特許第6544511号(P6544511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544511
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ガス透過成形体
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/00 20060101AFI20190705BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20190705BHJP
   B29C 70/62 20060101ALI20190705BHJP
   H01M 2/12 20060101ALI20190705BHJP
   H01G 9/12 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B29C45/00
   B29C45/37
   B29C70/62
   H01M2/12 101
   H01G9/12 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-65196(P2015-65196)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-165878(P2016-165878A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】305011787
【氏名又は名称】睦月電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斎 聖一
(72)【発明者】
【氏名】睦月 邦年
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−033627(JP,A)
【文献】 特開2006−240271(JP,A)
【文献】 特開平10−058573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84,70/12,70/14,70/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材をゲート口から射出成形型に充填してできた射出成形体のガス透過成形体において、前記射出成形体の表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層と、前記射出成形体の第一の表面に形成されたゲート痕端部と、前記ゲート痕端部のある第一の表面と反対側の第二の表面にあってゲート痕端部と対向した部位がスキン層を有しないスキン層除去端部とを有し、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位をガス透過路としたガス透過成形体であって、前記合成樹脂材には細長形状のフィラーが多数個含有されており、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位において前記細長形状のフィラーを、その長手方向が前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る方向に向かうように配列させてガス透過路としたことを特徴とするガス透過成形体。
【請求項2】
前記射出成形体は平板状であって、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位においては前記第二の表面から突出した突出端部を有し、前記突出端部はその端面がスキン層を有しないスキン層除去端部であることを特徴とする請求項1に記載のガス透過成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を透過させにくくガスを透過させやすくするガス透過成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
電解液を有するコンデンサーやリチウム電池などの密閉型電気化学デバイスにあっては、電解液が外装本体外に漏れ出ないように密閉されているので、充放電サイクルを繰り返したり、高温で放置したり、短絡・過充電・逆充電などにより電解液が分解されて、その外装本体内で水素ガスや炭酸ガスなどのガスが発生し、そのガスが外装本体内に蓄積されることにより急激に内圧が上昇して、その外装本体が膨れたり、破裂したりするおそれがあるので、発生したガスが外装本体内に蓄積しすぎないようにその発生したガスを適宜外装本体外に排出するガス透過成形体が望まれている。
【0003】
