特許第6545577号(P6545577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545577
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】燃焼器及び燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0606 20160101AFI20190705BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20190705BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20190705BHJP
【FI】
   H01M8/0606
   C01B3/38
   !H01M8/12
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-170638(P2015-170638)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-50072(P2017-50072A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 怜
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 信
(72)【発明者】
【氏名】天羽 伸二
(72)【発明者】
【氏名】伊東 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鍵屋 慎一
(72)【発明者】
【氏名】本澤 尚史
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−156895(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0115577(US,A1)
【文献】 特開2001−201019(JP,A)
【文献】 実開平04−073718(JP,U)
【文献】 米国特許第04963089(US,A)
【文献】 特開平02−106608(JP,A)
【文献】 特開2001−151501(JP,A)
【文献】 特開2003−254514(JP,A)
【文献】 特開2005−195214(JP,A)
【文献】 特開2010−266160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/2495
C01B 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、
前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画し、前記燃料ガス室仕切壁から前記燃焼室の径方向外側へ向けて拡がる内側壁部と、前記内側壁部の外周部から前記燃焼室の軸方向他方側へ向けて延びる外側壁部と、を有する酸化剤ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、
前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、
を備え、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される、
燃焼器。
【請求項2】
燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、
前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画し、前記燃焼室の径方向に沿って延びる、酸化剤ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、
前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、
を備え、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される、
燃焼器。
【請求項3】
燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、
前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画する酸化剤ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、
前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記燃焼室の径方向外側かつ軸方向他方側に向けて開口され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、
を備え、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される、
燃焼器。
【請求項4】
前記燃料ガスノズルは、筒状の前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の開口によって形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の燃焼器。
【請求項5】
前記燃料ガスノズルと隙間を有して対向する燃料ガス室天面仕切壁をさらに備える、
請求項4に記載の燃焼器。
【請求項6】
燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、
前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画する酸化剤ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に形成され、前記酸化剤ガス室仕切壁に対して前記燃焼室側に突出する筒状突出壁と、
前記筒状突出壁の突出端部に設けられ、前記燃焼室と前記燃料ガス室とを区画する燃料ガス室天面仕切壁と、
前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、
前記筒状突出壁の周囲に形成され前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側の端部から前記筒状突出壁と同方向に突出され、前記燃料ガス室天面仕切壁と接続された周囲壁と、
前記筒状突出壁と前記周囲壁の間に形成され、前記酸化剤ガス室と連通され、前記酸化剤ガス室から前記酸化剤ガスが供給されると共に、前記酸化剤ガス室から供給された前記酸化剤ガスを、前記筒状突出壁の周方向に間隔を空けて複数形成される前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスに混合させる酸化剤ガス混合流路と、
前記周囲壁に形成され、前記燃料ガスノズルから噴出されると共に前記酸化剤ガス混合流路により前記酸化剤ガスが混合された前記燃料ガスを、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側へ向けて噴出するガス噴出ノズルと、
を備え、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される、
燃焼器。
【請求項7】
前記燃焼室周壁の内側に設けられると共に、前記燃焼室の軸方向他方側に配置され、前記燃焼室周壁とで、前記燃焼室で生じた燃焼排ガスが流入する燃焼排ガス流路の入口部を形成する燃焼室内壁と、
前記燃焼室内壁から前記燃焼室の軸方向一方側に向けて延出されると共に、前記燃焼室の軸方向他方側に向かうに従って拡径する円錐又はドーム状に形成された整流部とを備える、
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の燃焼器。
【請求項8】
前記酸化剤ガス室仕切壁は、前記燃焼室の軸方向一方側から他方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている、
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の燃焼器。
【請求項9】
前記複数の酸化剤ガスノズルは、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向に複数の前記酸化剤ガスノズルが並ぶ酸化剤ガスノズル列を前記酸化剤ガス室仕切壁の周方向に複数形成し、
各前記酸化剤ガスノズル列では、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する複数の前記酸化剤ガスノズルの間隔よりも前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に位置する複数の前記酸化剤ガスノズルの間隔の方が狭い、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の燃焼器。
【請求項10】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物形燃料電池セルスタックと、
原燃料が気化されて原燃料ガスが生成される気化部と、
前記原燃料ガスから前記燃料ガスが生成される改質部と、
前記燃料電池セルスタックの燃料極から排出された燃料極排ガスである燃料ガスと、前記燃料電池セルスタックの空気極から排出された空気極排ガスである酸化剤ガスとが混合されたスタック排ガスを燃焼させる、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の燃焼器と、
を備える燃料電池モジュール。
【請求項11】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物形燃料電池セルスタックと、
原燃料が気化されて原燃料ガスが生成される気化部と、
前記原燃料ガスから前記燃料ガスが生成される改質部と、
前記燃料電池セルスタックの燃料極から排出された燃料極排ガスである燃料ガスと、前記燃料電池セルスタックの空気極から排出された空気極排ガスである酸化剤ガスとが混合されたスタック排ガスを燃焼させる、燃焼器と、
を有し、
前記燃焼器は、
前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、
前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画する酸化剤ガス室仕切壁と、
前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、
前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、
を備え、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、
前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される、
燃料電池モジュール。
【請求項12】
前記燃焼器は、前記燃料電池セルスタックの上方に設けられ、
前記改質部は、前記燃焼器の上方に前記燃焼器と同軸上に設けられると共に、互いの間に隙間を有する少なくとも三重の筒状壁によって構成され、かつ、該三重の筒状壁における内側及び筒状壁の間に、断熱空間、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路、及び、前記燃焼排ガスの熱を利用して前記原燃料ガスが改質されて前記燃料ガスが生成される改質流路をそれぞれ有し、
前記気化部は、前記改質部の上方に前記改質部と同軸上に設けられると共に、互いの間に隙間を有する少なくとも三重の円筒状又は楕円筒状の筒状壁によって構成され、かつ、該三重の筒状壁における内側及び筒状壁の間に、断熱空間、前記燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路、及び、前記燃焼排ガスとの熱交換により前記原燃料が気化されて前記原燃料ガスが生成される気化流路をそれぞれ有する、
請求項10または請求項11に記載の燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器及び燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固体酸化物形燃料電池セルスタックと、原燃料ガスを改質し燃料電池セルスタックに供給される改質ガスを生成する改質部と、燃料電池セルスタックから排出されたスタック排ガスを燃焼する燃焼部とを備えた燃料電池モジュールが知られている。
【0003】
また、この種の燃料電池モジュールには、燃焼部が単一の燃焼器で構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。この燃料電池モジュールでは、起動時には改質部にて未改質の原燃料ガス及び酸化剤ガスを含むスタック排ガスが燃焼器で燃焼され、発電時には燃料電池セルスタックにて発電に供されなかった改質ガス及び酸化剤ガスを含むスタック排ガスが起動時と同じ燃焼器で燃焼される。
