特許第6545832号(P6545832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545832
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】車両用骨格部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20190705BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20190705BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20190705BHJP
   B21D 22/20 20060101ALN20190705BHJP
   B21C 23/06 20060101ALN20190705BHJP
【FI】
   B60J5/00 Q
   B62D25/04 B
   B21D22/26 D
   !B21D22/20 H
   !B21C23/06
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-563666(P2017-563666)
(86)(22)【出願日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】JP2016064161
(87)【国際公開番号】WO2017130429
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】特願2016-15020(P2016-15020)
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100805
【氏名又は名称】アイシン高丘株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】程谷 幸平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 清人
(72)【発明者】
【氏名】石畝 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 岳樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋夫
(72)【発明者】
【氏名】大林 環
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076433(JP,A)
【文献】 特開2010−195187(JP,A)
【文献】 特開2009−196488(JP,A)
【文献】 米国特許第05232261(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/06
B21D 22/20
22/26
B60J 5/00
B60R 13/02
21/02
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材の製造方法であって、
前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部とを有する板状部材を、押出成形法を用いて製造する押出加工工程と、
前記溝状部の底壁部が前記第1板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成されるように、ダイクエンチ工法を用いて、前記板状部材をプレス加工するプレス加工工程と、
を含む、車両用骨格部材の製造方法。
【請求項2】
所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材の製造方法であって、
前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部とを有する板状部材を、押出成形法を用いて製造する押出加工工程と、
前記溝状部の底壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成されるように、ダイクエンチ工法を用いて、前記板状部材をプレス加工するプレス加工工程と、
を含む、車両用骨格部材の製造方法。
【請求項3】
所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材であって、
前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部と、を有し、
前記溝状部の底壁部が前記第1板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成された車両用骨格部材。
【請求項4】
所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材であって、
前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部と、を有し、
前記溝状部の底壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成された車両用骨格部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用骨格部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1乃至3に記載されているように、車両用骨格部材の1つとして、車両用ドアの内部に取り付けられる車両用ドアインパクトビームは知られている。車両用ドアインパクトビームは、車両用ドアに物体が衝突したとき、車両用ドアに作用した衝撃を吸収し、車両用ドアが大きく変形することを抑制する。
【0003】
