(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔レンズ用液剤〕
本発明のレンズ用液剤は、上記繰り返し単位(A):2.5〜95質量%と上記繰り返し単位(B):2.5〜95質量%とを有する重合体を含むものである。まず、本発明で用いる重合体について詳細に説明する。
【0014】
(繰り返し単位(A))
繰り返し単位(A)は、親水性繰り返し単位であればよいが、側鎖にポリオキシアルキレン基を有し、その側鎖の末端が水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で構成される繰り返し単位(A−1)、下記式(3)で表される繰り返し単位(A−2)、下記式(4)で表される繰り返し単位(A−3)、下記式(5)で表される繰り返し単位(A−4)、下記式(6)で表される繰り返し単位(A−5)、下記式(7)で表されるベタイン性繰り返し単位(A−6)、アニオン性繰り返し単位(A−7)、および下記式(8)で表されるカチオン性繰り返し単位(A−8)から選ばれる1種以上であるのが好ましい。
なお、本明細書において、親水性とは、水との親和力が強い性質を持つことを意味する。具体的には1種の繰り返し単位のみからなるホモポリマー(実施例の測定法による数平均分子量が1万程度のもの)とした場合に、常温(25℃)において純水100gに対して1g以上溶解する場合にはその繰り返し単位は親水性である。
【0016】
〔式(3)中、
R
6は、水素原子またはメチル基を示し、
R
7は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、
R
8は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、
R
9、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を示し、
qは、平均値で1〜10を示す。〕
【0018】
〔式(4)中、
R
12は、水素原子またはメチル基を示し、
R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を示す。〕
【0020】
〔式(5)中、
R
15は、水素原子またはメチル基を示し、
R
16およびR
17は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。〕
【0022】
〔式(6)中、
R
18は、炭素数1〜5のアルキレン基を示す。〕
【0024】
〔式(7)中、
Yは、−(C=O)O
-、−(O=S=O)O
-、−O(O=S=O)O
-、−(S=O)O
-、−O(S=O)O
-、−OP(=O)(OR
24)O
-、−OP(=O)(R
24)O
-、−P(=O)(OR
24)O
-、または−P(=O)(R
24)O
-を示し(R
24は炭素数1〜3のアルキル基を示す)、
R
19は、水素原子またはメチル基を示し、
R
20およびR
21は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の2価の有機基を示し、
R
22およびR
23は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。〕
【0026】
〔式(8)中、
R
25は、水素原子又はメチル基を示し、
R
26は、−O−、*−(C=O)−O−、*−(C=O)−NR
31−、*−NR
31−(C=O)−(R
31は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、*は、式(8)中のR
25が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、
R
27は、炭素数1〜10の2価の有機基を示し、
R
28、R
29およびR
30は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。〕
【0027】
(繰り返し単位(A−1))
繰り返し単位(A−1)は、側鎖にポリオキシアルキレン基を有し、その側鎖の末端が水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で構成されるものである。
繰り返し単位(A−1)としては、下記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位が挙げられる。式(1)で表される構造を側鎖中に有する繰り返し単位となるポリマー種としては公知のものを用いることができ、中でも、(メタ)アクリレート系のポリマー種、(メタ)アクリルアミド系のポリマー種、スチレン系のポリマー種等が好ましい。これらの中でも、下記式(2)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0029】
〔式(1)中、
R
1は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、
R
2は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、
nは、平均値で2〜100を示す。〕
【0031】
〔式(2)中、
R
3は、水素原子またはメチル基を示し、
R
4は、−O−、*−(C=O)−O−、*−(C=O)−NR
5−、*−NR
5−(C=O)−(R
5は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、*は、式(2)中のR
3が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、
その他の記号は式(1)中の記号と同義である。〕
【0032】
ここで、式(1)および(2)中の各記号について説明する。
R
1は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、n個のR
1は同一でも異なっていてもよい。
R
1で示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは2または3であり、より好ましくは2である。
また、R
1で示されるアルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、親水性付与等の観点から、エタン−1,2−ジイル基が好ましい。
【0033】
また、R
2は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。R
2で示されるアルキル基の炭素数は、入手容易性、親水性付与等の観点から、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1又は2であり、更に好ましくは1である。また、R
2で示されるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
斯様なR
2の中でも、入手容易性、親水性付与等の観点から、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1若しくは2のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0034】
また、R
4は、−O−、*−(C=O)−O−、*−(C=O)−NR
5−、*−NR
5−(C=O)−またはフェニレン基を示す。斯かるフェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0035】
また、上記R
5で示される有機基の炭素数は1〜10であるが、好ましくは1〜6である。上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。斯かる炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する概念である。
【0036】
上記R
5における脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基に大別される。上記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、橋かけ環炭化水素基としては、イソボルニル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0037】
上述のようなR
4の中でも、親水性付与等の観点から、*−(C=O)−O−、フェニレン基が好ましく、*−(C=O)−O−が特に好ましい。
【0038】
nは、平均値で2〜100を示すが、好ましくは平均値で4〜90であり、より好ましくは平均値で8〜90であり、更に好ましくは平均値で8〜60であり、更に好ましくは平均値で8〜40であり、特に好ましくは平均値で9〜25である。なお、本明細書における各「平均値」はNMRで測定できる。例えば、上記式(2)の構造について、
1H−NMRを測定し、R
1の炭素数2〜4のアルキレン基と、R
2の炭素数1〜4のアルキル基の末端のメチル基との、それぞれのプロトンピークの積分値を比較することで、nの平均値を算出可能である。
【0039】
斯様な繰り返し単位(A−1)を誘導するモノマーとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、繰り返し単位(A−1)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。これらの中でも、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0040】
(繰り返し単位(A−2))
繰り返し単位(A−2)は、上記式(3)で表されるものである。
式(3)中、R
