(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6544883
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】自動綾巻きワインダの作業部
(51)【国際特許分類】
B65H 67/02 20060101AFI20190705BHJP
B65H 67/06 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
B65H67/02
B65H67/06 G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-100313(P2013-100313)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-237568(P2013-237568A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年1月29日
【審判番号】不服2017-12039(P2017-12039/J1)
【審判請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】10 2012 009 662.3
(32)【優先日】2012年5月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513209338
【氏名又は名称】ザウラー ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Saurer Germany GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ペアゼーケ
【合議体】
【審判長】
尾崎 淳史
【審判官】
畑井 順一
【審判官】
吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−18930(JP,A)
【文献】
特開昭50−63244(JP,A)
【文献】
実公昭44−7482(JP,Y1)
【文献】
特開平11−3561410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H67/00-67-08
D01H1/00-17/02
F16K11/00-11/24
F16K1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動綾巻きワインダの作業部であって、
駆動装置によって作動されて、規定された角度位置において位置決め可能であり、かつ巻返しプロセスのために準備された貯えボビンを収容する収容ポケットを有する、回転可能に支持されたロータリマガジンと、
該ロータリマガジンの下に配置された繰出し位置と、を備え、
該繰出し位置の領域に、巻返しプロセス中に1つの貯えボビンを前記繰出し位置において固定する巻管差込み心棒(10)と、繰出しの終了した貯えボビンの巻管を排出することができる巻管エジェクタ(9)と、が配置されている、作業部において、
前記作業部(2)は複数のニューマチック弁(41,42,43)を有し、該ニューマチック弁(41,42,43)は、前記ロータリマガジン(3)の角度位置を変化させるための駆動装置(30)を介して自動的に操作され、空気管路(44,45,46)を介して、前記作業部(2)の領域に設けられた複数のニューマチックシリンダ(11,12,14)に接続されており、この場合第1のニューマチック弁(41)が、前記巻管差込み心棒(10)を貯えボビン・収容位置(13)と繰出し位置(6)との間において旋回させる第1のニューマチックシリンダ(14)に接続されていて、第2のニューマチック弁(42)に、貯えボビン・引き受け位置(23)と前記繰出し位置にある前記貯えボビンの下に位置する位置との間で旋回可能に支持された前記巻管エジェクタ(9)を操作する第2のニューマチックシリンダ(12)が接続されていることを特徴とする、自動綾巻きワインダの作業部。
【請求項2】
第3のニューマチック弁(43)が、前記ロータリマガジン(3)の下に配置されていて旋回可能に支持されたローディングシュート(7)を操作する第3のニューマチックシリンダ(11)に接続されており、前記ローディングシュート(7)は、新たな貯えボビン(4)が中間位置(5)に準備される第1のポジションか、又は、前記貯えボビン(4)が前記中間位置(5)から前記巻管エジェクタ(9)に移送される第2のポジションにおいて、旋回により位置決め可能である、請求項1記載の作業部。
【請求項3】
