(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0013】
本開示の一実施形態のコネクタ1は、
図1に示すように、プラグコネクタ(図示せず)を接続可能なソケットコネクタであり、収容部11を有する絶縁性のハウジング10を備えている。なお、この実施形態では、一例として、ハウジング10は、4つの収容部11を有し、各収容部11は、それぞれ略円柱状を有している。
【0014】
ハウジング10は、
図2に示すように、略円筒形状を有し、その延在方向の外端部101に設けられた端子挿入面を有している。この端子挿入面には、各収容部11がそれぞれ接続された4つの開口部103が設けられている。また、ハウジング10のその延在方向の内端部102には、後述するコネクタ用端子20のランス部40が、収容部11の延在方向において係止可能な係止部12が設けられている。この実施形態では、係止部12は、一例として、各収容部11にそれぞれ対応付けられた4つの切欠部12で構成されている(
図2には、2つの切欠部12のみ示す)。各切欠部12は、それぞれ、ハウジング10の周方向に延びており、ハウジング10の外周長の約1/6の長さを有している。
【0015】
各収容部11には、
図3に示すように、それぞれ、
図4に示すコネクタ用端子20が収容されている(
図3には、2つの収容部11のみ示す)。コネクタ用端子20には、ハウジング10のその延在方向の内端部102(
図2に示す)側から電線2の導体部5が接続されている。
【0016】
また、
図1および
図3に示すように、ハウジング10の内端部102には、一例として、PBT樹脂(ポリエチレンテレフタラート樹脂)でモールド成型されたカバー部3が設けられている。このカバー部3は、ハウジング10の内端部102と電線2とを覆うように形成されている。また、
図1〜
図3に示すように、ハウジング10のその延在方向の周囲には、接続されたプラグコネクタを固定するための固定部4が設けられている。
【0017】
なお、
図2では、電線2およびカバー部3を省略している。
【0018】
続いて、
図4〜
図12を参照して、本開示の一実施形態のコネクタ用端子20を説明する。この実施形態では、コネクタ用端子20は、一例として、プラグ端子120(
図12参照)が接続可能なソケット端子である。
【0019】
ソケット端子20は、
図4に示すように、その中心線CL1に沿って延びる端子本体21と、端子本体21の延在方向の一端部である第1端部211に設けられた接触部30と、端子本体21の延在方向の他端部である第2端部212に設けられたランス部40と、接触部30とランス部40との間に配置された接続部22とを備えている。端子本体21の接続部22と接触部30との間には、樹脂位置決め部50が設けられている。なお、ソケット端子20の中心線CL1は、ハウジング10の収容部11の中心線CL2(
図3に示す)と略平行に延びている。また、接続部22は、ランス部40側から電線2の導体部5を接続可能に設けられている。
【0020】
端子本体21は、
図4に示すように、端子本体21の接続部22および第2端部212の間に設けられた一対の電線挟持部23を有している。各電線挟持部23は、ソケット端子20の中心線CL1の延在方向に交差する幅方向の両端部からそれぞれ中心線CL1回りに延びて、電線2の導体部5が接続部22に接続されたときに電線2の絶縁部6(
図3に示す)を挟持可能に構成されている。
【0021】
また、
図5に示すように、端子本体21は、その第1端部211の位置規制部31と樹脂位置決め部50との間にプラグ端子120を収容可能なプラグ端子収容部213と、プラグ端子収容部213に設けられた端子ガイド面26とを有している。この端子ガイド面26は、ソケット端子20がハウジング10の収容部11に挿入されたときに、中心線CL1の延在方向におけるプラグ端子120の移動をガイド可能に構成されている。
【0022】
また、
図6に示すように、端子本体21は、その第2端部212に設けられた電線ガイド面24を有している。電線ガイド面24は、
図7に示すように、中心線CL1の延在方向から見て、中心線CL1回りの略半円の円弧面であり、電線2の導体部5を接続部22に接続するときに中心線CL1の延在方向における電線2の移動をガイド可能に構成されている。
