特許第6545514号(P6545514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545514
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20190705BHJP
【FI】
   B67D1/04 F
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-88099(P2015-88099)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-204025(P2016-204025A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】506008870
【氏名又は名称】株式会社博報堂プロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(72)【発明者】
【氏名】長谷 孝祥
(72)【発明者】
【氏名】山下 良哉
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−337991(JP,A)
【文献】 特開2002−347894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00−3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器入り飲料を容器から注出するための飲料サーバーであって、前記容器の上面に開口した注出口を介して前記容器内の飲料の液面に空気圧を印加する空気圧供給部と、上流端が前記注出口を介して前記容器内部へ挿入される上流側注出管と、この上流側注出管の下流端に弁装置を介して接続された下流側注出管を備え、前記弁装置が、前記上流側注出管の下流端及び前記下流側注出管の上流端が開口した弁ケースと、前記下流側注出管の上流端又は前記上流側注出管の下流端を開閉可能に配置されると共に外周部が前記弁ケースに着脱可能に密接された可撓弁体と、前記可撓弁体を前記下流側注出管の上流端又は前記上流側注出管の下流端に対して密接又は離間させる弁棒を備え、前記下流側注出管が複数設けられ、前記弁装置が、前記複数の下流側注出管のうちいずれかの上流端に前記可撓弁体を選択的に密接させることによって流路を切り替えるものであり、前記空気圧供給部の駆動が前記弁装置の流路切り替え動作に連動して行われることを特徴とする飲料サーバー。
【請求項2】
上流側注出管の上流端を挿入した容器入り飲料を収納可能であって空気圧供給部からの空気圧が供給される密閉可能な加圧室を備えることを特徴とする請求項1に記載の飲料サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶入り飲料、瓶入り飲料、PETボトル入り飲料など、容器入りの飲料をグラスなどに注ぐための飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、缶ビールや缶ジュースなど、容器入りの飲料をグラスに注ぐ場合、通常は、缶の上面に設けられたプルタブを引き起こすことによって注出口を開口し、手に持った缶を傾けることによって、中のビールを注出口からグラスに注出しているが、近年は、このような容器入りの飲料を、手で傾けるのではなく、レバーの操作によってグラスに注出可能とした飲料サーバーが開発されている(例えば下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−205796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の飲料サーバーは、使用後は、雑菌やカビが発生するのを防止するために、飲料の注出用配管や弁装置などを十分に洗浄して乾燥させる必要がある。しかし、特許文献1に記載のような従来の飲料サーバー(飲料注出装置)は、弁装置など接液部分の構造が複雑で分解しにくく、このため洗浄作業が困難で、洗浄後に再び組み立てる作業も時間がかかっていた。
