特許第6544576号(P6544576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6544576バケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544576
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】バケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20190705BHJP
   B65G 17/30 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B65G17/12 H
   B65G17/30 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-222235(P2015-222235)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-88350(P2017-88350A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】谷口 潤之介
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−133613(JP,U)
【文献】 実開平4−44212(JP,U)
【文献】 実開昭57−85512(JP,U)
【文献】 特開昭59−172319(JP,A)
【文献】 特開2001−19142(JP,A)
【文献】 実開昭55−74713(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/12
B65G 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部プーリを軸支する上部ケーシングと下部プーリを軸支する下部ケーシングと、これら上下のケーシング間に上昇用と下降用の各中間ケーシングを設け、前記上下のプーリ間に掛け渡される無端帯に複数のバケットを装着し、前記下部ケーシングの上端面には前記上昇用と下降用の中間ケーシング間に中間開口部を形成し、さらに、前記下部ケーシング内にあって前記下部プーリの直上には該下部プーリの軸方向と直交する稜線を有する山形状の屋根部材を設けてなるバケットエレベータにおいて、
前記屋根部材の平面視ほぼ中央部に点検用開口部を設けるとともに、該点検用開口部には該点検用開口部を覆う山形状のカバー板を開閉可能に装着したことを特徴とするバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置。
【請求項2】
前記山形カバー板は、蝶番によって回動可能に装着してなる請求項1のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置。
【請求項3】
前記屋根部材には該屋根部材を前記下部ケーシング内に固定するためのブラケット部を設けてなる請求項1又は2のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置。
【請求項4】
前記ブラケット部は前記屋根部材に着脱可能に設けてなる請求項3のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置。





























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒等のバケットエレベータに係り、特に、バケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦長状のケーシング内の上下にプーリを設け、該上下プーリによって回動する無端状のバケットベルト等に装着された多数のバケットによって穀粒等を上方に搬送するバケットエレベータは周知である。また、この種のバケットエレベータにおいて、揚穀される穀粒の一部が、バケットからこぼれ落ちて下部プーリとバケットベルトの間に挟まれて破砕されるのを防ぐために、下部プーリの直上に山形状の屋根部材を設けることも周知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記屋根部材は、屋根部の稜線方向を、前記バケットベルトの上昇側と下降側との間にあって、下部プーリの取付軸に直交するように位置させて設けられ、振動等によって前記上昇側及び下降側バケットベルトの間を落下する穀粒が、バケットベルトと下部プーリとの間に挟まれないように、屋根部材の稜線から延びる両傾斜面によって前記下部プーリの両軸受側に誘導するよう構成される。
【0004】
このような屋根部材を設けることによって破砕穀粒の発生が防止されるのであるが、他方で、前記下部プーリの表面を清掃する際には、下部プーリを露出させるために前記屋根部材を一時的に取り外す必要がある。特許文献1においては、屋根部材を固定する長尺状の支持板をバケットエレベータの下部ケーシング内から引き抜くために、下部ケーシングとその上部のケーシングとを分割しなければならない。
【0005】
また、前記屋根部材を下部ケーシングの側板にボルト・ナット等で固定する場合にあっては、下部ケーシングに設けた掃除用開口部等から前記屋根部材を引き出すか、下部ケーシング内から下部プーリ自体を取り出さなけらばならないが、このような作業は非常に煩わしく時間を要した。
