特許第6544781号(P6544781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6544781
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ごみ焼却施設の臭気低減装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20190705BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   F24F9/00 G
   F23G5/44 B
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-71268(P2018-71268)
(22)【出願日】2018年4月3日
【審査請求日】2018年5月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 典生
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西尾 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−14586(JP,A)
【文献】 特開2008−202918(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1342959(EP,A1)
【文献】 特開昭51−46463(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2785370(FR,A1)
【文献】 国際公開第2015/136691(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
F23G 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ運搬車が進入するプラットホームと、プラットホームに隣接してごみを一時的に貯留すると共に、プラットホームよりも温度の高いごみピットと、プラットホームとごみピットとの間に形成したごみ投入口を開閉してプラットホームとごみピット間を開放・遮断するごみ投入扉と、を備えたごみ焼却施設に設置され、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を低減するごみ焼却施設の臭気低減装置であって、前記臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部から下方へ向って空気を噴射する空気噴射部と、空気噴射部に空気を供給する空気送風部と、を備えており、前記空気噴射部から噴射される空気の流速は、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部空間においてごみピット内からプラットホーム側へ流れる臭気を含む空気の流れを下向きに変え、前記臭気を含む空気をごみ投入口の下部空間においてプラットホーム内からごみピット側へ流れる空気流に合流させ得る流速に設定されていることを特徴とするごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項2】
前記空気噴射部から噴射される空気の流速は、6〜15m/secになるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項3】
前記空気噴射部は、ごみ投入口の幅方向に沿って配設された空気ヘッダと、当該空気ヘッダにごみ投入口の幅方向に沿って一定間隔ごとに配設された複数の空気噴射口と、を備えており、前記各空気噴射口の本数及び間隔は、ごみ投入口の幅方向に亘ってエアカーテンを形成できるように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項4】
前記空気噴射部は、ごみ投入扉のプラットホーム側若しくはごみ投入扉のごみピット側の何れか一方若しくは両方に設置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項5】
前記臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放動作と連動して空気送風部を駆動させて空気噴射部から空気を噴射させ、また、ごみ投入扉が閉鎖された際に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる制御部を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項6】
前記制御部は、ごみ投入扉が閉鎖した際に一定時間経過後に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる遅延タイマを備えていることを特徴とする請求項5に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項7】
前記空気送風部は、ごみ焼却施設外に設置されてごみ焼却施設外の清浄な空気を取り込む空気取込口若しくはプラットホーム内に設置されてプラットホーム内の空気を取り込む空気取込口に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【請求項8】
