【実施例】
【0020】
以下本発明の一実施例による消火器について説明する。
図1は本発明の第1の実施例による消火器の要部断面図、
図2は
図1の要部拡大図、
図3は同消火器のブルドン管圧力計を示す要部斜視図、
図4は同ブルドン管圧力計を示す一部を断面とした要部斜視図である。
【0021】
本実施例による消火器は、消火薬剤を収容する耐圧容器10と、耐圧容器10の開口部11を封止する封板20と、耐圧容器10内の圧力を表示するブルドン管圧力計30と、封板20を破封する針部41を有するバルブ40とを備えている。
耐圧容器10の開口部11は開口縁部12で形成され、開口縁部12は、端部が外方となるようにカーリングされている。耐圧容器10は、アルミ材で形成され、耐圧容器10の内面には、アルミ防腐樹脂層13を形成している。アルミ防腐樹脂層13は樹脂成形により形成するが、塗装により形成してもよい。耐圧容器10の内部には、粉末薬剤又は液体薬剤が封入されている。また、耐圧容器10の内部には、薬剤を吸い出すための吐き出し管14を有している。
封板20は、針部41によって破封される有底筒状の破封部21と、破封部21の外周に形成される覆い部22と、破封部21の側面に形成した小孔23とを有する。破封部21は、耐圧容器10の外方に突出させている。
ブルドン管圧力計30は、圧力導入孔を形成する円筒状脚部31と、円筒状脚部31に連続して形成された渦巻部32と、渦巻部32の端部に取り付けられる指針33と、渦巻部32と平行に配置して指針33の変位を示す目盛板34とで構成される。渦巻部32及び目盛板34は、破封部21の外周に配置している。渦巻部32及び目盛板34は、開口部11によって形成される仮想開口面に平行に配置している。
円筒状脚部31は、開口端部31aを小孔23に挿入し、開口端部31aを耐圧容器10内に臨ませている。円筒状脚部31の外周と小孔23との間は、溶接や接着剤によって密封固定する。
バルブ40は、針部41を押圧するレバー42と、針部41による封板20の破封によって消火薬剤を噴出させる吐出孔43と、封板20を覆うキャップ部44とを有している。
【0022】
キャップ部44は、覆い部22の外縁部22aを開口縁部12に押圧する第1押圧部44aと、破封部21の天面外縁21aを押圧する第2押圧部44bとを有している。封板20とキャップ部44との間には、第1押圧部44aと第2押圧部44bとで封止されたキャップ内空間44cが形成される。第1押圧部44a及び第2押圧部44bは、段部で形成され、この段部にOリング51、52が配置される。Oリング51は、第1押圧部44aと外縁部22aとの間に配置され、Oリング52は、第2押圧部44bと天面外縁21aとの間に配置される。
ブルドン管圧力計30はキャップ内空間44cに配置される。バルブ40は樹脂によって成形され、バルブ40の外方からブルドン管圧力計30を視認できるように、少なくともキャップ部44の一部は透明性を有している。
開口部11は、覆い部22の外縁部22aを開口縁部12にカシメ固定することで封止される。なお、外縁部22aにはリング状突起22bが形成されている。リング状突起22bは、カシメ固定の際に、開口縁部12に押し付けられて気密性を高めている。
【0023】
本実施例によれば、渦巻部32に連続して形成されている円筒状脚部31を、耐圧容器10の開口部11を封止する封板20に直接取り付けることで、ブルドン管圧力計30の取り付けのための取付部材を必要とせず、また耐圧容器10には、ブルドン管圧力計30の取り付けのための孔を設ける必要がない。
また本実施例によれば、破封部21の側面に形成した小孔23をブルドン管圧力計30の圧力導入用孔として用いることができ、ブルドン管圧力計30の取り付けに伴う気密性は、円筒状脚部31の外周と小孔23との間でのみ行えばよい。
また本実施例によれば、ブルドン管圧力計30を破封部21の外周にできるスペースに配置することができる。
また本実施例によれば、開口部11からの高さ寸法を小さくしてブルドン管圧力計30を配置することができる。
また本実施例によれば、ブルドン管圧力計30をキャップ内空間44cに配置することで、ブルドン管圧力計30を保護することができる。
また本実施例によれば、封板20の開口縁部12へのカシメ固定によってブルドン管圧力計30を取り付けることができる。
また本実施例によれば、耐圧容器10には、ブルドン管圧力計30の取り付けのための孔を設ける必要がないため、アルミ防腐樹脂層13を傷つけることがなく、アルミ材が液体薬剤と化学反応を生じることがない。
【0024】
