特許第6545260号(P6545260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6545260ヘリコプタータービンエンジンの迅速な再起動システムの完全性を試験するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545260
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ヘリコプタータービンエンジンの迅速な再起動システムの完全性を試験するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/14 20060101AFI20190705BHJP
   F02C 7/277 20060101ALI20190705BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20190705BHJP
   F02C 6/08 20060101ALI20190705BHJP
   F02C 7/262 20060101ALI20190705BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20190705BHJP
   B64F 5/60 20170101ALI20190705BHJP
   B64C 27/12 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   G01M15/14
   F02C7/277
   F01D25/00 V
   F01D25/00 W
   F02C6/08
   F02C7/262
   F02C7/00 F
   B64F5/60
   B64C27/12
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-516457(P2017-516457)
(86)(22)【出願日】2015年9月21日
(65)【公表番号】特表2017-536530(P2017-536530A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】FR2015052529
(87)【国際公開番号】WO2016051048
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年8月23日
(31)【優先権主張番号】1459165
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティリエ,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】バゼ,ジャン−ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】セルギンヌ,カメル
(72)【発明者】
【氏名】マルコニ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】イリゴージェン,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ランフォール,ステファン
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−544329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0178175(US,A1)
【文献】 米国特許第8291715(US,B2)
【文献】 特開昭61−096142(JP,A)
【文献】 特開平11−093812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/00−15/14
B64C 27/12
B64F 5/60
F01D 25/00
F02C 6/08
F02C 7/00−7/277
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボシャフトエンジン(5)に機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジン(5)を回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路(8)によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービン(30)を備える、ヘリコプターの前記ターボシャフトエンジン(5)の再起動のためのシステムの確実性を試験するための装置であって、前記装置は、
−加圧空気をターボシャフトエンジン(5)から引き出すための手段(21、22)と、
−前記空気圧タービン(30)に供給するための前記空気圧供給回路(8)に前記引き出された空気を搬送するためのダクト(23)と、
−前記空気圧タービン(30)の回転速度を測定するための手段と、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
空気圧供給回路(8)と前記ダクト(23)との間の接続点の領域に配置される電磁弁(33)を備え、前記電磁弁(33)が、制御ユニットから指令があると、および前記空気圧供給回路(8)からの加圧ガス供給がないときは、前記ダクト(23)と前記空気圧供給回路(8)との間の空気通路(34)を開き、指令がないとき、または前記空気圧供給回路からの加圧ガス供給が存在するときは、前記空気通路(34)を閉じるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電磁弁(33)が、指令がないときに、または前記空気圧供給回路(8)からの加圧ガス供給が存在するときは、空気通路(34)を閉じたままにしておくのに適した予荷重ばね(35)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