【0005】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、弁装置など接液部分の構造を簡素化して容易に洗浄可能とした飲料サーバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る飲料サーバーは、容器入り飲料を容器から注出するための飲料サーバーであって、前記容器の上面に開口した注出口を介して前記容器内の飲料の液面に空気圧を印加する空気圧供給部と、上流端が前記注出口を介して前記容器内部へ挿入される上流側注出管と、この上流側注出管の下流端に弁装置を介して接続された下流側注出管を備え、前記弁装置が、前記上流側注出管の下流端及び前記下流側注出管の上流端が開口した弁ケースと、前記下流側注出管の上流端又は前記上流側注出管の下流端を開閉可能に配置されると共に外周部が前記弁ケースに着脱可能に密接された可撓弁体と、前記可撓弁体を前記下流側注出管の上流端又は前記上流側注出管の下流端に対して密接又は離間させる弁棒を備え、前記下流側注出管が複数設けられ、前記弁装置が前記複数の下流側注出管のうちいずれかの上流端に前記可撓弁体を選択的に密接させることによって流路を切り替えるものであり、前記空気圧供給部の駆動が前記弁装置の流路切り替え動作に連動して行われることを特徴とするものである。
【0007】
上記構成において、容器入り飲料を容器から注出する際には、容器の上面の注出口を開口し、この注出口から容器内へ上流側注出管の上流端を挿入し、空気圧供給部を駆動することによって容器内の飲料の液面に空気圧を印加すると共に、弁ケースに開口した上流側注出管の下流端又は下流側注出管の上流端から可撓弁体を弁棒で離間させるように弁装置を動作させる。このようにすることによって、容器内の飲料が、その液面に作用する空気圧によって上流側注出管から弁ケース内及び下流側注出管を介して外部へ注出される。使用後は、弁ケースから可撓弁体を取り外すことによって、可撓弁体と、弁ケースの内部及びこれに接続された上流側注出管及び下流側注出管の洗浄を行うことができる。
【0009】
上記構成において、容器入り飲料を容器から注出する際には、容器入り飲料の上面の注出口を開口し、この注出口から容器内へ上流側注出管の上流端を挿入し、空気圧供給部を駆動することによって容器内の飲料の液面に空気圧を印加すると共に、弁ケースに開口した複数の下流側注出管のうちいずれかの上流端に可撓弁体を選択的に密接させ、他の下流側注出管の上流端から可撓弁体を離間させるように弁装置を動作させる。このようにすることによって、容器内の飲料が、その液面に作用する空気圧によって上流側注出管から弁ケース内及び複数の下流側注出管のうちいずれかを介して外部へ注出される。
【0010】
請求項の発明に係る飲料サーバーは、請求項1に記載の構成において、上流側注出管の上流端を挿入した容器入り飲料を収納可能であって空気圧供給部からの空気圧が供給される密閉可能な加圧室を備えることを特徴とするものである。
【0011】
上記構成において、容器入り飲料を容器から注出する際には、容器入り飲料の上面の注出口を開口し、この注出口から容器内へ上流側注出管の上流端を挿入した状態で、容器を加圧室へ収納してこの加圧室を密閉し、空気圧供給部を駆動して加圧室を空気圧で加圧することによって、容器内の飲料の液面に空気圧を印加すると共に、弁ケースに開口した下流側注出管の上流端から可撓弁体を離間させるように弁装置を動作させる。このようにすることによって、容器内の飲料が、その液面に作用する空気圧によって上流側注出管から弁ケース内及び複数の下流側注出管のうちいずれかを介して外部へ注出される。そしてこの場合、加圧室への収納が可能な大きさの容器であれば、どのような容器からでも飲料を注出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る飲料サーバーによれば、弁装置など接液部分がユニット化され、注出管の開閉が着脱可能な可撓弁体によって行われるため、この可撓弁体を取り外すことによって接液部分を容易に洗浄可能であり、しかも弁装置など接液部分がユニット化されているので、洗浄のための分解や組立を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態を示す概略構成説明図である。
図2】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における要部を示す斜視図である。
図3】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における弁装置を示す概略構成及び動作説明図である。
図4】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における弁装置を示す非注出時の状態を示す平面断面図である。
図5】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における弁装置を示す液注出時の状態を示す平面断面図である。
図6】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における弁装置を示す発泡注出時の状態を示す平面断面図である。