7は、炭素数2〜4のアルキレン基を示す。なお、R
7が複数ある場合、R
7は同一でも異なっていてもよい。
また、R
7で示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは2または3であり、より好ましくは2である。
また、R
7で示されるアルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、親水性付与等の観点から、エタン−1,2−ジイル基が好ましい。
【0041】
また、R
8は、炭素数1〜10のアルキレン基を示す。
R
8で示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは2または3であり、特に好ましくは2である。
また、R
8で示されるアルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好適な具体例としては、上記R
7で示されるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
【0042】
また、R
9、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を示すが、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。斯かる炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
また、上記炭化水素基としては、アルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が挙げられるが、アルキル基が好ましい。
上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0043】
また、qは、平均値で1〜10を示すが、好ましくは平均値で1〜7であり、より好ましくは平均値で1〜4であり、更に好ましくは1である。
【0044】
斯様な繰り返し単位(A−2)を誘導するモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート等が挙げられ、繰り返し単位(A−2)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0045】
(繰り返し単位(A−3))
繰り返し単位(A−3)は、上記式(4)で表されるものである。
式(4)中、R
13およびR
14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。
【0046】
R
13、R
14で示されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜3である。
また、上記R
13、R
14で示されるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0047】
また、R
13、R
14で示されるヒドロキシアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。ヒドロキシアルキル基に含まれるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、ヒドロキシアルキル基の好適な具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基が挙げられる。なお、ヒドロキシアルキル基におけるヒドロキシ基の置換位置は任意である。
【0048】
斯様な繰り返し単位(A−3)を誘導するモノマーとしては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、繰り返し単位(A−3)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0049】
(繰り返し単位(A−4))
繰り返し単位(A−4)は、上記式(5)で表されるものである。
式(5)中、R
16およびR
17は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。斯かるアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜2である。
また、上記アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、直鎖状が好ましい。好適な具体例としては、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基が挙げられる。
【0050】
斯様な繰り返し単位(A−4)を誘導するモノマーとしては、4−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0051】
(繰り返し単位(A−5))
繰り返し単位(A−5)は、上記式(6)で表されるものである。
式(6)中、R
18は、炭素数1〜5のアルキレン基を示す。斯かるアルキレン基の炭素数は、好ましくは3〜5である。
また、上記アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、直鎖状が好ましい。好適な具体例としては、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基が挙げられる。
【0052】
斯様な繰り返し単位(A−5)を誘導するモノマーとしては、1−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられ、繰り返し単位(A−5)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0053】
(繰り返し単位(A−6))
繰り返し単位(A−6)は、上記式(7)で表されるベタイン性繰り返し単位である。
式(7)中、Yとしては、−(C=O)O
-が好ましい。なお、R
24で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
また、式(7)中、R
20およびR
21は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の2価の有機基を示す。斯かる2価の有機基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
また、上記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が好ましく、2価の脂肪族炭化水素基がより好ましい。当該2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基が好ましい。例えば、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
【0054】
また、式(7)中、R
22およびR
23は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。当該炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
R
22およびR
23で示される炭化水素基としては、アルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が挙げられるが、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0055】
斯様な繰り返し単位(A−6)を誘導するモノマーとしては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホベタイン等の(メタ)アクリレート系モノマー等が挙げられ、繰り返し単位(A−6)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0056】
(繰り返し単位(A−7))
繰り返し単位(A−7)は、アニオン性繰り返し単位である。
繰り返し単位(A−7)としては、酸性基を有する繰り返し単位が挙げられる。
また、繰り返し単位(A−7)としては、導入の容易さ、安全性の観点から、エチレン性不飽和結合を含有するモノマーに由来する単位が好ましい。
また、酸性基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基又はこれらの塩などが挙げられ、これらを1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。なお、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;有機アンモニウム塩等が挙げられる。
【0057】
繰り返し単位(A−7)を誘導するモノマーとしては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその塩;(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸又はその塩;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホ基含有重合性不飽和モノマー又はその塩;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基含有重合性不飽和モノマー又はその塩が挙げられる。また、繰り返し単位(A−7)を誘導するモノマーは、アクリル酸エステルの加水分解物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸の酸無水物の加水分解物;グリシジルメタクリレートや(4−ビニルベンジル)グリシジルエーテル等のエポキシ基への酸性基含有チオールの付加物などを用いて得ることもできる。繰り返し単位(A−7)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
