(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄熱部を蓄熱する燃焼排ガスが該蓄熱部の燃焼排ガス出口側から排気系へ排出される排気モードと、該蓄熱部で予熱される燃焼用空気が給気系から該蓄熱部の該燃焼排ガス出口側へ供給される燃焼モードとが交互に切り替えられる蓄熱式バーナを少なくとも一組一対で備え、一方の該蓄熱式バーナが燃焼モードのときに他方の該蓄熱式バーナが排気モードで運転される蓄熱式バーナシステムであって、
対をなす上記蓄熱式バーナそれぞれは、上記蓄熱部の上記燃焼排ガス出口側と上記排気系及び上記給気系双方とを連通して設けられ、排気モード及び燃焼モードに応じて燃焼排ガスと燃焼用空気とが交互に流通される連通部と、該連通部に設けられ、当該連通部内の温度が設定温度以上か否かを検知して検知信号を出力する温度スイッチと、上記排気系に設けられ、排気モードの上記蓄熱式バーナの上記温度スイッチから、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、該排気系にこれを大気開放して大気を導入する大気導入部とを備えたことを特徴とする蓄熱式バーナシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄熱式バーナでは、蓄熱動作、すなわち排気モードの際には、セラミック製ボールなどの蓄熱体を充填するなどして形成される蓄熱部に、高温の燃焼排ガスを流通させて蓄熱を行うようにしている。蓄熱体は、燃焼排ガスに晒されることで消耗し、劣化する。蓄熱体の消耗の度合いは、燃焼排ガスの温度が高温であればあるほど、激しい。消耗し劣化した蓄熱体は、蓄熱能力が低下するため、新しい蓄熱体に交換する必要がある。
【0006】
蓄熱式バーナを備える工業用炉は、少なくとも一対一組あるいは一対複数組の蓄熱式バーナで操業され、当該工業用炉での蓄熱体の交換作業は、炉操業の関係上、一定期間を経たら一斉に行われる。
【0007】
ところで、各蓄熱式バーナの蓄熱部に流入する燃焼排ガスの温度は、燃焼ゾーンの設定温度や被加熱物との位置関係などによって相違するため、蓄熱式バーナ個々における蓄熱体の消耗の度合いが、一対一組の蓄熱式バーナ相互間でも、あるいは一対複数組の蓄熱式バーナ同士の間でも、異なっている。
【0008】
従って、一定期間を経て蓄熱体の交換を実施するとき、高温の燃焼排ガスが流通された蓄熱部の蓄熱体は相当に劣化が進行している一方で、低温の燃焼排ガスが流通された蓄熱部の蓄熱体はあまり劣化していないという状況がある。
【0009】
すなわち、個々の蓄熱式バーナそれぞれで、蓄熱体の消耗の度合いが異なり、それに起因して、まだ使用可能な蓄熱体を無駄に交換してしまったり、あるいは劣化してしまって既に蓄熱能力が低下している蓄熱体の継続使用により省エネルギ効果を適切に確保できないという課題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、少なくとも一組一対の蓄熱式バーナに備えられる蓄熱体の消耗度合いをほぼ等しくすることが可能で、一定期間で一斉に蓄熱体の交換を行うようにしても、蓄熱体を無駄にすることなく、適切に省エネルギ効果を確保することが可能な蓄熱式バーナシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる蓄熱式バーナシステムは、蓄熱部を蓄熱する燃焼排ガスが該蓄熱部の燃焼排ガス出口側から排気系へ排出される排気モードと、該蓄熱部で予熱される燃焼用空気が給気系から該蓄熱部の該燃焼排ガス出口側へ供給される燃焼モードとが交互に切り替えられる蓄熱式バーナを少なくとも一組一対で備え、一方の該蓄熱式バーナが燃焼モードのときに他方の該蓄熱式バーナが排気モードで運転される蓄熱式バーナシステムであって、対をなす上記蓄熱式バーナそれぞれは、上記蓄熱部の上記燃焼排ガス出口側と上記排気系及び上記給気系双方とを連通して設けられ、排気モード及び燃焼モードに応じて燃焼排ガスと燃焼用空気とが交互に流通される連通部と、該連通部に設けられ、当該連通部内の温度が設定温度以上か否かを検知して検知信号を出力する温度スイッチと、上記排気系に設けられ、排気モードの上記蓄熱式バーナの上記温度スイッチから、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、該排気系にこれを大気開放して大気を導入する大気導入部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
