(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のデジタル/アナログ変換器は、前記デジタル入力信号を前記第2の中間アナログ信号に変換するとき、前記デジタル入力信号を前記第1の中間アナログ信号に変換するときの前記第1のデジタル/アナログ変換器よりも少ない電力を消費する、請求項1に記載の処理システム。
前記第1のデジタル/アナログ変換器は、前記第2のデジタル/アナログ変換器によって前記第2の処理経路にもたらされるノイズに比べ、少ないノイズを前記第1の処理経路にもたらす、請求項1に記載の処理システム。
前記第2のデジタル/アナログ変換器は、各々がそれぞれの第1の端子において相互に連結され、各々がそれぞれの第2の端子において前記デジタル入力信号の単一ビットの値を示す信号を駆動する、対応するドライバに連結される複数の抵抗器を含む抵抗器ラダーを備える、請求項1に記載の処理システム。
前記コントローラは、前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第1の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第1の中間アナログ信号を出力させるように更に構成される、請求項1に記載の処理システム。
前記コントローラは、前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを上回るとき、前記第2の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第2の中間アナログ信号を出力させるように更に構成される、請求項5に記載の処理システム。
前記閾値となる大きさを上回る前記デジタル入力信号の大きさに対して、前記第2のデジタル/アナログ変換器によってもたらされるノイズが前記第1のデジタル/アナログ変換器によって少なくとも部分的にキャンセルされる、請求項1に記載の処理システム。
多段ノイズ・シェーピング構成を更に備え、前記第1の処理経路が前記多段ノイズ・シェーピング構成の第1のステージを含み、前記第2の処理経路が前記多段ノイズ・シェーピング構成の第2のステージを含む、請求項1に記載の処理システム。
前記コントローラは、前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第1の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第1の中間アナログ信号を出力させるように更に構成される、請求項10に記載の処理システム。
前記コントローラは、前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記多段ノイズ・シェーピング構成の前記第1のステージを低電力モードで動作させるように更に構成される、請求項11に記載の処理システム。
前記第2のデジタル/アナログ変換器は、前記デジタル入力信号を前記第2の中間アナログ信号に変換するとき、前記デジタル入力信号を前記第1の中間アナログ信号に変換するときの前記第1のデジタル/アナログ変換器よりも少ない電力を消費する、請求項16に記載の方法。
前記第1のデジタル/アナログ変換器は、前記第2のデジタル/アナログ変換器によって前記第2の処理経路にもたらされるノイズに比べ、少ないノイズを前記第1の処理経路にもたらす、請求項16に記載の方法。
前記第2のデジタル/アナログ変換器は、各々がそれぞれの第1の端子において相互に連結され、各々がそれぞれの第2の端子において前記デジタル入力信号の単一ビットの値を示す信号を駆動する、対応するドライバに連結される複数の抵抗器を含む抵抗器ラダーを備える、請求項16に記載の方法。
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第1の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第1の中間アナログ信号を出力させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを上回るとき、前記第2の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第2の中間アナログ信号を出力させることを更に含む、請求項20に記載の方法。
前記閾値となる大きさを上回る前記デジタル入力信号の大きさに対して、前記第2のデジタル/アナログ変換器によってもたらされるノイズを前記第1のデジタル/アナログ変換器によって少なくとも部分的にキャンセルすることを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記第1の処理経路が多段ノイズ・シェーピング構成の第1のステージを含み、前記第2の処理経路が前記多段ノイズ・シェーピング構成の第2のステージを含む、請求項16に記載の方法。
前記デジタル入力信号の大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第1の処理経路にほぼゼロの大きさを有する前記第2の中間アナログ信号を出力させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを上回るとき、前記第1の処理経路と第2の処理経路との両方に、前記アナログ信号を生成するために、前記デジタル入力信号を処理させることと、
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第2の処理経路に前記デジタル入力信号を全面的に処理させることと
を更に含む、請求項26に記載の方法。
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを上回るとき、前記第1の処理経路と第2の処理経路との両方に、前記アナログ信号を生成するために、前記デジタル入力信号を処理させることと、
前記デジタル入力信号の前記大きさが前記閾値となる大きさを下回るとき、前記第2の処理経路に前記デジタル入力信号を全面的に処理させることと
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本開示の実施例による、例示的なパーソナル・オーディオ機器1を示している。
図1には、1対のイヤバド・スピーカ8A及び8Bの形のヘッドセット3に連結された、パーソナル・オーディオ機器1が描かれている。
図1に描かれたヘッドセット3は例に過ぎず、パーソナル・オーディオ機器1は、ヘッドフォン、イヤバド、インイヤ・イヤホン、及び外部スピーカをこれらに限定することなく含む、多様なオーディオ・トランスデューサに関連して使用可能であることを理解されたい。プラグ4により、ヘッドセット3がパーソナル・オーディオ機器1の電気端子に接続され得る。パーソナル・オーディオ機器1は、タッチ・スクリーン2を用いて、ユーザへの表示やユーザ入力の受信を行うことができ、あるいは、標準的な液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)が、パーソナル・オーディオ機器1の前面及び/又は側面に配置された、様々なボタン、スライダ、及び/又はダイアルと組み合わされ得る。また、
図1に示されるように、パーソナル・オーディオ機器1は、ヘッドセット3及び/又は別のオーディオ・トランスデューサへ送信するアナログ・オーディオ信号を生成するための、オーディオ集積回路(IC:integrated circuit)9を含み得る。
【0014】
図2は、本開示の実施例による、パーソナル・オーディオ機器の例示的なオーディオIC9の選択された構成要素のブロック図を示している。