【0004】
このように、燃焼部が単一の燃焼器で構成された場合、起動時と発電時とで性状や組成等の異なるスタック排ガスが単一の燃焼器で燃焼される。しかしながら、このような構成の場合には、起動時における未改質の原燃料ガスが着火しにくく火炎の吹き消えを起こしやすいなど、燃焼器での着火性及び燃焼安定性に課題がある。
【0005】
そこで、燃焼部を一対の燃焼器で構成し、一方の燃焼器で起動時にて未改質の原燃料ガス及び酸化剤ガスを含むスタック排ガスを燃焼し、他方の燃焼器で発電時に燃料電池セルスタックにて発電に供されなかった改質ガス及び酸化剤ガスを含むスタック排ガスを燃焼する燃料電池モジュールが提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
【0006】
ところが、燃焼部が一対の燃焼器で構成された場合、一対の燃焼器に対して二系統のガス供給経路が必要になるため、燃焼部及びその周辺の構造が複雑化し、大型化及び高コスト化の要因となる。
【0007】
また、燃焼器の下流側に未燃分の改質ガスを完全燃焼させる触媒燃焼器を備える燃料電池モジュール(例えば、特許文献4参照)も提案されているが、触媒燃焼器を備える分、構造の複雑化及び高コスト化の要因となる。
【0008】
したがって、起動時と発電時とで性状や組成等の異なるスタック排ガスを単一の燃焼器で安定して燃焼させることができることが理想である。なお、以上は、燃料電池モジュールにおける燃焼器の課題であるが、上記課題は、燃料電池モジュール以外の機器における燃焼器においても生じ得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−222136号公報
【特許文献2】特開2014−78348号公報
【特許文献3】特開2014−72026号公報
【特許文献4】特開2002−83620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、その目的は、燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスの性状や組成等が異なる場合でも、混合ガスを安定して燃焼させることができると共に、小型化及び低コスト化を実現することができる燃焼器を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、燃焼器及びその周辺の構造を簡素化でき、小型化及び低コスト化を実現することができる燃料電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の燃焼器は、燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスが燃焼される燃焼室と、前記燃焼室の軸方向一方側に前記燃焼室と隣接され外部から前記燃料ガスが供給される燃料ガス室と、前記燃料ガス室の周囲に設けられ外部から前記酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス室とを内側に有する筒状の燃焼室周壁と、前記燃焼室周壁の内側に前記燃焼室周壁と同軸に設けられ、前記燃料ガス室と前記酸化剤ガス室とを区画する筒状の燃料ガス室仕切壁と、前記燃料ガス室仕切壁の周囲に環状に設けられ、前記燃焼室と前記酸化剤ガス室とを区画する酸化剤ガス室仕切壁と、前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部に設けられ、前記燃料ガスを前記燃焼室に噴出して前記燃料ガスを前記酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散させる燃料ガスノズルと、前記酸化剤ガス室仕切壁に形成されると共に、前記燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列され、前記酸化剤ガスを前記燃焼室に噴出して前記酸化剤ガスを前記燃料ガスと混合させる複数の酸化剤ガスノズルと、を備え、前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスで前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成され、前記複数の酸化剤ガスノズルのうち前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスでは前記混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する場合には、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた前記酸化剤ガスノズルから噴出された前記酸化剤ガスと、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスとが混合されることで前記混合ガスが生成される。
【0013】
この燃焼器によれば、燃料ガスノズルから噴出された燃料ガスの噴流は、酸化剤ガス室仕切壁の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側に拡散される。この酸化剤ガス室仕切壁には、燃焼室の中心軸を中心に放射状に配列された複数の酸化剤ガスノズルが形成されており、酸化剤ガス室仕切壁に沿って拡散された燃料ガスの噴流は、複数の酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスの噴流に巻き込まれるので、燃料ガス及び酸化剤ガスを効果的に混合させることができる。これにより、燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスの性状や組成等が異なる場合でも、混合ガスを安定して燃焼させることができる。
【0014】
また、例えば、空気比が高く、酸化剤ガスの流量が燃料ガスの流量に対して過剰な場合には、複数の酸化剤ガスノズルのうち酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスで混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスと、燃料ガスノズルから噴出された燃料ガスとが混合されることで混合ガスが生成され、混合ガスが燃焼される。なお、酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスの噴流は、混合ガスの燃焼によって生ずる燃焼排ガスに混合され、燃焼室から排出される。
【0015】
一方、燃料ガスの流量が多く燃焼量が多い場合には、複数の酸化剤ガスノズルのうち酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスでは混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側にかけて設けられた酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスと、燃料ガスノズルから噴出された燃料ガスとが混合されることで混合ガスが生成され、混合ガスが燃焼される。
【0016】
このように、燃料ガスと酸化剤ガスとの混合領域が酸化剤ガス室仕切壁の表面に広く形成され、火炎が酸化剤ガス室仕切壁の表面に定着するため、火炎が燃焼室の径方向に広がり、燃焼室の軸方向における火炎の長さを短くすることができる。そのため、燃焼室の軸方向の長さを短縮することができるので、燃焼器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0017】
しかも、空気比及び燃焼量が変化しても、最適な燃焼を維持するように燃料ガスと酸化剤ガスとの混合領域及び火炎面積が変化して対応するため、通常の空気比(理論空気比)から高空気比(例えばλ=5程度)までの広い空気比の範囲で火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼を得ることができる。
【0018】
なお、本発明の燃焼器において、前記燃料ガスノズルは、筒状の前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の開口によって形成されていても良い。
【0019】
この燃焼器によれば、燃料ガスノズルは、筒状の燃料ガス室仕切壁における燃焼室側の開口によって形成されているので、燃料ガスノズルの構造を簡素化することができ、より一層低コスト化することができる。
【0020】
また、本発明の燃焼器において、前記燃料ガスノズルと隙間を有して対向する燃料ガス室天面仕切壁をさらに備えていても良い。
【0021】
この燃焼器によれば、燃料ガスノズルと隙間を有して対向する燃料ガス室天面仕切壁によって、燃料ガスノズルから噴出された燃料ガスの噴流の向きを酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に的確に向けることができる。これにより、燃料ガスを酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側へより効果的に拡散させることができる。
【0022】
また、本発明の燃焼器において、前記燃料ガス室仕切壁における前記燃焼室側の端部には、前記酸化剤ガス室仕切壁に対して前記燃焼室側に突出する筒状突出壁が形成され、前記筒状突出壁の突出端部には、前記燃焼室と前記燃料ガス室とを区画する燃料ガス室天面仕切壁が設けられ、前記燃料ガスノズルは、前記筒状突出壁の周方向に間隔を空けて前記筒状突出壁に複数形成されていても良い。
【0023】
この燃焼器によれば、燃料ガスノズルが、筒状突出壁の周方向に間隔を空けて筒状突出壁に複数形成されているので、この複数の燃料ガスノズルから酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に向けて燃料ガスを噴出することができる。これにより、燃料ガスの噴出方向を燃料ガスの噴流が酸化剤ガスの噴流に直接当たらないようにすると共に、燃料ガスノズルの圧力損失を利用して燃料ガスの流速を速めて、燃料ガスを酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側から外側のより遠方へ、拡散させることができる。
【0024】
また、本発明の燃焼器において、前記複数の酸化剤ガスノズルは、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向に複数の前記酸化剤ガスノズルが並ぶ酸化剤ガスノズル列を前記酸化剤ガス室仕切壁の周方向に複数形成し、複数の前記燃料ガスノズルの各々は、前記酸化剤ガス室仕切壁の周方向に隣り合う前記酸化剤ガスノズル列の間に配置されていても良い。
【0025】
この燃焼器によれば、複数の燃料ガスノズルの各々が、酸化剤ガス室仕切壁の周方向に隣り合う酸化剤ガスノズル列の間に配置されているので、酸化剤ガス室仕切壁に沿って拡散された燃料ガスの噴流を、複数の酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスの噴流により一層効果的に巻き込むことができる。これにより、燃料ガス及び酸化剤ガスをより一層効果的に混合させることができる。
【0026】
また、本発明の燃焼器において、前記酸化剤ガス室と連通され、前記酸化剤ガス室から前記酸化剤ガスが供給されると共に、前記酸化剤ガス室から供給された前記酸化剤ガスを、前記燃料ガスノズルから噴出された前記燃料ガスに混合させる酸化剤ガス混合流路と、前記燃料ガスノズルから噴出されると共に前記酸化剤ガス混合流路により前記酸化剤ガスが混合された前記燃料ガスを、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側へ向けて噴出するガス噴出ノズルとを備えていても良い。
さらに、前記筒状突出壁の周囲に形成され前記酸化ガス室仕切壁の径方向内側の端部から前記筒状突出壁と同方向に突出され燃料ガス室天面仕切壁と接続された周囲壁を備え、前記筒状突出壁と前記周囲壁の間に酸化剤ガス混合流路が形成され、前記周囲壁にガス噴出ノズルが形成されていてもよい。
【0027】
この燃焼器によれば、ガス噴出ノズルからは、酸化剤ガス混合流路により酸化剤ガスが混合された燃料ガスが噴出されるので、燃料ガスに酸化剤ガスが混合された分、燃料ガスの噴出速度を高めることができる。これにより、混合ガスの燃焼性を高めることができると共に、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室の外周側へ流れ易くすることができるので、例えば、燃焼器の周囲に流路が設けられた場合には、この流路を流れるガスに燃焼排ガスの熱を効率良く伝達することができる。
【0028】
