特許第6545654号(P6545654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545654
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】通知システム、通知方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20190705BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20190705BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20190705BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   H02J3/00 130
   H02J3/14 130
   H02J13/00 301B
   H02J13/00 301J
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-239726(P2016-239726)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-78779(P2018-78779A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年2月1日
【審判番号】不服2018-3121(P2018-3121/J1)
【審判請求日】2018年3月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】釋 宏介
(72)【発明者】
【氏名】大久保 和広
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 金子 幸一
【審判官】 田中 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−211780(JP,A)
【文献】 特開2013−5657(JP,A)
【文献】 特開2005−15140(JP,A)
【文献】 特開2003−61263(JP,A)
【文献】 特開2016−18483(JP,A)
【文献】 特開2010−156152(JP,A)
【文献】 特開2008−89432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q50/00,H02J3/00,H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの電力使用量を取得する取得部と、
前記ユーザの過去の電力使用の傾向に基づき、前記ユーザによる設定に依らず、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に合わせた所定の第1期間における前記ユーザの電力使用量の目標値を設定する目標値設定部と、
前記取得部により取得される電力使用量に基づき、前記第1期間における電力使用量の予測値を算出する予測値算出部と、
前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を所定基準以上超えている場合であって、前記第1期間内で、最初の第2期間以上が経過している場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う通知部と、を備え、
前記目標値設定部は、前記第1期間としてのひと月の前記ユーザの前記目標値を設定する際、当該ひと月より前の前記ユーザの電力使用の傾向のうちの前月の電力使用量だけに基づき、当該前月の電力使用量に合わせた前記ひと月の前記ユーザの前記目標値を設定
前記通知部は、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を、前記予測値の誤差を考慮した余裕分であって、前記第1期間の終了までの時間が長いほど大きく設定される余裕分以上超えている場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う、
通知システム。
【請求項2】
取得部と、目標値設定部と、予測値算出部と、通知部と、を備える通知システムにより実行される通知方法であって、
前記取得部が、ユーザの電力使用量を取得する取得ステップと、
前記目標値設定部が、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に基づき、前記ユーザによる設定に依らず、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に合わせた所定の第1期間における前記ユーザの電力使用量の目標値を設定する目標値設定ステップと、