前記蓄熱式バーナは、複数組が対をなして備えられ、前記給気系は、給気用集合管と、該給気用集合管から分岐されて上記蓄熱式バーナそれぞれの前記蓄熱部に燃焼用空気を供給するための給気管とから構成され、前記排気系は、排気用集合管と、該排気用集合管から分岐されて上記蓄熱式バーナそれぞれの上記蓄熱部から燃焼排ガスを排出するための排気管とから構成され、前記連通部は、上記蓄熱式バーナそれぞれの上記蓄熱部の前記燃焼排ガス出口側と上記排気管及び上記給気管双方とを連通して設けられ、前記大気導入部は、上記蓄熱式バーナそれぞれの上記排気管に設けられることを特徴とする。
【0015】
前記温度スイッチは、バイメタルスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる蓄熱式バーナシステムにあっては、少なくとも一組一対の蓄熱式バーナに備えられる蓄熱体すべての温度を同じ温度まで昇温させることにより、これら蓄熱体の消耗度合いをほぼ等しくすることができ、一定期間で一斉に蓄熱体の交換を行うようにしても、蓄熱体を無駄にすることなく、適切に省エネルギ効果を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる蓄熱式バーナシステムの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る蓄熱式バーナシステムの運転状態を示す構成図である。
図2は、第1実施形態に係る蓄熱式バーナシステムの運転モードが移行する途中段階を示す構成図である。
図3は、
図1に示した蓄熱式バーナシステムの運転モードの移行完了状態を示す構成図である。
【0019】
図1に示すように蓄熱式バーナ1L,1Rは従来周知のように、炉2内に向けて開放された火口3aを有するバーナ本体3と、火口3aとは反対側で、バーナ本体3に直結して設けられた蓄熱部4とを備えていて、バーナ本体3の火口3aから炉2内に向けて火炎Fを噴出して炉2内を加熱する(例えば、1,000℃程度)燃焼モードと、火口3aから炉2内の燃焼排ガスEを排出する排気モードとが対面する一組一対で、交互に繰り返し切り替えられて運転されるようになっている。
【0020】
蓄熱式バーナ1L,1Rは、排気モード時に、炉2内から排出される燃焼排ガスEが蓄熱部4に流通され、これにより当該燃焼排ガスEの排熱が蓄熱部4に蓄熱され、蓄熱部4を通過した燃焼排ガスEは降温されて(例えば、200℃程度)排気系5へ排出されることとなり、その後、排気モードから燃焼モードに運転が切り替えられると、給気ブロア6を有する給気系7の給気作用で燃焼用空気Aが蓄熱部4に流通されて、当該蓄熱部4に蓄熱された燃焼排ガスEの排熱で燃焼用空気Aが予熱(加熱)される。
【0021】
そして、予熱された燃焼用空気Aが、バーナ本体3へ給気され、火口3a近傍に設けられた燃料ノズル8を通じて供給される燃料ガスと混合されて燃焼されることにより、バーナ本体3は、排熱を利用した省エネルギ運転で、火炎Fを生成する。
【0022】
蓄熱式バーナ1L,1Rを用いる場合、燃焼モードと排気モードとの運転モードの切り替えに伴って炉内温度が変動しないように、当該蓄熱式バーナ1L,1Rは、少なくとも一組一対で用いられる。
【0023】
いずれか一方の蓄熱式バーナ1L(1R)が燃焼モードのときには、他方の蓄熱式バーナ1R(1L)は排気モードで運転され、前者が排気モードに切り替えられたときには、後者が燃焼モードに切り替えられるように、燃焼モードと排気モードとが一対の蓄熱式バーナ1L,1R相互間で交互になるように運転制御される。
【0024】
図示例では、炉2を構成する断面四角形状の炉壁のうち、互いに向かい合う左右の炉側壁2aそれぞれに、一対で蓄熱式バーナ1L,1Rが設けられている。一対の蓄熱式バーナ1L,1Rは、同じ炉側壁2aに隣接して設けるようにしてもよい。
