特許第6545542号(P6545542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545542
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】操作者認証装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/25 20130101AFI20190705BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20190705BHJP
   E05B 81/64 20140101ALI20190705BHJP
【FI】
   B60R25/25
   E05B49/00 R
   E05B49/00 S
   E05B81/64
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-125438(P2015-125438)
(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-7525(P2017-7525A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】三村 裕紀
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−030762(JP,A)
【文献】 特開2006−159948(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0156149(US,A1)
【文献】 特開2010−152903(JP,A)
【文献】 特開2015−107671(JP,A)
【文献】 特開2014−123232(JP,A)
【文献】 特開2013−088959(JP,A)
【文献】 特開2006−264421(JP,A)
【文献】 特開2008−056145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/25
E05B 49/00,81/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンを始動させるスタートスイッチが操作される際に操作者の掌が表面に接触した状態で操作できるように前記スタートスイッチの周辺に他の操作部を挟まないように配置されると共に前記スタートスイッチよりも突出した凸状部材と、
前記凸状部材に配置され、前記凸状部材の前記表面に接触した前記掌から得られる生体情報を読み取る読取部と、
前記生体情報を認証するための認証情報を記憶する記憶部と、
前記読取部が読み取った前記生体情報と前記記憶部が記憶する前記認証情報とを比較し、その結果を比較情報として出力する比較部と、
を備えた操作者認証装置。
【請求項2】
車両のエンジンを始動させるスタートスイッチ、及び前記スタートスイッチの周辺に配置された前記車両のパーキングブレーキを作動させるパーキングブレーキスイッチが操作される際に操作者の掌が表面に接触した状態で操作できるように前記スタートスイッチ及び前記パーキングブレーキスイッチの周辺に他の操作部を挟まないように配置されると共に前記スタートスイッチ及び前記パーキングブレーキスイッチよりも突出した凸状部材と、
前記凸状部材に配置され、前記凸状部材の前記表面に接触した前記掌から得られる生体情報を読み取る読取部と、
前記生体情報を認証するための認証情報を記憶する記憶部と、
前記読取部が読み取った前記生体情報と前記記憶部が記憶する前記認証情報とを比較し、その結果を比較情報として出力する比較部と、
を備えた操作者認証装置。
【請求項3】
前記凸状部材が前記車両の変速機のギアの組み合わせを切り替える回転式シフトスイッチである、
請求項1又は2に記載の操作者認証装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記認証情報と前記車両の設定情報とを関連付けて記憶し、
前記比較部は、前記読取部が読み取った前記生体情報と前記認証情報とが一致した場合、一致した前記認証情報に関連付けられた前記設定情報を前記記憶部から読出して前記比較情報に含めて出力する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作者認証装置。
【請求項5】