特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームは、筒状に形成されている。すなわち、これらの車両用ドアインパクトビームは、車両用ドアのインナーパネル側に配置された内壁部と、車両用ドアのアウターパネル側に配置された外壁部を有する。内壁部及び外壁部は、平行に延設され、互いに対向している。また、これらの車両用ドアインパクトビームは、内壁部と外壁部との間に形成されて内壁部と外壁部とを接続する一対の側壁部を有する。言い換えれば、これらの車両用ドアインパクトビームは、上記の内壁部、外壁部及び側壁部によって囲まれた中空部を有する。これらの車両用ドアインパクトビームは、アルミニウム合金製である。これらの車両用ドアインパクトビームは、押出成形法を用いて製造される。
【0004】
また、特許文献3の車両用ドアインパクトビームは、所定の方向へ延設されていて、インナーパネル側へ開放された溝状に形成されている(特許文献3の図3(b)参照)。つまり、この車両用ドアインパクトビームは、溝の底部を構成する底壁部と、溝の側部を構成する側壁部を有する。前記側壁部は、前記底壁部における幅方向両端部に接続され、互いに対向している。前記側壁部におけるインナーパネル側の端部には、溝の外側(底壁部及び側壁部によって囲まれた空間の外側)へ延びるフランジ部が形成されている。また、底壁部のアウターパネル側の面には、その長手方向に延びる凹部(溝部)が形成されている。つまり、この凹部は、アウターパネル側へ開放されている(特許文献3の図3(a)参照)。この車両用ドアインパクトビームは、帯状の金属鋼板をプレス成形することにより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−48779号公報
【特許文献2】特開2001−301462号公報
【特許文献3】特開2010−195187号公報
【発明の概要】
【0006】
一般に車両用ドア内の空間は狭い。とくに、車両用ドアインパクトビームの前端部及び後端部が配置される部分(つまり、車両用ドアの前端部及び後端部)の車幅方向の寸法が小さい。したがって、特許文献1又は2のように、車両用ドアインパクトビームが押出成形法を用いて製造される場合、車両用ドアインパクトビームの車幅方向の寸法を、車両用ドアの前端部及び後端部の空間の車両幅方向の寸法に合わせて小さく設定すると、車両用ドアインパクトビームの十分な強度を確保するために、車両用ドアインパクトビームの各壁部の肉厚を大きくする必要がある。そのため、車両用ドアインパクトビームの重量が比較的大きくなる。
【0007】
一方、車両用ドア内において車両用ドアインパクトビームの中間部付近が配置される部分の空間の車幅方向の寸法は、前端部及び後端部が配置される部分に比べて大きい。そこで、次のような製造方法が考えられる。まず、押出成形法を用いて直線状に延びる中間成形部材を製造する。この中間成形部材の車幅方向の寸法は、車両用ドアの前端部及び後端部の空間の車幅方向の寸法よりも大きい。そして、中間成形部材の前端部及び後端部を車幅方向に押し潰す(プレス成形する)ことにより、前端部及び後端部の車幅方向の寸法を小さくする。これによれば、車両用ドアインパクトビームの前端部及び後端部の車幅方向の寸法を中間部よりも小さくすることができる。しかし、中間成形部材の前端部及び後端部をあまり大きく押し潰すことができない場合には、車両用ドアインパクトビームの前端部及び後端部にブラケットを取り付け、前記ブラケットを介して、車両用ドアインパクトビームを車両用ドアに取り付ける必要がある。
【0008】
また、特許文献3の車両用ドアインパクトビームの長手方向に垂直な断面における各部の板厚は一定である。つまり、車両用ドアインパクトビームの強度にあまり影響の無い部分(例えば、溝の側壁部)の板厚が不必要に大きい。そのため、車両用ドアインパクトビームが重い。
【0009】
本発明は上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、曲げ剛性が高く、かつ軽量な車両用骨格部材を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材(0)の製造方法であって、前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部(212Fa,211a,23a,221a,222Fa)と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部(212a,213a,223a,222a)であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部とを有する板状部材(BM2A)を、押出成形法を用いて製造する押出加工工程と、前記溝状部の底壁部(211,23,221が前記第1板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部(212,213,223,222)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成されるように、ダイクエンチ工法を用いて、前記板状部材をプレス加工するプレス加工工程と、を含む、車両用骨格部材の製造方法としたことにある。なお、本発明において、車両用骨格部材とは、例えば、図18に示すような、車両本体、ドアなどの骨格部材及び補強部材を意味する。
【0011】
また、本発明の特徴は、所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材(50)の製造方法であって、前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部(Pa)と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部(B1,B2,B3)であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部とを有する板状部材(BP)を、押出成形法を用いて製造する押出加工工程と、前記溝状部の底壁部(511)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部(512,513)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成されるように、ダイクエンチ工法を用いて、前記板状部材をプレス加工するプレス加工工程と、を含む、車両用骨格部材の製造方法としたことにある。