加圧空気をターボシャフトエンジン(5)から引き出すための前記手段(21、22)が、前記ターボシャフトエンジンの圧縮機(14)の領域に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ターボシャフトエンジンに機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジンを回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路(8)によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービン(30)を備える、再起動システムが設けられるヘリコプターターボシャフトエンジンであって、請求項1から4のいずれかに記載の前記再起動システムの確実性を試験するための装置を備えることを特徴とする、ヘリコプターターボシャフトエンジン。
【請求項6】
ーボシャフトエンジン(5)に機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジン(5)を回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路(8)によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービン(30)を備える、ヘリコプターのターボシャフトエンジン(5)の再起動のためのシステムの確実性を試験するための方法であって、
−加圧空気をターボシャフトエンジン(5)から引き出すステップと、
−前記空気を前記空気圧タービン(30)に搬送するステップと、
−前記空気圧タービン(30)の回転速度を測定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記空気圧タービン(30)の測定された回転速度を所定の閾値速度と比較するステップを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記空気搬送ステップが、空気圧供給回路(8)と空気搬送ダクト(23)との間の接続点の領域に配置される電磁弁(33)が開くことを指令するステップを含み、前記電磁弁(33)が、制御ユニットから指令があると、および前記空気圧供給回路(8)からの加圧ガス供給がないときは、前記空気搬送ダクト(23)と前記空気圧供給回路(8)との間の空気通路(34)を開き、指令がないとき、または前記空気圧供給回路(8)からの加圧ガス供給が存在するときは、前記空気通路(34)を閉じるように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電磁弁(33)を開く指令がないとき、およびターボシャフトエンジンの再起動の手順が動作中でない場合に、前記電磁弁(33)が前記空気圧タービン(30)の非ゼロ速度測定値によって意図せずに開かれるかどうか検出するステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
空気圧タービン(30)の状態の傾向を監視することができるように前記空気圧タービン(30)の速度測定値を蓄えるステップを含むことを特徴とする、請求項6から9のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムを完全性試験するための装置および方法に関する。本発明はまた、このタイプの完全性試験装置が設けられるヘリコプターターボシャフトエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、ツインエンジンまたは3エンジンヘリコプターは、2つまたは3つのターボシャフトエンジンを備える推進システムを有し、各ターボシャフトエンジンは、ガス発生器と、ガス発生器によって回転させられ、出力軸に堅固に連結されるフリータービンとを備える。各フリータービンの出力軸は、伝動ギアボックスを作動させるのに適しており、この伝動ギアボックス自体が、ヘリコプターのロータを駆動する。
【0003】
ヘリコプターが巡航飛行状況にある場合(すなわち、離陸、上昇、着陸、またはホバリング飛行の過渡段階は別として、すべての飛行段階中に通常状態で進行している場合)は、ターボシャフトエンジンは、それらの最大連続出力より小さく、低いパワーレベルで作動することが知られている。これらの低いパワーレベルは、ターボシャフトエンジンの燃焼室による時間当たりの燃料の消費量とこのターボシャフトエンジンによって供給される機械的動力との間の比として定義される比消費量(後に、Csと呼ばれる)をもたらし、それは、最大離陸パワーのCsのおよそ30%よりも大きく、したがって巡航飛行時の燃料の過剰消費を引き起こす。
【0004】
そのうえ、ヘリコプターのターボシャフトエンジンは、万一エンジンのうちの1つの故障の場合にヘリコプターを飛行中のままにしておくことができるように必要以上に大きいように設計される。この飛行状況は、エンジンの損失に続いて起こり、その結果、各々機能しているエンジンは、ヘリコプターが危険な状況を克服し次いでその飛行を続けることができるようにその定格パワーよりも著しく大きなパワーを提供することになる。
【0005】
ターボシャフトエンジンはまた、航空機製造業者によって特定された飛行範囲全体にわたる飛行、ならびに特に高い高度および炎天下での飛行を確保することができるように必要以上に大きい。これらの飛行点は、特にヘリコプターがその最大離陸重量に近い重量を有するときの非常に限定的であるが、特定の使用の場合にしか遭遇しない。
