【文献】
SEEBACH, Dieter, et al.,Angewandte Chemie International Edition in English,1972年,Vol. 11, No. 2,pp. 127-128
【文献】
YOSHIDA, Isao, et al.,Bulletin of the Chemical Society of Japan,1972年,Vol. 45, No. 1,pp. 174-178
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0022】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0023】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0024】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0025】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0026】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0027】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0028】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0029】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0030】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0031】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、3−Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏−40度〜+80度で用いることもできる。
【0032】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0033】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールの用語は当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれるUS7,279,704の31〜32段において定義されている。
【0034】
本明細書において、「置換された」は、H以外の置換基が関連する炭素に結合していること示す。したがって、R
2が一置換である場合には、R
2の置換位置の1つがH以外でなければならない。同様に、R
3が二置換である場合には、R
3の置換位置の2つがH以外でなければならない。同様に、R
2が無置換である場合には、R
2は、全ての置換位置において水素である。
【0035】
1つの実施形態によれば、金属錯体のための新規な補助配位子が開示される。本発明者らは、これらの配位子を含有させると、予想外なことに、発光スペクトルを狭め、蒸着温度を低下させ、デバイス効率を改善することを見出した。
【0036】
1つの実施形態によれば、次の式Iを有する第1の配位子L
1を含み、前記第1の配位子L
1が、40超の原子番号を有する金属Mに配位している化合物が提供される。
【化3】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;R
1、R
2、R
3、及びR
4の少なくとも1つは、少なくとも2つのCを有し;R
5は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
2つの隣接する置換基が結合して環を形成してもよい。式I中の破線は、金属との結合点を示す。
【0037】
1つの実施形態においては、金属Mは、Irである。1つの実施形態においては、R
5は、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。1つの実施形態においては、R
5は、水素である。
【0038】
他の実施形態においては、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、アルキル又はシクロアルキルである。1つの実施形態においては、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、部分的又は完全に重水素化されたこれらのバリアント、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0039】
1つの実施形態においては、前記化合物は、M(L
1)
x(L
2)
y(L
3)
zの式を有する;式中、L
2は、第2の配位子であり、L
3は、第3の配位子であり、L
2及びL
3は、同一であっても異なっていてもよく;xは、1、2、又は3であり;yは、0、1、又は2であり;zは、0、1、又は2であり;x+y+zは、金属Mの酸化状態である。
【0040】
1つの実施形態においては、L
2及びL
3は、独立して下記からなる群から選択される。
【化4】
【化5】
式中、R
a、R
b、R
c、及びR
dは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すか、無置換であり;R
a、R
b、R
c、及びR
dは、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c、及びR
dのうちの2つの隣接する置換基は、結合して縮合環又は多座配位子を形成してもよい。他の実施形態においては、L
3がL
2と同一であり、前記化合物は、M(L
1)(L
2)
2の式を有する。
【0041】
前記化合物がM(L
1)
x(L
2)
y(L
3)
zの式を有する他の実施形態においては、前記第1の配位子L