また、本発明の燃焼器において、前記燃焼室周壁の内側に設けられると共に、前記燃焼室の軸方向他方側に配置され、前記燃焼室周壁とで、前記燃焼室で生じた燃焼排ガスが流入する燃焼排ガス流路の入口部を形成する燃焼室内壁と、前記燃焼室内壁から前記燃焼室の軸方向一方側に向けて延出されると共に、前記燃焼室の軸方向他方側に向かうに従って拡径する円錐又はドーム状に形成された整流部とを備えていても良い。
【0029】
この燃焼器によれば、燃焼室内壁の軸方向一方側の端部には、燃焼室の軸方向一方側に向けて延出する整流部が形成されている。この整流部は、燃焼室の軸方向他方側(下流側)に向かうに従って拡径する円錐又はドーム状に形成されている。これにより、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室の外周側へ流れ易くすることができるため、燃焼室の軸方向における火炎の長さを短くすることができる。そのため、燃焼室の軸方向の長さを短縮することができるので、燃焼器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、本発明の燃焼器において、前記酸化剤ガス室仕切壁は、前記燃焼室の軸方向一方側から他方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されていても良い。
【0031】
この燃焼器によれば、酸化剤ガス室仕切壁が、燃焼室の軸方向一方側から他方側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されているので、燃料ガスノズルから噴出された燃料ガスの噴流を、酸化剤ガス室仕切壁の表面に沿って燃焼室の径方向に拡散することができる。これにより、燃焼室の軸方向における火炎の長さを短くすることができる。
【0032】
また、本発明の燃焼器において、前記酸化剤ガス室仕切壁は、前記燃料ガス室仕切壁から前記燃焼室の径方向外側へ向けて拡がる内側壁部と、前記内側壁部の外周部から前記燃焼室の軸方向他方側へ向けて延びる外側壁部とを有していても良い。
【0033】
この燃焼器によれば、酸化剤ガス室仕切壁は、燃料ガス室仕切壁から燃焼室の径方向外側へ向けて拡がる内側壁部と、内側壁部の外周部から燃焼室の軸方向他方側へ向けて延びる外側壁部とを有する。これにより、例えば、燃焼量が少なく燃料ガスの噴流の流速が遅い場合には、内側壁部の酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスと燃料ガスが十分に混合しない状態であっても、外側壁部の酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスによって燃料ガスと酸化剤ガスの混合が促進されることで混合ガスが生成され、火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼が得られる。
【0034】
また、本発明の燃焼器において、前記酸化剤ガス室仕切壁は、前記燃焼室の径方向に沿って延びていても良い。
【0035】
この燃焼器によれば、酸化剤ガス室仕切壁は、燃焼室の径方向に沿って延びるので、酸化剤ガス室仕切壁の軸方向の寸法を小さくすることができ、ひいては、燃焼器を軸方向に小型化することができる。
【0036】
また、本発明の燃焼器において、前記複数の酸化剤ガスノズルは、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向に複数の前記酸化剤ガスノズルが並ぶ酸化剤ガスノズル列を前記酸化剤ガス室仕切壁の周方向に複数形成し、各前記酸化剤ガスノズル列では、前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する複数の前記酸化剤ガスノズルの間隔よりも前記酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に位置する複数の前記酸化剤ガスノズルの間隔の方が狭くても良い。
【0037】
この燃焼器によれば、各酸化剤ガスノズル列では、酸化剤ガス室仕切壁の径方向内側に位置する複数の酸化剤ガスノズルの間隔よりも酸化剤ガス室仕切壁の径方向外側に位置する複数の酸化剤ガスノズルの間隔の方が狭くなっている。したがって、燃焼室の径方向外側を負圧にすることができるので、燃料ガス、火炎、及び、燃焼排ガスを燃焼室の外周側へ流れ易くすることができる。これにより、例えば、燃焼器の周囲に流路が設けられた場合には、この流路を流れるガスに燃焼排ガスの熱を効率良く伝達することができる。
【0038】
また、本発明の燃焼器において、前記酸化剤ガスノズルは、前記燃焼室の径方向外側かつ軸方向他方側に向けて開口されていても良い。
【0039】
この燃焼器によれば、酸化剤ガスノズルは、燃焼室の径方向外側かつ軸方向他方側に向けて開口されているので、この酸化剤ガスノズルから噴出される酸化剤ガスの噴流により、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室の外周側へ流れ易くすることができる。これにより、例えば、燃焼器の周囲に流路が設けられた場合には、この流路を流れるガスに燃焼排ガスの熱を効率良く伝達することができる。
【0040】
また、上記目的を達成するために、本発明の燃料電池モジュールは、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する固体酸化物形燃料電池セルスタックと、原燃料が気化されて原燃料ガスが生成される気化部と、前記原燃料ガスから前記燃料ガスが生成される改質部と、前記燃料電池セルスタックの燃料極から排出された燃料極排ガスである燃料ガスと、前記燃料電池セルスタックの空気極から排出された空気極排ガスである酸化剤ガスとが混合されたスタック排ガスを燃焼させる、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の燃焼器とを備える。
【0041】
この燃料電池モジュールによれば、上述の燃焼器が適用されているので、起動時や発電時に燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガスであるスタック排ガスの性状や組成等が異なる場合でも、スタック排ガスを単一の燃焼器で安定して燃焼させることができる。これにより、燃焼器及びその周辺の構造を簡素化できるので、燃料電池モジュールの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0042】
なお、本発明の燃料電池モジュールにおいて、前記燃焼器は、前記燃料電池セルスタックの上方に設けられ、前記改質部は、前記燃焼器の上方に前記燃焼器と同軸上に設けられると共に、互いの間に隙間を有する少なくとも三重の筒状壁によって構成され、かつ、該三重の筒状壁における内側及び筒状壁の間に、断熱空間、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路、及び、前記燃焼排ガスの熱を利用して前記原燃料ガスが改質されて前記燃料ガスが生成される改質流路をそれぞれ有し、前記気化部は、前記改質部の上方に前記改質部と同軸上に設けられると共に、互いの間に隙間を有する少なくとも三重の円筒状又は楕円筒状の筒状壁によって構成され、かつ、該三重の筒状壁における内側及び筒状壁の間に、断熱空間、前記燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス流路、及び、前記燃焼排ガスとの熱交換により前記原燃料が気化されて前記原燃料ガスが生成される気化流路をそれぞれ有していても良い。
【0043】
この燃料電池モジュールによれば、気化部及び改質部は、少なくとも三重の筒状壁によってそれぞれ形成されているので、気化部及び改質部の構造を簡素化することができると共に、気化部及び改質部を小型化することができる。また、燃焼器、改質部、気化部は、同軸上に配置されているので、燃料電池モジュールを径方向に小型化することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上詳述したように、本発明の燃焼器によれば、燃料ガス及び酸化剤ガスが混合された混合ガスの性状や組成等が異なる場合でも、混合ガスを安定して燃焼させることができると共に、小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0045】
また、本発明の燃料電池モジュールによれば、燃焼器及びその周辺の構造を簡素化でき、小型化及び低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】燃料電池モジュールの縦断面図である。
図2】燃料電池モジュールの要部拡大図である。
図3】燃料電池モジュールの要部拡大図である。
図4】燃料電池モジュールの要部拡大図である。
図5】第一実施形態に係る燃焼器の縦断面を含む斜視図である。
図6】第一実施形態に係る燃焼器において燃料ガスと酸化剤ガスとが混合される様子を説明する図である。
図7】第一実施形態に係る燃焼器において酸化剤ガスの流量が燃料ガスの流量に対して過剰な場合の燃焼状態を示す図である。
図8】第一実施形態に係る燃焼器において燃料ガスの流量が多く燃焼量が多い場合の燃焼状態を示す図である。
図9】第二実施形態に係る燃焼器の縦断面を含む斜視図である。
図10】第三実施形態に係る燃焼器の縦断面を含む斜視図である。
図11】第三実施形態に係る燃焼器において酸化剤ガスの流量が燃料ガスの流量に対して過剰な場合の燃焼状態を示す図である。
図12】第三実施形態に係る燃焼器において燃料ガスの流量が多く燃焼量が多い場合の燃焼状態を示す図である。
図13】第三実施形態に係る燃焼器において酸化剤ガスノズルから噴出された酸化剤ガスの噴流に再循環流が生じている状態を示す図である。
図14】第三実施形態に係る燃焼器の噴流の流れを示す斜視図である。
図15】第三実施形態に係る燃焼器の第一変形例を示す斜視図である。
図16】第三実施形態に係る燃焼器の第二変形例を示す斜視図である。
図17】第三実施形態に係る燃焼器の第三変形例を示す斜視図である。
図18】第三実施形態に係る燃焼器の第四変形例を示す斜視図である。
図19】第三実施形態に係る燃焼器の第五変形例を示す縦断面図である。
図20】第三実施形態に係る燃焼器の第六変形例を示す斜視図である。
図21】第三実施形態に係る燃焼器の第七変形例を示す斜視図である。
図22】第三実施形態に係る燃焼器の第八変形例を示す斜視図である。
図23】第三実施形態に係る燃焼器の第九変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について説明する。
【0048】
<燃料電池モジュール>
図1に示されるように、第一実施形態に係る燃料電池モジュールMは、燃料電池セルスタック10と、容器20と、断熱層130と、断熱材140とを備える。
【0049】
<燃料電池セルスタック>
燃料電池セルスタック10には、一例として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)が適用されている。この燃料電池セルスタック10は、鉛直方向に積層された複数の平板形のセル12と、マニホールド14と有している。セル12の形状は、平板形以外に、円筒形、円筒平板形など、どのような形状でも良い。各セル12は、燃料極、電解質層、空気極を有する。
【0050】
各セル12の燃料極には、燃料ガス(改質ガス)が供給され、各セル12の空気極には、酸化剤ガスが供給される。各セル12は、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電すると共に、発電に伴い発熱する。
【0051】
<容器>
容器20は、複数(九個)の管材21〜29により構成されている。この複数の管材21〜29は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成され、伝熱性の高い金属で形成される。この複数の管材21〜29は、容器20の内側から外側に順に配置されている。
【0052】
容器20の内側から一番目の管材21は、燃料電池セルスタック10の上方から容器20の上端部に亘って設けられている。二番目の管材22及び三番目の管材23は、一番目の管材21の上部に対応する長さで形成されており、二番目の管材22は、一番目の管材21の外側から管材21の上部に接合されている。四番目の管材24は、容器20の高さ方向の中央部に設けられており、五番目の管材25及び六番目の管材26は、容器20の下端部から上端部に亘って設けられている。七番目の管材27、八番目の管材28、及び、九番目の管材29は、容器20の高さ方向の中央部から上端部に亘って設けられている。
【0053】
六番目の管材26と七番目の管材27とは、水平方向に延びる連結部31を介して連結され、五番目の管材25と八番目の管材28とは、水平方向に延びる連結部32を介して連結されている。また、九番目の管材29の上端部は、水平方向に延びる連結部33を介して三番目の管材23の上端部に固定されている。
【0054】