【0006】
これらの大きすぎるターボシャフトエンジンは、重量および燃料消費の点から不利である。巡航飛行時にこの消費を低減するために、ターボシャフトエンジンのうちの少なくとも1つを飛行時に待機状態にさせることが考えられる。アクティブエンジンまたは複数のエンジンは、この場合、必要なパワーすべてを提供するためにより高いパワーレベルで、およびしたがってより有利なCsレベルで作動する。
【0007】
ターボシャフトエンジンを待機状態にさせることは、必要なときにターボシャフトエンジンを待機状態から迅速に抜け出させることができる迅速な再起動システムを必要とする。この必要性は、たとえば、アクティブエンジンのうちの1つが作動しなくなること、または飛行状件が不意に悪化することから起こる場合があり、その結果、迅速に復帰されるように全出力が必要とされる。
【0008】
出願人は、ターボシャフトエンジンに機械的に連結され、タービン入口での加圧ガスによる動力をターボシャフトエンジンのガス発生器を駆動する機械的動力に変換することができるように構成される空気圧タービンを用いる迅速な再起動システムを既に提案している。空気圧タービンへのガスの供給は、たとえば、空気圧貯蔵と制御された高速開閉弁の協働によって、または固体推進剤貯蔵装置によって実現され得る。
【0009】
したがって、出願人は、迅速な再起動システムが動作することを確実にすることができ、飛行中に使用され得るような迅速な再起動システムを完全性試験するための方法および装置を開発しようとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムを完全性試験するための装置および方法を提供することを目的としている。
【0011】
本発明は、少なくとも1つの実施形態においては、ツインエンジンまたは3エンジンヘリコプターの推進システムの構成に容易に組み込まれ得る完全性試験装置を提供することを特に目的としている。
【0012】
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの実施形態においては、離陸前に、または飛行中に、ターボシャフトエンジンが待機状態にされる前に地上で実施され得る完全性試験方法を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明は、本発明による完全性試験装置が設けられるターボシャフトエンジンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これを行うために、本発明は、ターボシャフトエンジンに機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジンを回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービンを備える、ヘリコプターのターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムを完全性試験するための装置に関する。
【0015】
本発明による装置は、
−加圧空気をターボシャフトエンジンから引き出すための手段と、
−ガスを前記空気圧タービンに供給するための前記空気圧回路に前記引き出された空気を搬送するためのダクトと、
−前記空気圧タービンの回転速度を決定するための手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
したがって、本発明による装置により、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムの運動連鎖の完全性を試験することができる。特に、ターボシャフトエンジンから引き出される加圧空気、たとえば適度な圧力の空気がタービン入口で注入される場合に、空気圧タービンが実際に回転されることを実証することができる。本発明による装置により、迅速な再起動システム、特に、空気圧タービンそれ自体、なおまたタービンのロータおよびその軸受、および空気圧タービンの上流に配置される任意の機械要素の運動連鎖全体を試験することができる。このタイプの完全性試験装置は、迅速な再起動システムと別個である。特に、ターボシャフトエンジンから引き出される空気を搬送するためのダクトは、迅速な再起動システムのガス供給回路と別個である。
【0017】
有利なことに、本発明による装置は、空気圧回路と前記空気搬送ダクトとの間の接続点の領域に配置される電磁弁を備え、前記電磁弁が、制御ユニットから指令があると、および前記空気圧回路からの加圧ガス供給がないときは、前記空気搬送ダクトと前記空気圧回路との間の空気通路を開き、指令がないとき、または前記空気圧回路からの加圧ガス供給が存在するときは、前記空気通路を閉じるように構成される。
【0018】
制御ユニットは、たとえば、ヘリコプターの電子制御コンピュータ(より一般的には、頭字語EECUによって知られている)である。この制御ユニットは、空気搬送ダクトと空気圧タービンの空気圧供給回路との間の空気通路を開くように電磁弁を制御する。完全性試験が行われない場合は、電磁弁は、空気通路を閉じる。そのうえ、電磁弁は、空気圧回路に加圧ガスが供給される場合はもちろん空気通路を閉じる。したがって、空気圧回路および再起動システムの空気圧タービンは、完全性試験装置によって妨害されない。
【0019】
有利なことに、および本発明によれば、前記電磁弁は、指令がないときに、または前記空気圧回路からの加圧ガス供給が存在するときは、空気通路を閉じたままにしておくのに適した予荷重ばねを備える。
【0020】
