特許第6545918号(P6545918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6545918加速度センサコアユニット、加速度センサを載置する基板のたわみを防止する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6545918
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】加速度センサコアユニット、加速度センサを載置する基板のたわみを防止する方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20190705BHJP
【FI】
   G01P15/08 102Z
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-95640(P2019-95640)
(22)【出願日】2019年5月22日
【審査請求日】2019年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000100676
【氏名又は名称】IMV株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】川平 孝雄
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5413443(JP,B2)
【文献】 特許第6500713(JP,B2)
【文献】 特許第5745732(JP,B2)
【文献】 特開2017−83361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に加速度センサを載置する基板、
前記基板の表面側に空間形成部材を介して固定され、前記基板のたわみを抑制する第1の補強板、
前記基板の裏面側に空間形成部材を介して固定され、前記基板のたわみを抑制する第2の補強板、
を備えた加速度センサコアユニット。
【請求項2】
請求項1の加速度センサコアユニットにおいて、
前記第1、第2の補強板は、前記基板と平行であること、
を特長とする加速度センサコアユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2の加速度センサコアユニットにおいて、
前記第1、第2の補強板は、前記基板と3カ所で固定されていること、
を特長とする加速度センサコアユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの加速度センサコアユニットにおいて、
前記センサは、前記基板と平行方向の加速度を検出すること、
を特長とする加速度センサコアユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの加速度センサコアユニット、
前記加速度センサコアユニットが収納される筐体、
を備えた加速度センサピックアップ。
【請求項6】
表面に加速度センサを載置する基板のたわみを防止する方法であって、
前記基板の表面側に、前記基板のたわみを抑制する第1の補強板を、空間形成部材を介して固定し、
前記基板の裏面側に、前記基板のたわみを抑制する第2の補強板を、空間形成部材を介して固定したこと、
を特徴とする加速度センサを載置する基板のたわみを防止する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加速度センサに関し、特に加速度センサを載置する基板のたわみ防止に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、MEMSプロセス(半導体微細加工)にて作製された加速度センサ(以下、MEMS加速度センサという)を筐体内に格納したセンサユニットが開示されている。かかるセンサニットは3軸方向の加速度センサである。
【0003】
かかるMEMS加速度センサとして、1軸方向の検出に特化した小型の加速度センサが知られている。発明者は、この小型加速度センサを基板上に載置し、筐体内に格納するコアユニットを発明した。かかるコアユニットについて図1を用いて説明する。
【0004】
図1Aに示すように、コアユニット112は、基板101、および、台座103を有している。台座103は図1Bに示すように、L字構造をしており、側面に基板101が4カ所のネジで固定される。台座103と対向する基板101の面には前記小型加速度センサ104が取り付けネジの近くに固定されている。
【0005】
なお、小型加速度センサ104は、矢印105方向の振動加速度を検出する。
【0006】
かかるコアユニット112を筐体(図示せず)に格納することで、取付場所の自由度が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2015/145489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発明者が実験したところ、図1に示すコアユニット112では、小型センサ単独で有する検出精度が発揮できないことが分かった。
【0009】
この発明は、上記問題を解決し、精度の高い加速度センサコアユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明にかかる加速度センサコアユニットは、1)表面に加速度センサを載置する基板、2)前記基板の表面側に空間形成部材を介して固定され、前記基板のたわみを抑制する第1の補強板、3)前記基板の裏面側に空間形成部材を介して固定され、前記基板のたわみを抑制する第2の補強板、を備えている。
【0011】
したがって、前記基板のたわみが抑制されて、高精度の検出が可能となる。
【0012】
(2)本発明にかかる加速度センサコアユニットにおいては、前記第1、第2の補強板は、前記基板と平行である。したがって、前記加速度センサコアユニットを筐体に収める際に、前記補強板と前記筐体との平行を確保すれば、センサを筐体に平行にセットできる。
【0013】
(3)本発明にかかる加速度センサコアユニットにおいては、前記第1、第2の補強板は、前記基板と3カ所で固定されている。したがって、スペースが少なくても、確実に一体化させることができる。
【0014】
(4)本発明にかかる加速度センサコアユニットにおいては、前記センサは、前記基板と平行方向の加速度を検出する。したがって、基板の平行方向の振動加速度を確実に検出できる。
