている。
【0040】
他方の補強布55は、上記補強布51の略下半部と同様の形状に形成されている。補強布55の車幅方向における中央部分には、上下方向に延びる折り線56が設定されている。ここでは、補強布55のうち折り線56を境として隣り合う2つの部分を区別するために、車内側に位置する部分を補強布部57といい、車外側に位置する部分を補強布部58というものとする。補強布55は、その折り線56を補強布51の折り線52に合致された状態で、同補強布51の略下半部に重ね合わされている。
【0041】
車内側の両補強布部53,57は、上下方向へ延びる車内側の縦結合部61によって車内側の本体布部43に結合されている。また、車外側の両補強布部54,58は、上下方向へ延びる車外側の縦結合部62によって車外側の本体布部44に結合されている。
【0042】
両補強布51,55は、エアバッグ本体41と一緒に折り線42,52,56に沿って前方へ二つ折りされて車幅方向に重ね合わされている。そして、補強布51の上端部は、上述した周縁結合部45の一部によって、エアバッグ本体41における両本体布部43,44の上端部に対し、共縫いにより結合されている。また、両補強布51,55の下端部は、周縁結合部45の一部によって、両本体布部43,44の下端部に対し、共縫いにより結合されている。
【0043】
それぞれ二つ折りされたエアバッグ本体41及び補強布51の各後端上部には、折り線42,52に直交する方向へ延びるスリット63が形成されている。エアバッグ本体41及び補強布51においてスリット63よりも上側部分は、同エアバッグ本体41及び補強布51の他の部分の内側へ折り曲げた状態で入り込ませられた内折り部64となっている(
図5参照)。内折り部64の上端部は、周縁結合部45の一部によってエアバッグ本体41及び補強布51の他の部分に対し、共縫いにより結合されている。また、内折り部64の形成に伴い、スリット63が開かれて、ガス発生器30の挿入口65が形成されている(
図9(a)参照)。
【0044】
エアバッグ本体41及び補強布51,55の各折り線42,52,56上であって、上下方向に互いに離間した複数箇所には、ガス発生器30の上記ボルト33を挿通させるためのボルト孔66がそれぞれあけられている。
【0045】
そして、
図4及び
図5に示すように、上下方向に延びる姿勢にされたガス発生器30の上部を除く多くの部分は、上記挿入口65を通じて、エアバッグ本体41の後端部に挿入されている。ガス発生器30のボルト33が対応するボルト孔66に挿通されることにより、ガス発生器30が、エアバッグ本体41及び補強布51,55に対し位置決めされた状態で係止されている。
【0046】
なお、上記エアバッグ本体41、補強布51,55及びガス発生器30は、ボルト33において車両10の車体に固定される。詳細については後述する。
<膨張厚み調整部70>
図7及び
図8に示すように、各膨張厚み調整部70は、1つの調整片71によって構成されている。膨張厚み調整部70毎の調整片71は、エアバッグ本体41内に、車幅方向に並べられた状態で配置されている。両調整片71は、いずれも上記本体布部43,44と同様の素材によって、互いに同一の形状に形成されている。各調整片71は、本体布部43,44のうち隣接する調整片71とは反対側のものに架け渡されている。
【0047】
各調整片71は、エアバッグ本体41の前後方向の膨張厚みを規制して、車幅方向の膨張厚みT1を増加させるためのものであり、シート状をなしている。
図4及び
図5に示すように、エアバッグ本体41が非膨張展開状態にされたときの各調整片71の前部は、上下方向の寸法が前後方向のどの箇所でも略一定となるよう形成されている。これに対し、各調整片71の後部は、上下方向の寸法が後側ほど小さくなるように形成されている。各調整片71の上下方向の寸法は、後端部において最小となっている。各調整片71の後端部71rにおける上下方向の寸法は、上記補強布51の上下方向の寸法よりも小さく設定されている。各調整片71の後部は、補強布51の上下方向の中間部分に配置されている。
【0048】
各調整片71の後端部71rは、後結合部72により、上記ボルト孔66の近傍において、エアバッグ本体41及び補強布51,55に結合されている。表現を変えると、各後端部71rは、エアバッグ本体41の車両10に対する固定箇所(ボルト孔66)に接近した箇所に設けられた後結合部72により、エアバッグ本体41及び補強布51,55に結合されている。