図2に示されるように、マイクロコントローラ・コア18は、デジタル・オーディオ入力信号をそれぞれ処理し、第1の中間アナログ信号V
INAと第2の中間アナログ信号V
INBに変換し得る、第1の処理経路12及び第2の処理経路13の各々に、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを供給することができる。コンバイナ14は、第1の中間アナログ信号V
INAと第2の中間アナログ信号V
INBとを合成(例えば加算)して、アナログ信号V
INを生成することができる。このようにして、第1の処理経路12、第2の処理経路13、及びコンバイナ14の組合せは、第1の中間アナログ信号V
INA及び第2の中間アナログ信号V
INBの和又は他の組合せを含むアナログ信号をデジタル/アナログ・ステージの出力において生成するように構成された、デジタル/アナログ・ステージとして機能することができる。
図2にはシングル・エンド信号として示されているが、幾つかの実施例では、第1の中間アナログ信号V
INA、第2の中間アナログ信号V
INB、及び/又はアナログ信号V
INは、ディファレンシャル信号を含み得る。また、
図2には2つの処理経路12及び13が描かれているが、オーディオIC9は、任意の好適な数の処理経路を備え得る。
【0015】
コンバイナ14は、アナログ信号V
INを、オーディオ入力信号V
INを増幅又は減衰させて、スピーカ、ヘッドフォン・トランスデューサ、ライン・レベル信号出力、及び/又は他の好適な出力を動作させることができるオーディオ出力信号V
OUTを供給することができる、アンプ・ステージ16に供給することができる。
図2にはシングル・エンド信号として示されているが、幾つかの実施例では、オーディオ出力信号V
OUTは、ディファレンシャル信号を含み得る。電源10は、アンプ・ステージ16の電源レール入力を提供することができる。幾つかの実施例では、電源10はバッテリを備え得る。
【0016】
図2に示されるように、オーディオIC9は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INに基づいて、第1の処理経路12、第2の処理経路13、及びアンプ・ステージ16の内の1つ以上の動作を制御するように構成される、コントローラ20を含み得る。例えば幾つかの実施例では、以下で詳述するように、処理経路12のデジタル/アナログ変換器を高電力状態(例えば、フル稼働状態)と低電力状態(例えば、電源オフやスタンバイ状態へパワー・ダウンされる)で動作するように構成することが可能であり、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいて、かかるデジタル/アナログ変換器を高電力状態又は低電力状態のいずれかで動作させ得る。これら及び他の実施例では、以下で詳述するように、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさを下回るとき、コントローラ20は、大きさがほぼゼロの第1の中間アナログ信号V
INAを第1の処理経路12が出力するようにさせ得る。これら及び他の実施例では、以下で詳述するように、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが上記の閾値となる大きさを上回るとき、コントローラ20は、大きさがほぼゼロの第2の中間アナログ信号V
INBを第2の処理経路13が出力するようにさせ得る。これら及び他の実施例では、以下で詳述するように、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいて、第1の処理経路12及び第2の処理経路13の相対利得を変化させ得る。これら及び他の実施例では、以下で詳述するように、第1の処理経路12及び第2の処理経路13の一部は、多段ノイズ・シェーピング(MASH:multi-stage noise-shaping)構成として実装されてよく、そのような実施例では、コントローラ20は、この多段ノイズ・シェーピング構成の一部を低電力モードで動作させ、且つ/又はこの多段ノイズ・シェーピング構成のどの部分がデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを処理するかを制御することができる。
【0017】
図3は、本開示の実施例による、処理経路12A及び13A、並びにアンプ・ステージ16の選択された構成要素を詳細に描いた、例示的なIC回路9Aの選択された構成要素のブロック図を示している。幾つかの実施例では、
図3に描かれたオーディオIC9Aは、
図2に関連して説明したオーディオIC9の全部又は一部を実装することができる。
図3に示されるように、マイクロコントローラ・コア18は、第1の処理経路12A及び第2の処理経路13Aの各々に、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを供給することができる。幾つかの実施例では、
図3に描かれた第1の処理経路12A及び第2の処理経路13Aは、
図2に関連して説明した第1の処理経路12及び第2の処理経路13の全部又は一部をそれぞれ実装することができる。
【0018】
第1の処理経路12Aは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAに変換可能なデジタル/アナログ変換器(DAC:digital-to-analog converter)22Aを備え得る。DAC22Aは、デルタ・シグマ変調器及び/又は、その機能を実行するためのその他任意のシステム若しくはデバイスを備え得る。
図3に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、DAC22Aの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号を、DAC22Aに向けて伝達することができる。
【0019】
第2の処理経路13Aは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBに変換し得るDAC23Aを備え得る。
図3に示されるように、DAC23Aは、各々が、それぞれの第1の端子において相互に連結され、且つそれぞれの第2の端子において、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの1つのビットの値を示す信号を駆動する、対応するドライバ(例えばマイクロコントローラ・コア18の出力ドライバ)に連結される複数の抵抗器32を含む抵抗器ラダーを備え得る。個々の抵抗器32の抵抗は、使用される信号符号化のタイプに基づくものとすることができる。例えば、サーモメータ・コーディングの実装形態では、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの各ビットを、第2の中間アナログ信号V
INBがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INのアサートされたビット数に対応する大きさを持つように、対応する抵抗器32に適用することによって、DAC23Aがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBに変換することができるよう、抵抗器32はほぼ等しい抵抗を有し得る。別の例として、各ビットが異なる重みを持つ(例えば、最下位ビット以外の各ビットが別のビットの倍の重みを持つ)従来のデジタル符号化では、抵抗器32の抵抗は、ビットの重みに応じて重み付けされてよい。また、