前記予測値算出部が、前記取得ステップで取得された電力使用量に基づき、前記第1期間における電力使用量の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記通知部が、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を所定基準以上超えている場合であって、前記第1期間内で、最初の第2期間以上が経過している場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う通知ステップと、を備え、
前記目標値設定ステップにて、前記目標値設定部は、前記第1期間としてのひと月の前記ユーザの前記目標値を設定する際、当該ひと月より前の前記ユーザの電力使用の傾向のうちの前月の電力使用量だけに基づき、当該前月の電力使用量に合わせた前記ひと月の前記ユーザの前記目標値を設定
前記通知ステップにて、前記通知部は、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を、前記予測値の誤差を考慮した余裕分であって、前記第1期間の終了までの時間が長いほど大きく設定される余裕分以上超えている場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う、
通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力使用状況を通知する通知システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力の需給バランスを図るために設定されるユーザの電力使用量の目標値と、電力使用量の予測値とを比較し、予測値が目標値を超えている場合、ユーザに電力の使用抑制の要請を行う技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−158375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ユーザに使用実態に即した形で電力の使用抑制を促すことができない。また、ユーザが自ら設定した目標値に基づき、ユーザに電力使用量の抑制を促す通知を行うことも可能であるが、ユーザによる目標値の設定が必要になるため、実際に利用するユーザが限定されてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、電力供給対象である比較的多くのユーザに対して、使用実態に即した形で電力使用の抑制を促すことが可能な通知システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
ユーザの電力使用量を取得する取得部と、
前記ユーザの過去の電力使用の傾向に基づき、前記ユーザによる設定に依らず、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に合わせた所定の第1期間における前記ユーザの電力使用量の目標値を設定する目標値設定部と、
前記取得部により取得される電力使用量に基づき、前記第1期間における電力使用量の予測値を算出する予測値算出部と、
前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を所定基準以上超えている場合であって、前記第1期間内で、最初の第2期間以上が経過している場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う通知部と、を備え、
前記目標値設定部は、前記第1期間としてのひと月の前記ユーザの前記目標値を設定する際、当該ひと月より前の前記ユーザの電力使用の傾向のうちの前月の電力使用量だけに基づき、当該前月の電力使用量に合わせた前記ひと月の前記ユーザの前記目標値を設定
前記通知部は、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を、前記予測値の誤差を考慮した余裕分であって、前記第1期間の終了までの時間が長いほど大きく設定される余裕分以上超えている場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う、
通知システムが提供される。
【0007】
また、本発明の他の実施形態では、
前記取得部が、ユーザの電力使用量を取得する取得ステップと、
前記目標値設定部が、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に基づき、前記ユーザによる設定に依らず、前記ユーザの過去の電力使用の傾向に合わせた所定の第1期間における前記ユーザの電力使用量の目標値を設定する目標値設定ステップと、
前記予測値算出部が、前記取得ステップで取得された電力使用量に基づき、前記第1期間における電力使用量の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記通知部が、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を所定基準以上超えている場合であって、前記第1期間内で、最初の第2期間以上が経過している場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う通知ステップと、を備え、