【0012】
また、本発明の特徴は、所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材(20)であって、前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部(212Fa,211a,23a,221a,222Fa)と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部(212a,213a,223a,222a)であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部と、を有し、前記溝状部の底壁部(211,23,221)が前記第1板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部(212,213,223,222)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成された車両用骨格部材としたことにある。また、本発明の特徴は、所定の方向に延びる1つ又は複数の溝状部を有する車両用骨格部材(50)であって、前記所定の方向に延びる帯状の1つ又は複数の第1板状部(Pa)と、前記第1板状部の幅方向における端部に沿って前記所定の方向にそれぞれ延びる帯状の第2板状部(B1,B2,B3)であって、前記第1板状部よりも板厚の小さな複数の第2板状部とを有し、前記溝状部の底壁部(511)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部(512,513)が前記第1板状部の一部及び前記第2板状部から構成された車両用骨格部材としたことにある。
【0013】
板状部材は、閉じた空間を有していないので、上記特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームのような筒状の部材を製造する場合よりも、材料を金型から押し出し易い。そのため、従来よりも高強度の材料を用いることができる。例えば、従来の車両用骨格部材においては、引張強度が400MPa程度のアルミニウム合金材を採用している。これに対し、本発明に係る車両用骨格部材においては、引張強度が500MPa程度のアルミニウム合金材を採用することができる。
【0014】
また、本発明に係る車両用骨格部材においては、溝状部の底壁部の少なくとも一部が前記第1板状部から構成され、且つ前記溝状部の側壁部が前記第2板状部から構成される。つまり、曲げ剛性に与える影響が大きい溝状部の底壁部の少なくとも一部を、曲げ剛性に与える影響が小さい溝状部の側壁部よりも厚くした。これにより、曲げ剛性を高く保つとともに、車両用骨格部材を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る車両用ドアインパクトビームが適用された車両の概略図である。
図2図1のドアの車両高さ方向に垂直な断面を示す断面図である。
図3図1の車両用ドアインパクトビームの斜視図である。
図4図1のドアの内部を拡大した拡大図である。
図5図4のA−A断面図である。
図6図4のB−B断面図である。
図7】第1実施形態の板状部材の斜視図である。
図8】接続壁部と側壁部との境界部の拡大図である。
図9】車両用ドアインパクトビームの他の例に係る斜視図である。
図10図8の車両用ドアインパクトビームの中間部のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図11図8の車両用ドアインパクトビームの前端部(後端部)のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図12図7の板状部材をプレス加工する際に用いる金型の概略図である。
図13図7の板状部材をプレス加工する工程を示す概略図である。
図14】車両用ドアインパクトビームの前端部(後端部)の他の例を示す断面図である。
図15】車両用ドアインパクトビームの中間部のビーム長手方向に垂直な断面の他の例を示す断面図である。
図16図7又は図11の板状部材をプレス加工する工程を示す概略図である。
図17】第1実施形態の変形例に係る車両用ドアインパクトビームの中間部のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図18図17の車両用ドアインパクトビームの前端部(後端部)のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図19】第1実施形態の他の変形例に係る車両用ドアインパクトビームの中間部のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図20図19の車両用ドアインパクトビームの前端部(後端部)のビーム長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図21】第2実施形態に係るセンターピラーの概略図である。
図22A図21のA−A断面図である。
図22B図21のB−B断面図である。
図22C図21のC−C断面図である。
図23】第2実施形態の板状部材の斜視図である。
図24】第2実施形態の板状部材の平面図である。
図25】第2実施形態の変形例に係るセンターピラーの斜視図である。
図26】第2実施形態の他の変形例に係るセンターピラーの断面図であって、車両高さ方向における中間部の長手方向に垂直な断面を示す断面図である。