これらの中でも、導入の容易さ、反応性の観点から、アクリル酸、メタアクリル酸が好ましい。
【0058】
(繰り返し単位(A−8))
繰り返し単位(A−8)は、上記式(8)で表されるカチオン性繰り返し単位である。
式(8)中、R
26は、−O−、*−(C=O)−O−、*−(C=O)−NR
31−、*−NR
31−(C=O)−またはフェニレン基を示す。斯かるフェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0059】
また、上記R
31で示される有機基の炭素数は1〜10であるが、好ましくは1〜6である。上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。斯かる炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する概念である。
【0060】
上記R
31における脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基に大別される。上記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、橋かけ環炭化水素基としては、イソボルニル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0061】
式(8)中、R
27は、炭素数1〜10の2価の有機基を示す。斯かる2価の有機基の炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6である。
また、上記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が好ましく、2価の脂肪族炭化水素基がより好ましい。当該2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。また、2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基が好ましい。例えば、メタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等が挙げられる。
【0062】
式(8)中、R
28、R
29およびR
30は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の炭化水素基を示す。当該炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。
R
28、R
29およびR
30で示される炭化水素基としては、アルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基が挙げられるが、アルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
なお、繰り返し単位(A−8)は対イオンを有していてもよい。対イオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲノイオン;硫酸水素イオン;メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等のアルキル硫酸イオン;アルキルスルホン酸イオン;ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン等のアリールスルホン酸イオン;2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム等のアルケニルスルホン酸イオン;酢酸イオン等のカルボン酸イオン等が挙げられる。
【0063】
繰り返し単位(A−8)を誘導するモノマーのモノマー種の好適な具体例としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
(メタ)アクリレート類のモノマー種としては、((メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド等の((メタ)アクリロイルオキシC
1-10アルキル)トリC
1-10アルキルアンモニウムクロライド、((メタ)アクリロイルオキシエチル)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の((メタ)アクリロイルオキシC
1-10アルキル)ジC
1-10アルキルC
6-10アラルキルアンモニウムクロライドが挙げられる。(メタ)アクリルアミド類のモノマー種としては、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等の(3−(メタ)アクリルアミドC
1-10アルキル)トリC
1-10アルキルアンモニウムクロリド、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド等の(3−(メタ)アクリルアミドC
1-10アルキル)ジC
1-10アルキルC
6-10アラルキルアンモニウムクロリド等が挙げられる。繰り返し単位(A−8)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
これらの中でも、導入の容易さ、反応性の観点から、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0064】
これら繰り返し単位(A−1)〜(A−8)の中でも、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性、脂質付着防止効果および潤滑性付与効果の観点から、繰り返し単位(A−1)、繰り返し単位(A−3)、繰り返し単位(A−4)、繰り返し単位(A−6)、繰り返し単位(A−7)が好ましく、繰り返し単位(A−1)、繰り返し単位(A−3)、繰り返し単位(A−6)、繰り返し単位(A−7)がより好ましい。
また、これら繰り返し単位を組み合わせて用いる場合において、その組み合わせとしては、親水性化性能、剥離耐性および潤滑性付与効果の観点から、繰り返し単位(A−1)および(A−3)から選ばれる1種以上と、繰り返し単位(A−6)および(A−7)から選ばれる1種以上との組み合わせが好ましく、繰り返し単位(A−3)と、繰り返し単位(A−6)および(A−7)から選ばれる1種以上との組み合わせがより好ましく、繰り返し単位(A−3)と、繰り返し単位(A−6)との組み合わせが特に好ましい。
【0065】
また、繰り返し単位(A)の合計含有量は、重合体中2.5〜95質量%であるが、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性、脂質付着防止効果および潤滑性付与効果の観点、重合体の水溶性を向上させる観点から、5〜95質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、30〜95質量%が更に好ましく、40〜90質量%が更に好ましい。
また、本発明のレンズ用液剤がコンタクトレンズ洗浄用または保存用である場合は、脂質洗浄力、親水性付与の観点から、50〜90質量%が特に好ましい。一方、本発明のレンズ用液剤をコンタクトレンズ用コーティング剤として用いる場合は、親水性付与、剥離耐性および潤滑性付与効果の観点から、30〜95質量%が更に好ましく、40〜90質量%が特に好ましい。
また、繰り返し単位(A−1)および(A−3)から選ばれる1種以上と、繰り返し単位(A−6)および(A−7)から選ばれる1種以上とを組み合わせて用いる場合、これらの含有量の比率は、質量比で、好ましくは60:40〜99.9:0.1であり、より好ましくは75:25〜99:1であり、更に好ましくは80:20〜99:1であり、特に好ましくは85:15〜99:1である。
なお、繰り返し単位(A)の含有量は
1H−NMR、
13C−NMR等により測定可能である。
【0066】
(繰り返し単位(B))
繰り返し単位(B)は、側鎖にポリオキシアルキレン基を有し、その側鎖の末端が炭素数5〜30のアルキル基、炭素数5〜30のアルカノイル基、またはアリール基で構成される繰り返し単位であり、重合体は、繰り返し単位(B)に該当する繰り返し単位を1種または2種以上有していてよい。
斯様な繰り返し単位(B)としては、下記式(9)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位が挙げられる。式(9)で表される構造を側鎖中に有する繰り返し単位となるポリマー種としては公知のものを用いることができ、中でも、(メタ)アクリレート系のポリマー種、(メタ)アクリルアミド系のポリマー種、スチレン系のポリマー種等が好ましい。これらの中でも、下記式(10)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0068】
〔式(9)中、
R
32は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、
R
33は、炭素数5〜30のアルキル基、炭素数5〜30のアルカノイル基、またはアリール基を示し、
mは、平均値で2〜100を示す。〕
【0070】
〔式(10)中、
R
34は、水素原子またはメチル基を示し、
R
35は、−O−、**−(C=O)−O−、**−(C=O)−NR
36−、**−NR
36−(C=O)−(R
36は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、**は、式(10)中のR
34が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、
