特許第6545903号(P6545903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545903
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】3次元形状の製作方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/141 20170101AFI20190705BHJP
   B29C 64/307 20170101ALI20190705BHJP
   B29C 64/194 20170101ALI20190705BHJP
   B33Y 70/00 20150101ALI20190705BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20190705BHJP
【FI】
   B29C64/141
   B29C64/307
   B29C64/194
   B33Y70/00
   B33Y10/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-517112(P2018-517112)
(86)(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公表番号】特表2018-516794(P2018-516794A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】KR2016006283
(87)【国際公開番号】WO2016204475
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0083864
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517435238
【氏名又は名称】フューチャーキャスト カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FUTURECAST CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100181582
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 直斗
(72)【発明者】
【氏名】ユン,カン−イル
(72)【発明者】
【氏名】パク,タエ−ユン
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0141406(KR,A)
【文献】 特開2015−017294(JP,A)
【文献】 特開2001−171009(JP,A)
【文献】 特開2000−328106(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/155039(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 −64/40
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形型枠内部に予め定められた体積を有する単位ブロックを一層ずつ平面に配列されるように段階的に供給して積層し、各積層段階ごとに前記供給された単位ブロックのうち製作しようとする3次元形状を構成する単位ブロックのみを互いに部分的に接合させて単位ブロック結合体を形成する第1段階と、
前記成形型枠を除去して前記単位ブロック結合体に含まれない非接合単位ブロック除去する第2段階と、
前記単位ブロック結合体を後処理して前記3次元形状を成形する第3段階と、を含み、
前記第1段階で単位ブロックの接合は、互いに隣合う単位ブロックの接触領域のうち少なくとも1ヶ所を部分的に加熱溶融させるか接着剤を塗布してなされ、前記成形型枠の高さは単位ブロックが一層ずつ積層されるに伴って段階的に増加されることを特徴とする3次元形状の製作方法。
【請求項2】
前記単位ブロックは、球形体および多面体形状のうち少なくともいずれか一つの形状からなって、複数の体積別に備えられ、
前記第1段階では3次元形状の位置に応じて積層される単位ブロックの形状および体積のうち少なくともいずれか一つを変更することができることを特徴とする、請求項1に記載の3次元形状の製作方法。
【請求項3】
前記第1段階で単位ブロック結合体は、外形が前記3次元形状よりさらに大きく形成され、
前記第3段階の後処理工程は前記単位ブロック結合体を機械的に加工することを特徴とする、請求項1に記載の3次元形状の製作方法。
【請求項4】
前記第1段階で単位ブロック結合体は、外形が前記3次元形状よりさらに小さく形成され、
前記第3段階の後処理工程は前記単位ブロック結合体の表面に仕上げ材を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の3次元形状の製作方法。
【請求項5】
前記第3段階の後処理工程は、前記単位ブロック結合体に含まれた空隙を除去する空隙除去段階を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の3次元形状の製作方法。
【請求項6】