1は、下記からなる群から選択される。
【化6】
【0042】
1つの実施形態においては、前記第2の配位子L
2は、下記からなる群から選択される。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0043】
1つの実施形態においては、前記式M(L
1)(L
2)
2を有する化合物は、下記表1に定義される化合物1〜化合物1729からなる群から選択することができる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【0044】
1つの実施形態においては、本明細書に定義される式Iを有する第1の配位子L
1を含む化合物は、下記からなる群から選択することができる。
【化15】
【0045】
本開示の他の態様によれば、第1の有機発光デバイスを含む第1のデバイスが提供される。前記第1の有機発光デバイスは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含むことができる。前記有機層は、本明細書中に定義される、式Iを有する第1の配位子L
1を含む化合物を含むことができる。
【0046】
1つの実施形態においては、前記化合物は、化合物8、化合物9、化合物12、化合物32、化合物43、化合物54、化合物55、化合物62、化合物83、化合物93、化合物118、化合物141、化合物142、化合物176、化合物278、及び化合物320からなる群から選択することができる。
【0047】
前記第1のデバイスは、消費者製品、有機発光デバイス、及び/又は照明パネルの1つ以上であることができる。
【0048】
幾つかの実施形態においては、前記有機層は、発光層であることができ、前記化合物は、発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物は、非発光ドーパントであることができる。
【0049】
前記有機層はまた、ホストを含むことができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。1つの実施形態においては、前記ホストは、金属8−ヒドロキシキノレートであることができる。前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンであることができる。前記ホストにおける置換基はいずれも、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡C−C
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、及びC
nH
2n−Ar
1からなる群から独立して選択される非縮合置換基であるか、又は無置換であることができる。前述の置換基において、nは1から10の範囲であることができ、Ar
1とAr
2はベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール及び複素芳香族類似体からなる群から独立して選択されることができる。
【0050】
前記ホストはカルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される化合物であることができる。上述のフラグメント、即ちアザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどの「アザ」という名称は、各フラグメント中の1つ以上のC−H基が窒素原子に置き換わっていることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素アナログを容易に想像することができ、このようなアナログ全てが、本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。前記ホストは金属錯体である。前記ホストは下記からなる群から選択される具体的な化合物であることができる:
【化16】
及びこれらの組合せ。
【0051】
さらに本開示の別の側面においては、本明細書中に定義されている式1を有する第1の配位子L
1を含む組成物も、本明細書中において開示されている発明の範囲内である。前記組成物は、本明細書中に開示されている溶媒、ホスト、ホール注入材料、ホール輸送材料、及び電子輸送層材料からなる1又は複数の構成要素を含むことができる。
他の材料との組合せ
【0052】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
HIL/HTL:
【0053】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO
x等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0054】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造:
【化17】
を含むがこれらに限定されない。
【0055】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0056】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化18】
からなる群から独立に選択される。
kは1から20までの整数であり;X
101からX
108はC(CHを含む)又はNであり;Z
101はNAr
1、O、又はSであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0057】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化19】
を含むがこれに限定されない。
Metは、40より大きい原子量を有し得る金属であり;(Y
101−Y
102)は二座配位子であり、Y
101及びY