その他の記号は式(9)中の記号と同義である。〕
【0071】
ここで、式(9)および(10)中の各記号について説明する。
R
32は、炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R
32で示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは2または3であり、より好ましくは2である。
また、R
32で示されるアルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、脂質洗浄力等の観点から、エタン−1,2−ジイル基が好ましい。
なお、m個のR
32は同一でも異なっていてもよい。
【0072】
また、R
33は、炭素数5〜30のアルキル基、炭素数5〜30のアルカノイル基、またはアリール基を示す。
R
33で示されるアルキル基、アルカノイル基の炭素数は、入手容易性、脂質洗浄力等の観点から、好ましくは6〜25であり、より好ましくは7〜20であり、更に好ましくは8〜18であり、更に好ましくは9〜16であり、特に好ましくは10〜14である。
また、R
33で示されるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。これらの中でも、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基が好ましく、ラウリル基、ステアリル基がより好ましい。
また、R
33で示されるアルカノイル基としては、2−エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ステアロイル基が挙げられる。
【0073】
また、R
33で示されるアリール基の炭素数は、好ましくは6〜12である。具体的には、フェニル基が挙げられる。
また、上記アリール基は、炭素数1〜30のアルキル基を置換基として有していてもよい。斯かるアルキル基の炭素数としては、3〜24が好ましく、5〜16がより好ましい。なお、斯かる置換アルキル基の置換位置および置換個数は任意であるが、好適な置換個数は1または2個である。
また、斯様な炭素数1〜30のアルキル基を置換基として有するアリール基としては、ノニルフェニル基が挙げられる。
【0074】
上述のようなR
33の中でも、入手容易性、脂質洗浄力等の観点から、炭素数5〜30のアルキル基、アリール基が好ましく、炭素数5〜30のアルキル基がより好ましい。
【0075】
また、R
35は、−O−、**−(C=O)−O−、**−(C=O)−NR
36−、**−NR
36−(C=O)−またはフェニレン基を示す。斯かるフェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0076】
また、R
36で示される有機基の炭素数は1〜10であるが、好ましくは1〜6である。上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。斯かる炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する概念である。
【0077】
上記R
36における脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基に大別される。上記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、橋かけ環炭化水素基としては、イソボルニル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0078】
上述のようなR
35の中でも、**−(C=O)−O−、フェニレン基が好ましく、**−(C=O)−O−が特に好ましい。
【0079】
mは、平均値で2〜100を示すが、好ましくは平均値で2〜90であり、より好ましくは平均値で4〜90であり、更に好ましくは平均値で9〜60であり、特に好ましくは平均値で10〜40である。
【0080】
斯様な繰り返し単位(B)を誘導するモノマーとしては、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールポリプロピレンレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレンレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、繰り返し単位(B)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。これらの中でも、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0081】
また、繰り返し単位(B)の合計含有量は、重合体中2.5〜95質量%であるが、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性および脂質付着防止効果の観点、重合体の水溶性を向上させる観点から、5〜95質量%が好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が更に好ましく、10〜60質量%が更に好ましい。
また、本発明のレンズ用液剤がコンタクトレンズ洗浄用または保存用である場合は、脂質洗浄力、親水性付与の観点から、10〜50質量%が特に好ましい。一方、本発明のレンズ用液剤をコンタクトレンズ用コーティング剤として用いる場合は、親水性付与、剥離耐性の観点から、10〜60質量%が特に好ましい。
なお、繰り返し単位(B)の含有量は、繰り返し単位(A)の含有量と同様にして測定すればよい。
【0082】
(繰り返し単位(C))
本発明で用いる重合体としては、下記式(11)で表される繰り返し単位(C−1)および下記式(12)で表される基を側鎖の末端に有する繰り返し単位(C−2)から選ばれる1種以上の繰り返し単位(C)を有するものが好ましい。斯様な繰り返し単位(C)を備えることにより、親水性化性能が向上し、且つレンズ表面から重合体が剥がれにくくなる。
【0084】
〔式(11)中、
R
37は、水素原子またはメチル基を示し、
R
38は、−O−、***−(C=O)−O−、***−(C=O)−NR
40−、***−NR
40−(C=O)−(R
40は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、***は、式(11)中のR
37が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、
R
39は、炭素数4〜30の炭化水素基を示す。〕
【0086】
〔式(12)中、
R
41は、炭素数1〜10の2価の有機基を示し、
R
42およびR
43は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の有機基を示し、
R
44、R
45およびR
46は、それぞれ独立して、−OSi(R
49)
3(R
49は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の有機基を示す)または炭素数1〜10の有機基を示し、
rは、平均値で0〜200を示す。〕
【0087】
(繰り返し単位(C−1))
繰り返し単位(C−1)は、上記式(11)で表されるものである。
【0088】
R
38は、−O−、***−(C=O)−O−、***−(C=O)−NR
40−、***−NR
40−(C=O)−またはフェニレン基を示す。斯かるフェニレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が挙げられる。
【0089】
また、R
40で示される有機基の炭素数は1〜10であるが、好ましくは1〜6である。上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。斯かる炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基を包含する概念である。
【0090】
上記R
40における脂肪族炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基は、単環の脂環式炭化水素基と橋かけ環炭化水素基に大別される。上記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。また、橋かけ環炭化水素基としては、イソボルニル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基等のアリール基が挙げられる。
【0091】
上述のようなR
38の中でも、脂質洗浄力および親水性化性能が向上の観点、ならびにレンズ表面から重合体を剥がれにくくする観点から、***−(C=O)−O−、***−(C=O)−NR
40−、フェニレン基が好ましく、***−(C=O)−O−、***−(C=O)−NR
40−がより好ましく、***−(C=O)−O−、***−(C=O)−NH−が特に好ましい。
【0092】
また、R
39は、炭素数4〜30の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、環構造を含んでいてもよいが、好ましくはアルキル基である。
また、上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜24であり、より好ましくは8〜18であり、更に好ましくは8〜14である。
上記アルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、脂質洗浄力等の観点から、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基が好ましく、2−エチルヘキシル基、ラウリル基がより好ましい。