前記空隙除去段階は、空隙が形成された周囲の単位ブロックを加熱溶融させて前記空隙を埋めるか、接着性充填材または前記単位ブロック材質の溶融液を注入して前記空隙を埋めることを特徴とする、請求項に記載の3次元形状の製作方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状の製作方法に関する。さらに具体的には、予め定められた形状及び体積を有した単位ブロック体を部分的に接合及び積層して迅速に単位ブロック結合体を形成した後、上記単位ブロック結合体を後処理して3次元形状を成形することにより、3次元形状の成形に所要される時間及びエネルギーを顕著に低減させることができる3次元形状の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元立体形状を製作するために、従来は固まりの形態の金属または木材材質の原材料を直接削って成形するか、粉末状態または溶融状態の原材料を金型に注入して成形する方式を主に使用した。
【0003】
しかし、上記従来技術のうち、前者は作業者の熟練度によって作業時間と作業(すなわち、寸法)の精密度が大きく異なる問題点があり、後者の場合、別途の金型を製作しなければならないので作業物量が少ない場合に費用が大きく増加する問題点があった。
【0004】
このような従来技術の問題点を解決するために、最近は3Dプリンターを用いて3次元形状を製作する技術が開発されたが、上記3Dプリンターについての具体的な内容は下記特許文献1等に詳しく開示されている。
【0005】
このような3Dプリンターを用いた3次元形状製作技術は、3次元形状を単位平面に分け、平面ごとに液状原料をUV照射により硬化させるか、粉末またはフィラメント形態の原料をレーザーのような熱源で溶融させて積層方式によって形状を作っていく方式で構成される。
【0006】
しかし、このような3Dプリンターを用いた3次元形状製作技術は、3軸移動が可能な駆動部が3次元形状の電算モデリングデータに従って移動しながら自動で形状を作っていく長所はあるが、点単位や面単位の印刷を反復的に行って形状を作る方式であるので、3次元模型が自動車や船舶等に使用される大型構造物または住宅等の場合、形状製作に要する時間及びエネルギー消耗が過度となる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第1,451,794号公報(2014年10月16日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は、予め定められた形状及び体積を有した単位ブロック体を部分的に接合及び積層して迅速に単位ブロック結合体を形成した後、上記単位ブロック結合体を後処理して3次元形状を成形することにより、上記3次元形状の成形に要する時間及びエネルギーを顕著に低減させることができる3次元形状の製作方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明による3次元形状の製作方法は、成形型枠内部に予め定められた体積を有する単位ブロックを積層し、積層される単位ブロックのうち製作しようとする3次元形状を構成する単位ブロックらを互いに部分的に接合させて単位ブロック結合体を形成する第1段階と、上記成形型枠を除去して上記単位ブロック結合体に含まれない非接合単位ブロックらを除去する第2段階と、上記単位ブロック結合体を後処理して上記3次元形状を成形する第3段階と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、上記単位ブロックは、球形体および多面体形状のうち少なくともいずれか一つの形状からなって、複数の体積別に備えられ、上記第1段階では3次元形状の位置に応じて積層される単位ブロックの形状および体積のうち少なくともいずれか一つを変更することができることを特徴とする。
【0011】
また、上記第1段階で単位ブロックの接合は、互いに隣合う単位ブロックの接触領域のうち少なくとも1ヶ所を部分的に加熱溶融させるか接着剤を塗布してなされることを特徴とする。
【0012】
また、上記第1段階で単位ブロック結合体は、外形が上記3次元形状よりさらに大きく形成され、上記第3段階の後処理工程は上記単位ブロック結合体を機械的に加工することを特徴とする。
【0013】
また、上記第1段階で単位ブロック結合体は、外形が上記3次元形状よりさらに小さく形成され、上記第3段階の後処理工程は上記単位ブロック結合体の表面に仕上げ材を塗布することを特徴とする。
【0014】
また、上記第3段階の後処理工程は、上記単位ブロック結合体に含まれた空隙を除去する空隙除去段階を含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記空隙除去段階は、空隙が形成された周囲の単位ブロックを加熱溶融させて上記空隙を埋めるか、接着性充填材または上記単位ブロック材質の溶融液を注入して上記空隙を埋めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上で説明したように、本発明による3次元形状の製作方法は、予め定められた体積を有した単位ブロック体を仮組立て形態で部分接合して迅速に単位ブロック結合体を形成した後、これを後処理して望む3次元形状を成形する方式であるので、点単位または面単位で原材料を硬化させるか溶融させて形状を作っていく従来技術による3Dプリンターを用いて3次元形状を成形する方式と対比するとき、3次元形状の製作に所要される時間及びエネルギーを顕著に低減させることができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を用いて製作しようとする3次元形状を示した図面である。