102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は補助配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0058】
一態様において、(Y
101−Y
102)は2−フェニルピリジン誘導体である。別の態様において、(Y
101−Y
102)はカルベン配位子である。別の態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。更なる態様において、金属錯体は、Fc
+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0059】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。下記の表において、各色を発光するデバイスに好ましいホスト材料が分類されているが、三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いてもよい。
【0060】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化20】
式中、Metは金属であり;(Y
103−Y
104)は二座配位子であり、Y
103及びY
104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0061】
一態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化21】
式中、(O−N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0062】
別の態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。更なる態様において、(Y
103−Y
104)はカルベン配位子である。
【0063】
ホスト材料として使用される有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0064】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化22】
式中、R
101からR
107は、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは0から20又は1から20までの整数であり;k’’’は、0から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。Z
101及びZ
102はNR
101、O、又はSである。
HBL:
【0065】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、発光をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0066】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0067】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化23】
式中、kは1から20までの整数であり;L
101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0068】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0069】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化24】
式中、R
101は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0070】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化25】
式中、(O−N)又は(N−N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0071】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0072】
本明細書において開示されている材料に加えて且つ/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表2に収載する。表2は、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
実施例
【0074】
デバイス実施例で使用された材料:
使用された比較化合物:
【化26】
【0075】
デバイスで使用された他の材料:
【化27】
デバイス実施例はいずれも、高真空下(<10
−7Torr)における熱蒸着で作成した。アノード電極は1200Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFと、1000ÅのAlからなった。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(H
2O及びO
2は、<1ppm)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。
デバイス実施例の有機体層は、ITO表面から順に、ホール注入層(HIL)として100ÅのHAT−CN、ホール輸送層(HTL)として400ÅのNPD、式1の化合物、化合物SD、ホスト(BAIQ)を含む400Å発光層(EML)、BAIQの40Åブロッキング層(BL)、AlQ
3の450Å電子輸送層(ETL)、及び電子注入層(EIL)として10ÅのLiFからなる。比較化合物1−4をEMLで発光体として使用する以外は、比較化合物をデバイス実施例と同じように作製した。
【表3】
本発明化合物と比較化合物のデバイス構造
【表4】
デバイス結果
1
1表4の値はいずれも、CIE座標以外は相対的な数値(任意単位−a.u.)である。
【0076】
