(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
白麹菌(Aspergillus kawachii)及び黒麹菌(Aspergillus awamori)から選択される少なくとも1種を繁殖させた米麹の溶媒抽出物を含有し、
前記溶媒抽出物が、前記米麹と、水または水を含有する混合溶媒からなる抽出溶媒とを接触させ、前記米麹に含有される成分を抽出して得られる抽出物であることを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤(但し、抗酸化作用に基づく抗老化用途及び美白用途に用いるためのものを除く。)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。
【0011】
<コラゲナーゼ阻害剤>
本発明は、白麹菌(Aspergillus kawachii) 及び黒麹菌(Aspergillus awamori)から選択される少なくとも1種を繁殖させた米麹の溶媒抽出物を含有するコラゲナーゼ阻害剤(以下、「本発明の阻害剤」と記載する場合がある。)である。
【0012】
本発明の阻害剤は、米に麹菌を繁殖させた米麹のうち、麹菌として白麹菌(Aspergillus kawachii)及び黒麹菌(Aspergillus awamori)から選択される少なくとも1種を繁殖させた米麹を使用していることに特徴があり、優れたコラゲナーゼ阻害作用を発現する。
以下、本発明の阻害剤について詳細に説明する。
【0013】
(米麹)
本発明の阻害剤に含有される米麹は、麹菌として白麹菌(Aspergillus kawachii)を繁殖させた米麹(以下、「米麹(白麹菌)」と記載する場合がある。)または、黒麹菌(Aspergillus awamori)を繁殖させた米麹(以下、「米麹(黒麹菌)」と記載する場合がある。)、また、白麹菌と黒麹菌の両方を繁殖させた米麹である。なお、以下、これらを総称して「本発明の米麹」と記載する場合がある。本発明の米麹のうち、色素の観点からより好ましくは米麹(白麹菌)である。
【0014】
白麹菌(Aspergillus kawachii)は、黒麹菌(Aspergillus awamori)の突然変異株であり、焼酎の製造に使用されている麹菌である。
米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の溶媒抽出物が優れたコラゲナーゼ阻害作用を発現することについての作用機序の詳細は現段階では詳細は完全に明らかではないが、米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物を加熱して、含まれる酵素を失活させても、あるいはろ過によって抽出物から白麹菌を除去してもコラゲナーゼ阻害活性が認められるため、麹の白麹菌や黒麹菌による低分子産生物が実質的な有効成分である可能性がある。
【0015】
一方、白麹菌および黒麹菌以外の麹菌を繁殖させた米麹の抽出物、例えば、清酒製造に使用される黄麹菌(Aspergillus oryzae)を繁殖させた米麹の水抽出物では、コラゲナーゼ阻害作用が認められない、あるいはコラゲナーゼ阻害作用が米麹(白麹菌)の抽出物や米麹(黒麹菌)の場合と比較して極めて小さい。
【0016】
米麹の原料である米類としては、玄米、ウルチ米、精白米等が挙げられる。これらは必要に応じて、適当な大きさに粉砕して使用してもよい。
米類は、固めに炊く、あるいは蒸したのちに、白麹菌や黒麹菌を繁殖させて本発明に係る米麹とする。
好適な一例を挙げると、精白米を水で精米した後、冷水に浸漬する。その後、余計な水切りを行い、精白米を蒸しあげる。蒸しあがった精白米の水分を飛ばし、麹菌(白麹菌、黒麹菌)を混ぜ込んでいく。次に麹菌を混ぜた精白米を35〜40℃で18時間保温し、その後、麹菌が付着した精白米を均一に広げ34℃で6時間保温する。これを2回繰り返し、麹を製造する。
【0017】
本発明の阻害剤において、本発明の米麹の溶媒抽出物(以下、単に「抽出物」と記載する場合がある。)とは、抽出対象となる本発明の米麹を、溶媒に接触させることで、米麹中の酵素による米麹成分の分解ならびに抽出などして、有効成分の含有量を高めた形態のものを総括した概念である。本発明の阻害剤における抽出物は、具体的には、本発明の米麹を抽出原料として得られる抽出液、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。また、液状の抽出物を乾燥して得られる乾燥物も、本発明における抽出物に該当するものとする。