【0025】
各蓄熱式バーナ1L,1Rの蓄熱部4は、バーナ本体3に直結される蓄熱部ケーシング9内に、多数の蓄熱体をグレーチング10で保持して設けることによって形成される。蓄熱部4は、炉2内に臨む火口3a側が燃焼排ガス入口側(燃焼用空気出口側)4aとなり、グレーチング10側が燃焼排ガス出口側(燃焼用空気入口側)4bとなる。
【0026】
従って、各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの蓄熱部4では、排気モード時、燃焼排ガスEは、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから排気系5へ排出され、また、燃焼モード時、燃焼用空気Aは、給気系7から蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bへ供給され、火口3aへ向かって蓄熱部4を流通することで予熱される。
【0027】
本実施形態に係る蓄熱式バーナシステムでは、左右一対の各蓄熱式バーナ1L,1Rは、炉2内に向けて開放された火口3aを有する、通路形態のバーナ本体3と、バーナ本体3に、火口3aとは反対側で接続された蓄熱部4と、バーナ本体3に隣接させて設けられ、燃焼用空気Aと混合されて火炎Fを生成する燃料ガスなどの燃料を火口3aに向けて噴射する燃料ノズル8a、燃料ノズル8aに接続され、燃料を供給する燃料供給管8b、並びに燃料供給管8bに設けられ、燃料の供給・停止を制御する燃料用開閉弁8c(図中、白抜き表示は開;黒ベタ表示は閉)からなる燃料供給系8と、燃焼用空気Aを給気する給気ブロア6及び燃焼用空気Aの供給・停止を制御する開閉自在な給気弁7a(図中、白抜き表示は開;黒ベタ表示は閉)を有し、各蓄熱部4の蓄熱部ケーシング9内の燃焼排ガス出口側4bへ向かって燃焼用空気Aを供給するための給気系7と、燃焼排ガスEの排出・停止を制御する開閉自在な排気弁5a(図中、白抜き表示は開;黒ベタ表示は閉)を有し、炉2内の燃焼排ガスEを、火口3aを介して煙道11aへ向けて排出するように、各蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから流出される燃焼排ガスEが流通される排気系5とを備えて構成される。煙道11aは、煙突11bに接続されていて、当該煙道11aには、煙突11bによるドラフト効果により常に吸引力が作用している。
【0028】
給気系7は詳細には、給気ブロア6が設けられ、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R双方へ向けて燃焼用空気Aを供給することが可能な給気用集合管7bと、給気集合管7bから分岐させて設けられ、各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの蓄熱部4に燃焼用空気Aを供給するための複数の給気管7cと、各給気管7cに設けられた上記給気弁7aとから構成される。
【0029】
排気系5は詳細には、煙道11aに接続され、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R双方から燃焼排ガスEを排出することが可能な排気集合管5bと、排気集合管5bから分岐させて設けられ、各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの蓄熱部4から燃焼排ガスEを排出するための排気管5cと、各排気管5cそれぞれに設けられた上記排気弁5aとから構成される。
【0030】
給気弁7aは、蓄熱式バーナ1L,1Rが燃焼モードのとき、燃焼用空気Aを、蓄熱部4を介してバーナ本体3の火口3aに供給するために開かれ、排気モードのとき、燃焼用空気Aの供給を停止するために閉じられる。
【0031】
排気弁5aは、蓄熱式バーナ1L,1Rが排気モードのとき、炉2内の燃焼排ガスEを、蓄熱部4を介してバーナ本体3の火口3aから排出するために開かれ、燃焼モードのとき、燃焼排ガスEの排出を停止するために閉じられる。給気ブロア6は、炉2の操業中は通常、常時運転される。
【0032】