【0023】
接触部30は、
図4に示すように、端子本体21の第1端部211側の先端に設けられた位置規制部31と、端子本体21の位置規制部31と接続部22との間に設けられた弾性接触部33とを有し、ハウジング10の外端部101の開口面に開口する開口部103から収容部11に挿入されたプラグ端子120に接触可能に配置されている。
【0024】
位置規制部31は、
図3に示すように、接触部30の接続部22から遠い方の端部に設けられ、
図5に示すように、収容部11を構成するハウジング10の内周面13を周方向に沿って延びる環状バンド部34で構成されている。環状バンド部34は、略同一の幅W(すなわち、ソケット端子20の中心線CL1の延在方向の長さ)を有し、収容部11に収容されたときの収容部11の延在方向に直交する方向における接触部30の位置をその外周面で規制可能かつプラグ端子120をその内部に挿入可能に設けられている。
【0025】
詳しくは、位置規制部31は、ソケット端子20が収容部11に収容されたときに、環状バンド部34の外周面とハウジング10の内周面13とが相互に接触して位置規制するように構成されている。
【0026】
弾性接触部33は、
図5に示すように、端子本体21の端子ガイド面26における中心線CL1の延在方向に交差する幅方向の一端部および他端部(すなわち、両端部)に一対に設けられている。各弾性接触部33は、平板状を有し、中心線CL1に対して対称に配置され、端子本体21の幅方向の両端部から、中心線CL1に沿って位置規制部31に向かう方向でかつ各端部から端子本体21の幅方向の中央部に向かう方向にそれぞれ延びている。また、各弾性接触部33は、ハウジング10の収容部11に挿入されたプラグ端子120に接触して幅方向でかつ中心線CL1から離れる方向に向かって弾性変形可能に設けられている。
【0027】
すなわち、各弾性接触部33は、片持ち構造で、その延在方向の一端部である基端部37が端子本体21に接続されている。また、各弾性接触部33は、端子本体21に接続されていない先端部36が、端子本体21の幅方向において、端子本体21に接続されている基端部37よりも中心線CL1の近くに位置していると共に、先端部36が、端子本体21の幅方向に揺動可能に構成されている。
【0028】
また、各弾性接触部33の位置規制部31に近い方の先端部36には、端子本体21の幅方向において中心線CL1から離れる方向に向かって屈曲する屈曲部38が設けられている。この屈曲部38により、プラグ端子120を収容部11に挿入するときに、位置規制部31の環状バンド部34の内部に挿入されたプラグ端子120が、一対の弾性接触部33の先端部36に衝突することなく、一対の弾性接触部33間にスムーズに挿入される。
【0029】
ランス部40は、
図6に示すように、収容部11の中心線CL1の延在方向におけるコネクタ用端子20(すなわち、ソケット端子20)の位置を決める少なくとも3つの位置決め用ランス(この実施形態では、3つの位置決め用ランス、すなわち、第1の位置決め用ランスとしての第1位置決め用ランス41、第2の位置決め用ランスとしての第2位置決め用ランス42、および、第3の位置決め用ランスとしての第3位置決め用ランス43)を有している。各位置決め用ランス41、42、43は、中心線CL1回りに間隔を空けて設けられてハウジング10の係止部12(すなわち、切欠部12)に中心線CL1の延在方向において係止可能に構成されている(
図3参照)。
【0030】
第1位置決め用ランス41は、
図6に示すように、端子本体21の第2端部212の電線ガイド面24に設けられている。また、第2位置決め用ランス42および第3位置決め用ランス43は、中心線CL1に対する第1位置決め用ランス41の周方向の両側にそれぞれ配置されている。
【0031】
各位置決め用ランス41、42、43は、
図6に示すように、それぞれ、接続部22に近い方の端部が端子本体21に接続され、端子本体21に接続されている端部から中心線CL1の延在方向沿いに端子本体21の第2端部212に向かって先細りに延びる板状を有している。また、各位置決め用ランス41は、端子本体21に接続されている端部から端子本体21の第2端部212に向かうに従って、中心線CL1から離れるように延びていると共に、その中間部に、各位置決め用ランス41、42、43の延在方向の両端部を結んだ仮想直線L4(