前記空気噴射部、空気送風部及び風量調整部は、ごみ投入口及びごみ投入扉の数に対応して設置されていることを特徴とする請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として都市ごみや産業廃棄物等のごみを焼却処理するごみ焼却施設に設置されるものであり、ごみ焼却施設に搬入されたごみを一時的に貯留するごみピットからごみ運搬車(ここで、ごみ運搬車とは、ごみ収集車、トラック、ダンプカー等のごみを運搬できる車両のことを言う)が進入するプラットホームへの臭気の漏洩を低減できるようにしたごみ焼却施設の臭気低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、都市ごみや産業廃棄物等のごみを焼却処理するごみ焼却施設では、ごみ収集車や一般市民の所有するトラック等により搬入されて来たごみは、プラットホームからごみ投入口を通してプラットホームに隣接するごみピットに投入され、ここに一時的に貯留された後、ごみクレーンによりごみ焼却炉に投入されて焼却処理されている。
【0003】
前記ごみ焼却施設のごみピット内は、ごみから発生する臭気やごみクレーンによるごみの攪拌作用によって生じる粉じんが飛散する極めて非衛生的な場所である。
【0004】
一方、前記ごみ焼却施設のプラットホームは、作業員や一般市民が出入りする場所であるため、ごみピットからプラットホームへの臭気や粉じんの漏洩を防止する必要がある。
【0005】
そのため、プラットホームとごみピットを仕切る仕切り壁に設けたごみ投入口には、ごみピット内の臭気や粉じんがプラットホーム内に漏れないように、プラットホームとごみピットを遮断する開閉式のごみ投入扉が設置されている。このごみ投入扉は、ごみピット内へのごみ投入時以外はごみ投入口を閉鎖し、プラットホームとごみピットとを遮断している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ごみピット内の空気を押込送風機によりごみ焼却炉の燃焼用空気として吸引し、ごみピット内を負圧に保ちつつ、プラットホーム側から清浄な空気をごみピット内へ流入させることで、プラットホームへの臭気や粉じんの漏洩を防止している(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、ごみ投入口は、大型車両の投入も考慮してごみ投入口の高さや幅を決定しているため、極めて大きな開口となっており、ごみ投入扉を開閉する際に、どうしてもごみピット内の臭気がプラットホーム内へ漏洩することがある。それによる作業員の労働環境の悪化やプラットホーム内に出入りする一般市民からの苦情が寄せられることが問題となっている。
【0008】
このように、ごみ投入扉の設置やごみピット内の負圧化だけでは、臭気の漏洩防止効果が低く、他の手段との組み合わせが必要である。
【0009】
ところで、ごみ焼却施設においては、臭気等が外部へ漏洩しないように、エアカーテン装置を設置したものもある(例えば、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。
【0010】
即ち、特許文献3〜5に記載されたごみ焼却施設は、何れもエアカーテン装置をプラットホームの入口に設置し、エアカーテン装置によりプラットホームと外部とを遮断して臭気等がプラットホームから外部へ漏洩しないようにしている。
【0011】
しかしながら、プラットホームの入口にエアカーテン装置を設置したごみ焼却施設においては、プラットホームから外部への臭気の漏洩を防止できるものの、ごみ投入扉を開放してごみピットへごみ投入する際に、どうしてもごみピット内の臭気がプラットホーム内へ漏洩すると言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平01−017702号公報
【特許文献2】特開2004−232881号公報
【特許文献3】実開平03−072246号公報
【特許文献4】特開2008−014586号公報
【特許文献5】特開2008−202918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ごみを一時的に貯留するごみピットからごみ運搬車が進入するプラットホームへの臭気の漏洩を低減できるようにしたごみ焼却施設の臭気低減装置を提供することにある。
【0014】
本発明者は、既設のごみ焼却施設を用いてごみ投入扉の開放時にごみピット内の臭気がプラットホーム内に漏洩するメカニズムを調査した結果、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩は、ごみピットとプラットホームとの温度差によって生じる空気の自然対流によるものであることを知見した。
【0015】
従来のごみ焼却施設においては、ごみピットからの臭気の漏洩を防止するため、ごみピット内を負圧に保っていた。そのため、ごみ投入扉を開放した際には、通常プラットホームからごみピットへ空気が流れ、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩は起こらないはずである。