図27】本発明を適用可能な車両用骨格部材の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る車両用ドアインパクトビーム10について説明する。まず、車両用ドアインパクトビーム10が取り付けられる車両Vの概略について説明する。図1に示すように、車両Vのフレーム(車室の骨格を構成する部品)には、ドアDRが開閉可能に取り付けられている。このドアDRの内部に本実施形態に係る車両用ドアインパクトビーム10が取り付けられる。ドアDRは、公知のようにアウターパネルOPとインナーパネルIPとを備えている。車両用ドアインパクトビーム10はアウターパネルOPとインナーパネルIPとの間に配置される。ドアDRの内部には、車両用ドアインパクトビーム10の他に、ドアガラス、ドアガラスを昇降させる装置などが配置される。よって、図2に示すように、車両用ドアインパクトビーム10を配置する空間が小さい。とくに、車両用ドアインパクトビーム10の前端部及び後端部が配置される空間(車幅方向の寸法)が小さい。なお、本実施形態では、本発明が、車両Vの左側のドアDRに取り付けられる車両用ドアインパクトビーム10に適用された例について説明するが、本発明は、他のドアに取り付けられる車両用ドアインパクトビームにも適用可能である。
【0020】
図3及び図4に示すように、車両用ドアインパクトビーム10は、長尺状に形成されていて、インナーパネルIPの後端部から前端部に亘って延設される。車両用ドアインパクトビーム10は、その前端側が後端側よりも上方に位置するように傾斜した状態で、インナーパネルIPに締結される。
【0021】
つぎに、車両用ドアインパクトビーム10の形状について、図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6は、車両用ドアインパクトビーム10の長手方向における中間部及び端部(前端部及び後端部)の断面であって、車両用ドアインパクトビーム10の長手方向に垂直な断面を示している。図5及び図6の紙面における左右方向が車幅方向に相当する。なお、図5及び図6に示すように、車両用ドアインパクトビーム10の車内側を右と定義する。また、車両用ドアインパクトビーム10の車外側を左と定義する。また、図5及び図6の紙面に垂直な方向をビーム長手方向と定義する。このビーム長手方向は車幅方向に直交している。また、図5及び図6の紙面における上下方向、すなわち、ビーム長手方向及び車幅方向に直交する方向を、ビーム幅方向と定義する。なお、車両用ドアインパクトビーム10のビーム幅方向における一端側を下と定義する。また、車両用ドアインパクトビーム10のビーム幅方向における他端側を上と定義する。
【0022】
図5に示すように、車両用ドアインパクトビーム10のビーム長手方向における中間部M1の断面は、開放断面である。つまり内部に閉じた空間が形成されないように構成されている。中間部M1は、ビーム長手方向に延びるとともに右方へ開放された溝状の第1溝部11及び第2溝部12からなる溝状部14を有する。つまり、第1溝部11及び第2溝部12の溝深さ方向が車幅方向に一致している。
【0023】
第1溝部11は、底壁部111及び側壁部112,113を有する。底壁部111は、ビーム長手方向に延びる板状に形成されている。底壁部111の板厚方向は、車幅方向に一致している。また、底壁部111の幅方向(底壁部111の長手方向及び板厚方向に垂直な方向)がビーム幅方向に一致している。側壁部112,113は、底壁部111の幅方向における上端部及び下端部から右方(車室側)へそれぞれ延びるとともにビーム長手方向にそれぞれ延びる板状に形成されている。側壁部112,113の板厚方向は、ビーム幅方向に対して少し傾斜している。すなわち、側壁部112の右端部が左端部よりも少し上方に位置している。また、側壁部113の右端部が左端部よりも少し下方に位置している。側壁部112はフランジ部112Fを有する。フランジ部112Fは、側壁部112の右端部に位置し、上方(溝(底壁部111及び側壁部112,113によって囲まれた空間)の外側)へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。
【0024】
第2溝部12は、第1溝部11の下方にて、第1溝部11に対して平行に延設されている。第1溝部11及び第2溝部12の車幅方向における位置は同一である。第2溝部12は、第1溝部11と同様の底壁部121及び側壁部122,123を有する。また、側壁部122はフランジ部122Fを有する。フランジ部122Fは、側壁部122の右端部に位置し、下方(溝(底壁部121及び側壁部122,123によって囲まれた空間)の外側)へ突出するとともにビーム長手方向に延設されている。
【0025】
側壁部113及び側壁部123における右端部同士が、接続壁部13によって接続されている。接続壁部13は、ビーム長手方向に延びる板状に形成されている。接続壁部13の板厚方向は、車幅方向に一致している。側壁部113、側壁部123及び接続壁部13によって、車両用ドアインパクトビーム10の長手方向に延びるとともに左方へ開放された溝部Gが形成されている。
【0026】
なお、中間部M1の長手方向に垂直な断面は、その切断位置に拘わらず一定であり、図5に示す通りである。中間部M1のビーム長手方向の寸法は、例えば、600mmである。底壁部111,121及び接続壁部13の板厚は、側壁部112,113,122,123よりも大きい。底壁部111,121及び接続壁部13の板厚は、例えば、4.5mmである。また、側壁部112,113,122,123の板厚は、例えば、2.5mmである。
【0027】
図6に示すように、車両用ドアインパクトビーム10のビーム長手方向における前端部F1及び後端部R1は、板状に形成されている。前端部F1及び後端部R1の構成は同様なので、以下、前端部F1の構成について説明し、後端部R1の説明は省略する。
【0028】
前端部F1は、ビーム長手方向に延びる板状部111a,112a,113a,121a,122a,123a,13aを備える。これらの板状部の板厚方向は車幅方向に一致している。板状部111aのビーム幅方向における上端に板状部112aの下端が接続され、板状部111aの下端に板状部113aの上端が接続されている。また、板状部121aのビーム幅方向における上端に板状部123aの下端が接続され、板状部121aの下端に板状部122aの上端が接続されている。また、板状部13aの上端に板状部113aの下端が接続され、板状部13aの下端に板状部123aの上端が接続されている。各板状部の右面が同一平面内に位置している。板状部13aには、車幅方向に貫通する図示しない貫通孔が形成されている。