【0093】
斯様な繰り返し単位(C−1)を誘導するモノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、繰り返し単位(C−1)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0094】
(繰り返し単位(C−2))
上記式(12)で表される基を側鎖の末端に有する繰り返し単位となるポリマー種としては公知のものを用いることができ、中でも、(メタ)アクリレート系のポリマー種、(メタ)アクリルアミド系のポリマー種、スチレン系のポリマー種等が好ましい。これらの中でも、下記式(13)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0096】
〔式(13)中、
R
47は、水素原子またはメチル基を示し、
R
48は、−O−、*−(C=O)−O−、*−(C=O)−NR
50−、*−NR
50−(C=O)−(R
50は、水素原子または炭素数1〜10の有機基を示し、*は、式(13)中のR
47が結合している炭素原子と結合する位置を示す)またはフェニレン基を示し、
その他の記号は式(12)中の記号と同義である。〕
【0097】
ここで、式(12)および(13)中の各記号について説明する。
R
41は、炭素数1〜10の2価の有機基を示す。斯かる2価の有機基の炭素数は、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜6であり、更に好ましくは2〜4である。
上記2価の有機基としては、2価の炭化水素基が挙げられる。2価の炭化水素基は、好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、より好ましくはアルキレン基である。斯かるアルキレン基の好適な具体例としては、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
【0098】
また、R
42およびR
43は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の有機基を示す。なお、R
42、R
43が複数ある場合、R
42は同一でも異なっていてもよく、R
43も同一でも異なっていてもよい。
また、上記有機基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1または2である。
上記有機基としては、炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、好ましくはアルキル基である。斯かるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0099】
R
44、R
45およびR
46は、それぞれ独立して、−OSi(R
49)
3または炭素数1〜10の有機基を示し、R
49は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8の有機基を示す。
上記R
44、R
45およびR
46で示される有機基、R
49で示される有機基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜4であり、更に好ましくは1または2である。また、R
44、R
45およびR
46で示される有機基、R
49で示される有機基としては、R
42で示される有機基と同様のものが挙げられる。
【0100】
また、R
44、R
45およびR
46の中では、脂質洗浄力、親水性付与の観点から、−OSi(R
49)
3が好ましい。また、R
49の中では、脂質洗浄力、親水性付与の観点から、炭素数1〜8の有機基が好ましい。
【0101】
rは、平均値で0〜200を示すが、脂質洗浄力、親水性付与の観点から、0〜100が好ましく、0〜50がより好ましく、0〜25が更に好ましく、0〜10が特に好ましい。
なお、R
48は上記R
38と、R
50は上記R
40と、それぞれ同様である。
【0102】
斯様な繰り返し単位(C−2)を誘導するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピル、(メタ)アクリル酸3−[ビス(トリメチルシロキシ)(メチル)シリル]プロピル、シリコーン(メタ)アクリレート(X−22−2475(信越シリコーン社製)、FM−0711(JNC社製)等)等が挙げられ、繰り返し単位(C−2)は、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いたものでもよい。
【0103】
また、繰り返し単位(C)の合計含有量は、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性および脂質付着防止効果の観点から、重合体中40質量%以下が好ましく、0.1〜40質量%がより好ましく、0.5〜35質量%が更に好ましく、0.5〜30質量%が更に好ましく、0.5〜25質量%が更に好ましく、0.5〜20質量%が更に好ましく、1〜20質量%が更に好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、1.5〜15質量%が更に好ましく、1.5〜10質量%が特に好ましい。
なお、繰り返し単位(C)の含有量は、繰り返し単位(A)の含有量と同様にして測定すればよい。
【0104】
また、本発明で用いる重合体に含まれる繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)との質量比〔(A):(B)〕としては、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性および脂質付着防止効果の観点、重合体の水溶性を向上させる観点から、20:80〜95:5が好ましく、30:70〜95:5がより好ましく、40:60〜90:10が更に好ましく、50:50〜90:10が更に好ましく、55:45〜90:10が特に好ましい。
【0105】
また、本発明で用いる重合体が繰り返し単位(C)を有する場合、質量比〔((A)+(B)):(C)〕としては、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性および脂質付着防止効果の観点から、60:40〜99:1が好ましく、70:30〜99:1がより好ましく、75:25〜99:1が更に好ましく、80:20〜98.5:1.5が更に好ましく、85:15〜98.5:1.5が特に好ましい。
また、質量比〔(A):(B)〕が上記質量比〔(A):(B)〕の範囲であり、且つ質量比〔((A)+(B)):(C)〕が上記質量比〔((A)+(B)):(C)〕の範囲であることが特に好ましい。
【0106】
また、本発明で用いる重合体は共重合体であればよく、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
【0107】
また、本発明で用いる重合体の重量平均分子量(M
w)としては、1万〜1000万が好ましく、1万〜500万がより好ましく、1万〜300万が更に好ましく、1万〜200万が特に好ましい。重量平均分子量を斯様な範囲にすることにより、剥離耐性とハンドリング性がともに向上する。
また、本発明で用いる重合体の数平均分子量(M
n)としては、1万〜1000万が好ましく、1万〜500万がより好ましく、1万〜300万が更に好ましく、1万〜200万が更に好ましく、1万〜50万が特に好ましい。
また、分子量分布(M
w/M
n)としては、1〜10が好ましく、1〜7がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
なお、上記重量平均分子量、数平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法に従い測定すればよい。
【0108】
また、本発明で用いる重合体は、炭素数1〜4程度の低級アルコールまたは水に溶解するものが好ましい。また、本発明のレンズ用液剤をコンタクトレンズの洗浄、保存のために使用する場合は、上記重合体としては、水に溶解するもの(水溶性重合体)が特に好ましい。ここで、本明細書において、溶解するとは、0.5質量%のポリマー固形分となるように重合体を溶媒(25℃)に添加・混合したときに、目視で透明となることをいう。
【0109】
また、本発明で用いる重合体は、例えば、各繰り返し単位を誘導するモノマーを混合し、この混合物を、必要に応じて、水、アセトニトリル、エクアミドB−100(出光興産社製)等の溶媒に溶解させ、重合開始剤を加えてラジカル重合することにより得ることができる。
【0110】
上記ラジカル重合を行う際に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソジメチルバレロニトリル、過硫酸塩、過硫酸塩一亜硫酸水素塩系等が挙げられる。
また、重合開始剤の仕込み量は、モノマー成分100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましい。また、重合温度は20〜100℃が好ましく、重合時間は0.5〜48時間が好ましい。
そして、本発明のレンズ用液剤は、上記のようにして得られる重合体を用いること以外は常法に従い製造できる。
【0111】
そして、本発明のレンズ用液剤は、後記実施例に示すように、優れた脂質洗浄力を有するとともに、高い親水性化性能を示し、レンズにコーティングした場合に優れた脂質付着防止効果及び潤滑性付与効果を示す。また、レンズ表面に対し高い吸着性を示し、剥離しにくい。
したがって、本発明のレンズ用液剤は、眼科レンズ用液剤として有用である。