前記巻管エジェクタ(9)は、前記ロータリマガジン(3)の下に位置する前記中間位置(5)から巻管差込み心棒(10)への新たな貯えボビン(4)の移送が実現可能であり、かつ繰出しの終了した貯えボビン(4)の巻管(28)が前記繰出し位置(6)から除去可能であるように、構成され、かつ前記第2のニューマチックシリンダ(12)によって制御可能である、請求項2記載の作業部。
【請求項4】
前記ニューマチックシリンダ(11,12,14)を操作する前記ニューマチック弁(41,42,43)は、新たな貯えボビン(4)の中間位置(5)から前記繰出し位置(6)への移送に関連して必要な、前記ニューマチック弁(41,42,43)の特定の切換え動作が、前記ロータリマガジン(3)の角度調節によって自動的に生ぜしめられるように、前記ロータリマガジン(3)の駆動装置(30)に配置された切換えエレメント(32)に接続されており、この場合、前記切換えエレメント(32)は、前記ニューマチック弁(41,42,43)の軸方向にシフト可能な操作部材(34)にそれぞれ対応する切換えカム(33)を有していて、該切換えカム(33)内において前記操作部材(34)が案内されている、
請求項1記載の作業部。
【請求項5】
前記ニューマチック弁(41,42,43)はそれぞれ、弁ハウジング(15)内に軸方向移動可能に支持された作業ピストン(16)と、前記操作部材(34)を介して押圧可能で同様に軸方向移動可能な、空気抜き通路(36)を備える切換えピストン(35)と、前記作業ピストン(16)に対応するシールエレメント(37)とを有し、前記作業ピストン(16)は前記シールエレメント(37)に向かってばね負荷されており、前記作業ピストン(16)と前記切換えピストン(35)は、前記シールエレメント(37)に設けられた貫通孔を通して互いに対向しており、前記切換えエレメント(32)によって前記操作部材(34)が軸方向にシフトされると、該操作部材(34)を介して前記切換えピストン(35)が、軸方向に移動して前記作業ピストン(16)に接触し、該作業ピストン(16)を前記シールエレメント(37)から離隔するように移動させるようになっている、請求項4記載の作業部。
【請求項6】
前記切換えピストン(35)と前記シールエレメント(37)との間に、ばねエレメント(38)が配置されていて、該ばねエレメント(38)は前記シールエレメント(37)及び前記切換えピストン(35)をそれぞれ終端位置に向かって押圧する、請求項5記載の作業部。
【請求項7】
前記操作部材(34)が進入していない場合に前記作業ピストン(16)及び前記切換えピストン(35)は、弁入口(40)と弁出口(39)とが互いに空圧的に切り離されているように、位置決めされており、前記切換えピストン(35)は、前記ニューマチック弁(41,42,43)の前記弁出口(39)の領域において前記空気管路(44,45,46)を介して1つのニューマチックシリンダ(11,12,14)内における正圧が、前記切換えピストン(35)の前記空気抜き通路(36)を介して逃げるように、かつこの際に、該空気抜き通路(36)に接続された、前記ニューマチック弁(41,42,43)の領域をクリーニングするために役立つように、配置されている、請求項5記載の作業部。
【請求項8】
前記ニューマチック弁(41,42,43)の前記作業ピストン(16)及び前記切換えピストン(35)は、前記操作部材(34)が進入している場合に、前記ニューマチック弁(41,42,43)の前記弁入口(40)及び前記弁出口(39)が空圧的に正圧源(48)と連通するように、位置決めされている、請求項5記載の作業部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、自動綾巻きワインダの作業部に関する。すなわち、本発明は、駆動装置によって作動されて、規定された角度位置において位置決め可能であり、かつ巻返しプロセスのために準備された貯えボビンを収容する収容ポケットを有する、回転可能に支持されたロータリマガジンと、該ロータリマガジンの下に配置された繰出し位置と、を備え、該繰出し位置の領域に、巻返しプロセス中に1つの貯えボビンを前記繰出し位置において固定する装置と、繰出しの終了した貯えボビンの巻管を排出することができる装置と、が配置されている、自動綾巻きワインダの作業部に関する。
【背景技術】
【0002】
自動綾巻きワインダの作業部は、種々様々な形態で知られており、多数の特許出願において詳しく記載されている。
【0003】
このような作業部では、比較的僅かな糸材料を有する、好ましくはリング精紡機において製造された紡績コップである、貯えボビンが、大容積の綾巻きパッケージに巻き返され、この場合巻返しプロセス中に、場合によっては存在する糸欠陥がクリアリングされる。
【0004】