図6には、第2位置決め用ランス42および第3位置決め用ランス43の仮想直線L4のみ示す)よりも中心線CL1側に位置する屈曲部411、421、431を有している。
【0032】
なお、この実施形態では、各位置決め用ランス41、42、43の延在方向の両端部における厚さ方向(
図6にD1およびD2で示す)の中心を結んだ直線を仮想直線L4としている。
【0033】
また、
図7に示すように、各位置決め用ランス41、42、43は、中心線CL1の延在方向から見て、中心線CL1および第1位置決め用ランス41を結ぶ第1仮想直線L1と、中心線CL1および第2位置決め用ランス42を結ぶ第2仮想直線L2との成す角度θ1が、中心線CL1回りに0度よりも大きく、180度よりも小さく、第1仮想直線L1と、中心線CL1および第3位置決め用ランス43を結ぶ第3仮想直線L3との成す角度θ3が、中心線CL1回りに0度よりも大きく、180度よりも小さくなるように構成されている。なお、第2仮想直線L2と第3仮想直線L3との成す角度をθ2としている。
【0034】
詳しくは、各位置決め用ランス41、42、43は、中心線CL1の延在方向から見て、中心線CL1を中心とする円の円周上に周方向において等間隔(すなわち、θ1=θ2=θ3=120度)になるように、配置されている。このため、収容部11に収容するときのソケット端子20の中心線CL1回りの向きにかかわらず、ソケット端子20をハウジング10の切欠部12に係止させることができる。
【0035】
なお、第1仮想直線L1、第2仮想直線L2および第3仮想直線L3の各々は、中心線CL1の延在方向から見て、中心線CL1と各位置決め用ランス41、42、43の任意の部分とを通る直線である。すなわち、
図7に示すように、第1仮想直線L1は、直線L11から直線L12までの任意の直線であり、第2仮想直線L2は、直線L21から直線L22までの任意の直線であり、第3仮想直線L3は、直線L31から直線L32までの任意の直線である。このため、例えば、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とが成す角度θ1は、角度θ11から角度θ12までの任意の角度である。
【0036】
樹脂位置決め部50は、
図8に示すように、中心線CL1に沿って延びる略円柱状の貫通孔53を有する筒状の案内壁部51と、端子本体21の一部を切り起こして形成された位置決め壁部52とを有している。位置決め壁部52は、略円板形状を有し、案内壁部51の内部で貫通孔53を中心線CL1の延在方向において塞ぐように構成されている。
【0037】
図9に示すように、位置決め壁部52は、中心線CL1の延在方向に交差する方向に沿って位置決め壁部52から樹脂位置決め部50の外部に向かって突出する係止凸部54を有している。この位置決め壁部52は、ランス部40側から接触部30側に向かって切り起こされており、係止凸部54と、位置決め壁部52の切り残された部分である切り残し部56とが、位置決め壁部52の円板形状の中心に対して径方向の反対側にそれぞれ配置されている。また、案内壁部51は、係止凸部54を係止して案内壁部51に対する位置決め壁部52の位置を規制する係止凹部55を有している。
【0038】
樹脂位置決め部50の内部には、カバー部3を形成したときにカバー部3の材料である樹脂が、ランス部40側から接触部30に向かって流れ込み、ランス部から接触部30に向かって延在する樹脂封止部60が形成される場合がある。案内壁部51は、ランス部40側から接触部30に向かって流れ込んだ樹脂を位置決め壁部52に案内するように構成され、位置決め壁部52は、この樹脂封止部60の位置を決めるように構成されている。
【0039】
なお、
図9に示すように、端子本体21の一部を切り起こして位置決め壁部52を形成することで、仮に、樹脂位置決め部50の内部に流れ込んだ樹脂が、位置決め壁部52切り起こしたときに端子本体21に形成されて端子本体21を中心線CL1に直交する方向に貫通する貫通孔57から流れ出たとしても、端子本体21の接触部30側のプラグ端子収容部213に、樹脂が流れ込み難くなる。