【0016】
ところが、ごみピット内は、貯留するごみが腐敗する際に発生する熱によって外気よりも温度が高い状態となっている。
【0017】
一方、プラットホーム内の空気は、ごみピット内の負圧化よりごみピット内へ常に吸引されているため、プラットホーム内に常に外気が流入する状態となっており、プラットホーム内の温度は略外気の温度と同等になっている。
【0018】
その結果、ごみピットとプラットホームとでは、両者に温度差が生じていることを現場での調査により確認している。例えば、秋頃に調査すると、ごみピット内の温度は18℃、プラットホーム内の温度は12℃にそれぞれなっており、ごみピットとプラットホームとでは、6℃程度の温度差が生じていることを確認している。前記温度差は、ごみ質や季節によってある程度の差があるものと思われる。
【0019】
また、ごみ投入扉を開放した際に、ごみピットとプラットホームの温度差によりごみ投入口の上部空間では、逆流(ごみピット側からプラットホーム側への空気の流れ)が発生していることを現場での調査により確認している。
【0020】
即ち、ごみ投入扉を開放すると、図12の模式図に示すように、プラットホームからごみ投入口を通過してごみピット内に流入する空気の流れは、ごみ投入口の下部空間に行くほど速くなっており、また、ごみ投入口の上部空間(ごみ投入口の高さの1/3程度の範囲)では、逆流が発生していることを現場での調査により確認している。
【0021】
本発明者が現場での調査で得た知見を以下に示す。
(1)ごみピットとプラットホームでは、温度差が生じており、ごみピット内の温度は、 ごみ質や季節に関係なく、プラットホーム内の温度よりも高くなっている。
(2)ごみ投入扉の開放時にごみピット内の温度の高い空気がごみ投入口の上部空間から プラットホーム内に流れている(図12参照)。
(3)ごみピット内の空気より温度の低いプラットホーム内の空気は、プラットホームの 床面に近づくほど速い流速でごみピット内に流入している(図12参照)。
【0022】
以上の結果から、本発明者は、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩は、ごみピットとプラットホームとの温度差によって生じる空気の自然対流によるものであることを知見した。
【0023】
そこで、本発明者は、ごみ投入口の上部空間におけるごみピットからプラットホームへの空気の流れ(逆流)を遮断することで、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を低減できることを見出した。
【0024】
本発明は、本発明者の上記知見に基づいて創作されたものであり、ごみ投入扉が開放された際に、ごみ投入口の上方から下方へ向って清浄な空気の流れを作り、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を低減するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
即ち、本発明の請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、ごみ運搬車が進入するプラットホームと、プラットホームに隣接してごみを一時的に貯留すると共に、プラットホームよりも温度の高いごみピットと、プラットホームとごみピットとの間に形成したごみ投入口を開閉してプラットホームとごみピット間を開放・遮断するごみ投入扉と、を備えたごみ焼却施設に設置され、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を低減するごみ焼却施設の臭気低減装置であって、前記臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部から下方へ向って空気を噴射する空気噴射部と、空気噴射部に空気を供給する空気送風部と、を備えており、前記空気噴射部から噴射される空気の流速は、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部空間においてごみピット内からプラットホーム側へ流れる臭気を含む空気の流れを下向きに変え、前記臭気を含む空気をごみ投入口の下部空間においてプラットホーム内からごみピット側へ流れる空気流に合流させ得る流速に設定されていることに特徴がある。
【0026】
本発明の請求項2に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記空気噴射部から噴射される空気の流速は、6〜15m/secになるように設定されていることに特徴がある。
【0027】
本発明の請求項3に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1又は請求項2に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記空気噴射部は、ごみ投入口の幅方向に沿って配設された空気ヘッダと、当該空気ヘッダにごみ投入口の幅方向に沿って一定間隔ごとに配設された複数の空気噴射口と、を備えており、前記各空気噴射口の本数及び間隔は、ごみ投入口の幅方向に亘ってエアカーテンを形成できるように設定されていることに特徴がある。