前記目標値設定ステップにて、前記目標値設定部は、前記第1期間としてのひと月の前記ユーザの前記目標値を設定する際、当該ひと月より前の前記ユーザの電力使用の傾向のうちの前月の電力使用量だけに基づき、当該前月の電力使用量に合わせた前記ひと月の前記ユーザの前記目標値を設定
前記通知ステップにて、前記通知部は、前記第1期間内において、前記予測値が前記目標値を、前記予測値の誤差を考慮した余裕分であって、前記第1期間の終了までの時間が長いほど大きく設定される余裕分以上超えている場合、前記ユーザに対して電力使用の抑制を促す通知を行う、
通知方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、電力供給対象である比較的多くのユーザに対して、使用実態に即した形で電力使用の抑制を促すことが可能な通知システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】通知システムの構成の一例を示す。
図2】サーバ(処理装置)の機能構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図3】ユーザ2の電力使用状況の通知態様の一例を示す図である。
図4】ユーザ2の電力使用状況の通知態様の他の例を示す図である。
図5】ユーザ2の電力使用状況の通知態様の更に他の例を示す図である。
図6】目標使用量の設定仕様をユーザ2が選択する操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る通知システム1の構成の一例を概略的に示す図である。本実施形態に係る通知システム1は、サーバ10を含む。また、本実施形態に係る通知システム1は、ユーザ2が所持する端末20と、ユーザ2が所持する住宅、施設等(以下、「ユーザ2の住宅等」と称する)に設置されるスマートメータ30を含む。
【0012】
尚、ユーザ2は、複数のユーザのうちの一のユーザを代表的に示す。また、ユーザ2が所持する端末20は、所定のネットワーク3を通じて、インターネット網に接続可能であれば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末であってもよいし、所定の場所に定置される定置端末であってもよい。また、スマートメータ30は、ネットワーク3を介して、サーバ10と通信可能に接続され、周期的(例えば、30分毎)に、ユーザ2の住宅等での電力使用量を送信する。また、図中では、便宜上、端末20、スマートメータ30をユーザ2に内包する態様で表記している。
【0013】
サーバ10は、所定のネットワーク3(例えば、インターネット網、携帯電話網等)を通じて、ユーザ2に対する通知を行う。具体的には、サーバ10は、ユーザ2が利用する端末20を介してユーザ2に対する通知を行う。サーバ10は、通信機器11と、処理装置12を含む。
【0014】
通信機器11は、ネットワーク3と通信可能に接続する任意のデバイスである。
【0015】
処理装置12は、サーバ10における各種制御処理を実行する。処理装置12は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよく、例えば、1又は複数のサーバコンピュータを中心に構成されてよい。以下、図2を参照して、処理装置12の機能構成について説明する。
【0016】
図2は、処理装置12の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0017】
処理装置12は、例えば、サーバコンピュータのROMに格納される1以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、通信処理部121、目標値設定部122と、予測値算出部123と、通知処理部124を含む。また、処理装置12は、例えば、サーバコンピュータに内蔵される、或いは、外部接続される不揮発性の記憶装置に予め規定される記憶領域として、記憶部129を含む。
【0018】
通信処理部121(取得部の一例)は、通信機器11を制御し、ネットワーク3を介して、端末20、スマートメータ30等の外部装置との間での各種信号(制御信号、情報信号等)の送受信を行う。
【0019】
例えば、通信処理部121は、ユーザ2の住宅等に設けられるスマートメータ30から定期的(例えば、30分毎)に送信される電力使用量に関する情報(電力使用量情報)を受信する。通信処理部121は、スマートメータ30から電力使用量情報を受信すると、受信した電力使用量情報に含まれる、例えば、直近30分間の電力使用量のデータを最新データとして追加する態様で、記憶部129に格納される電力使用履歴情報1291を更新させる。
【0020】