【0029】
なお、前端部F1の長手方向に垂直な断面は、その切断位置に拘わらず一定であり、図6に示す通りである。なお、前端部F1のビーム長手方向の寸法は、例えば100mmである。板状部111a,121a,13aの板厚は、板状部112a,113a,122a,123aよりも大きい。板状部111a,121a,13aの板厚は、例えば、4.5mmである。また、板状部112a,113a,122a,123aの板厚は、例えば、2.5mmである。
【0030】
図3に示すように、車両用ドアインパクトビーム10は、中間部M1と前端部F1とが接続部CF1を介して接続され、中間部M1と後端部R1とが接続部CR1を介して接続されている。接続部CR1の構成は、接続部CF1の構成と同様であるので、以下、接続部CF1の構成について説明し、接続部CR1の説明は省略する。
【0031】
接続部CF1の前端から後端へ向かうに従って、そのビーム長手方向に垂直な断面形状が徐々に変化している。接続部CF1の前端の断面形状は、前端部F1の断面形状と一致しており、接続部CF1の後端の断面形状は、中間部M1の断面形状と一致している。つまり、板状部111aは、底壁部111に接続されている。板状部112aは、側壁部112に接続されている。板状部113aは、側壁部113に接続されている。また、板状部121aは、底壁部121に接続されている。板状部122aは、側壁部122に接続されている。板状部123aは、側壁部123に接続されている。そして、板状部13aは、接続壁部13に接続されている。
【0032】
つぎに、車両用ドアインパクトビーム10の製造方法について説明する。まず、図7に示すように、金属材料(例えば、アルミニウム合金材)を押出加工して、帯状の板状部材BM1を製造する(押出加工工程)。板状部材BM1の長手方向に垂直な断面の形状は、図6に示す通りである。すなわち、板状部材BM1の長手方向に垂直な断面の形状は、前端部F1及び後端部R1の長手方向に垂直な断面の形状に一致している。具体的には、板状部材BM1は、板状部111a,112a,113a,121a,122a,123a,13aを備える。板状部111a,121aが、本発明の第1板状部に相当し、板状部112a,113a,122a,123aが本発明の第2板状部に相当する。つまり、板状部112a,113a,122a,123aの板厚は、板状部111a,121aよりも小さい。また、板状部111a,121a,112a,113a,122a,123aが帯状に形成されている。そして、板状部111aの幅方向における端部に沿って、板状部112a,113aが延設されている。また、板状部121aの幅方向における端部に沿って、板状部122a,123aが延設されている。
【0033】
つぎに、ダイクエンチ工法(熱間プレス加工法)を用いて、加熱された板状部材BM1の長手方向における中間部を、その長手方向に垂直な断面の形状が図5に示す形状を呈するように成形すると同時に、急冷して焼入れする(プレス加工工程)。つまり、板状部材BM1の板状部111a,121aがドアDRのアウターパネルOPに対面し、かつ板状部112a,113a,122a,123aが板状部111a,121aの幅方向における端部からインナーパネルIPに向かって延びる状態を呈するように、板状部材BM1をプレス加工する。そして、前記貫通孔を板状部13aに形成する。このようにして、車両用ドアインパクトビーム10が形成される。
【0034】
インナーパネルIPの右側(車室内側)からボルトが前記貫通孔に挿入されて、前記ボルトの先端がナットに締結されることにより、車両用ドアインパクトビーム10がインナーパネルIPの左側面に固定される。車両用ドアインパクトビーム10がインナーパネルIPに固定された状態では、ビーム長手方向における両端部がインナーパネルIPに当接しているが、ビーム長手方向における中間部とインナーパネルIPとは離間している。
【0035】
上記のように、車両用ドアインパクトビーム10の前端部F1及び後端部R1が板状なので、ドアDRの端部の内部空間が狭い場合であっても、ブラケットを用いることなく、車両用ドアインパクトビーム10を、ドアDRに直接取り付けることができる。
【0036】
また、板状部材BM1は、閉じた空間を有していないので、従来の筒状の車両用ドアインパクトビームよりも押出速度を早くすることができる。つまり、上記特許文献1及び2の車両用ドアインパクトビームのような筒状の部材を製造する場合よりも、材料を金型から押し出し易い。そのため、従来よりも高強度の材料を用いることができる。従来の車両用ドアインパクトビームにおいては、引張強度が400MPa程度のアルミニウム合金材を採用している。これに対し、車両用ドアインパクトビーム10においては、引張強度が500MPa程度のアルミニウム合金材を採用することができる。
【0037】
また、車両用ドアインパクトビーム10においては、曲げ剛性に与える影響が大きい第1溝部11及び第2溝部12の底壁部111,121、並びに接続壁部13を、曲げ剛性に与える影響が小さい側壁部112,113,122,123よりも厚くした。これにより、曲げ剛性を高く保つとともに、車両用ドアインパクトビーム10を軽量化できる。
【0038】
なお、図7に示した板状部材BM1をプレス加工して形成された車両用ドアインパクトビーム10においては、図8に示すように、接続壁部13と側壁部113との境界部、又は接続壁部13と側壁部123との境界部が大きく曲げられた状態になる。この部分の強度が若干低い可能性がある。以下、この問題に対処した車両用ドアインパクトビーム20について説明する。
【0039】
