【実施例1】
【0018】
まず、本発明であるタイルパネル支持構造の概要について説明する。
図1は、タイルパネル支持構造の全体概要を示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。なお、(a)正面図においてタイルパネルは透過した状態で示す。なお、建物の外方に向かう側を前(表)とし、内方に向かう側を後(裏)とする。また、(a)正面図において、タイルパネルは透過した状態で示す(
図2及び
図11も同様)。
【0019】
図1に示すように、建物100の壁材200には、タイルパネル400が乾式工法によって取り付けられる。壁材200は、建物100の外壁として使用される建材であり、PC(プレキャストコンクリート)板、ALC(高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート)パネル、ECP(押出成形セメント板)などを使用しても良い。壁材200は、胴縁210を下地部材としてビス220で固定される。胴縁210は、断面がC状のリップ溝形鋼(Cチャンネル)等の材軸方向に長い鋼材である。なお、壁材200の下端には水切り230を取り付けても良い。
【0020】
壁材200の前面には、複数の横フレーム300が固定され、タイルパネル400も後面には、複数の縦フレーム500が固定され、横フレーム300に縦フレーム500を掛けることにより、壁材200にタイルパネル400を取り付ける。
【0021】
横フレーム300は、横方向に延びる金具であり、壁材200の前面に上から下にかけて間欠的に複数段が配置される。横フレーム300は、タイルパネル400の上部近辺に配置される最上段と、タイルパネル400の下部近辺に配置される最下段との間には、任意の本数が配置されれば良い。また、横フレーム300は、胴縁210の位置において壁材200を固定しているビス220を利用して、壁材200に固定されれば良い。
【0022】
タイルパネル400は、1枚の大型のタイル又は複数の小型のタイルが貼着された装飾材である。タイルには、陶磁器などの板材の他に、薄いシート状にした石材も含まれる。タイルパネル400は、予めタイルを貼った状態で製造しても良いし、壁材200へ取り付ける時にタイルを貼り付けても良い。なお、タイルパネル400が大型になると、建物100が地震等の振動により歪みを生じたときに、影響を大きく受けることになる。
【0023】
縦フレーム500は、縦方向に延びる金具であり、タイルパネル400の後面に複数本が配置される。縦フレーム500は、少なくともタイルパネル400の左端と中央と右端に配置され、それらの間には任意に配置しても良い。
【0024】
縦フレーム500には、荷重受けプレート600が固定される。荷重受けプレート600は、最上段の横フレーム300が固定されている位置に合わせて、中央の縦フレーム500に取り付けられる。荷重受けプレート600は、タイルパネル400に1個あれば良い。縦フレーム500を横フレーム300に掛けたときに、荷重受けプレート600が横フレーム300の上に載る。タイルパネル400の荷重は、荷重受けプレート600に掛かり、横フレーム300との接点において一点で支持される。
【0025】
横フレーム300には、支持プレート700が固定される。支持プレート700は、少なくとも左端の縦フレーム500、中央の縦フレーム500及び右端の縦フレーム500が固定されている位置に合わせて、最上段の横フレーム300と最下段の横フレーム300に取り付けられる。また、中間の縦フレーム500が固定されている位置に合わせて取り付けても良いし、中間の横フレーム300にも取り付けても良い。縦フレーム500を横フレーム300に掛けたときに、タイルパネル400が横方向にずれないように、支持プレート700で縦フレーム500を押さえる。
【0026】
タイルパネル400には、タイルの下面を支えるためのタイル受け金具800が固定される。タイル受け金具800は、タイルが載るように、前方に突出させた金具である。タイル受け金具800は、縦フレーム500をタイルパネル400に固定しているビスを利用して、タイルパネル400の下部に固定されれば良い。
【0027】
次に、タイルパネル支持構造における上部の構造について説明する。
図2は、タイルパネル支持構造のA部(
図1において点線で囲んだ上部中央)付近を拡大した(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
【0028】
図2に示すように、タイルパネル400は、壁材200には固定されておらず、荷重受けプレート600によって一点で支持される。また、タイルパネル400は、支持プレート700によって位置がずれないように保持される。
【0029】
タイルパネル400は、マグネシウム板などの下地材420に、弾性接着剤などの接着剤430を用いて、タイル410が貼着されたものである。天然石を薄く剥がしてシート状にした石材を大きなサイズで使用する場合は、タイルパネル400のサイズもそれに合わせて大きくなる。