五番目の管材25の下端部は、底壁部34に固定されており、六番目の管材26の下端部は、底壁部35に固定されている。底壁部34には、燃料電池セルスタック10が載置されており、また、底壁部34と底壁部35とは、スペーサ36により固定されている。
【0055】
この複数の管材21〜29によって構成される容器20は、機能別には、気化部40と、改質部60と、燃焼部90と、予熱部100と、熱交換部110とを有する。
【0056】
<気化部>
気化部40は、図2図3に示されるように、四重の筒状壁41〜44によって構成されている。四重の筒状壁41〜44のうち最も内側に位置する筒状壁41は、一番目の管材21の上部と、二番目の管材22とによって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち内側から二番目の筒状壁42は、三番目の管材23によって構成されている。また、四重の筒状壁41〜44のうち内側から三番目の筒状壁43は、五番目の管材25の上部によって構成され、四重の筒状壁41〜44のうち最も外側の筒状壁44は、六番目の管材26の上部によって構成されている。
【0057】
この四重の筒状壁41〜44によって構成された気化部40は、後述する改質部60の上方に改質部60と同軸上に設けられている。この気化部40を構成する四重の筒状壁41〜44は、互いの間に隙間を有しており、この四重の筒状壁41〜44の内側から外側には、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48が順に形成されている。
【0058】
つまり、一番目の筒状壁41の内側の空間は、断熱空間45として形成され、一番目の筒状壁41と、二番目の筒状壁42との間の隙間は、気化流路46として形成されている。また、二番目の筒状壁42と、三番目の筒状壁43との間の隙間は、燃焼排ガス流路47として形成され、三番目の筒状壁43と、四番目の筒状壁44との間の隙間は、酸化剤ガス流路48として形成されている。図2において、断熱空間45は、空洞とされているが、この断熱空間45には、断熱材49が充填されても良い。
【0059】
気化流路46の上端部には、容器20の径方向外側に延びる原燃料供給管50が接続されている。原燃料供給管50は、連結部31〜33の上方に位置する。気化流路46は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この気化流路46には、原燃料供給管50から供給された原燃料161が鉛直方向上側から下側に流れる。この原燃料供給管50から供給される原燃料161としては、炭化水素燃料に改質用水が混合されたものが使用される。また、この原燃料161に含まれる炭化水素燃料としては、例えば、都市ガスが好適に用いられるが、プロパンなどの炭化水素を主成分とするガスが用いられても良く、また、炭化水素系液体が用いられても良い。
【0060】
この気化流路46には、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材51が設けられており、この螺旋部材51により、気化流路46は、気化部40の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
【0061】
燃焼排ガス流路47の下端部は、後述する改質部60に形成された燃焼排ガス流路67を介して燃焼器200に形成された燃焼室207(図4図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路47は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路47には、燃焼器200から排出されると共に改質部60の燃焼排ガス流路67を通じて供給された燃焼排ガス168が鉛直方向下側から上側に流れる。
【0062】
燃焼排ガス流路47の上端部には、この燃焼排ガス流路47の周方向に沿って環状に形成された整流板52が設けられている。この整流板52には、周方向に間隔を空けて複数のオリフィス53が形成されている。この複数のオリフィス53は、整流板52の板厚方向に貫通している。なお、この整流板52は、省かれても良い。
【0063】
酸化剤ガス流路48の上端部は、後述する熱交換部110に形成された酸化剤ガス流路118と連通されている。この酸化剤ガス流路48は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路48には、熱交換部110の酸化剤ガス流路118から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
【0064】
<改質部>
図3に示されるように、改質部60は、四重の筒状壁61〜64によって構成されている。四重の筒状壁61〜64のうち最も内側に位置する筒状壁61は、一番目の管材21の下部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62は、四番目の管材24によって構成されている。また、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目の筒状壁63は、五番目の管材25における高さ方向の中央部によって構成され、四重の筒状壁61〜64のうち最も外側の筒状壁64は、六番目の管材26における高さ方向の中央部によって構成されている。
【0065】
この四重の筒状壁61〜64によって構成された改質部60は、後述する燃焼器200(図4参照)の上方に燃焼器200と同軸上に設けられている。この改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64は、互いの間に隙間を有している。そして、この四重の筒状壁61〜64の内側から外側には、断熱空間65、燃焼排ガス流路67、改質流路66、及び、酸化剤ガス流路68が順に形成されている。
【0066】
つまり、一番目の筒状壁61の内側の空間は、断熱空間65として形成され、一番目の筒状壁61と、二番目の筒状壁62との間の隙間は、燃焼排ガス流路67として形成されている。また、二番目の筒状壁62と、三番目の筒状壁63との間の隙間は、改質流路66として形成され、三番目の筒状壁63と、四番目の筒状壁64との間の隙間は、酸化剤ガス流路68として形成されている。
【0067】
断熱空間65は、上述の気化部40の断熱空間45と連通している。図3において、断熱空間65は、空洞とされているが、この断熱空間65には、断熱材69が充填されても良い。燃焼排ガス流路67の下端部は、後述する燃焼器200に形成された燃焼室207(図4図5参照)と連通されている。燃焼排ガス流路67は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路67には、後述する燃焼器200から排出された燃焼排ガス168が鉛直方向下側から上側に流れる。
【0068】
<混合部及び分散部>
改質部60の上端部には、鉛直方向上側に延長された混合部80が形成されている。この混合部80は、気化部40と改質部60との間、すなわち、より具体的には、改質部60の上側且つ気化部40の下端部の径方向外側に位置する。気化部40の下端部における周方向の一部からは、連結管81が径方向外側に延びている。連結管81は、混合部80における気化部40との接続部を構成しており、この連結管81の内側は、水平方向に貫通するオリフィス82として形成されている。連結管81(オリフィス82)は、気化流路46の径方向外側に位置しており、気化流路46の下端部と連通する。混合部80は、連結管81(オリフィス82)を一つのみ有する。混合部80には、オリフィス82に対する改質流路66側(径方向外側)に位置しオリフィス82と対向する対向壁部86が設けられている。
【0069】
改質流路66の入口(上端)は、混合部80及び連結管81を介して気化流路46と連通されている。改質流路66は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この改質流路66には、気化流路46から供給された原燃料ガス162が鉛直方向上側から下側に流れる。
【0070】
この改質流路66の入口には、改質流路66の周方向に沿って環状に形成された仕切板83が設けられている。この仕切板83には、周方向に一定の間隔を空けて複数のオリフィス84が形成されている。この複数のオリフィス84は、仕切板83の板厚方向(鉛直方向)に貫通しており、改質流路66には、複数のオリフィス84を通じて原燃料ガス162が流入する。この仕切板83は、鉛直方向に間隔を空けて複数設けられていても良い。
【0071】
改質流路66には、原燃料ガス162から燃料ガス163を生成するための改質触媒層70が改質流路66の周方向及び軸方向の全長に亘って設けられている。改質触媒層70には、例えば、活性金属としてニッケル、ルテニウム、白金、ロジウム等の金属を担持した粒状触媒又はハニカム触媒等が用いられる。
【0072】
酸化剤ガス流路68の上端部は、上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。この酸化剤ガス流路68は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路68には、気化部40の酸化剤ガス流路48から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
【0073】
<燃焼部>
図4に示されるように、燃焼部90は、上述の改質部60の下方に改質部60と同軸上に設けられている。この燃焼部90の内部には、図5に示される燃焼器200が適用されている。燃焼器200は、燃焼室周壁201と、燃焼室内壁202と、整流部203と、燃料ガス室仕切壁204と、酸化剤ガス室仕切壁205とを有する。
【0074】
燃焼室周壁201は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち内側から二番目の筒状壁62を下方へ延長することにより形成されている(図4参照)。なお、図5に示される燃焼器200では、燃焼室周壁201に段部201Aが形成されているが、図1の燃料電池モジュールMは、段部201Aが省かれた状態で示されている。燃焼室周壁201は、筒状に形成されており、この燃焼室周壁201の内側には、燃焼室207が形成されている。燃焼室207は、鉛直方向を軸方向として形成されている。この燃焼室207では、後述する燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガスと、酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガスとが混合された混合ガスが燃焼される。
【0075】
燃焼室内壁202は、燃焼室周壁201よりも小径であり、燃焼室周壁201の内側に設けられている。この燃焼室内壁202は、上述の改質部60を構成する四重の筒状壁61〜64のうち最も内側の筒状壁61の下端部によって形成されている(図4参照)。図5に示されるように、燃焼室内壁202は、燃焼室207の上側に配置されている。燃焼室周壁201と燃焼室内壁202との間の隙間は、上述の改質部60に形成された燃焼排ガス流路67の入口部67Aとして形成されている。燃焼室207で生じた燃焼排ガスは、燃焼排ガス流路67の入口部67Aから燃焼排ガス流路67に流入する。
【0076】
この燃焼室内壁202の下端部には、燃焼室207の下側に向けて延出する整流部203が形成されている。この整流部203は、燃焼室207の上側(下流側)に向かうに従って拡径する円錐状に形成されている。この整流部203の内側及び燃焼室内壁202の内側は、一例として、空洞とされている。なお、整流部203の内側には、断熱材が充填されても良い。
【0077】
燃焼室内壁202及び整流部203は、上述の容器20を構成する複数の管材21〜29のうち最も内側の管材21(図1も参照)に形成されている。この管材21の軸芯部には、パイプ150が設けられている。パイプ150は、管材21に固定されており、このパイプ150の内側には、点火プラグ151が挿入されている。図1に示されるように、パイプ150の上端部は、管材21における整流部203側と反対側の端部(上端部)から上方に導出されており、点火プラグ151は、パイプ150の上端側の開口を通じてパイプ150の内側に挿抜可能に挿入されている。
【0078】
点火プラグ151は、導電性の芯材152と、芯材152を被覆する絶縁材153とを有する。芯材152の先端部(下端部)は、点火電極154として形成されており、芯材152の先端部よりも上側の部分は、導電部155として形成されている。パイプ150及び絶縁材153の下端部は、整流部203の先端部から突出されている。また、点火電極154は、パイプ150及び絶縁材153の下端部から突出されており、燃焼室207の中心軸線上に配置されている。なお、この点火電極154は、火炎電流検知用のフレームロッドを兼ねている。点火電極が火炎電流検知用のフレームロッドを兼ねる技術には、例えば、特公平7−117241号公報に記載の技術が適用される。
【0079】