【0028】
本発明の請求項4に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記空気噴射部は、ごみ投入扉のプラットホーム側若しくはごみ投入扉のごみピット側の何れか一方若しくは両方に設置されていることに特徴がある。
【0029】
本発明の請求項5に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放動作と連動して空気送風部を駆動させて空気噴射部から空気を噴射させ、また、ごみ投入扉が閉鎖された際に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる制御部を更に備えていることに特徴がある。
【0030】
本発明の請求項6に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項5に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記制御部は、ごみ投入扉が閉鎖した際に一定時間経過後に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる遅延タイマを備えていることに特徴がある。
【0031】
本発明の請求項7に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記空気送風部は、ごみ焼却施設外に設置されてごみ焼却施設外の清浄な空気を取り込む空気取込口若しくはプラットホーム内に設置されてプラットホーム内の空気を取り込む空気取込口に接続されていることに特徴がある。
【0032】
本発明の請求項8に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置は、請求項1に記載のごみ焼却施設の臭気低減装置において、前記空気噴射部、空気送風部及び風量調整部は、ごみ投入口及びごみ投入扉の数に対応して設置されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0033】
本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部から下方へ向って空気を噴射する空気噴射部を備え、当該空気噴射部から噴射される空気の流速を、ごみ投入扉の開放時にごみ投入口の上部空間においてごみピット内からプラットホーム側へ流れる臭気を含む空気の流れを下向きに変え、前記臭気を含む空気をごみ投入口の下部空間においてプラットホーム内からごみピット側へ流れる空気流に合流させ得る流速に設定しているため、逆流した臭気を含む空気がプラットホームからごみピット内に流入する空気によってごみピット内に戻されることになり、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を大幅に低減することができる。特に、空気噴射部から噴射される空気の流速を6〜15m/secに設定した場合には、臭気を含む空気が拡散・発散し難くなり、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を確実且つ良好に低減することができる。
【0034】
本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置は、空気噴射部が、ごみ投入口の幅方向に沿って配設された空気ヘッダと、当該空気ヘッダにごみ投入口の幅方向に沿って一定間隔ごとに配設された複数の空気噴射口と、を備えており、前記各空気噴射口の本数及び間隔を、ごみ投入口の幅方向に亘ってエアカーテンを形成できる本数及び間隔に設定しているため、ごみピット内からプラットホーム側へ流れる臭気を含む空気の略全てを下向きの流れに変えることができ、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩をより低減することができる。
【0035】
本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置は、ごみ投入扉の開放動作と連動して空気送風部を駆動させて空気噴射部から空気を噴射させ、また、ごみ投入扉が閉鎖された際に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる制御部を備えているため、使用電力量の削減を図ることができる。
【0036】
本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置は、制御部が、ごみ投入扉が閉鎖した際に一定時間経過後に空気送風部を停止させて空気噴射部からの空気の噴射を停止させる遅延タイマを備えているため、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を確実且つ良好に低減することができる。
【0037】