【0030】
下地材420の前側から後側にビスを貫通させて、下地材420の後面に縦フレーム500が固定される。縦フレーム500の後側には、ビス440aを用いて荷重受けプレート600が固定される。横フレーム300の前側には、ビス440bを用いて支持プレート700が固定される。
【0031】
図3は、タイルパネル支持構造の横フレームに縦フレームを掛けた状態を示す背面斜視図である(壁材がない状態)。
図5は、タイルパネル支持構造の縦フレームの位置に支持プレートを配した状態を示す正面斜視図である(タイルパネルがない状態)。
図4は、タイルパネル支持構造の荷重受けプレートで一点支持した状態を示す背面斜視図である(壁材がない状態)。
【0032】
図3に示すように、横フレーム300に対して、縦フレーム500が掛けられる。タイルパネル400が前後にズレないように掛かっているだけで、タイルパネル400を持ち上げれば、取り外すことが可能である。
【0033】
図4に示すように、縦フレーム500は、横フレーム300において支持プレート700が取り付けられている位置に掛けられる。なお、支持プレート700が前側、荷重受けプレート600が後側に来るように掛けられる。
【0034】
図5に示すように、横フレーム300と縦フレーム500とは奥まで嵌合している訳ではなく、横フレーム300に荷重受けプレート600が載ることで支持される。タイルパネル400の荷重は、荷重受けプレート600と横フレーム300の接点でのみ受けている。
【0035】
図6は、タイルパネル支持構造を備えた建物に(a)歪みが発生していない時の状態及び(b)歪みが発生した時の状態を示す正面図である。
図6に示すように、地震などの振動時に、建物100は高層階に行くほど揺れ幅が大きくなり、その傾きに伴う建物100の歪みによってタイルパネル400の上部と下部とで垂直方向の位置に大きくズレ240が生じる。
【0036】
壁材200とタイルパネル400とが弾性接着剤などで接着されていると、建物100に生じた歪みを弾性接着剤で吸収することができず、タイルパネル400が損傷する。そのため、タイルパネル400を壁材200に接着せず、タイルパネル400の中央にある荷重受けプレート600で揺動可能に支持する。タイルパネル400に固定された縦フレーム500が、壁材200に固定された横フレーム300の支持プレート700の位置に合うように、タイルパネル400が傾く。すなわち、建物100の傾きに追従してタイルパネル400も傾くようになる。
【0037】
各部材について説明する。
図7は、タイルパネル支持構造の横フレームを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
図8は、タイルパネル支持構造の縦フレームを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
図9は、タイルパネル支持構造の荷重受けプレートを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
図10は、タイルパネル支持構造の支持プレートを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
【0038】
図7に示すように、横フレーム300は、横方向に長い板材を、縦断面がクランク状になるように折り曲げた金具である。横フレーム300は、前側に垂立する上縦片310、後側に垂立する下縦片330、及び上縦片310の下端と下縦片330の上端を繋ぐように連設された中横片320等からなる
【0039】
上縦片310は、縦フレーム500を掛けるために壁材200から浮かした部分であり、支持プレート700も取り付けられる。中横片320は、荷重受けプレート600を載せる部分である。
【0040】
下縦片330は、壁材200に固定される部分である。下縦片330には、ルーズホール状の留孔340と円状の留孔340aとが交互に空けられ、任意の位置にビス220を通すことが可能である。
【0041】
図8に示すように、縦フレーム500は、縦方向に長い板材を、横断面がU字状になるように折り曲げた金具である。縦フレーム500は、左側の側縦片510、右側の側縦片510、及び左右両側の側縦片510の前端を繋ぐように連設された前縦片520等からなる。
【0042】
側縦片510は、横フレーム300に掛けるために、後方に突出させた部分であり、荷重受けプレート600も取り付けられる。側縦片510には、横フレーム300に掛けるための掛部530が形成される。掛部530は、横フレーム300の位置に合わせて切り欠き、上部をフック状に下垂させて、横フレーム300の上縦片310に掛けられるようにすれば良い。
【0043】
側縦片510には、掛部530の上側あたりに留孔540が空けられる。左側の側縦片510から右側の側縦片510にかけて後側を渡すように、荷重受けプレート600を取り付けるときに、ビス440aを通すことが可能である。前縦片520は、タイルパネル400に固定される部分である。
【0044】
