【実施例】
【0042】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0043】
試験区分1(ポリオレフィン系樹脂用添加剤の調製)
・ポリオレフィン系樹脂用添加剤(実施例1)の調製
オクタデシルアルコール(A−1)2.0kgとモノオキシエチレンオクタデシルエーテル(B−1)6.0kgとcis−13−ドコセン酸アミド(C−1)2.0kgを80℃にて加温溶解させて均一に混合し、ポリオレフィン系樹脂用添加剤を得た。
【0044】
・ポリオレフィン系樹脂用添加剤(実施例2〜19及び比較例1〜8)の調製
実施例1のポリオレフィン系樹脂用添加剤の調製と同様に、実施例2〜19及び比較例1〜8の添加剤を調製した。表1において、各例で使用した脂肪族アルコール、オキシエチレンアルキルエーテル、及び脂肪酸誘導体の種類、添加剤中における各成分の含有比率(%)を示す。
【0045】
【表1】
表1において、
A−1:オクタデシルアルコール、
A−2:ドコシルアルコール、
A−3:テトラコシルアルコール、
A−4:ヘキサデシルアルコール、
A−5:トリアコンチルアルコール、
ra−1:オクチルアルコール、
ra−2:テトラコンチルアルコール、
B−1:モノオキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
B−2:モノオキシエチレンドコシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
B−3:モノオキシエチレンテトラコシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
B−4:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.35)、
B−5:オキシエチレンドコシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.35)、
B−6:モノオキシエチレンドデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
B−7:モノオキシエチレンヘキサコシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
B−8:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.60)、
B−9:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.95)、
rb−1:モノオキシエチレンオクチルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
rb−2:モノオキシエチレントリアコンチルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数1.0)、
rb−3:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数3.20)、
rb−4:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数2.40)、
rb−5:オキシエチレンオクタデシルエーテル(エチレンオキサイドの平均付加モル数3.68)、
C−1:cis−13−ドコセン酸アミド、
C−2:オクタデシルオクタデシレート、
C−3:ソルビタンモノオクタデシレート、
C−4:グリセリンモノオクタデシレート、
rc−1:ドデシルドデシレート、
rc−2:ドトリアコンタンアミド、
rc−3:ポリオキシエチレン(10モル)オクタデカンアミド、
を示す。
【0046】
試験区分2(ポリオレフィン系樹脂組成物の調製とポリオレフィン系合成繊維不織布の調製、及び不織布の製造性の評価)
・ポリオレフィン系樹脂組成物(実施例1〜18及び比較例1〜8)の調製
試験区分1で調製した各例のポリオレフィン系樹脂用添加剤10.0kgをポリオレフィン系樹脂としてのポリプロピレン樹脂(MFR=30)10.0kgと混合し、押し出し成形機で200℃に加温溶融させることでポリオレフィン系樹脂用添加剤50質量%含有したポリオレフィン系樹脂組成物であるマスターバッチを得た。
【0047】
・ポリオレフィン系樹脂組成物(実施例19)の調製