本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置は、空気噴射部、空気送風部及び風量調整部が、ごみ投入口及びごみ投入扉の数に応じてそれぞれ設置されているため、例えば、複数のごみ投入扉が同時に開放された場合でも、開放された各ごみ投入口に空気噴射部から所定の流速でもって空気を噴射することができ、ごみピットからプラットホームへの臭気の漏洩を確実且つ良好に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施形態に係る臭気低減装置を設置したごみ焼却施設のプラットホーム及びごみピットの概略平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る臭気低減装置の概略系統図である。
図3】臭気低減装置の空気噴射部を複数のごみ投入扉のプラットホーム側に設置した状態の正面図である。
図4】臭気低減装置の空気噴射部を複数のごみ投入扉のプラットホーム側に設置した状態の平面図である。
図5】臭気低減装置の空気噴射部をごみ投入扉のプラットホーム側に設置した状態の拡大縦断面図である。
図6】臭気低減装置の空気噴射部を示し、(A)は空気噴射部の平面図、(B)は空気噴射部の正面図である。
図7】臭気低減装置を設置した場合のごみ投入扉部及びごみ投入口付近の空気の流れを示す模式図であり、臭気低減装置が正常に作用している状態の模式図である。
図8】臭気低減装置を設置した場合のごみ投入扉部及びごみ投入口付近の空気の流れを示す模式図であり、空気噴射部からの空気の流速が遅すぎる場合の模式図である。
図9】臭気低減装置を設置した場合のごみ投入扉部及びごみ投入口付近の空気の流れを示す模式図であり、空気噴射部からの空気の流速が速すぎる場合の模式図である。
図10】臭気低減装置の空気噴射部の設置箇所を変更した例を示し、(A)は空気噴射部をごみ投入扉のごみピット側に設置した状態のごみ投入口付近の概略縦断面図、(B)は空気噴射部をごみ投入扉のプラットホーム側及びごみピット側の両方にそれぞれ設置した状態のごみ投入口付近の概略縦断面図である。
図11】臭気低減装置の空気噴射部の向きを変更した状態のごみ投入口付近の概略縦断面図である。
図12】従来のごみ投入扉部及びごみ投入口付近の空気の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1は本発明の実施形態に係る臭気低減装置を設置したごみ焼却施設の一部を示し、当該ごみ焼却施設は、ごみ収集車やトラック等のごみ運搬車(図示省略)が進入するプラットホーム1と、プラットホーム1に隣接してごみ運搬車から排出された都市ごみや産業廃棄物等のごみを一時的に貯留するごみピット2と、ごみピット2内のごみを掴んでごみ焼却炉(図示省略)のホッパ(図示省略)に投入するごみクレーン(図示省略)と、ごみクレーンにより投入されたごみを焼却処理するごみ焼却炉等を備えている。
【0041】
前記プラットホーム1は、複数の壁及び天井壁により外部と遮断された部屋構造に構成されており、壁の任意の箇所には、ごみ運搬車の入口3及び出口4が形成されている。前記入口3及び出口4は、自動式の開閉扉5により開閉可能となっている。
【0042】
また、プラットホーム1とごみピット2を仕切る仕切り壁6には、プラットホーム1からごみピット2内にごみを投入するためのごみ投入口7が並列状に複数設けられている。これらのごみ投入口7には、ごみピット2内の臭気や粉じんがプラットホーム1側に漏洩しないように、プラットホーム1とごみピット2を遮断し得る開閉式のごみ投入扉8がそれぞれ設置されている。これらのごみ投入扉8は、ごみ運搬車がごみ投入扉8に近づくと、このことをセンサー(図示省略)が検出して自動的に開放され、また、ごみ運搬車がごみ投入扉8から離れると、自動的に閉じるようになっている。尚、これらのごみ投入扉8は、作業員が手動で開閉するようにしても良いことは勿論である。
【0043】
更に、プラットホーム1の一部の壁には、プラットホーム1の外部の空気をごみ焼却炉の燃焼用空気としてプラットホーム1内に取り込むための空気流入口9が設けられている。
【0044】
尚、本実施形態においては、プラットホーム1とごみピット2間には、三つのごみ投入口7及び三つのごみ投入扉8が設けられている。また、三つのごみ投入扉8には、開閉速度の迅速性やシンプルな開閉機構等を考慮して観音開き式のごみ投入扉8が使用されている。これらの観音開き式のごみ投入扉8は、何れもごみピット2側へ開放されるようになっている。
【0045】
前記ごみピット2は、ごみピット2内の空気が押込送風機(図示省略)により吸引され、ごみ焼却炉の燃焼用空気としてごみ焼却炉に供給されているため、負圧に保たれている。そのため、ごみピット2内には、プラットホーム1の外部の清浄な空気が燃焼用空気として空気流入口9、プラットホーム1、開放されているごみ投入口7を経て流入することになる。その結果、開放されたごみ投入口7からごみピット2内の臭気や粉じんがプラットホーム1に漏洩し難くなっている。
【0046】
本発明の実施形態に係るごみ焼却施設の臭気低減装置10は、図2図5に示す如く、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の上部から下方へ向って空気A1を噴射する複数の空気噴射部11と、各空気噴射部11に接続された空気供給ダクト12と、空気供給ダクト12に介設されて各空気噴射部11にそれぞれ空気を供給する複数の空気送風部13と、空気供給ダクト12に介設されて各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速をそれぞれ調整する複数の風量調整部14と、各空気送風部13及び各風量調整部14をそれぞれ駆動制御する制御部15と、を備えており、前記空気噴射部11と空気送風部13と風量調整部14とは、ごみ投入口7及びごみ投入扉8の数に対応して設置されている。本実施形態では、空気噴射部11、空気送風部13及び風量調整部14は、何れも3台ずつ設置されている。