上記眼科レンズは、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ等のコンタクトレンズの他、メガネ、眼内レンズ等を含む概念であり、また、上記コンタクトレンズは、非含水性、低含水性、高含水性のいずれでもよい。
本発明のレンズ用液剤は、優れた脂質洗浄力および高い親水性化性能を有するため、コンタクトレンズの洗浄、保存のために用いるのに特に適し、また、高い親水性化性能、潤滑性付与性能および剥離耐性を有するため、コンタクトレンズをコーティングするために用いるのにも適する。また、本発明のレンズ用液剤を、コンタクトレンズ表面の少なくとも一部に接触させる表面処理方法により、表面が親水的に改質され、脂質が吸着しにくく、潤滑性が付与され、しかもそれら効果の持続性に優れるコンタクトレンズとすることができる。
次に、コンタクトレンズ洗浄または保存用液剤、コンタクトレンズコーティング用液剤の具体的な態様について説明する。
【0112】
〔コンタクトレンズ洗浄用液剤、コンタクトレンズ保存用液剤〕
本発明のレンズ用液剤を、コンタクトレンズ洗浄または保存用液剤として用いる場合、上記重合体の濃度は、脂質洗浄力、親水性化性能およびコストの観点から、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.001〜5質量%であり、更に好ましくは0.05〜3質量%である。
【0113】
本発明のコンタクトレンズ洗浄または保存用液剤は、上記重合体の他に、溶剤、上記重合体以外の界面活性剤、等張化剤、キレート化剤、pH調整剤、緩衝剤、増粘剤、安定化剤、タンパク質分解酵素、薬理活性成分、生理活性成分や、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物等を含んでいてもよい。また、これらのうち1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0114】
上記溶剤としては、水;リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、グッド緩衝液、トリス緩衝液、アンモニア緩衝液等の各種緩衝液;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
【0115】
上記界面活性剤としては、アルキルジアミノエチルグリシンまたはその塩(例えば、塩酸塩等)等の両性界面活性剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の陽イオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0116】
また、上記等張化剤としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0117】
また、上記キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)等のエチレンジアミン四酢酸の塩や、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、それらの塩(例えば、ナトリウム塩)等が挙げられる。
【0118】
また、上記pH調整剤としては、塩酸、ホウ酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
pH調整剤は、pH値が、4.0〜9.0程度、好ましくは6.0〜8.0程度、より好ましくは7.0付近に調整させるように用いればよい。
【0119】
また、上記緩衝剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、グルコン酸、リン酸、ホウ酸、オキシカルボン酸や、グリシン、グルタミン酸等のアミノ酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)等の酸やその塩(例えば、ナトリウム塩等)、タウリンやその誘導体を含むGood−Buffer、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−tris)等のヒドロキシアルキルアミン等が挙げられる。
【0120】
また、上記増粘剤、安定化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物や、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシエチルスターチ等のスターチ誘導体、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩等が挙げられる。
【0121】
また、上記タンパク質分解酵素としては、パパイン、ブロメライン、グラヂン、フィシン、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン等の生体由来のプロテアーゼが挙げられる。
【0122】
また、上記薬理活性成分、生理活性成分としては、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された眼科用薬における有効成分が挙げられる。具体的には、イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム等の抗ヒスタミン剤;塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硫酸ナファゾリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸メチルエフェドリン等の充血除去剤;セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌剤;フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等のビタミン類;アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム等のアミノ酸類;グリチルリチン酸二カリウム、プラノプロフェン、アラントイン、アズレン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グアイアズレン、ε−アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、塩化リゾチーム、甘草等の消炎剤の他、クロモグリク酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム等が挙げられる。
【0123】
そして、上記コンタクトレンズ洗浄または保存用液剤は、ソフトコンタクトレンズの洗浄または保存に適し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの洗浄または保存に特に適するものである。
【0124】
〔コンタクトレンズコーティング用液剤〕
本発明のレンズ用液剤を、コンタクトレンズコーティング用液剤として用いる場合、上記重合体の濃度は、親水性化性能、潤滑性付与性能、剥離耐性、コスト等の観点から、好ましくは0.001〜20質量%であり、より好ましくは0.01〜15質量%であり、更に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0125】
本発明のコンタクトレンズ用コーティング剤は、上記重合体の他に、溶剤、殺菌剤、防腐剤等を含んでいてもよい。溶剤としては、コンタクトレンズ洗浄または保存用液剤と同様のものが挙げられる。溶剤の合計含有量としては、50〜99.9質量%が好ましく、80〜99.9質量%がより好ましい。
【0126】
そして、上記コンタクトレンズコーティング用液剤は、ソフトコンタクトレンズのコーティングに適し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズのコーティングに特に適するものである。
【0127】
〔コンタクトレンズ〕
本発明のコンタクトレンズは、上記本発明で用いる重合体を表面の少なくとも一部に有するものである。具体的には、本発明で用いる重合体が少なくとも一部に塗布されたものである。また、コンタクトレンズ表面に親水層が形成されることによって、コンタクトレンズの表面が親水的に改質されたものである。
コンタクトレンズとしては、ソフトコンタクトレンズが好ましく、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズがより好ましい。また、コンタクトレンズは、プラズマ処理、UVオゾン処理、内部浸潤剤処理等がされていてもよい。
【0128】
〔コンタクトレンズの製造方法、コンタクトレンズの表面処理方法〕
本発明の表面が改質されたコンタクトレンズの製造方法は、上記液剤を、コンタクトレンズ表面の少なくとも一部(好ましくは凹面)に接触させる工程を含むことを特徴とするものである。また、本発明のコンタクトレンズの表面処理方法は、上記液剤を、コンタクトレンズ表面の少なくとも一部(好ましくは凹面)に接触させる工程を含むことを特徴とするものである。
【0129】
本発明のコンタクトレンズの製造方法、本発明のコンタクトレンズの表面処理方法における上記接触工程は、本発明のレンズ用液剤を用いること以外は常法のコンタクトレンズのコーティング法と同様に行えばよい。また、本発明のコンタクトレンズの製造方法における接触工程以外の工程は通常のコンタクトレンズの製法と同様に行えばよい。