図3に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、第2の処理経路13Aの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号を、第2の処理経路13Aに向けて伝達することができる。例えば、幾つかの実施例では、以下で詳述するように、スイッチ34が導通された(閉路された、有効にされた、オンにされた、等)ときにDAC23Aが信号をアンプ・ステージ16へ(例えば、アンプ・ステージ16内部のオペ・アンプの反転端子へ)伝達できるよう、コントローラ20は第2の処理経路13Aのスイッチ34を制御し得る。反面、スイッチ34が非導通にされた(開路された、無効にされた、オフにされた、等)とき、DAC23Aは信号をアンプ・ステージ16へ伝達することが不可能になる。
【0020】
また、
図3に描かれるように、第2の処理経路13Aは、デジタル・フィルタ25を備え得る。デジタル・フィルタ25は、デジタル信号(例えばマイクロコントローラ・コア18により出力されたデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)に、その信号の特定の局面を縮減又は強調するよう数学的演算を施すように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。例えば、幾つかの実施例では、デジタル・フィルタ25は、第1の処理経路12Aと第2の処理経路13Aの間での遅延マッチングを実現することができる。デジタル・フィルタ25は、マイクロコントローラ・コア18とスイッチ34の間でインタフェース接続された状態で示されているが、処理経路13A内の好適な位置に配置されてよい。さらに、本開示の他の実施例では、デジタル・フィルタ25は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを所望量だけ時間遅延させるように構成された遅延素子で置き換えられ得る。
【0021】
DAC22A及びDAC23Aは、それらの異なる構造のために、異なる信号処理機能及び性能を持つことができる。例えば、DAC23Aは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBに変換する際、DAC22Aがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換するときよりも消費電力が少なくて済むかもしれない。別の例として、DAC22Aは、DAC23Aによって第2の処理経路13Aにもたらされるノイズに比べて、第1の処理経路12Aにより小さいノイズしかもたらさないものとなり得る。更なる例として、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが大きい場合、DAC22Aがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換する際の直線性は、DAC23Aがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBへ変換する際のそれに比べて高いものとなり得る。
【0022】
したがって、アンプ・ステージ16へ伝達されているアナログ信号V
INの直線性を保証するために、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ(例えば、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INのフル・スケールの大きさの20デシベル下)を超えるとき、コントローラ20は、第2の処理経路13Aを遮蔽又は無効にしながら、第1の処理経路12Aを有効な処理経路として本質的に選択し得るように動作することができる。例えば、閾値となる大きさを超えるデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、コントローラ20は、DAC22Aは高電力モードで動作すべきであると示す1つ以上の制御信号をDAC22Aへ伝達し、DAC23Aの出力はアンプ・ステージ16へ伝達されるべきではない(例えばスイッチ34を非導通にして)と示す1つ以上の制御信号を第2の処理経路13Aへ伝達することができる。したがって、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさを上回るとき、コントローラ20は、ほぼゼロの大きさの第2の中間アナログ信号V
INBを第2の処理経路13Aが出力するようにさせ得る。
【0023】
一方、アンプ・ステージ16へ伝達される第1の中間アナログ信号V
INBの適度な直線性を提供することができる信号の大きさでDAC23Aを動作させながら、オーディオIC9の電力消費を最小化するために、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ未満のとき、コントローラ20は、第1の処理経路12Aを遮蔽又は無効にしながら、第2の処理経路13Aを有効な処理経路として本質的に選択し得るように動作することができる。例えば、閾値となる大きさ未満のデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、コントローラ20は、DAC22Aは低電力モードで動作すべきであると示す1つ以上の制御信号をDAC22Aへ伝達することができる。このような1つ以上の制御信号は、ほぼゼロの大きさの第1の中間アナログ信号V
INAを第1の処理経路12Aが出力するようにもさせ得る。加えて、閾値となる大きさ未満のデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、コントローラ20は、1つ以上の制御信号を第2の処理経路13Aへ伝達して、DAC23Aの出力はアンプ・ステージ16へ伝達されるべきである(例えばスイッチ34を導通させて)と示すことができる。デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ未満のとき、アンプ・ステージ16のオペ・アンプ22は、トランスインダクタンス・アンプとして効果的に動作することができる。
【0024】
図3に示されるように、アンプ・ステージ16には、オペ・アンプ22と、各々が対応するスイッチ29に連結された複数のタップを有する抵抗器ストリング28を備えた切換型抵抗器ネットワーク24と、オペ・アンプ22の正入力のアンプ・ステージ16の負入力端子と、オペ・アンプ22の正入力と接地電圧との間に連結された1つの可変抵抗器30と、の間に連結された少なくとも1つの可変抵抗器30を含む複数の可変抵抗器30とが含まれ得る。所望のアナログ利得をアンプ・ステージ16に適用するには、スイッチ29を選択的に開閉してオペ・アンプ22の負入力とオペ・アンプ22の出力との間に効果的な抵抗を生み出したり、可変抵抗器30の抵抗を適宜設定したりし得る。幾つかの実施例では、スイッチ29及び可変抵抗器30は、コントローラ20によって制御され得る。
図3には、アンプ・ステージ16のアナログ利得を提供する特定の構造が描かれているが、本開示に従って、他の好適な構造が適用されてもよい。上述したように、第2の処理経路13Aは、第2の中間アナログ信号V
INBをオペ・アンプ22の負入力へ出力し得る。よって、このようなオペ・アンプ22の負入力は、
図2のコンバイナ14のように動作することができ、第1の中間アナログ信号V
INAと第2の中間アナログ信号V