図2】本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を用いて図1の形状を製作する方法を説明するための図面である。
図3図2のA−A部断面について本発明の一実施例により図1の形状を製作する方法を工程順序どおりに説明するための図面である。
図4】本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を説明するための工程図である。
図5】本発明の一実施例によって3次元形状を製作するための装置の概略的な構成を示した図面である。
図6図5の装置に使用された原料供給部の他の変形例を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では本発明の望ましい実施例を添付した図面を用いて詳細に説明することにする。
【0019】
図1は本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を用いて製作しようとする3次元形状を示した図面であり、図2は本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を用いて図1の形状を製作する方法を説明するための図面であり、図3図2のA−A部断面について本発明の一実施例により図1の形状を製作する方法を工程順序どおりに説明するための図面である。
【0020】
また、図4は本発明の一実施例による3次元形状の製作方法を説明するための工程図であり、図5は本発明の一実施例によって3次元形状を製作するための装置の概略的な構成を示した図面であり、図6図5の装置に使用された原料供給部の他の変形例を示した図面である。
【0021】
まず、本実施例では説明の便宜のために、本発明による3次元形状の製作方法を用いて図1に示したハート形態のサンプル100を製作する場合を一例として説明する。
【0022】
本発明による3次元形状の製作方法は、まず作業台10上にサンプル100を成形するための成形型枠20をセッティングすることになるが(S10)、この場合、上記成形型枠20は、後述するように、供給される単位ブロック体50を内部に入れ込んで収容する遮断部材または枠部材としての機能を行うようになる。
【0023】
この際、上記成形型枠は、別途の工程や装置(例えば、作業台の上面に垂直な方向の昇降装置等)を用いてセッティングすることもできるが、製作しようとする3次元形状の形態によっては、本実施例で一例として説明する3次元形状製作装置を用いて後述するS20段階とS30段階を行う過程で、縁部に位置する単位ブロック体30を部分接合または全体接合する方式でセッティングすることもできる。
【0024】
すなわち、例えば製作しようとする3次元形状が本実施例のサンプル100の場合、上記成形型枠20は、別途の工程や装置を用いて図2に示したように四角枠形状でセッティングすることもできるが、必要に応じては図2でサンプル100を構成する単位ブロック体ら(ハッチングで表示されたもの)のうち最外郭に位置した単位ブロック体50らを各積層段階で優先的に接合させて上記成形型枠20としての機能を行うようにすることもできる。
【0025】
この際、上記成形型枠20を後者のような方式でセッティングする場合、後述する工程のうちS50段階は省略することもできる。
【0026】
上記S10段階が完了したら、上記成形型枠内部に予め定められた体積を有する単位ブロック体50を供給して、作業台の底面に成形型枠20が形成する枠に沿って単位ブロック体50が図3(a)に示したように平面形態に配列されるようにする(S20)。
【0027】
この際、上記単位ブロック体50は、金属、合成樹脂、チョコレート、木材、セメント、煉瓦、粘土等のようにサンプル100を製作しようとする多種多様な材質とすることができる。
【0028】
また、本実施例では、説明の便宜のために上記単位ブロック体50が球形からなる場合を一例として説明するが、これに限定されず、必要に応じては四面体、五面体、六面体等のような多面体形状で構成することもできる。
【0029】
上記S20段階が完了したら、上記成形型枠20内部に配列された単位ブロック体50のうち、サンプル100の形状を構成する単位ブロック体50らを互いに部分的に接合させるようになる(S30)。
【0030】
すなわち、上記S30段階では、図2及び図3(a)に示したように、上記成形型枠20内部に収容された単位ブロック体50のうち点線で表示されたサンプル100の仮想的な外形線P内部に含まれる単位ブロック体50と、上記外形線Pが掛かっている単位ブロック体50ら(図2図3ではこれら単位ブロック体らをハッチング処理して区別した)は、互いに隣合う単位ブロック体50同士互いに部分的な接合がなされるようになる。
【0031】
この場合、上記単位ブロック体50らの接合は、互いに隣合う単位ブロック体50らの接触領域(または接触部位)のうち少なくとも1ヶ所を部分的に接合させる方式でなされる。
【0032】
この際、本発明で単位ブロック体らの「部分接合」または「部分的に接合」というのは、単位ブロック体らを積層して後述する単位ブロック結合体を形成する際、互いに隣合う単位ブロック体らのうち少なくとも一部単位ブロック体らの間に空隙が形成される形態の接合を意味する。
