(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱溶着工程において、前記本体の前記第1方向における前記咬合部と反対側に、前記本体が自立するように環状溶着部を形成することを特徴とする請求項4又は5に記載の製袋方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0016】
(電子レンジ用包装袋の全体構成)
まず、実施形態に係る電子レンジ用包装袋10の全体構成を
図1〜
図3に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、電子レンジ用包装袋10は、1以上のフィルム(この例では、矩形の表側の第1フィルム11及び矩形の裏側の第2フィルム12)の周縁部同士を熱溶着して袋状に形成した本体20を備える。
【0018】
第1フィルム11及び第2フィルム12の構成材料としては、フィルム同士が熱溶着可能な材料であれば、任意であり、例えば、通常の包装袋に用いられるヒートシ一ル性を有するプラスチックフィルムが適用可能である。プラスチックフィルムとしては、例えば、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層のフィルムや、シート類、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂等と積層した多層フィルムなどが挙げられる。また、ヒートシール性の良好な材料としては、例えば、公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン一エチレン共重合体、エチレン一酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸あるいはその無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点あるいは低軟化点のポリアミドあるいはコポリアミド樹脂、ポリエステルあるいはコポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などが挙げられる。また、積層する他のプラスチック材料としては、各種バリアフイルムを使用することができる。なお、積層フィルムを用いる場合は、融点の低い樹脂などヒートシ一ル性の良好な熱可塑性樹脂層同士を内面側にして熱溶着することが好ましい。
【0019】
本体20は、咬合部23が設けられる開閉部と、熱溶着されていない開口部15と、第1フィルム11及び第2フィルム12の側辺部同士を熱溶着してなる左右のサイドシール部16と、を備える。また、電子レンジ用包装袋10は、第1フィルム11及び第2フィルム12の間に形成され左右のサイドシール部16及び咬合部23に囲われる空間であって内容物を収容可能な収容部17を備える。電子レンジ用包装袋10では、例えば、開口部15を上方側に向けた状態で、内容物を開口部15から収容部17に充填した後、開口部15を熱溶着して密閉する。
【0020】
第1フィルム11及び第2フィルム12には、商品に関する画像や文字などを表示した各種の表示部21を印刷することができる。後述する
図9ないし14に示すように、商品の表側となる第1フィルム11と裏側となる第2フィルム12に複数の表示部21を設ける。
【0021】
図2に示すように、2枚のフィルムのうち一方のフィルム(ここでは、第1フィルム11)は、左右のサイドシール部16の間に形成されるフラップ18を有する。
【0022】
このフラップ18は、サイドシール部16の延在方向(以下、「第1方向」と称する)の中央部よりも外側(咬合部23側)に偏った位置に、第1方向と直交する方向(以下、「第2方向」と称する)の全幅にわたって設けられる。
【0023】
図3に示すように、フラップ18は、1以上のフィルムの一部(ここでは、第1フィルム11の一部)を合掌状に折り込み、かつ、その折り返し部18bを切断することで形成される。フラップ18は、互いに重なる一対の平面部18aと、一対の平面部18aの上辺部側に設けられ、折り返し部18bを切断して形成される開放端18b1と、一対の平面部18aの下辺部に形成され、収容部17に連通する連通部18cとを有する。なお、