図9(a)に示すように、各後結合部72は、縦後結合部73及び一対の横後結合部74によって構成されている。各縦後結合部73は、折り線42,52,56から車幅方向へ離間した箇所であって上記縦結合部61,62に接近した箇所において、上下方向へ延びている(
図4参照)。両横後結合部74は、縦後結合部73の上下両端部から他方の後結合部72及び折り線42,52,56に向けて延びている。
図4に示すように、後結合部72における最上端(上側の横後結合部74)と最下端(下側の横後結合部74)との間の寸法Lr、表現を変えると、後結合部72の上下方向の寸法は、補強布51の上下方向の寸法よりも小さい。
【0049】
これに対し、各調整片71の前端部71fは、
図4及び
図5に示すように、前結合部75によりエアバッグ本体41の対応する本体布部43,44の前部に結合されている。
図9(b)に示すように、各前結合部75は、縦前結合部76及び一対の横前結合部77によって構成されている。各縦前結合部76は、周縁結合部45から離間した箇所において上下方向へ延びている。両横前結合部77は、縦前結合部76の上下両端部から他方の前結合部75に向けて延びている。
【0050】
図4及び
図5に示すように、調整片71毎の前結合部75における最上端(上側の横前結合部77)は、後結合部72における最上端(上側の横後結合部74)よりも、インフレータ31の軸線L1に沿う方向の上方に位置している。前結合部75における最上端(上側の横前結合部77)は、エアバッグ本体41の各前上端部Aの近傍に位置している。この位置は、エアバッグ本体41が展開及び膨張したとき、乗員Pの肩部PSの側方近傍となる位置である。また、調整片71毎の前結合部75における最下端(下側の横前結合部77)は、後結合部72における最下端(下側の横後結合部74)よりも、上記軸線L1に沿う方向の下方に位置している。前結合部75における最上端(上側の横前結合部77)及び最下端(下側の横前結合部77)がそれぞれ上記箇所に配置されることで、調整片71毎の前結合部75における寸法Lfは、後結合部72における上記寸法Lrよりも大きい。表現を変えると、前結合部75の上下方向の寸法は、後結合部72の上下方向の寸法よりも大きい。
【0051】
図7に示すように、各調整片71において、後結合部72の縦後結合部73から前結合部75の縦前結合部76までの前後長LH1は、各本体布部43,44において、後結合部72の縦後結合部73から前結合部75の縦前結合部76までの前後長LH2よりも小さく(LH1<LH2)設定されている。そのため、各調整片71の本体布部43,44に対する結合は、同調整片71が緊張させられ、かつ同本体布部43,44が撓ませられた状態(
図4及び
図5参照)で行なわれる。
【0052】
ところで、エアバッグモジュールABMは、非膨張展開状態のエアバッグ本体41(
図4及び
図5参照)が、両補強布51,55及び両調整片71を伴って折り畳まれることにより、
図3に示すように、コンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールABMを、シートバック14とボディサイド部11との間に配置してガーニッシュ15に取付けるためである。エアバッグ本体41、両補強布51,55及び両調整片71を折り畳む態様としては、例えば、ロール折り、蛇腹折り等が適している。ロール折りは、エアバッグ本体41の一方の端部を中心とし、その周りに他の部分を巻き付ける折り態様である。蛇腹折りは、エアバッグ本体41を、一定幅ずつ交互に折り方向を変えながら折り返す折り態様である。
【0053】
上記エアバッグモジュールABMは、ガーニッシュ15に対し、次の態様で取付けられている。ガーニッシュ15には、それぞれ支持孔22を有する一対の支持壁21が設けられている。両支持壁21は、ガーニッシュ15において互いに車幅方向に離間した箇所から後方へ突出している。
【0054】
また、ガーニッシュ15であって、一方の支持壁21との境界部分に接近した箇所には、エアバッグ40によって破断される破断予定部(テアライン)23が形成されている。破断予定部23では、ガーニッシュ15の他の箇所に比べて厚みが薄く、強度が低くなっている。
【0055】
両支持壁21にはケース24が取付けられている。ケース24は、互いに車幅方向に離間した状態で、上下方向及び前後方向へ延びる一対の側壁部25と、両側壁部25の後端部間を繋ぐ後壁部26とを備えており、車両10の車体に固定されている。両側壁部25の前端部は、両支持壁21間に配置されている。各側壁部25の前端には係止片27が設けられており、各係止片27が、対応する支持壁21の支持孔22に挿通及び係止されている。