図5は本発明の第2の実施例による消火器の要部断面図、
図6は同消火器の一部を断面とした要部正面図である。なお、第1の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施例による消火器は、第1の実施例によるカシメ固定に代えて、袋ナット60を用いてバルブ40を耐圧容器10に取り付けるものである。
本実施例では、キャップ部44は、第1押圧部44aの外方に係止部44dを有している。また、本実施例では、耐圧容器10の開口部11近傍の外周面とねじ結合される袋ナット60を備えている。
そして、袋ナット60によって、係止部44dを耐圧容器10に押圧して、バルブ40を耐圧容器10に取り付ける。
本実施例によれば、キャップ部44の耐圧容器10へのねじ結合によってブルドン管圧力計30を取り付けることができる。
なお、本実施例では、キャップ部44の側部及び上部の一部に透明ゲージカバー45を設けている。第1の実施例で説明したように、少なくともキャップ部44の一部に透明性を持たせる構成の一つとして、キャップ部44の一部に透明ゲージカバー45を設けてもよい。
【0025】
図7は本発明の第3の実施例による消火器の要部断面図である。なお、上記各実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
第3の実施例による消火器は、第1の実施例によるカシメ固定に代えて、ナット部70を用いてバルブ40を耐圧容器10に取り付けるものである。
本実施例では、キャップ部44は、耐圧容器10とねじ結合されるナット部70を有し、ナット部70によって、第1押圧部44aを開口縁部12に押圧して、バルブ40を耐圧容器10に取り付ける。
バルブ40は樹脂成形されているため、ナット部70は金属インサート成型によってねじ加工されている。
本実施の形態によれば、キャップ部44の耐圧容器10へのねじ結合によってブルドン管圧力計30を取り付けることができる。
【0026】
図8は本発明の第4の実施例による消火器の一部を断面とした要部正面図、
図9は本発明の第5の実施例による消火器の一部を断面とした要部正面図である。なお、上記各実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
第4及び第5の実施例による消火器は、ブルドン管圧力計30の取り付け位置を上記各実施例と異ならせている。
第4及び第5の実施例による封板20は、破封部21と、覆い部22と、覆い部22に形成した小孔24とを有している。すなわち、第1から第3の実施例による封板20は、小孔23を破封部21の側面に形成しているが、第4及び第5の実施例による封板20は、小孔24を覆い部22に形成している。
また第4及び第5の実施例による封板20は、破封部21を、封板20の中心から一方向にずらした位置に配置し、小孔24を、封板20の中心又は封板20の中心から他方向にずらした位置に配置している。
円筒状脚部31は、開口端部31aを小孔24に挿入し、開口端部31aを耐圧容器10内に臨ませている。円筒状脚部31の外周と小孔23との間は、溶接や接着剤によって密封固定する。
第4及び第5の実施例によれば、覆い部22に形成した小孔24をブルドン管圧力計30の圧力導入用孔として用いることができ、ブルドン管圧力計30の取り付けに伴う気密性は、円筒状脚部31の外周と小孔24との間でのみ行えばよい。
また第4及び第5の実施例によれば、破封部21を封板20の中心から一方向にずらすことで、ブルドン管圧力計30を配置できるスペースを確保することができる。
【0027】
図10は本発明の第6の実施例による消火器の一部を断面とした要部正面図、
図11は本発明の第7の実施例による消火器の一部を断面とした要部正面図である。なお、上記各実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
第1から第5の実施例によるブルドン管圧力計30は、渦巻部32及び目盛板34を、開口部11によって形成される仮想開口面に平行に配置したが、第6及び第7の実施例によるブルドン管圧力計30は、渦巻部32及び目盛板34を、開口部11によって形成される仮想開口面に対して角度を持って配置している。
図10及び
図11では、ブルドン管圧力計30は、渦巻部32及び目盛板34を、仮想開口面に対して90度の角度とした場合を示している。
第6及び第7の実施例によれば、開口部11の面積が小さくても、ブルドン管圧力計30を配置できるとともに、目盛板34を目視しやすい方向にブルドン管圧力計30を配置することができる。