図3において符号hは、フラップ18の切断前の長さ(折り返し部18bを切断する前の折り返し部18bから連通部18cまでの距離に相当)である。
【0024】
(帯状シール部18f、蒸気抜きシール部18eの構成)
次に、帯状シール部18f及び蒸気抜きシール部18eの構成を
図2に基づいて説明する。
【0025】
図2に示すように、フラップ18は、その内部に所定の幅をもつシール部を有する。このシール部は、一対の平面部18aの左右の側辺部同士を熱溶着してなる左右の側辺シール部18dと、電子レンジ用包装袋10が密封状態で加熱されたときに剥離可能な蒸気抜きシール部18eと、蒸気抜きシール部18eから左右の側辺シール部18dまで延在する帯状シール部18fとを含む。
【0026】
帯状シール部18fは、蒸気抜きシール部18eの開始点P1,P2からフラップ18の左右の端部に向かって下り傾斜に形成される。蒸気抜きシール部18eは、連通部18c側に向かって略V字状に湾曲させて突出した形状であり、湾曲形状を開始する2点の開始点P1,P2を結んだ線Qよりも連通部18c側に形成されており、2点の開始点P1,P2のそれぞれから傾斜する左右の傾斜部18e1と、左右の傾斜部18e1が交差する先端部18e2と、を有する。
【0027】
さらに、電子レンジ用包装袋10において、このフラップ18よりもさらに外側に偏った本体20の内部には、本体20を開閉する咬合部23が本体20の第2方向の幅にわたって取り付けられる。
【0028】
(咬合部23の構成)
この咬合部23の構成を
図3に基づいて説明する。
図3に示すように、咬合部23は、袋の外縁を開封自在に密閉することが可能な雄部材25及び雌部材26からなる一対の係合部材を備え、雄部材25と雌部材26とが面状に接触し合う密封型咬合具である。この咬合部23は、雄部材25及び雌部材26の一方が第1方向の内側において本体20との未溶着部27を有するように形成される。
【0029】
雄部材25は、第1フィルム11の内面に溶着される帯状の雄側基部25aと、この雄側基部25aの内面に一体に形成される雄側フック部25bと、を有する。雌部材26は、第2フィルム12の内面に溶着される帯状の雌側基部26aと、この雌側基部26aの内面に形成され、雄側フック部25bと咬み合って本体20を密閉し雄側フック部25bから離脱して本体20を開放する雌側フック部26bと、を有する。
【0030】
雄側基部25aは、その第1方向の内側及び外側のそれぞれに、第1フィルム11に接触可能な接触部25a1,25a2を有する。一方、雌側基部26aは、その第1方向の内側及び外側のそれぞれに、第2フィルム12に接触可能な接触部26a1,26a2を有する。そして、これらの4つの接触部25a1,25a2,26a1,26a2のうち、雌部材26の第1方向における内側の接触部26a2は、第2フィルム12に熱溶着されない未溶着部27とし、残りの3つ接触部25a1,25a2,26a1は、第1フィルム11及び第2フィルム12に溶着された溶着部分として形成する。
【0031】
雄側フック部25b及び雌側フック部26bの先端のツメ28の向きは、任意に設定可能であるが、例えば、使用者が咬合部23を開いて開封する際には、第1方向の外側から開封し易くする一方、電子レンジで加熱する際には、内圧が上昇しても第1方向の内側からは開封しにくくなるように、雄側フック部25b及び雌側フック部26bの先端のツメ28の向きを設定することができる。ここでは、第1方向における最も外側の雄側フック部25b及び雌側フック部26bでは互いのツメ28が咬み合わないように各ツメ28の向きを設定し、これにより、使用者が咬合部23を第1方向の外側から容易に開封できるようにする。また、第1方向における最も内側の雄側フック部25bと雌側フック部26bでは互いのツメ28が咬み合うように各ツメ28の向きを設定し、これにより、電子レンジで加熱する際に内圧が上昇しても、咬合部23が第1方向の内側から容易に開封しないようにする。さらに、雄側フック部25b及び雌側フック部26bを有する咬合部23は第1フィルム11及び第2フィルム12のシートシール層を構成する最内層の樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂にて形成することが好ましい。このように雄側フック部25b及び雌側フック部26bを構成することにより、使用時における易開封性と、加熱時における耐熱性及び高い開封強度(密封性)とを咬合部23に付与することができる。