これに関連して、作業部に、繊維機械固有の紡績コップ及び巻管搬送装置を介して連続的に貯えボビンが供給されるようになっている自動綾巻きワインダも、多数の作業部の領域に、複数の貯えボビンを同時に収容する、操作高さに配置された作業部固有のロータリマガジンを、1つずつ有する自動綾巻きワインダも公知である。
【0005】
DE19539762A1に開示された自動綾巻きワインダでは、その作業部はそれぞれ、上記のような操作高さに配置されたロータリマガジンを、貯えボビンを収容するために備えている。このような作業部ではロータリマガジンの下に各1つのいわゆるコップシュート(Kopsrutsche)が配置されていて、このコップシュートには、開閉旋回可能なシュートフラップが設けられている。
【0006】
コップシュートは、巻返しプロセス中に貯えボビンを固定する巻管差込み心棒と、機能を伝えるように関連している。巻管差込み心棒の領域には、さらに巻管エジェクタが設けられており、この巻管エジェクタによって、繰出しの終了した貯えボビンの巻管は、次いで排出することができる。
【0007】
コップシュートと巻管差込み心棒とは、レバーリンク装置及び機械式の伝動装置を介して、例えばステップモータである駆動装置に接続されている。すなわちコップシュート及び巻管差込み心棒は、ステップモータの相応な制御によって、選択的にコップ引渡し位置もしくはコップ引受け位置と繰出し位置との間において旋回可能である。作業部の巻管エジェクタもまた、レバーリンク装置及び機械式の伝動装置を介して、ステップモータに接続されていて、相応に必要に応じて制御することができる。
【0008】
このような公知の作業部では、コップシュートは、該コップシュートがその引渡し位置に位置決めされかつ同時にシュートフラップが閉鎖されている場合に、それまでロータリマガジンに収容されていた貯えボビンを、引渡し位置に位置決めされた巻管差込み心棒に確実に移送するための、案内兼センタリング手段を形成する。すなわちコップシュートは、必要な場合には、ロータリマガジンから解放された貯えボビンが巻管差込み心棒に適正に位置決めされるように、働く。
【0009】
通常、紡績コップとして形成された貯えボビンを、巻管差込み心棒に装着した後で、コップシュート及び巻管差込み心棒は繰出し位置に旋回させられ、この繰出し位置においてコップシュートは、定置に配置された背側部分と関連して、紡績コップのための、負圧を供給可能な繰出し室を形成する。
【0010】
この繰出し室において次いで紡績コップは頂部から糸が繰り出され、この場合糸は巻返し動作中に、通常のように、同時に糸欠陥を監視され、そして糸欠陥は場合によってはクリアリングされる。
【0011】
貯えボビンの繰出し後に、コップシュートは所属の巻管差込み心棒及び該巻管差込み心棒に配置された繰出しの終了した巻管と一緒に、再び引受け位置に戻し旋回させられ、コップシュートのシュートフラップは開放旋回させられ、空管は巻管エジェクタを用いて巻管差込み心棒から持ち上げられる。持ち上げられた空管は、この場合好ましくは、機械長さの巻管搬送装置に引き渡され、この巻管搬送装置によって巻管は搬出される。
【0012】
確かに、自動綾巻きワインダのこのような公知の作業部は、実地においてそれなりに良好であることが証明されてはいるが、この公知の作業部には、なお幾つかの改善できる欠点がある。
【0013】
貯えボビンを適正に巻管差込み心棒に位置決めするため、巻管差込み心棒を貯えボビンと一緒に作業部の繰出し位置に旋回させるため、そして繰出し位置において位置決めするため、及び巻返し動作の終了時に、繰出しの終了した貯えボビンの巻管を再び確実に排出するために、機械式の伝動装置及びレバー装置が使用されるが、これによって必要となる構造的なコストは、かなり高い。
【0014】
このような機械式の伝動装置及びレバー装置の別の欠点としては、このような装置に起因する怪我のおそれや、このような装置が汚染に対してかなり敏感であることが、挙げられる。
【0015】
従ってこのような機械式の伝動装置及びレバー装置は、このような理由に基づいて通常、保護されており、これによって幾分接近しにくくカバーの後ろに配置されている。そしてこのような配置形態には、必要なクリーニングインターバルが、完全になおざりにされるまで、長い間、延期される、というおそれがある。
【0016】
すなわち公知の作業部では、伝動装置及びレバー装置のためのクリーニングインターバルはしばしば、作業部において空管・紡績コップ交換中に例えば機能停止のような障害が発生するまで、長く延期されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】DE19539762A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ゆえに本発明の課題は、上に述べた従来技術を出発点として、自動綾巻きワインダの作業部を、困難な周囲条件下においても、作業部の領域に設けられた装置の、常に確実かつ適正な運転が保証されることを、保証できるように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、請求項1の特徴部記載の構成を有する作業部によって解決される。