【0047】
具体的には、前記各空気噴射部11は、何れもごみ投入扉8のプラットホーム1側で且つごみ投入口7の上部空間に設置されており、ごみ投入口7の上部壁面にごみ投入口7の幅方向に沿って固定され、両端が閉塞された四角筒状の空気ヘッダ11aと、当該空気ヘッダ11aにごみ投入口7の幅方向に沿って一定間隔ごとに配設され、ごみ投入口7の上部から下方へ向って空気A1を噴射する下向きの複数の空気噴射口11bと、を備えている(図3図6参照)。
【0048】
前記空気ヘッダ11aは、各空気噴射口11bから噴射される空気A1の均等化を図るために設けられている。
【0049】
また、前記各空気噴射口11bは、ごみ投入口7にエアカーテンを形成するために設けるものであり、ごみ投入口7に形成されたエアカーテンによって、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の上部空間においてごみピット2内からプラットホーム1側へ流れる臭気を含む空気A2の流れを下向きに変えられるようになっている。従って、各空気噴射口11bの本数及び間隔は、ごみ投入口7の幅方向に亘ってエアカーテンを形成できるように設定されている。
【0050】
前記空気供給ダクト12は、各空気噴射部11に空気A1を供給するものであり、本実施形態では、ごみ焼却施設外の清浄な空気を各空気噴射部11に供給できるようになっている。即ち、空気供給ダクト12の上流側端部は、ごみ焼却施設の外部に設置された空気取込口12aに接続され、また、空気供給ダクト12の下流側端部は、空気噴射部11の数に応じて分岐されており、分岐された部分が各空気噴射部11の各空気ヘッダ11aにそれぞれ接続されている(図2参照)。
【0051】
前記各空気送風部13は、各空気噴射部11にごみ焼却施設外の清浄な空気をそれぞれ供給できるように、空気供給ダクト12の分岐部分に介設されている(図2参照)。本実施形態では、各空気送風部13は、送風機から形成されている。
【0052】
前記各風量調整部14は、各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速をそれぞれ調整するものであり、空気送風部13の下流側で且つ空気供給ダクト12の分岐部分に介設されている(図2参照)。本実施形態では、各風量調整部14は、ダンパから形成されている。各ダンパは、モータ又は流体圧シリンダ等のダンパ駆動装置(図示省略)によりその開度を変更することによって、各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速を調整できるようになっている。
【0053】
前記制御部15は、ごみ投入扉8の開放動作と連動して空気送風部13を駆動させて空気噴射部11から空気A1を噴射させ、また、ごみ投入扉8が閉鎖された際に空気送風部13を停止させて空気噴射部11からの空気A1の噴射を停止させるように構成されている。
【0054】
また、制御部15は、ごみ投入扉8が閉鎖した際に一定時間経過後に空気送風部13を停止させて空気噴射部11からの空気A1の噴射を停止させる遅延タイマ15aを備えている。
【0055】
そして、前記ごみ焼却施設の臭気低減装置10においては、各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速は、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の上部空間においてごみピット2内からプラットホーム1側へ流れる臭気を含む空気A2の流れを下向きに変え、前記臭気を含む空気A2をごみ投入口7の下部空間においてプラットホーム1内からごみピット2側へ流れる空気A3に合流させ得る流速に設定されている。
【0056】
本実施形態では、各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速は、6〜15m/secになるように設定されている。より好ましくは、各空気噴射部11から噴射される空気A1の流速は、8〜12m/secになるように設定されている。これらの値は、実プラントを用いた試験結果から決定されたものである。
【0057】
而して、上述したごみ焼却施設の臭気低減装置10によれば、ごみ運搬車により運び込まれたごみをプラットホーム1からごみピット2に投入する際にごみ投入扉8が開放されると、これと連動して制御部15が開放されたごみ投入扉8に対応する空気送風部13を運転する。
【0058】
空気送風部13が運転されると、空気送風部13によりごみ焼却施設の外部に設置した空気取込口12aから清浄な空気A1が吸引され、空気供給ダクト12を介してごみ投入扉8が開放された空気噴射部11に供給される。
【0059】
空気噴射部11に供給された清浄な空気A1は、空気ヘッダ11aから複数の空気噴射口11bに均等に供給され、複数の空気噴射口11bから下方へ噴射される。