車両用ドアインパクトビーム20は、車両用ドアインパクトビーム10と同様に、その長手方向における中間部M2が溝状に形成され、その前端部F2及び後端部R2は、平板状に形成されている。車両用ドアインパクトビーム20の中間部M2の形状は、図10に示すように、車両用ドアインパクトビーム10の中間部M1の形状と略同様である。すなわち、車両用ドアインパクトビーム20は、第1溝部21及び第2溝部22からなる溝状部24を有する。そして、第1溝部21及び第2溝部22が接続壁部23によって接続されている。ただし、車両用ドアインパクトビーム10とは異なり、底壁部211、底壁部221及び接続壁部23の上端及び下端に面取り部Cがそれぞれ形成されている。また、フランジ部212F及びフランジ部222Fの板厚が、底壁部211、底壁部221及び接続壁部23の板厚と同一である。また、フランジ部212Fの下端、フランジ部222Fの上端に面取り部Cが形成されている。また、前端部F2及び後端部R2の形状は、図11に示す通りである。具体的には、前端部F2及び後端部R2は、板状部211a,212a,213a,212Fa,221a,222a,223a,222Fa,23aを備える。板状部211a,221aが本発明の第1板状部に相当し、板状部212a,213a,222a,223aが本発明の第2板状部に相当する。つまり、板状部212a,213a,222a,223aの板厚は、板状部211a,221aよりも小さい。また、各板状部が帯状に形成されている。そして、板状部211aの幅方向における端部に沿って、板状部212a,213aが延設されている。また、板状部221aの幅方向における端部に沿って、板状部222a,223aが延設されている。また、板状部212Fa及び板状部222Faは、板状部材BM2の幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。板状部212Fa及び板状部222Faの板厚は、板状部211a,221aの板厚と同一である。
【0040】
板状部212a,213aの一方の側面(右面)であって、板状部材BM2の一方の側面(右面)を構成する側面が、板状部211aの一方の側面であって、板状部材BM2の一方の側面(右面)を構成する側面にそれぞれ連続している。すなわち、板状部211a,212a,213aの右面が同一平面内に位置している。言い換えれば、板状部材BM2の右面であって、板状部211a,212a,213aの右面から構成される部分には、段差が形成されていない。
【0041】
板状部222a,223aの一方の側面(右面)であって、板状部材BM2の一方の側面(右面)を構成する側面が、板状部221aの一方の側面であって、板状部材BM2の一方の側面(右面)を構成する側面にそれぞれ連続している。すなわち、板状部221a,222a,223aの右面が同一平面内に位置している。言い換えれば、板状部材BM2の右面であって、板状部221a,222a,223aの右面から構成される部分には、段差が形成されていない。
【0042】
上記の板状部211a,212a,213aの右面の構成及び板状部221a,222a,223aの右面の構成と同様に、板状部23a,213a,223aの左面が同一平面内に位置している。また、板状部212a,212Faの左面が同一平面内に位置している。また、板状部222a,222Faの左面が同一平面内に位置している。
【0043】
また、板状部211a,221aの左上の角部及び左下の角部には面取り部Cが形成されている。また、板状部23aの右上の角部及び右下の角部には面取り部Cが形成されている。さらに、板状部212Faの右下の角部及び板状部222Faの右上の角部には、面取り部Cが形成されている。
【0044】
つぎに、車両用ドアインパクトビーム20の製造方法について説明する。まず、金属材料(例えば、アルミニウム合金材)を押出加工して、帯状の板状部材BM2を製造する(押出加工工程)。板状部材BM2の長手方向に垂直な断面の形状は、図11に示す通りである。
【0045】
つぎに、ダイクエンチ工法(熱間プレス加工法)を用いて、加熱された板状部材BM2の長手方向における中間部を、その長手方向に垂直な断面の形状が図10に示す形状を呈するように成形すると同時に、急冷して焼入れする(プレス加工工程)。つまり、板状部材BM2の板状部211a,221aがドアDRのアウターパネルOPに対面し、かつ板状部212a,213a,222a,223aが板状部211a,221aの幅方向における端部からインナーパネルIPに向かって延び、板状部212Fa,222FaがドアDRのインナーパネルIPに対面した状態を呈するように、板状部材BM2をプレス加工する(図13参照)。つまり、板状部211aの右面と板状部212a,213aの右面とが第1溝部21の内側面を構成するように、板状部材BM2がプレス加工される。また、板状部221aの右面と板状部222a,223aの右面とが第2溝部22の内側面を構成するように、板状部材BM2がプレス加工される。そして、前記貫通孔を板状部23aに形成する。このようにして、車両用ドアインパクトビーム20が形成される。
【0046】
なお、図12に示すように、上記のプレス加工工程においては、上型と下型とから構成された金型が用いられる。この金型を閉じた状態において、その上型と下型との間の隙間t(つまり、車両用ドアインパクトビーム20の中間部M2を成形する部分)が板状部211a,221aなどの板厚と同一である。すなわち、底壁部と側壁部の板厚が同一である車両用ドアインパクトビームを成形する際に用いる金型と同様の金型を用いている。したがって、図13に示すように、車両用ドアインパクトビーム20の中間部M2を成形する際、金型を閉じた状態において、側壁部212,213,222,223は、金型に接触していない。
【0047】
上記のように、板状部211a,212a,213aの右面が同一平面内に位置しているので、底壁部211と側壁部212,213との境界において大きく曲げられた部分が存在しない。また、板状部221a,222a,223aの右面が同一平面内に位置しているので、底壁部221と側壁部222,223との境界において、大きく曲げられた部分が存在しない。また、車両用ドアインパクトビーム20の他の部分(接続壁部23と側壁部213との境界、接続壁部23と側壁部223との境界、側壁部212とフランジ部212Fとの境界、及び側壁部222とフランジ部222Fとの境界)においても、大きく曲げられた部分が存在しない。よって、車両用ドアインパクトビーム20の強度を、車両用ドアインパクトビーム10よりも高めることができる。