【0020】
すなわち前記課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた作業部において、作業部は複数のニューマチック弁を有し、該ニューマチック弁は、ロータリマガジンの角度位置を変化させるための駆動装置を介して自動的に操作され、空気管路を介して、作業部の領域に設けられた複数のニューマチックシリンダに接続されており、この場合第1のニューマチック弁が、巻管差込み心棒を操作する第1のニューマチックシリンダに接続されていて、第2のニューマチック弁に、旋回可能に支持された巻管エジェクタを操作する第2のニューマチックシリンダが接続されているようにした。
【0021】
本発明の別の好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明による作業部は複数のニューマチック弁を有し、これらのニューマチック弁は、ロータリマガジンの角度位置を変化させるための駆動装置を介して自動的に操作され、空気管路を介して、繰出し位置の領域に設けられた複数のニューマチックシリンダに接続されている。
【0023】
本発明によれば、第1のニューマチック弁が、巻管差込み心棒を操作する第1のニューマチックシリンダに接続されていて、第2のニューマチック弁に、旋回可能に支持された巻管エジェクタを操作する第2のニューマチックシリンダが接続されている。
【0024】
このような構成には、特に次のような利点がある。すなわち本発明による作業部では、作業部の領域に設けられた装置、例えば巻管差込み心棒及び巻管エジェクタのような装置に、必要な運動エネルギを伝達することによって、汚染に対して敏感な機械式の構成エレメントの使用を省くことができる。すなわち本発明による作業部は、カバーの後ろに位置する機械式の力伝達エレメントを有しておらず、このような力伝達エレメントでは、その幾分困難な接近性に基づいて、当該力伝達エレメントが不十分にしかクリーニングされず、その結果作業部において時間の経過と共に障害の発生するおそれがある。
【0025】
請求項2記載のように、好適な態様では、第3のニューマチック弁が第3のニューマチックシリンダに接続されており、該第3のニューマチックシリンダは、ロータリマガジンの下に配置されていて旋回可能に支持されたローディングシュートを、新たな貯えボビンが中間位置に準備される第1のポジションか、又は、貯えボビンが中間位置から巻管エジェクタに移送される第2のポジションにおいて、位置決めする。ロータリマガジンの下に配置されていて旋回可能に支持された、このようなローディングシュートによって、一方では、空管・貯えボビン交換のために必要な時間を最短にすることができ、かつ他方では、ローディングシュート用の駆動装置としての第3のニューマチックシリンダの使用が、比較的簡単かつ確実な構成になる。
【0026】
請求項3記載の好適な態様では、巻管差込み心棒は傾倒可能に支持されていて、第1のニューマチック弁を介して空気供給可能な第1のニューマチックシリンダによって、貯えボビン・収容位置と繰出し位置との間において移動可能である。
【0027】
この場合巻管差込み心棒は、例えばDE102004045747A1に記載されているように、緊締装置として形成されていてよく、この緊締装置は、異なった高さで巻管の内壁に当付け可能な2つの緊締爪グループを有しており、ばねエレメントによって互いに無関係に負荷可能な緊締爪グループは、第1のニューマチックシリンダによって簡単に「解離」の方向に制御可能である。
【0028】
しかしながらまた巻管差込み心棒は、例えばCH396718Aに基づいて公知であるように、別の形態の緊締装置として形成されていてもよく、この緊締装置は、不動の巻管収容心棒と、この巻管収容心棒に対して旋回可能に支承されていて巻管の内壁に当付け可能な緊締レバーとを有する。
【0029】
好ましくはばねエレメントによって押圧される緊締レバーは、第1のニューマチックシリンダによって同様に、「解離」の方向に制御可能である。巻管差込み心棒のそれぞれの形態とは無関係に、第1のニューマチックシリンダを介して、いつでも、巻管差込み心棒の必要に応じた操作が可能である。すなわち巻管差込み心棒は、該巻管差込み心棒が必要な場合に問題なく位置決め可能であって、巻管エジェクタから供給された貯えボビンを引き受け、引き受けた巻管ボビンを確実に固定し、かつ、貯えボビンの頂部から糸が繰り出される繰出し位置に移送することができるように、構成され、かつ規定されて運動可能に支承されている。