【0032】
(電子レンジ用包装袋10の作用)
電子レンジ用包装袋10の作用を
図4、
図5に基づいて説明する。
図4に示すように、電子レンジ用包装袋10では、電子レンジで内容物の水分が加熱されて収容部17の内圧が上昇すると、収容部17が膨張し、蒸気抜きシール部18eの先端部18e2に力が集中的に加わるようになる。これにより、蒸気抜きシール部18eにおいて、先端部18e2を起点に2枚の平面部18aが剥離し、この剥離した蒸気抜きシール部18eからの蒸気が、開放端18b1を介してフラップ18の内部から外部に排出される。また、連通部18c側に突出したエッジ部22が形成されるため、収容部17内の蒸気がフラップ18の外部に放出する際、一部の蒸気がエッジ部22にぶつかる。これにより、蒸気の流れが変動して渦を発生させ、蒸気抜きシール部18eにおいて音を発生させることもできる。
【0033】
一方、
図5に示すように、咬合部23では、収容部17の内圧が上昇すると、未溶着部27の作用により、第2フィルム12が雌側基部26aの外側の接触部26a1の際まで膨らむ。このため、2つの接触部25a1,25a2が溶着されている雄側基部25aでは、雄側基部25aの第1方向における内側の接触部25a2に応力が生じ、外側の接触部26a1のみが溶着されている雌側基部26aでは、外側の接触部26a1に応力が生じる。その結果、咬合部23には、咬合部23が開く方向ではなく咬合部23をせん断するような力が斜めに加わる。したがって、収容部17の内圧が上昇しても、咬合部23が開いてしまうことが防止されるため、咬合部23からの内容物の漏れや蒸気抜けを防止でき、確実に蒸気抜きシール部18eより蒸気を抜くことができる。
【0034】
なお、蒸気抜きシール部18eにおけるより確実な蒸気抜きを実現するため、内圧に対する咬合部23の開封強度は、蒸気抜きシール部18eの開封強度の5倍以上20倍以下に設定することが好適である。
【0035】
(電子レンジ用包装袋の他の例)
次に、電子レンジ用包装袋の他の例の構成を
図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、電子レンジ用包装袋90は、複数のフィルムの周縁部同士を熱溶着して袋状に形成した本体20と、本体20の上端に設けられる咬合部23と、咬合部23よりも下方位置に設けられるフラップ18とを備えるスタンディングパウチである。
【0036】
本体20は、底部フィルム91と、この底部フィルム91から立ち上がる胴部フィルム92a,92bと、胴部フィルム92a,92bの上部に設けられる上部フィルム93と、で構成される。
【0037】
底部フィルム91は、折り曲げ部95にて折り曲げ可能に形成される。底部フィルム91の周囲には、底部フィルム91の周縁部と胴部フィルム92a,92bの下端とが溶着された部分であって、底部フィルム91が展開された状態において本体20を自立させるための環状溶着部96が形成される。この環状溶着部96は、上下方向において咬合部23と反対側(本発明にいう「第1方向における咬合部と反対側」に相当)に設けられる。
【0038】
咬合部23は、上部フィルム93に溶着される雄部材25と、胴部フィルム92aに溶着される雌部材26とを備え、雄部材25及び雌部材26の一方が本体の第1方向の内側において本体20との未溶着部27を有するように形成される。
【0039】
フラップ18は、胴部フィルム92bの端部と上部フィルム93の端部とによって形成される部分である。この場合、フラップ18の開放端18b1は、折り返し部を切断して形成したものはなく、2枚のフィルムの端部が揃えられて重なることで形成される開放した部分である。
【0040】
図6(b)に示すように、フラップ18は、その内部に所定の幅をもつシール部を有し、このシール部は、左右の側辺シール部18d、蒸気抜きシール部18e及び帯状シール部18fを含む。
【0041】
このように構成されるスタンディングパウチ(電子レンジ用包装袋90)においても、前述した電子レンジ用包装袋10(
図1参照)と同様に、未溶着部27の作用により、収容部17の内圧が上昇しても咬合部23が開くことが防止されるため、咬合部23からの内容物の漏れや蒸気抜けを防止でき、確実に蒸気抜きシール部18eより蒸気を抜くことができる。