図7】本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態における弁装置を示す分解状態を示す平面断面図である。
図8】本発明に係る飲料サーバーの他の好ましい実施の形態における弁装置を示す概略構成及び動作説明図である。
図9】本発明に係る飲料サーバーの他の好ましい実施の形態における弁装置を示す分解状態を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る飲料サーバーの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1に示す全体の概略構成において、参照符号1はABS樹脂などの合成樹脂製のボディであって、互いに分離可能に結合された下部パーツ11、中間筒体12及び上部パーツ13からなる。
【0015】
ボディ1の下部パーツ11は、ベース111と、このベース111の上面から立ち上がる筒部112と、ベース111の上面における筒部112と隣接する位置に形成されたトレイ部113からなり、トレイ部113は、例えばビールグラスを置くことのできる大きさを有する。
【0016】
ボディ1の中間筒体12は、上底部121を有し下端が開放された有底円筒状をなすものであって、その下部外周の複数個所に設けられた結合爪122と下部パーツ11における筒部112の上端外周の複数個所に設けられた不図示の被結合部によって、下端縁12aが、下部パーツ11における筒部112の上端縁112aに、分離可能に接合されるようになっており、その接合面間(12a,112a間)は、不図示のパッキンによって密封されるようになっている。
【0017】
そして、下部パーツ11の筒部112と、中間筒体12は、上述のように結合爪122と不図示の被結合部によって互いに結合された状態では、内部に密閉された加圧室10が画成されるようになっている。この加圧室10は、例えば500mLのビール缶100を収納するのに十分な容積を有するものである。なお、ビール缶100は請求項1に記載された容器に相当するものである。
【0018】
中間筒体12の上底部121には、注出ユニット2が着脱可能に取り付けられる。注出ユニット2は、ボディ1の加圧室10内に収納されたビール缶100の上面に開口した不図示の注出口を介してビール缶100内へ挿入される上流側注出管21と、中間筒体12の上底部121に開設された取付穴121aに不図示のパッキンを介して着脱可能に取り付けられ上流側注出管21の下流端に接続された弁装置22と、上流端が弁装置22に接続された液注出管23及び泡注出管24と、ボディ1の外部から突出した状態でボディ1の中間筒体12と上部パーツ13に挟持可能であって、液注出管23及び泡注出管24の下流端が接続された液注出ノズル25a及び泡注出ノズル25bを有するノズル部材25とからなる。
【0019】
注出ユニット2における上流側注出管21は可撓性を有する合成樹脂製チューブからなるものであって、注出ユニット2を中間筒体12の上底部121に取り付けた状態では、弁装置22における後述の弁ケース221の底壁部から加圧室10内へ延び、この加圧室10の底壁に到達する程度の長さを有する。なお、液注出管23及び泡注出管24は、請求項1に記載された下流側注出管に相当するものである。
【0020】
注出ユニット2における弁装置22は、図2図3及び図4などに示すように、底壁部に上流側注出管21の下流端21aが開口し、側壁部に液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aが開口した合成樹脂製の弁ケース221と、液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aを開閉可能な可動シール部222a,222bを有すると共に外周部222eが弁ケース221の開口縁に着脱可能に密接されたシリコーンゴム等のゴム弾性体からなるダイアフラム状の可撓弁体222と、可撓弁体222の外側に配置されて可撓弁体222の可動シール部222a,222bを液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aを選択的に密接又は離間させる弁棒223,224を備える。
【0021】
可撓弁体222は、通常は図3(A)に示すように、可動シール部222a,222bが液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aから離間した位置にあって、図3(B)に示すように、可動シール部222a又は222bが弁棒223又は224に押圧されたときに可撓膜部222c又は222dの伸長を伴いながら可動シール部222a又は222bが液注出管23の上流端23a又は泡注出管24の上流端24aを閉塞するものである。一方、弁棒223,224は、例えば弁ケース221に着脱可能に固定されるガイド部材225に設けたガイド孔225aに、略水平方向移動可能に保持された構成とすることができる。