【0040】
ここで、樹脂位置決め部50の形成工程について、
図10を参照して説明する。
【0041】
図10に示すように、樹脂位置決め部50は、端子本体21を構成する略矩形板状の第1部材201の短手方向の両側にそれぞれ設けられた略矩形板状の第2部材202および第3部材203で構成される。
【0042】
まず、第1部材201の短手方向の中心線CL3上に配置された中心点CP回りに切り込みを入れて、略円弧状のスリット521を形成する一方、第2部材202および第3部材203における第1部材201の中心線CL3から離れた各外側面204、205に、第1部材201の中心線CL3に向かって延びる凹部551、552をそれぞれ形成する。
【0043】
スリット521には、中心線CL3に沿って中心点CPから離れる方向に突出する突出部522が設けられている。この突出部522に囲まれた第1部材201の一部が、係止凸部54を構成する。突出部522の中心点CPに対する径方向の反対側には、スリット521が形成されておらず、位置決め壁部52の切り残し部56を構成している。また、各凹部551、552は、スリット521の両端部を結んだ仮想直線L5上に設けられ、2つの凹部551、552で1つの係止凹部55を構成する。
【0044】
続いて、スリット521により囲まれた第1部材201の一部を第1部材201の板面に対して略垂直に曲げ起こして、位置決め壁部52が形成される一方、第2部材202および第3部材203を位置決め壁部52の中心点CP回りの外周面に沿ってそれぞれ曲げ起こして、各外側面204、205が対向した状態で接合されて、案内壁部51が形成される。
【0045】
このとき、各凹部551、552は、開口が相互に対向した状態で接続されて係止凹部55を構成し、位置決め壁部52の係止凸部54が、係止凹部55の内部に収容されて係止される。
【0046】
なお、位置決め壁部52は、ソケット端子20の中心線CL1の延在方向から見て、案内壁部51の内部の貫通孔53よりも大きい外形形状を有している。これにより、案内壁部51の内部において、案内壁部51と位置決め壁部52との間を確実に封止している。
【0047】
前記ソケット端子20によれば、ランス部40が、端子本体21の延在方向の他端部212に設けられているため、ソケット端子20をハウジング10の収容部11に収容するとき、ランス部40が、最後に収容部11に収容される。このため、コンタクトピンの中間に設けられた胴部に一対のランスが設けられた特許文献1のコンタクトピンと比較して、ハウジング10の収容部11にソケット端子20を収容するときに、収容部11の内周面13と各位置決め用ランス41、42、43とが摺動する距離が短くなり、よりユーザに近い位置で、各位置決め用ランス41、42、43がハウジング10の係止部12に係止される。その結果、ハウジング10の収容部11に収容し易く、各位置決め用ランス41、42、43がハウジング10の係止部12に係止されたか否かを確認し易いソケット端子20を実現できる。
【0048】
また、前記ソケット端子20では、その中心線CL1の延在方向におけるコネクタ1の収容部11のソケット端子20の位置を決める少なくとも3つの位置決め用ランス、すなわち、第1位置決め用ランス41、第2位置決め用ランス42および第3位置決め用ランス43を有している。また、中心線CL1および第1位置決め用ランス41を結ぶ第1仮想直線L1と、中心線CL1および第2位置決め用ランス42を結ぶ第2仮想直線L2とが成す角度θ1が、ソケット端子20の中心線CL1回りに0度よりも大きく、180度よりも小さくなっていると共に、第1仮想直線L1と、中心線CL1および第3位置決め用ランス43を結ぶ第3仮想直線L3との成す角度θ3が端子本体21の中心線CL1回りに0度よりも大きく、180度よりも小さくなっている。これにより、一対のランスが中心線回りに180度以上の間隔で配置されている特許文献1のコンタクトピンと比較して、収容部11に収容するときのソケット端子20の中心線CL1回りの向きにかかわらず、ソケット端子20をハウジング10の係止部12に係止させ易くなる。その結果、ハウジング10からの脱落を低減できるソケット端子20を実現できる。