INBを効果的に加算することができ、このとき、かかる負入力に対するこうした入力の内の1つの値はほぼゼロであり得る。幾つかの実施例では、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさ、第1の処理経路12Aと第2の処理経路13Aのどちらが有効な処理経路として選択されているかに関する識別情報、及び/又はオーディオIC9Aの別の好適な特性に基づいて、アンプ・ステージ16のアナログ利得を制御し得る。これら及び他の実施例では、コントローラ20は、動作すべき動作モード又は出力すべき供給電圧を示す1つ以上の制御信号を、電源10へ伝達し得る。例えば、コントローラ20は、大きい大きさの信号には高い供給電圧が提供され、小さい大きさの信号には低い供給電圧が提供され、小さい大きさの信号の処理時にはアンプ・ステージ16が電力レベルを低下させて動作可能となり得るように、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいて、電源10が供給電圧を出力するようにさせることができる。
【0025】
図4は、本開示の実施例による、処理経路12B及び13B、並びにアンプ16の選択された構成要素を詳細に描いた、例示的なオーディオIC9Bの選択された構成要素のブロック図を示している。幾つかの実施例では、
図4に描かれたオーディオIC9Bは、
図2に関連して説明したオーディオIC9の全部又は一部を実装することができる。
図4に示されるように、マイクロコントローラ・コア18は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを、第1の処理経路12B及び第2の処理経路13Bの各々へ供給することができる。幾つかの実施例では、
図4に描かれた第1の処理経路12B及び第2の処理経路13Bは、
図2に関連して説明した第1の処理経路12及び第2の処理経路13の全部又は一部をそれぞれ実装することができる。
【0026】
第1の処理経路12Bは、利得素子44、デジタル・デルタ・シグマ変調器40、及びDAC22Bを備え得る。利得素子44は、利得素子44の第1の利得をデジタル・オーディオ入力信号DIG_INに適用し、得られた信号をデジタル・デルタ・シグマ変調器40へ伝達するための任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。利得素子44の第1の利得は、以下で詳述するように、コントローラ20から受信した1つ以上の制御信号に基づいて制御され得る。利得素子44は、マイクロコントローラ・コア18とデジタル・デルタ・シグマ変調器40の間でインタフェース接続されたデジタル利得素子として示されているが、処理経路12B内の任意の好適な位置に配置されてよく、幾つかの実施例では、DAC22Bの出力又はその下流に配置されたアナログ利得素子を備え得る。
【0027】
デジタル・デルタ・シグマ変調器40は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えば、利得素子44の第1の利得によって修正されたデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器40の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0028】
DAC22Bは、デジタル・デルタ・シグマ変調器40によって出力されたデジタル信号を受信し、その信号を第1の中間アナログ信号V
INAへ変換することができる。
図4に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、DAC22Bの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号をDAC22Bに向けて伝達することができる。
【0029】
第2の処理経路13Bは、利得素子46、デジタル・デルタ・シグマ変調器42、デジタル・フィルタ48、スイッチ29、及びDAC23Bを備え得る。利得素子46は、利得素子46の第2の利得をデジタル・オーディオ入力信号DIG_INに乗じ、得られた信号をデジタル・デルタ・シグマ変調器42へ伝達するための任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。利得素子46の第2の利得は、以下で詳述するように、コントローラ20から受信した1つ以上の制御信号に基づいて制御され得る。利得素子46は、マイクロコントローラ・コア18とデジタル・デルタ・シグマ変調器42の間でインタフェース接続されたデジタル利得素子として示されているが、処理経路13B内の任意の好適な位置に配置されてよく、幾つかの実施例では、DAC23Bの出力又はその下流に配置されたアナログ利得素子を備え得る。
【0030】
デジタル・デルタ・シグマ変調器42は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えば、利得素子46の第2の利得によって修正されたデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器42の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0031】
デジタル・フィルタ48は、あるデジタル信号(例えばデジタル・シグマ・デルタ変調器42により出力された信号)に、そのデジタル信号の特定の面を縮減又は強調するように、数学的演算を施すように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。例えば、幾つかの実施例では、デジタル・フィルタ48は、第1の処理経路12Bと第2の処理経路13Bの間での遅延マッチングを提供することができる。デジタル・フィルタ48は、デジタル・デルタ・シグマ変調器42とDAC23Bの間でインタフェース接続された状態で示されているが、デジタル・フィルタ48は、処理経路13B内の任意の好適な位置に配置されてよい。加えて、本開示の他の実施例では、デジタル・フィルタ48は、デジタル・デルタ・シグマ変調器42によって出力された信号を所望量だけ時間遅延させるように構成された遅延素子で置き換えられ得る。
【0032】
以下で詳述するように、コントローラ20は、第2の処理経路13Bの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号を第2の処理経路13Bに向けて伝達することができる。例えば、幾つかの実施例では、以下で詳述するように、スイッチ49が導通された(閉路された、有効にされた、オンにされた、等)ときにDAC23Bが信号をアンプ・ステージ16へ(例えば、アンプ・ステージ16内部のオペ・アンプの反転端子へ)伝達できるよう、コントローラ20は第2の処理経路13Bのスイッチ49を制御し得る。一方で、スイッチ49が非導通にされた(開路された、無効にされた、オフにされた、等)とき、DAC23Bは信号をアンプ・ステージ16へ伝達することができない。
【0033】
DAC23Bは、デジタル・フィルタ48によって出力されたデジタル信号をスイッチ49を介して受信し、その信号を第2の中間アナログ信号V
INBに変換することができる。
図4に示されるように、DAC23Bは、
図3に描かれたDAC23Aと類似又は同一の抵抗器ラダーを備え得る。オーディオIC9Bのアンプ・ステージ16は、
図3のものと同様の構造とすることができ、
図3でアンプ・ステージがDAC23Aをインタフェースするのと同様の方法でDAC23Bとインタフェース接続し得る。