表4はデバイスデータのまとめである。発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)、及び電力効率(PE)を1000ニトで測定した。これらの化合物の発光色は主にフェニルキノリン配位子によるものなので、本発明化合物8は比較化合物と同じCIEを示す。しかし、表4の半値全幅(FWHM)の値から見られるように、化合物8の発光スペクトルは比較化合物の発光スペクトルよりも狭い。小さいFWHM値は狭い発光スペクトルを意味する。デバイス測定は、ここで開示されるように新しい補助配位子が使われている場合、特性はいずれもより良好であることを示す。例えば、化合物8では、相対駆動電圧が1.00であったのに対し、比較化合物では、相対駆動電圧が1.03〜1.09であった。発光効率(LE)に関しては、比較化合物に比べ化合物8はより良好であり、比較化合物は、化合物8の値の78〜89%であった。同じ傾向が外部電子効率(EQE)と電力効率でも見られ、これらにおける化合物8のデータは、比較化合物のデータに比べて高い。
【0077】
下の表5は、化合物のフォトルミネセンス量子収率(PLQY)において、本発明化合物の化合物12が、比較化合物5と6を超える予想外の性能の改善例を示す:
【表5】
本発明化合物12は、比較化合物より高いPLQYを示した。高いPLQYは、高いEQEのOLEDsにおける発光体として望ましい。
材料合成:
【0078】
特に指定がない限り、反応はいずれも窒素保護下で行った。反応溶媒はいずれも無水物で、商業的供給源から受け取ったものを使用した。
【0079】
化合物8の合成
【化28】
イリジウム(III)二量体(1.50g、1.083mmol)を3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(1.725g、8.13mmol)に添加し、混合物を2−エトキシエタノール(40mL)中で可溶化した。混合物を30分間窒素でバブリングして脱気し、その後炭酸カリウム(1.123g、8.13mmol)を添加した。混合物を室温で48時間撹拌した後、200mLのイソプロパノールを添加した。混合物をセライト(登録商標)プラグで濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をトリエチルアミンで前処理したシリカゲルカラムでヘプタン中20%のジクロロメタン(DCM)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。固体生成物をメタノール(20mL)で洗浄して濾過をし、0.220g(収率10%)の純粋なドーパント(HPLCで99.5%)を得た。
【0080】
化合物9の合成
【化29】
イリジウム(III)二量体(1.70g、1.18mmol)と3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(2.51g、11.8mmol)をエトキシエタノール(50mL)中で溶解し、炭酸ナトリウム(0.63g、5.90mmol)を添加し、混合物に窒素をバブリングして脱気した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、温度を2時間45℃に上げた。室温まで冷却したら、沈殿物をセライト(登録商標)で濾過し、MeOHとヘプタンで洗浄した。セライト(登録商標)から得られた濾液をDCM(5%のEt
3Nを含む)中で懸濁し、濾過し蒸発させた。得られた赤色固体(0.6g)はHPLCで99.6%の純度であった。
【0081】
化合物12の合成
【化30】
イリジウム(III)二量体(1.75g、1.17mmol)と3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(2.48g、11.7mmol)を2−エトキシエタノール(40mL)中で懸濁し、30分間窒素でバブリングして脱気し、炭酸セシウム(2.26g、11.7mmol)を溶液に添加した。その後、混合物を90℃で一晩撹拌した。ジクロロメタン(100mL)を溶液に添加し、溶液をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、パッドをジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、赤色固体をセライト(登録商標)に塗布し、ヘプタン中10%のDCMを用い、トリエチルアミンで前処理したシリカゲルカラムにおけるカラムクロマトグラフィーによって精製した。溶媒を蒸発させて赤色固体を得て、固体をメタノールで洗浄し、赤色固体の純粋な目的生成物(0.430g、収率40%)を得た。
【0082】
化合物32の合成
【化31】
2−エトキシエタノール中(40mL)のイリジウム(III)二量体(1.32g、0.85mmol)を30分間窒素で脱気し、3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(1.81g、8.50mmol)と炭酸カリウム(1.18g、8.50mmol)と混合した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物をセライト(登録商標)のプラグで濾過し、MeOHで洗浄した。沈殿物を5%Et
3N/CH
2Cl
2を含むセライト(登録商標)で抽出し、99.9%の純粋な生成物(HPLC)0.2gを得た。濾液を真空で濃縮し、DCM中で溶解し、上部をメタノールの層にすることで再結晶化した。得られた結晶は99.6%の純度で、他の生成物と合わせて、表題化合物全量0.42g(収率26%)を得た。
【0083】
化合物43の合成
【化32】