燃料用開閉弁8cは、蓄熱式バーナ1L,1Rが燃焼モードのとき、燃料を燃料ノズル8aに供給するために開かれ、排気モードのとき、燃料の供給を停止するために閉じられる。
【0033】
図1に例示されているように、燃焼モードの蓄熱式バーナ1Lでは、排気弁5aが閉じられ、かつ給気弁7aが開かれて、給気系7の給気作用で送り込まれる燃焼用空気Aは、給気系7の給気集合管7bから給気管7cの給気弁7aを介して蓄熱部4へ流通され、蓄熱部4からさらに、バーナ本体3の火口3aへ向けて供給されるようになっている。
【0034】
他方、排気モードの蓄熱式バーナ1Rでは、排気弁5aが開かれ、かつ給気弁7aが閉じられて、炉2内の燃焼排ガスEは、バーナ本体3の火口3aから蓄熱部4へ流通され、蓄熱部4からさらに、排気弁5aを介して排気管5cから排気系5の排気集合管5bへ排出されるようになっている。
【0035】
対をなす各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれにおいて、給気管7c及び排気管5cは、それらの給気弁7a及び排気弁5aよりも蓄熱部4側の合流部12で互いに接続され、そして、この合流部12と蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bとを連通して連通部13が設けられる。
【0036】
連通部13は図示例では、合流部12に一端が接続され他端が蓄熱部ケーシング9の底部に接続された連通管13aと、グレーチング10で仕切られて蓄熱部ケーシング9の下部に形成され、連通管13aと接続される底部チャンバ13bとから構成される。すなわち、本発明では、底部チャンバ13bと連通管13aとを合わせたものを連通部13と称している。
【0037】
そして、連通部13は、各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれにおいて、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bと排気管5c及び給気管7c双方と連通して設けられ、連通管13aと底部チャンバ13bとからなる連通部13には、蓄熱式バーナ1L,1Rが排気モード(排気弁5a開・給気弁7a閉)のとき、燃焼排ガス出口側4bから排気管5cに向かう燃焼排ガスEが流通され、燃焼モード(排気弁5a閉・給気弁7a開)のとき、給気管7cから燃焼排ガス出口側4bに向かう燃焼用空気Aが流通されて、運転モードに応じて、低温の燃焼用空気Aと高温の燃焼排ガスEとが交互に流通されるようになっている。
【0038】
各蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの連通部13を構成する連通管13aには、燃焼排ガスEや燃焼用空気Aが流通される連通管13a内部の温度が設定温度以上であるか否かを検知して、検知信号を出力する温度スイッチ14が設けられる。温度スイッチ14は例えば、バイメタルで作動するスイッチやサーモスタットで構成される。
【0039】
バイメタルやサーモスタットで構成される温度スイッチ14は、設定温度以上となったことで検知信号を出力し、設定温度未満になることで自動的に、検知信号を切断した状態へ復原するので、設定温度以上になるたびに繰り返し検知信号を出力することができる。
【0040】
温度スイッチ14は、連通部13であれば、
図5に示すように、蓄熱部ケーシング9の底部チャンバ13bに設けるようにしても良く、このように構成しても、連通管13aに設けた場合と同様に作用させることができる。
【0041】
温度スイッチ14には、コントローラ15が接続され、コントローラ15には、検知信号が入力される。また、コントローラ15は、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1Rの排気弁5a、給気弁7a、並びに燃料用開閉弁8cに接続され、これらに開閉制御信号を出力して、各蓄熱式バーナ1L,1Rの運転モードを制御する。
【0042】