図9に示すように、荷重受けプレート600は、板材を横断面が逆U字状になるように折り曲げた金具である。荷重受けプレート600は、左側の側縦片610、右側の側縦片610、左右両側の側縦片610の後端を繋ぐように連設された後縦片620、後縦片620から下方に突出させた突片630等からなる。
【0045】
側縦片610は、縦フレーム500に固定される部分である。左側の側縦片610と右側の側縦片610との間隔は、縦フレーム500の幅(板材の厚さを考慮した幅)となる。縦フレーム500の後側を後縦片620で塞ぐように荷重受けプレート600を被せれば良い。
【0046】
縦フレーム500の留孔540の位置に合わせて、側縦片610にもビス440aを通すための留孔660が空けられる。また、縦フレーム500を横フレーム300に掛けるための掛部530が側縦片610によって塞がれないように、側縦片610には、縦フレーム500の掛部530に合わせて、切欠き650が空けられる。
【0047】
突片630の下端には、円弧状に突出させた湾曲部640を有する。突片630の湾曲部640が横フレーム300の中横片320の上に載せられる。湾曲部640上の一点だけが横フレーム300に載っており、タイルパネル400の荷重がその一点に集中する。また、湾曲しているためタイルパネル400を傾かせることも可能である。
【0048】
なお、突片630の縦長は、縦フレーム500を横フレーム300に掛けたときに、横フレーム300の上縦片310の上端に、縦フレーム500の掛部530が載って、タイルパネル400の荷重が掛からないような長さにする。
【0049】
図10に示すように、支持プレート700は、板材を縦断面がコの字状になるように折り曲げた金具である。支持プレート700は、上側の側横片710、下側の側横片710、上下両側の側横片710の後端を繋ぐように連設された後縦片720等からなる。
【0050】
側横片710は、横フレーム300から前側に突出させる部分である。側横片710は、縦フレーム500の左側の側縦片510と右側の側縦片510の間に入ることが可能な幅で設けられる。後縦片720には、留孔740が空けられる。横フレーム300の上縦片310に固定するときに、ビス440bを通すことが可能である。
【0051】
側横片710を縦フレーム500に嵌め込むことで、タイルパネル400の横方向への位置ズレを抑制する。側横片710には、壁材200が傾いたときに、縦フレーム500に角が当たらないように、角の部分に切落し730が形成される。なお、切落し730は、斜めに切り落としても良いし、角を丸めても良い。
【0052】
次に、タイルパネル支持構造における下部の構造について説明する。
図11は、タイルパネル支持構造のB部(
図1において点線で囲んだ下部中央)付近を拡大した(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。なお、(a)正面図においてタイルパネルは透過した状態で示す。
図12は、タイルパネル支持構造のタイル受け金具を示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)右側面図である。
【0053】
図11に示すように、タイルパネル400は、横フレーム300に固定した支持プレート700を縦フレーム500に嵌合させることで、横方向に位置がずれないように保持される。なお、支持プレート700は、縦フレーム500に沿って動くことは可能である。支持プレート700は、少なくとも縦フレーム500が固定されている位置であって、横フレーム300のうち最上段及び最下段又はその何れかに固定される。
【0054】
タイルパネル400は、タイル410を接着剤430で下地材420に貼っただけなので、タイル受け金具800でタイル410の下面を支える。タイル受け金具800は、縦フレーム500をタイルパネル400に固定するために使用されるビス440を利用して、下地材420と縦フレーム500の間に挟み込むように固定されれば良い。
【0055】
図12に示すように、タイル受け金具800は、横方向に長い板材を、縦断面がL字状になるように折り曲げた金具である。タイル受け金具800は、後側に垂立する後縦片810、及び後縦片810の下端から前方に突出するように連設された下横片820等からなる。タイル受け金具800は、タイルパネル400と同じ幅にすれば良い。
【0056】
後縦片810は、タイルパネル400に固定される部分である。下横片820は、タイル410を載せる部分である。タイル410の厚さだけ前方に突出していれば良い。タイル410を支持すれば良いので、部分的又は間欠的に突出するだけでも良い。
【実施例2】
【0057】
次に、タイルパネル支持構造において耐火パネルを用いた場合について説明する。
図13は、耐火パネルを示す(a)正面図(タイル透過)、(b)A−Aで切断した断面を示す平面図及び(c)側面図である。
図14は、横フレームを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)側面図である。