前記読取部が読み取る前記生体情報が前記掌の掌紋パターン及び静脈パターンの少なくとも一方である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の操作者認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、利用者識別情報記憶媒体から入手される指紋情報と、実際に検出される利用者の指紋と、を比較して、それらが一致したとき自動車のドアロックを解除する手段と、利用者識別情報記憶媒体から入手される静脈パターン情報と、実際に検出される利用者の静脈パターンと、を比較して、それらが一致したときエンジン始動を許可する手段と、を備えた利用者認証システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この利用者認証システムは、さらに、指紋情報を取得するためにドアノブに設けられた指紋センサと、静脈パターン情報を取得するためにインストルメントパネルに配置されたエンジンスタートボタンを囲むように設けられた静脈パターンセンサと、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の利用者認証システムは、ドアノブやエンジンスタートボタンの操作の仕方には個人差があるにも関わらず、指紋が認証されるようにドアノブを操作すると共に静脈パターンが認証されるようにエンジンスタートボタンを操作しなければならないので、利用者に対する操作負荷が大きい問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、操作者の認証に伴う操作負荷を抑制することができる操作者認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、車両のエンジンを始動させるスタートスイッチが操作される際に操作者の掌が表面に接近又は接触するようにスタートスイッチの周辺に配置されると共にスタートスイッチよりも突出した凸状部材と、凸状部材に配置され、凸状部材の表面に接近又は接触した掌から得られる生体情報を読み取る読取部と、生体情報を認証するための認証情報を記憶する記憶部と、読取部が読み取った生体情報と記憶部が記憶する認証情報とを比較し、その結果を比較情報として出力する比較部と、を備えた操作者認証装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作者の認証に伴う操作負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、第1の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、操作者認証装置のブロック図の一例である。
図2図2(a)は、第1の実施の形態に係る操作者認証装置のスタートスイッチ使用時の掌と生体センサの位置の一例について説明するための概略図であり、図2(b)は、凸状部材の表面の形状の変形例について説明する概略図である。
図3図3は、第2の実施の形態に係る操作者認証装置の配置の一例を示す概略図である。
図4図4(a)は、第3の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す概略図であり、図4(b)は、第4の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作者認証装置は、車両のエンジンを始動させるスタートスイッチが操作される際に操作者の掌が表面に接近又は接触するようにスタートスイッチの周辺に配置されると共にスタートスイッチよりも突出した凸状部材と、凸状部材に配置され、凸状部材の表面に接近又は接触した掌から得られる生体情報を読み取る読取部と、生体情報を認証するための認証情報を記憶する記憶部と、読取部が読み取った生体情報と記憶部が記憶する認証情報とを比較し、その結果を比較情報として出力する比較部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この操作者認証装置は、スタートスイッチを操作する際、必然的に掌が接近又は接触する位置に凸状部材が配置され、その凸状部材に掌が接近又は接触することで生体情報を読み取るので、生体情報を読み取るために操作対象の操作の仕方が限定される場合と比べて、操作者の認証に伴う操作負荷を抑制することができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(操作者認証装置1の全体構成)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す斜視図であり、図1(b)は、操作者認証装置のブロック図の一例である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また図1(b)では、主な情報の流れを矢印で示している。
【0013】
操作者認証装置1は、例えば、図1(a)に示すように、車両内に配置される。この操作者認証装置1は、スタートスイッチ2を操作する操作者を特定する装置である。例えば、車両制御部が車両に搭載された電子機器などを総合的に制御する場合、操作者認証装置1が操作者を特定することにより、車両制御部が当該操作者に適したサービスを提供することが可能となる。
【0014】
操作者認証装置1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、車両のエンジンを始動させるスタートスイッチ2が操作される際に操作者の掌90が表面31に接近又は接触するようにスタートスイッチ2の周辺に配置されると共にスタートスイッチ2よりも突出した凸状部材3と、凸状部材3に配置され、凸状部材3の表面31に接近又は接触した掌90から得られる生体情報40を読み取る読取部としての生体センサ4と、生体情報40を認証するための認証情報50を記憶する記憶部5と、生体センサ4が読み取った生体情報40と記憶部5が記憶する認証情報50とを比較し、その結果を操作者情報60として出力する比較部としての制御部6と、を備えて概略構成されている。なお接近とは、生体センサ4が生体情報40を読み取ることができる程度の接近を示すものとする。
