特許第6544285号(P6544285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544285
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/22 20060101AFI20190705BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B66F9/22 X
   F15B11/00 P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-75954(P2016-75954)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186127(P2017-186127A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−028962(JP,A)
【文献】 特開2003−294008(JP,A)
【文献】 特開2015−107711(JP,A)
【文献】 特開2012−159130(JP,A)
【文献】 特開2015−31365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00−11/04
F15B 11/00−11/22
F15B 20/00−21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧機器と、
前記油圧機器に、パイロット油圧に応じた吐出量の作動油を供給する可変容量ポンプと、
エンジン及びモータジェネレータを有し、前記可変容量ポンプの駆動源となる駆動ユニットと、
前記油圧機器に、作動油を供給する固定容量ポンプと、
前記固定容量ポンプの駆動源となるモータと、
前記駆動ユニットの始動に際して、前記固定容量ポンプから作動油を吐出させ、当該作動油によって付与されるパイロット油圧で前記可変容量ポンプを最小容量とした状態で、前記駆動ユニットを始動させる制御部と、を備える産業車両。
【請求項2】
前記制御部は、前記エンジンのアイドリングストップ時に前記可変容量ポンプを最小容量の状態に維持する請求項1に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンとモータジェネレータとで油圧機器を駆動させる産業車両としては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の産業車両は、エンジン及びモータジェネレータを有する駆動ユニットで駆動される可変容量ポンプと、モータのみで駆動される可変容量ポンプとを備える。油圧機器へは2つの可変容量ポンプからの作動油が供給される。可変容量ポンプは、斜板の傾斜角度に応じて容量が変化する斜板式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2011/034061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可変容量ポンプとして、パイロット油圧に応じて斜板の傾斜角度が変化し、これにより、容量が変化するものを用いる場合がある。この種の可変容量ポンプは、作動油によってパイロット油圧を付与していない状態では、最大容量となっている。したがって、駆動ユニットを始動する際には、可変容量ポンプは最大容量となっており、駆動ユニットへの負荷が大きい。
【0005】
本発明の目的は、エンジンとモータジェネレータとを有する駆動ユニットの負荷を軽減することができる産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する産業車両は、油圧機器と、前記油圧機器に、パイロット油圧に応じた吐出量の作動油を供給する可変容量ポンプと、エンジン及びモータジェネレータを有し、前記可変容量ポンプの駆動源となる駆動ユニットと、前記油圧機器に、作動油を供給する固定容量ポンプと、前記固定容量ポンプの駆動源となるモータと、前記駆動ユニットの始動に際して、前記固定容量ポンプから作動油を吐出させ、当該作動油によって付与されるパイロット油圧で前記可変容量ポンプを最小容量とした状態で、前記駆動ユニットを始動させる制御部と、を備える。
【0007】
これによれば、固定容量ポンプから吐出された作動油を用いて可変容量ポンプを最小容量としてから駆動ユニットを始動することができるため、駆動ユニットの負荷が軽減される。
【0008】
上記産業車両について、前記制御部は、前記エンジンのアイドリングストップ時に前記可変容量ポンプを最小容量に維持する。
アイドリングストップ時には、短時間の間にエンジンが再び始動され得る。このため、アイドリングストップ時には、可変容量ポンプを最小容量に維持することで、アイドリングストップ解除時の駆動ユニットの負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エンジンとモータジェネレータとを有する駆動ユニットの負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フォークリフトの概略構成図。