目標値設定部122は、電力使用履歴情報1291に基づき、ユーザ2の利用実態に即した態様で、ひと月の間(第1期間の一例)の電力使用量の目標値(目標使用量)を設定する。具体的には、目標値設定部122は、電力使用履歴情報1291に基づき把握される、ユーザ2の過去(前月まで)の電力使用の傾向に基づき、ひと月の目標使用量を設定する。例えば、目標値設定部122は、前月の電力使用量に対して、ひと月の日数差で補正(日数補正)を行うと共に、月毎の電力使用量の一般的な傾向による差分(例えば、7月、8月は、空調使用のピークとなり、電力使用量が比較的多いが、4月、5月は、空調使用が殆どないため、電力使用量が比較的少ない等)による補正(月差補正)を行うことにより、目標使用量の算出及び設定を行ってよい。また、目標値設定部122は、前月の電力使用量に対して、日数補正と月差補正を行った上で、使用実態に対する電力使用量の削減を促す努力分を更に減じた値を目標使用量として設定してもよい。
【0021】
尚、本実施形態における"ひと月"は、カレンダーの1日から月末日までを示すが、今回の検針から次回の検針までの間を示してもよい。また、目標値設定部122は、後述する通知処理部124による処理が適切に実施可能な態様であれば、ひと月の間の任意のタイミングで、目標使用量を1回だけ設定してよい。例えば、目標値設定部122は、ひと月の最初の日(1日)の予め規定された時間帯で、目標使用量の算出及び設定をしてよいし、通知処理部124による後述の判定処理が最初に行われる際に、通知処理部124からの指示に応じて、目標使用量の算出及び設定をしてもよい。
【0022】
予測値算出部123は、ひと月の間で、電力使用履歴情報1291から把握される、今月の現在までの電力使用量(現在使用量)に基づき、今月終了時までのひと月での電力使用量の予測値である予測使用量を算出する。例えば、予測値算出部123は、現在使用量と月初めからの現在までの経過日数から規定される比例的な電力使用傾向が今後も継続される、即ち、現在使用量を現在までの経過日数で除した使用量が今後も毎日使用されるとみなして、予測使用量を算出してよい。
【0023】
通知処理部124は、ひと月の間において、最初の15日(第2期間の一例)以上経過した後の所定のタイミング(例えば、毎日の予め決められた時間帯)で、予測値算出部123により算出された予測使用量が、目標使用量を所定基準以上超過している場合、ユーザ2に対して電力使用の抑制を促す通知を行う。例えば、通知処理部124は、予測使用量が目標使用量を、予測使用量の誤差を考慮した余裕分以上超過している場合に、ユーザ2に対する通知を行う。この場合、当該余裕分は、当該判定処理を行うタイミングにおけるひと月の終了までの時間が長いほど大きく、短いほど小さく設定される。ひと月の終了までの時間が長くなるほど予測使用量の誤差が大きくなると考えられるからである。通知処理部124は、予測使用量が目標使用量を所定基準以上超過している場合、記憶部129に格納されるユーザ情報1292に含まれる、ユーザ2のメールアドレスを宛先として、予測使用量が目標使用量を所定基準以上超過している旨の内容を含む、電力使用の抑制を促す内容のメールを送信する。また、当該メールには、メールに記載される内容よりも更に詳細なユーザ2の電力使用状況及び今後の電力使用予測等の情報を提供するウェブページのURL(Uniform Resource Locator)が含まれてよい。以下、図3図4を参照して、ユーザ2に対する電力使用の抑制を促す通知態様について説明をする。
【0024】
尚、通知処理部124は、ひと月の間における所定のタイミングで、予測使用量が目標使用量を所定基準以上超過している場合に、毎回、通知を行ってよい。また、ひと月での通知回数を所定回数(例えば、1回)に制限してもよい。例えば、ひと月の間で、所定回数(例えば、1回)通知すれば、ユーザ2は、電力使用の抑制の必要性を理解できると考えることができ、且つ、通知回数を制限すれば、ユーザ2に与える煩雑さを抑制できるからである。また、上記ウェブページでは、例えば、ユーザ2がインターネット経由でアクセスする際、ユーザID及びパスワードの入力が要求される。この際、ユーザ2は、端末20等の画面上でユーザID及びパスワードを入力することにより、詳細な電力使用状況を提供するウェブページの内容を閲覧ことができる。また、ユーザ2は、メールの受信の有無に関わらず、当該ウェブページにアクセス可能になっており、現在の電力使用状況を適宜把握することができる。
【0025】
図3は、ユーザ2の電力使用状況の通知態様の一例を示す図である。
【0026】
尚、図3に示す通知(表示)は、ユーザ2が上述のURLにアクセスすることにより、初めて視認可能であってもよいし、メールにHTML(Hyper Text Markup Language)形式のデータとして含めることにより、メール上でユーザ2が視認可能であってもよい。
【0027】