【0015】
操作者認証装置1は、一例として、電子キーなどによる無線通信に基づく認証によってドアが開錠された後、車両のバッテリーから駆動電圧が供給される。なお操作者認証装置1は、無線通信に基づく認証によるドアの開錠ではなく、物理キーによるドアの開錠、又はドアが開けられたことによって駆動電圧が供給されるように構成されても良い。
【0016】
(凸状部材3の構成)
図2(a)は、第1の実施の形態に係る操作者認証装置のスタートスイッチ使用時の掌と生体センサの位置の一例について説明するための概略図であり、図2(b)は、凸状部材の表面の形状の変形例について説明する概略図である。
【0017】
凸状部材3は、スタートスイッチ2と共にインストルメントパネル80に配置されている。この凸状部材3は、図2(a)に示すように、必然的に操作者の手9の掌90を表面31に接近又は接触させた状態でスタートスイッチ2が操作できるようにスタートスイッチ2の周辺に配置されている。
【0018】
本実施の形態のスタートスイッチ2は、運転席に着座する操作者から見て左側に配置されている。またスタートスイッチ2が配置されるインストルメントパネル80は、一例として、図1(a)に示すように、操作者と向かい合うように立ち上がり、そして少し車両の前方に傾斜している。従って凸状部材3は、図1(a)及び図2(a)に示すように、スタートスイッチ2の下側に配置される。
【0019】
凸状部材3は、例えば、円筒形状を有している。凸状部材3は、その表面31下に生体センサ4を有している。
【0020】
凸状部材3の表面31の形状は、平坦となっている。ここで凸状部材3の変形例として、表面31は、図2(b)に示すように、手の形状に適合するように、つまり掌90と表面31とが密着し易いように手の形状に合わせた丸みを帯びた形状であっても良い。なお図2(b)に示すように、掌90と表面31との間に隙間が生じていても良い。
【0021】
また凸状部材3は、円筒形状に限定されず、スタートスイッチ2を操作し易いようにスタートスイッチ2側がスタートスイッチ2の反対側よりも低くなる形状であっても良く、さらに表面31が手の形状に合うように構成されても良い。
【0022】
(生体センサ4の構成)
生体センサ4は、凸状部材3に接近又は接触する掌90から読み取れる、生体情報としての掌紋パターン及び静脈パターンの少なくとも1つを読み取るセンサである。
【0023】
この生体センサ4は、例えば、掌紋パターンを読み取る場合、光学式、静電容量方式、電界強度測定方式、感圧式及び感熱式などの掌紋パターンを読み取るように構成されたセンサが用いられる。
【0024】
また生体センサ4は、例えば、静脈パターンを読み取る場合、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み出すように構成されたセンサが用いられる。
【0025】
さらに生体センサ4は、例えば、掌紋パターンと静脈パターンの両方を読み取る場合、可視光を照射して撮像した画像を画像処理して掌紋パターンと静脈パターンを抽出するように構成されたセンサが用いられる。
【0026】
本実施の形態の生体センサ4は、一例として、掌紋パターンを読み取る静電容量方式のセンサであるものとする。
【0027】
生体センサ4は、凸状部材3の表面31近くに配置される。生体センサ4は、読み出した掌紋パターンを生体情報40として制御部6に出力する。
【0028】
(記憶部5の構成)
記憶部5は、一例として、半導体メモリである。この記憶部5は、認証情報50を記憶している。
【0029】
この認証情報50は、生体センサ4が読み取る生体情報に応じた掌紋パターン及び静脈パターンの少なくとも一方の生体情報が含まれている。本実施の形態の認証情報50は、生体センサ4が掌紋パターンを読み取るので、掌紋パターンに関する情報が含まれている。
【0030】
また認証情報50は、登録処理を経て登録された操作者の生体情報、及びエンジンの始動が許可された操作者の生体情報の少なくとも一方の生体情報が含まれている。本実施の形態では、操作者は、無線通信で認証を行う電子キーを利用するので、一例として、認証情報50が登録された操作者の生体情報を含んで構成されているものとする。
【0031】
認証情報50が有する掌紋パターンの情報は、一例として、パターンマッチングによる掌紋パターンの比較に適応するように処理された掌紋パターンの情報である。
【0032】
また認証情報50は、操作者が車両に対して行った設定の情報である設定情報を含んでいる。この設定情報とは、例えば、シートの位置調整に関する設定、ステアリングの位置調整に関する設定、メールアドレスなどのインターネットに関する設定などである。この設定情報は、設定を行った操作者の掌紋パターンと共に認証情報50として記憶部5に記憶される。