【0018】
抽出物は、乾燥物を除くいずれの場合においても、必要に応じて、不溶分を除去するために、透析、限外ろ過、ろ過、カラムクロマトグラフィー等による前処理を行ってもよい。ろ過による除去の場合には、必要に応じて、不純物を除去するために活性炭、ベントナイト、セライト等の吸着剤やろ過助剤を添加してもよい。特に抽出液の状態で用いる場合には、メンブレンフィルター等による除菌ろ過を併せて行うことが好ましい。
【0019】
抽出物は、必要に応じて任意の公知の方法で精製してもよく、必要に応じて、医薬および食品分野において許容される塩、誘導体または溶媒和物等に変換してもよい。
【0020】
抽出物を溶媒抽出で得る場合、抽出溶媒としては、本発明の米麹に含有されるコラゲナーゼ阻害作用を発現する有効成分を抽出できるものであればよい。具体例としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられる。なお、抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
これらの抽出溶媒は単独又はこれら2種以上の混合物として使用することができ、2種以上の溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。
【0021】
なお、抽出溶媒には、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含んでいてもよい。例えば、pH調整剤、粘度調整剤などが挙げられる。
【0022】
本発明に係る抽出物において、本発明の米麹と、抽出溶媒とを接触させ、前記米麹に含有される成分を抽出して得られる抽出物であることが好ましい。
抽出溶媒としては、水、エタノール及び1,3−ブチレングリコールから選択される1種以上を主溶媒として含有する抽出溶媒であることが好ましい。ここで、「主溶媒」とは溶媒全量の50体積%以上(100体積%含む)を占める溶媒を意味する。
【0023】
抽出溶媒としては、特に水及び1,3−ブチレングリコールから選択される1種以上であることが好ましい。水と1,3−ブチレングリコールとの割合は任意であるが、好適には、1,3−ブチレングリコール基準濃度で、0重量%〜50重量%である。
このような抽出溶媒であれば、得られる抽出物は、他の溶媒で抽出した場合と比較して、より優れたコラゲナーゼに対する活性阻害作用を有する。
【0024】
本発明の米麹に対する抽出溶媒の量は特に制限はないが、通常、米麹(白麹菌)に対して重量比で3〜100倍量程度である。抽出溶媒が水の場合には、米麹(白麹菌)に対して重量比で5〜20倍量であることが好ましく、1,3−ブチレングリコールである場合には5〜20倍量であることが好ましい。米麹(黒麹菌)の場合も米麹(白麹菌)の場合と同様である。
【0025】
本発明の米麹から溶媒抽出物を抽出する方法は特に限定されず、常法に従って行なれる。例えば、米麹(白麹菌)と、抽出溶媒とを互いに充分に攪拌し混合後、米麹(白麹菌)から溶媒中に、有効成分が十分に抽出されるまで一定期間静置する。抽出時間は、抽出溶媒の種類や、米麹(白麹菌)と抽出溶媒との割合を考慮し適宜選択されるが、抽出溶媒が水の場合は1〜3時間であり、1,3−ブチレングリコールの場合は1〜3時間である。米麹(黒麹菌)の場合も米麹(白麹菌)の場合と同様である。
また、抽出物に含まれる残渣を取り除くため、濾過や遠心分離を行ってもよい。また、得られた抽出液はそのまま利用してもよいが、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
なお、この抽出操作は品質劣化を避けるために常温で行うのが好ましいが、抽出効率を上げるために加温状態にして行うことも可能である。加温により米麹のデンプンやタンパク質などが分解され豊富な栄養成分(アミノ酸・糖など)を抽出液中に含有させることができる。また、必要に応じて抽出物の割合を高めるため、減圧濃縮や凍結乾燥により溶媒除去してもよい。
【0026】
本発明に係る抽出物として、米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)を水の混合物をろ過したもの、米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)と水の混合物を加温後濾過したものが好適な一例として挙げられる。
【0027】