図2】制御装置が行う処理を説明するための図。
図3】駆動ユニットの始動時に制御装置が行う処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、産業車両の一実施形態について説明する。
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト10は、荷役装置11を備える。荷役装置11は、左右一対のアウタマスト12とインナマスト13とからなる多段式のマスト14を備える。アウタマスト12には油圧式のティルトシリンダ15が連結されている。インナマスト13には油圧式のリフトシリンダ16が連結されている。マスト14は、ティルトシリンダ15に対する作動油の給排によって車体の前後方向に前傾動作又は後傾動作を行う。インナマスト13は、リフトシリンダ16に対する作動油の給排によって車体の上下方向に昇降動作を行う。また、インナマスト13には、リフトブラケット17を介してフォーク18が設けられている。フォーク18は、リフトシリンダ16の作動によってインナマスト13がアウタマスト12に沿って昇降動作を行うことにより、リフトブラケット17とともに昇降動作を行う。
【0012】
フォークリフト10は、運転者に操作されるティルトレバー19と、リフトレバー20とを備える。マスト14は、ティルトレバー19の操作に応じて傾動する。マスト14は、リフトレバー20の操作に応じて昇降する。フォークリフト10は、ティルトレバー19の操作量を検出するティルトセンサ21と、リフトレバー20の操作量を検出するリフトセンサ22と、ティルトセンサ21及びリフトセンサ22の検出結果が出力される制御装置23と、を備える。制御部としての制御装置23は、フォークリフト10の制御を統括して行う。なお、制御装置23は、複数のECU(Electronic Control Unit)と、このECUに対して指令を与える指令部とで構成されるものでもよい。
【0013】
フォークリフト10は、上記したリフトシリンダ16、及び、ティルトシリンダ15や、油圧式のパワーステアリング装置、ブレーキ装置など、種々の油圧機器に対して作動油を供給する油圧機構31を備える。油圧機構31は、制御装置23に制御されることで、各油圧機器への作動油の給排を行う。
【0014】
フォークリフト10は、油圧機構31を介して油圧機器に対して作動油を供給する可変容量ポンプ41及び固定容量ポンプ51と、可変容量ポンプ41の駆動源となる駆動ユニット42と、固定容量ポンプ51の駆動源となるモータ52と、を備える。また、フォークリフト10は、作動油が貯留されたオイルタンクTを備える。
【0015】
駆動ユニット42は、モータジェネレータ43及びエンジン44を備える。モータジェネレータ43は、電動機としての機能と、発電機としての機能とを併せ持つ。駆動ユニット42は、エンジン44、及び、エンジン44の出力を補うモータジェネレータ43の2つの駆動源によって可変容量ポンプ41を駆動させる。
【0016】
フォークリフト10は、モータジェネレータ43及びモータ52の電力源となる蓄電装置32と、蓄電装置32の直流電力を交流電力に変換してモータジェネレータ43に供給するインバータ45と、蓄電装置32の直流電力を交流電力に変換してモータ52に供給するインバータ53と、を備える。蓄電装置32は、複数の二次電池セルをモジュール化したバッテリである。なお、蓄電装置32は、フォークリフト10を走行させる走行用モータの電力源として兼用されていてもよいし、モータジェネレータ43及びモータ52の専用の電力源であってもよい。
【0017】
可変容量ポンプ41は、斜板46を備え、斜板46の傾斜角度に応じて容量が変わる斜板式である。フォークリフト10は、斜板46に連結されたピストンを有する油圧シリンダ47を備える。油圧シリンダ47は、パイロット油圧に応じてピストンが移動し、ピストンと一体となって斜板46の傾斜角度が変化する。したがって、可変容量ポンプ41は、パイロット油圧に応じて1回転あたりの容量(吐出量)が変化するポンプである。
【0018】
駆動ユニット42、及び、モータ52は、制御装置23によって制御される。詳細にいえば、制御装置23は、燃料噴射量などを制御することで、エンジン44の出力を制御する。また、制御装置23は、各インバータ45,53を制御することで、モータジェネレータ43及びモータ52の出力を制御する。
【0019】
フォークリフト10は、可変容量ポンプ41に接続された第1油路61と、固定容量ポンプ51に接続された第2油路62と、第1油路61に供給された作動油と第2油路62に供給された作動油とが合流する合流油路63と、を備える。第1油路61と、合流油路63とは、第1逆止弁64を介して接続されている。第2油路62と、合流油路63とは、第2逆止弁65を介して接続されている。第1逆止弁64及び第2逆止弁65は、合流油路63から各油路61,62への作動油の逆流を防止するためのものである。
【0020】
フォークリフト10は、合流油路63と油圧機構31とを接続する接続油路66を備える。可変容量ポンプ41、及び、固定容量ポンプ51から供給された作動油は、合流油路63及び接続油路66を流れ、油圧機構31に供給される。油圧機構31では、油圧機器に対して作動油を供給する。これにより、油圧機器が駆動する。