【0006】
一方、特許文献2には、下部ケーシングにおける下部プーリの取付軸の軸受が設けられる向かい合う一対の壁面にそれぞれ開口部を設けるとともに、山形状の屋根部材を稜線に沿って二分割可能に形成し、二分割した各屋根部材を前記各開口部を覆う各蓋部材にそれぞれ固定することにより、前記一対の蓋部材を取り外すことで屋根部材を共に取り出して下部プーリの周縁部を開放し、下部プーリの掃除やメンテナンスを容易に行うことができるバケットエレベータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−68446号公報
【特許文献2】特開2015−134671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に記載の下部プーリの清掃手段は、下部ケーシングに設けた一対の開口を閉塞する蓋部材を着脱自在に設けることにより屋根部材を容易に取出し、かつ、組付けることができる。しかし、特許文献2における清掃手段は、構造が複雑でありコスト高が避けられないという問題がある。
そこで、本発明は、前記屋根部材を備えたバケットエレベータであっても、より簡潔な構成により下部プーリの清掃やメンテナンスを容易に行うことができるバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置は、
上部プーリを軸支する上部ケーシングと下部プーリを軸支する下部ケーシングと、これら上下のケーシング間に上昇用と下降用の中間ケーシングを設け、前記上下のプーリ間に掛け渡される無端帯に複数のバケットを装着し、前記下部ケーシングの上端面には前記上昇用と下降用の中間ケーシング間に中間開口部を形成し、さらに、前記下部ケーシング内にあって前記下部プーリの直上には該下部プーリの軸方向と直交する稜線を有する屋根部材を設けてなるバケットエレベータにおいて、
前記屋根部材の平面視ほぼ中央部に点検用開口部を設けるとともに、前記点検用開口部には該点検用開口部を覆う山形状のカバー板を開閉可能に装着したことを特徴とするものである。
【0010】
前記カバー板は、蝶番によって回動可能に装着するとよい。
【0011】
前記屋根部材下端部には該屋根部材を前記下部ケーシング内に固定するためのブラケット部を設けることができる。
【0012】
前記ブラケット部は、前記屋根部材に着脱可能に設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置によれば、下部ケーシング上端面の中間開口部から手を差し入れて、前記屋根部材の山形カバー板を取り外して点検用開口部を開口することにより下部プーリを露出することができるので、屋根部材全体を下部ケーシング内から取り出す必要がなく、下部プーリに付着した糠や塵埃等を容易に取り除くことができる。
【0014】
前記山形カバー板に蝶番を設けることにより、該山形カバー板の開閉が容易になる。
【0015】
前記屋根部材にはブラケット部を設けるので該屋根部材を下部ケーシング内に容易に固定することができる。
【0016】
さらに、前記ブラケット部を着脱可能に設けることにより、該屋根部材を後付する場合などにおいて、ブラケット部等を分割することにより、前記中間開口部が小さくても、前記屋根部材を前記中間開口部を経て下部ケーシング内に出し入れすることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】バケットエレベータの正面図。
図2】同上バケットエレベータの下部ケーシングの拡大正面図。
図3】同上の下部ケーシングの平面図。
図4】同上の下部ケーシングの右側面図。
図5】同上の下部ケーシングの斜視図。
図6】屋根部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はバケットエレベータの正面図を示す。
本発明の実施の形態におけるバケットエレベータ1は、上部ケーシング2、上昇用の中間ケーシング3A、下降用の中間ケーシング3B及び下部ケーシング4を組付けて構成される。そして、前記上部ケーシング2内には上部プーリ5が、前記下部ケーシング4内には下部プーリ6が、それぞれ軸支される。
なお、前記中間ケーシング3A,3Bは、それぞれ複数のケーシングを上下に組付けて構成されることもある。
【0019】
前記上部プーリ5と前記下部プーリ6との間には、複数のバケット8が等間隔に装着された無端状のバケットベルト7が掛け渡されるとともに、該バケットベルト7は前記上部ケーシング2、下部ケーシング4及び中間ケーシング3A,3B内に回動自在に挿通される。
また、前記下部ケーシング4には穀粒等の被搬送物の供給部15が形成され、前記上部ケーシング2には被搬送物の排出部16が形成されている。そして、前記上部ケーシング2には、駆動プーリである前記上部プーリ5にスプロケットやチェーン(いずれも図示せず。)を介して動力を伝達するための減速機付モータ9が設置される。
【0020】
前記バケットエレベータ1は、前記モータ9により前記バケットベルト7を駆動することで、前記供給部15から供給される被搬送物を前記バケット8によってすくい上げて上方へ搬送し、前記被搬送物を前記排出部16から排出する。
【0021】
図2は、前記下部ケーシング4の拡大正面図、図3は前記下部ケーシング4の平面図、図4は前記下部ケーシング4の右側面図、図5は前記下部ケーシング4の斜視図をそれぞれ示す。なお、図4及び図5において供給部15は図示を省略してある。
【0022】
