特許第6544568号(P6544568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544568
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20190705BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20190705BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60K35/00 Z
   B60R11/02 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-126513(P2015-126513)
(22)【出願日】2015年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-7568(P2017-7568A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】茂木 孝一
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−271439(JP,A)
【文献】 特開2014−113865(JP,A)
【文献】 特開2015−101251(JP,A)
【文献】 特開2006−321453(JP,A)
【文献】 特開2003−312314(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0028995(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、前記表示手段に車両情報を表示させる制御手段と、を備えたドアの無い車両に搭載される車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記表示手段を非表示にさせた状態で、前記車両の運転を開始すべくイグニッションをON状態とする前に乗員が前記車両のエンジンが動作していない状態で前記車両を移動させる操作を検出すると、前記表示手段に開始演出表示をさせる
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記車両の走行速度、前記車両の燃料タンク内に搭載された燃料の液面の位置、少なくとも1つの変化によって前記操作を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭乗時に斬新な印象を与える表示を行う車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置として、特許文献1に開示されたものがある。この車両用表示装置は、車両のドアが開けられたときに意匠発光部を発光させることで、乗員が車両に乗り込む際に斬新な印象を与えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−159960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドアに相当する装置がない自動二輪車などの車両においては、イグニッションをONする前に斬新な印象を与える表示を開始できなかった。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みて成されたものであり、イグニッションをONする前に斬新な印象を与える表示を行う車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用表示装置は、
表示手段と、前記表示手段に車両情報を表示させる制御手段と、を備えたドアの無い車両に搭載される車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記表示手段を非表示にさせた状態で、前記車両の運転を開始すべくイグニッションをON状態とする前に乗員が前記車両のエンジンが動作していない状態で前記車両を移動させる操作したこと検出すると、前記表示手段に開始演出表示をさせる
ことを第1の特徴とする。
【0007】
第1の特徴と有する本発明に係る車両用表示装置の
前記制御手段は、前記車両の走行速度、前記車両の操舵角度、前記車両の燃料タンク内に搭載された燃料の液面の位置、少なくとも1つの変化によって前記操作を検出する
ことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、イグニッションをONする前に斬新な印象を与える表示を行う車両用表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態である車両用表示装置が搭載される車両を示す図。
図2】同車両用表示装置の正面図。
図3】同車両用表示装置の電気的構成図。
図4】同車両用表示装置の表示手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
本発明に係る車両用表示装置1は、図1に示すようなドアの無い自動二輪車(車両)Bに搭載され、図2に示す表示手段2に車両の走行速度や残燃料量などの車両情報を表示する計器である。
【0012】
車両用表示装置1は、図3に示すように、表示手段2と、イグニッションスイッチ30と、速度センサ31と、舵角センサ32と、液面センサ33と、傾きセンサ34と、着座センサ35と、スタンドスイッチ36と、電子キー検出手段37と、制御手段4と、から主に構成される。また、車両用表示装置1は、乗員が携帯している携帯電話38と無線通信する。
【0013】
表示手段2は、例えば、薄膜トランジスタ型カラー液晶表示器や有機EL表示器などである。
【0014】
イグニッションスイッチ30は、イグニッションスイッチの状態を検出する。イグニッションスイッチ30が検出する状態は、ハンドル位置を固定する施錠(LOCK)状態と、エンジンを停止させるOFF状態と、エンジンを始動させるON状態の3状態である。
【0015】
速度センサ31は、車両Bの走行速度を検出する。
【0016】
舵角センサ32は、車両Bのハンドルの操舵角度を検出する。
【0017】
液面センサ33は、車両Bの燃料タンク内に搭載された燃料の液面の位置を検出する。液面センサ33は、例えば、車両Bの燃料タンク内に収容された燃料の液面と共に上下するフロートセンサである。
【0018】
傾きセンサ34は、車両Bの傾きを検出する。
【0019】