【0049】
また、各位置決め用ランス41、42、43が、中心線CL1の延在方向から見て、中心線CL1を中心とする円の円周上に周方向において等間隔で配置されている。これにより、ハウジング10からの脱落をより確実に低減できるソケット端子20を実現できる。
【0050】
また、端子本体21が、電線2の導体部5を接続部22に接続するときに中心線CL1の延在方向における電線2の移動をガイドする電線ガイド面24を有している。この電線ガイド面24により、電線2を中心線CL1の延在方向にスムーズに移動させることができるので、電線2の導体部5を接続部22に容易に接続することができる。
【0051】
また、端子本体21が、電線2の導体部5が接続部22に接続されたときに電線2の絶縁部6を挟持可能な一対の電線挟持部23を有している。この一対の電線挟持部23により、接続部22に接続されたときの電線2の導体部5にかかる負荷を軽減することができる。
【0052】
また、前記コネクタ1は、前記ソケット端子20を備えているので、ハウジング10からソケット端子20が脱落し難く、組み立て易いコネクタ1を実現できる。
【0053】
前記ソケット端子20では、樹脂位置決め部50が、中心線CL1に沿って延びる貫通孔53を有する筒状の案内壁部51と、端子本体21の一部を切り起こして形成され案内壁部51の内部で貫通孔53を中心線CL1の延在方向において塞ぐように構成された位置決め壁部52とを有している。そして、位置決め壁部52が、位置決め壁部52から樹脂位置決め部50の外部に向かって突出する係止凸部54を有し、案内壁部51が、係止凸部54を係止して案内壁部51に対する位置決め壁部52の位置を規制する係止凹部55を有している。このため、例えば、カバー部3を樹脂でモールド成型する際に、樹脂位置決め部50の内部にランス部40側から樹脂が流れ込んだとしても、位置決め壁部52により、接触部30に樹脂封止部60が形成されるのを抑制できるので、樹脂によるソケット端子20の接続性能の低下を抑制できる。
【0054】
また、案内壁部51が、円柱状の貫通孔53を有する円筒状を有し、位置決め壁部52が、円板形状を有し、係止凸部54と位置決め壁部52の切り残し部56とが、位置決め壁部52の円板形状の中心に対して径方向の反対側にそれぞれ配置されている。これにより、案内壁部51に対する位置決め壁部52の位置をより確実に規制できる。
【0055】
また、前記コネクタ1は、前記ソケット端子20を備えているので、接続性能の高いコネクタ1を実現できる。
【0056】
前記ソケット端子20では、接触部30が、端子本体21の一端部211側の先端に設けられ、収容部11を構成するハウジング10の内周面13を周方向に沿って延びる環状バンド部34で構成された位置規制部31を有している。この位置規制部31によって、ソケット端子20が収容部11に収容されたときの収容部11の延在方向に直交する方向における接触部30の位置が規制されるので、端子本体21の一端部211におけるがたつきを抑制することができる。その結果、プラグ端子120に対するソケット端子20の接触信頼性を高めることができる。
【0057】
また、弾性接触部33の位置規制部31に近い方の先端部36に、端子本体21の幅方向において中心線CL1から離れる方向に向かって屈曲する屈曲部38が設けられている。この屈曲部38により、プラグ端子120を収容部11に挿入したときに、弾性接触部33を端子本体21の幅方向でかつ中心線CL1から離れる方向に容易に弾性変形させることができる。
【0058】
また、接触部30が、端子本体21の幅方向の一端部211および幅方向の他端部212に設けられかつ中心線CL1に対して対称に配置された一対の弾性接触部33を有している。これにより、収容部11に挿入されたプラグ端子120を一対の弾性接触部33で挟持できるので、プラグ端子120に対するソケット端子20の接触信頼性をさらに高めることができる。
【0059】
また、位置規制部31が、収容部11に収容されたときに、位置規制部31の環状バンド部34の外周面とハウジング10の内周面13とが相互に接触して位置規制するように構成されている。これにより、端子本体21の一端部211におけるがたつきをより確実に抑制することができる。