本発明に係る抽出物は、コラゲナーゼ阻害作用を有すると共に、人体に対する毒性や刺激性が少ない。そのため、各種外用剤、服用剤、化粧料組成物、機能性食品等の用途に使用することができる。
【0028】
本発明の阻害剤として、米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物を、原液をそのまま用いても、濃縮して濃縮液として用いてもよく、原液あるいは濃縮液を希釈溶媒に溶解して使用してもよい。この希釈溶媒としては、コラゲナーゼ阻害作用を損なわないものが選択され、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等を例示することができる。
【0029】
本発明の阻害剤によるコラゲナーゼ阻害作用は、当該阻害剤が含有する米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物の量に依存し、コラゲナーゼ阻害率が30%以上(好適には40%以上)となる範囲で決定される。
本発明の阻害剤は、特にコラゲナーゼ阻害作用が高いため、比較的低濃度(例えば、2〜10重量%)でもコラーゲンの分解抑制効果が期待できる。
【0030】
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、皮膚の老化の一因であるコラゲナーゼによるコラーゲンの分解を抑制することができるので、抗老化剤として使用できる可能性がある。ここで、「抗老化作用」とは、皮膚のしわ、たるみなどを有効に防止・改善などを含む概念である。
【0031】
本発明のコラゲナーゼ阻害剤の形態としては特に限定はないが、一般に皮膚に塗布する形の皮膚外用剤として用いられる場合には、液状やクリーム状である。この場合、コラゲナーゼ阻害剤は、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品に配合される、油性成分、可溶化剤、保湿剤、色素、乳化剤、増粘剤、香料等の任意の成分を含有することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の薬効植物抽出物を添加してもよい。
【0032】
また、本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、入浴剤、ボディーソープ、シャンプー等の入浴用組成物に配合して用いてもよい。剤型としては、一般に用いられる、水溶液、W/O型又はO/W型エマルション、適当な賦形剤等を用いて顆粒剤その他の粉末、錠剤等としてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の薬効植物抽出物を添加してもよい。
【0033】
また、本発明のコラゲナーゼ阻害剤は経口用組成物とすることもできる。この場合、経口投与に利用される剤形としては、具体的には、固形製剤として、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ等が挙げられる。また、液状製剤として内用液剤、外用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等が例示され、これら剤形やその他の剤形が目的に応じて適宜選択される。また、必要に応じて、医薬品・医薬部外品・食品などに配合される任意の成分を含有することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の薬効植物抽出物を添加してもよい。
【0034】
<化粧料組成物>
本発明の化粧料組成物は、上記本発明のコラゲナーゼ阻害剤を配合してなることを特徴とする。上述の通り、本発明のコラゲナーゼ阻害剤に含まれる米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物は、コラゲナーゼ阻害作用を有し、かつ、各種化粧料基材及び化粧料添加物に対する安定性も高いため、化粧料組成物に好適に使用することができる。
【0035】
化粧料組成物への本発明の阻害剤の配合割合は任意であるが、米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物の含有量として、化粧料組成物が抗老化作用を十分に発揮する範囲で適宜選択される。米麹(白麹菌)や米麹(黒麹菌)の抽出物の化粧料組成物に対する割合は、抽出物における溶媒の割合や溶媒の種類等にもよるが、例えば、化粧料組成物の形態がジェルの場合は2〜50重量%程度、形態が乳液の場合は2〜50重量%程度、形態がクリームの場合は2〜50重量%程度である。