【0034】
DAC22B及びDAC23Bは、それらの異なる構成のために、異なる信号処理機能及び性能を持つことができる。例えば、DAC23Bは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBへ変換する際、DAC22Bがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換する際よりも消費電力が少なくて済むかもしれない。別の例として、DAC22Bは、DAC23Bによって第2の処理経路13Bにもたらされるノイズに比べて、より小さいノイズしか第1の処理経路12Bにもたらさないものとなり得る。更なる例として、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが大きい場合、DAC22Bは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換する際に、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBへ変換する際のDAC23Bのそれに比べて、より高い直線性を提供するものとなり得る。
【0035】
よって、コントローラ20は、利得素子44の第1の利得及び利得素子46の第2の利得を制御して、第1の処理経路12B及び第2の処理経路13Bの各々によって処理されるデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの比率を効果的にクロス・フェードするように動作することができる。したがって、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさを下回るとき、アンプ・ステージ16へ伝達される第2の中間アナログ信号V
INBの適度な直線性を提供することができる信号の大きさでDAC23Bを動作させる一方で、オーディオIC9Bの電力消費を最小化するためにほぼゼロに等しい第1の中間アナログ信号V
INAを第1の処理経路12Bに出力させるように利得素子44の第1の利得をほぼゼロに設定しつつ、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさ全体が利得素子46を通過するように利得素子46の第2の利得を設定することにより、コントローラ20は、第2の処理経路13Bを有効な処理経路として本質的に選択することができる。これら及び他の実施例では、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ未満のとき、コントローラ20は、DAC22B及び/又は処理経路12Bの他の構成要素を低電力状態にすることもできる。
【0036】
デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさを超える大きさの場合、第1の処理経路12Bと第2の処理経路13Bの間でクロス・フェードするために、コントローラ20は、利得素子44の第1の利得及び利得素子46の第2の利得を変化させ得る。例えば、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが大きくなるにつれ、コントローラ20は、利得素子44の第1の利得を(例えば、連続的又は段階的に)増加させ、利得素子46の第2の利得を(例えば、連続的又は段階的に)減少させることができ、その逆も成り立つ。よって、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが大きければ、より大きい信号に要求され得る直線性の提供において第1の処理経路12Bが優位を占めることができ、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが小さければ、第2の処理経路13Bが優位になって、電力消費の削減を考慮に入れることができる。これら及び他の実施例では、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが変化しても第1の利得及び第2の利得の和が略一定(例えば、1)に留まるように、第1の利得及び第2の利得を変化させるように更に構成され得る。
【0037】
図3のオーディオIC9Aにおけるのと同様に、
図4において、オペ・アンプ22の負入力は
図2のコンバイナ14のように動作可能であり、これによって第1の中間アナログ信号V
INAと第2の中間アナログ信号V
INBを効果的に加算する。幾つかの実施例では、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさ、第1の処理経路12Bと第2の処理経路13Bのどちらが有効な処理経路として選択されたかに関する識別情報、及び/又はオーディオIC9Bに関する別の好適な特性に基づいて、アンプ・ステージ16のアナログ利得を制御し得る。これら及び他の実施例では、コントローラ20は、動作すべき動作モード又は出力すべき供給電圧を示す1つ以上の制御信号を、電源10へ伝達し得る。例えば、大きい信号には高い供給電圧が提供され、小さい信号には低い供給電圧が提供されることで、小さい信号の処理時にはアンプ・ステージ16が低減された電力レベルで動作でき得るように、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいて供給電圧を電源10が出力するようにさせることができる。
【0038】
図5は、本開示の実施例による、処理経路12C及び13Cの一部が多段ノイズ・シェーピング構成を用いて実装された、例示的なオーディオIC9Cの選択された構成要素のブロック図を示している。幾つかの実施例では、
図5に描かれたオーディオIC9Cは、
図2に関連して説明したオーディオIC9の全部又は一部を実装することができる。
図5に示されるように、マイクロコントローラ・コア18は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の処理経路12Cへ供給することができ、その一部は第2の処理経路13Cによって処理され得る。幾つかの実施例では、
図5に描かれた第1の処理経路12C及び第2の処理経路13Cは、それぞれ、
図2に関連して説明した第1の処理経路12及び第2の処理経路13の全部又は一部を実装することができる。
【0039】
第1の処理経路12Cは、デジタル・デルタ・シグマ変調器50、セレクタ54、ミスマッチ・シェイパ/フィルタ56、DAC22C、及び加算器68を備え得る。デジタル・デルタ・シグマ変調器50は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えばデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器50の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0040】
図5に示されるように、デジタル・デルタ・シグマ変調器50には、入力加算器60、ループ・フィルタ62、量子化器64、及びフィードバックDAC66が含まれ得る。入力加算器60は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INとフィードバック信号の差異に等しい誤差信号を生成し、この誤差信号をループ・フィルタ62へ伝達することができる。ループ・フィルタ62が誤差信号のデジタル・フィルタとして動作し、量子化器64にフィルタリングされたデジタル信号を誤差信号に基づいて生成するように、ループ・フィルタ62は1つ以上の積分器ステージを含み得る。ループ・フィルタ62からの出力は、フィルタリングされたデジタル信号を別の中間デジタル信号に変換することができる量子化器64によって量子化され得る。