【0048】
また、図13に示すように、アンダーカットとなる部分が存在しない。したがって、スライド構造などの複雑な構造の金型は不要である。さらに、上記のように、底壁部と側壁部の板厚が同一である車両用ドアインパクトビームを成形する際に用いる金型を流用可能である。
【0049】
さらに、本発明の車両用ドアインパクトビームとしての実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0050】
例えば、板状部材BM2の断面形状は、図11の形状に限られない。例えば、図14に示すように、板状部211a,221a,212Fa,222Faの右面が同一平面内に位置し、板状部211a,221a,212Fa,222Faの左面が同一平面内に位置する板状部材BM2Aとしてもよい。この場合、板状部212a,213a,222a,223aは、板状部材BM2Aの幅方向に対して傾斜している。板状部212aの右面が板状部211aの右面に連続しており、板状部212aの左面が板状部212Faの左面に連続している。板状部213aの右面が板状部211aの右面に連続しており、板状部213aの左面が板状部23aの左面に連続している。板状部223aの左面が板状部23aの左面に連続しており、板状部223aの右面が板状部221aの右面に連続している。板状部222aの右面が板状部221aの右面に連続しており、板状部222aの左面が板状部222Faの左面に連続している。
【0051】
また、中間部M2の断面形状は、図10の形状に限られない。例えば、図15に示すような中間部M2Aとしてもよい。中間部M2Aは、図16に示すように、板状部材BM2Aにおける板状部211a,221a,23a,212Fa,222Faの端部を折り曲げることにより形成される。この場合も、底壁部と側壁部の板厚が同一である車両用ドアインパクトビームを成形する際に用いる金型を流用することができる。
【0052】
また、例えば、図17に示すような中間部M3を有し、且つ図18に示すような前端部F3及び後端部R3を有する車両用ドアインパクトビームとしてもよい。すなわち、中間部M3が、インナーパネルIP側へ向かって開放された1つの溝部から構成されていてもよい。具体的には、中間部M3は、底壁部341、側壁部342,343、及びフランジ部342F,343Fを有する。また、前端部F3(後端部R3)は、板状部341a,342a,343aを有する。この場合、図18に示す断面形状を有する板状部材BM3を、押出成形法を用いて製造しておき、前記板状部材BM3の長手方向における中間部を、図17に示すような形状を呈するようにプレス加工すればよい。なお、板状部341aが本発明の第1板状部に相当し、板状部342a,343aが本発明の第2板状部に相当する。
【0053】
また、図19に示すような中間部M4を有し、且つ図20に示すような前端部F4及び後端部R4を有する車両用ドアインパクトビームとしてもよい。具体的には、中間部M4は、底壁部451、側壁部452,453、及びフランジ部452F,453Fを有する。また、前端部F4(後端部R4)は、板状部451a,452a,453aを有する。この場合、図20に示す断面形状を有する板状部材BM4を、押出成形法を用いて製造しておき、前記板状部材BM4の長手方向における中間部を、図19に示すような形状を呈するようにプレス加工すればよい。なお、板状部451aが本発明の第1板状部に相当し、板状部452a,453aが本発明の第2板状部に相当する。
【0054】
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態に係るセンターピラー50について説明する。センターピラー50は、車両の側面部にて、車両高さ方向に延設されている。センターピラー50は、車両の側面部に形成された開口部(乗降口)の車両前後方向における中央部に配置されている。本実施形態では、車両の左側面部に設けられるセンターピラー50について説明するが、本発明は、車両の右側面部に設けられるセンターピラーにも適用可能である。
【0055】
センターピラー50は、図21及び図22A図22B図22Cに示すように、車両高さ方向に延び、且つ右方(車室内側)へ開放された溝状部51を有する。すなわち、溝状部51は、底壁部511、側壁部512及び側壁部513を有する。底壁部511は、車幅方向に略垂直な板状に形成されている。厳密には、底壁部511は、その上端部が下端部よりも少し右方に位置するように、緩やかに湾曲している。また、底壁部511の上端部から下方へ向かうに従って、その車両前後方向の寸法が徐々に大きくなっている。ただし、底壁部511の下端部(全長の1/4程度に亘る部分)においては、その車両前後方向の寸法が急激(指数関数的)に大きくなっている。
【0056】
側壁部512は、底壁部511の前端部から右方へ延設されている。また、側壁部513は、底壁部511の後端部から右方へ延設されている。側壁部512及び側壁部513には、フランジ部512F及びフランジ部513Fがそれぞれ形成されている。フランジ部512Fは、側壁部512の右端部から前方へ延設されている。また、フランジ部513Fは、側壁部513の右端部から後方へ延設されている。
【0057】
溝状部51の上端部には、車両のルーフの骨格を構成する部材(ルーフサイドレール)に接続される上側接続部52が形成されている。上側接続部52は、車両前後方向に延び、且つ底壁部511の上端部に略平行な板状に形成されている。また、溝状部51の下端部は、車両の乗降口の下縁部を構成する部材(サイドシル)に接続される下側接続部53が形成されている。下側接続部53は、車両前後方向に延び、且つ底壁部511の下端部に略平行な板状に形成されている。
【0058】
図22A図22B図22Cに示すように、溝状部51の内側面には、溝状部51の長手方向に平行に延びる突状部P,Pが形成されている。図22Aに示すように、溝状部51の上端部付近においては、突状部P,Pは、側壁部512及び側壁部513の内側面にそれぞれ位置している。また、図22Bに示すように、溝状部51の長手方向における中央部付近においては、突状部P,Pは、底壁部511と側壁部512との境界部、及び底壁部511と側壁部513との境界部にそれぞれ位置している。また、図22Cに示すように、溝状部51の下端部付近においては、突状部P,Pは、底壁部511の内側面にそれぞれ位置している。