上記コーティング法としては、(1)本発明のレンズ用液剤をコンタクトレンズに接触させ、溶媒を残したまま溶液中で上記重合体を樹脂表面に物理吸着させる方法、(2)本発明のレンズ用液剤をコンタクトレンズに接触させた後、乾燥により溶媒を揮発させ、上記重合体の乾燥膜をコンタクトレンズ表面に形成させる方法が挙げられる。なお、上記(1)の方法においては、上記物理吸着をさせたのち、通常、溶液が流れ出るようにコンタクトレンズを傾ける、コンタクトレンズを溶液から引き上げる、コンタクトレンズ上の溶液を吹き飛ばす、溶媒を多量に注ぎ込む等の方法により、残存した溶液を取り除く工程を経て、上記重合体が吸着したコンタクトレンズを得ることができる。
【実施例】
【0130】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0131】
実施例における各分析条件は以下に示すとおりである。
<分子量測定>
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、東ソー社製 TSKgel α−Mカラムを用い、流量:0.5ミリリットル/分、溶出溶媒:NMP溶媒(H
3PO
4:0.016M、LiBr:0.030M)、カラム温度:40℃の分析条件で、ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
<NMRスペクトル>
1H−NMRスペクトルは、溶媒および内部標準物質としてd
6−DMSOを用いて、BRUKER製モデルAVANCE500(500MHz)により測定した。
【0132】
合成例1 共重合体(N−1)の合成
メトキシポリエチレングリコール(9)モノメタクリレート(M−90G(新中村化学社製)、以下、MPEGMと称する)1.95gと、ラウロキシポリエチレングリコール(30)モノメタクリレート(PLE−1300(日油社製)、以下、LPEGMと称する)0.9gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.03gと、溶媒としてエクアミドB−100(出光興産社製)12gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−1)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−1)において、MPEGM由来の繰り返し単位の含有量は65質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は35質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−1)の重量平均分子量は111000であり、数平均分子量は23300であり、分子量分布は4.8であった。
【0133】
合成例2 共重合体(N−2)の合成
MPEGM2.10gと、LPEGM0.75gと、アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成社製)0.15gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.03gと、溶媒としてエクアミドB−100(出光興産社製)12gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−2)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−2)において、MPEGM由来の繰り返し単位の含有量は70質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は25質量%であり、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の繰り返し単位の含有量は5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−2)の重量平均分子量は118000であり、数平均分子量は33800であり、分子量分布は3.5であった。
【0134】
合成例3 共重合体(N−3)の合成
MPEGM2.10gと、LPEGM0.86gと、下記式(X)で示されるシリコーンメタクリレート(東京化成社製)0.05gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.03gと、溶媒としてエクアミドB−100(出光興産社製)12gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−3)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−3)において、MPEGM由来の繰り返し単位の含有量は70質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は28.5質量%であり、シリコーンメタクリレート(X)由来の繰り返し単位の含有量は1.5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−3)の重量平均分子量は133000であり、数平均分子量は39400であり、分子量分布は3.4であった。
【0135】
【化14】
【0136】
合成例4 共重合体(N−4)の合成
ジメチルアクリルアミド((興人社製)以下、DMAAと称する)4.25gと、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(GLBT(大阪有機化学工業社製)以下、GLBTと称する)0.125gと、LPEGM0.50gと、N−ドデシルアクリルアミド((東京化成社製)以下、DDAAと称する)0.125gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.05gと、溶媒としてアセトニトリル(三菱レーヨン社製)31.05gと純水13.50gを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、60℃まで昇温し、6時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−4)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−4)において、DMAA由来の繰り返し単位の含有量は85質量%であり、GLBT由来の繰り返し単位の含有量は2.5質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は10質量%であり、DDAA由来の繰り返し単位の含有量は2.5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−4)の重量平均分子量は515000であり、数平均分子量は128000であり、分子量分布は4.2であった。
【0137】
合成例5 共重合体(N−5)の合成
N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド((興人社製)以下、HEAAと称する)7.5gと、LPEGM2.00gと、DDAA0.50gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.10gと、溶媒としてイソプロパノール(トクヤマ社製)39.10gを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、60℃まで昇温し、6時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−5)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−5)において、HEAA由来の繰り返し単位の含有量は75質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は20質量%であり、DDAA由来の繰り返し単位の含有量は5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−5)の重量平均分子量は32000であり、数平均分子量は16000であり、分子量分布は2.0であった。
【0138】
合成例6 共重合体(N−6)の合成
DMAA4.00gと、アクリル酸((東亞合成社製)以下、AAと称する)0.125gと、LPEGM0.75gと、DDAA0.125gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.05gと、溶媒としてアセトニトリル(三菱レーヨン社製)31.05gと純水13.50gを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、60℃まで昇温し、6時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液に炭酸水素ナトリウム0.153gを加えた後、純水で透析することで、共重合体(N−6)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−6)において、DMAA由来の繰り返し単位の含有量は80質量%であり、AA由来の繰り返し単位の含有量は2.5質量%であり、LPEGM由来の繰り返し単位の含有量は15質量%であり、DDAA由来の繰り返し単位の含有量は2.5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−6)の重量平均分子量は430000であり、数平均分子量は108000であり、分子量分布は4.0であった。
【0139】
参考例1 共重合体(N−7)の合成