【0056】
ガーニッシュ15の一部と、両支持壁21と、ケース24とによって囲まれた空間は、収納部28を構成している。この収納部28には、エアバッグ本体41のうち折り畳まれた部分を前側に位置させ、かつガス発生器30を後側に位置させた状態で、エアバッグモジュールABMが配置されている。そして、ガス発生器30から延びて上記ボルト孔66に挿通された各ボルト33が後壁部26に挿通され、その挿通状態のボルト33にナット34が締付けられている。この締付けにより、ガス発生器30が、エアバッグ40と一緒にケース24に取付けられている。
【0057】
なお、ガス発生器30は、上述したボルト33及びナット34とは異なる部材によってケース24に取付けられてもよい。また、リテーナ32が用いられることなくインフレータ31がケース24に直接取付けられてもよい。
【0058】
サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールABMのほかに、
図1に示す衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11に設けられており、同ボディサイド部11に外側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81の検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
【0059】
さらに、車室内には、車両用シート12に着座している乗員Pをその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、
図1及び
図2ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
【0060】
次に、上記のように構成された本実施形態のサイドエアバッグ装置の作用及び効果について説明する。
サイドエアバッグ装置では、ボディサイド部11に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ81によって検出されないときには、制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ本体41は、収納用形態で収納部28に収納され続ける(
図3参照)。
【0061】
これに対し、車両10の走行中等に、側突等によりボディサイド部11に所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ81によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置82からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31のガス噴出部31aから膨張用ガスが噴出される。
【0062】
この膨張用ガスが供給されたエアバッグ本体41の内圧が上昇を開始し、同エアバッグ本体41が膨張を開始する。エアバッグ本体41の膨張は、折り状態の解消(展開)を伴いながらなされる。このように展開及び膨張するエアバッグ本体41によって、ガーニッシュ15が前方へ押圧され、強度の低い破断予定部23(
図3参照)において破断される。エアバッグ本体41は、その一部(ガス発生器30の近傍部分)をケース24内に残した状態で、破断された箇所を通じてガーニッシュ15から前方へ飛び出す。
【0063】
その後も膨張用ガスが供給されるエアバッグ本体41は、
図1及び
図2において二点鎖線で示すように、ボディサイド部11と、車両用シート12に着座している乗員Pの上半身との間で前方へ向けて折り状態を解消しながら展開する。このエアバッグ本体41によって乗員Pの上半身が拘束される。ボディサイド部11を通じて伝わる側方からの衝撃が、エアバッグ本体41によって緩和されて、上半身が保護される。この際、両補強布51,55は、エアバッグ本体41を膨張用ガスの熱及び圧力から保護する。
【0064】
ここで、
図8に示すように、エアバッグ本体41の上記展開及び膨張に伴い、膨張厚み調整部70毎の調整片71が前後方向に引っ張られて同方向に緊張した状態となる。上述したように、両前後長LH1,LH2の間には、LH1<LH2の関係が成立している(