【0042】
(製袋装置30及び製袋方法)
続いて、実施形態に係る製袋装置30及び製袋方法を
図7〜
図18に基づいて説明する。
【0043】
(連続体10Aの構成)
製袋装置30及び製袋方法の説明に先立ち、製造対象である電子レンジ用包装袋10(
図1参照)の連続体10Aについて説明する。
【0044】
図7に示すように、連続体10Aは、2つの電子レンジ用包装袋10が咬合部23側において連なった形態であり、一対の咬合部23の間に設けた中心線Cで連続体10Aを切断することで2つの電子レンジ用包装袋10に分離することができ、分離された2つの電子レンジ用包装袋10は、それぞれ1つの包装体として使用することができる。
【0045】
(製袋装置30の構成)
図8に示すように、製袋装置30は、フィルムシート31を複数の送りローラ32によって走行させながら加工して連続体10A(
図7参照)を製造する装置である。
【0046】
製袋装置30は、原反ロール33からフィルムシート31を繰り出す繰り出し部35と、フィルムシート31の方向を変換する方向変換ローラ36と、フィルムシート31を切り分けるシート切り分け部37と、を備える。さらに、製袋装置30は、切り分けられた上側の第1フィルムシート41及び下側の第2フィルムシート42のそれぞれの方向を変換する第1変換ローラ51及び第2変換ローラ52と、フラップ18(
図7参照)を形成する折り込み部53と、第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42を熱溶着により貼り合せて袋状に形成する熱溶着部55と、折り返し部18b(
図3参照)をトリミングするトリミング手段80と、第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42を連続体10A(
図7参照)に切断する切断部57と、を備える。
【0047】
(製袋方法の説明)
この製袋装置30を用いて連続体10Aを製造する製袋方法は、繰り出し工程、一次変換工程、シート切り分け工程、二次変換工程、折り込み工程、熱溶着工程、トリミング工程及び切断工程を備える。以下、各工程を順次説明する。
【0048】
(繰り出し工程)
図9に示すように、繰り出し工程では、供給軸35aを有する繰り出し部35を用いる。原反ロール33は、表示部21が印刷された長尺帯状のフィルムシート31を巻き芯33aに巻いたものであり、供給軸35aに回転可能に支持される。
【0049】
図10に示すように、フィルムシート31は、切断予定線58を挟んで、幅方向の一側の領域が第1フィルム11(
図7参照)を形成する第1フィルムシート41であり、幅方向の他側の領域が第2フィルム12(
図7参照)を形成する第2フィルムシート42である。このフィルムシート31では、一対のフラップ18(
図7参照)がまだ形成されていないため、第2フィルムシート42の幅Wよりも、第1フィルムシート41の幅(W+α)が、一対のフラップ18(
図7参照)の折り込み量(長さh(
図3参照)のほぼ4倍)に相当する分αだけ、幅広になるように、切断予定線58の位置が設定される。
【0050】
繰り出し工程では、フィルムシート31を原反ロール33から繰り出し、幅方向が水平である(第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42が水平方向に並ぶ)第1のシート向きで、送りローラ32によって下流側に供給する。なお、以下の説明において、「第1のシート向き」に対し、幅方向が垂直である(第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42が垂直方向に並ぶ)ようにフィルムシート31を走行させることを「第2のシート向き」と称する。
【0051】
(一次変換工程)
一次変換工程では、水平方向に対して45°の傾斜角度で傾斜した方向変換ローラ36(
図8参照)を用い、第1のシート向きで繰り出されたフィルムシート31を第2のシート向きに、90°方向変換する。
【0052】
(シート切り分け工程)