燃焼室周壁201の内側には、燃焼室207に加えて、燃料ガス室208及び酸化剤ガス室209が形成されている。燃料ガス室208は、燃焼室207の下側に燃焼室207と隣接して設けられている。この燃料ガス室208には、燃料電池セルスタック10(図4参照)の燃料極から排出された燃料極排ガスが燃料ガスとして供給される。酸化剤ガス室209は、燃料ガス室208の周囲に設けられている。この酸化剤ガス室209には、燃料電池セルスタック10(図4参照)の空気極から排出された空気極排ガスが酸化剤ガスとして供給される。
【0080】
燃料ガス室仕切壁204は、筒状に形成されており、燃焼室周壁201の内側に燃焼室周壁201と同軸に設けられている。この燃料ガス室仕切壁204は、燃料ガス室208と酸化剤ガス室209とを区画している。この筒状に形成された燃料ガス室仕切壁204における燃焼室207側の開口は、燃料ガスノズル210として形成されている。
【0081】
図6に示されるように、この燃料ガスノズル210からは、燃料ガス室208に供給された燃料ガス165が噴出される。燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165は、酸化剤ガス室仕切壁205の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散される。この燃焼器200では、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165が、酸化剤ガス室仕切壁205の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散されるように、燃料電池セルスタック10の燃料極から排出された燃料極排ガスである燃料ガスの流量や流速等に応じて、燃料ガスノズル210の孔径や燃料ガス室仕切壁204の形状が設定されている。
【0082】
図5に示されるように、酸化剤ガス室仕切壁205は、燃料ガス室仕切壁204の周囲に環状に設けられており、燃焼室207と酸化剤ガス室209とを区画している。この酸化剤ガス室仕切壁205は、燃焼室207の下側から上側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されている。
【0083】
この酸化剤ガス室仕切壁205には、複数の酸化剤ガスノズル211が形成されている。複数の酸化剤ガスノズル211は、酸化剤ガス室仕切壁205の厚さ方向に貫通する孔によって形成されている。この複数の酸化剤ガスノズル211は、燃焼室207の中心軸を中心に放射状に配列されている。つまり、複数の酸化剤ガスノズル211は、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向に複数の酸化剤ガスノズル211が並ぶ酸化剤ガスノズル列212を酸化剤ガス室仕切壁205の周方向に間隔を空けて複数形成している。
【0084】
各酸化剤ガスノズル列212では、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する複数の酸化剤ガスノズル211の間隔よりも酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に位置する複数の酸化剤ガスノズル211の間隔の方が狭くなっている。
【0085】
図6に示されるように、酸化剤ガスノズル211からは、酸化剤ガス室209に供給された酸化剤ガス166が噴出される。酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166は、上述の燃料ガスノズル210から噴出され酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散する燃料ガス165と混合される。
【0086】
図4に示されるように、上述の燃焼器200の周囲には、改質部60の改質流路66及び酸化剤ガス流路68が形成されている。つまり、四重の筒状壁61〜64のうち内側から三番目及び四番目の筒状壁63,64は、下方へ延長されている。そして、筒状壁62と筒状壁63との間には、改質部60の改質流路66が延長して形成されており、筒状壁63と筒状壁64との間には、改質部60の酸化剤ガス流路68が延長して形成されている。
【0087】
また、燃料ガス室208の底部には、燃料ガス室底壁213が設けられ、この燃料ガス室底壁213の中央部には、燃料電池セルスタック10側(下側)に突出する筒状の連結壁214が形成されている。燃料電池セルスタック10の燃料極から排出された燃料極排ガスである燃料ガス165は、連結壁214の内側に形成された連通路215を通じて燃料ガス室208に流入する。
【0088】
また、酸化剤ガス室209の外周部には、酸化剤ガス室周壁216が設けられ、酸化剤ガス室209の底部には、酸化剤ガス室底壁217が設けられている。酸化剤ガス室底壁217には、連通孔218が形成されており、燃料電池セルスタック10の空気極から排出された空気極排ガスである酸化剤ガス166は、連通孔218を通じて酸化剤ガス室209に流入する。
【0089】
なお、第一実施形態において、燃焼室207の下側は、本発明における「燃焼室の軸方向一方側」に相当し、燃焼室207の上側は、本発明における「燃焼室の軸方向他方側」に相当する。
【0090】
<予熱部>
図4に示されるように、予熱部100(収容部)は、燃焼部90の下方に設けられた二重の筒状壁101,102によって構成されている。二重の筒状壁101,102のうち内側の筒状壁101は、五番目の管材25の下部によって構成され、二重の筒状壁101,102のうち外側の筒状壁102は、六番目の管材26の下部によって構成されている。
【0091】
この予熱部100は、燃料電池セルスタック10の周囲に設けられており、燃料電池セルスタック10を収容している。予熱部100の内側には、内側空間104が形成されており、予熱部100を構成する二重の筒状壁101,102の間には、予熱流路105が形成されている。
【0092】
この予熱流路105には、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材106が設けられており、この螺旋部材106により、予熱流路105は、予熱部100の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
【0093】
この予熱流路105の上端部は、上述の改質部60の酸化剤ガス流路68と連通され、予熱流路105の下端部は、図1に示される底壁部34と底壁部35との間に形成された導入路37を通じて燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15と連通されている。図4に示されるように、予熱流路105は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この予熱流路105には、改質部60の酸化剤ガス流路68を通じて供給された酸化剤ガス164が鉛直方向上側から下側に流れる。
【0094】
また、予熱部100の内側には、上述の改質流路66と、燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図1参照)とを接続する燃料ガス配管107が設けられている。改質流路66と燃料ガス配管107の内側とは、改質流路66の下端部に設けられたオリフィス98を通じて連通されている。
【0095】
<熱交換部>
図2に示されるように、熱交換部110は、上述の改質部60及び気化部40の周囲に設けられた三重の筒状壁111〜113によって構成されている。三重の筒状壁111〜113における内側の筒状壁111は、七番目の管材27によって構成され、三重の筒状壁111〜113における中央の筒状壁112は、八番目の管材28によって構成され、三重の筒状壁111〜113における外側の筒状壁113は、九番目の管材29によって構成されている。
【0096】
この熱交換部110を構成する三重の筒状壁111〜113は、互いの間に隙間を有している。そして、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間には、酸化剤ガス流路118が形成され、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間には、燃焼排ガス流路117が形成されている。
【0097】
酸化剤ガス流路118には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材121が設けられており、この螺旋部材121により、酸化剤ガス流路118は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。同様に、燃焼排ガス流路117には、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成された螺旋部材120が設けられており、この螺旋部材120により、燃焼排ガス流路117は、熱交換部110の軸方向回りに螺旋状に形成されている。
【0098】
酸化剤ガス流路118の下端部には、容器20の径方向外側に延びる酸化剤ガス供給管122(図1参照)が接続されている。連結部31と連結部32との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路38として形成されており、酸化剤ガス流路118の上端部は、連結流路38を介して上述の気化部40に形成された酸化剤ガス流路48と連通されている。酸化剤ガス流路118は、鉛直方向下側を上流側として形成されており、この酸化剤ガス流路118には、酸化剤ガス供給管122(図1参照)から供給された酸化剤ガス164が鉛直方向下側から上側に流れる。
【0099】
また、連結部32と連結部33との間の隙間は、容器20の径方向に延びる連結流路39として形成されており、燃焼排ガス流路117の上端部は、連結流路39を介して上述の気化部40に形成された燃焼排ガス流路47と連通されている。この燃焼排ガス流路117の下端部には、容器20の径方向外側に延びるガス排出管123(図1参照)が接続されている。燃焼排ガス流路117は、鉛直方向上側を上流側として形成されており、この燃焼排ガス流路117には、気化部40の燃焼排ガス流路47から供給された燃焼排ガス168が鉛直方向上側から下側に流れる。
【0100】
<断熱層>
図1に示されるように、改質部60及び気化部40と、熱交換部110とは、容器20の径方向に離間しており、この改質部60及び気化部40と熱交換部110との間には、円筒状の断熱層130が介在されている。この断熱層130は、気化部40及び改質部60を外側から覆っている。
【0101】
<断熱材>
断熱材140は、円筒状の本体部141と、円盤状の上部142及び下部143とを有し、容器20を覆っている。つまり、本体部141は、容器20の周囲に設けられており、容器20を外側から覆っている。上部142は、本体部141を鉛直方向上側から覆うと共に、容器20の上部の周囲に設けられている。上部142は、鉛直方向上側から固定部材144により固定されている。下部143は、容器20及び本体部141を鉛直方向下側から覆っている。この断熱材140の表面は、被覆シート145によって覆われている。
【0102】
<燃料電池モジュールの動作>
次に、第一実施形態に係る燃料電池モジュールMの動作について説明する。
【0103】
図1に示される原燃料供給管50を通じて図2に示される気化流路46に原燃料161(原燃料及び改質用水が混合されたもの)が供給されると、この原燃料161は、螺旋状に形成された気化流路46を鉛直方向上側から下側へ流れる。このとき、気化部40では、燃焼器200(図4参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。気化流路46に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、気化流路46を流れる原燃料161と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、気化流路46では、原燃料161が気化され、図3に示される原燃料ガス162が生成される。
【0104】
この気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側に形成されたオリフィス82を通り、改質部60の上方に形成された混合部80の内側空間85に流入する。このとき、気化流路46で気化された原燃料ガス162は、連結管81の内側のオリフィス82を通過する際に流速が高められて噴流となり、混合部80における径方向外側の対向壁部86に衝突する。そして、原燃料ガス162が対向壁部86に衝突することにより乱流が生じ、原燃料ガス162に含まれる炭化水素系ガス及び水蒸気が混合される。
【0105】
このようにして混合された原燃料ガス162は、対向壁部86に衝突することにより径方向外側から鉛直方向下側に向きを変え、改質流路66の入口に形成された複数のオリフィス84を通じて改質流路66に流入する。複数のオリフィス84は、改質流路66の周方向に一定の間隔を空けて並んでいるので、この複数のオリフィス84を通過することで、改質流路66には、原燃料ガス162が周方向に分散して流入する。