【0015】
(5)本発明にかかる加速度センサピックアップは、さらに、前記加速度センサコアユニットが収納される筐体を備えている。したがって、センサ単独では取付が困難な場所でも取り付けが可能となる。
【0016】
(6)本発明にかかる加速度センサを載置する基板のたわみを防止する方法は、前記基板の表面側に、前記基板のたわみを抑制する第1の補強板を、空間形成部材を介して固定し、前記基板の裏面側に、前記基板のたわみを抑制する第2の補強板を、空間形成部材を介して固定している。したがって、加速度センサを載置する基板のたわみを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】テスト用に形成した加速度センサコアユニットの概略図である。
図2】加速度センサコアユニット1の構造を示す図である。
図3】基板3の斜視図である。
図4】筐体21の構造を示す図である。
図5】本発明による効果を示す周波数特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図2Aに、本発明の1実施形態にかかる加速度センサコアユニット1を示す。
【0020】
加速度センサコアユニット1は、基板3、金属板4,5、スペーサ7a〜c、8a〜cを備えている。
【0021】
基板3は、ガラスエポキシ樹脂製であり、図3に示すように、加速度センサ11、各種の電子部品が表面に載置されている。また、三カ所の貫通穴3a〜cが設けられている。加速度センサ11は、矢印105方向の振動加速度を検出する。
【0022】
基板3は、図2Aに示すように、金属板4,5で、サンドイッチ状に挟まれている。金属板4,5を図2B,Cに示す。金属板4は、図2Bに示すように、座ぐりした貫通穴4a〜cが設けられている。金属板5は、図2Cに示すように、タップ穴5a〜cが設けられている。
【0023】
基板3と金属板4との間には、リング状の金属スペーサ7a〜cが介在しており、基板3と金属板5との間は、同じくリング状の金属スペーサ8a〜cが介在されている。リング状のスペーサ7a〜c、8a〜cの内径は、基板3の貫通穴3a〜cよりもやや大きい。
【0024】
加速度センサコアユニット1は、3カ所で 基板3と金属板4、5をネジ止めしているので、少ない取付スペースで、かつ、確実に基板3を金属板4、5に固定することができる。これにより、基板3と金属板4、5との平行を確保しやすい。
【0025】
なお、基板3と金属板4、5を4カ所で止めることもできるが、取付スペースが増えること、およびネジの締め付けのばらつきがでやすくなるという問題がある。このような問題を回避できるならネジ止めの個数については限定されない。
【0026】
加速度センサコアユニット1は、筐体21(図4参照)に格納される。筐体21は、図4Aに示すように、本体21aおよび蓋21bで構成されている。本体21aは、図4Bに示すように、内部に加速度センサコアユニット1が格納できるように空間25が形成されている。空間25は図4Cに示すように、加速度センサコアユニット1の外径が嵌合する形状である。具体的には、面25fが金属板4の面4fに、面25iが金属板5の面5ifに、面25gが金属板4の面4gに、面25hが金属板4の面4hに、面25kが金属板5の面5kに、面25jが金属板5の面5jに、がたつきの無い状態で保持される。
【0027】
筐体21の取り付け穴21dは、タップが形成されており、この筐体を取付る面に固定される。
【0028】
蓋21bに設けられた穴21dを介して、配線が、加速度センサコアユニット1の基板3に接続される。これにより、計測された振動加速度が筐体外部に取り出される。
【0029】
本実施形態においては、基板3の両サイドを金属板4,5で補強したので、高周波(10KHz以上)の振動加速度を検出する際にも、基板がたわむことを抑制する。したがって、精度の高い振動加速度の検出が可能となる。
【0030】
図5に、加速度センサコアユニット1における振動周波数特性を示す。曲線L1が加速度センサコアユニット1における振動周波数特性であり、曲線L2が図1のコアユニット112の振動周波数特性である。このように、図1のコアユニット112では1KHz以上で、ぶれが発生している。これに対して、加速度センサコアユニット1では、十分な周波数特性を得ることができる。
【0031】
なお、単に精度を高めるだけであれば、剛性の高い基板(たとえばセラミックなど)を使うこともできる。ただ、セラミック基板は高価であるとともに、筐体も同様の素材とする必要がある。これは熱膨張係数が異なると、割れたり隙間ができたりするおそれがあるからである。本実施形態においては、筐体と補助板を同じ金属素材で構成することができる。
【0032】
また、基板3の一面に本件の金属板5をスペーサ8を介在させず、面と面で接着することで基板3のたわみを防止することも考えられる。しかし、この場合、基板3と金属板5との熱膨張率が異なるので、膨張すると剥がれるおそれがある。本実施形態においては、基板3をスペーサ7.8を介して、金属板4,5と固定保持している。したがって、かかる膨張の問題も回避できる。
【0033】
本明細書においては、基板3に平行で、かつ筐体の底面が鉛直方向を向く場合について説明したが、センサの検出方向が異なるセンサを用いれば、筐体に横方向の振動加速度を検出することも可能である。
【0034】
また、1軸ではなく、2軸、又は3軸方向を検出するセンサであってよい。
【符号の説明】
【0035】
1 加速度センサコアユニット
3 基板
4 金属板
5 金属板
21 筐体
7a〜c スペーサ
8a〜c スペーサ
【要約】
【課題】 基板のたわむを抑制する。
【解決手段】
加速度センサコアユニット1は、基板3、金属板4,5を備えている。基板3は、エポキシ樹脂製であり、矢印105方向の振動加速度を検出する加速度センサ11が載置されている。基板3は、金属板4,5で、サンドイッチ状に挟まれている。基板3と金属板4との間には、リング状の金属スペーサ7a〜cが、基板3と金属板5との間は、リング状の金属スペーサ8a〜cがそれぞれ介在されている。基板3と金属板4、5を、3カ所でネジ止めしているので、少ない取付スペースで、かつ、確実に基板3を金属板4、5に固定することができる。これにより、加速度センサコアユニット1としての剛性を確保できる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5