【0033】
設定情報は、例えば、上述のシートの位置調整に関する設定などの情報であっても良いし、車両制御部側に詳細な設定情報が記憶され、その設定情報を読み出せる登録番号のようなものであっても良い。
【0034】
この認証情報50は、例えば、車両制御部から出力されて記憶部5に記憶されても良いし、操作者認証装置1によって作成されても良い。設定情報は、操作者認証装置1が認証情報50を作成する場合、例えば、車両制御部から出力される。制御部6は、設定情報を取得した際の掌紋パターンと関連付けて認証情報50として記憶部5に記憶させる。
【0035】
(制御部6の構成)
制御部6は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部6が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果等を格納する記憶領域として用いられる。
【0036】
制御部6は、生体センサ4から取得した生体情報40と記憶部5から取得した認証情報50とを比較する。制御部6は、一例として、パターンマッチングによって生体情報40に基づく掌紋パターンと一致する認証情報50の掌紋パターンが存在するか否かを判定する。
【0037】
制御部6は、生体情報40に基づく掌紋パターンと一致する掌紋パターンが認証情報50に存在する場合、一致する掌紋パターンに関連付けられた設定情報を読み出す。制御部6は、例えば、認証された操作者の情報と読み出した設定情報とに基づいて操作者情報60を生成して出力する。なお出力先は、例えば、操作者認証装置1が接続された電子機器であっても良いし、車両に搭載された電子機器を制御する車両制御部などであっても良い。本実施の形態では、出力先は、車両制御部であり、車両制御部が設定情報に基づいてシートの角度などを調整可能であるものとする。
【0038】
以下に、本実施の形態に係る操作者認証装置1の動作について説明する。操作者が電子キーを携帯して車両に乗車した場合について説明する。
【0039】
(動作)
操作者認証装置1は、車両制御部による電子キーの認証が終了した後、駆動電圧が供給される。この駆動電圧の供給により生体センサ4は、掌の検出の有無を監視する。
【0040】
生体センサ4は、掌が検出されると、掌紋パターンを取得し、生体情報40として制御部6に出力する。
【0041】
制御部6は、生体センサ4から生体情報40を取得すると、さらに記憶部5から認証情報50を取得して生体情報40に基づく掌紋パターンが認証情報50に存在しないか確認する。
【0042】
制御部6は、一致する掌紋パターンが存在した場合、比較結果として、一致した掌紋パターンに関連付けられた操作者の情報と設定情報に基づいて操作者情報60を生成し、車両制御部に出力する。
【0043】
また制御部6は、一致する掌紋パターンが存在しなかった場合、比較結果として、一致するものがなかったとする操作者情報60を生成し、車両制御部に出力する。
【0044】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る操作者認証装置1は、スタートスイッチ2を操作する際、必然的に掌90が接近又は接触する位置に凸状部材3が配置され、その凸状部材3に掌90が接近又は接触することで掌紋パターンを読み取るので、掌紋パターンを読み取るために操作対象の操作の仕方が限定される場合と比べて、操作者の認証に伴う操作負荷を抑制することができる。
【0045】
操作者認証装置1は、スタートスイッチ2の近くに配置されることにより、手9を閉じて指先によるスタートスイッチ2の操作を許容せず、手9を閉じた状態での凸状部材3との接近又は接触を防ぐために必然的に手が開いて掌90が生体センサ4と対向するので、精度の高い掌紋パターンを取得し易い。
【0046】
操作者認証装置1は、静脈パターンを取得することが可能なので、掌紋パターンより、精度の高い操作者の認証を行うことができる。また操作者認証装置1は、掌紋パターンと静脈パターンの組み合わせにより操作者の認証が行えるように構成された場合、より精度の高い認証を行うことができる。さらに操作者認証装置1は、エンジンの始動を許可された操作者の認証を行うように構成された場合、精度の高い認証を行うことで高いセキュリティを実現することができる。
【0047】
操作者認証装置1は、操作者ごとの設定情報を有しているので、スタートスイッチ2を操作することにより、シートの角度調整やステアリングの角度調整などが実施され、これらを手動で調整する操作者の操作負荷が抑制される。
【0048】
なお変形例として操作者認証装置1は、スタートスイッチ2を含んで操作者認証システムとして構成されても良い。また操作者認証装置1は、設定情報によって設定されるシートなどをさらに含んで操作者認証システムとして構成されても良い。
【0049】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、スタートスイッチに加えて、車両を走行させる前に操作されるパーキングブレーキが配置されている点で第1の実施の形態と異なっている。