イリジウム(III)二量体(1.75g、1.09mmol)と3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(2.31g、10.9mmol)を2―エトキシエタノール(40mL)で希釈し、30分間窒素でバブリングをして脱気し、炭酸カリウム(1.50g、10.9mmol)を混合物に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン(100mL)を添加し;反応混合物をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、そのパッドをジクロロメタンで洗浄した。溶媒を蒸発させ、赤色固体をセライト(登録商標)に塗布し、溶離液としてヘプタン中10%DCMを用いて、トリエチルアミンで前処理したシリカゲルにより、カラムクロマトグラフィーで精製した。得られた赤色固体をメタノールで洗浄し、ヘプタン中5%DCMを用いたカラムクロマトグラフィーで再精製し、純粋な目的生成物(340mg、収率31%)を得た。
【0085】
5−シクロペンチル−2−(3,5−ジメチルフェニル)キノリンの合成
【化33】
5−クロロ−2−(3,5−ジメチルフェニル)キノリン(4.29g、16.0mmol)、2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−N2,N2,N6,N6−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−2,6−ジアミン(CPhos)(0.28g、0.64mmol)及びジアセトキシパラジウム(0.072g、0.320mmol)を無水THF(60mL)中で溶解した。THF(0.5M)中にシクロペンチルブロモ亜鉛(II)(44.9mL、22.4mmol)の溶液をシリンジで滴下し、室温で3時間撹拌した。混合物をEA中で希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘプタン/EA 4/1(v/v)で溶離した。その後、黄色粉末をヘプタンから再結晶化し、無色の結晶(3.5g、収率72%)として表題化合物を得た。
【0086】
イリジウム(III)二量体の合成
【化34】
5−クロロペンチル−2−(3,5−ジメチルフェニル)キノリン(3.56g、11.8mmol)及び塩化イリジウム(III)三水和物(1.30g、3.69mmol)をエトキシエタノール(90mL)と水(30mL)の混合物中で溶解した。反応混合物を脱気し、105℃で24時間加熱した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、ろ紙で濾過した。濾液をメタノールで洗浄し、真空で乾燥し、黒色固体1.60g(収率54%)としてイリジウム錯体二量体を得た。
【0087】
化合物54の合成
【化35】
イリジウム錯体二量体(1.60g、1.00mmol)、3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(2.12g、9.98mmol)及び炭酸ナトリウム(0.53g、4.99mmol)を50mLのエトキシエタノール中で懸濁し、N
2下で一晩、室温で撹拌した。その後、反応生成物をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、メタノールで洗浄した。赤色材料の大部分を可溶化し、セライト(登録商標)で通した。セライト(登録商標)をDCM中で懸濁し、10%トリエチルアミンと懸濁液の含有物を濾液と合わせて、蒸発させた。残渣を、Et
3Nで前処理し、ヘキサン/酢酸エチル9/1(v/v)で溶離したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、暗赤色の固体を得た。アセトニトリルで溶離した逆相C18カラムで追加の精製をし、蒸発させた後、暗赤色の固体(0.75mg、収率37%)で目的の錯体を得た。
【0088】
化合物55の合成
【化36】
イリジウム(III)二量体(2.40g、1.45mmol)、炭酸カリウム(2.00g、14.5mmol)及び3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(3.08g、14.5mmol)を40mLのエトキシエタノールで懸濁し、脱気し、一晩、45℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、セライト(登録商標)のパッドで濾過し、パッドを冷たいメタノールで洗浄した。セライト(登録商標)のパッドと合わせた沈殿物を5%のEt
3Nの入った50mLのDCM中で懸濁し、シリカプラグで濾過した。混合溶液を蒸発させ、赤色固体を得た。DCM/アセトニトリル/メタノール混合物からの結晶化から1.4gの目的錯体(収率48%)を得た。
【0089】
化合物62の合成
【化37】
クロロブリッジ二量体(6.08g、3.54mmol)、3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(4.26g、20.06mmol)、炭酸ナトリウム(3.75g、35.4mmol)及び120mLの2−エトキシエタノールを500mLの丸底フラスコに添加した。反応混合物を一晩、窒素下で撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)、塩基性アルミナ及びシリカゲルを含むプラグの上に注いだ。プラグを10%のトリエチルアミン/ヘプタンで前処理し、前処理したプラグをヘプタンとジクロロメタンで洗浄した。プラグをジクロロメタンで溶離した。濾液をイソプロパノールの存在下で蒸発させ、固体をイソプロパノールから濾過した。固体をテトラヒドロフラン中に溶解し、そこにイソプロパノールを添加した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、溶液を濃縮した。赤色固体を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥した(4.39g,収率60%)。
【0091】