図7参照)。しかも、各調整片71の後端部71rは、エアバッグ本体41の車両10(ケース24)に対する固定箇所(ボルト孔66)に接近した箇所で、対応する本体布部43,44に結合されている。表現を変えると、各調整片71の後端部71rは、本体布部43,44の各後部、両補強布51,55及びガス発生器30を介して車両10に固定されている。これに対し、各調整片71の前端部71fは、エアバッグ本体41の上記固定箇所から前方へ遠ざかった箇所に設けられた前結合部75により、対応する本体布部43,44の前部に結合されている。
【0065】
そのため、膨張厚み調整部70毎の全ての後結合部72における最上端が、エアバッグ本体41の車両10に対する固定箇所よりも上方へ遠ざかっていたり、最下端が同固定箇所よりも下方へ遠ざかっていたりして、充分緊張状態にならない部分が生ずる場合(特許文献1がこれに該当する)とは異なり、各調整片71の全体が緊張状態となる。そして、エアバッグ本体41の前方への展開及び膨張が、上記のように全体が緊張した状態の一対の調整片71によって規制される。このようにして、エアバッグ本体41の前後方向の膨張厚みが規制される。
【0066】
展開及び膨張したときのエアバッグ本体41の前端は、膨張厚み調整部70が設けられない場合よりも後方に位置する。従って、エアバッグ本体41の車両10との固定箇所の前方、例えば、シートクッション13上であってガーニッシュ15の前方、にたとえ障害物があったとしても、エアバッグ本体41が展開及び膨張した場合に、その障害物を強く押圧するのを抑制することができる。
【0067】
また、本体布部43,44のうち、前結合部75によって各調整片71の前端部71fが結合された箇所と、後結合部72によって後端部71rが結合された箇所とによって挟まれた部分は、車幅方向へ膨張しようとする。そのため、エアバッグ本体41、特に上下方向の中間部分は、両膨張厚み調整部70が設けられない場合よりも同車幅方向に大きく膨張する。その結果、エアバッグ本体41による衝撃エネルギーの吸収量を多くすることができ、乗員Pの上半身を拘束して衝撃から保護する性能を高めることができる。
【0068】
ここで、エアバッグ本体41の容量を多くすることによっても、車幅方向の膨張厚みT1を増大して、乗員Pの上半身を保護する性能を高めることは可能である。ただし、この場合には、エアバッグ本体41として大きなものが用いられる。また、膨張用ガスを多く噴出する大型のインフレータ31が用いられる。そのため、エアバッグモジュールABMの重量が増加することとなり、車両の軽量化等の点で望ましくない。
【0069】
この点、本実施形態では、エアバッグ本体41の容量を変えずに、膨張厚み調整部70を追加することのみをもって車幅方向の膨張厚みT1を増大させている。そのため、エアバッグ本体41として大きなものを用いたり、インフレータ31として大型のものを用いたりしなくてもすみ、エアバッグモジュールABMの重量増加をさほど伴わずに、乗員Pを保護する性能を高めることができる。
【0070】
また、上記のように、車幅方向の膨張厚みT1が増大されるのは、エアバッグ本体41のうち、前結合部75と後結合部72とによって挟まれた箇所である。この点、本実施形態では、
図4に示すように、後結合部72の寸法Lrに対し、前結合部75の寸法Lfが大きい(Lr<Lf)。そのため、上記両寸法Lr,Lfが、小さい方の寸法Lrと同一である場合よりも上方及び下方へ広い領域において、エアバッグ本体41の膨張厚みT1(
図8参照)が増大する。その結果、乗員Pの上半身のうち、エアバッグ本体41によって拘束されて衝撃から保護される領域を上方及び下方へ拡大することができる。
【0071】
特に、乗員Pの上半身のうち肩部PSは、他の部分、例えば胸部PTよりも耐衝撃性が高いことから、エアバッグ本体41の車幅方向の膨張厚みT1を大きくして同肩部PSを拘束及び保護することが望ましい。この点、本実施形態では、前結合部75における最上端(上側の横前結合部77)が、後結合部72における最上端(上側の横後結合部74)よりも、インフレータ31の軸線L1に沿う方向の上方であって、エアバッグ本体41の本体布部43,44毎の前上端部Aの近傍に位置している。前上端部Aは、上述したように、エアバッグ本体41が展開及び膨張したとき肩部PSの側方近傍に位置する。従って、本実施形態では、エアバッグ本体41のうち肩部PSの側方部分を車幅方向に多く膨張させることができ、従来のものよりも肩部PSを拘束して衝撃から保護する性能を高めることができる。
【0072】
また、エアバッグ本体41は、一対の本体布部43,44の周縁部同士を結合することにより形成されていることから、膨張用ガスが供給されると、基本的には曲面状に膨張しようとする。
【0073】
しかし、