【0050】
図3は、第2の実施の形態に係る操作者認証装置の配置の一例を示す概略図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0051】
本実施の形態の操作者認証装置1は、図3に示すように、凸状部材3が、車両のエンジンを始動させるスタートスイッチ2、及びスタートスイッチ2の周辺に配置された車両のパーキングブレーキを作動させるパーキングブレーキスイッチ7が操作される際に操作者の掌90が表面31に接近又は接触するようにスタートスイッチ2及びパーキングブレーキスイッチ7の周辺に配置されると共にスタートスイッチ2及びパーキングブレーキスイッチ7よりも突出している。
【0052】
スタートスイッチ2及びパーキングブレーキスイッチ7は、図3に示すように、凸状部材3に掌90を載せた状態で操作できる範囲で、かつ凸状部材3の横幅Hを延長した配置範囲35内に、少なくとも一部が含まれるように配置される。
【0053】
またパーキングブレーキスイッチ7は、例えば、スタートスイッチ2よりも面積が小さい。従ってパーキングブレーキスイッチ7は、例えば、図3に示すパーキングブレーキスイッチ7の中心70が配置範囲35に含まれることが好ましい。
【0054】
操作者認証装置1は、パーキングブレーキスイッチ7を操作するときに、必然的に接近又は接触する位置に凸状部材3が配置されているので、エンジンを停止せずに運転を交代する場合であってもパーキングブレーキスイッチ7を操作する際に操作者の認証を行うことができる。
【0055】
なお変形例として操作者認証装置1は、スタートスイッチ2及びパーキングブレーキスイッチ7を含んで操作者認証システムとして構成されても良い。また操作者認証装置1は、設定情報によって設定されるシートなどをさらに含んで操作者認証システムとして構成されても良い。
【0056】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、凸状部材3の配置が上述の実施の形態とは異なっている。
【0057】
図4(a)は、第3の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す概略図である。この操作者認証装置1は、図4(a)に示すように、車両の運転席と助手席の間に伸びるフロアコンソール81に、スタートスイッチ2と共に配置されている。
【0058】
このフロアコンソール81には、アームレスト82が配置されている。操作者は、このアームレスト82に腕91を置くと、必然的に手9の掌90を凸状部材3の表面31に接近又は接触させた状態でスタートスイッチ2を操作する。
【0059】
アームレスト82によって腕91が保持されて掌90が凸状部材3に接近又は接触するので、掌90と表面31との接近又は接触が安定し、アームレストがない場合と比べて、精度の高い掌紋パターンや静脈パターンの読み取りを行うことができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、凸状部材3が車両の変速機のギアの組み合わせを切り替える回転式シフトスイッチである点で上述の実施の形態と異なっている。
【0061】
図4(b)は、第4の実施の形態に係る操作者認証装置の一例を示す概略図である。この操作者認証装置1は、図4(b)に示すように、凸状部材3が回転式シフトスイッチとしてのロータリシフタ3aとなっている。
【0062】
このロータリシフタ3aは、回転可能に構成されている。操作者は、ロータリシフタ3aを回転させて表面31に印刷されたマーク32をポインタ3bに合わせることで、変速機のギアを切り替えることができる。
【0063】
操作者認証装置1は、ロータリシフタ3aを操作するときに、必然的に掌90が表面31に接近又は接触するので、凸状部材と比べて、より確実に操作者の認証を行うことができる。
【0064】
なお変形例として操作者認証装置1は、スタートスイッチ2を含んで操作者認証システムとして構成されても良い。また操作者認証装置1は、設定情報によって設定されるシートなどをさらに含んで操作者認証システムとして構成されても良い。
【0065】
さらに他の変形例として操作者認証装置1は、凸状部材3がロータリシフタ3aで、スタートスイッチ2の周辺にパーキングブレーキスイッチ7が配置される構成であっても良い。さらにまた変形例として操作者認証装置1は、凸状部材3がロータリスイッチ3aであって、スタートスイッチ2及びパーキングブレーキスイッチ7を含んで操作者認証システムとして構成されても良い。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…操作者認証装置、2…スタートスイッチ、3…凸状部材、3a…ロータリシフタ、3b…ポインタ、4…生体センサ、5…記憶部、6…制御部、7…パーキングブレーキスイッチ、9…手、31…表面、32…マーク、35…配置範囲、40…生体情報、50…認証情報、60…操作者情報、70…中心、80…インストルメントパネル、81…フロアコンソール、82…アームレスト、90…掌、91…腕
図1
図2
図3
図4