【0041】
フィードバックDAC66は、量子化器64によって生成されたデジタル・フィードバック信号を、加算器60で加算されることになる同等のアナログ・フィードバック信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。
【0042】
セレクタ54は、第1の処理経路12Cを出力信号の生成から選択的に有効化及び無効化するように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、セレクタ54は、コントローラ20から受信した制御信号がデアサートされた(例えば、論理0)ときに値ゼロのデジタル信号を出力し、同制御信号がアサートされた(例えば、論理1)ときにはデジタル・デルタ・シグマ変調器50によって出力されたデジタル信号と等しい又は同等の信号を出力するように、セレクタ54は、ANDゲート又は論理積を実装する同様の論理構造を備え得る。他の実施例では、セレクタ54の出力は、ゼロとデジタル・デルタ・シグマ変調器50によって出力されたデジタル信号と等しい又は同等の値との間で連続的又は段階的にフェードし得るように、セレクタ54は、コントローラ20からの制御信号に基づいて、デジタル・デルタ・シグマ変調器50によって出力されたデジタル信号に利得を適用するように構成された利得素子を含み得る。
【0043】
ミスマッチ・シェイパ/フィルタ56は、DAC22Cのデジタル/アナログ素子のミスマッチをシェーピングするように構成されたデジタル・フィルタを備え得る。例えば、幾つかの実施例では、ミスマッチ・シェイパ/フィルタ56は、DAC22Cのデジタル/アナログ素子のダイナミック・エレメント・マッチングを実行して、符号間干渉又はその他の信号歪曲効果を低減することができる。
【0044】
DAC22Cは、ミスマッチ・シェイパ/フィルタ56によって出力されたデジタル信号を受信し、その信号を第1の中間アナログ信号V
INAに変換することができる。
図5に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、DAC22Cの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号をDAC22Cに向けて伝達することができる。
【0045】
加算器68は、ループ・フィルタ62の出力からセレクタ54の出力を減算することができ、その結果、第1の処理経路12Cがセレクタ54により有効にされたときはデジタル・デルタ・シグマ変調器50の量子化誤差を示す誤差信号ERRORを生じ、第1の処理経路12Cがセレクタ54により無効にされたときはデジタル・オーディオ入力信号DIG_INにほぼ等しいものとなり得る。
【0046】
第2の処理経路13Cは、デジタル・フィルタ58、デジタル・デルタ・シグマ変調器52、及びDAC23Cを備え得る。デジタル・フィルタ58は、あるデジタル信号(例えば誤差信号ERROR)に、そのデジタル信号の特定の面を縮減又は強調するために、数学的演算を施すように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。例えば、幾つかの実施例では、デジタル・フィルタ58は、第1の処理経路12Cと第2の処理経路13Cの間でのレイテンシ・マッチングを提供することができる。デジタル・フィルタ58は、デジタル・デルタ・シグマ変調器50とデジタル・デルタ・シグマ変調器52の間でインタフェース接続された状態で示されているが、デジタル・フィルタ58は、処理経路13C内の好適な位置に配置されてよい。
【0047】
デジタル・デルタ・シグマ変調器52は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えば、デジタル・フィルタ58によりフィルタリングされた誤差信号ERROR)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器42の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0048】
DAC23Cは、デジタル・デルタ・シグマ変調器52によって出力されたデジタル信号を受信し、その信号を第2の中間アナログ信号V
INBに変換することができる。
【0049】
コンバイナ14は、第1の中間アナログ信号V
INAと第1の中間アナログ信号V
INBを加算して、出力電圧V
OUTを生成するためにアンプ・ステージ16によって増幅される、アナログ信号V
INを生成することができる。
【0050】
コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいてセレクタ54を制御するように動作し得る。例えば、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ(例えば、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INのフル・スケールの大きさの20デシベル下)を超えるとき、コントローラ20は、セレクタ54がデジタル・デルタ・シグマ変調器50の出力をミスマッチ・シェイパ/フィルタ56へ渡すことを可能にする制御信号を伝達することができる。よって、閾値となる大きさを超えるデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、第2の処理経路13Cが多段ノイズ・シェーピング(MASH)構成の第2のステージとして効果的に挙動することが可能となる一方で、第1の処理経路12CがMASH構成の第1のステージとして効果的に挙動することができて、第2の処理経路13Cはデジタル・デルタ・シグマ変調器50の量子化ノイズ/誤差をシェーピングする。
【0051】
このような量子化誤差は一般にデジタル・オーディオ出力信号DIG_INの大きさよりも著しく小さいため、第2の処理経路13Cによって処理される誤差信号ERRORの大きさは、第1の処理経路12Cによって処理されるフル・スケールの信号の大きさよりも小さくなるのが普通である。したがって、DAC23C等、第2の処理経路13Cの構成要素は、処理経路12Cのそれらよりも少ない電力消費で動作することができる。この特徴を利用することにより、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ未満のとき、ほぼゼロの信号がミスマッチ・シェイパ/フィルタ56へ伝達されるよう、コントローラ20は、制御信号をセレクタ54へ伝達することができる。大きさが十分に小さければ、誤差信号ERRORはデジタル・オーディオ入力信号DIG_INにほぼ等しいものとなり得、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさの全体が第2の処理経路13Cにより全体的に処理され得る。したがって、このような小さい大きさでは、コントローラ20は、DAC22C又は第1の処理経路12Cの他の構成要素を低電力状態に置くことで、電力消費を最小化することができる。
【0052】
加えて、上で触れたように、幾つかの実施例では、コントローラ20によりセレクタ54へ伝達された制御信号が、制御信号の値に応じて第1の処理経路12Cと第2の処理経路13Cの間で処理をクロス・フェードする役目をするよう、セレクタ54は利得素子の働きをすることが可能である。
【0053】