【0022】
図1に示すボディ1の上部パーツ13は、その下部外周の複数個所に設けられた結合爪131と中間筒体12の上底部121の外周の複数個所に設けられた不図示の被結合部によって、中間筒体12の上底部121に分離可能に接合されるようになっており、内部に、エアポンプ3と、超音波振動子4と、これらエアポンプ3及び超音波振動子4の駆動電源である電池(例えば単三乾電池2本)5や不図示の回路基板と、上部パーツ13の上面から外部へ突出したレバー61の揺動操作によって回転軸62を中心とする所定角度範囲で回動可能なカム6と、このカム6の下側に上下方向往復動自在に配置されて下端が弁装置22における弁棒223,224と接触可能な一対のカム棒63,64と、このカム棒63,64をそれぞれ弁棒223,224から離間させる方向(上方)へ弾性的に付勢する一対のスプリング65,66が取り付けられている。
【0023】
カム6には、回動によってカム棒63,64の上端と接触可能な一対の突起6a,6bが互いに円周方向異なる角度で形成されており、カム6の回動によって突起6a,6bがカム棒63,64をスプリング65,66の付勢力に抗して選択的に押し下げるようになっている。また、カム棒63,64の下端には斜面63a,64aが形成されており、この斜面63a,64aは、カム6による押し下げ過程で、弁棒223,224の後端に形成された斜面223a,224aと摺動可能であり、これによって弁棒223,224が水平方向へ変位して可撓弁体222の可動シール部222a,222bを選択的に開閉動作させるようになっている。
【0024】
エアポンプ3は、ボディ1の加圧室10内に空気を供給して、この加圧室10に収納されたビール缶100の上面に開口した注出口を介してビール缶100内のビールの液面に空気圧を作用させるためのものであって、すなわちエアポンプ3の吐出口から延びる空圧供給路は、ボディ1の中間筒体12の上底部121から加圧室10に開口している。
【0025】
超音波振動子4は、例えば圧電素子からなるものであって、泡注出管24に当接した状態に配置されており、不図示の発振回路による高周波電圧を印加することによって超音波振動を発生し、この超音波振動を泡注出管24に伝達するものである。
【0026】
また、カム6には不図示のスイッチが取り付けられている。そして、レバー61の揺動操作によってカム棒64を押し下げる方向すなわち図2における反時計方向へカム6が回転し、カム棒64の押し下げによって、図5に示すように弁棒224を介して押圧される可撓弁体222の可動シール部222bが泡注出管24の上流端24aを閉塞すると共に、可撓弁体222の可動シール部222aが液注出管23の上流端23aを開放した状態では、カム6のスイッチを介して電池5からの電力がエアポンプ3の駆動回路へ供給され、また逆に、レバー61の揺動操作によってカム棒63を押し下げる方向すなわち図2における時計方向へカム6が回転し、カム棒63の押し下げによって、図6に示すように弁棒223を介して押圧される可撓弁体222の可動シール部222aが液注出管23の上流端23aを閉塞すると共に、可撓弁体222の可動シール部222bが泡注出管24の上流端24aを開放した状態では、カム6のスイッチを介して電池5からの電力がエアポンプ3の駆動回路及び超音波振動子4の発振回路へ供給されるようになっている。
【0027】
次に、以上のような構成を備える飲料サーバーを用いて缶入りビールをビールグラスなどに注ぐ場合の手順について説明する。
【0028】
まず、あらかじめボディ1の下部パーツ11と中間筒体12を互いに分離しておき、適度に冷却した350mLあるいは500mLなどの缶入りビールのビール缶100を、その上面のプルタブによって注出口を開口した状態で、このビール缶100をボディ1の下部パーツ11における筒部112の底面上に載置する。
【0029】
ここで、上部パーツ13が結合された中間筒体12の内周空間には、注出ユニット2における上流側注出管21が延びているので、この上流側注出管21を、ビール缶100の上面に開口した注出口からこのビール缶100内へ挿入しながら、中間筒体12を下部パーツ11の筒部112の上にかぶせるようにして、中間筒体12の下部外周に設けられた結合爪122と下部パーツ11における筒部112の上端外周に設けられた不図示の被結合部によって、中間筒体12と下部パーツ11の筒部112とを互いに結合する。そしてこのようにすることで、下部パーツ11の筒部112と中間筒体12の間に、密閉された加圧室10が画成され、ビール缶100がこの加圧室10に収納された状態となる。
【0030】