迅速な再起動の手順中に、電磁弁は、空気圧回路の中を流れるガスによって加えられる圧力によってもちろん閉位置に保たれる。これを行うために、空気通路を開くためにばねを圧縮するように該ばねに加えられる力は、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動の手順中に空気圧回路の中を流れる高温加圧ガスによって加えられる圧力よりも小さい。
【0021】
そのうえ、予荷重ばねにより、空気通路は、ターボシャフトエンジンから引き出され、空気搬送ダクトに存在する加圧空気によって加えられる圧力に対抗することによって、指令がないときは閉じられることを確実にすることができる。
【0022】
有利なことに、および本発明によれば、ターボシャフトエンジンから加圧空気を引き出すための手段は、前記ターボシャフトエンジンの圧縮機の領域に配置される。
【0023】
ターボシャフトエンジンは、従来、少なくとも1つの圧縮機段、好ましくは、第1の圧縮機段および第2の圧縮機段を備える。したがって、加圧空気を引き出すための手段は、圧縮機段のうちの一方および/または他方に配置され得る。これらの引き出し手段は、たとえば、圧縮機段のうちの一方および/または他方の領域のターボシャフトエンジンの外側ケーシングの専用のボスによって形成される。このように引き出される空気は、およそ2バールから15バールの適度な圧力を有する。
【0024】
本発明はまた、ターボシャフトエンジンに機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジンを回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービンを備える、迅速な再起動システムが設けられるヘリコプターのターボシャフトエンジンに関する。
【0025】
本発明によるターボシャフトエンジンは、本発明による前記迅速な再起動システムを完全性試験するための装置を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明はまた、前記ターボシャフトエンジンに機械的に連結され、前記ターボシャフトエンジンを回転させ、これが再起動されることを確実にすることができるように空気圧供給回路によって指令があると加圧ガスが供給される空気圧タービンを備える、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムを完全性試験するための方法に関する。
【0027】
本発明による方法は、
−加圧空気をターボシャフトエンジンから引き出すステップと、
−前記空気を前記空気圧タービンに搬送するステップと、
−前記空気圧タービンの回転速度を測定するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明による方法は、本発明による装置によって実施されることが有利であり、本発明による装置は、本発明による方法を実施することが有利である。
【0029】
本発明による方法は、ヘリコプターが離陸する前に、飛行中、またはターボシャフトエンジンが待機状態にされる前に地上で実施され得る。
【0030】
有利なことに、本発明による方法は、前記空気圧タービンの測定された回転速度を所定の閾値速度と比較するステップを含む。
【0031】
所定の閾値速度は、たとえば、ターボシャフトエンジンのガスタービンの最小回転速度の所定の百分率として定義される。速度測定ステップ中に測定された速度が閾値速度よりも大きい場合は、迅速な再起動システムは、正しく作動していると見なされる。測定された速度が所定の閾値速度よりも小さい場合は、システムは、信頼できないと見なされ、ターボシャフトエンジンは、待機状態にされることを阻止される。
【0032】
有利なことに、および本発明によれば、前記空気搬送ステップは、空気圧回路と前記空気搬送ダクトとの間の接続点の領域に配置される電磁弁が開くことを指令するステップを含み、前記電磁弁は、制御ユニットから指令があると、および前記空気圧回路からの加圧ガス供給がないときは、前記空気搬送ダクトと前記空気圧回路との間の空気通路を開き、指令がないとき、または前記空気圧回路からの加圧ガス供給が存在するときは、前記空気通路を閉じるように構成される。
【0033】
有利なことに、本発明による方法は、前記電磁弁を開く指令がないとき、およびターボシャフトエンジンの迅速な再起動の手順が動作中でない場合に、前記電磁弁が前記空気圧タービンの非ゼロ速度測定値によって意図せずに開かれるかどうか検出するステップを含む。
【0034】
ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のための、および完全性試験を行うための手順がないときは、空気圧タービンは回転されるべきではない。加えて、本発明は、前記電磁弁が空気圧タービンの非ゼロ回転速度測定値によって意図せずに開かれるかどうか検出するステップを含む。このステップは、試験装置が故障していないことを実証するために所定の間隔で実行され得る。迅速な再起動の手順がないとき、および完全性試験がないとき、測定された速度がゼロでない場合は、これは、試験装置が故障していることを意味する。
【0035】
有利なことに、本発明による方法は、空気圧タービンの状態の傾向を監視することができるように前記空気圧タービンの速度測定値を蓄えるステップを含む。
【0036】
本発明はまた、上または次に述べる特徴のすべてまたはいくつかによる組合せを特徴とする、完全性試験装置に、完全性試験方法に、および完全性試験装置が設けられるターボシャフトエンジンに、関する。
【0037】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、単に非限定的な実施例によって与えられ、添付の図面に関連する次の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】迅速な再起動システムが設けられるターボシャフトエンジンの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、迅速な再起動システムを完全性試験するための装置が設けられるターボシャフトエンジンの概略図である。