試験区分1で調製したポリオレフィン系樹脂用添加剤10.0kgをポリプロピレン樹脂(MFR=30)10.0kgと混合することでポリオレフィン系樹脂用添加剤を50質量%含有したポリオレフィン系樹脂組成物である混合物を得た。
【0048】
・ポリオレフィン系合成繊維不織布の調製
上記のように調製した各例のポリオレフィン系樹脂用添加剤を50質量%含有するポリオレフィン系樹脂組成物を4.0質量%(ポリオレフィン系樹脂用添加剤が2.0質量%)となるようにポリプロピレン樹脂(MFR=30)と混合させた。さらにこの混合物を240℃にて溶融紡糸させ、熱エンボスローラー加工することで20gsmのポリプロピレンスパンボンド不織布(合成繊維不織布)を調製した。合成繊維不織布の製造性評価として、下記に示す発煙の評価及び均一性の評価を行った。合成繊維不織布自体の評価として、下記に示す製造直後親水性、スポット吸水性、及び耐久親水性について評価を行った。
【0049】
なお、表1において、添加量(%)は、合成繊維不織布中におけるポリオレフィン系樹脂用添加剤の配合量(%)を示す。また、オキシエチレンアルキルエーテルのエチレンオキサイドの付加モル数は、Agilent製7890B GC SystemにAgilent製 DB-1 122-1032カラムを用いることで算出した。
【0050】
・発煙の評価
前記のスパンボンド不織布を製造する際に発煙の有無を下記の評価基準で判断した。
・発煙の評価基準
◎:発煙が若干見られるものの、ごく微量で少ない。
○:発煙が見られるものの、少ない。
×:発煙が多く、紡糸が困難。
【0051】
・均一性の評価
前記のスパンボンド不織布を製造する際に均一にポリオレフィン系樹脂用添加剤が添加されていることを下記の評価基準で判断した。
【0052】
・均一性の評価基準
◎:紡糸時に繊維切れは見られず、また繊維の太さも均一で添加剤が均一に添加されている。
○:紡糸時に繊維切れは見られないが、添加剤が均一に混ざっていないため、繊維の太さにムラが見られる。
×:添加剤が均一に添加されていないため、頻繁に繊維切れが発生してしまう。
【0053】
試験区分3(ポリオレフィン系合成繊維不織布の評価)
・ポリオレフィン系合成繊維不織布の評価
前記のスパンボンド不織布を用いて不織布評価を行った。不織布評価項目として、製造直後親水性、スポット吸水性、及び耐久親水性評価を行った。
【0054】
・製造直後親水性の評価
前記のスパンボンド不織布を調製直後に水平板上に置き、ビューレットを用いて10mmの高さから0.4mlの0.9%生理食塩水を滴下させ、完全に吸収されてしまうまでに要する時間を測定し、下記の評価基準で判断した。
【0055】
・製造直後親水性の評価基準
◎:透水するまでに要する時間が1秒未満。
○:透水するまでに要する時間が1秒以上且つ3秒未満。
×:透水するまでに要する時間が3秒以上。
【0056】
・スポット吸水性の評価
前記のスパンボンド不織布を20℃で60%RHの恒温室内で24時間調湿させた。その後、水平板上に置き、青色に着色させた水滴0.05mlを10mmの高さからシリンジを用いて滴下させ吸水させた。その後、滴下跡について繊維方向と繊維垂直方向の長さを測定し、下記の評価基準で判断した。
【0057】
・スポット吸水性の評価基準
◎:繊維方向と繊維垂直方向の長さがともに10mm未満。
○:繊維方向と繊維垂直方向の長さがともに10mm以上且つ20mm未満。
×:繊維方向若しくは繊維垂直方向のどちらかの長さが20mm以上。
【0058】
・耐久親水性の評価
前記の作製したスパンボンド不織布を10cm×10cmの小片に裁断し、20℃で60%RHの恒温室内で24時間調湿させた。その後、濾紙5枚の上に調湿された不織布を置き、さらにその上の中央に両端が開放された内径1cmの円筒を垂直に立て、この円筒に0.9%生理食塩水5mlを注入し、不織布に完全に吸収されるまでの時間を測定した。さらにその後、不織布を取り出し40℃×90分間送風乾燥して、再度上記の透水性の評価を合計3回繰り返した。3回目の耐久親水性について、下記の評価基準で判断した。
【0059】
・耐久親水性の評価基準
◎:生理食塩水が吸収されるまでに要する時間が3秒未満。
○:生理食塩水が吸収されるまでに要する時間が3秒以上且つ5秒未満。
×:生理食塩水が吸収されるまでに要する時間が5秒以上。
【0060】
表1の結果からも明らかなように、本発明によれば、不織布製造時に発煙が少なく、均一に練り込むことが可能である。また、特に製造直後に親水性を発現させる。さらに、良好なスポット吸水性と耐久親水性を付与することができるという効果がある。