図3に示すように、本例では、目標使用量(図中の300kWh)を最大値として、電力使用量が左から右に伸びる棒グラフとして表され、その棒グラフ上に、現在使用量(図中の"270kWh")が示されている。また、本例では、予測使用量が目標使用量を超えてしまっているため、棒グラフの最大値に対応する右端に隣接して示される目標使用量の下に、予測使用量(図中の"340kWh")が示される。本例の場合、目標使用量"300kWh"と図示しない余裕分"25kWh"の和(325kWh)を予測使用量"340kWh"が超過しているため、メールを利用して、ユーザ2に対する電力使用の抑制を促す通知が行われる。
【0028】
また、本例では、補助的な情報として、前回の検針日(図中の7月13日)が記載されると共に、ひと月の間(1日から月末日までの間)の現在までの経過日数と当該経過日数に対応する日付(図中の8月10日)が示される。これにより、ユーザ2は、現在の経過日数と、目標使用量と現在使用量との差分とを確認することができるため、電力使用を抑制し、目標使用量内で収めるための行動方針等を検討することができる。
【0029】
また、本例では、電力使用状況(現在使用量、目標使用量、及び予測使用量)に加えて、ユーザ2に対するメッセージが示される。具体的には、"がんばろう!このままのペースだと、目標使用量を超えてしまいます。"という内容のメッセージが示される。これにより、ユーザは、現在の電力使用状況が継続すると、目標使用量を超過してしまうことを一目で認識することができる。
【0030】
尚、予測使用量が目標使用量を所定基準以上超過していない状態で、上述のウェブページにアクセスした場合には、その時点の電力使用状況に応じた異なるメッセージが示される。以下、図4及び図5を参照して、電力使用の抑制を促す通知の対象でない電力使用状況におけるウェブページでの通知態様(表示態様)について説明する。
【0031】
図4及び図5は、それぞれ、ユーザ2の電力使用状況の通知態様の他の例及び更に他の例を示す図である。具体的には、図4は、予測使用量が目標使用量に上述の余裕度を加えた値と目標使用量から上述の余裕度を引いた値の間にある場合におけるユーザ2の電力使用状況の通知態様である。また、図5は、予測使用量が目標使用量から上述の余裕度を引いた値よりも小さい場合におけるユーザ2の電力使用状況の通知態様である。
【0032】
図4に示すように、本例では、図3の場合と同様、目標使用量(図中の300kWh)を最大値として、電力使用量が左から右に伸びる棒グラフとして表され、その棒グラフ上に、現在使用量(図中の"180kWh")と、予測使用量(図中の"290kWh")が示される。本例の場合、予測使用量"290kWh"が、目標使用量"300kWh"から図示しない余裕分"25kWh"を加えた値(325kWh)及び引いた値(275kWh)の間にある。この場合、電力使用状況の表示の下には、"もう少し。このままのペースだと、目標使用量を超える可能性があります。"という内容のメッセージが表示される。これにより、ユーザ2は、現在の電力使用状況が継続すると、目標使用量を超過する可能性があることを一目で認識することができる。
【0033】
また、図5に示すように、本例では、図3図4の場合と同様、目標使用量(図中の300kWh)を最大値として、電力使用量が左から右に伸びる棒グラフとして表され、その棒グラフ上に、現在使用量(図中の"80kWh")と、予測使用量(図中の"240kWh")が示される。本例の場合、予測使用量"240kWh"が、目標使用量"300kWh"から図示しない余裕分"25kWh"を引いた値(275kWh)よりも小さい。この場合、電力使用状況の表示の下には、"このままのペースだと、今月の目標使用量以内に収まりそうです"という内容のメッセージが示される。これにより、ユーザ2は、現在の電力使用状況が継続すると、目標使用量内に収まる可能性が高いことを一目で認識することができる。
【0034】
尚、図3図5に示す通知(表示)中に、併せて、上述の余裕分(25kWh)が表記されてもよい。
【0035】
このように、本実施形態では、目標値設定部122は、ユーザ2の過去の電力使用の傾向に基づき、所定の第1期間(例えば、ひと月の間)におけるユーザ2の電力使用量の目標値(目標使用量)を設定する。また、予測値算出部123は、通信処理部121によりスマートメータ30から取得(受信)される電力使用量に基づき、第1期間における電力使用量の予測値(予測使用量)を算出する。そして、通知処理部124は、第1期間内において、予測値が目標値を所定基準以上超えている場合、ユーザ2のメールアドレスへのメールの送信、ユーザ2が利用するウェブページへの表示等のユーザ2が自己の所持(利用)する端末20で視認可能な手段により、ユーザ2に対して電力使用の抑制を促す通知を行う。これにより、ユーザ2は、実際の電力使用量が目標使用量を超過する前に、当該通知を受けることができるため、電力使用を抑制して、実際に、目標使用量を超えないように行動することができる。また、ユーザ2は、自ら目標値を設定することなく、自らの電力の使用態様に沿った、目標値が設定されるため、ユーザ2の利便性が向上すると共に、比較的多くのユーザに対して、使用実態に即した形で、電力使用の抑制を促すことができる。