【0030】
さらに請求項4記載の好適な態様では、巻管エジェクタは、規定されて、ロータリマガジンの下に位置する中間位置から巻管差込み心棒への新たな貯えボビン移送が実現可能であるか、又は所望のように、繰出しの終了した貯えボビンの巻管が繰出し位置から除去可能であるように、構成され、かつ制御可能である。すなわち第2のニューマチック弁を用いて、巻管エジェクタのニューマチックシリンダには、巻管差込み心棒への新たな貯えボビンの移送が行われるか、又は、繰出しの終了した貯えボビンの巻管が、好ましくは機械長さの巻管搬送装置に移送されるように、空気供給可能である。
【0031】
さらに請求項5記載の好適な態様では、ニューマチック弁は、新たな貯えボビンの引渡しに関連して必要な、ロータリマガジンの角度位置の変化によって自動的に、ニューマチック弁の規定された作動が生ぜしめられるように、ロータリマガジンの駆動装置に配置された切換えエレメントに接続されている。すなわち、このように構成されていると、空管・貯えボビン交換動作との関連において必要な処置を導入するために、操作員の側において何ら手を下す必要がない。
【0032】
請求項6記載の態様では、切換えエレメントは、ニューマチック弁の軸方向移動可能に支持された複数の操作部材のうちの1つにそれぞれ対応する複数の切換えカムを有する。
【0033】
すなわち、ロータリマガジンの角度位置の変化時に、定置に配置されたニューマチック弁の操作部材は、最初に、ロータリマガジンの駆動装置の領域に設けられた切換えエレメントの対応するそれぞれ所属の切換えカムにおいて、滑動又は転動する。
【0034】
操作部材がそれぞれ所属の切換えカムの端部に達すると、操作部材は幾分軸方向に移動させられ、これによって所属のニューマチック弁が規定されて制御され、その結果、例えば巻管差込み心棒、巻管エジェクタ及びローディングシュートのような接続された装置が、機能適正に操作される。
【0035】
請求項7〜10に記載されているように、ニューマチック弁は好ましくはそれぞれ、弁ハウジング内に軸方向移動可能に支持されていてばね負荷された作業ピストンと、操作部材を介して規定されて負荷可能で同様に軸方向移動可能な、好ましくは中央の空気抜き通路を備える切換えピストンと、作業ピストンに対応するシールエレメントとを有する(請求項7)。
【0036】
例えば請求項8記載のように、切換えピストンとシールエレメントとの間に、ばねエレメントが配置されていて、該ばねエレメントはシールエレメント及び切換えピストンをそれぞれ終端位置に向かって押圧する。
【0037】
すなわち実地においては、シールエレメントは、ばねエレメントによって常に所定の終端位置に位置決めされ、これに対して切換えピストンは、操作部材の進入時に、ばねエレメントの力に抗してその終端位置から移動させられる。
【0038】
請求項9に記載の態様では、ニューマチック弁が切り換えられていない場合、つまり操作部材が負荷もしくは押圧されていない場合に、ばね負荷された作業ピストンは、該作業ピストンの上側のシール面がシールエレメントに接触するように、位置決めされている。
【0039】
この切換え状態において、所属の空気管路を介してニューマチックシリンダが接続されている弁出口と、別の相応な空気管路を介して正圧源に接続されている弁出口とは、互いに空圧的に切り離されている。さらに切換えピストンは、該切換えピストンとシールエレメントとの間に配置されたばねエレメントによって、弁出口が空圧的に一貫して切換えピストンの空気抜き通路に接続されるように、位置決めされている。つまり、ニューマチックシリンダの接続状態において生じる正圧は、空気抜き通路を介して逃げることができ、かつこの際に、ニューマチック弁の操作部材の領域をクリーニングすることができる。
【0040】
請求項10に記載のように、作業ピストン及び切換えピストンは、操作部材が負荷もしくは押圧されている場合に、ひいてはニューマチック弁が切り換えられている場合に、ニューマチック弁の弁入口と弁出口とが空圧的に連通するように、位置決めされている。すなわちこの切換え位置において、弁出口を介してニューマチック弁に接続されたニューマチックシリンダは、弁入口を介してニューマチック弁に接続された正圧源に接続されている。
【0041】