イリジウム(III)二量体(2.50g、2.49mmol)、3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(3.70g、17.43mmol)及び炭酸カリウム(2.41g、17.4mmol)を50mLのエトキシエタノール中で懸濁し、反応混合物を脱気し、周囲温度で24時間撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドで洗浄し、パッドをMeOHで洗浄した。セライト(登録商標)に残った固体を10%のEt
3Nを含むDMC中で懸濁し、シリカプラグで濾過し、蒸発させた。固体の残渣をDCM/THF/MeOH混合物から結晶化し、目的錯体を赤色固体(3.1g、収率65%)として得た。
【0093】
4−フルオロ−3,5−ジメチルベンゾイルクロライドの合成
【化39】
塩化オキサリル(6.93ml、79mmol)をジクロロメタン(360mL)とDMF(0.06mL、0.720mmol)中の4−フルオロ−3,5−ジメチル安息香酸(12.1g、72.0mmol)の溶液に、窒素下、室温で滴下した。混合物を室温で撹拌し、TLCで監視した。混合物の全ての可溶化は3時間以内に起こった。追加の1時間後に全ての反応が完了した。溶媒を減圧下で除去し、粗混合物を高真空で乾燥し、これらを追加の生成をせずに使用した。
【0094】
4−フルオロ−N−(4−イソプロピルフェネチル)−3,5−ジメチルベンズアミドの合成
【化40】
ピリジン(12.12mL、150mmol)と2−(4−イソプロピルフェニル)エタンアミン塩酸塩(10g、50.1mmol)を三つ口フラスコに添加し、DCM(50mL)中で溶解した。溶液を氷浴で冷却し、4−フルオロ−3,5−ジメチルベンゾイルクロライド(10.28g、55.1mmol)を徐々に添加し(一部ずつ)、混合物を室温で12時間撹拌した。DCMを溶液に添加し、有機層を5%HCl溶液で洗浄し、その後5%NaOH溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を蒸発させ、粗化合物を追加の精製をせずに使用した。
【0095】
1−(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)−7−イソプロピル−3,4−ジヒドロイソキノリンの合成
【化41】
4−フルオロ−N−(4−イソプロピルフェネチル)−3,5−ジメチルベンズアミド(15g、47.9mmol)、五酸化リン(42.8g、302mmol)及びホスホリルオキソクロライド(44.6mL、479mmol)をキシレン(100mL)中で希釈し、その後3時間窒素下で還流した。GCMSにより、2.5時間で反応が終了した。反応混合物を室温まで冷却し、一晩撹拌し、溶媒をデカントし、氷を徐々に生成物に添加した。水中の残渣混合物は50%NaOHを添加して弱アルカリ性にし、生成物をトルエンで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を追加の精製をせずに使用した。
【0096】
1−(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)−7−イソプロピルイソキノリンの合成
【化42】
キシレン(240mL)中の1−(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)−7−イソプロピル−3,4−ジヒドロイソキノリン(14.4g、47.9mmol)の溶液を15分間、窒素でバブリングをして脱気した。その間、炭素上5%パラジウム(2.55g、2.39mmol)を添加した。混合物を加熱して、一晩還流した。反応をTLCで観察した。混合物をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をセライトに塗布し、ヘプタン中10%EAを使用したカラムクロマトグラフィーで精製し、最初の不純物を出させた。EAの体積は15%へと徐々に上昇し、目的物を出させた。HPLCで10分後に出てきた目的の生成物は2%の不純物を含む。95/5MeCN/水(v/v)で溶離したC18逆相クロマトグラフィーで4.5gの純粋生成物(4段階で収率32%)を得た。
【0097】
イリジウム(III)二量体の合成
【化43】
塩化イリジウム(III)三水和物(1.64g、4.65mmol)と1−(4−フルオロ−3,5−ジメチルフェニル)−7−イソプロピルイソキノリン(4.09g、13.95mmol)をエトキシエタノール(50mL)と水(12mL)の中で懸濁し、窒素をバブリングして脱気し、オイルバスに105℃で一晩浸した。室温に冷却した後、固体を濾過し、メタノールで洗浄した。洗浄したものを真空で乾燥し、1.8g(収率74%)の赤色固体を得た。
【0098】
化合物93の合成
【化44】
イリジウム(III)二量体(1.00g、0.96mmol)を3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(1.53g、7.21mmol)と合わせ、2−エトキシエタノール(36mL)で希釈した。溶液を15分間、窒素をバブリングして脱気した。その後、炭酸カリウム(0.997g、7.21mmol)を溶液に添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。明赤色の沈殿物をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を処分し、セライト(登録商標)のパッドの上部にある固体をDCMで洗浄した。粗生成物をセライトに塗布して、トリエチルアミンを前処理したシリカゲルカラムにおいてヘプタン中5%のDCMを用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。目的化合物を、赤色固体(0.9g)として得た。
【0100】
5−イソブチルキノリンの合成
【化45】
トルエン(600mL)中、5−ブロモキノリン(20g、93mmol)、イソブチルボロン酸(19.4g、186mmol)及びリン酸カリウム、H