温度スイッチ14が検知する設定温度は、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R双方で、蓄熱部4の蓄熱体の消耗度合いがほぼ等しくなるように、すなわちいずれか一方の蓄熱式バーナ1L,1Rだけが蓄熱体の消耗が激しくならないように、蓄熱体の消耗に関係する蓄熱部4を流通する気体、具体的には燃焼排ガス出口側4bから流出される燃焼排ガスEに対し設定される温度であって、例えば200℃に設定される。
【0043】
温度スイッチ14は、連通管13aに常温の燃焼用空気Aが流通される燃焼モードのときには、設定温度未満の検知信号(例えば、OFF信号)をコントローラ15に出力する。蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから連通管13aに燃焼排ガスEが流通される排気モードのとき、設定温度を超えると、その検知信号(例えば、ON信号)をコントローラ15に出力する。
【0044】
コントローラ15は、温度スイッチ14から、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの運転中のモードを他のモードに切り替えるために、これに接続される上記排気弁5a等に開閉制御信号を出力するようになっている。そして、排気モードで燃焼排ガスEが流通されていた蓄熱部4の蓄熱体には、燃焼モードへの切り替えによって給気系7から燃焼用空気Aが流通されるようになっている。
【0045】
このように、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R双方で蓄熱体の消耗度合いがほぼ等しくなるように、燃焼排ガス出口側4bで設定温度以上になったことが検知されたことに応じて、コントローラ15により、これら蓄熱式バーナ1L,1Rの運転モードが相互に切り替えられ、燃焼排ガスEが流通していた蓄熱部4に燃焼用空気Aを流通させる切り替えが行われるようになっている。これにより、すべての蓄熱体の温度が、設定温度以上に昇温しないようにすることができる。
【0046】
次に、本実施形態に係る蓄熱式バーナシステムの作用について説明する。図中、温度スイッチ14からのON信号、並びにコントローラ15からの、運転切り替えのための開閉制御信号の出力を実線で示す。
図1に示すように、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1Rは、一方が燃焼モードで運転され、他方が排気モードで運転される。
【0047】
なお、検知信号の伝達系統は点線で示していて、以降、検知信号を伝達中の系統は実線で示すこととする。
【0048】
コントローラ15は、排気モードで運転中の蓄熱式バーナ1Rの温度スイッチ14から、設定温度以上であることを検知した検知信号が入力されると、
図2に示すように、当該排気モード運転中の一方の蓄熱式バーナ1Rを燃焼モードへ切り替え、それにより蓄熱部4に燃焼用空気Aが給気されるように、排気弁5aにこれを閉じる制御信号を出力し、そしてまた、炉2の稼働を継続するために、燃焼モード運転中の他方の蓄熱式バーナ1Lを排気モードへ切り替えるために、給気弁7aにこれを閉じる制御信号を出力する。また、燃焼モードの蓄熱式バーナ1Lの燃料用開閉弁8cにこれを閉じる制御信号を出力する。
【0049】
コントローラ15は引き続き、
図3に示すように、排気モードで運転中であった(排気弁5aを閉じた)蓄熱式バーナ1Rの給気弁7aにこれを開いて燃焼用空気Aを供給する制御信号を出力し、そしてまた、燃焼モードで運転中であった(給気弁7aを閉じた)蓄熱式バーナ1Lの排気弁5aにこれを開いて燃焼排ガスEを排出する制御信号を出力し、さらに、排気モードであった蓄熱式バーナ1Lの燃料用開閉弁8cにこれを開いて燃料を供給する制御信号を出力する。これにより、コントローラ15は、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの運転中のモードを他のモードに切り替える。
【0050】
さらに、
図3の運転状態で、排気モードで運転中の蓄熱式バーナ1Lの温度スイッチ14からコントローラ15へ、設定温度以上であることを検知した検知信号が入力されると、
図2で説明した切り替え移行状態を経て、
図1に示す運転状態に移行される。