【0036】
本発明の化粧料組成物は、慣用の化粧料基材を適宜配合し、所望の剤型とすることができる。その形態は特に制限はないが、ジェル、乳液、クリーム等の形態が挙げられる。
【0037】
化粧料基材としては、目的とする剤型に合わせて、水、水溶性有機溶媒、油脂、ロウ、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類等の従来公知の化粧料基材が適宜選択される。
また、本発明の化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意の成分を添加することができる。かかる任意成分の具体例としては、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素剤、金属封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、香料、ミツロウ等が挙げられる。これら任意成分の配合割合は、その目的に応じて適宜選択して決定することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の薬効植物抽出物を添加してもよい。
【0038】
<機能性食品>
一方、日常的に飲食することで、本発明のコラゲナーゼ阻害剤を摂取したい場合には、該食品、飲料に含有させて機能性食品としてもよい。
ここでいう「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品等、健康の維持の目的で摂取する食品および/又は飲料を意味している。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料等を添加していてもよい。
【0039】
本発明の機能性食品の対象となる、食品、飲料は特に限定されるものではない。例えば、食品として、ソーセージ、ハム、魚介加工品、ゼリー、キャンディー、チューインガムなどの食品類が挙げられる。また、飲料としては、各種の茶類、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンクなどが挙げられる。この中でも、茶、ゼリーであることが特に好ましい。
本発明のコラゲナーゼ阻害剤は、このような食品、飲料に添加することにより、簡易に経口摂取することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「1,3−ブチレングリコール」を「BG」と記載する場合がある。
【0041】
<米麹(白麹菌)>
白麹菌(Aspergillus kawachii)を繁殖させた米麹は、株式会社ビオックから入手した白麹K型菌を用いて製造した。
<米麹(黒麹菌)>
黒麹菌(Aspergillus awamori)を繁殖させた米麹は、株式会社ビオックから入手した泡盛用黒麹種菌を用いて製造した。
【0042】
<コラゲナーゼ阻害率の評価方法>
〔試薬の調製〕
基質溶液:
Pzペプチド(BACHEM社製)3.9mgを、0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.1、含20mM塩化カルシウム)10mLに溶解して使用した(0.5mMに相当)。
酵素溶液:コラゲナーゼ(TYPE IV、SIGMA-ALDRICH社製)5mgを緩衝液1mLに溶解させ20μLずつ分注し、−80℃で保管する。使用時に緩衝液で50倍に希釈して反応に用いた。
【0043】
〔コラゲナーゼ阻害作用の測定法〕
これらの試料溶液50μL、コラゲナーゼ溶液50μL及び基質溶液400μLを混合し、37℃で30分間反応させた。次いで、25mMクエン酸溶液1mLで反応を停止し、酢酸エチル5mLで抽出した。遠心分離(1600g、10分間)後、酢酸エチルを対照として、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。対照には、試料溶液の代わりに各抽出溶媒を用い、また、それぞれのブランクとして、酵素溶液の代わりに超純水を加えて同様の操作を行った。これらの値からコラゲナーゼ阻害率を次式により算出した。
コラゲナーゼ阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
但し、A:試料溶液の320nmにおける吸光度、
B:試料溶液ブランクの320nmにおける吸光度、
C:対照溶液の320nmにおける吸光度、