【0106】
また、このとき、改質部60では、燃焼器200(図4参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路67を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路66に隣接する燃焼排ガス流路67に燃焼排ガス168が流れると、改質流路66を流れる原燃料ガス162と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、改質流路66では、燃焼排ガス168の熱を利用して改質触媒層70により原燃料ガス162から燃料ガス163が生成される。
【0107】
改質流路66にて生成された燃料ガス163は、図4に示されるように、オリフィス98を通過し、燃料ガス配管107の内側に流入する。そして、この燃料ガス163は、燃料ガス配管107を通じて燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16(図1参照)に供給される。
【0108】
一方、このとき、図2に示される熱交換部110では、酸化剤ガス供給管122(図1参照)を通じて酸化剤ガス流路118に酸化剤ガス164が供給される。この酸化剤ガス164は、螺旋状に形成された酸化剤ガス流路118を鉛直方向下側から上側に流れる。このとき、熱交換部110では、燃焼器200(図4参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路117を鉛直方向上側から下側に流れる。この燃焼排ガス168は、図1に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールMの外部に排出される。
【0109】
図2に示されるように、酸化剤ガス流路118に隣接する燃焼排ガス流路117に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤ガス流路118を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス168との間で熱交換される。そして、燃料電池モジュールMの外部へ排出される燃焼排ガス168の温度が低下され、燃料電池モジュールMの外部への放熱が抑制される。一方、酸化剤ガス164は、燃焼排ガス168の熱を吸収し、予熱される。この熱交換部110にて予熱された酸化剤ガス164は、連結流路38を通じて気化部40の酸化剤ガス流路48に流入し、その後、気化部40の酸化剤ガス流路48及び改質部60の酸化剤ガス流路68(図3図4参照)を鉛直方向上側から下側に流れる。
【0110】
図2に示される気化部40では、上述の通り、燃焼器200(図4参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路47を鉛直方向下側から上側に流れる。酸化剤ガス流路48に隣接する燃焼排ガス流路47に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤ガス流路48を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス168との間で熱交換され、酸化剤ガス164がさらに予熱される。
【0111】
同様に、図3に示されるように、改質部60では、燃焼器200(図4参照)から排出された燃焼排ガス168が燃焼排ガス流路67を鉛直方向下側から上側に流れる。改質流路66を挟んだ酸化剤ガス流路68と反対側の燃焼排ガス流路67に燃焼排ガス168が流れると、酸化剤ガス流路68を流れる酸化剤ガス164と燃焼排ガス168とが改質流路66(改質触媒層70)を介して熱交換し、このことによっても、酸化剤ガス164が予熱される。
【0112】
このように酸化剤ガス流路68を流れることで予熱された酸化剤ガス164は、図4に示される予熱流路105に流入し、この螺旋状に形成された予熱流路105を鉛直方向上側から下側に流れる。この予熱流路105を流れる酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の熱によってさらに予熱される。そして、この予熱流路105にて予熱された酸化剤ガス164は、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15(図1参照)に供給される。
【0113】
以上のようにして、図1に示される燃料電池セルスタック10の燃料ガス取入口16に燃料ガス(改質ガス)が供給されると共に、燃料電池セルスタック10の酸化剤ガス取入口15に酸化剤ガスが供給されると、燃料電池セルスタック10では、各セル12において、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する。また、各セル12は、発電に伴い発熱する。
【0114】
このように燃料電池セルスタック10が起動すると、燃料電池セルスタック10の燃料極からは、燃料極排ガスが排出され、燃料電池セルスタック10の空気極からは、空気極排ガスが排出される。燃料極排ガスには、燃料電池セルスタック10にて発電に供されなかった燃料ガスが含まれ、同様に、空気極排ガスには、燃料電池セルスタック10にて発電に供されなかった酸化剤ガスが含まれる。
【0115】
図4に示されるように、燃料電池セルスタック10の燃料極から排出された燃料極排ガスは、燃焼器200の燃料ガス室208に燃料ガスとして供給され、燃料電池セルスタック10の空気極から排出された空気極排ガスは、燃焼器200の一対の酸化剤ガス室209に酸化剤ガスとしてそれぞれ供給される。
【0116】
そして、図6に示されるように、燃料ガスノズル210からは、燃料ガス室208に供給された燃料極排ガスである燃料ガス165が噴出される。燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165は、酸化剤ガス室仕切壁205の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散される。
【0117】
また、複数の酸化剤ガスノズル211からは、酸化剤ガス室209に供給された空気極排ガスである酸化剤ガス166が噴出される。複数の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166は、酸化剤ガス室仕切壁205の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散する燃料ガス165と混合され、混合ガスが生成される。この燃焼室207にて混合された混合ガスは、点火電極154とパイプ150等との間に形成されるスパークによって点火されて燃焼される。
【0118】
ここで、図7に示されるように、例えば、空気比が高く、酸化剤ガス166の流量が燃料ガス165の流量に対して過剰な場合には、複数の酸化剤ガスノズル211のうち酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166で混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成される。そして、この混合ガスが燃焼されることで、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に火炎167が生じる。
【0119】
なお、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流は、混合ガスの燃焼によって生ずる燃焼排ガス168に混合され、燃焼室207から排出される。
【0120】
一方、図8に示されるように、燃料ガス165の流量が多く燃焼量が多い場合には、複数の酸化剤ガスノズル211のうち酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166では混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側にかけて設けられた酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成される。そして、この混合ガスが燃焼されることで、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側にかけて火炎167が生じる。
【0121】
このように、第一実施形態に係る燃焼器200では、空気比及び燃焼量が変化しても、最適な燃焼を維持するように燃料ガス165と酸化剤ガス166との混合領域及び火炎面積が変化して対応するため、通常の空気比(理論空気比)から高空気比(例えばλ=5程度)までの広い空気比の範囲で火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼が得られる。
【0122】
そして、このようにして燃焼室207に燃焼反応が生じ、この燃焼反応にて発生した燃焼排ガス168は、図4に示される整流部203に沿って燃焼排ガス流路67の入口部67Aに流入する。この燃焼排ガス流路67の入口部67Aに流入した燃焼排ガス168は、上述の通り、改質部60の燃焼排ガス流路67、気化部40の燃焼排ガス流路47(図3参照)、連結流路39及び熱交換部110の燃焼排ガス流路117(図2参照)を流れた後、図1に示されるガス排出管123を通じて燃料電池モジュールMの外部に排出される。
【0123】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0124】
以上詳述したように、第一実施形態の燃焼器200によれば、図6に示されるように、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165の噴流は、酸化剤ガス室仕切壁205の全周に亘って酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側に拡散される。この酸化剤ガス室仕切壁205には、燃焼室207の中心軸を中心に放射状に配列された複数の酸化剤ガスノズル211が形成されており、酸化剤ガス室仕切壁205に沿って拡散された燃料ガス165の噴流は、複数の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流に巻き込まれるので、燃料ガス165及び酸化剤ガス166を効果的に混合させることができる。これにより、燃料ガス165及び酸化剤ガス166が混合された混合ガスの性状や組成等が異なる場合でも、混合ガスを安定して燃焼させることができる。
【0125】
また、図7に示されるように、例えば、空気比が高く、酸化剤ガス166の流量が燃料ガス165の流量に対して過剰な場合には、複数の酸化剤ガスノズル211のうち酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166で混合ガスの燃焼に必要な酸素が足りる。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成される。そして、この混合ガスが燃焼されることで、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に火炎167が生じる。
【0126】
なお、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流は、混合ガスの燃焼によって生ずる燃焼排ガス168に混合され、燃焼室207から排出される。
【0127】
一方、図8に示されるように、燃料ガス165の流量が多く燃焼量が多い場合には、複数の酸化剤ガスノズル211のうち酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166では混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する。この場合には、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側にかけて設けられた酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成される。そして、この混合ガスが燃焼されることで、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側にかけて火炎167が生じる。
【0128】
このように、燃料ガス165と酸化剤ガス166との混合領域が酸化剤ガス室仕切壁205の表面に広く形成され、火炎167が酸化剤ガス166仕切壁の表面に定着するため、火炎167が燃焼室207の径方向に広がり、燃焼室207の軸方向における火炎167の長さを短くすることができる。そのため、燃焼室207の軸方向の長さを短縮することができるので、燃焼器200の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0129】