【0051】
なお、説明の便宜上、
図2で蓄熱式バーナ1L,1Rの給気弁7a、排気弁5a及び燃料用開閉弁8cを全部閉じた状態を示しているが、
図2の状態を経ることなく、
図1の状態から
図3の状態へ一気に切り替えを行って、運転モードを直接移行するようにしてもよいことはもちろんである。
【0052】
このように、排気モードで運転されていて、燃焼排ガスEが流通されている連通部13の温度スイッチ14によって、燃焼排ガス出口側4bの温度が設定温度以上であることが検知され、その検知信号が入力されたコントローラ15が運転モードを排気モードから燃焼モードに切り替える制御を、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R相互間で繰り返すことにより、これら蓄熱式バーナ1L,1R双方の蓄熱部4の蓄熱体が燃焼排ガスEに晒されて温度上昇する状況を均等にして、蓄熱体の消耗度合いが互いにほぼ等しくなるようになっている。
【0053】
温度スイッチ14については、排気モードから燃焼モードに切り替えられて、連通部13に燃焼用空気Aが流通されて温度が下がることにより自動的に、検知信号を切断した状態へ復原し、次回の排気モードのときに再度設定温度以上か否かを検出することができる。
【0054】
以上説明した第1実施形態に係る蓄熱式バーナシステムにあっては、蓄熱部4を蓄熱する燃焼排ガスEが蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから排気系5へ排出される排気モードと、蓄熱部4で予熱される燃焼用空気Aが給気系7から蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bへ供給される燃焼モードとが交互に切り替えられる蓄熱式バーナ1L,1Rを少なくとも一組一対で備え、一方の蓄熱式バーナ1L,1Rが燃焼モードのときに他方の蓄熱式バーナ1R,1Lが排気モードで運転される蓄熱式バーナシステムであって、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれは、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bと排気系5及び給気系7双方とを連通して設けられ、排気モード及び燃焼モードに応じて燃焼排ガスEと燃焼用空気Aとが交互に流通される連通部13と、連通部13に設けられ、当該連通部13内の温度が設定温度以上か否かを検知して検知信号を出力する温度スイッチ14とを備えると共に、排気モードの蓄熱式バーナ1L,1Rの温度スイッチ14から、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれの運転中のモードを
他のモードに切り替える、詳しくは、排気モードで運転中の蓄熱式バーナ(例えば、蓄熱式バーナ1L)を燃焼モードに、燃焼モードで運転中の蓄熱式バーナ(例えば、蓄熱式バーナ1R)を排気モードに切り替えるコントローラ15を備えたので、少なくとも一組一対の蓄熱式バーナ1L,1R双方において、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bとなる連通部13の温度を温度スイッチ14で監視しつつ、コントローラ15で運転モードの切り替えを行うことができて、これら蓄熱式バーナ1L,1R相互で、燃焼排ガスEが流通する蓄熱部4の蓄熱体の消耗度合いをほぼ等しくすることができる。これにより、一定期間で一斉に蓄熱体の交換を行うようにしても、使用可能な蓄熱体を無駄にすることがないと共に、劣化した蓄熱体を継続的に使用してしまうこともなくて、適切に省エネルギ効果を確保することができる。
【0055】
温度スイッチ14は、バイメタルスイッチでよく、簡単かつ安価に備えることができる。
【0056】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。上記実施形態では、蓄熱式バーナ1L,1Rが一組一対である場合について説明したが、蓄熱式バーナ1L,1Rは、複数組が対をなして備えられる場合であっても、上記構成を適用することができる。