【0059】
つぎに、センターピラー50の製造方法について説明する。センターピラー50も車両用ドアインパクトビーム10,20と同様に、押出成形法を用いて製造した板状部材をプレス加工することにより形成される。具体的には、まず、図23に示すように、金属材料(例えば、アルミニウム合金材)を押出加工して、帯状の板状部材BPを製造する(押出加工工程)。板状部材BPの押出方向は、センターピラー50の長手方向(車両高さ方向)に相当する。板状部材BPは、板状部B1,B2,B3及び1対の板状部Pa,Paを備える。板状部Pa,Paが、本発明の第1板状部に相当し、板状部B1,B2,B3が本発明の第2板状部に相当する。つまり、板状部B1,B2,B3の板厚は、板状部Pa,Paよりも小さい。また、板状部B1,B2,B3及び1対の板状部Pa,Paは帯状に形成されている。板状部B1,B2,B3は、板状部材BPの幅方向(押出方向及び板厚方向に垂直な方向)に互いに離間している。板状部B1と板状部B2との間に一方の板状部Paが形成され、板状部B1と板状部B3との間に他方の板状部Paが形成されている。板状部Pa,Paの幅方向の寸法は、板状部B1,B2,B3の幅方向の寸法に比べて小さい。
【0060】
つぎに、板状部材BPの板状部B2及び板状部B3の一部(センターピラー50の長手方向における中間部から上端部に相当する部分(図24において斜線を付した部分))をトリミングする(トリミング工程)。
【0061】
つぎに、ダイクエンチ工法(熱間プレス加工法)を用いて、加熱された板状部材BPを、その長手方向に垂直な断面の形状が図22A図22B図22Cに示す形状を呈するように成形すると同時に、急冷して焼入れする(プレス加工工程)。具体的には、次のようにして溝状部51が形成される。板状部材BPの長手方向における中間部においては、板状部Pa,Paの幅方向における中間部をその長手方向に沿って折り曲げる。板状部材BPの長手方向における一端部(上端部)においては、板状部B1における板状部Pa,Paから見て少し内側に位置する部分を折り曲げる。板状部材BPの長手方向における他端部(下端部)においては、板状部B2,B3の幅方向における端部であって板状部Pa,Paから見て外側に位置する部分を折り曲げる。これにより、溝状部51が形成される。すなわち、上記の折り曲げた部分が、溝状部51の稜線に相当する。また、板状部Pa,Paは、突状部P,Pに相当する。
【0062】
上記のように構成したセンターピラー50によっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。とくに、センターピラー50においては、曲げ剛性に与える影響が大きい、長手方向の中間部における底壁部511と側壁部512との境界部、及び底壁部511及び側壁部513との境界部の板厚を、曲げ剛性に与える影響が小さい他の部分よりも厚くした。これにより、曲げ剛性を高く保つとともに、センターピラー50を軽量化できる。また、センターピラー50は一体的に形成されている。したがって、複数の部品を組み合わせて剛性を高めた従来のセンターピラーに比べて部品点数を削減できるだけでなく、組み立て工数を削減できる。
【0063】
さらに、本発明のセンターピラーとしての実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0064】
センターピラー50の上端部及び下端部においては、突状部P,Pが溝状部51の稜線からずれている。したがって、これらの部分においては、突状部P,Pは、センターピラー50の剛性を向上させることにあまり寄与していない。そこで、プレス加工工程において、センターピラー50の上端部及び下端部における板状部Pa,Paを押し潰してもよい。
【0065】
また、図25に示すように、センターピラー50の長手方向における中間部のみを板状部材BPから構成し、上端部及び下端部を板厚が一定である板状部材から構成してもよい。この場合、板状部材BPと板厚が一定である板状部材を接合した部材(テーラードブランク材)をプレス加工するとよい。
【0066】
また、図26に示すように、底壁部511及び溝状部51の稜線に相当する部分の板厚を全体的に大きくしてもよい。
【0067】
また、プレス加工工程として、ダイクエンチ工法(熱間プレス加工法)を用いたが、冷間プレス加工法、温間プレス加工法などを用いてもよい。
【0068】
さらに、本発明は、上記実施形態とは異なる車両用骨格部材にも適用可能である。例えば、図27に示すように、フロントサイドメンバー、ルーフリインフォースメントなどに適用可能である。この場合、部材に作用する外力の方向に垂直な面、又は折り曲げ部の板厚を他の部分よりも大きくすればよい。
【符号の説明】
【0069】
10,20・・・車両用ドアインパクトビーム、50・・・センターピラー、11,21・・・第1溝部、111,121,211,221,311,411,511・・・底壁部、111a,112a,113a,121a,122a,123a,211a,212a,213a,221a,222a,223a,311a,312a,313a,411a,412a,413a,B1,B2,B3,Pa・・・板状部、112,113,122,123,212,213,222,223,312,313,412,413,512,513・・・側壁部、12,22・・・第2溝部、13,23・・・接続壁部、14,24,51・・・溝状部、BM1,BM2,BM3,BM4,BP・・・板状部材、DR・・・ドア、F1・・・前端部、G・・・溝部、IP・・・インナーパネル、M1,M2,M2A,M3,M4・・・中間部、OP・・・アウターパネル、P・・・突状部、R1・・・後端部、V・・・車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25
図26
図27