【0060】
前記コネクタ1によれば、前記ソケット端子20を備えているので、接触信頼性の高いコネクタ1を実現できる。
【0061】
なお、ハウジング10の係止部12は、切欠部12に限らず、ソケット端子20のランス部40が、ソケット端子20の中心線CL1の延在方向において係止可能に構成されていればよい。
【0062】
また、係止部12は、各収容部11にそれぞれ対応付けられた4つの切欠部12で構成されている場合に限らず、例えば、隣接する2つの収容部11にそれぞれ対応付けられた2つの切欠部で係止部を構成してもよい。
【0063】
接触部30の位置規制部31は、端子本体21の一端部211側の先端に設けられている場合に限らない。位置規制部31は、端子本体21の一端部211側の先端と樹脂位置決め部50との間の任意の位置に設けることができる。
【0064】
位置規制部31の環状バンド部34は、略同一の幅Wを有する場合に限らず、複数の異なる幅を有してもよい。すなわち、環状バンド部34は、その外周面で接触部30の収容部11の延在方向に直交する方向における位置を規制できる形状であれば、任意の形状を採用できる。
【0065】
弾性接触部33は、収容部11に挿入されたプラグ端子120に接触して端子本体21の幅方向でかつ中心線CL1から離れる方向に向かって弾性変形可能であればよい。例えば、弾性接触部33は、平板状に限らず、位置規制部31の環状バンド部34に沿って湾曲した板状であってもよいし、基端部37が端子本体21ではなく樹脂位置決め部50に接続されていてもよい。
【0066】
また、弾性接触部33は、端子本体21の幅方向の両側に一対で設ける場合に限らず、端子本体21の幅方向の少なくとも一端部に設けられていればよい。
【0067】
さらに、各弾性接触部33は、中心線CL1に対して対称に配置されている場合に限らず、中心線CL1に対して非対称に配置されていてもよい。
【0068】
前記実施形態では、第1位置決め用ランス41を第1の位置決め用ランスとし、第2位置決め用ランス42を第2位置決め用ランスとし、第3位置決め用ランス43を第3の位置決め用ランスとしたが、これに限らない。例えば、第1位置決め用ランス41を第2の位置決め用ランスとし、第2位置決め用ランス42を第3の位置決め用ランスとし、第3位置決め用ランス43を第3の位置決め用ランスとしてもよい。
【0069】
ランス部40は、少なくとも3つの位置決め用ランス41、42、43を有していればよい。例えば、ランス部40は、第1〜第3位置決め用ランス41、42、43に加えて、第4位置決め用ランスを有することができる。
【0070】
電線挟持部23、電線ガイド面24、および、樹脂位置決め部50は、ソケット端子20の設計等に応じて、省略することができる。
【0071】
樹脂位置決め部50の案内壁部51は、筒状であればよく、円筒状に限らない。
【0072】
位置決め壁部52は、案内壁部51の内部で貫通孔53を塞ぐことができればよい。すなわち、位置決め壁部52は、円板形状を有する場合に限らず、他の形状を有することができ、また、案内壁部51の内部のソケット端子20の中心線CL1の延在方向における任意の位置に設けることができる。
【0073】
また、位置決め壁部52は、ランス部40側から接触部30側に向かって切り起こされて形成される場合に限らず、
図11に示すように、接触部30側からランス部40側に向かって切り起こされて形成されてもよい。このように、位置決め壁部52を接触部30側からランス部40側に向かって切り起こして形成することで、接触部30に樹脂封止部60が形成されるのをより確実に抑制できる。
【0074】
位置決め壁部52の係止凸部54は、位置決め壁部52の切り起こされた部分に設けられていればよく、係止凸部54と位置決め壁部52の切り残し部56とが、位置決め壁部52の中心に対して径方向の反対側にそれぞれ配置されている場合に限らない。
【0075】
位置決め壁部52は、端子本体21の一部を切り起こして形成する場合に限らず、可能ならば、案内壁部51の一部を切り起こして形成してもよいし、端子本体21および案内壁部51の一部を切り起こして形成してもよい。
【0076】