しかも、空気比及び燃焼量が変化しても、最適な燃焼を維持するように燃料ガス165と酸化剤ガス166との混合領域及び火炎面積が変化して対応するため、通常の空気比(理論空気比)から高空気比(例えばλ=5程度)までの広い空気比の範囲で火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼を得ることができる。
【0130】
また、第一実施形態の燃焼器200によれば、燃料ガスノズル210は、筒状の燃料ガス室仕切壁204における燃焼室207側の開口によって形成されているので、燃料ガスノズル210の構造を簡素化することができ、より一層低コスト化することができる。
【0131】
また、燃焼室内壁202の下端部には、燃焼室207の下側に向けて延出する整流部203が形成されている。この整流部203は、燃焼室207の上側(下流側)に向かうに従って拡径する円錐状に形成されている。これにより、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室207の外周側へ流れ易くすることができるため、燃焼室の軸方向における火炎の長さを短くすることができる。そのため、燃焼室の軸方向の長さを短縮することができるので、燃焼器の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0132】
また、酸化剤ガス室仕切壁205は、燃焼室207の下側から上側に向かうに従って拡径するテーパ状に形成されているので、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165の噴流を、酸化剤ガス室仕切壁205の表面に沿って燃焼室207の径方向に拡散することができる。これにより、燃焼室207の軸方向における火炎の長さを短くすることができる。
【0133】
また、図5に示されるように、各酸化剤ガスノズル列212では、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する複数の酸化剤ガスノズル211の間隔よりも酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に位置する複数の酸化剤ガスノズル211の間隔の方が狭くなっている。したがって、燃焼室207の径方向外側を負圧にすることができるので、燃料ガス、火炎、及び、燃焼排ガスを燃焼室207の外周側へ流れ易くすることができる。これにより、燃焼器200の周囲に設けられた流路(図2図4に示される改質流路66、改質部60の酸化剤ガス流路68、熱交換部110の酸化剤ガス流路118)を流れるガスに燃焼排ガス168の熱を効率良く伝達することができる。
【0134】
また、図1図4に示される燃料電池モジュールMによれば、上述の燃焼器200が適用されているので、起動時や発電時に燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガスであるスタック排ガスの性状や組成等が異なる場合でも、スタック排ガスを単一の燃焼器200で安定して燃焼させることができる。これにより、燃焼器200及びその周辺の構造を簡素化できるので、燃料電池モジュールMの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0135】
また、気化部40及び改質部60は、多重の筒状壁によってそれぞれ形成されているので、気化部40及び改質部60の構造を簡素化することができると共に、気化部40及び改質部60を小型化することができる。また、燃焼器200、改質部60、気化部40は、同軸上に配置されているので、燃料電池モジュールMを径方向に小型化することができる。
【0136】
なお、上述の燃料電池モジュールMには、以下の変形例が適用されても良い。
【0137】
すなわち、上記実施形態において、予熱部100、燃焼部90、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、いずれも横断面が真円形状である円筒状に形成されている。しかしながら、これらの筒状壁は、いずれも横断面が楕円形状である楕円筒状に形成されていても良い。
【0138】
また、予熱部100、燃焼部90、改質部60、気化部40、及び、熱交換部110等を構成する複数の筒状壁は、円筒状に形成されたものと、楕円筒状に形成されたものの両方を含んでいても良い。
【0139】
また、上記実施形態において、気化部40は、四重の筒状壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、気化流路46、燃焼排ガス流路47、及び、酸化剤ガス流路48を有するが、四重の筒状壁41〜44の内側から外側に順に、断熱空間45、燃焼排ガス流路47、気化流路46、及び、酸化剤ガス流路48を有しても良い。
【0140】
また、熱交換部110は、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間に酸化剤ガス流路118を有し、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間に燃焼排ガス流路117を有する。しかしながら、熱交換部110は、内側の筒状壁111と中央の筒状壁112との間に燃焼排ガス流路117を有し、外側の筒状壁113と中央の筒状壁112との間に酸化剤ガス流路118を有するように構造が変更されても良い。
【0141】
また、酸化剤ガス164が流れる酸化剤ガス流路は、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60に亘って形成されている。しかしながら、熱交換部110、気化部40、及び、改質部60から酸化剤ガス流路が省かれても良い。また、この場合に、気化部40及び改質部60は、三重の筒状壁によってそれぞれ構成されても良く、また、酸化剤ガス供給管122は、予熱流路105の上端部に接続されても良い。
【0142】
また、上記実施形態において、整流部203は、円錐状に形成されているが、ドーム状に形成されていても良い。
【0143】
このように構成されていても、図4に示されるように、整流部203によって燃焼排ガス168を燃焼室207の外周側に集めて整流することができるので、燃焼器200の周囲に設けられた流路(図2図4に示される改質流路66、改質部60の酸化剤ガス流路68、熱交換部110の酸化剤ガス流路118)を流れるガスに燃焼排ガス168の熱を効率良く伝達することができる。
【0144】
また、燃料電池モジュールMは、熱交換部110を備えるが、この熱交換部110は、省かれても良い。
【0145】
また、熱交換部110は、気化部40及び改質部60の径方向外側に設けられているが、気化部40の上方に気化部40と同軸上に設けられても良い。
【0146】
また、予熱部100は、二重の筒状壁101,102によって構成されているが、三重の筒状壁によって構成されても良い。また、この場合に、予熱部100を構成する三重の筒状壁の間には、酸化剤ガスが流れる予熱流路105と、改質流路66と連通し燃料ガスが流れる燃料ガス流路とが形成されても良い。
【0147】
また、予熱部100の代わりに燃料電池セルスタック10を単に収容する収容部(流路を有しない収容部)が設けられても良い。また、予熱部100の代わりに収容部が設けられる場合に、改質流路66及び酸化剤ガス流路68と燃料電池セルスタック10とは、配管等により接続されても良い。
【0148】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0149】
図9には、本発明の第二実施形態に係る燃焼器220が示されている。この第二実施形態に係る燃焼器220は、上述の第一実施形態に係る燃焼器200(図5参照)に対し、燃料ガス室天面仕切壁222が追加されている。燃料ガス室天面仕切壁222は、燃料ガスノズル210の上方に設けられており、燃料ガスノズル210と隙間を有して対向されている。この燃料ガス室天面仕切壁222は、燃料ガス室仕切壁204の内周面に固定された支持部材224によって支持されている。
【0150】
このように構成されていると、燃料ガスノズル210と隙間を有して対向する燃料ガス室天面仕切壁222によって、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165の噴流の向きを酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に的確に向けることができる。これにより、燃料ガス165を酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側へより効果的に拡散させることができる。
【0151】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0152】
図10には、本発明の第三実施形態に係る燃焼器230が示されている。この第三実施形態に係る燃焼器230は、上述の第二実施形態に係る燃焼器220に対し、次のように構造が変更されている。
【0153】
すなわち、燃料ガス室仕切壁204における燃焼室207側の端部(上端部)には、酸化剤ガス室仕切壁205に対して燃焼室207側に突出する筒状突出壁232が形成されている。また、筒状突出壁232の突出端部には、燃焼室207と燃料ガス室208とを区画する燃料ガス室天面仕切壁222が設けられており、燃料ガスノズル210は、筒状突出壁232の周方向に間隔を空けて筒状突出壁232に複数形成されている。この複数の燃料ガスノズル210は、筒状突出壁232の周方向に等間隔で配列されている。
【0154】
このように構成されていると、この複数の燃料ガスノズル210から酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に向けて燃料ガス165を噴出することができる。これにより、燃料ガス165の噴出方向を燃料ガス165の噴流が酸化剤ガスの噴流に直接当たらないようにすると共に、燃料ガスノズル210の圧力損失を利用して燃料ガス165の流速を速めて、燃料ガス165を酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側のより遠方へ、拡散させることができる。
【0155】
なお、図11には、第三実施形態に係る燃焼器230において、例えば、空気比が高く、酸化剤ガス166の流量が燃料ガス165の流量に対して過剰な場合の燃焼状態が示されている。この場合にも、第一実施形態と同様に、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成され、混合ガスが燃焼される。なお、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流は、混合ガスの燃焼によって生ずる燃焼排ガス168に混合され、燃焼室207から排出される。
【0156】
また、図12には、第三実施形態に係る燃焼器230において、燃料ガス165の流量が多く燃焼量が多い場合の燃焼状態が示されている。この場合にも、第一実施形態と同様に、複数の酸化剤ガスノズル211のうち酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側に位置する酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166では混合ガスの燃焼に必要な酸素が不足する。このため、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側から外側にかけて設けられた酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165とが混合されることで混合ガスが生成され、混合ガスが燃焼される。
【0157】
このように、筒状突出壁232に複数の燃料ガスノズル210が形成された例においても、空気比及び燃焼量が変化した場合には、最適な燃焼を維持するように燃料ガス165と酸化剤ガス166との混合領域及び火炎面積が変化して対応するため、通常の空気比(理論空気比)から高空気比(例えばλ=5程度)までの広い空気比の範囲で火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼が得られる。
【0158】
また、図13には、第三実施形態に係る燃焼器230において、酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流に再循環流234が生じている状態が示されている。このように、酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流には、再循環流234が生じていると考えられ、混合ガスの燃焼により生じた火炎は、この再循環流234により保炎されると考察される。
【0159】