図11に示すように、シート切り分け工程では、シート切り分け部37において、第2のシート向きに変換されたフィルムシート31を複数の送りローラ32により蛇行させながら走行させることにより、フィルムシート31に張力を加えながら、フィルムシート31を走行方向(長さ方向)に沿って切断手段37a(例えば、カッター)で切断する。より具体的には、第2のシート向きに変換されたフィルムシート31を切断予定線58にて切断手段37aで切断し、フィルムシート31を幅方向において第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42に切り分ける。
【0053】
(二次変換工程)
図12に示すように、二次変換工程では、切り分けられた第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42のそれぞれを第2のシート向きから再び第1のシート向きに90°方向変換する第1変換ローラ51及び第2変換ローラ52を用いる。第1変換ローラ51及び第2変換ローラ52は、所定の角度をなして配置されており、この例では、同一垂直面上において90°の角度で横V字状をなして配置される。
【0054】
第1変換ローラ51は、切断手段37aで形成された切断線38側に基端部51aが位置するとともに、この基端部51aから水平方向に対して45°の傾斜角度で切断線38に対し走行方向前方への斜め上方向に沿って延びる。一方、第2変換ローラ52は、基端部52aが切断線38側に位置するとともに、この基端部52aから水平方向に対して45°の傾斜角度で切断線38に対し走行方向前方への斜め下方向に沿って延びる。そして、第2変換ローラ52の基端部52aの端面52bが第1変換ローラ51の基端部51aの周面51bに隙間を有して対向するように、第1変換ローラ51及び第2変換ローラ52をフィルムシート31の走行方向においてずらして配置する。より具体的には、第1フィルムシート41の一側縁41aと第2フィルムシート42の一側縁41aとが、1つのフラップ18の折り込み量、つまり長さh(
図3参照)のほぼ2倍分に相当する距離Lだけ幅方向にずれるように第1変換ローラ51及び第2変換ローラ52を配置する。これにより、第1のシート向きに変換された第1フィルムシート41の幅方向中心位置C1と、第1のシート向きに変換された第2フィルムシート42の幅方向中心位置C2とが揃う。
【0055】
第1のシート向きに変換された第1フィルムシート41は、複数の送りローラ32によって上側経路61(
図8参照)を通過し下降する。一方、第1のシート向きに変換された第2フィルムシート42は、複数の送りローラ32によって下側経路62(
図8参照)を通過し上昇する。そして、第1フィルムシート41と第2フィルムシート42は、幅方向中心位置C1,C2が揃った状態で重なる。なお、このように第1フィルムシート41と第2フィルムシート42を重ねる工程は、本発明に係る「フィルム重ね合わせ工程」に相当する。
【0056】
これに対し、
図13に示すように、仮に、フィルムシート31の走行方向において、第1変換ローラ51の基端部51a及び第2変換ローラ52の基端部52aの位置を揃えた場合、第1フィルムシート41の一側縁41a及び第2フィルムシート42の一側縁42aが揃ってしまう。この場合、第1フィルムシート41の幅方向中心位置C1と、第2フィルムシート42の幅方向中心位置C2とが距離δ(長さh(
図3参照)のほぼ2倍分)だけずれてしまい、幅方向中心位置C1,C2を揃えて第1フィルムシート41と第2フィルムシート42とを上下に重ねることはできない。
【0057】
この点、本実施形態では、
図12に示すように、第2変換ローラ52の基端部52aと第1変換ローラ51の基端部51aとをフィルムシート31の走行方向においてずらして配置することにより、幅広の第1フィルムシート41の方向変換に対し、距離Lだけ幅狭の第2フィルムシート42を遅らせて水平方向に変換可能であるため、幅方向中心位置C1,C2が揃った状態で第1フィルムシート41と第2フィルムシート42とを上下に重ねることができる。
【0058】
(折り込み工程)
図14に示すように、折り込み工程では、折り込み部53を用いる。折り込み部53は、第1フィルムシート41の幅方向中央部を押さえる中央板53aと、中央板53aの幅方向両端部の上側に重なり一対のフラップ18(