図6は、本開示の実施例による、処理経路12D及び13D、並びにアンプ16の選択された構成要素を詳細に描いた、例示的なオーディオIC9Dの選択された構成要素のブロック図を示している。幾つかの実施例では、
図6に描かれたオーディオIC9Dは、
図2に関連して説明したオーディオIC9の全部又は一部を実装することができる。
図6に示されるように、マイクロコントローラ・コア18は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを、第1の処理経路12D及び第2の処理経路13Dの各々に供給することができる。幾つかの実施例では、
図6に描かれた第1の処理経路12D及び第2の処理経路13Dは、それぞれ、
図2に関連して説明した第1の処理経路12及び第2の処理経路13の全部又は一部を実装することができる。
【0054】
第1の処理経路12Dは、デジタル・フィルタ72、デジタル・デルタ・シグマ変調器74、DAC22D、スイッチ76及び78、並びに抵抗器79によって実装され得る高利得出力を備え得る。デジタル・フィルタ72は、デジタル信号(例えばデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)に、そのデジタル信号の特定の面を縮減又は強調するよう数学的演算を施すように構成された任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。例えば、幾つかの実施例では、デジタル・フィルタ72は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの高周波成分をフィルタリング除去し、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの低周波成分をその入力へ通過させるロー・パス・フィルタを備え得、それによって、以下で詳述するように、低周波成分は第1の処理経路12Dによって処理され、高周波成分は第2の処理経路13Dによって処理されるということが可能となる。
【0055】
デジタル・デルタ・シグマ変調器74は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えば、デジタル・フィルタ72によりフィルタリングされたデジタル・オーディオ入力信号DIG_IN)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器74の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0056】
DAC22Dは、デジタル・デルタ・シグマ変調器74によって出力されたデジタル信号を受信し、その信号をアナログ信号へ変換することができる。このアナログ信号は次いで、第1の中間アナログ信号V
INAを生成するよう、抵抗器79を含む高利得出力により増幅又は減衰され得、このとき、高利得出力の利得の大きさは、抵抗器79の抵抗値の関数となり得る。
図6に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、DAC22Dの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号をDAC22Dに向けて伝達することができる。
【0057】
また、
図6に示されるように、以下で詳述する通り、コントローラ20は、第1の処理経路12Dの動作を制御するように構成された1つ以上の制御信号を第1の処理経路12Dに向けて伝達することができる。例えば、幾つかの実施例では、スイッチ76が導通された(閉路された、有効にされた、オンにされた、等)ときにデジタル・フィルタ72の出力がデジタル・デルタ・シグマ変調器74及び第2の処理経路13Dの利得素子84へ渡され得るよう、コントローラ20は第1の処理経路12Dのスイッチ76を制御し得る。一方で、スイッチ76が非導通にされた(開路された、無効にされた、オフにされた、等)とき、信号がデジタル・デルタ・シグマ変調器74及び第2の処理経路13Dの利得素子84へ渡されることは不可能となる。更に、これら及び他の実施例では、コントローラ20は、スイッチ78が導通された(閉路された、有効にされた、オンにされた、等)ときにDAC22Dの出力及び高利得出力がアンプ・ステージ16へ渡され得るよう、第1の処理経路12Dのスイッチ78を制御し得る。
【0058】
第2の処理経路13Dは、利得素子82、利得素子84、コンバイナ86、デジタル・デルタ・シグマ変調器88、DAC23D、及び抵抗器89によって実装され得る低利得出力を備え得る。利得素子82は、利得素子82の利得をデジタル・オーディオ入力信号DIG_INに乗じ、得られた信号をコンバイナ86へ伝達するための任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、利得素子82の利得は、固定利得となり得る。同様に、利得素子84は、利得素子84の利得を第1の処理経路12Dのデジタル・フィルタ72の出力に乗じ、得られた信号をコンバイナ86へ伝達するための任意のシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、利得素子84の利得は、固定利得となり得る。これら及び他の実施例では、利得素子82及び84の利得は、ほぼ等しいものとなり得る。利得素子82及び84は、第2の処理経路13Dにおける特定の位置に配置されたデジタル利得素子として示されているが、処理経路13D内の任意の好適な位置に配置されてよい。例えば、幾つかの実施例では、利得素子82及び84は、コンバイナ86の下流に配置された単一の利得素子で置き換えられ得る。
【0059】
コンバイナ86は、利得素子82及び84によって修正された、デジタル・フィルタ72によってフィルタリング除去されたデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの成分(例えば高周波成分)を表す信号を出力するように、デジタル・フィルタ72によりフィルタリングされたデジタル・オーディオ入力信号DIG_INをデジタル・オーディオ入力信号DIG_INのフィルタリングされていないバージョンから減算するための任意のシステム、デバイス、又は装置を備えることができる。
【0060】
デジタル・デルタ・シグマ変調器88は、デジタル領域において、第1のデジタル信号(例えば、コンバイナ86により出力されたデジタル信号)を処理して、第1のデジタル信号を、第1のデジタル信号と同じビット数かどうかは問わない、結果として得られる第2のデジタル信号に変換するように構成された任意の好適なシステム、デバイス、又は装置を備え得る。幾つかの実施例では、結果として得られる第2のデジタル信号は、2つの量子化レベルを持ち得る(例えば、単一ビット信号又は2つの量子化レベルを持つ任意の他のデジタル信号)。デジタル・デルタ・シグマ変調器88の例示的な実施例は、「Systems and Methods for Generating a Digital Output Signal in a Digital Microphone System」という名称の、2014年4月8日に出願された、John L. Melansonらによる特許文献1に記載されている。
【0061】
DAC23Dは、デジタル・デルタ・シグマ変調器88によって出力されたデジタル信号を受信し、その信号をアナログ信号へ変換することができる。このアナログ信号は次いで、第2の中間アナログ信号V