そして、ボディ1の下部パーツ11におけるトレイ部113に、適当なビールグラスを置いてから、レバー61を例えば図1における左側へ傾倒させると、これによってカム6が図2における反時計方向へ回転し、カム6の突起6bによってカム棒64がスプリング66の付勢力に抗して押し下げられ、その下端の斜面64aが弁棒224の後端に形成された斜面224aと摺動しながらこれを水平方向へ押圧するので、弁装置22は、図4に示すニュートラル状態から、図5に示すように、弁棒224によって可撓弁体222における一方の可動シール部222bが可撓膜部222dの伸長変形を伴いながら進出して泡注出管24の上流端24aに密接し、泡注出管24を閉塞する。一方、カム6の突起6aはカム棒63を押し下げていないので、可撓弁体222における可動シール部222aは進出せず、液注出管23は開放された状態となっている。
【0031】
またこのとき、カム6のスイッチを介して電池5からの電力がエアポンプ3の駆動回路へ供給されるので、エアポンプ3の駆動によって加圧室10に空気が送られ、この加圧室10が加圧される。このため、加圧室10に収納されたビール缶100内のビールの液面に、ビール缶100の上面に開口した注出口を介して加圧室10の空気圧が作用し、外部の大気の圧力との差圧によって、ビール缶100内のビールは注出ユニット2における上流側注出管21から弁ケース221内及び開放状態にある液注出管23を経由して、ノズル部材25の液注出ノズル25aからトレイ部113上のビールグラスへ注がれる。
【0032】
そしてビールグラスへ適量のビールが注がれた時点で、こんどはレバー61を反対側(例えば図1における右側)へ傾倒させると、これによってカム6が図2における時計方向へ回転し、カム6の突起6aによってカム棒63がスプリング65の付勢力に抗して押し下げられ、その下端の斜面63aが弁棒223の後端に形成された斜面223aと摺動しながらこれを水平方向へ押圧すると共に、他方のカム棒64がスプリング66の付勢力によって上昇する。このため、弁装置22は、図5に示す状態から、弁棒223によって可撓弁体222における可動シール部222aが可撓膜部222cの伸長変形を伴いながら進出して液注出管23の上流端23aに密接し、液注出管23を閉塞する一方、可動シール部222bは、可撓膜部222dの弾性的な収縮力によって弁棒224を後退させながら泡注出管24の上流端24aから離間し、泡注出管24を開放する。
【0033】
またこのとき、カム6のスイッチを介して、電池5からの電力がエアポンプ3を駆動する駆動回路及び超音波振動子4を駆動する発振回路へ供給されるので、エアポンプ3の駆動によって加圧室10に空気が送られ、この加圧室10が加圧されると共に、超音波振動子4が高周波電圧によって超音波振動を発生し、泡注出管24を加振する。このため、ビール缶100内のビールは注出ユニット2における上流側注出管21から弁ケース221内及び開放状態にある泡注出管24を経由して、泡注出管24を通る際に超音波振動を受けることによってきめ細かいクリーミーな泡となり、ノズル部材25の泡注出ノズル25bからトレイ部113上のビールグラスへ注がれる。
【0034】
そして所要の泡が注出されたら、レバー61を略垂直な位置に戻せば、カム6のスイッチがエアポンプ3の駆動回路及び超音波振動子4の発振回路を遮断するので、エアポンプ3及び超音波振動子4の駆動が停止し、注出が終了する。
【0035】
すなわち、図示の形態の飲料サーバーによれば、まずビールグラスに適量のビールを注いでから、その上にきめ細かい泡を注出してクリーミーな泡の層を形成することによって、飲むときの口当たりを良くすると共にビールから炭酸ガスが抜けるのを抑制するので、おいしさを向上させることができる。また、注出ユニット2における上流側注出管21の上流端(下端)は、加圧室10に収納されたビール缶100の底面に達する長さを有するため、内部のビールを、ほとんど残らないように注出することができる。
【0036】
そして使用後、雑菌やカビが発生するのを防止するために注出ユニット2内の接液部分を洗浄する場合は、まずボディ1の上部パーツ13に設けられた結合爪131を開くことによって中間筒体12の上底部121から上部パーツ13を取り外せば、ボディ1から注出ユニット2を中間筒体12の上底部121から分離して取り外すことができる。このため図7に示すように、注出ユニット2における弁装置22の弁ケース221の開口縁から、シリコーンゴム等のゴム弾性体からなる可撓弁体222を取り外すことによって、この可撓弁体222の洗浄や、弁ケース221内、上流側注出管21内、液注出管23及び泡注出管24内の洗浄を容易に行うことができる。
【0037】