図9(a)に示すように、エアバッグ本体41及び補強布51,55において、両後結合部72によって挟まれる領域Zrの面剛性は、両後結合部72により、少なくともその領域Zrの周囲の面剛性よりも高められている。この作用は、調整片71毎の後結合部72が、縦後結合部73と一対の横後結合部74とを備える構成を採ることにより得られる。すなわち、各後結合部72において、縦後結合部73に直交する方向の剛性が高くなり、各横後結合部74に直交する方向の剛性が高くなる。縦後結合部73のみにより構成される場合よりも、各後結合部72の剛性が高くなる。これに伴い、エアバッグ本体41及び補強布51,55のうち、両後結合部72によって挟まれる領域Zrの面剛性が、その領域Zrの周囲の面剛性よりも高められて、同領域Zrが平面に近い状態になろうとする。車幅方向における上記領域Zrの両側部は、曲面状になった場合よりも、同方向の両側方へ遠ざかった箇所に位置する。その分、エアバッグ本体41のうち、後結合部72及び前結合部75によって挟まれた箇所が車幅方向へより多く膨張し、同方向における膨張厚みT1が増大する。
【0074】
さらに、両後結合部72が膨張厚みT1を増大させる上記作用は、
図6及び
図7に示すように、エアバッグ本体41に結合された補強布51,55に及ぶ。補強布51の上下方向の寸法は、後結合部72の寸法Lrよりも大きい。従って、補強布51のうち、後結合部72よりも上側の部分と下側の部分とにも上記作用が及ぶ。その結果、車幅方向に膨張厚みT1の増大する領域が上下両方向へ拡大する。
【0075】
これに加え、
図9(b)に示すように、エアバッグ本体41において、両前結合部75により挟まれる領域Zfの面剛性は、両前結合部75により、少なくともその領域Zfの周囲の面剛性よりも高められている。この作用は、調整片71毎の前結合部75が、縦前結合部76と一対の横前結合部77とを備える構成を採ることにより得られる。すなわち、各前結合部75において、縦前結合部76に直交する方向の剛性が高くなり、各横前結合部77に直交する方向の剛性が高くなる。縦前結合部76のみにより構成される場合よりも、各前結合部75の剛性が高くなる。これに伴い領域Zfの面剛性が、その領域Zfの周囲の面剛性よりも高められて、同領域Zfが平面に近い状態になろうとする。車幅方向における上記領域Zfの両側部は、曲面状になった場合よりも、同方向の両側方へ遠ざかった箇所に位置する。この点においても、エアバッグ本体41のうち、後結合部72と前結合部75とによって挟まれた箇所が車幅方向へより多く膨張し、同方向における膨張厚みT1が増大する。
【0076】
また、膨張厚み調整部70が本体布部43,44毎に設けられていることから、エアバッグ本体41の車幅方向の膨張厚みT1が、同方向の両側へ増加する。従って、エアバッグ本体41は、上記膨張厚み調整部70が本体布部43,44の一方のみに設けられた場合よりも多く同車幅方向へ膨張する。車幅方向におけるエアバッグ本体41の膨張厚みT1をより増大することができる。
【0077】
そして、上記のようにして膨張厚みT1を増大することで、エアバッグ本体41による衝撃エネルギーの吸収量を一層多くし、乗員Pの上半身を拘束し、衝撃から保護する性能をより高めることができる。
【0078】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<膨張厚み調整部70について>
・膨張厚み調整部70の数が1つに変更されてもよい。この場合、膨張厚み調整部70は、一対の本体布部43,44の一方のみに対して架け渡されてもよい。また、膨張厚み調整部70は、両方の本体布部43,44に跨った状態で架け渡されてもよい。この場合、膨張厚み調整部70の前端部が、前結合部により両本体布部43,44の一方に結合され、同膨張厚み調整部70の後端部が、後結合部により両本体布部43,44の他方のうち、前端部による膨張厚み調整部70の上記結合箇所よりも後方に結合される。
【0079】
・膨張厚み調整部70が、上下方向に並べられた複数の調整片によって構成されてもよい。
図10は、一対の膨張厚み調整部70の各々が、上下一対の帯状の調整片91,92によって構成された一例を示している。この
図10では、エアバッグ本体41が平面状に展開させられた状態で示されている。また、各調整片91,92は、後端部に設けられた後結合部94,95により、エアバッグ本体41及び補強布51,55に結合されるが、前端部は前結合部93によりエアバッグ本体41に結合される前の状態で示されている。
【0080】
