特許第6544661号(P6544661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544661
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ロールプレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 3/00 20060101AFI20190705BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20190705BHJP
   F16C 13/04 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B30B3/00 B
   H01M4/04 Z
   F16C13/04
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-181858(P2017-181858)
(22)【出願日】2017年9月22日
(65)【公開番号】特開2018-58113(P2018-58113A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2016-197676(P2016-197676)
(32)【優先日】2016年10月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115005
【氏名又は名称】ユースエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】三好 邦尚
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/199523(WO,A1)
【文献】 特許第5054143(JP,B2)
【文献】 特許第4735029(JP,B2)
【文献】 特開2000−694(JP,A)
【文献】 特許第3653913(JP,B2)
【文献】 実用新案登録第2602187(JP,Y2)
【文献】 特許第3267670(JP,B2)
【文献】 特開平2−72352(JP,A)
【文献】 特開平2−72351(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第2102014(DE,A1)
【文献】 国際公開第2018/25476(WO,A1)
【文献】 特許第6027701(JP,B1)
【文献】 特許第5797171(JP,B2)
【文献】 特許第5785918(JP,B2)
【文献】 特許第5328876(JP,B2)
【文献】 米国特許第3445070(US,A)
【文献】 実公昭56−39626(JP,Y2)
【文献】 特開昭47−14762(JP,A)
【文献】 特公昭32−6330(JP,B1)
【文献】 特許第5411371(JP,B1)
【文献】 特開2011−131272(JP,A)
【文献】 特許第5097863(JP,B1)
【文献】 特許第6025621(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 3/00
F16C 13/04
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質を塗工して乾燥させた電極を挟み込んでプレスする上ロール及び下ロールと、
前記上ロールの上ロール軸を回転可能に支持する上ロール軸受と、
前記下ロールの下ロール軸を回転可能に支持する下ロール軸受と、
前記上ロール軸受の両外側に配置される上ベンド軸受箱と、
前記下ロール軸受の両外側に配置される下ベンド軸受箱と、
前記下ロール軸受を移動させて前記電極に対するプレス荷重を発生させるプレスシリンダーと、
前記上ベンド軸受箱と前記下ベンド軸受箱とを離間させる方向に荷重を加えるベンドシリンダーと
を有するロールプレス装置であって、
前記上ロール軸に下方から当接させる2つの上サポートローラと、
前記下ロール軸に上方から当接させる2つの下サポートローラと、
前記上サポートローラに上方への荷重を加える上サポート付加手段と、
前記下サポートローラに下方への荷重を加える下サポート付加手段と
を備えたことを特徴とするロールプレス装置。
【請求項2】
前記下サポート付加手段を前記下ロール軸受に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のロールプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質を塗工して乾燥させた電極をロール間に挟み込んで連続プレスするロールプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、ロールプレス装置の問題点を説明するための構成図である。
上ロール10の上ロール軸11は上ロール軸受12によって支持され、下ロール20の下ロール軸21は下ロール軸受22によって支持される。上ロール軸受12は固定架台13に固定され、下ロール軸受22はプレスシリンダー23によってプレス荷重が加わる。
この場合には、上ロール軸11及び下ロール軸21には、図示のようなたわみを生じるため、電極を均一にプレスできない。
図4は、従来例によるロールプレス装置を示す構成図である(例えば特許文献1)。