ニューマチックシリンダには、相応に必要に適合して、正圧源から圧縮空気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】自動綾巻きワインダの複数の作業部の一部を示す斜視図であって、これらの作業部は、それぞれ操作高さに配置されたロータリマガジンを備えていて、このロータリマガジンは、該ロータリマガジンの角度位置の変化時にニューマチック弁を操作する装置を有し、これらのニューマチック弁自体は、巻管差込み心棒のニューマチックシリンダか、巻管エジェクタのニューマチックシリンダか、又は旋回可能に支持されたローディングシュートのニューマチックシリンダに接続されている、自動綾巻きワインダの複数の作業部の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した、自動綾巻きワインダの作業部のうちの1つを示す側面図であって、巻管差込み心棒のニューマチックシリンダ、巻管エジェクタのニューマチックシリンダ、及び休止位置に位置決めされたローディングシュートのニューマチックシリンダに、圧縮空気が供給されている状態を示す側面図である。
【
図3】
図2に示した作業部を、中間位置から巻管エジェクタへの貯えボビンの移送直前において、貯えボビン・引受け位置に位置決めされた巻管エジェクタと、貯えボビン・収容位置に旋回させられた巻管差込み心棒と備えた状態で示す側面図である。
【
図4】
図1から
図3に示した公知の巻管エジェクタを、空管エジェクトの開始時の状態で示す拡大図である。
【
図5】ロータリマガジンの駆動装置の領域にそれぞれ設けられた切換えエレメントを斜め下から見た図である。
【
図6】ニューマチック弁のうちの1つを、操作されていない状態で示す断面図である。
【
図7】
図6に示したニューマチック弁を、切り換えられた状態において示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0044】
図1には、自動綾巻きワインダ1の、互いに列をなして並んで配置された作業部2のうちの幾つかが、斜視図で示されている。
【0045】
このような作業部2においては、好ましくはリング精紡機において製造された紡績コップであって、比較的僅かな糸材料を有する貯えボビン4が、大容積の綾巻きパッケージ20に巻き返され、この場合さらに、糸は巻返し過程中に、必要な場合にはクリアリングされる糸欠陥を監視される。
【0046】
図1〜
図3にさらに示すように、綾巻きパッケージ20は巻返しプロセス中にそれぞれパッケージフレーム22に自由回転可能に保持されていて、巻返しプロセス中に糸ガイドドラム21によって回転させられる。この糸ガイドドラム21はさらに、貯えボビン4から繰り出された糸24を綾巻きパッケージ20への巻上げ中に適正に綾振りするために、働く。
【0047】
このような作業部では、糸走路の領域にさらに糸処理装置及び糸監視装置が配置されており、これらの装置は作業部において、貯えボビンから繰り出された糸を巻返し中に監視すること、及び認識された糸欠陥をクリアリングすることを、可能にする。
【0048】
このような糸処理装置及び糸監視装置は、本発明の対象との関連においては重要ではないので、自体公知のこれらの装置についての図示及び説明は、ここでは省く。作業部2の作業部コンピュータ26だけが、
図2及び
図3において略示されている。
【0049】
さらに各作業部2は、複数の貯えボビン4を貯えるために働く、回転可能に支持されたロータリマガジン3を有する。これらのロータリマガジン3は、紡績コップ4を収容する例えばそれぞれ9つの収容ポケット19を有し、この場合これらの収容ポケット19のうちの1つは常に、通常のように、操作高さに配置されたロータリマガジン3の排出開口(図示せず)の上方に位置決めされている。
【0050】
ロータリマガジン3の駆動装置30の領域には、制御装置31が設けられており、この制御装置31は、駆動装置30によって実施された、ロータリマガジン3の角度位置のその都度の変化が、直ちに、様々なニューマチック弁41,42,43の制御を惹起させることを、保証する。ニューマチック弁41,42,43自体はそれぞれ、対応する空気管路44,45,46,47を介して、第1、第2又は第3のニューマチックシリンダ14,12,11に、もしくは正圧源48に接続されており、この場合ニューマチックシリンダ14,12,11自体は、作業部2の種々様々な装置を作動させる。
【0051】
ロータリマガジン3の下には、例えば旋回軸線17を中心にして制限された範囲で回転可能に支持された、ローディングシュート7が配置されており、このローディングシュート7は、空気管路46を介して第3のニューマチック弁43に接続された第3のニューマチックシリンダ11を用いて、休止位置27又は引渡し位置8において選択的に位置決め可能である。
【0052】
ロータリマガジン3の排出開口の下には、さらに定置の載置部18が配置されており、この載置部18には、休止位置27に位置決めされたローディングシュート7によって固定された、貯えボビン4を中間位置5において貯えることができる。
【0053】
各作業部2は、さらに、旋回可能に支持された巻管エジェクタ9を備えており、この巻管エジェクタ9は、空気管路45を介して第2のニューマチック弁42に接続された第2のニューマチックシリンダ12を用いて、規定されて位置決め可能である。すなわち巻管エジェクタ9は、