MPEGM2.85gと、アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成社製)0.15gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.03gと、溶媒としてエクアミドB−100(出光興産社製)12gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−7)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−7)において、MPEGM由来の繰り返し単位の含有量は95質量%であり、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の繰り返し単位の含有量は5質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−7)の重量平均分子量は115000であり、数平均分子量は26800であり、分子量分布は4.3であった。
【0140】
参考例2 共重合体(N−8)の合成
DMAA2.40gと、アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成社製)0.60gと、重合開始剤として2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)0.03gと、溶媒としてエクアミドB−100(出光興産社製)12gとを混合しフラスコに入れた。これに窒素を吹き込み、70℃まで昇温し、8時間重合させ、その後室温に冷却した。得られた溶液を純水で透析することで、共重合体(N−8)の水溶液を得た。
得られた共重合体(N−8)において、DMAA由来の繰り返し単位の含有量は80質量%であり、アクリル酸2−エチルヘキシル由来の繰り返し単位の含有量は20質量%であった。なお、これら含有量は
1H−NMRにより測定した。
また、得られた共重合体(N−8)の重量平均分子量は49000であり、数平均分子量は14300であり、分子量分布は3.4であった。
【0141】
なお、各合成例および参考例で得た共重合体(N−1)〜(N−8)をそれぞれ精製水と25℃で混合し、濃度を0.5質量%に調整したところ、各共重合体はいずれも精製水に溶解していた。
【0142】
実施例1
合成例1で得た共重合体(N−1)0.5質量部とリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと称する)99.5質量部とを混合して処理剤を得た。
【0143】
実施例2〜6
実施例1と同様に、合成例2〜3で得た共重合体(N−2)〜(N−6)0.5質量部を、それぞれPBS99.5質量部と混合して処理剤を得た。
【0144】
比較例1〜2
実施例1と同様に、参考例1〜2で得た共重合体(N−7)〜(N−8)0.5質量部を、それぞれPBS99.5質量部と混合して処理剤を得た。
【0145】
比較例3
一般的なコンタクトレンズ洗浄剤に用いられる非イオン性界面活性剤であるポロキサマー407(Sigma−Aldrich社製)0.5質量部とPBS99.5質量部とを混合して処理剤を得た。
【0146】
試験例1 脂質洗浄試験
まず、試験に先立ち、脂質トリグリセリド99質量%とズダンブラックB(色素)1質量%を熱溶解して脂質溶液を調製し、ねじ口瓶中に液面が平らになるよう200μL滴下し、その後、室温で冷却することで、着色疑似眼脂ペレットの入ったねじ口瓶を準備した。
次いで、このペレットの入ったねじ口瓶の中に、各実施例および比較例の処理剤をそれぞれ1mLずつ加え、これらを室温で14時間振とうすることにより、着色疑似眼脂ペレットを溶解せしめた。振とう終了後、各処理剤をそれぞれねじ口瓶から取り出し、モデル680マイクロプレートリーダー(BIO−RAD社製)を用いて、570nmにおける吸光度をそれぞれ測定した。
また、処理剤の代わりにPBSを用いる以外は上記と同様の操作を行い、570nmにおける吸光度を測定し、これをコントロールとして以下の式から吸光度差を算出した。試験結果を表2に示す。
(吸光度差)=(各処理剤の吸光度)−(コントロールの吸光度)
なお、吸光度差が高い程、着色疑似眼脂ペレットに対する溶解力が高いこと、すなわち、脂質洗浄力に優れることを示す。
【0147】
試験例2 親水性化性能試験
まず、コンタクトレンズとして、シリコーンハイドロゲルからなる市販のコンタクトレンズ(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製、ACUVUEOASYS)を準備し、斯かるコンタクトレンズをPBSで3回洗浄した。
次いで、上記コンタクトレンズを、各実施例および比較例の処理剤1mL中にそれぞれ浸漬し、室温で2時間静置した後、PBSで3回洗浄した。コンタクトレンズ表面の水分を拭き取った後、接触角計DM−701(協和界面科学社製)を用いて水液滴法による接触角を測定した。
コート直後の接触角として試験結果を表2に示す。なお、表中のコントロールは、各処理剤の代わりにPBSを用いて上記と同様に試験した結果を示す。
【0148】
試験例3 コーティング耐久性試験
試験例2にて測定に用いた各処理剤で処理したコンタクトレンズについて、市販のコンタクトレンズ洗浄液(オプティフリープラス(アルコン社製))を使って擦り洗い10回とすすぎを行った後、PBSで3回洗浄した。次いで、コンタクトレンズ表面の水分を拭き取った後、接触角計DM−701(協和界面科学社製)を用いて水液滴法による接触角を測定した。
擦り洗い後の接触角として試験結果を表2に示す。なお、表中のコントロールは、各処理剤の代わりにPBSを用いて上記と同様に試験した結果を示す。
【0149】
試験例4 脂質防汚試験
まず、試験に先立ち、オレイン酸:1.20質量%、リノール酸:1.20質量%、トリパルミチン:16.23質量%、セチルアルコール:4.01質量%、パルミチン酸:1.20質量%、パルミチン酸セチル:16.23質量%、コレステロール:1.60質量%、パルミチン酸コレステロール:1.60質量%およびレシチン:56.71質量%を加熱撹拌によって均一化して脂質液を得、この脂質液0.5質量部と水99.5質量部とを混合して乳化させた人工脂質溶液を調製した。
次いで、コンタクトレンズとして、シリコーンハイドロゲルからなる市販のコンタクトレンズ(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製、ACUVUEOASYS)を準備し、斯かるコンタクトレンズをPBSで3回洗浄した後、各実施例および比較例の処理剤1mL中にそれぞれ浸漬し、室温で2時間静置した後、PBSで3回洗浄した。
次いで、処理したコンタクトレンズを人工脂質溶液1mLに浸漬し、1時間振とうした後、コンタクトレンズを取り出し、PBSで3回洗浄し、減圧乾燥した。その後、このコンタクトレンズをエタノール/ジエチルエーテル(75/25体積%)溶液1mLに浸漬し、30分静置することでコンタクトレンズに残存する脂質を抽出した。この抽出液0.5mLを試験管に採取し、90℃で溶媒を蒸発させた。
次いで、試験管中に濃硫酸0.5mLを添加し、90℃30分間加熱した。この溶液を室温まで冷却した後、0.6質量%バニリン水溶液/リン酸(20/80体積%)溶液を2.5mL添加し、37℃で15分間保持した。この溶液を室温まで冷却後、540nmにおける吸光度を測定した。脂質濃度既知の溶液を予め前記同様の方法により測定して検量線を作成しておき、前記測定結果の吸光度からコンタクトレンズに吸着した脂質量を決定した。
試験結果を表2の脂質防汚量に示す。なお、表中のコントロールは、各処理剤の代わりにPBSを用いて上記と同様に試験した結果を示す。また、脂質防汚量はコントロールと比較して低下した脂質付着量を示し、その値が大きい程、脂質防汚効果が高い。
【0150】
試験例5 潤滑性試験
まず、試験に先立ちシリコーンハイドロゲルを調製した。すなわち、上記式(X)で表されるシリコーンメタクリレート(東京化成社製)50質量部、DMAA(興人社製)45質量部、ポリエチレングリコールジメタクリラート n≒4(東京化成工業社製)5質量部、および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン1質量部を混合し、ガラスシャーレに流し込み、大気中にてUV照射量:1.5J/cm
2となるように、UV照射を行い、透明重合物を得た。この重合物をイオン交換水で膨潤させた後、PBS中に保存し、シリコーンハイドロゲルを得た。
次いで、調製したシリコーンハイドロゲルを、PBSで3回洗浄した後、各実施例および比較例の処理剤1mL中にそれぞれ浸漬し、室温で2時間静置した後、PBSで3回洗浄した。
次いで、洗浄後のシリコーンハイドロゲルについて、乾燥した指で触った際の潤滑性を下記のランク1〜4の基準で5名の被験者に評価してもらい、潤滑性ランクの平均値を算出した。
【0151】
(潤滑性評価基準)
ランク
1・・・基材と同等(コントロール)
2・・・僅かに潤滑性がある
3・・・全体に軋みなく潤滑性がある
4・・・非常に潤滑性がある
【0152】
試験結果を表2の潤滑性に示す。なお、表中のコントロールは、各処理剤の代わりにPBSを用いて上記と同様に試験した結果を示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
表2に示すとおり、実施例1〜6の液剤は、脂質洗浄力、親水性化性能、剥離耐性、脂質付着抑制効果、および潤滑性付与効果に優れたものであった。また、実施例2〜6の液剤は、特に優れた親水性化性能および剥離耐性を示した。
【課題】優れた脂質洗浄力を有するとともに、高い親水性化性能を示し、レンズにコーティングした場合に優れた脂質付着防止効果及び潤滑性付与効果を示すレンズ用液剤を提供する。
【解決手段】繰り返し単位(A):2.5〜95質量%と、繰り返し単位(B):2.5〜95質量%とを有する重合体。(A)親水性繰り返し単位、(B)側鎖にポリオキシアルキレン基を有し、その側鎖の末端が炭素数5〜30のアルキル基、炭素数5〜30のアルカノイル基、またはアリール基で構成される繰り返し単位