ガス透過成形体としては、特許文献1にて、ガラス繊維、合成繊維、セルロース繊維にセラミック粉および融着材を所定量率で含有した材料を抄造・熱処理により融着材が溶融されてシート状に形成して、このシートを打ち抜いてガス透過性または通気性を有するパッキンが提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1のガス透過成形体であるパッキンにおいては、防水性すなわち水の不透過性を付与させるためには撥水処理を施すことが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−105687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解消するために、水の不透過性を付与させるための撥水処理を施すことなく、水分を透過させにくくガス透過性のよいガス透過成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス透過成形体は、合成樹脂材をゲート口から射出成形型に充填してできた射出成形体のガス透過成形体において、前記射出成形体の表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層と、前記射出成形体の第一の表面に形成されたゲート痕端部と、前記ゲート痕端部のある第一の表面と反対側の第二の表面にあってゲート痕端部と対向した部位がスキン層を有しないスキン層除去端部とを有し、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位をガス透過路としたガス透過成形体であって、前記合成樹脂材には細長形状のフィラーが多数個含有されており、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位において前記細長形状のフィラーを、その長手方向が前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る方向に向かうように配列させてガス透過路としたことを特徴とする。同請求項2に記載の発明は、前記射出成形体は平板状であって、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位においては前記第二の表面から突出した突出端部を有し、前記突出端部はその端面がスキン層を有しないスキン層除去端部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス透過成形体は、合成樹脂材をゲート口から射出成形型に充填してできた射出成形体のガス透過成形体において、前記射出成形体の表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層と、前記射出成形体の第一の表面に形成されたゲート痕端部と、前記ゲート痕端部のある第一の表面と反対側の第二の表面にあってゲート痕端部と対向した部位がスキン層を有しないスキン層除去端部とを有し、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位をガス透過路としたガス透過成形体であって、前記合成樹脂材には細長形状のフィラーが多数個含有されており、前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る部位においては前記細長形状のフィラーを、その長手方向が前記ゲート痕端部から前記スキン層除去端部に至る方向に向かうように配列させてガス透過路としているので、スキン層、ゲート痕およびスキン層除去を利用することで、水の不透過性を付与させるための撥水処理を施すことなく、水分を透過させにくくガス透過性のよいガス透過成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1でガス透過成形体を示す断面図である。
図2】同上の平面図である
図3】同上のガス透過成形体の成形工程で型締め状態を示す断面図である。
図4】同上のガス透過成形体の成形工程で型開きによりゲート痕端部の形成を示す断面図である。
図5】同上のガス透過成形体の成形工程でスキン層除去端部の形成を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態2でガス透過成形体を示す断面図である。
図7】同上のガス透過成形体の成形工程で型締め状態を示す断面図である。
図8】同上のガス透過成形体の成形工程で型開きによりゲート痕端部の形成を示す断面図である。
図9】同上のガス透過成形体の成形工程でスキン層除去端部の形成を示す断面図である。
図10】同上のガス透過成形体の成形工程でスライド型の型開き状態を示す断面図である。