図4は、図3に示すたわみを無くすために、上ロール軸受12に上ベンド軸受箱14を、下ロール軸受22に下ベンド軸受箱24を設け、ベンドシリンダー30によって上ベンド軸受箱14と下ベンド軸受箱24とに荷重を加えている。
図5は、他の従来例によるロールプレス装置を示す構成図である(例えば特許文献2)。
図5は、特に低線圧でのプレス時には、ベンドシリンダー30によるたわみ補正が十分でないために、上ロール10の自重を相殺するためのプレロードシリンダー40を設けている。
また、特許文献3から特許文献6にも、軸方向のたわみを少なくする構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−214617号公報
【特許文献2】特開2013−99775号公報
【特許文献3】特開昭57−68206号公報
【特許文献4】特開平11−260356号公報
【特許文献5】特開2000−133251号公報
【特許文献6】特開2011−189370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献6で提案されている構成によれば、軸方向のたわみを少なくすることができる。
しかし、これらの特許文献で提案されている構成では、上ロール軸受12及び下ロール軸受22が、軸受の構造として有する隙間によって生じるがたつきを有効に防止することはできない。
図6は、軸受の隙間を示す説明図である。
図6は、下ロール軸受22にプレスシリンダー23によってプレス荷重が加わった状態を示している。下ロール軸受22が上方へ移動することで、下ロール軸21は下ベンド軸受箱24内で下方に押しつけられる。
しかし、下ロール軸21の上方には隙間を生じるため、下ロール軸21は図示矢印の方向の振れ、すなわち横振れを生じてしまい、例えば、特許文献2で示されているように、横ブレによってプレス方向にミクロンオーダーの影響を与えてしまう可能性がある。
特に、近年では、電極の厚みは、±2μm〜±1μm以下の精度が要求されるため、軸受の構造として有する隙間によって生じるがたつきを防止する必要がある。
【0005】
そこで本発明は、軸受の構造として有する隙間によって生じる上ロール軸及び下ロール軸の横揺れを防止でき、電極を高精度に均一にプレスできるロールプレス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のロールプレス装置は、活物質を塗工して乾燥させた電極を挟み込んでプレスする上ロール及び下ロールと、前記上ロールの上ロール軸を回転可能に支持する上ロール軸受と、前記下ロールの下ロール軸を回転可能に支持する下ロール軸受と、前記上ロール軸受の両外側に配置される上ベンド軸受箱と、前記下ロール軸受の両外側に配置される下ベンド軸受箱と、前記下ロール軸受を移動させて前記電極に対するプレス荷重を発生させるプレスシリンダーと、前記上ベンド軸受箱と前記下ベンド軸受箱とを離間させる方向に荷重を加えるベンドシリンダーとを有するロールプレス装置であって、前記上ロール軸に下方から当接させる2つの上サポートローラと、前記下ロール軸に上方から当接させる2つの下サポートローラと、前記上サポートローラに上方への荷重を加える上サポート付加手段と、前記下サポートローラに下方への荷重を加える下サポート付加手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のロールプレス装置において、前記下サポート付加手段を前記下ロール軸受に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロールプレス装置によれば、プレスシリンダーの荷重によって生じるロール軸受とロール軸との接触点、及び2つのサポートローラとロール軸との2つの接触点による3つの接触点によってロール軸を支持するため、ロール軸の横揺れを防止でき、電極を高精度に均一にプレスできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例によるロールプレス装置を示す構成図
図2】本発明の他の実施例によるロールプレス装置を示す要部構成図
図3】ロールプレス装置の問題点を説明するための構成図
図4】従来例によるロールプレス装置を示す構成図
図5】他の従来例によるロールプレス装置を示す構成図
図6】軸受の隙間を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるロールプレス装置は、上ロール軸に下方から当接させる2つの上サポートローラと、下ロール軸に上方から当接させる2つの下サポートローラと、上サポートローラに上方への荷重を加える上サポート付加手段と、下サポートローラに下方への荷重を加える下サポート付加手段とを備えたものである。本実施の形態によれば、上ロール軸受及び下ロール軸受が、軸受の構造として有する隙間によって生じる上ロール軸及び下ロール軸の横揺れを防止でき、電極を高精度に均一にプレスできる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるロールプレス装置において、下サポート付加手段を下ロール軸受に取り付けたものである。本実施の形態によれば、プレスシリンダーによって下ロール軸受を移動させても、下サポート付加手段が下ロール軸受とともに移動するため、下サポート付加手段をプレスシリンダーの移動と別に調整する必要がない。
【実施例】
【0011】