図7参照)に対応した一対の側板53bと、により構成される。中央板53a及び一対の側板53bのそれぞれの上流側の端部53a1,53b1は、第1フィルムシート41の上流側に向かって先細る形状を呈する。
【0059】
図15に示すように、折り込み工程では、第1のシート向きに変換された第1フィルムシート41の幅方向一側において、一方の側板53bが第1フィルムシート41の一部を中央板53aの上側に折り込んで1つのフラップ18を形成する。これと同時に、第1フィルムシート41の幅方向他側において、他方の側板53bが第1フィルムシート41の一部を中央板53aの上側に折り込んで1つのフラップ18を形成する。これにより、第1フィルムシート41の幅方向中心位置C1を挟む一対のフラップ18を一対の電子レンジ用包装袋10(
図7参照)に対応して形成する。一対のフラップ18が形成された状態の第1フィルムシート41は、一対のフラップ18の折り込み量に相当する分α(
図10参照)だけ幅が縮むため、第2フィルムシート42の幅Wと略同じ幅に形成される。その結果、第1フィルムシート41の左右の側縁位置と第2フィルムシート42の左右の側縁位置が揃う。
【0060】
(熱溶着工程)
熱溶着工程では、熱溶着部55(
図8参照)を用いる。この熱溶着部55は、咬合部取付け手段70(
図8参照)及びヒートシール手段55b(
図8参照)を備える。
【0061】
図16(a)及び(b)に示すように、熱溶着工程では、咬合部取付け手段70を用い、咬合部23を第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42の走行方向に沿って取り付ける。咬合部取付け手段70は、咬合部取付け手段70に対して斜めに導入される咬合部23の連続体を水平な姿勢で導入するガイド部71を備える。
【0062】
図17(a)に示すように、咬合部取付け手段70は、上側ヒータ72U及び下側ヒータ72Dと、上側ヒータ72Uの下側に設けられる雄部材側シールバー75Uと、雄部材側シールバー75Uに対向するように配置され、下側ヒータ72Dの上側に設けられる雌部材側シールバー75Dと、を備える。
【0063】
図17(b)に示すように、雄部材側シールバー75Uは、第1フィルムシート41を雄部材25の第1方向における内側及び外側に押圧可能な2つの押圧部75U1,75U2を有し、雌部材側シールバー75Dは、第2フィルムシート42を雌部材26の第1方向における内側及び外側に押圧可能な2つの押圧部75D1,75D2を有する。これら4つの押圧部75U1,75U2,75D1,75D2は、雄部材25及び雌部材26の一方の第1方向における内側(この例では、雌部材26の接触部26a2)を第2フィルムシート42に熱溶着させない断熱部材、例えばエポキシ樹脂からなる1つの非溶着用の押圧部75D2と、咬合部23を第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42に熱溶着させる金属からなる3つの溶着用の押圧部75U1,75U2,75D1と、により構成される。
【0064】
図17(c)に示すように、熱溶着工程では、雄部材25と雌部材26の間にテフロン
(登録商標)シート76を介在させた状態で、雄部材側シールバー75Uと雌部材側シールバー75Dにより、第1フィルムシート41、雄部材25、雌部材26及び第2フィルムシート42を挟んで溶着する。この際、咬合部取付け手段70によって押圧される、雄部材25及び雌部材26の4つの被押圧部(接触部25a1,25a2,26a1,26a2)のうち、雌部材26の第1方向における内側の被押圧部(接触部26a2)が第2フィルムシート42に溶着されないように、押圧部75D2で被押圧部(接触部26a2)を押圧することにより、咬合部23と第2フィルムシート42が溶着されていない未溶着部27を形成する。
【0065】
ヒートシール手段55b(
図8参照)は、第1フィルムシート41と第2フィルムシート42の幅方向に沿ってサイドシール部16(
図7参照)の熱溶着を行う。さらに、咬合部23の第1方向外側には咬合部23を使用前に外気と遮断するためのシール部を設けても良い。この場合、シール部は使用時に引裂き開封するために咬合部23との間に引裂き開封用のノッチ等を設けることが好ましい。
【0066】
また、熱溶着工程では、フラップ18(
図7参照)における熱溶着も行うが、帯状シール部18f(