図11】本発明のガス透過成形体を適用の密閉型電気化学デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願人の発明者は、合成樹脂材を射出成形型に充填してできた射出成形体において、射出成形型に接した表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層に着眼して、このスキン層の存在で水分やガスの透過性を抑制する部位として利用し、さらには無機質材や金属材などの繊維で代表される細長形状のフィラーが多数個含有された合成樹脂材あるいは液晶ポリマー材が射出成形によりその細長形状のフィラーや液晶ポリマーの配向性に着眼して、この配向性が生じる部位をガス透過路として利用することにより、水分を透過させにくく水素ガスや炭酸ガスなどのガスを透過させやすくするガス透過成形体を開発した。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
(実施形態1)
図1および図2を参照して、ガス透過成形体1を説明する。
【0012】
図1および図2において、ガス透過成形体1は、平板状の射出成形体でできており、この射出成形体の表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層1Dと、射出成形体の第一の表面1Aに形成されたゲート痕端部1Cと、このゲート痕端部1Cのある第一の表面1Aと反対側の第二の表面1Bにあってゲート痕端部1Cと対向した表面のスキン層1Dを除去したスキン層除去端部1Fとからなり、ゲート痕端部1Cからスキン層除去端部1Fに至る部位をガス透過路としたガス透過成形体で、第二の表面1Bのスキン層除去端部1Fは第二の表面1Bから突出した突出端部1Eの端面に形成されており、この突出端部1Eは円柱状または角柱状で、その高さTは第一の表面1Aから第二の表面1Bに至る長さtより大きく、この突出端部1Eの端面はゲート痕端部1Cの領域よりも大きいので、突出端部1Eの端面にあるスキン層1Dを除去することにより、ゲート痕端部1Cの領域よりも大きいスキン層除去端部1Fが形成されている。
【0013】
ガス透過成形体1の合成樹脂材には細長形状のフィラー2が多数個含有されており、ゲート口3(図3参照)から射出成形型に充填することにより、ゲート痕端部1Cからスキン層除去端部1Fに至る部位において細長形状のフィラー2をゲート痕端部1Cからスキン層除去端部1Fに至る方向に直線状に配列するように配向させて、この部位をガス透過路としている。この合成樹脂材の素材としては、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの熱可塑性樹脂やフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂などの樹脂材で、これらを組み合わせまたは他の素材を含有させてもよい。また、フィラー2の素材としては、ガラスやセラミックス、さらには粘土鉱物などの無機質材さらにはアルミニウム(合金含む)などの金属材でできた繊維が例示でき、その形状としては、直径1〜50μmの円柱が望ましく、その直径を短軸とすると、長軸方向の長さが短軸方向の長さの2〜10倍の長さの細長形状となった繊維である。
【0014】
(実施形態1のガス透過成形体1の成形工程)
図3から図5は、平板状の射出成形体でできたガス透過成形体1の成形工程を示す。
【0015】
図3において、上型Aは可動型で細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材が射出されるゲート口3を有し、下型Bは固定型で、上型Aの下面A1は平坦で、下型Bの上面B1はガス透過成形体1の形状となるように形成された第一の凹所およびその中央から垂下した突出端部1Eに相当する円柱または角柱の第二の凹所により、射出成形型のキャビティを構成する。この射出成形型のキャビティにおいて、第二の凹所の底部B2は下型Bと同じ温度で加熱されるように一体に形成されている。そこで、この上型Aが下方に移動して下型Bと圧接して第一の凹所および第二の凹所が閉塞されるように型締めされ所定温度で加熱した状態で、ゲート口3から溶融した細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材を第一の凹所および第二の凹所に射出・充填する。このとき、ゲート口3から第二の凹所に至る部位においては、充填される方向に複数個の細長形状のフィラー2が直線状に配列された状態となる。次に、その充填を終えて、保圧状態を保ち冷却した後、図4において、上型Aが上方に移動して下型Bの第一の凹所および第二の凹所を開くことにより、突出端部1Eを有する平板状となった射出成形体が得られ、その第一の表面1Aにゲート痕端部1Cが形成されているので、その射出成形体を下型Bから取り出すことにより、ゲート痕端部1Cを有するガス透過成形体1となる射出成形体が得られる。このとき、ゲート痕端部1Cから突出端部1Eに至る部位においては複数個の細長形状のフィラー2がゲート痕端部1Cから突出端部1Eに至る方向に直線状に配列された状態となる。また、射出成形されたガス透過成形体1となる射出成形体においては、図5に示すように、上型Aおよび下型Bの射出成形型に接した表面、すなわち、ゲート口3を除き、上型Aの下面A1に接した表面(第一の表面1A)、下型Bの第一の凹所に接した表面(第二の表面1B)および第二の凹所に接した表面(突出端部1E)に合成樹脂材でできた薄膜のスキン層1Dが形成されている。しかし、ガス透過成形体1としては、図1に示すように突出端部1Eの端面スキン層1Dを除去したスキン層除去端部1Fが必要である。そこで、図5において、突出端部1Eの端面をレーザ加工、機械研削加工などの治具Zにより突出端部1Eの端面のスキン層1Dを除去してスキン層除去端部1Fを有するガス透過成形体1が得られる。