図3】閉位置における、本発明の一実施形態による完全性試験装置の電磁弁の概略図である。
図4】開位置における、本発明の一実施形態による完全性試験装置の電磁弁の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面において、尺度および比率は、説明および明瞭さのために尊重されない。
【0040】
図1は、待機モードにさせられるのに適しており、空気圧タービンを備える迅速な再起動システムが設けられるターボシャフトエンジン5を概略的に示している。
【0041】
このターボシャフトエンジン5は、ガス発生器17、およびガス発生器17によって供給されるフリータービン10を備える。ガス発生器17は、空気が空気入口18によって供給される空気圧縮機14を備える。圧縮機14は、圧縮空気で、燃焼室13に燃料を供給し、その燃料は、運動エネルギーを与える燃焼ガスを放出する。燃焼ガスを部分的に膨張させるためのタービン12は、圧縮機14と、ガス発生器またはヘリコプターの作動に必要な装置とを回転させることができるように駆動軸15によって圧縮機14に連結される。この装置は、アクセサリギアボックス32に配置される。燃焼ガスの結果として生じる部分は、ヘリコプターの伝動ギアボックス(後にPTG)と関連して出力伝達タービン10を駆動し、次いで排気口19を通して排出される。
【0042】
迅速な再起動システム11は、図1の実施形態によれば、アクセサリギアボックス32によってターボシャフトエンジンに機械的に連結される空気圧タービン30を備える。この空気圧タービン30には、ガス供給回路8によってガスが供給されるが、詳細には説明されない。
【0043】
本発明による完全性試験装置は、図2に示されるように、加圧空気をターボシャフトエンジンから引き出すための手段21、22と、ガスを前記空気圧タービン30に供給するための前記空気圧回路8に前記引き出された空気を搬送するためのダクト23と、前記空気圧タービンの回転速度を決定するための手段と、を備える。
【0044】
回転速度を決定するための手段は、明瞭さのために図面に示されていない。これらの手段は、たとえば、空気圧タービン30の軸に取り付けられる速度センサを備える。このセンサは、処理モジュールに接続され、たとえばマイクロプロセッサが設けられるコンピュータに配置される。好ましくは、処理モジュールは、ヘリコプターを調整し制御するためのユニットに直接配置される(明瞭さのために図面に示されていない)。
【0045】
一実施形態によれば、この処理モジュールは、たとえばガスタービンの公称速度の百分率によって表現される、閾値速度の値を含むように設計される構成可能なメモリを備える。速度センサによって測定された空気圧タービン30の回転速度が閾値速度よりも大きい場合は、迅速な再起動システムの完全性がこれによって確認される。
【0046】
有利な実施形態にしたがって、再起動システムの完全性を試験するための手順中に空気を空気圧タービン30に供給するために、本発明は、空気圧回路8と空気搬送ダクト23との間の接続点の領域に配置される電磁弁33を提供する。この電磁弁33は、図3および図4に示されている。
【0047】
電磁弁33は、(図面には示されていない)制御ユニット、たとえばヘリコプターのEECUから指令があると、搬送ダクト23と空気圧回路8との間の空気通路34を開き、指令がないときは前記空気通路34を閉じるように構成される。電磁弁33は、指令がないときは空気通路を閉じたままにしておくのに適した予荷重ばね35を備える。
【0048】
図3においては、空気通路34は、電磁弁33によって閉じられている。この位置は、完全性試験がないことにも再起動手順がないことにも対応する。これがデフォルト位置である。このように、電磁弁33は、ばね35の作用によって閉位置に保たれる。また、図3の位置は、ターボシャフトエンジンを再起動するための手順中の位置に対応する。この場合は、空気圧回路8は、図3の矢印41a、41b、および41cによって示される加圧ガスを空気圧タービン30に搬送する。ガスの圧力は、電磁弁33を閉位置に保つ。この圧力は、図3の矢印41bによって示される。
【0049】
図4は、迅速な再起動システムを完全性試験するための手順中の電磁弁33の位置を示している。ターボシャフトエンジンから引き出される空気は、搬送ダクト23の中を流れ、通路34を通過し、空気圧タービン30の方へ搬送されるために空気圧回路8に入る。完全性試験中の空気の搬送は、図4の矢印43a、43b、および43cによって示されている。
【0050】
本発明はまた、加圧空気をターボシャフトエンジンから引き出すステップと、前記空気を前記空気タービンに搬送するステップと、前記空気タービンの回転速度を測定するステップと、を含む、ターボシャフトエンジンの迅速な再起動のためのシステムを完全性試験するための方法に関する。
【0051】
一実施形態によれば、方法は、前記空気圧タービンの測定された回転速度を所定の閾値速度と比較するステップをさらに含む。方法はまた、前記電磁弁を開く指令がないとき、およびターボシャフトエンジンの迅速な再起動の手順が動作中でない場合に、前記電磁弁が前記空気圧タービンの非ゼロ速度測定値によって意図せずに開かれるかどうか検出するステップを含むことができる。また、方法は、空気圧タービンの状態の傾向を監視することができるように前記空気圧タービンの速度測定値を蓄えるステップを含むことができる。
【0052】
本発明による方法の各ステップは、本発明による完全性試験装置によって実行されることが有利である。
図1
図2
図3
図4