【0057】
すなわち、
図1〜
図3中、一組一対の蓄熱式バーナ1L,1Rが、紙面の前後奥行き方向に複数組配置されていて、これら複数組の蓄熱式バーナ1L,1Rの給気管7c及び排気管5cに、図中の給気集合管7b及び排気集合管5bをそれぞれ接続し、また、コントローラ15を、複数組の対をなす各蓄熱式バーナ1L,1Rの温度スイッチ14や排気弁5a、給気弁7a、燃料用開閉弁8cと接続すれば、複数組の各組で対をなす蓄熱式バーナ1L,1R同士の間で、温度スイッチ14からの検知信号の入力に応じ、コントローラ15によって運転中のモードを他のモードに切り替えることができ、これにより複数組の蓄熱式バーナ1L,1Rに対して、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
図4には、第2実施形態に係る蓄熱式バーナシステムの構成図が示されている。図示例にあっては、蓄熱式バーナ1L,1Rは、複数組が対(上下配置のもの同士で一対)をなして備えられている。
【0059】
この蓄熱式バーナシステムでは、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rの一方の組(例えば、図中上側)に接続される第1給気集合管7d及び第1排気集合管5dと、他方の組(例えば、図中下側)に接続される第2給気集合管7e及び第2排気集合管5eと、これら集合管5d,5e,7d,7eそれぞれに開閉自在に設けられた第1給気弁7f、第2給気弁7g、第1排気弁5f、並びに第2排気弁5gとが備えられる。
【0060】
第1給気弁7fが開かれ第1排気弁5fが閉じられるとき、第2給気弁7gが閉じられ第2排気弁5gが開かれて、一方の組の蓄熱式バーナ1Lが燃焼モードで、他方の組の蓄熱式バーナ1Rが排気モードで運転され、また、これら給気弁7f,7g及び排気弁5f,5gが反対に作動されることで、一定の時間間隔(例えば、1分間隔)で一方の組が排気モードに、他方の組が燃焼モードに切り替えられるようになっている。燃料用開閉弁8cは上記第1実施形態と同様に、排気モードの一方の組で閉じられ、燃焼モードの他方の組で、燃料を供給するために開かれるようになっている。
【0061】
第2実施形態に係る蓄熱式バーナシステムが第1実施形態と異なる点は、コントローラ15に代えて、大気導入部16が備えられ、これにより、運転モードの切り替えではなく、燃焼排ガス出口側4bから排出される燃焼排ガスEの排気系5への排出量低減制御が行われ、これによって、各蓄熱式バーナ1L,1R個々において、排気モードでの運転中における蓄熱部4の蓄熱体の温度上昇傾向を抑制するようにしたことにある。
【0062】
具体的には、各蓄熱式バーナ1L,1Rの排気管5cには、温度スイッチ14と排気集合管5d,5eとの間に、大気導入部16が設けられる。大気導入部16は、排気管5cを大気へ連通させる大気開放管16aと、大気開放管16aに設けられた開閉弁16b(図中、白抜き表示は開;黒ベタ表示は閉)とから構成され、開閉弁16bが開放されると、排気管5cへ大気が導入されるようになっている。
【0063】
そして、大気導入部16の開閉弁16bは、常時閉じられていて、温度スイッチ14、特に排ガスモードの蓄熱式バーナ1L,1Rの温度スイッチ14から、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、大気を排気管5cへ導入するために、大気開放管16aを開放するようになっている。
【0064】
これにより、排気管5cには大気が導入される(図中、下の組の蓄熱式バーナ1Rの左から2台目において、矢印xで示す)こととなり、排気管5cに対する煙道11aのドラフト効果による吸引力が弱まって、炉2内から排出されて蓄熱部4へ流入する燃焼排ガスEの流量、すなわち蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから流出する燃焼排ガスEの排出量が減少される(図中、矢印yで示す)。
【0065】
開閉弁16bが閉じられている他の蓄熱式バーナ1L,1Rに比して、開閉弁16bが開かれた蓄熱式バーナ1L,1Rでは、燃焼排ガスEの排出量が減少されることにより、燃焼排ガスEで熱せられる蓄熱部4の蓄熱体の温度上昇が抑制される。