【0036】
また、本実施形態では、通知処理部124は、第1期間内(ひと月の1日から月末日までの間)において、予測値が目標値を所定基準以上超えている場合であって、第1期間内の最初の第2期間(例えば、最初の15日)以上が経過している場合、ユーザ2に対して電力使用の抑制を促す通知を行う。通常、第1期間の最初における予測値は、その精度が低くなるため、ある程度の期間(第2期間)が経過した後から通知が可能な状態にすることで、ユーザ2に不要な通知を行う事態を抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、目標値設定部122は、ユーザ2の第1期間としてのひと月の目標使用量を算出する際、当該ひと月より前のユーザ2の電力使用の傾向のうちの前月の電力使用量だけに基づき、ひと月のユーザ2の目標値を設定する。これにより、過去の電力使用量のデータが前月分しかないような状況であっても、目標値を設定することができる。
【0038】
また、本実施形態では、通知処理部124は、第1期間内において、予測値が目標値を、予測値の誤差を考慮した余裕分であって、第1期間の終了までの時間が長いほど大きく設定される余裕分以上超えている場合、ユーザ2に対して電力使用の抑制を促す通知を行う。通常、予測値の誤差は、第1期間の終了までの期間が長くなる程大きくなるため、それに合わせて、余裕分を変化させることにより、ユーザ2に不要な通知を行う事態を抑制できる。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、目標値設定部122は、前月の電力使用量をユーザ2の電力使用の傾向として利用するが、前月の電力使用量に加えて、更に過去に遡った電力使用量(例えば、前年同月の電力使用量等)をユーザ2の電力使用の傾向として利用し、目標使用量の算出及び設定を行ってもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、予測値算出部123は、月初めから現在までの現在使用量を利用して、今月終了時までのひと月での予測使用量を算出するが、ユーザ2の過去の電力使用の傾向(例えば、前年同月のひと月での日々の電力使用の傾向)等の他の要素を考慮してもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、通知処理部124は、メールを利用して、ユーザ2に対する電力使用の抑制を促す通知を行うが、例えば、直接、ユーザ2の端末20に対して、プッシュ通知という形で、電力使用の抑制を促す通知を行ってもよい。この場合、端末20には、当該プッシュ通知を受信し、上述した図3図5に示したような内容を表示可能な所定のアプリケーションがインストールされる。
【0043】
また、上述した実施形態では、目標値設定部122は、ユーザ2の過去の電力使用の傾向に基づき、自動的に目標使用量を設定するが、ユーザ2による手動での目標使用量の指定も可能な構成を更に採用し、何れの構成を利用するかをユーザ2が選択可能な態様であってもよい。これにより、比較的多くのユーザに対して、使用実態に即した形で、電力使用の抑制を促すことを担保しつつ、自身で目標使用量を設定したいというユーザのニーズにも応えることができる。
【0044】
例えば、図6は、上述のウェブページ或いは上述のウェブページから遷移可能な他のウェブページに表示される、目標使用量の設定仕様をユーザ2が選択する操作画面の一例を示す図である。図6に示すように、当該操作画面において、ユーザ2は、上述の実施形態の如く、前月の使用量に基づき、自動的に目標使用量が設定される"おすすめ設定"の仕様(第1の仕様)と、前年同月の電力使用量を基準に増減させる等により、自ら相対的に目標使用量を指定する"前年同月の使用量を参考にする"の仕様(第2の仕様)と、具体的な目標使用量の数値を自ら指定する"目標使用量を指定する"の仕様(第3の仕様)の中から1つの目標使用量の設定仕様を選択することができる。当該操作画面において、通常、第1の仕様がデフォルト仕様として選択されている。一方、当該操作画面におけるユーザ2の選択操作により、第2の仕様が選択された場合、目標値設定部122は、記憶部129の電力使用履歴情報1291から前年同月の使用量を参照することにより、ユーザ2の選択操作に応じた目標使用量を設定する。また、当該操作画面におけるユーザ2の選択操作により、第3の仕様が選択された場合、目標値設定部122は、当該操作画面において、ユーザ2により具体的に入力された値を目標使用量として設定する。
【符号の説明】
【0045】
1 通知システム
2 ユーザ
10 サーバ
11 通信機器
12 処理装置
20 端末
30 スマートメータ
121 通信処理部(取得部)
122 目標値設定部
123 予測値算出部
124 通知処理部(通知部)
129 記憶部
1291 電力使用履歴情報
1292 ユーザ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6