【0016】
上記ガス透過成形体1の成形工程において形成されるスキン層1Dは図5に示すように突出端部1Eの端面に形成されているが、突出端部1Eの端面にスキン層1Dを形成させない方法とし、以下、例示する。図3および図4において、第二の凹所の底部B2は、実施形態1とは異なり、断熱材を介して下型Bに装着されており、上型Aおよび下型Bを加熱する温度よりも低い温度で加熱できるように温度制御がされている。そこで、上型Aが下型Bと圧接して第一の凹所および第二の凹所が閉塞されるように型締めされ上型Aおよび下型Bを所定温度で加熱した状態で、ゲート口3から溶融した細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材を第一の凹所および第二の凹所に射出・充填する。その際に、第二の凹所の底部B2においては上記所定温度よりも低い温度で加熱されている。次に、この射出・充填を終えて上型Aおよび下型Bを底部B2とともに冷却して後、上型Aが上方に移動して下型Bを開くことによりガス透過成形体1となる射出成形体が得られる。この射出成形体においては、その突出端部1Eの端面に第一の表面1Aや第二の表面1Bのようなスキン層1Dが形成されず、所謂、スキン層1Dが除去された状態となっている。このような第二の凹所の底部B2の利用により、図5に示すような突出端部1Eの端面をレーザ加工、機械研削加工をしてスキン層1Dを除去する必要がなくスキン層除去端部1Fを有するガス透過成形体1が得られる。
【0017】
なお、細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材を用いて、これを射出成形型に充填して、このフィラー2の直線状となる配向によりガス透過性のよいガス透過路としたが、液晶ポリマーの成形においてその流れの方向に沿って配向する性質を利用してもよい。すなわち、熱可塑性液晶ポリマーを射出成形型で成形体とし、そのゲート口3からスキン層除去端部1Fのある突出端部1Eに向かって射出され、ゲート痕端部1Cからスキン層除去端部1Fに至る部位をガス透過路とする。この熱可塑性液晶ポリマーの素材としてはポリエステル系の液晶ポリマーが例示でき、実施形態1で例示した他の合成樹脂材を配合させてもよい。
【0018】
(実施形態2)
図6は、実施形態1とは異なるスキン層除去端部11Fを有するガス透過成形体11を示す。
【0019】
図6において、ガス透過成形体11は、実施形態1と同様な素材で平板状の射出成形体でできており、この射出成形体の表面に形成される合成樹脂皮膜でできたスキン層1Dと、射出成形体の第一の表面1Aに形成されたゲート痕端部1Cと、このゲート痕端部1Cのある第一の表面1Aと反対側の第二の表面1Bでゲート痕端部1Cと対向した表面のスキン層1Dを除去したスキン層除去端部11Fとからなり、このゲート痕端部1Cからスキン層除去端部11Fに至る部位をガス透過路としており、スキン層除去端部11Fは実施形態1と同様にゲート痕端部1Cの領域よりも大きくスキン層1Dを除去して形成されている。スキン層除去端部11Fは第二の表面1Bと面一となっており、実施形態1のような突出端部1Eは形成されていない。
【0020】
(実施形態2のガス透過成形体11の成形工程)
図7から図10は、平板状のガス透過成形体11の成形工程を示す。
【0021】
図7において、上型Aは可動型で細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材が射出されるゲート口3を有し、下型は上型Aに対しては固定型であるが、ベースE上で左右に開閉するスライド型CおよびDで構成されている。上型Aの下面A1は平坦で、下型となるスライド型CおよびDのそれぞれの上面C1およびD1はその閉じた状態でガス透過成形体11の形状となるように形成された凹所およびその中央から垂下したアンダーカット部4に相当する形状の半割形凹所C2およびD2により、射出成形型のキャビティを構成する。また、スライド型CおよびDのそれぞれにはベースEの下方から上下動自在なエジェクターピンE1およびE2が設けられている。このスライド型C、Dを閉じて、上型Aが下方に移動して上記凹所(ガス透過成形体11の形状となるように形成された凹所および半割形凹所C2およびD2)が閉塞されるように型締めされて所定温度で加熱した状態で、ゲート口3から溶融した細長形状のフィラー2が多数個含有された合成樹脂材を上記凹所に射出・充填する。