図3に示すように、貯えボビン・引受け位置23に位置決めされるか、又は
図2に示すように、巻管エジェクタ9が貯えボビン4の下に位置する位置に旋回させられることができ、この貯えボビン4は巻管差込み心棒10に差し込まれて繰出し位置6に配置されている。
【0054】
さらに巻管エジェクタ9は、例えば
図4に示すように、貯えボビン4の繰出し後に、空の巻管28が好ましくは機械長さの巻管搬送路(図示せず)に移送されるように、操作されてもよい。
【0055】
巻管差込み心棒10は、空気管路44を介して第1のニューマチック弁41に接続されている第1のニューマチックシリンダ14を用いて、
図3に示す貯えボビン・収容位置13と、
図2に示す繰出し位置6との間において旋回させることができる。第1のニューマチックシリンダ14を用いて、さらに巻管差込み心棒10も、「解離」の方向に操作することができる。
【0056】
このように形成された作業部2の正確な作用形式は、公知であり、例えばDE102011010989.7に詳しく記載されている。
【0057】
図5には、それぞれ好ましくはロータリマガジン3の駆動装置30の領域に配置された切換えエレメント32のうちの1つが、斜め下から見た斜視図で示されており、この切換えエレメント32は、例えば外歯列67を有し、この外歯列67は、ロータリマガジン3の駆動装置30の対応する歯車に噛み合っている。
【0058】
図面から分かるように、これらの切換えエレメント32にはそれぞれ複数の切換えカム33が成形されていて、これらの切換えカム33内において、組立て状態では、ニューマチック弁41,42,43の操作部材34が案内されている。切換えカム33は、円弧として形成されていて、その位置及び形態は、ニューマチック弁41,42,43の取付け位置及びニューマチック弁41,42,43の所望の切換え動作に合わせられている。
【0059】
図6及び
図7には、ニューマチック弁41,42,43のうちの各1つのニューマチック弁が、断面図で、かつ異なった切換え状態において示されている。
【0060】
図6には、切り換えられていないニューマチック弁が示されており、つまりこのニューマチック弁の操作部材34は軸方向においてシフトされていない。これに対して
図7には、切り換えられたニューマチック弁41,42,43が示されており、つまりこのニューマチック弁41,42,43の操作部材34は軸方向においてシフトされていて、切換えピストン35を摩擦力結合式(kraftschluessig)に負荷、つまり押圧している。
【0061】
図面から分かるように、ニューマチック弁41,42,43はそれぞれ弁ハウジング15を有し、この弁ハウジング15は好ましくは、プラスチックから製造されていて、中央に段付けされた収容部49を有している。この段付けされた収容部49は、案内段部50、圧縮空気流入領域56及び圧縮空気流出領域57を有し、上方に向かって弁ハウジングカバー60によって閉鎖されている。
【0062】
段付けされた収容部49の、弁ハウジング15の底部領域に配置された案内段部50においては、作業ピストン16が案内されており、この作業ピストン16にはリング溝51が設けられていて、このリング溝51内にはシールエレメント52が配置されている。
【0063】
作業ピストン16は、取付け状態においてばねエレメント53によって、空気流出領域57に配置されたシールエレメント37に向かって押圧される。ばねエレメント53はこの場合シム板55に支持されていて、このシム板55によって、ばねエレメント53のプリロードもしくは予荷重も調節可能である。
【0064】
好ましくは同様にプラスチックから製造されている作業ピストン16は、その上側に接触エレメント54を備えており、この接触エレメント54は、例えば鋼のような硬質材料から製造されていて、接触エレメント54の上側面は、ばねエレメント53の作用によりシールエレメント37に接触している。
【0065】
図6及び
図7からさらに分かるように、円形の案内段部50には、この案内段部50に比べて大幅に大きな直径を有する圧縮空気流入領域56が接続しており、この圧縮空気流入領域56には、さらに幾分大きい直径を有する圧縮空気流出領域57が続いている。
【0066】
圧縮空気流入領域56は弁入口40を備えており、つまり圧縮空気流入領域56には弁開口58が配置されていて、この弁開口58には接続管片59が設けられ、この接続管片59には、空気管路47が接続され、この空気管路47はさらに正圧源48に接続されている。圧縮空気流入領域56に接続する圧縮空気流出領域57は、既に述べたように、シールエレメント37を有し、このシールエレメント37にはばねエレメント38が支持されていて、このばねエレメント38は、切換えピストン35をその終端位置に向かって押圧する。