【0033】
また、上記単位ブロック体50らの接合は、その材質に応じて電子ビームやレーザー等の加熱源を用いた加熱溶融接合方式(例えば、金属素材、合成樹脂、チョコレート等の場合)を使用するか、接着剤(例えば、木材等の場合)を塗布する方式を使用して望ましくなされるようにすることができる。
【0034】
また、上記接着剤は、単位ブロック体50の材質に応じてモルタル、パティ、粘土、セメント、エポキシやホットメルトのような化学的接着剤、または膠等のような天然接着剤等を使用することができる。
【0035】
本実施例では、説明の便宜のために上記単位ブロック体50は金属材質で構成され、上記接合方式はレーザー溶融を用いた加熱溶融接合方式を使用する場合を一例として説明することにする。
【0036】
また、上記S30段階での部分接合工程により、互いに隣合う単位ブロック体50らは部分接合部51によって互いに仮組立て(または仮結合)形態で結合される一方、上記部分接合部51ら間には単位ブロック体50の形状及び相互間の接触状態によって多様な形態の空隙52が形成される。
【0037】
上記S30段階で、一つの平面上で接合対象である単位ブロック体50ら間に部分的な接合が完了すれば、図3(b)と図3(c)に示したように、その上部にまた単位ブロック体50を供給して積層しながらサンプル100の形状を構成する単位ブロック体50らを互いに部分的に接合させる工程を反復するようになる(S40)。
【0038】
この場合、上記単位ブロック体50の積層段階に応じて、上記成形型枠20の高さも段階的に増加されるように構成することが望ましい。
【0039】
また、上記単位ブロック体50を積層する場合、サンプル100の形状を構成する単位ブロック体50らは、同一平面上で互いに隣合う単位ブロック体50らだけでなく、上下方向で互いに隣合う単位ブロック体50ら同士も互いに接触する領域のうち少なくとも1ヶ所で部分的な接合がなされるようになる。
【0040】
また、本実施例では一例として、上記積層工程は、下部単位ブロック体50らの空隙52部に上部単位ブロック体50らが位置するように上下ジグザグパターンで積層する場合を一例として説明するが、これに限定されず、必要に応じては互いに隣合う上下部単位ブロック体50の中心が垂直線上に配列されるように積層することもできることは勿論である。
【0041】
また、上述したS10段階ないしS40段階は、通常のCAD/CAMシステムや3Dプリンターで適用しているように、サンプル100の形状情報(または座標情報)を含む電算的モデリングデータを用いてなされることになるが、上記モデリングデータは、3次元形状をモデリングするための公知のプログラムのうちいずれか一つを用いて得ることができる。
【0042】
一方、製作しようとするサンプル100の形状を得るために、必要な回数だけ上記S40段階を行うようになれば、上記成形型枠20の内部にはサンプル100の形状を構成する単位ブロック体50らが上下左右方向で互いに部分的に接合されて一つの固まりの形態になった単位ブロック結合体90が形成される。
【0043】
この際、上記単位ブロック結合体90は、後述するように、後処理工程によって望む形態のサンプル100形状を得ることになるが、上記後処理工程は、サンプル100の表面が精巧な寸法と滑らかな面が要求される場合であれば単位ブロック結合体90(またはその外面)を機械的に加工する方式からなり、そうではない場合であれば上記単位ブロック結合体90の外面に仕上げ材を塗布する方式でなされるようにすることができる。
【0044】
また、上記後処理工程が単位ブロック結合体90を機械的に加工する場合であれば、加工マージンを考慮して上記単位ブロック結合体90はサンプル100より外形サイズがさらに大きく形成されることが望ましく、上記単位ブロック結合体90の外面に仕上げ材を塗布する場合であれば、上記単位ブロック結合体90はサンプル100より外形サイズがさらに小さいか同一に形成されることが望ましい。
【0045】
また、上記単位ブロック結合体90を機械的に加工する場合、必要に応じては上述した仕上げ材塗布作業を追加的にさらに行うこともできる。
【0046】
また、上記仕上げ材は、液状またはペースト状態の接着性充填材(接着剤、パティのような穴埋め材料、ペイントやニスのような塗料、固着剤等を含む)や、上記単位ブロック体50材質の溶融液等を用いることができる。
【0047】
本実施例では、説明の便宜のために、上記後処理工程が単位ブロック結合体90の外面を機械的に加工する場合を一例として説明する。
【0048】
上記S40段階が完了したら、作業台10で成形型枠20と他の単位ブロック体50らと接合されていない非接合状態の単位ブロック体50らを除去することにより、上述した単位ブロック結合体90を得るようになるが(S50)、上記単位ブロック結合体90は、上述したような理由により、単位ブロック体50らの部分接合部51の間で上下左右方向に空隙52が形成された形態になる。
【0049】
上記S50段階が完了したら、上記空隙52らを除去することにより、互いに隣合う単位ブロック体50らが全体的に完全に接合された堅固な形態の無空隙単位ブロック結合体91を得るようになる(S60)。
【0050】
この際、上記空隙除去段階は、空隙52が形成された周囲の単位ブロック体50らを全体的または部分的に加熱溶融させて上記空隙を埋めるか、液状またはペースト状態の接着性充填材または上記単位ブロック体50材質の溶融液を注入して上記空隙52を埋める方式からなる。