INBを生成するよう、抵抗器89を含む低利得出力により増幅又は減衰され得、このとき、低利得出力の利得の大きさは、抵抗器89の抵抗値の関数となり得る。幾つかの実施例では、第1の処理経路12Dの高利得出力、第2の処理経路13Dの低利得出力、利得素子82及び84の利得は、第1の処理経路12D及び第2の処理経路13Dの経路利得がほぼ等しくなるように選択され又は設定され得る。例えば、利得素子82及び84がKという利得を持つ場合、低利得出力の利得に対する高利得出力の利得率もKとなり得る(例えば、抵抗器89は抵抗器79のK倍の抵抗値を持ち得る)。
【0062】
DAC22D及びDAC23Dは異なる構成を持ち得、よって、異なる信号処理機能及び性能を持つことができる。例えば、DAC23Dは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBへ変換する際、DAC22Dがデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換する際よりも消費電力が少なくて済むかもしれない。別の例として、DAC22Dは、DAC23Dによって第2の処理経路13Dにもたらされるノイズに比べて、より小さいノイズしか第1の処理経路12Dにもたらさないものとなり得る。更なる例として、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが大きい場合、DAC22Dは、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第1の中間アナログ信号V
INAへ変換する際に、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INを第2の中間アナログ信号V
INBへ変換する際のDAC23Dのそれに比べて、より高い直線性を提供するものとなり得る。
【0063】
したがって、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ(例えば、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INのフル・スケールの大きさの20デシベル下)を超えるとき、コントローラ20が第1の処理経路12Dを有効な処理経路として本質的に選択して、第1の処理経路12Dがデジタル・フィルタ72によって通過させられた信号成分を処理し、第2の処理経路133Dがデジタル・フィルタ72による信号成分フィルタを処理するように、コントローラ20は動作することができる。幾つかの実施例では、デジタル・フィルタ72が存在しなくてもよく、かかる実施例ではコンバイナ86の出力は、第2の処理経路13Dが効果的に無効化されるよう、ゼロとなり得る。よって、閾値となる大きさを上回るデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさについては、低周波が信号の大きさの大半を含む可能性がより高いため、より高性能の第1の処理経路12Dが低周波コンテンツ(又はデジタル・フィルタ72が存在しない場合は全てのコンテンツ)を処理することができる。したがって、閾値となる大きさを超えるデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、コントローラ20は、DAC22Dは高電力モードで動作すべき(例えば、DAC22を有効にすべき)と示す1つ以上の制御信号をDAC22Dへ伝達し、第1の処理経路12Dはデジタル・オーディオ入力信号DIG_INを処理すべきと示す1つ以上の制御信号をスイッチ76及び78へ伝達することができる。
【0064】
一方、アンプ・ステージ16へ伝達される第1の中間アナログ信号V
INBの適度な直線性を提供することができる信号の大きさでDAC23Dを動作させながら、オーディオIC9Dの電力消費を最小化するために、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさが閾値となる大きさ未満のとき、コントローラ20は、第1の処理経路12Dを(例えば、スイッチ76及び78を非導通にし、且つ/又はDAC22Dをパワー・ダウンすることにより)遮蔽又は無効にしながら、第2の処理経路13Dを有効な処理経路として本質的に選択し得るように動作することができる。例えば、閾値となる大きさ未満のデジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに対して、コントローラ20は、DAC22Dは低電力モードで動作すべき(例えば、DAC22Dを無効にする)であると示す1つ以上の制御信号をDAC22Dへ伝達することができる。このような1つ以上の制御信号は、ほぼゼロの大きさの第1の中間アナログ信号V
INAを第1の処理経路12Dが出力する(例えば、スイッチ76及び78を無効にすることによって)ようにもさせ得る。
【0065】
オペ・アンプ22の正負入力は
図2のコンバイナ14として動作することができ、これにより第1の中間アナログ信号V
INAと第2の中間アナログ信号V
INBを効果的に加算し得る。幾つかの実施例では、コントローラ20は、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさ、第1の処理経路12Dと第2の処理経路13Dのどちらが有効な処理経路として選択されているかに関する識別情報、及び/又はオーディオIC9Dの別の好適な特性に基づいて、アンプ・ステージ16のアナログ利得を制御し得る。これら及び他の実施例では、コントローラ20は、動作すべき動作モード又は出力すべき供給電圧を示す1つ以上の制御信号を、電源10へ伝達し得る。例えば、コントローラ20は、大きい大きさの信号には高い供給電圧が提供され、小さい大きさの信号には低い供給電圧が提供され、小さい大きさの信号の処理時にはアンプ・ステージ16が電力レベルを低下させて動作可能となり得るように、デジタル・オーディオ入力信号DIG_INの大きさに基づいて、電源10が供給電圧を出力するようにさせることができる。
【0066】
本明細書において、2つ以上の要素が互いに「連結される」と表現されるとき、この用語は、かかる2つ以上の要素が電子的に連通して又は機械的に連通して、介在要素の有無を問わず、間接的又は直接的に適宜接続されていることを意味する。
【0067】
本開示は、当業者であれば了知するであろう、本明細書の例としての実施例に対する一切の変更、置換え、変形、改造、及び修正を包含するものである。同様に、該当する場合、添付される特許請求の範囲は、当業者であれば了知するであろう、本明細書の例として実施例に対する一切の変更、置換え、変形、改造、及び修正を包含するものである。更に、添付される特許請求の範囲における、特定の機能を実行するために適応されるか、配置されるか、実行することができるか、構成されるか、有効であるか、動作可能であるか、又は動作する、装置又はシステム、或いは装置又はシステムの構成要素への言及は、当該の装置、システム、又は構成要素がそのように適応され、配置され、可能にされ、構成され、有効であり、動作可能であり、動作する限り、それ又は当該の特定機能が作動されるか、オンにされるか、又はロック解除されるかどうかを問わずに、当該の装置、システム、又は構成要素を包含する。
【0068】
本明細書に記載された全ての実例及び条件的文言は、当技術の発展に対して本発明者により貢献された本発明及び本概念の理解において読者を支援するという、教授の目的で意図されたものであり、そのように具体的に記載された実例及び条件への限定は伴わないものとして解釈される。本発明の実施例を詳述したが、これに対して、多様な変更、置換え、及び改造が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。