2O(64.4g、280mmol)の混合物を20分間、N
2でパージし、その後Pd
2dba
3(1.71g、1.87mmol)とジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(3.06g、7.46mmol)(SPhOS)を添加した。混合物を加熱し、一晩還流した。反応は完了するまで行われた。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/EA:85/15〜7/3(v/v)グラジエント混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、油状物(11.5g、収率67%)を得た。
【0101】
5−イソブチルキノリン1−オキサイドの合成
【化46】
3−クロロ過安息香酸(m−CPBA)(16.6g、74.2mmol)を窒素下0℃に冷却したDCM(150mL)中の5−イソブチルキノリン(12.5g、67.5mmol)の溶液に部分的に添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後50℃で11時間撹拌した。さらに、混合物にm−CPBAを添加し、反応を完了させた。反応が完了したら、反応混合物を水性NaHCO
3でクエンチした。水性混合物をDCMで抽出し、水と食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。粗生成物を、溶離液としてDCM/MeOH:97/3〜95/5(v/v)グラジエント混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、灰白色の固体(11.0g、収率80.0%)を得た。
【0102】
5−イソブチルキノリン−2(1H)−オンの合成
【化47】
無水トリフルオロ酢酸(61.8mL、437mmol)を0℃で、N
2下でDMF(70mL)中に5−イソブチルキノリン1−オキサイド(11g、54.7mmol)を撹拌した溶液に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応が完了したら、無水トリフルオロ酢酸を減圧下で除去した。残渣を水性NaHCO
3でクエンチし、更に水で希釈した。粗生成物は水性DMFを用いて再結晶化し、白色固体(8.2g、収率75%)を得た。
【0103】
2−クロロ−5−イソブチルキノリンの合成
【化48】
オキシ塩化リン(7.60mL、81mmol)をDMF(160mL)中5−イソブチルキノリン−2(1H)−オン(8.2g、40.7mmol)の溶液に、30分間N
2下で滴下した。その後、反応混合物を80℃で加熱した。反応を完了させた後、残っているPOCl
3を減圧下で蒸発させ、水性Na
2CO
3を注意深く添加した。固体を分離し、灰白色固体(8.1g、収率91%)を得た。
【0104】
2−(3,5−ジクロロフェニル)−5−イソブチルキノリンの合成
【化49】
窒素ガスを、THF(250mL)と水(50mL)中、(3,5−ジクロロフェニル)ボロン酸(10.6g、55.5mmol)、2−クロロ−5−イソブチルキノリン(8.13g、37mmol)及びNa
2CO
3(7.84g、74.0mmol)の混合物中で30分間バブリングした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.71g、1.48mmol)を添加し、混合物を加熱し一晩還流した。反応完了させた後(GCMSで観察)、反応混合物を酢酸エチル中で希釈して混合し、食塩水と水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を得て、溶離液としてヘプタン/EA:98/2〜96/(v/v)グラジエント混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、固体(8.0g、収率66%)を得た。
【0105】
2−(3,5−ジメチル(D6)フェニル)−5−イソブチルキノリンの合成
【化50】
ジエチルエーテル(1.0M)中のCD
3MgI(61mL、61mmol)をジエチルエーテル(120mL)中2−(3,5−ジクロロフェニル)−5−イソブチルキノリン(8.0g、24.2mmol)とジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル(Ni(dppp)Cl
2)(0.39g、0.73mmol)の30分間撹拌させた混合物に添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。反応を完了させた後、反応混合物を氷浴で冷却し、水で注意深くクエンチした。混合物をEAで抽出し、水(3回)と食塩水で洗浄した。粗生成物を、溶離液としてヘプタン/DCM/EA 89/10/1〜84/15/1(v/v/v)グラジエント混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、油状物(6.5g、収率91%)を得た。
【0106】
イリジウム(III)二量体の合成
【化51】
エトキシエタノール(30mL)と水(10mL)中、2−(3,5−ジメチル(D
6)フェニル)−5−イソブチルキノリン(5.17g、17.5mmol)と塩化イリジウム(III)(1.80g、4.86mmol)の混合物をN
2で30分間バブリングして脱気した後、100℃で19時間加熱した。反応混合物を冷却し、少量のMeOHを添加した。イリジウム(III)二量体を濾過で分離し、固体(2.40g、収率61%)を得て、固体は追加の精製をせずに次の反応に使用した。
【0107】
化合物118の合成
【化52】
エトキシエタノール(25mL)中、イリジウム(III)二量体(1.30g、0.80mmol)、3,7−ジエチルノナン−4,6−ジオン(1.69g、7.96mmol)及びNa
2CO