D:対照溶液ブランクの320nmにおける吸光度である。
【0044】
<1.米麹(白麹菌)(抽出溶媒:水)のコラゲナーゼ阻害作用の評価>
(実験例1)
抽出溶媒としての水(50mL)に、米麹(白麹菌)(5g)を浸漬し、室温で3時間静置した。遠心分離後、上澄みを濾過して、実験例1の抽出物を得た。
【0045】
(実験例2)
抽出溶媒としての水(30mL)に、麹(白麹菌)(10g)を浸漬し、55℃で5時間静置した。遠心分離後、上澄みを濾過して、実験例2の抽出物を得た。
【0046】
(評価)
実験例1,2の抽出物について、上述の方法でコラゲナーゼの阻害率を評価した。結果を
図1に示す。
【0047】
<2.米麹(白麹菌)(抽出溶媒:水-BG混合溶媒)のコラゲナーゼ阻害作用の評価>
(実験例3)
米麹(白麹菌)5gを、50重量%BG/水50mLに浸漬し、3時間攪拌した。遠心分離後、上澄みをろ過して得られた抽出液を実験例3の抽出物とした。
【0048】
(実験例4)
抽出溶媒としての50重量%BG/水(30mL)に、麹(白麹菌)(10g)を浸漬し、55℃で5時間静置した。遠心分離後、上澄みを濾過して、実験例4の抽出物を得た。
【0049】
(評価)
実験例3,4の抽出物について、上述の方法でコラゲナーゼの阻害率を評価した。結果を
図2に示す。
【0050】
<3.米麹(黒麹菌)のコラゲナーゼ阻害作用の評価>
(実験例5)
抽出溶媒としての水(50mL)に、米麹(黒麹菌)(5g)を浸漬し、室温で3時間静置した。遠心分離後、上澄みを濾過して、実験例5の抽出物を得た。
【0051】
(実験例6)
米麹(黒麹菌)5gを、50重量%BG/水50mLに浸漬し、3時間攪拌した。遠心分離後、上澄みをろ過して得られた抽出液を実験例6の抽出物とした。
【0052】
(実験例7)
抽出溶媒としての50重量%BG/水(30mL)に、麹(黒麹菌)(10g)を浸漬し、55℃で5時間静置した。遠心分離後、上澄みを濾過して、実験例7の抽出物を得た。
【0053】
(評価)
実験例5〜7の抽出物について、上述の方法でコラゲナーゼの阻害率を評価した。結果を
図3に示す。
【0054】
<4.加熱処理によるコラゲナーゼ阻害作用への影響>
上記実験例1,2の抽出物を、沸騰水中で、1分加熱して、加熱前後の実験例1,2の抽出物によるコラゲナーゼ阻害率を比較した。結果を
図4に示す。
本実験は、米麹(白麹菌)の抽出物にみられるコラゲナーゼ阻害活性に、米麹抽出物中に存在する菌体あるいは白麹菌が生産した酵素群が関与するかを調べるために行ったものである。加熱により菌体および酵素を失活させた抽出物においてもコラゲナーゼ阻害活性が認められたため、菌体および酵素は関与しないことが分かった。
【0055】
<5.米麹(白麹菌)抽出物のエラスターゼ阻害作用の評価>
参考例として、上記実験例4の米麹(白麹菌)抽出物を使用して、エラスターゼ阻害作用の評価を行った。
【0056】
〔エラスターゼ活性阻害率の評価方法〕
エラスターゼ活性阻害作用は、ブタ膵臓由来エラスターゼ(SIGMA-ALDRICH社製)および合成基質スクシニル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン-p-ニトロアニリド)(SIGMA-ALDRICH社製)を用いて評価した。基質をジメチルスルホキシドで0.05Mに調整し、使用時に、0.2M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で10倍希釈した5mM溶液を使用した。酵素は0.2M Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で10μg/mLに調製した。基質50μLを酵素100μLおよび試料50μLとともに37℃で8分間反応させ、その後、吸光度405nmで測定した(A)。さらに酵素を添加せずに緩衝液を加えて同様の操作と測定を行った(B)。同様の測定を、試料を添加せずに抽出溶媒を加えて実施した(C、D)。上記方法で吸光度を求め、次式により、阻害率を算出した。
エラスターゼ活性阻害率(%)=[1−(A−B)/(C−D)] × 100
但し、A:試料溶液の405nmにおける吸光度、
B:試料溶液ブランクの405nmにおける吸光度、
C:対照溶液の405nmにおける吸光度、
D:対照溶液ブランクの405nmにおける吸光度である。
【0057】
(評価)
実験例4の抽出物について、上述の方法でエラスターゼ阻害率を評価したところ、エラスターゼ阻害率は14.5%であった。