また、洗浄後、水切りした後は弁ケース221に可撓弁体222を嵌着してから、上流側注出管21をボディ1の中間筒体12の上底部121に開設された取付穴121aを通じて加圧室10内へ挿入し、弁装置22及びノズル部材25を中間筒体12の上底部121に嵌め込んでから、中間筒体12上に上部パーツ13をかぶせて結合爪131により結合するだけで容易に組み立てることができる。
【0038】
次に図8は、本発明に係る飲料サーバーの他の好ましい実施の形態における弁装置を示すものである。この実施の形態において、先に説明した実施の形態と異なるところは、可撓弁体222の可動シール部222a,222bを選択的に押圧して液注出管23の上流端23a又は泡注出管24の上流端24aに対して密接又は離間させる弁棒223,224が、図1図3に示すカム棒63,64を兼ねる点にある。
【0039】
詳しくは、液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aは、弁ケース221内で上向きに開口しており、外周部がこの弁ケース221の上部開口221aに着脱可能に密接された可撓弁体222は、可動シール部222a,222bが、液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aの上側に位置している。また、可撓弁体222の可撓膜部222c,222dはベローズ状に形成されている。
【0040】
そして、図2に示すカム6の回動によって、このカム6に形成された突起6a,6bが弁棒223,224をスプリング65,66の付勢力に抗して選択的に押し下げ、この弁棒223,224によって、可撓弁体222の可動シール部222a,222bが、図8(A)に示す通常開放状態から、図8(B)に示すように、可撓膜部222c,222dの変形を伴いながら液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aを選択的に閉塞するものである。
【0041】
したがって、この実施の形態によれば、弁棒223,224が図1図3に示すカム棒63,64を兼ねる分、部品数が少なくなり、構造を簡素化することができる。
【0042】
また、この実施の形態も、上流側注出管21、弁装置22液注出管23及び泡注出管24等からなる注出ユニット2をボディから取り外して、図9に示すように、弁装置22の弁ケース221の上部開口から、可撓弁体222を取り外すことによって、この可撓弁体222の洗浄や、弁ケース221内、上流側注出管21内、液注出管23及び泡注出管24内の洗浄を容易に行うことができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態では、加圧室10がボディ1における下部パーツ11の筒部112の上に中間筒体12を密接状態にかぶせて中間筒体12に設けられた結合爪122と下部パーツ11に設けられた被結合部によって結合することで画成されるものとしたが、中間筒体12と下部パーツ11の筒部112はねじ込み式に結合されるものであっても良く、あるいはヒンジを介して互いに開閉可能に連結しても良く、また、ボディ1に開閉可能な扉を設けて、この扉から容器入り飲料を出し入れし、この扉によって加圧室10を密閉する構成としたものなども考えられる。
【0044】
また、350mLあるいは500mLなどの缶入りビールに限らず、加圧室10への収納が可能な大きさの容器であれば、加圧室10内への空気圧の印加によって、瓶やPETボトルなど、どのような容器からでも飲料を注出することができる。また、飲料はビールに限らないことは言うまでもない。
【0045】
また、図示の実施の形態はいずれも、複数の下流側注出管(液注出管23及び泡注出管24)が設けられ、弁装置22が、上流側注出管21からのビールの流路を液注出管23又は泡注出管24へ切り替えるものであるため、可撓弁体222の可動シール部222a,222bが液注出管23及び泡注出管24の上流端23a,24aと密接又は離間するようになっているが、弁装置22が、上流側注出管21と単一の下流側注出管の間を開放又は遮断するものである場合は、可撓弁体222は、上流側注出管21の下流端21aを開閉するものであっても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 ボディ
10 加圧室
100 ビール缶(容器)
2 注出ユニット
21 上流側注出管
22 弁装置
221 弁ケース
222 可撓弁体
222a,222b 可動シール部
223,224 弁棒
23 液注出管(下流側注出管)
24 泡注出管(下流側注出管)
25 ノズル部材
3 エアポンプ
4 超音波振動子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9