以下本発明の一実施例によるロールプレス装置について説明する。
図1は本実施例によるロールプレス装置を示す構成図である。
本実施例によるロールプレス装置は、上ロール10と下ロール20との間に、活物質を塗工して乾燥させた電極を挟み込んで連続プレスする。
上ロール10の上ロール軸11は、上ロール10の両端に配置される一対の上ロール軸受12によって回転可能に支持される。上ロール軸受12は、軸受ベアリングホルダー12aと軸受ベアリング12bとで構成される。軸受ベアリングホルダー12aは、固定架台13に固定される。また、上ロール10の上ロール軸11は、上ロール軸受12の両外側に配置される上ベンド軸受箱14によって回転可能に支持される。
【0012】
下ロール20の下ロール軸21は、下ロール20の両端に配置される一対の下ロール軸受22によって回転可能に支持される。下ロール軸受22は、軸受ベアリングホルダー22aと軸受ベアリング22bとで構成される。軸受ベアリングホルダー22aには、プレスシリンダー23が取り付けられている。プレスシリンダー23は、下ロール軸受22を移動させて電極に対するプレス荷重を発生させる。また、下ロール20の下ロール軸21は、下ロール軸受22の両外側に配置される下ベンド軸受箱24によって回転可能に支持される。
【0013】
上ベンド軸受箱14と下ベンド軸受箱24には、ベンドシリンダー30を取り付けている。ベンドシリンダー30は、上ベンド軸受箱14と下ベンド軸受箱24とを離間させる方向に荷重を加える。
【0014】
上ロール軸11には、2つの上サポートローラ15a、15bを下方から当接させている。2つの上サポートローラ15a、15bは、一対の上ロール軸受12の外側で、一対の上ベンド軸受箱14の内側に配置する。2つの上サポートローラ15a、15bは、サポートローラガイド15cに軸支されている。サポートローラガイド15cには、上サポート付加手段としての上サポートシリンダー15dが取り付けられている。上サポートシリンダー15dは、上サポートローラ15a、15bに上方への荷重を加える。上サポートシリンダー15dは、上ロール軸受12に取り付けている。
【0015】
下ロール軸21には、2つの下サポートローラ25a、25bを上方から当接させている。2つの下サポートローラ25a、25bは、一対の下ロール軸受22の外側で、一対の下ベンド軸受箱24の内側に配置する。2つの下サポートローラ25a、25bは、サポートローラガイド25cに軸支されている。サポートローラガイド15cには、下サポート付加手段としての下サポートシリンダー25dが取り付けられている。下サポートシリンダー25dは、下サポートローラ25a、25bに下方への荷重を加える。下サポートシリンダー25dは、下ロール軸受22に取り付けている。
【0016】
図2は他の実施例によるロールプレス装置を示す要部構成図である。図1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
本実施例では、上サポート付加手段として、図1に示す上サポートシリンダー15dに代えて上サポートバネ15eを、下サポート付加手段として、図1に示す下サポートシリンダー25dに代えて下サポートバネ25eを用いている。
本実施例で示すように、上サポート付加手段及び下サポート付加手段としては、シリンダー機構に代えてバネ機構を用いることができる。
【0017】
本発明の実施例によれば、上ロール軸受12及び下ロール軸受22が、軸受の構造として有する隙間によって生じる上ロール軸11及び下ロール軸21の横揺れを防止できる。すなわち、上ロール軸11は、プレスシリンダー23の荷重によって上ロール軸受12と1つの接触点を有し、更に2つの上サポートローラ15a、15bと2つの接触点を有することで、3つの接触点によって支持されるため、横揺れを生じない。また、下ロール軸21は、プレスシリンダー23の荷重によって下ロール軸受22と1つの接触点を有し、更に2つの下サポートローラ25a、25bと2つの接触点を有することで、3つの接触点によって支持されるため、横揺れを生じない。
また本発明の実施例によれば、プレスシリンダー23によって下ロール軸受22を移動させても、下サポート付加手段25d、25eが下ロール軸受22とともに移動するため、下サポート付加手段25d、25eをプレスシリンダー23の移動と別に調整する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によるロールプレス装置によれば、電極を高精度に均一にプレスできる。
【符号の説明】
【0019】
10 上ロール
11 上ロール軸
12 上ロール軸受
12a 軸受ベアリングホルダー
12b 軸受ベアリング
14 上ベンド軸受箱
15a、15b 上サポートローラ
15c サポートローラガイド
15d 上サポート付加手段(上サポートシリンダー)
15e 上サポート付加手段(上サポートバネ)
20 下ロール
21 下ロール軸
22 下ロール軸受
22a 軸受ベアリングホルダー
22b 軸受ベアリング
23 プレスシリンダー
24 下ベンド軸受箱
25a、25b 下サポートローラ
25c サポートローラガイド
25d 下サポート付加手段(下サポートシリンダー)
25e 下サポート付加手段(下サポートバネ)
30 ベンドシリンダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6