【0066】
炉2全体としては、温度スイッチ14から設定温度以上の検知信号が出力されない蓄熱式バーナ1L,1Rについては、通常運転が継続される。また、通常の手順に従い、炉2全体ですべての蓄熱式バーナ1L,1Rの運転モードが切り替えられるときには、排気モード時に大気開放管16aの開閉弁16bが開かれた蓄熱式バーナ1L,1Rであっても、燃焼モードへの切り替えにより、温度スイッチ14で検知される温度が下がって、当該温度スイッチ14は自動的に、検知信号を切断した状態へ復原する。それにより、開閉弁16bが閉じられる。
【0067】
このように、連通部13の温度が設定温度以上になったことに応じて、複数台の蓄熱式バーナ1L,1Rのいずれであっても、大気導入部16からの大気導入により蓄熱部4を流通する燃焼排ガスEの排出量が減少されるので、炉2全体として、燃焼排ガスEに晒される蓄熱体の温度上昇が均一に抑えられて、すべての蓄熱式バーナ1L,1Rで、蓄熱部4の蓄熱体の消耗度合いが相互にほぼ等しくなるようになっている。
【0068】
以上説明した第2実施形態に係る蓄熱式バーナシステムにあっては、蓄熱部4を蓄熱する燃焼排ガスEが蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bから排気系5へ排出される排気モードと、蓄熱部4で予熱される燃焼用空気Aが給気系7から蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bへ供給される燃焼モードとが交互に切り替えられる蓄熱式バーナ1L,1Rを少なくとも一組一対で備え、一方の蓄熱式バーナ1L,1Rが燃焼モードのときに他方の蓄熱式バーナ1R,1Lが排気モードで運転される蓄熱式バーナシステムであって、対をなす蓄熱式バーナ1L,1Rそれぞれは、個々個別に、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bと排気系5及び給気系7双方とを連通して設けられ、排気モード及び燃焼モードに応じて燃焼排ガスEと燃焼用空気Aとが交互に流通される連通部13と、連通部13に設けられ、当該連通部13内の温度が設定温度以上か否かを検知して検知信号を出力する温度スイッチ14と、排気系5に設けられ、排気モードの蓄熱式バーナ1L,1Rの温度スイッチ14から、設定温度以上の検知信号が入力されたときに、排気系5にこれを大気開放して大気を導入する大気導入部16とを備えたので、複数の蓄熱式バーナ1L,1Rにおいて、蓄熱部4の燃焼排ガス出口側4bとなる連通部13の温度を温度スイッチ14で監視しつつ、設定温度以上となった蓄熱式バーナ1L,1Rについては、排気系5への大気導入により燃焼排ガスEの蓄熱部4への流量を低減することができて、複数の蓄熱式バーナ1L,1R相互で、燃焼排ガスEに晒される蓄熱部4の蓄熱体の温度上昇を均一に抑えて、当該蓄熱体の消耗度合いをほぼ等しくすることができる。これにより、一定期間で一斉に蓄熱体の交換を行うようにしても、使用可能な蓄熱体を無駄にすることがないと共に、劣化した蓄熱体を継続的に使用してしまうこともなくて、適切に省エネルギ効果を確保することができる。
【0069】
次に、第2実施形態の変形例について説明する。上記実施形態では、蓄熱式バーナ1L,1Rが複数組で対をなす場合について説明したが、蓄熱式バーナ1L,1Rは、
図1に示した構成と同様に、一組一対で備えられる場合であっても、上記構成を適用することができる。
【0070】
すなわち、
図6に一組一対の蓄熱式バーナ1L,1Rの一方について示しているように、コントローラ15に代えて、大気導入部16を排気管5cに設けることにより、排気系5への大気導入によって、蓄熱部4の温度上昇傾向を抑えることができ、運転モードの切り替えと相俟って、蓄熱体の消耗度合いをほぼ等しくすることができ、上記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0071】
第2実施形態にあっても、温度スイッチ14は
図5に示したように、蓄熱部ケーシング9の底部チャンバ13bに設けるようにしても良い。