この場合、各膨張厚み調整部70では、上側の調整片91は、折り線52,56から遠ざかるほど高くなるように傾斜した状態で配置される。下側の調整片92は、折り線52,56から遠ざかるほど低くなるように傾斜した状態で配置される。
【0081】
各調整片91,92は、前結合部93により、エアバッグ本体41の本体布部43,44に結合される。上側の調整片91は、エアバッグ本体41の車両10との固定箇所(上側のボルト孔66)に接近した箇所に設けられた後結合部94により、同エアバッグ本体41及び補強布51に結合される。下側の調整片92は、エアバッグ本体41の車両10との固定箇所(下側のボルト孔66)に接近した箇所に設けられた後結合部95により、同エアバッグ本体41及び補強布51,55に結合される。
【0082】
調整片91,92が上記のように傾斜した状態で配置されることで、膨張厚み調整部70毎の両前結合部93における最上端と最下端との間の寸法Lfが、後結合部94における最上端と後結合部95における最下端との間の寸法Lrよりも大きくされる。従って、この変形例によっても上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0083】
なお、各膨張厚み調整部70は、上下方向に並べられた3つ以上の調整片によって構成されてもよい。ただし、この場合にも、膨張厚み調整部70毎の全ての前結合部における最上端と最下端との間の寸法Lfが、全ての後結合部における最上端と最下端との間の寸法Lrよりも大きくなるようにする。
【0084】
・膨張厚み調整部70毎の全ての前結合部75,93における最上端と最下端との間の寸法Lfが、全ての後結合部72,94,95における最上端と最下端との間の寸法Lrよりも大きくなることを条件に、前結合部75,93における最上端及び最下端の少なくとも一方の位置が変更されてもよい。
【0085】
例えば、上記実施形態における前結合部75の最上端(上側の横前結合部77)は、インフレータ31の軸線L1に沿う方向において、後結合部72の最上端(上側の横後結合部74)と同じ箇所に配置されてもよい。この場合、前結合部75の最下端(下側の横前結合部77)は、後結合部72の最下端(下側の横後結合部74)よりも、上記軸線L1に沿う方向の下方に配置される。
【0086】
また、上記とは逆に、前結合部75の最下端(下側の横前結合部77)は、インフレータ31の軸線L1に沿う方向において、後結合部72の最下端(下側の横後結合部74)と同じ箇所に配置されてもよい。この場合、前結合部75の最上端(上側の横前結合部77)は、後結合部72の最上端(上側の横後結合部74)よりも、上記軸線L1に沿う方向の上方に配置される。
【0087】
・膨張厚み調整部70毎の全ての前結合部75,93における最上端と最下端との間の寸法Lfが、全ての後結合部72,94,95における最上端と最下端との間の寸法Lrよりも小さく設定されてもよい。
【0088】
この場合には、上記両寸法Lf,Lrが、小さい方の寸法Lfと同一である場合よりも、車幅方向におけるエアバッグ本体41の膨張厚みの増大する領域を広くすることができる。その結果、上記実施形態と同様に、乗員Pの上半身のうち、エアバッグ本体41によって拘束されて衝撃から保護される領域を拡大し、乗員Pの拘束性能を高めることができる。
【0089】
・各調整片71、補強布51,55及びエアバッグ本体41のうち前後方向に隣り合うものは、後側の領域Zrにおいて、後結合部72による縫合に加え、互いに接着されてもよい。また、同領域Zrにおいて、各調整片71、補強布51,55及びエアバッグ本体41のうち前後方向に隣り合うもの同士が、後結合部72による縫合に加え、互いに縫合されてもよい。このようにすると、領域Zrの面剛性をさらに高めることができる。こうした変更は、前側の領域Zfにおいてなされてもよい。
【0090】
・上記実施形態において、後結合部72が縦後結合部73のみによって構成されてもよい。また、前結合部75が縦前結合部76のみによって構成されてもよい。
・膨張厚み調整部70毎の調整片71の前結合部75によるエアバッグ本体41に対する結合箇所が、前後方向に上記実施形態とは異なる箇所、例えば上記実施形態よりも後方に変更されてもよい。また、調整片71の後結合部72によるエアバッグ本体41に対する結合箇所が、前後方向に上記実施形態とは異なる箇所、例えば上記実施形態よりも前方に変更されてもよい。ただし、調整片71の後結合部72によるエアバッグ本体41に対する結合箇所は、調整片71の前結合部75によるエアバッグ本体41に対する結合箇所よりも後方に設定される。