【0067】
すなわち、ばね負荷された切換えピストン35は、
図6に示すようにニューマチック弁41,42,43が切り換えられていない場合に、弁ハウジングカバー60に接触しており、この弁ハウジングカバー60は、適宜な結合手段、例えばボルト61によって、弁ハウジング15に結合され、かつリングパッキン62によってシールされている。
【0068】
空気流出領域57にも、弁出口39を形成する弁開口63が設けられている。つまり空気流出領域57には弁開口63が配置されていて、この弁開口63は接続管片64を備え、この接続管片64には、空気管路44又は45又は46が接続されており、この空気管路44又は45又は46はさらに、ニューマチックシリンダのうちの1つのニューマチックシリンダ14又は12又は11に接続されている。
【0069】
圧縮空気流出領域57に配置された、好ましくは同様にプラスチックから製造された切換えピストン35は、中央の空気抜き孔36,シールリング65及び載置部66を有する。
【0070】
特にニューマチック弁の切換え動作中に、例えば鋼製の球形の操作部材34と共働する載置部66は、好ましくは同様に、例えば鋼のような耐摩耗性の材料から製造されている。
【0071】
特に
図6から分かるように、ニューマチック弁の切り換えられていない場合、つまり操作部材34が軸方向においてシフトされていない場合、作業ピストン16の接触エレメント54はシールエレメント37に接触しており、これによってニューマチック弁の圧縮空気流入領域56は圧縮空気流出領域57に対して空圧的に遮断されている。
【0072】
さらにニューマチック弁のこの切換え状態において切換えピストン35は、ばねエレメント38によって押圧されて、終端位置に位置しており、この終端位置では、切換えピストン35のシールリング65は作業ピストン16の接触エレメント54から持ち上げられている。すなわち切換えピストン35は、弁出口39が切換えピストン35の空気抜き通路36に空圧的に連通している位置に、位置決めされている。
【0073】
ニューマチック弁41,42,43のこの切換え位置において、ニューマチックシリンダ11,12,14内における正圧はそれぞれ、切換えピストン35の空気抜き通路36を介して流出し、この際に隣接する弁領域をクリーニングする。
【0074】
図7には、切り換えられたニューマチック弁41,42,43が示されており、つまり、操作部材34が、
図6及び
図7には示されていない切換えエレメント32の作用により軸方向下方に向かってシフトされた、ニューマチック弁41,42,43が示されている。
【0075】
ニューマチック弁41,42,43のこの切換え状態において、切換えピストン35はそのシールリング65で、作業ピストン16の接触エレメント54に接触しており、この際に、圧縮空気流入領域56における正圧に対して切換えピストン35の空気抜き通路36をシールするだけではなく、作業ピストン16を幾分下方に向かって移動させている。
【0076】
作業ピストン16のこのシフト時に、作業ピストン16の接触エレメント54はシールエレメント37から離隔され、その結果弁入口40と弁出口39とは、空圧的に連通され、これにより、弁出口39に接続されたニューマチックシリンダ11,12,17には、弁入口40に接続された正圧源48を介して規定されて圧縮空気が供給される。
【符号の説明】
【0077】
1 自動綾巻きワインダ、 2 作業部、 3 ロータリマガジン、 4 貯えボビン、 5 中間位置、 6 繰出し位置、 7 ローディングシュート、 8 引渡し位置、 9 巻管エジェクタ、 10 巻管差込み心棒、 11,12,14 ニューマチックシリンダ、 13 貯えボビン・収容位置、 15 弁ハウジング、 16 作業ピストン、 18 載置部、 19 収容ポケット、 20 綾巻きパッケージ、 21 糸ガイドドラム、 22 パッケージフレーム、 23 貯えボビン・引受け位置、 24 糸、 26 作業部コンピュータ、 28 空の巻管、 30 駆動装置、 31 制御装置、 32 切換えエレメント、 33 切換えカム、 35 切換えピストン、 36 空気抜き孔、 37 シールエレメント、 38 ばねエレメント、 40 弁入口、 41,42,43 ニューマチック弁、 44,45,46,47 空気管路、 48 正圧源、 49 収容部、 50 案内段部、 51 リング溝、 52 シールエレメント、 53 ばねエレメント、 54 接触エレメント、 55 シム板、 56 圧縮空気流入領域、 57 圧縮空気流出領域、 58 弁開口、 59 接続管片、 60 弁ハウジングカバー、 61 ボルト、 62 リングパッキン、 63 弁開口、 64 接続管片、 65 シールリング、 66 載置部、 67 外歯列