3(1.69g、15.9mmol)の混合物を20分間脱気し、室温で24時間撹拌した。混合反応物を濾過し、少量のメタノールとヘプタンで洗浄した。固体をDCM中10%トリエチルアミン(TEA)中で溶解した。混合物を濾過し、減圧下で蒸発させた。赤色固体を5%TEAによるDCM/IPAから再結晶化し、赤色固体(7.0g、収率44%)を得た。
【0108】
化合物141の合成
【化53】
イリジウム(III)二量体(0.80g、0.58mmol)と6−エチル−2−メチルオクタン−3,5−ジオン(0.75g、4.06mmol)を丸底フラスコに添加した。混合物を2−エトキシエタノール(40mL)中で希釈し、30分間窒素で脱気をし、混合物にK
2CO
3(0.60g、4.33mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。沈殿物をセライト(登録商標)のパッドで濾過した。溶媒を蒸発させ、粗生成物を、ヘプタン/DCM95/5(v/v)の混合物を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。純粋な生成物(0.65g、収率67%)を得た。
【0109】
化合物142の合成
【化54】
イリジウム(III)二量体(0.80g、0.56mmol)と6−エチル−2−メチルオクタン−3,5−ジオン(0.77g、4.16mmol)をエトキシエタノール(19mL)中で溶解した。混合物を15分間、窒素でバブリングして脱気し、K
2CO
3(0.576g、4.16mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。ジクロロメタンを混合物に添加し、セライト(登録商標)のパッドで溶液を濾過し、濾液が透明になるまでジクロロメタンで洗浄した。粗生成物をトリエチルアミンで処理したシリカゲルカラムを用いてヘプタン/ジクロロメタン95/5(v/v)の混合物で溶離したカラムクロマトグラフィーで精製した。純粋な生成物を赤色粉末として回収した(0.35g、収率67%)。
【0110】
化合物176の合成
【化55】
イリジウム(III)二量体(0.75g、0.47mmol)と6−エチル−2−メチルオクタン−3,5−ジオン(0.64g、3.50mmol)をエトキシエタノール(16mL)で希釈し、30分間窒素で脱気した。混合物にK
2CO
3(0.48g、3.50mmol)を添加し、室温で一晩撹拌した。DCMを混合物に添加し、生成物を可溶化した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドで濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘプタン/DCM 95/5(v/v)の混合物で溶離したシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、純粋な生成物(0.59g、収率66%)を得た。
【0111】
化合物278の合成
【化56】
クロロブリッジ二量体(4.37g、2.91mmol)、3,7−ジエチル−5−メチルノナン−4,6−ジオン(3.7g、16.4mmol)、炭酸ナトリウム(3.08g、29.1mmol)及び100mLの2−エトキシエタノールを丸型フラスコに添加した。反応混合物を室温で48時間、窒素下で撹拌した。反応混合物をセライト(登録商標)、塩基性アルミナ及びシリカゲルを含むプラグの上に注いだ。プラグを10%トリエチルアミン/ヘプタンで前処理をし、その後ヘプタンとジクロロメタンで洗浄した。プラグをジクロロメタンで溶離した。濾液をイソプロパノールの存在下で蒸発させ、固体をイソプロパノールから濾過した。固体をテトラヒドロフラン中で溶解し、イソプロパノールを混合物に添加した。テトラヒドロフランをロトバプで除去し、溶液を濃縮した。赤色固体を濾過し、イソプロパノールで洗浄した(0.79g、収率16%)。
【0112】
化合物320の合成
【化57】
イリジウム(III)二量体(2.00g、1.25mmol)、3,7−ジエチルl−5−メチルノナン−4,6−ジオン(1.98g、8.73mmol)及び炭酸カリウム(1.21g、8.73mmol)を50mLのエトキシエタノール中で懸濁した。反応混合物を脱気し、一晩室温で撹拌した。混合物をアイスバス中で冷却し、セライト(登録商標)のパッドで濾過し、パッドを冷たいメタノールで洗浄した。セライト(登録商標)に付着した沈殿物を5%のEt
3Nを含むDCM中で懸濁し、シリカパッドで濾過した。溶液を蒸発させ、赤色固体を得た。固体をDCM/MeOHから再結晶化することによって精製し、赤色固体として目的錯体を得た(1.5g、収率59%)。
【0113】
比較化合物4の合成
【化58】
イリジウム(III)二量体(0.70g、0.51mmol)と3−エチルデカン−4,6−ジオン(0.75g、3.79mmol)をエトキシエタノール(17mL)中で懸濁した。反応混合物を15分間窒素でバブリングして脱気し、K
2CO
3(0.52g、3.79mmol)を添加した。混合物を室温で一晩撹拌した。薄層クロマトグラフィーを午前中に行い、二量体が完全に消費したことが示された。ジクロロメタンを混合物に添加し、セライト(登録商標)のパッドで溶液を濾過し、濾液が透明になるまでジクロロメタンで洗浄した。粗生成物をトリエチルアミンで処理したカラムを用いてヘプタン/ジクロロメタン(95/5、v/v)の混合物で溶離したカラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な生成物を赤色粉末として回収した(0.600g、収率70%)。
【0114】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく、他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されているとおりの本発明は、当業者には明らかになるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。