また、図14に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230において、複数の燃料ガスノズル210の各々は、酸化剤ガス室仕切壁205の周方向に隣り合う酸化剤ガスノズル列212の間に配置されている。また、複数の酸化剤ガスノズル列212の各々の間には、燃料ガスノズル210が配置されている。
【0160】
このように構成されていると、酸化剤ガス室仕切壁205に沿って拡散された燃料ガス165の噴流を、複数の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流により一層効果的に巻き込むことができる。これにより、燃料ガス165及び酸化剤ガス166をより一層効果的に混合させることができる。
【0161】
なお、第三実施形態に係る燃焼器230には、以下の変形例が適用されても良い。
【0162】
すなわち、図15に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230において、酸化剤ガス室仕切壁205は、燃料ガス室仕切壁204から燃焼室207の径方向外側へ向けて拡がる内側壁部236と、内側壁部236の外周部から燃焼室207の上側へ向けて延びる外側壁部238とを有していても良い。
【0163】
このように構成されていると、例えば、燃焼量が少なく燃料ガスの噴流の流速が遅い場合には、内側壁部236の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166と燃料ガス165が十分に混合しない状態であっても、外側壁部238の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166によって燃料ガス165と酸化剤ガス166の混合が促進されることで混合ガスが生成され、火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼が得られる。
【0164】
また、図16に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230において、酸化剤ガス室仕切壁205は、燃焼室207の径方向(燃焼室207の水平方向)に沿って延びていても良い。
【0165】
このように構成されていると、酸化剤ガス室仕切壁205の軸方向の寸法を小さくすることができるので、燃焼器230を軸方向に小型化することができる。
【0166】
また、図17に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230において、点火プラグ151(点火電極154)は、燃焼室207の中心から径方向にずれた位置に配置されていても良い。また、この場合に、点火プラグ151(点火電極154)は、混合ガスの燃焼により生じる火炎の形状に応じて火炎の最も大きくなる場所に配置されても良い。
【0167】
このように構成されていると、火炎電流検知用のフレームロッドを兼ねる点火電極154によって着火及び火炎の検知を正確に行うことができる。
【0168】
また、図18に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230では、複数の酸化剤ガスノズル列212の間に一つおきに燃料ガスノズル210が配置されていても良い。
【0169】
このように構成されていても、酸化剤ガス室仕切壁205に沿って拡散された燃料ガス165の噴流を、複数の酸化剤ガスノズル211から噴出された酸化剤ガス166の噴流により一層効果的に巻き込むことができる。これにより、燃料ガス165及び酸化剤ガス166をより一層効果的に混合させることができる。
【0170】
なお、図18に示される例では、複数の酸化剤ガスノズル列212の間に一つおきに燃料ガスノズル210が配置されているが、このように燃料ガスノズル210の数を半減させても、均等な火炎形状を維持することができる。
【0171】
また、第三実施形態において、酸化剤ガスノズル211は、酸化剤ガス室仕切壁205の厚さ方向に沿って貫通して形成されているが、図19に示されるように、酸化剤ガスノズル211は、燃焼室207の径方向外側かつ上側(軸方向他方側)に向けて開口されていても良い。
【0172】
このように構成されていると、酸化剤ガスノズル211から噴出される酸化剤ガス166の噴流により、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室207の外周側へ流れ易くすることができる。これにより、燃焼器230の周囲に設けられた流路(図2図4に示される改質流路66、改質部60の酸化剤ガス流路68、熱交換部110の酸化剤ガス流路118)を流れるガスに燃焼排ガスの熱を効率良く伝達することができる。
【0173】
また、第三実施形態に係る燃焼器230において、燃料ガスノズル210の周辺部は、次のように構成されても良い。すなわち、図20に示される変形例では、燃料ガス室仕切壁204の周囲に、酸化剤ガス室仕切壁205の径方向内側の端部から上側に延出する周囲壁240が設けられている。周囲壁240の上端は、燃料ガス室天面仕切壁222と接続されている。燃料ガス室仕切壁204と周囲壁240との間の隙間は、酸化剤ガス混合流路242として形成されている。
【0174】
酸化剤ガス混合流路242は、酸化剤ガス室209と連通されており、酸化剤ガス混合流路242には、酸化剤ガス室209から酸化剤ガス166が供給される。この酸化剤ガス混合流路242では、酸化剤ガス室209から供給された酸化剤ガス166が、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165に混合される。
【0175】
また、周囲壁240には、各燃料ガスノズル210と同軸上に複数のガス噴出ノズル252が形成されている。そして、この燃焼器230では、燃料ガスノズル210から噴出されると共に酸化剤ガス混合流路242により酸化剤ガス166が混合された燃料ガス165は、ガス噴出ノズル252を通じて酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側へ向けて噴出される。
【0176】
このように構成されていると、ガス噴出ノズル252からは、酸化剤ガス混合流路242により酸化剤ガス166が混合された燃料ガス165が噴出されるので、燃料ガス165に酸化剤ガス166が混合された分、火炎の燃焼特性は予混合火炎の特性に近くなり、燃焼範囲は通常の空気比(理論空気比)からやや高い空気比(例えばλ=1.5程度)に狭められてしまうが、燃料ガス165の噴出速度を高めることができる。これにより、混合ガスの燃焼性を高め、排ガス中の未燃分濃度を抑制することができると共に、火炎及び燃焼排ガスを燃焼室の外周側へ流れ易くすることができるので、燃焼器230の周囲に設けられた流路(図2図4に示される改質流路66、改質部60の酸化剤ガス流路68、熱交換部110の酸化剤ガス流路118)を流れるガスに燃焼排ガスの熱を効率良く伝達することができる。
【0177】
また、図21に示されるように、第三実施形態に係る燃焼器230において、ガス噴出ノズル252は、周囲壁240に形成された酸化剤ガスノズル262と一つおきに交互に配置されていても良い。
【0178】
このように構成されていると、酸化剤ガス室仕切壁205の表面には、周囲壁240に形成された酸化剤ガスノズル262から噴出される酸化剤ガス166の噴流と、ガス噴出ノズル252から噴出された混合ガスによって生じた火炎167が交互に存在するため、酸化剤ガスノズル211から噴出される酸化剤ガス166の噴流からだけでなく、酸化剤ガスノズル262から噴出される酸化剤ガス166の噴流からも火炎167に酸素が供給されるため、混合ガスの燃焼性を高めることができる。また、空気比が高く、酸化剤ガスの流量が燃料ガスの流量に対して過剰な場合には、酸化剤ガスノズル262から噴出された酸化剤ガス166の噴流は、混合ガスの燃焼によって生ずる燃焼排ガスに混合され、燃焼室から排出されるため、より高い空気比(例えばλ=2.0程度)まで火炎が吹き消えず安定な短炎燃焼が得られる。
【0179】
また、図22に示される変形例では、燃料ガス室仕切壁204に段部254が形成されており、この段部254には、段部254から上側へ向けて延びる複数の細管部256が形成されている。この複数の細管部256の出口部は、燃料ガスノズル210として形成されている。また、段部254と燃料ガス室天面仕切壁222との間の空間(複数の細管部256の周辺の空間)は、酸化剤ガス混合流路242として形成されている。
【0180】
酸化剤ガス混合流路242は、酸化剤ガス室209と連通されており、酸化剤ガス混合流路242には、酸化剤ガス室209から酸化剤ガス166が供給される。また、燃料ガス室天面仕切壁222には、段部254を上方から覆う庇部258が形成されている。この庇部258には、燃料ガスノズル210と対応する位置に半管状の膨出部260が形成されている。この半管状の膨出部260は、燃焼室207の径方向外側に向けて開口されており、膨出部260の出口部は、ガス噴出ノズル252として形成されている。
【0181】
そして、この変形例では、酸化剤ガス混合流路242に供給された酸化剤ガス166は、膨出部260の内側において、燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165と混合され、この酸化剤ガス166が混合された燃料ガス165は、ガス噴出ノズル252を通じて酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側へ向けて噴出される。
【0182】
このように構成されていても、ガス噴出ノズル252からは、酸化剤ガス混合流路242により酸化剤ガス166が混合された燃料ガス165が噴出されるので、燃料ガス165に酸化剤ガス166が混合された分、燃料ガス165の噴出速度を高めることができる。
【0183】
また、図23に示されるように、燃料ガスノズル210が形成された細管部256の上端部は、燃焼室207の径方向外側に向けて屈曲されていても良い。このように構成されていても、膨出部260の内側において、酸化剤ガス混合流路242に供給された酸化剤ガス166を燃料ガスノズル210から噴出された燃料ガス165に混合させることができ、この酸化剤ガス166が混合された燃料ガス165を、ガス噴出ノズル252を通じて酸化剤ガス室仕切壁205の径方向外側へ向けて噴出させることができる。
【0184】
なお、上述の第三実施形態に係る変形例のうち、組み合わせ可能な変形例は、適宜、組み合わされても良い。
【0185】
また、上述の第三実施形態に係る変形例のうち、上述の第一実施形態及び第二実施形態に適用可能な変形例は、上述の第一実施形態及び第二実施形態に適用されても良い。
【0186】
また、上述の第一乃至第三実施形態に係る燃焼器200,220,230は、より好ましくは、燃料電池モジュールに適用されるが、例えば、燃料電池モジュール以外の機器に適用されても良い。また、上述の第一乃至第三実施形態に係る燃焼器200,220,230は、例えば、バイオガスなどの低カロリーガスを燃焼させるための燃焼器として利用されても良い。
【0187】
また、上述の第一乃至第三実施形態に係る燃焼器200,220,230は、より好ましくは、燃焼室207の軸方向が鉛直方向となるように配置されるが、燃焼室207の軸方向が水平方向となるように配置されても良い。
【0188】
以上、本発明の第一乃至第三実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0189】
M…燃料電池モジュール、10…燃料電池セルスタック、20…容器、21〜29…管材、40…気化部、41〜44…筒状壁、45…断熱空間、46…気化流路、47…燃焼排ガス流路、48…酸化剤ガス流路、50…原燃料供給管、60…改質部、61〜64…筒状壁、65…断熱空間、66…改質流路、67…燃焼排ガス流路、67A…入口部、68…酸化剤ガス流路、70…改質触媒層、90…燃焼部、100…予熱部、101,102…筒状壁、105…予熱流路、107…燃料ガス配管、110…熱交換部、111,112…筒状壁、117…燃焼排ガス流路、118…酸化剤ガス流路、122…酸化剤ガス供給管、123…ガス排出管、150…パイプ、151…点火プラグ、154…点火電極、161…原燃料、162…原燃料ガス、163…燃料ガス、164…酸化剤ガス、165…燃料ガス、166…酸化剤ガス、168…燃焼排ガス、200,220,230…燃焼器、201…燃焼室周壁、202…燃焼室内壁、203…整流部、204…燃料ガス室仕切壁、205…酸化剤ガス室仕切壁、207…燃焼室、208…燃料ガス室、209…酸化剤ガス室、210…燃料ガスノズル、211…酸化剤ガスノズル、212…酸化剤ガスノズル列、222…燃料ガス室天面仕切壁、232…筒状突出壁、234…再循環流、236…内側壁部、238…外側壁部、240…周囲壁、242…酸化剤ガス混合流路、252…ガス噴出ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23