図15は、荷重受けプレートを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)側面図である。
図16は、支持プレートを示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)側面図である。
図17は、せり上がり防止金具を示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)側面図である。
【0058】
図13に示すように、耐火パネル900は、建物の壁材990に対して不陸調整金具980を用いて壁面の凹凸を調整した上で、複数の耐火性のあるタイルパネル950、950aが取り付けられる。なお、タイルパネル950、950a間の目地950bには耐火性のあるシーラント等を充填すれば良い。
【0059】
壁材990は、コンクリートやセメント板であり、ボルトやアンカーなどを打ち込んで不陸調整金具980が取り付けられる。不陸調整金具980は、上下に隣接するタイルパネル950、950a間を跨ぐように配置され、タイルパネル950、950aを連にするとともに、タイルパネル950、950aを乾式で取り付ける際の金具として利用される。
【0060】
タイルパネル950は、陶磁器質のセラミックタイル等であり、複数のタイルを並置したものでも良い。タイルパネル950の裏面には、下地材として不燃性の耐火板960、960aを接着剤(弾性系や無機質系など)で貼り付けることにより耐火性を持たせる。なお、耐火板960、960aは、例えばマグネシウム板であり、それらを重ねたものでも良い。
【0061】
耐火パネル900は、壁材990の前面に不陸調整して上から下にかけて間欠的に複数固定された横方向に延びる横フレーム910、横フレーム910に掛けられるように耐火パネル900の後面に固定された縦方向に延びる縦フレーム970、縦フレーム970を挟持するように横フレーム910に固定された支持プレート930、縦フレーム970に固定され横フレーム910の上に載せられる荷重受けプレート920等を有する。
【0062】
横フレーム910は、隣接する下側のタイルパネル950と上側のタイルパネル950aの間に配置され、不陸調整金具980に対してビス等で固定される。横フレーム910の下部においては、下側のタイルパネル950を支持し、横フレーム910の上部においては、上側のタイルパネル950aを支持する。なお、横フレーム910とタイルパネル950、950aとは直接には固定されず、着脱可能に係止される。
【0063】
縦フレーム970は、金属製や樹脂製の角パイプなどが用いられ、タイルパネル950(950a)の中央に接着剤などで固定される。横フレーム910と縦フレーム970とは、それらが交差する位置又はその付近で係止される。
【0064】
支持プレート930は、タイルパネル950(950a)が横方向などにずれないように、縦フレーム970を押さえる。支持プレート930は、例えば、縦フレーム970の左側と右側から挟み込むように、横フレーム910に対してビス等で固定される。なお、下側のタイルパネル950の位置ズレを防止する支持プレート930と、上側のタイルパネル950aの位置ズレを防止する支持プレート930aとを設けても良い。
【0065】
荷重受けプレート920は、縦フレーム970と横フレーム910とが交差する位置付近において、縦フレーム970に対してビス等で固定される。荷重受けプレート920は、下側のタイルパネル950の上部に取り付けられ、横フレーム910に載せられることで、横フレーム910に掛かるタイルパネル950の荷重を一点で支える。また、上側のタイルパネル950aの下部に固定プレート920aを取り付けても良い。
【0066】
せり上がり防止プレート940は、下側のタイルパネル950と上側のタイルパネル950aの間の位置において、横フレーム910に対してビス等で固定される。下側のタイルパネル950が上側のタイルパネル950aに向かって上がらないように押さえ、タイルパネル950が当たった際に、タイルパネル950が傾いていたとしても、それに応じて回動可能である。
【0067】
図14に示すように、横フレーム910は、横方向に長い金属板を折り曲げた金具である。横フレーム910は、下部の下側受け911、上部の上側受け912、中間部の中片913等からなる。
【0068】
下側受け911は、横フレーム910の下部を手前側にフック状に折り返した部分であり、内側に荷重受けプレート920が掛けられる。また、前片911aに支持プレート930が固定される。
【0069】
上側受け912は、横フレーム910の上部を手前側にクランク状に折り曲げた部分であり、内側に固定プレート920aが掛けられる。また、前片912aに支持プレート930aが固定される。
【0070】
中片913は、横フレーム910の中間部の平坦な部分であり、不陸調整金具980に当接される。中片913には間欠的に長孔や丸孔などの留孔914、914aが複数貫通しており、ビス等を通して不陸調整金具980に固定される。