図7参照)、蒸気抜きシール部18e(
図7参照)及び側辺シール部18d(
図7参照)を含むシール部は、咬合部取付け手段70及びヒートシール手段55b(
図8参照)とは独立した別のヒートシール手段(図示省略)を用いて形成することができる。帯状シール部18f及び側辺シール部18dの形成に際しては、フラップ18を挟むように配置された複数のシールバーを用いることができる。
【0067】
(トリミング工程)
図18に示すように、トリミング工程では、トリミング手段80を用いる。トリミング手段80は、第1フィルムシート41の上方に配置される支軸81と、この支軸81に支持される一対のカッター82と、支軸81の中央に連結されるとともに一対のフラップ18を下方から両端部で支持する載置部83とを備える。トリミング工程では、折り込み工程で形成された一対のフラップ18を載置部83に載せた状態で、一対の折り返し部18bを一対のカッター82で上方からトリミングし、フラップ18において開放端18b1(
図7参照)を形成する。
【0068】
(切断工程)
切断工程では、カッターなどで構成された切断部57(
図8参照)を用い、熱溶着された第1フィルムシート41及び第2フィルムシート42を所定の長さに切断して、電子レンジ用包装袋10が一対形成された連続体10A(
図7参照)を得る。
【0069】
(製袋方法の他の例)
続いて、実施形態に係る製袋方法の他の例について説明する。前述した電子レンジ用包装袋90(
図6(a)参照)を製造する場合、その製造方法は、底部フィルム91、胴部フィルム92a,92b、上部フィルム93を重ね合わせるフィルム重ね合わせ工程と、底部フィルム91、胴部フィルム92a,92b、上部フィルム93の周縁部同士を熱溶着して袋状の本体20を形成し、フラップ18の内部にV字形状の蒸気抜きシール部18eを含むシール部を形成するとともに、本体20の上部に咬合部23を取り付ける熱溶着工程と、を含む。
【0070】
そして、この熱溶着工程においては、
図19(a)及び(b)に示すように、雄部材25と雌部材26の間にテフロン
(登録商標)シート76を介在させた状態で、雌部材側シールバー75Dと雌部材側シールバー75Dにより、上部フィルム93、雄部材25、雌部材26及び胴部フィルム92aを挟む。そして、咬合部取付け手段70によって押圧される、雄部材25及び雌部材26の4つの被押圧部(接触部25a1,25a2,26a1,26a2)のうち、雌部材26の第1方向における内側の被押圧部(接触部26a2)が胴部フィルム92aに溶着されないように、非溶着用の押圧部75D2で被押圧部(接触部26a2)を押圧することにより、咬合部取付け手段70と本体20が溶着されていない未溶着部27を形成する。
【0071】
(実施形態の効果)
以上、説明した実施形態の効果について述べる。本実施形態によれば、内圧が高くなっても開く方向に応力が加わらない咬合部23と、所定の内圧により開封されるように調整された例えばV字形状の蒸気抜きシール部18eとを組み合わせるとともに、咬合部23の雄部材25及び雌部材26の一方が第1方向の内側において本体20との未溶着部27を有するように形成されているので、内圧が咬合部23にせん断応力として加わる。これにより、咬合部23からの内容物の漏れや蒸気抜けを防止し、確実に蒸気抜きシール部18eより蒸気を抜く電子レンジ用包装袋10,90、及び製袋方法を提供することができる。
【0072】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。蒸気抜きシール部はV字形状のものが開封強度を調整するうえで好ましいが、その他公知の蒸気抜きシール部とすることができ、例えば、サイドシール部の一部を袋内側に張り出した凸部シールとし、凸部シールの袋外縁側に開放された非溶着部を有する蒸気抜きシール部とすること、サイドシール部の一部で袋外縁側に開放された非溶着部を設けることでサイドシール部の一部を狭幅のシール部とした蒸気抜きシール部とすること、サイドシール部に接続して又はサイドシール部から間隔を空けて分離した袋内側に剥離強度が小さくなるように溶着させた溶着部内に貫通孔を設けた蒸気抜きシール部とすることなどができる。さらに上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。