【0060】
このとき、空気噴射口11bから噴射される空気A1の流速は、風量調整部14(ダンパ)の開度を変えることにより調整されており、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の上部空間においてごみピット2内からプラットホーム1側へ流れる臭気を含む空気A2の流れを下向きに変え、前記臭気を含む空気A2をごみ投入口7の下部空間においてプラットホーム1内からごみピット2側へ流れる空気A3に合流させ得る流速に設定されている。
【0061】
その結果、ごみピット2側からプラットホーム1側へ逆流した臭気を含む空気A2は、プラットホーム1からごみピット2内に流入する空気A3によってごみピット2内に戻されることになり、ごみピット2からプラットホーム1への臭気の漏洩を低減することができる。特に、空気噴射部11から噴射される空気A1の流速を6〜15m/secに設定した場合には、臭気を含む空気A2が拡散・発散し難くなり、ごみピット2からプラットホーム1への臭気の漏洩を確実且つ良好に低減することができる。
【0062】
ごみピット2へのごみの投入が終了すると、ごみ投入扉8が閉じる方向へ作動し、ごみ投入口7を閉鎖する。
【0063】
ごみ投入扉8が閉鎖されると、制御部15が空気送風部13を停止させて空気噴射部11からの空気A1の噴射を停止させる。そのため、使用電力量の削減を図ることができる。尚、制御部15の遅延タイマ15aを作動させ、ごみ投入扉8が閉鎖した後に一定時間だけ空気送風部13を運転しても良い。この場合には、ごみピット2からプラットホーム1への臭気の漏洩を確実且つ良好に低減することができる。
【実施例】
【0064】
以下に、本発明のごみ焼却施設の臭気低減装置10による臭気低減原理と確認試験と試験結果を示す。
[臭気低減原理]
(1)プラットホーム1側のごみ投入扉8の上部に対向する位置に本発明の臭気低減装置10を設置し、ごみ投入扉8を開いた際に臭気低減装置10の空気噴射部11から下方に向って空気A1を噴射することで、開放されたごみ投入口7の上部空間を通過してごみピット2からプラットホーム1へ漏洩しようとする臭気を含む空気A2を下方へ押し込む(図7参照)。
(2)下方へ押し込まれた臭気を含む空気A2は、プラットホーム1の床面近傍においてプラットホーム1からごみピット2へ流れる空気A3と共にごみピット2内に戻される(図7参照)。
【0065】
上述した臭気低減原理の効果を検証するため、実プラントにおいて確認試験を実施した。この確認試験は、二通りの試験(試験1と試験2)を行った。
【0066】
[試験1]
試験1においては、ごみ投入扉8の一つを90分間連続して「開放」した条件でプラットホーム1内の臭気を測定した。また、前記の条件で本発明の臭気低減装置10を停止した状態と本発明の臭気低減装置10を稼動した状態のプラットホーム1内の臭気を測定した。尚、臭気低減装置10を稼動したときには、空気噴射部11から噴射される空気A1の流速を変化させた。
【0067】
[試験2]
試験2においては、実際にごみの搬入を行っている条件でプラットホーム1内の臭気を測定した。即ち、ごみピット2へのごみ投入の際にごみ投入扉8を開閉したときのプラットホーム1内の臭気を測定した。また、本発明の臭気低減装置10を停止した状態と本発明の臭気低減装置10を稼動した状態のプラットホーム1内の臭気を測定した。
【0068】
上記の試験1と試験2の試験結果を下記の表1及び表2に示す。表1は、試験1の試験結果を示し、表2は、試験2の試験結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
上記の試験1では、本発明の臭気低減装置10を運転しない場合、ごみ投入扉8を「開放」してから90分経過後のプラットホーム1内の臭気濃度は、平均3,330程度まで上昇した(表1参照)。この臭気濃度は、臭気の発生源であるごみピット2内の臭気の50%である。
【0072】
また、上記の試験1では、本発明の臭気低減装置10を稼動することで、プラットホーム1内の臭気濃度が最大で10%程度まで低減することを確認した(表1参照)。
【0073】
更に、臭気低減装置10の空気噴射部11から噴射される空気A1の噴射流速をパラメータにし、臭気の低減効果を比較すると、空気噴射部11から噴射される空気A1の流速は、6〜15m/sec、より好ましくは8〜12m/sec程度が最も効果が高く、前記の範囲を外れると、臭気の低減効果が低下することを確認した。
【0074】
例えば、空気噴射部11からの空気A1の流速が上記流速域を下回ると、空気噴射部11から噴射された空気A1で下方へ押し込まれた臭気を含む空気A2は、プラットホーム1の床近傍においてプラットホーム1からごみピット2側へ流れる空気A3の流れに乗る前に発散し、プラットホーム1側へ流れた(図8参照)。その結果、臭気を含む空気A2は、ごみピット2からプラットホーム1側へ漏洩した。
【0075】
一方、空気噴射部11からの空気A1の流速が上記流速域を上回ると、空気噴射部11から噴射された空気A1で下方へ押し込まれた臭気を含む空気A2は、プラットホーム1の床まで到達してプラットホーム1側へ拡散し、プラットホーム1側へ流れた(図9参照)。その結果、臭気を含む空気A2は、ごみピット2からプラットホーム1側へ漏洩した。