着座センサ35は、車両Bの乗車シートに圧力が加わった際にONとなるスイッチであり、車両Bのシートに乗員が乗ったことを検出する。
【0020】
スタンドスイッチ36は、車両Bを自立させるスタンドの状態を検出する。スタンドスイッチ36は、スタンドの展開状態(車両Bを自立させている状態)と格納状態(車両Bを自立させていない状態)とを検出する。スタンドは、例えば、車両Bを起こすと自動的に車体へ格納されるオートリターンスタンドである。
【0021】
電子キー検出手段37は、イグニッションスイッチ30の鍵穴に挿入される電子キーが車両Bに所定範囲内に入ったことを検出する。
【0022】
携帯電話38は、音楽再生アプリケーションや、経路案内アプリケーションなどの種々のアプリケーションを有する電話端末である。携帯電話38は、BLUETOOTH(登録商標)通信機能を有し、制御手段4とペアリングし、ペアリングした通信相手に対し、音楽情報や経路案内情報を送信する。
【0023】
制御手段4は、車両用表示装置1全体の主な制御を行う。制御手段4は、例えば、CPUと、CPUが動作させるプログラムおよび表示手段2に表示させる各種画像データを格納するメモリと、時間を計時するタイマと、を有するマイクロコントローラが実装された回路基板である。
【0024】
制御手段4は、イグニッションスイッチ30、速度センサ31、舵角センサ32、液面センサ33、傾きセンサ34、着座センサ35、スタンドスイッチ36、電子キー検出手段37、の少なくとも1つの検出値の変化によって、駐車した車両Bを運転開始すべく乗員が車両Bを操作したことを検出する。
【0025】
乗員は車両Bを駐車する際に、イグニッションスイッチ30をOFF状態にしてエンジンを止めて運転を終えると、イグニッションスイッチ30をLOCK状態にしてハンドルロックし、スタンドの展開状態して車両Bを自立させ、電子キーをイグニッションスイッチ30から抜いて電子キーを持って車両Bから離れることが想定できる。
【0026】
また、車両Bから離れた乗員が車両Bのイグニッションスイッチ30をOFF状態からON状態へと始動させて運転開始する前には、電子キーを持って車両Bに近づき、イグニッションスイッチ30に電子キーを挿入してLOCK状態からOFF状態へと切り替えてハンドルロックを解除し、ハンドルを持って車両Bを起こし、場合によっては車両Bを手で押して方向転換しつつ移動し、シートに座って運転を開始するという手順をとることが想定できる。制御手段4は、車両Bの所定範囲内に電子キーが入ったこと、車両Bのハンドルロックが解除されたこと、車両Bが自立状態から解除されたこと、車両Bが移動されたこと、車両Bに乗員が着座したこと、を駐車した車両Bを運転開始すべく乗員が車両Bを操作したこととして検出する。
これらの操作について、電子キーを持って車両Bに近づいたことは、電子キー検出手段37で検出できる。イグニッションスイッチ30に電子キーを挿入してLOCK状態からOFF状態へと切り替えてハンドルロックを解除したことは、イグニッションスイッチ30で検出できる。ハンドルを持って車両Bを起こしたことは、液面センサ33の変化や傾きセンサ34やスタンドスイッチ36で検出できる。車両Bを手で押して方向転換しつつ移動したことは、速度センサ31や舵角センサ32や液面センサ33の変化で検出できる。シートに座ったことは、着座センサ35で検出できる。
【0027】
制御手段4は、表示手段2を表示制御するモードとして、車両Bの走行速度や残燃料量を表示手段2に表示させる通常表示モードと、表示手段2を非表示にさせる非表示モードと、通常表示モードから非表示モードへと遷移する前の終了演出表示を表示手段2にさせる終了演出表示モードと、非表示モードから通常表示モードへと遷移する前の開始演出表示を表示手段2にさせる開始演出表示モードと、を有する。これら各モードの遷移について、図4を参照して詳述する。
【0028】
(時刻T0)
制御手段4は、イグニッションスイッチ30がON状態となりエンジンが動作しているとき、通常表示モードとなっている。通常表示モード時は、速度センサ31が検出した車両Bの走行速度や、液面センサ33が検出した残燃料量や、携帯電話38から送信された音楽情報や経路案内情報を表示する。
【0029】
(時刻T1)
制御手段4は、イグニッションスイッチ30がON状態からOFF状態へと切り替わると、通常表示モードから終了演出表示モードへと遷移する。この終了演出モードは、表示手段2に「GoodBye」などの文字を表示させるとともに、表示手段2を非表示とするための準備処理を行う。
【0030】
(時刻T2)
制御手段4は、終了演出表示モードを終えると、表示手段2を非表示とする非表示モードへと遷移する。
【0031】
(時刻T3)
制御手段4は、非表示モードにあるときに、駐車した車両Bを運転開始すべく乗員が車両Bを操作したことを検出すると、非表示モードから開始演出表示モードへと遷移する。この開始演出表示モードは、表示手段2に「Welcome」などの文字を所定時間表示させて、車両用表示装置1が起動した旨を表示するものである。制御手段4は、開始演出表示モードの表示を終えると通常表示モードへと遷移する。
【0032】
(時刻T4)
制御手段4は、イグニッションスイッチ30がON状態となると、開始演出表示モードの表示が途中であっても、通常表示モードへと遷移する。
【0033】
以上のように、上述した車両用表示装置1は、表示手段2と、表示手段2に車両情報を表示させる制御手段4と、を備えたドアの無い車両Bに搭載される車両用表示装置1であって、制御手段4は、表示手段2を非表示にさせた状態で、車両Bの運転を開始すべくイグニッションをON状態とする前に乗員が車両Bに所定操作したこと検出すると、表示手段2に開始演出表示をさせる。
これによれば、ドアの無い車両Bであっても、車両Bの運転を開始すべくイグニッションをON状態とする前に斬新な印象を与える表示ができる。
【0034】
以上、本発明の一実施形態を説明した。本発明は上述した実施形態(図面の内容を含む)によって限定されるものではない。本発明の主旨に従う範囲で、上記の実施形態に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 :車両用表示装置
2 :表示手段
30 :イグニッションスイッチ(IGN)
31 :速度センサ
32 :舵角センサ
33 :液面センサ
34 :傾きセンサ
35 :着座センサ
36 :スタンドスイッチ
37 :電子キー検出手段
38 :携帯電話
B :自動二輪車(車両)
図1
図2
図3
図4