【0021】
フォークリフト10は、コントロール弁68と、合流油路63とコントロール弁68とを接続する第1パイロット油路67と、コントロール弁68と油圧シリンダ47とを接続する第2パイロット油路69と、を備える。各パイロット油路67,69には、合流油路63に流れる作動油、すなわち、可変容量ポンプ41から吐出された作動油、及び、固定容量ポンプ51から吐出された作動油が流れる。コントロール弁68が制御装置23に制御されることで、パイロット油路67,69を介した油圧シリンダ47への作動油の給排が制御される。
【0022】
次に、制御装置23が行う制御について作用とともに説明する。
制御装置23は、リフトレバー20やティルトレバー19などの操作量などから、油圧負荷(必要な作動油の流量)を演算し、油圧負荷に応じて可変容量ポンプ41と固定容量ポンプ51を制御する。
【0023】
図2に示すように、制御装置23は、固定容量ポンプ51の駆動によって、油圧機器の駆動に必要な作動油の流量(油量)を確保できる場合、モータ52を駆動して、固定容量ポンプ51から作動油を吐出させる。固定容量ポンプ51から吐出される作動油の吐出量は、モータ52の出力を変更することで変更可能である。制御装置23は、油圧負荷の上昇に応じてモータ52の出力を上昇させることで油圧機器に応じた作動油を供給する。
【0024】
制御装置23は、固定容量ポンプ51の駆動によって必要な油量を確保できなくなった場合、モータ52に代えて駆動ユニット42を駆動して、可変容量ポンプ41から作動油を吐出させる。制御装置23は、エンジン44の駆動によって必要な油量を確保できる場合、エンジン44を駆動して作動油を供給する。また、制御装置23は、蓄電装置32の残容量(充電率)を監視し、蓄電装置32を充電する必要があると判定した場合には、油圧機器の駆動に必要な出力よりもエンジン44の出力を大きくして、モータジェネレータ43に発電を行わせる。なお、蓄電装置32の残容量は、図示しない電流センサ及び電圧センサで検出された蓄電装置32の電流及び電圧から演算される。
【0025】
制御装置23は、エンジン44の駆動によって必要な油量を確保できなくなった場合、モータジェネレータ43を力行させて、エンジン44の補助を行わせる。可変容量ポンプ41から吐出される作動油の吐出量は、駆動ユニット42の出力、及び、斜板46の傾斜角度を変更することで変更可能である。制御装置23は、油圧負荷の上昇に応じて駆動ユニット42の出力、及び、斜板46の傾斜角度を変更することで油圧負荷に応じた作動油を供給する。制御装置23は、必要な油量を駆動ユニット42の駆動によって確保できなくなった場合、駆動ユニット42に加えて、モータ52も駆動させることで、固定容量ポンプ51及び可変容量ポンプ41の両方から作動油を吐出させる。
【0026】
ところで、油圧シリンダ47にパイロット油圧が付与されていない場合、可変容量ポンプ41は最大容量となっている。すなわち、合流油路63に作動油が供給されていない状態では可変容量ポンプ41は最大容量となっている。また、冬季など環境温度が低い場合には、作動油の温度が環境温度に合わせて低下しており、粘度が増加している。更に、環境温度が低い場合、蓄電装置32の出力が低下している場合がある。これらの要因により、駆動ユニット42を始動する際には、駆動ユニット42に過剰な負荷が生じ得る。本実施形態では、駆動ユニット42を始動する際に、以下の制御を行うことで、駆動ユニット42の負荷を軽減させている。
【0027】
図3に示すように、制御装置23は、駆動ユニット42を始動させる際には、まず、モータ52を駆動させることで固定容量ポンプ51から作動油を吐出させる(ステップS11)。固定容量ポンプ51から吐出された作動油は、第2油路62を介して合流油路63に流れる。
【0028】
次に、制御装置23は、コントロール弁68を制御して、油圧シリンダ47へ作動油を導入し、可変容量ポンプ41が最小容量となるようにパイロット油圧を付与させる(ステップS12)。
【0029】
次に、制御装置23は、駆動ユニット42を始動させることで、可変容量ポンプ41から作動油を吐出させる(ステップS13)。すなわち、固定容量ポンプ51→可変容量ポンプ41の順番でポンプを駆動させることで、固定容量ポンプ51から供給された作動油を利用して、最小容量になった可変容量ポンプ41を駆動している。なお、ここでいう最小容量とは、駆動ユニット42の負荷が最小となる容量(最小負荷容量)を示す。
【0030】
次に、制御装置23は、解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS14)。制御装置23は、解除条件が成立するまでは、可変容量ポンプ41を最小容量に維持する。解除条件としては、例えば、エンジン44の回転数が所定回転数に達することが挙げられる。所定回転数とは、例えば、アイドリング時の回転数である。解除条件が成立すると、制御装置23は、可変容量ポンプ41の容量を油圧負荷に応じた容量とし(ステップS15)、処理を終了する。
【0031】