【0071】
図15に示すように、荷重受けプレート920は、金属板を横断面が逆U字状になるように折り曲げた金具である。荷重受けプレート920は、左部及び右部の側片921、中間部の中片922等からなる。
【0072】
側片921は、縦フレーム970に固定される部分であり、左部と右部の間隔を縦フレーム970の幅とし、縦フレーム970に被せるように取り付ける。側片921には複数の留孔926が貫通し、ビス等を通して縦フレーム970に固定される。
【0073】
中片922は、左右の側片921を繋ぐ部分である。また、中片922の下部には、側片921よりも下方に突出した突片923が形成される。突片923は、下面が下方に盛り上がるように湾曲部924が形成される。
【0074】
突片923は、横フレーム910の下側受け911に入る部分であり、湾曲部924の何れか一点を先端として下側受け911に載せられる。また、側片921の下部も、横フレーム910の下側受け911に入る部分であり、少なくとも縦フレーム970と重なる部分は切欠き925となる。
【0075】
横フレーム910に掛かるタイルパネル950の荷重が、湾曲部924と下側受け911の接点に集中する。横フレーム910がタイルパネル950の荷重を一点で支持することにより、地震などの振動に対してタイルパネル950が揺動可能であり、タイルパネル950に生じる歪みが吸収される。
【0076】
なお、固定プレート920aも荷重受けプレート920と同様の形状であるが、横フレーム910の上側受け912でタイルパネル950aの荷重を受ける必要はなく、固定プレート920aの下部が上側受け912に入っていれば十分であり、突片923は設けない。
【0077】
図16に示すように、支持プレート930は、金属板の縦断面がコ字状になるように折り曲げた金具である。支持プレート930は、上部及び下部の側片931、中間部の中片932等からなる。なお、支持プレート930aも同様である。
【0078】
側片931は、手前側に突出する部分である。支持プレート930は、縦フレーム970が配される位置の左側及び右側に設けられる。すなわち、縦フレーム970の幅を空けて横フレーム910に取り付けられる。支持プレート930を縦フレーム970の左右両側から挟むように配置することで、縦フレーム970の横ズレを防止する。
【0079】
また、振動などで側片931の角が縦フレーム970に当たるのを抑えるために、縦フレーム970と接する側に湾曲部933が形成される。そのため、左側と右側の支持プレート930は、左右対称に配置される。
【0080】
中片932は、上下の側片931を繋ぐ部分である。中片932には、留孔934が貫通し、支持プレート930の場合は、ビス等を通して横フレーム910の下側受け911の前片911aに固定される。また、支持プレート930aの場合は、横フレーム910の上側受け912の前片912aに固定される。
【0081】
図17に示すように、せり上がり防止プレート940は、金属板の縦断面がL字状になるように折り曲げた金具である。せり上がり防止プレート940は、垂直な上部の縦片941、水平な下部の横片820等からなる。
【0082】
縦片941は、横フレーム910に固定される平坦な部分である。縦片941には、留孔944が貫通し、横フレーム910の上側受け912の下側に、上側の留孔914aにビス等を通して留められる。
【0083】
横片820は、手前側に突出する部分である。横片820は、荷重受けプレート920の上方に延びるように配置される。振動などでタイルパネル950が持ち上がっても、荷重受けプレート920などが横片820に当たることで、それ以上せり上がることを防止する。
【0084】
留孔944は長孔であり、1点で留められているので、せり上がり防止プレート940は、強い力によって上下に僅かにスライド移動及び回動可能である。また、縦片941の上面を湾曲部943とすることにより、せり上がり防止プレート940が上に移動して上側受け912に当たっても回動が確保されており、振動などに追従可能である。
【0085】
本発明によれば、大型タイルを乾式施工する場合でも地震等の振動に追従させることができる。大型で重量のあるタイルパネルでも、壁面に対して一点で支持し、左右に揺動可能であるため、振動による揺れ幅が大きくなってもタイルパネルに生じる歪みを吸収することができる。
【0086】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、タイルパネル400は、下地材420を先に製造しておいて後から1枚の大型又は複数の小型のタイル410を貼り付けても良いし、予め下地材420に1枚の大型又は複数の小型のタイル410を貼り付けた状態で製造しても良い。
【0087】
また、支持プレートは、縦フレームを押さえることができれば良いので、例えば、円盤状など突出していればその他の形状にしても良い。
【0088】
建物の壁面に壁材がない場合でも、1階から2階まで届くような大型のタイルパネルを使用して開口部を塞ぐことが可能である。