次に、その充填を終え冷却させた後、図8において、上型Aが上方に移動して型開きにより、平板状で第一の表面1Aにはゲート痕端部1Cが形成された射出成形体が得られる。次に、図9において、エジェクターピンE1およびE2をスライド型CおよびDのそれぞれの上面C1およびD1よりも上方に突き出すように操作することにより、射出成形体の第二の表面1Bからアンダーカット部4が分離し、スキン層1Dが除去されて、第二の表面1Bには面一となったスキン層除去端部11Fが形成される。次に、図10において、スライド型CおよびDをベースE上でエジェクターピンE1およびE2とともに左右に開くことにより、スライド型CおよびDの半割形凹所C2およびD2に残存したアンダーカット部4をこの半割形凹所C2およびD2から除去する。この除去法としては、例えば、エアーの吹き付け若しくは吸い込みまたはエジェクターピンE1、E2と同様なエジェクターピンでその突き出し操作(図示せず)が例示できる。なお、図6のような突出端部1Eを第二の表面1Bと面一となったスキン層除去端部11Fとするに際して、このようなアンダーカット部4を用いずに、突出端部1Eの根元をレーザ加工、機械研削加工などの治具により研削して第二の表面1Bと面一となったスキン層除去端部11Fを形成してもよいが、アンダーカット部4の利用により、研削加工が不要となる。
【0022】
(ガス透過成形体の利用)
図11は、本発明のガス透過成形体を電極素子および電解液を有する密閉型電気化学デバイスの外装本体に形成して、水蒸気などの水分を遮断して外装本体内に発生したガスを外装本体外に排出しやすくする密閉型電気化学デバイスへの利用例を示す。
【0023】
図11において、外装本体の蓋体5に一対の電極端子6を並設した密閉型電気化学デバイスを示し、この密閉型電気化学デバイスは電解液8を有するコンデンサーやリチウム電池などで、円板(楕円を含む)状や矩形状の合成樹脂材でできた外装本体の蓋体が開口端のある円筒状または直方体状の箱型ケース51を閉蓋するように接合された密閉型電気化学デバイスの外装本体を構成する。外装本体で密閉された内部には電極端子6の接続部61、この接続部61と電気的に接続されるリード62、このリード62と電機接続される電極素子部7および電解液8が密閉されて収容されている。このように、電極素子部7および電解液8を有するコンデンサーやリチウム電池などの密閉型電気化学デバイスにあっては、電解液8が外に漏れ出ないように密閉されているので、充放電サイクルを繰り返したり、高温で放置したり、短絡・過充電・逆充電などにより電解液8が分解されて、酸素や二酸化炭素などのガスが発生し、そのガスが蓄積されることにより急激に内圧が上昇して、その外装本体が膨れたり、破裂したりするおそれがあるので、発生したガスが外装本体内に蓄積しすぎないように蓋体5にガス透過機能をもたせるために、蓋体5の貫通孔5Aに形成してこの貫通孔5Aによりガスを適宜、外装本体外に排出してガスが蓄積しつづけることを防ぐことができる。しかし、この貫通孔5Aのみでは水蒸気などの水分が外装本体内に流入しやすいので、この密閉型電気化学デバイスにあっては水分を透過させにくくガスを透過させやすくする必要がある。
【0024】
そこで、図11に示す外装本体の蓋体5はアルミニウム(その合金を含む)やステンレスなどの金属材でできており、その中央位置に貫通孔5Aが形成されているので、この貫通孔5Aに本出願のガス透過成形体を用いる。ガス透過成形体を用いる方法としては、ガス透過成形体1の突出端部1Eが蓋体5の貫通孔5Aに配置するように蓋体5と一体に成形または溶着または接着接合をする方法が例示できる。なお、突出端部1Eを有せずスキン層除去端部11Fが第二の表面1Bと面一となって形成されたガス透過成形体11においては、そのスキン層除去端部11Fが蓋体5の貫通孔5Aを閉塞するように配置させて蓋体5と一体に成形または溶着または接着接合により蓋体5に密着させることにより、水分を透過させにくくガスを透過させやすくした密閉型電気化学デバイスを提供することができる。
【0025】
このように、実施形態1および2においては、平板状の射出成形体でできたガス透過成形体を示すが、凹凸面のある形状の射出成形体でできたガス透過成形体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のガス透過成形体は、特許文献1に記載のようなパッキンとして利用できるが、特に封口された本体内に電解液を有するコンデンサーやリチウム電池などの密閉型電気化学デバイスとして有用である。
【符号の説明】
【0027】
1、11 ガス透過成形体
1A 第一の表面
1B 第二の表面
1C ゲート痕端部
1D スキン層
1E 突出端部
1F スキン層除去端部
2 フィラー
3 ゲート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11