【0076】
このように、空気噴射部11からの空気A1の噴射流速により臭気低減効果に違いが見られるため、臭気低減装置10には、噴射空気の流速を調整する機構が必要である。
【0077】
また、上記の試験2では、本発明の臭気低減装置10を稼動しない場合、ごみ投入扉8の前では、プラットホーム1の臭気濃度が160まで上昇した(ごみの搬入開始前は、プラットホーム1の臭気濃度が50であった)。特に、プラットホーム1にダンピングボックスを設置している場合には、ダンピングボックスの上方位置では、臭気濃度が1,000まで上昇した。
【0078】
上記の試験2において、本発明の臭気低減装置10を稼動することで、ごみ投入扉8の前でプラットホーム1の臭気濃度が40、ダンピングボックスの上方位置でプラットホーム1の臭気濃度が50まで低減することができ、目標とする臭気濃度(130以下)を達成することができた。尚、臭気濃度130とは、悪臭防止法で規定する敷地境界上の規制値である。
【0079】
尚、上記の実施形態においては、各空気噴射部11は、空気ヘッダ11a及び複数の空気噴射口11bから形成したが、各空気噴射部11の構成は、上記の実施形態に係るものに限定されるものではなく、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の幅方向に亘ってごみ投入口7の上部から下方へ向って空気A1を噴射することができれば、如何なる構成のものであっても良い。例えば、空気噴射部11は、図示していないが、スリット状の噴出口を有するノズルから形成しても良い。また、空気噴射部11は、図示していないが、両端が閉塞された四角筒状の空気ヘッダ11aと、当該空気ヘッダ11aにごみ投入口7の幅方向に沿って一定間隔ごとに配設され、ごみ投入口7の上部から下方へ向って空気A1を噴射する鉛直姿勢の複数の空気噴射ノズルと、から構成しても良い。
【0080】
また、上記の実施形態においては、各空気噴射部11は、プラットホーム1側で且つごみ投入口7の上部空間に設置したが、他の実施形態においては、図10(A)に示す如く、ごみピット2側で且つみ投入口の上部空間に設置しても良く、或いは、図10(B)に示す如く、プラットホーム1側及びごみピット2側の両方にそれぞれ設置するようにしても良い。但し、空気噴射部11をごみピット2側に設置する場合には、ごみ投入扉8が開放された際にごみ投入扉8と干渉しない位置に設置することは勿論である。
【0081】
更に、上記の実施形態においては、空気噴射部11から真下に向って空気A1を噴射するようにしたが、他の実施形態においては、図11に示す如く、空気噴射部11をごみピット2側へ傾けて設置し、空気噴射部11からごみピット2側へ斜め下方に向って空気A1を噴射するようにしても良い。この場合には、下向きに流れを変えた臭気を含む空気A2がごみピット2内に戻り易くなり、ごみピット2からプラットホーム1への臭気の漏洩をより一層低減することができる。
【0082】
更に、上記の実施形態においては、空気取込口12aをごみ焼却施設外に設置し、ごみ焼却施設外の清浄な空気を空気噴射部11から噴射するようにしたが、他の実施形態においては、空気取込口12aをプラットホーム1内に設置し、プラットホーム1内の空気を空気噴射部11から噴射するようにしても良い。
【0083】
更に、上記の実施形態においては、空気噴射部11から噴射される空気A1の流速を、空気供給ダクト12に介設した風量調整部14(ダンパ)の開度を変えることにより調整したが、他の実施形態においては、空気送風部13(送風機)の回転数を変えて空気噴射部11から噴射される空気A1の流速を調整するようにしても良い。この場合には、風量調整部14を省略することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 プラットホーム
2 ごみピット
7 ごみ投入口
8 ごみ投入扉
10 臭気低減装置
11 空気噴射部
11a 空気ヘッダ
11b 空気噴射口
12 空気供給ダクト
12a 空気取込口
13 空気送風部
14 風量調整部
15 制御部
15a 遅延タイマ
A1 空気噴射口からの空気
A2 臭気を含む空気
A3 プラットホームからごみピット側に流れる空気
【要約】
【課題】 ごみを貯留するごみピットからごみ運搬車が進入するプラットホームへの臭気の漏洩を低減できるようにする。
【解決手段】 ごみ運搬車が進入するプラットホーム1と、プラットホーム1に隣接してごみを一時的に貯留すると共に、プラットホーム1よりも温度の高いごみピット2と、プラットホーム1とごみピット2との間に形成したごみ投入口7を開閉してプラットホーム1とごみピット2間を開放・遮断するごみ投入扉8と、を備えたごみ焼却施設に設置され、ごみピット2からプラットホーム1への臭気の漏洩を低減するごみ焼却施設の臭気低減装置10であって、前記臭気低減装置10は、ごみ投入扉8の開放時にごみ投入口7の上部から下方へ向って空気A1を噴射する空気噴射部11と、空気噴射部11に空気A1を供給する空気送風部13と、を備えている。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12