また、エンジン44が一時的に停止したアイドリングストップ時には、短時間の間にエンジン44が再始動され得る。エンジン44の再始動の度に、固定容量ポンプ51から吐出された作動油を利用して可変容量ポンプ41を最小容量にしていると、エンジン44の再始動に時間を要する。このため、制御装置23は、図3に示す制御にてエンジン44が始動された後、エンジン44がアイドリングストップされた場合、コントロール弁68を制御して、可変容量ポンプ41を最小容量に維持する。この際、制御装置23は、モータ52を駆動させることで固定容量ポンプ51から作動油を吐出させ、この作動油によりパイロット油圧が付与される。
【0032】
エンジン44が短時間の間に再始動され得る状況のときには、可変容量ポンプ41を最小容量に維持することで、エンジン44の再始動に要する時間を軽減でき、モータ52の負荷も軽減することができる。
【0033】
なお、エンジン44をアイドリングストップさせるか否かの判定は、例えば、油圧負荷やエンジン44の温度などから制御装置23によって判定される。
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0034】
(1)駆動ユニット42を始動するに際して、固定容量ポンプ51から吐出された作動油によって可変容量ポンプ41を最小容量にしてから駆動ユニット42を始動している。このため、駆動ユニット42の負荷を軽減することができる。駆動ユニット42の負荷が軽減されることで、駆動ユニット42の始動性が向上される。固定容量ポンプ51は、1回転あたりの容量(吐出量)が固定であり、モータ52の負荷が過剰に大きくなることがない。駆動ユニット42の始動に際して、固定容量ポンプ51を用いて作動油を供給しても、モータ52の負荷は軽微である。したがって、可変容量ポンプ41のみで油圧機器に作動油を供給する場合に比べて、フォークリフト10全体の負荷が軽減されている。
【0035】
(2)アイドリングストップ時には、可変容量ポンプ41が最小容量で維持されるため、アイドリングストップが解除された際の駆動ユニット42の負荷が軽減される。
(3)複数のポンプによって作動油を供給する産業車両において、少なくとも1つをモータ52のみで駆動する固定容量ポンプ51としている。このため、エンジン44が停止していても作動油を油圧機器に供給することができる。
【0036】
(4)可変容量ポンプ41と固定容量ポンプ51とを併用している。固定容量ポンプ51は、可変容量ポンプ41に比べて、安価であり、小型である。したがって、固定容量ポンプ51に代えて可変容量ポンプ41を用いる場合に比べて、製造コストの低減や、省スペース化が図られる。
【0037】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
○制御装置23は、エンジン44の回転数が所定回転数に達することに代えて、エンジン44を始動してから所定時間が経過することを解除条件としてもよい。
【0038】
○可変容量ポンプ41としては、パイロット油圧によって容量が変化するものであれば、斜板式とは異なるものであってもよい。
○可変容量ポンプ41は、複数設けられていてもよい。
【0039】
○産業車両としては、油圧ショベルなどの建機であってもよい。この場合、油圧機器としては、ブームを駆動するブームシリンダ、アームを駆動するアームシリンダ、バケットを駆動するバケットシリンダなどが挙げられる。
【0040】
○油圧機器は、実施形態に挙げたものに限られず、油圧モータなどであってもよい。また、アタッチメントが装備されている場合、アタッチメントを動作させる油圧シリンダであってもよい。なお、アタッチメントとしては、例えば、フォーク18を左右方向に移動させるシフターや、対象物を挟むクランプなどが挙げられる。
【0041】
○アイドリングストップ時のような一時的なエンジン44の停止の際に、油圧シリンダ47にパイロット油圧が付与されなくなるようにコントロール弁68を制御してもよい。この場合、エンジン44を再始動する度に、固定容量ポンプ51から吐出される作動油を用いて、可変容量ポンプ41を最小容量にする。
【0042】
○モータ52への出力(供給電力)[kw]に上限を設定し、この上限を蓄電装置32の残容量に応じて変更してもよい。モータ52への出力に上限を設定することで、可変容量ポンプ41と固定容量ポンプ51の仕事比率を決定できる。蓄電装置32の残容量が少ないときには、モータ52の仕事利率を低くすることで、蓄電装置32の残容量が尽きることを抑止することができる。
【0043】
○モータ52は、合流油路63で合流した作動油の圧力に対して圧力補償されるように制御されてもよい。可変容量ポンプ41は、油圧負荷に応じて容量を変更させるため、これに伴い、油圧機器に供給される作動油の圧力が変動しやすい。可変容量ポンプ41の容量の変更に合わせてモータ52の回転数を調整することで、合流油路63で合流した作動油の圧力の変動を少なくすることができる。
【0044】
○産業車両は、油圧モータの駆動によって走行するものでもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…フォークリフト、15…ティルトシリンダ、16…リフトシリンダ、23…制御装置、41…可変容量ポンプ、42…駆動ユニット、43…モータジェネレータ、44…エンジン、46…斜板、47…油圧シリンダ、51…固定容量ポンプ、52…モータ。
図1
図2
図3