【0051】
例えば、上記単位ブロック体50が金属、合成樹脂、チョコレート材質の場合には、加熱溶融や同一材質の溶融液を注入して上記空隙52を除去することができ、上記単位ブロック体50が木材材質の場合には、液状またはペースト状態の接着剤を注入して上記空隙52を除去することができる。
【0052】
上記S60段階によって無空隙単位ブロック結合体91が得られたら、マシニングセンタ、CNC等、通常の機械的加工装置を用いて上記無空隙単位ブロック結合体91を加工して望む形状の3次元サンプル100形状を製作するようになる(S70)。
【0053】
一方、本実施例では、一例として単位ブロック結合体90を得た後に空隙52を除去する後処理工程としてS60段階を行うものと説明したが、これに限定されず、単位ブロック結合体90を形成する単位ブロック体50らが、部分接合によっても機械的加工が可能な程に互いに充分に堅固に結合された場合であれば、必要に応じて上記S60段階を省略することもできる。
【0054】
また、本実施例では、空隙52を除去する後処理工程であるS60段階と単位ブロック結合体90の外面を後処理する工程であるS70段階を全て行う場合を一例として説明したが、必要に応じては、これらのうちいずれか一つの段階のみを選択的に行うか、S60段階とS70段階を行った以後に上述した仕上げ材塗布段階をさらに行うこともできる。
【0055】
ただし、上記S60段階のみを行う場合であれば、上記単位ブロック結合体90の外形サイズは、上記サンプル100と同一の水準に形成されることがさらに望ましい。
【0056】
上記のような構成により、本発明による3次元形状の製作方法は、予め定められた体積を有した単位ブロック体50を仮組立て形態で部分接合して迅速に単位ブロック結合体90を形成した後、これを後処理して望む3次元形状のサンプル100を成形する方式であるので、点単位または面単位で原材料を硬化させるか溶融させて形状を作っていく従来技術による3Dプリンターを用いて3次元形状を成形する方式と対比するとき、3次元形状の製作に所要される時間及びエネルギーを顕著に低減させることができる長所がある。
【0057】
一方、図5では、本発明による3次元形状の製作方法を適用した3次元形状製作装置の概略的な構成を一例として示した。
【0058】
上記3次元形状製作装置は、作業台10が形成された本体1の上部に、X、Y、Zの3軸方向に原料供給部5とレーザー溶融装置4を移送させるための移送軸2と、上記移送軸2を介して上記原料供給部5とレーザー溶融装置4を移送させる移送モーター3を含んで構成される。
【0059】
この際、上記3軸方向移送軸2、移送モーター3及びレーザー溶融装置4の構成は、公知の技術であるので、ここでは具体的な説明は省略することとし、上記原料供給部5は、内部に単位ブロック体50を収容した状態で上記移送軸2を介して移動しながらノズルのように必要な位置に単位ブロック体50を供給するように構成される。
【0060】
一方、本実施例では、上記単位ブロック体50が同一の体積(すなわち、サイズ)からなる場合を一例として説明したが、これに限定されず、必要に応じて上記単位ブロック体50は複数の体積別に備えるようにすることもできる。
【0061】
すなわち、例えば上記原料供給部5は、第1体積の単位ブロック体50aを供給する第1供給部5a、第2体積の単位ブロック体50bを供給する第2供給部5b、及び第3体積の単位ブロック体50cを供給する第3供給部5cで構成されることができ、この場合、それぞれの供給部5a、5b、5cは、バインディング装置5dによって一つのアセンブリーとして構成することができる。
【0062】
また、上記単位ブロック体50は、本実施例のように球形体でのみなされるのではなく、必要に応じて特定サイズに対して(またはそれぞれのサイズ別に)球形体や多種の多面体等多様な形状で備えるようにすることもできる。
【0063】
このように上記原料供給部5が多様なサイズ及び/または形状の単位ブロック体50を供給することができるように構成される場合、積層される単位ブロック体50の形状及び/または体積(すなわち、サイズ)を必要に応じて変更することができるので、3次元サンプル100の部分的な形状または厚さの変化に柔軟に対応することができて、後処理の際、作業量を大きく減少させることができる長所を得ることができる。
【0064】
一方、本実施例では、上記3次元形状がハート型のサンプルの場合を一例として説明したが、本発明の詳細な説明及び特許請求範囲で「3次元形状」というのは、住宅、建物、タワー、船舶や自動車、またはこれらに使用される構造体等、多種多様な形態の3次元形状を全て含む概念である。
【0065】
また、本実施例では上記成形型枠20を利用する場合を一例として説明したが、これに限定されず、必要に応じて(例えば、住宅のように大型構造物の場合)上記成形型枠20の利用を省略することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、3次元形状の成形に所要される時間及びエネルギーを顕著に低減させる3次元形状の製作方法を提供することができ、小型構造物だけでなく自動車や船舶等の大型構造物を製作するにも用いることができるので、産業上の利用可能性が大きい。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図3(f)】
図4
図5
図6