前記実施形態では、コネクタ用端子の一例のソケット端子20およびこのソケット端子20を備えたソケットコネクタ1について説明したが、本開示は、接触部30を除いて、
図12に示すプラグ端子120およびこのプラグ端子120を備えたプラグコネクタにも適用できる。すなわち、プラグ端子120は、中心線CL1に沿って延びる略円筒状の接触部130を除いて、ソケット端子20と同様の構成を有している。
【0077】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0078】
本開示の第1態様のコネクタ用端子20は、
収容部11が設けられた絶縁性のハウジング10を有するコネクタ1の前記収容部11に収容可能でかつ電線2を接続可能なコネクタ用端子20において、
中心線CL1に沿って延びる端子本体21と、
前記端子本体21の延在方向の一端部211に設けられた接触部30と、
前記端子本体21の延在方向の他端部212に設けられ、前記収容部11における前記コネクタ用端子20の前記中心線CL1の延在方向の位置を決めるランス部40と、
前記接触部30と前記ランス部40との間に配置されて前記電線2の導体部5を前記ランス部40側から接続可能な接続部22と、
前記接触部30と前記接続部22との間に配置されて、前記ランス部40から前記接触部30に向かって延在する樹脂封止部60の位置を決める樹脂位置決め部50と
を備え、
前記樹脂位置決め部50が、
前記中心線CL1に沿って延びる貫通孔53を有する筒状の案内壁部51と、
前記端子本体21の一部および案内壁部51の一部の少なくともいずれかを切り起こして形成され、前記案内壁部51の内部で前記貫通孔53を前記中心線CL1の延在方向において塞ぐように構成された位置決め壁部52と
を有し、
前記位置決め壁部52が、前記中心線CL1の延在方向に交差する方向に沿って前記位置決め壁部52から前記樹脂位置決め部50の外部に向かって突出する係止凸部54を有し、
前記案内壁部51が、前記係止凸部54を係止して前記案内壁部51に対する前記位置決め壁部52の位置を規制する係止凹部55を有する。
【0079】
第1態様のコネクタ用端子20によれば、樹脂位置決め部50が、中心線CL1に沿って延びる貫通孔53を有する筒状の案内壁部51と、端子本体21の一部を切り起こして形成され案内壁部51の内部で貫通孔53を中心線CL1の延在方向において塞ぐように構成された位置決め壁部52とを有している。そして、位置決め壁部52が、位置決め壁部52から樹脂位置決め部50の外部に向かって突出する係止凸部54を有し、案内壁部51が、係止凸部54を係止して案内壁部51に対する位置決め壁部52の位置を規制する係止凹部54を有している。このため、例えば、カバー部3を樹脂でモールド成型する際に、樹脂位置決め部50の内部にランス部40側から樹脂が流れ込んだとしても、位置決め壁部52により、接触部30に樹脂封止部60が形成されるのを抑制できるので、樹脂によるコネクタ用端子20の接続性能の低下を抑制できる。
【0080】
本開示の第2態様のコネクタ用端子20は、
前記位置決め壁部52が、前記接触部30側から前記ランス部40側に向かって切り起こされて形成されている。
【0081】
第2態様のコネクタ用端子20によれば、接触部30に樹脂封止部60が形成されるのをより確実に抑制できる。
【0082】
本開示の第3態様のコネクタ用端子20は、
前記案内壁部51が、円柱状の前記貫通孔53を有する円筒状を有し、
前記位置決め壁部52が、円板形状を有し、
前記係止凸部54と前記位置決め壁部52の切り残された部分56とが、前記位置決め壁部52の円板形状の中心に対して径方向の反対側にそれぞれ配置されている。
【0083】
第3態様のコネクタ用端子20によれば、案内壁部51に対する位置決め壁部52の位置をより確実に規制できる。
【0084】
本開示の第4態様のコネクタ1は、
前記コネクタ用端子20と、
前記コネクタ用端子20が収容された前記収容部11を有する前記ハウジング10と
を備える。
【0085】
第4態様のコネクタ1によれば、前記コネクタ用端子20を備えているので、接続性能の高いコネクタ1を実現できる。
【0086】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。