前記下部ケーシング4の底面は円弧状に形成され、下部ケーシング4底部は脚部材10によって支持される。下部ケーシング4内には、無端状の前記バケットベルト7の下端部を掛回する下部プーリ6が、下部軸11を介して下部ケーシング4の一対の側板間に軸受12A,12Bによって軸支される。また、前記下部ケーシング4の上端面にあって、前記中間ケーシング3A,3Bの中間部には中間開口部13と該中間開口部13を開閉する蓋板14が設けられる。前記中間開口部13は、少なくとも片手が挿通できる大きさとする。
【0023】
一方、前記上部プーリ5も、前記下部プーリ6と同様に、上部ケーシング2の一対の側板間に一対の軸受(図示せず。)によって軸支され、前記バケットベルト7の上端部が掛回される。これにより、モータ9の駆動によって、上部プーリ5と下部プーリ6間に掛回された前記バケットベルト7が、上昇用の中間ケーシング3Aから上部ケーシング2、下降用の中間ケーシング3B及び下部ケーシング4内を回転・移動する。
【0024】
次に、前記下部ケーシング4内に装着される屋根部材17について説明する。前記屋根部材17は一対の傾斜面18A、18Bからなる山形に形成される。また、前記屋根部材17は、これら傾斜面18A、18Bの各上端縁が合わさる頂部19の稜線方向が前記下部軸11の軸方向と直交するように、すなわち、上昇側と下降側のバケットベルト7間に前記稜線方向の両端面を接するように位置させて、前記下部プーリ6の直上に配設される。
【0025】
前記一対の傾斜面18A、18Bには前記頂部19を挟んで点検用開口部20を設ける。前記点検用開口部20は、少なくとも片手が入る大きさとする。そして、前記点検用開口部20を覆うように山形カバー板21を装着する。前記山形カバー板21は、前記一対の傾斜面18A、18Bに対して着脱可能となるように蝶番22とボルト23とで装着する。前記山形カバー板21の装着手段としては、前述の蝶番22とボルト23に限らず、適宜な手段が選択できる。前記頂部19には前記山形カバー板21を開閉させるための取っ手24を設けるとよい。
【0026】
前記屋根部材17には、該屋根部材17を前記下部ケーシング4内に固着するため一対のブラケット部25A,25Bを設ける。すなわち、前記一対の傾斜面18A、18Bの各下端縁から延出して一対のブラケット部25A,25Bをそれぞれ設ける。その際、前記各ブラケット部25A,25Bは前記傾斜面18A、18Bに対して着脱可能となるようボルト26等で固着する。
【0027】
前記各ブラケット部25A,25Bの水平方向両端部には前記下部ケーシング4内壁面に向けて折曲して形成した突出部27をそれぞれ設ける。そして、前記突出部27を前記下部ケーシング4の両内壁面に当接させて固着すべく、前記突出部27をボルト28等によって前記下部ケーシング4の軸受12A,12B側の両壁面に螺着する。
前記屋根部材17を前記突出部24を介して前記下部ケーシング4内に固定することにより、前記下部ケーシング4の内壁面と前記屋根部材17との間にスペース29が形成されることとなり、前記一対の傾斜面18A、18Bに沿って流下する穀粒等が前記スペース29を経て前記下部ケーシング4底部に落下する。
【0028】
本発明の実施の形態では、前記一対の傾斜面18A,18Bを一体に形成しているが、前記一対の傾斜面18A,18Bの各上端縁が合わさる頂部19を分割可能に形成してもよく、この場合は、前記点検用開口部は前記傾斜面18A,18Bのいずれか一方に設けてもよい。
【0029】
次に、上述の本発明の実施の形態において、下部ロール6を清掃やメンテナンスを行う場合について説明する。
下部ケーシング4上端中央部の蓋板14を取り外して中間開口部13を露出させ、該中間開口部13から手を差し入れ、山形カバー板21を固定するボルト23を螺脱するとともに、取っ手24を握って前記山形カバー板21を蝶番22を中心に上方へ回動し、点検用開口部20を開口させ、前記下部ロール6を露出させる。
【0030】
前記点検用開口部20から手を挿入することにより下部ロール6の清掃やメンテナンスが可能となる。
また、前記屋根部材17を既存のバケットエレベータへ新たに装着する場合、前述のように蓋板14を取り外して前記中間開口部13から前記屋根部材17を下部ケーシング4内へ挿入するのであるが、前記開口部13が小さい場合等においては、前記一対のブラケット部25A,25Bを前記傾斜面18A,18Bから分割した後に別々に挿入し、前記下部ケーシング4内で再度組付けることで作業を円滑に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のバケットエレベータにおける下部プーリ清掃装置においては、簡単かつ安価な構成により下部プーリの清掃等が可能となり、作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0032】
1 バケットエレベータ
2 上部ケーシング
3A 中間ケーシング
3B 中間ケーシング
4 下部ケーシング
5 上部プーリ
6 下部プーリ
7 バケットベルト
8 バケット
9 モータ
10 脚部材
11 下部軸
12A 軸受
12B 軸受
13 中間開口部
14 蓋板
15 供給部
16 排出部
17 屋根部材
18A 傾斜面
18B 傾斜面
19 頂部
20 点検用開口部
21 山形カバー板
22 蝶番
23 ボルト
24 取っ手
25A ブラケット部
25B ブラケット部
26 ボルト
27 突出部
28 ボルト
29 スペース
























図1
図2
図3
図4
図5
図6