【0091】
<その他>
・補強布51,55の少なくとも一方が省略されてもよい。
・エアバッグ本体41は、その略全体が上記実施形態のように膨張するものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
【0092】
・上記ガーニッシュ15における収納部28に代えて、シートバック14における車外側の側部又はボディサイド部11に収納部が設けられ、ここにエアバッグモジュールABMが組み込まれてもよい。
【0093】
・サイドエアバッグ装置は、乗員Pの上半身(頭部から腰部にかけての領域)であることを条件に、上記実施形態(肩部PSから胸部PTにかけての領域)とは異なる領域を保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
【0094】
・上記サイドエアバッグ装置は、後席に限らず前席にも適用可能である。この場合、前席に対応するボディサイド部は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。
・上記サイドエアバッグ装置は、シートバックが車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シートが配置された車両において、その車両用シートに対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員を保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
【0095】
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
【0096】
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A):請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置において、
前記エアバッグ本体は、その後端部において前記乗物に固定されており、
前記調整片の後端部は、前記後結合部により、前記エアバッグ本体の前記乗物に対する固定箇所に接近した箇所で、同エアバッグ本体に対し結合されている。
【0097】
上記の構成によれば、エアバッグ本体の膨張及び展開に伴い膨張厚み調整部の調整片が緊張する。調整片の後端部は、後結合部により、エアバッグ本体の乗物に対する固定箇所に接近した箇所で同エアバッグ本体に結合されている。表現を変えると、調整片の後端部は、エアバッグ本体の後端部を介して乗物に固定されている。これに対し、調整片の前端部は、エアバッグ本体の乗物に対する固定箇所から前方へ遠ざかった箇所で、前結合部によりエアバッグ本体に結合されている。そのため、全ての後結合部における最上端が、エアバッグ本体の乗物に対する固定箇所よりも上方へ遠ざかっていたり、最下端が同固定箇所よりも下方へ遠ざかっていたりして、充分緊張状態にならない部分が生ずる場合とは異なり、調整片の全体が緊張状態となる。そして、エアバッグ本体の前方への展開及び膨張が、上記のように全体が緊張した状態の調整片によって規制される。
【0098】
(B):上記(A)に記載のサイドエアバッグ装置において、
前記インフレータは長尺状をなし、上下方向に延びる姿勢で前記エアバッグ本体内の後端部に配置され、同エアバッグ本体の後端部とともに前記乗物に取付けられており、
前記前結合部における最上端は、前記後結合部における最上端よりも、前記インフレータの軸線に沿う方向の上方に位置している。
【0099】
前結合部の最上端を、インフレータの軸線との関係で上記の条件を満たす箇所に位置させることで、膨張厚み調整部毎の全ての前結合部における最上端と最下端との間の寸法を、全ての後結合部における最上端と最下端との間の寸法よりも大きくすることが可能である。
【0100】
(C):上記(A)又は(B)に記載のサイドエアバッグ装置において、
前記インフレータは長尺状をなし、上下方向に延びる姿勢で前記エアバッグ本体内の後端部に配置され、同エアバッグ本体の後端部とともに前記乗物に取付けられており、
前記前結合部における最下端は、前記後結合部における最下端よりも、前記インフレータの軸線に沿う方向の下方に位置している。
【0101】
前結合部の最下端を、インフレータの軸線との関係で上記の条件を満たす箇所に配置することで、膨張厚み調整部毎の全ての前結合部における最上端と最下端との間の寸法を、全ての後結合部における最上端と最下端との間の寸法よりも大きくすることが可能である。